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2012/08/25
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カテゴリ: エッセイ
夏(65)


  • 大名竹(細竹)の輪(2).JPG



 竹と言えば、我が家には大名竹があり、前栽を飾って居るが、余り生え過ぎて雨天の日なぞ濡れた葉が身体に触れて濡らすので何とかせねばと棕櫚縄で縛った処それが当たり前になり今では輪状になって簡易くぐりになっている。以前、貴船神社で茅の輪を見掛け、それに似させたのである。年々増えて行くので茅の輪風竹輪は太くなって行く。この先まだまだ生えて来るだろうから益々太くなって行くだろう。




小説「猫と女と」(14)




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 結局、女との関係をほのめかす事さえ出来ないまま、その夜もホテルへ行った。母親の事で何を悩むのかという小さな疑問が心の中で次第に膨らんで行ったのか、舞子は事が終わってベッドでグッタリしている私に想い出した様に訊いた。「父が何を言ったか知らないけれど、もうあの人は母にとっては赤の他人でしか無いのヨ。月に一度デザイン事務所で帳簿の整理はしているけれど、唯それだけの事。父が今更、貴方に嫉妬する訳も無いし嫌味を言うとしたらお門違いだワ。ねえ、一体何があったの?教えて。そう言えば最近、母と会って無かった様ネ。先日、久しぶりに貴方に会えたと言って凄く明るい顔をしていたワ。あんな嬉しそうな顔を観ていると私まで嬉しく成ってしまうの」「この処、大学の設計の仕事で忙しくしていたから・・・。舞子に会える時間を作るだけで精一杯だった」「分かっているワ。でも、たまには母に会ってやってネ。会うだけで幸せなんだから」




 「分かった」と取りあえず返事をしておき、女と別れるには時間を掛けるしか無いと考えた。既に五十にもなった女が女としての盛りを終えようとしているのに燃え尽きるまで付き合わねばならない。急の別れは反動が大きいだけだろう。精神的なショックがそうさせるのだ。しかし女としての性が燃え尽きるのは何時の事だろう。肉体関係はあと数年で終えるだろうが、男と違って女はもっと長いかも知れない。舞子の身体とは反比例して陽が沈む様に身体が衰えても気持ちだけは燃え尽きないかも知れない。老人ホームでの男女の恋愛問題が事件にまで発展する事もある。笑って見過ごしていたニュースだったが確かそういう事件があった。まして五十前後では未だまだ肉体的にも男との交渉は可能だ。勿論、人にも依るが、彼女の場合は早くに離婚しているから、舞子を引きとり若くして母子家庭になった訳だ。それだけに私との関係が彼女の身体に火を付けた事になる。




 元夫との関係がその後もあったかどうか分からないが、多分、何も無かったというのが実態かも知れない。偽装離婚だと想って居たのが実際は経済問題と同居して夫婦関係も冷めてしまったのだとしたら夫婦関係は完全に終えているだろう。夫は税務署の追徴金で追いかけ回され今では無一文に近い状態だとしても女には離婚慰謝料や舞子の養育費が入っている筈だ。女には暇と虎の子があっても心の拠り所としては娘しか無いだろうし、其処へ私が現れ金銭的には無関係な関係だけに安全な相手だ。それに仕事もくれる。彼女にとって実利と精神的な面で、言わば舞子の言う救世主と言えなくもない。元夫よりも価値を見出しているとするなら別れようとはしないだろう。但し、舞子との関係を知らない限りだが。一方、舞子は、二人は綺麗な関係と観ているのだろう。まさか母親が自分の恋人と寝た事があると知れば対立関係になるに決まっている。




 が、女も同じ考えの筈だ。まさか舞子と関係を持っているとは考えられないだろうし考えようともしないだろう。それだけに知った時の落胆とショックの程は計り知れない。其処が怖い処だ。多分、女は逆上するだろう。私は殺されてしまうかもしれない。彼女だけでなく舞子と二人共謀して実行すると想うと良い気がしない。お互いに私との関係を何とか両者に分からせる方法は無いものか。虫が良過ぎるだろうか。そう言えば数十年前まで、本妻と妾が同居している家があった。時代がそれを許す気風が未だ日本にはあった。道徳以前の経済面での社会の暗黙の了解があったのだ。本妻さんとお妾さんと女中も近所の人々も平気で口にしていた。主人は交互に相手を満足させていた。それが言わば男の甲斐性だとする風潮まであった。そんな時代が懐かしい。舞子と女はそれを理解してくれるだろうか。私を心から愛してくれるなら可能性はゼロではないだろう。




 漠然としたそういう考えが私を少しばかり安心させ期待を持たせる。上手く行けば誰も傷付かず関係を維持出来るかも知れない。独占欲が相手を縛りつけ傷を付けるのだ。変なプライドは百害あって一理なしだ。私には都合が良い理屈だが結果的にはそれが一番良い解決方法に想える。その後は私の体力との挑戦だ。何処まで持つだろう。精力絶倫と想って居た割には五十五を過ぎてからの体力の低下は目に観えるばかりだ。ゴルフの後の疲れと同様の気だるさが翌日も残ってしまう。せめて六十までは大丈夫と多寡をくくって居たのが嘘の様で、意識ばかりが先行する。気力はあるものの身体が付いて行かないのだ。そろそろ好々爺の練習でもし市井の老人らしく大人しくしているべきなのだろうか。ところが「未だ高齢者と呼ばれる年齢に達していないのに今から弱気でどうする」という声が心の内から聞こえる。舞子はそれでも私の事を上手いと言って褒めてくれるのだ。嘘ではないだろう。




 それは、たまたま彼女の体質に合っただけの事かも知れないが、母親の身体と同じ様な体質だけに私の身体が女との八年間の経験で自然にそれに同調するらしい。タイミングを図ってここぞと言う時に頑張れば女も舞子も歓喜の声を挙げる。全く同じ反応なのが面白い。ヘトヘトに成りながらも両者を比較する私は私なりに楽しんで居る訳だ。両者の性感帯も同じ場所だけに其処を愛撫したり刺激すると絶妙なタイミングで快感の絶頂に達する。舞子が私にとって麻薬なら私も彼女達の麻薬になって居る可能性もある。切っても切れない関係が出来上がってしまっている限り、お互いの存在を尊重し合いながら大事にすれば案外三人の関係は円満に続くと考えられない事もない。要は肉体面では無く精神面でどの様に持って行けば両者が納得するだろうか。其処の処が今の私にとっての一番の問題なのだ。(9月上旬へつづく)













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最終更新日  2012/09/08 08:05:16 PM
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