きららん’ｓ　キッチン・テーブル

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2005年02月10日

池波正太郎氏の時代小説

(5)

テーマ：お勧めの本(7899)

カテゴリ：読書の楽しみ

「鬼平犯科帳」を先日久しぶりにテレビ放映したそうですが、ご覧になりましたか？　ワタシは残念なことにチェック不足で見逃してしまいました。

鬼平犯科帳の原作者、池波正太郎氏。
一通り読んだあとでも、ときどきふと読み返したくなる、大好きな作家です。

時代小説が有名ですが、古地図散歩、食のエッセイ、映画のエッセイ、など意外に広範囲にわたる著作があります。
　また、晩年にはフランスに惹かれて何度も旅行されており、自作の挿絵を添えたエッセイなどもまた異なる味わいでよいものです。

さて、池波ワールドの核をなす時代小説シリーズには、
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「真田太平記」「仕掛人・藤枝梅安」があります。
それぞれ違う色と味わいがあります。

まずは「鬼平犯科帳」

「鬼平犯科帳」は文庫で全２４巻（最終巻は絶筆）
初めて読むなら文庫の第５巻から読むのをお勧めします。

「鬼の」平蔵、「仏の」平蔵、それぞれの顔が満喫できる第５巻（短編集）は「テレビの鬼平は見た」という方にお勧めです。
平蔵が「火付盗賊改方」長官に着任して一定時間がたち、おなじみの密偵たちもかなり出揃っていますし、軍鶏鍋屋「五鉄」も登場しています。

小説版の鬼平犯科帳では、密偵たちの心情なども細やかに描かれているのですが、さすがにテレビではそこまで脚本に盛り込めません。テレビでのファンの方は、小説版を読んで、「密偵おまさと五郎蔵」が夫婦密偵となるのに驚くのでは？

次なるは「真田太平記」　（文庫で全１２巻）
一大長編小説です。ワタシはある年の夏休みに一気に読みました。
面白かったです、がその後読み返すチャンスはないままに飾ってあります。
いつかまた一気読み返しをしたい小説です。
真田太平記文庫古本１２冊揃３千円＆送料300円

そして、「剣客商売」。これもテレビドラマ化されていますね。

気楽な隠居生活を営む剣の名人秋山小兵衛（藤田まこと）

小兵衛の若い女房、おはる（小林綾子）
男装の武芸者、佐々木三冬（寺島しのぶ）。

この４人の暮らしに絡んでくる数々の事件を描いています。つくづくなんと豪華な配役でしょう！！　前回まで大治郎を演じていた渡部篤郎さんも素敵でしたが、今回は更にいいです。

「剣客商売」全１６巻のなかで、読み始めには第３巻「陽炎の男」がお勧めです。

すでに小兵衛とおはるは祝言をあげて夫婦となっており、小兵衛に恋心を抱いていた佐々木三冬が、わが心の中に秋山大治郎への恋心が育っているのに気づく・・・。全１６巻の大きな波の最初のクライマックスに当たる巻だと思います。

鍼灸医として人を治療するかたわら、殺し屋として金で殺人をうけおう。

テレビシリーズでは渡辺謙さんが梅安を演じ、原作より素敵すぎる梅安だわ、と思って見ました。

人を治すその同じ手で金づくで人の命を奪う。「人間の矛盾」というのは池波作品のそこここに見られる大きなテーマです。

仕掛人梅安シリーズは、第１巻「殺しの四人」から読むのがお勧め。
文庫新装版発売中

「仕掛人」を説明するくだりや、梅安が今のような暮らしをするにいたった生い立ちがまず説明されていますし、
「仕掛人梅安」シリーズは人と人との交わりを主においた小説ではないので、登場人物が出揃うのを待つ必要もなくいきなり話が盛り上がります。殺伐としがちな仕掛人話を彩るのは、江戸料理です。

テレビドラマがお気に召した方、この機会にぜひ池波小説のファンになってみてはいかがでしょう･･･？

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