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(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.冒頭の海にそり立った城壁に挑む海洋の船、船、船……。この戦闘シーンが最も激しく最も熾烈であった。飛び出す火の玉に飛び散る兵たち。雨のように降り注ぐ弓矢。肉弾戦ともなった合戦、斬りあいはみごと。これと対照的なクライマックスであった。さて、ルシアスを演じるポール・メスカルは一作目のラッセル・クロウと比べて、また今作登場する他のグラディエーターたちと比べても小粒な感じがする。機転や奇策で勝ち残るのはいいけれど、単に腕っぷしでも強力さを感じる、いで立ちであったらなぁ、と思えた。ルシアスの生い立ちやアカシウス(ペドロ・パスカル)の思いや過去の描き方ほどマクリヌス(デンゼル・ワシントン)の生い立ちについては言及も少なく映像もない。マクリヌスについてその来歴を丁寧に描いていればクライマックス、ルシアスとマクリヌスの対峙はより鮮明に、より感情移入して見られたかもしれない。壮大なスケール、その広大さはスクリーンで見てこそ感じられる。2024年/アメリカ/148分/R15+監督:リドリー・スコットキャラクター創造:デビッド・フランゾーニ原案:ピーター・クレイグ デビッド・スカルパ脚本:デビッド・スカルパ出演:ポール・メスカル、ペドロ・パスカル、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャー、リオル・ラズ、デレク・ジャコビ、コニー・ニールセン、デンゼル・ワシントン原題:Gladiator II(「グラディエーター2」)お薦め度「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」★★★☆(70%)字幕翻訳:戸田奈津子字幕監修:本村 凌二、大清水裕
2024.11.16
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(C)2024「八犬伝」FILM PARTNERS.これは「南総里見八犬伝」ではなく山田風太郎「八犬伝」が原作である。Wikipediaには”『南総里見八犬伝』をモチーフに、『南総里見八犬伝』の作者・滝沢馬琴と葛飾北斎との交流を描いた「実の世界」と、『南総里見八犬伝』の「虚の世界」の2つの世界を交錯させながら描く。”とある。1983年に書籍化された新聞小説を今なぜ映画化するのか、皆目わからない。独自の視線でファンタジーを描く山田風太郎の描き方はユニークであるが、人物像としての滝沢馬琴物語にするか、エンタメとして八犬伝物語として描く方が入り込みやする楽しめると思う。映画として見るならば1983年公開の薬師丸ひろ子主演の「里見八犬伝」のリメイクでもよかったんじゃないかと思う。そうではなくて滝沢馬琴を描きたかったのだろう、か。キャスティングは素晴らしいと思う。皆、役に溶け込み、役そのもののように登場してくる。滝沢(曲亭)馬琴の役所広司と葛飾北斎の内野聖陽はじいさんの作り込みも面白く大げさにしない芝居が良い。妻のお百の寺島しのぶは申し分のない女房を演じるし、嫁のお路の黒木華もぴったりといえる。見事なのはあ玉梓の栗山千明であろう。怨念を持った女として彼女の眼光はするどく尖った鼻はと尖った顎は申し分ない。歌舞伎のシーンは誰が誰かわからないけれど歌舞伎役者が演じているであることは見て取れ、当然というか正しく歌舞伎であった。八剣士は八剣士で作り込みが甚だしく俳優がだれなのか見分けがつかない(笑)。犬塚信乃の渡邊圭祐がしっかりとわかるくらいで、身長のない板垣李光人ははっきりと認識できるくらい。あとはごつい3人と若手3人で見分けがつかない(笑)。板垣李光人はとても美しく美女を演じてお似合いだった。見どころのある鶴屋南北・立川談春の芝居もあるが、コントにも見えてしまう殿様・里見義実の小木茂光の天守閣のシーンもあった。丶大法師(ちゅだいほうし)となった丸山智己の坊主頭がやや大きいことが気になった。もう少し小さくできなかったものか(CGで削るとか)。南総里見八犬伝を知っている者であればいいと思うが、知らない者は八犬伝を理解できたのだろうか。2024年/日本/149分/G監督:曽利文彦原作:山田風太郎脚本:曽利文彦出演:役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、小木茂光、丸山智己、真飛聖、忍成修吾、塩野瑛久、神尾佑、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、立川談春、黒木華、寺島しのぶお薦め度「八犬伝」★★★☆(70%)
2024.11.03
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(C)2024未来映画社すごい真剣勝負。こんな役者さんいたかなーと思う人から、見たことない出演者が多数。失礼を承知で言うと有名俳優は一人も出ていない。とはいえ、芸歴長く、映像の世界で生きてきた俳優たちが主要な役を演じているから見ごたえ見どころのあるシーンが続く。素晴らしく素敵な映画。まず脚本が素晴らしい、そして、演出も素晴らしく、ここそこに映画的手法を取り入れていて、監督インタビューを読むとオマージュというかパクリというか名作映画、名監督を意識していろいろと工夫をしたようだ。スゴイなぁ。無音のシーンを見ていて、「コーダ あいのうた」「ドライブ・マイ・カー」など無音のシーンの作品があるからその流れかと思って見ていたけれど、監督によると「椿三十郎」のオマージュに端を発しているらしい。このシーンに感嘆する。一番感心した役者は住職の妻である紅萬子である。しゃべり(セリフ)がバッチ・グー。2024年/日本/131分/G監督:安田淳一脚本:安田淳一出演:山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、庄野﨑謙、紅萬子、福田善晴、井上肇、安藤彰則、田村ツトム、多賀勝一、吹上タツヒロ、佐渡山順久、Rene、柴田善行、きらく尚賢、ムラサトシ、神原弘之、五馬さとし、田井克幸、徳丸新作、泉原豊、岸原柊、戸田都康、矢口恭平、吉永真也、楠瀬アキ、佐波太郎、高寺裕司、江村修平、山本拓平、西村裕慶、谷垣宏尚、篠崎雅美、夏守陽平、橋本裕也、大野洋史、山内良、宮崎恵美子、岩澤俊治、雨音テン、水瀬望、石川典佳、結月舞、鈴木ただし、皷美佳、吉村栄義お薦め度「侍タイムスリッパー」★★★★(80%)
2024.10.15
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(C) & TM DC (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved前作「ジョーカー」はジョーカーであることを描き切った作品。怪奇的なのか奇怪なのか、振り切った行き切った男の話であった。恐怖とともに何か親近感ではないが心酔してしまうようなものがあった。ところが2作目の「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」にはそれがない。ジョーカーに惚れてしまったリー(レディ・ガガ)の最後の言葉にもあるように、ないのである。ゆえに前作と今作では天と地の開きがあるほど、真逆、正反対の内容を描いたものである。不届きながらこの作品を見ながら何度か意識を無くしてしまった。上映後、階段を下りていると女性二人の観客のうち一人が「途中、意識がとんだんだよね」と言い、答えて同伴者が「私も意識とんだ」。とても眠くなる作品なのである。座っていておしりも痛かったと。座席が良くないのか、僕もお尻が痛かった。<ネタバレ>ネタバレと書いたが、言いたいことは一つだけ。「ジョーカー」はジョーカーの映画だった。ジョーカーが存在した。「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」はジョーカーがいない、ジョーカーが消え去ってしまった映画である。2024年/アメリカ/138分/PG12監督:トッド・フィリップス脚本:スコット・シルバー、トッド・フィリップス出演:ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナー、ザジー・ビーツ、リー・ギル原題:Joker: Folie a Deux(「ジョーカー:二人狂い」)お薦め度「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」★★(40%)字幕翻訳:
2024.10.14
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(C)Aamir Khan Films LLP 2024さて、今日は何を見ようか。ちょうどよい時間に見たい映画がなく、インド映画ということで一抹の不安を抱えつつ新宿ピカデリーに見に行った。シアター2という大箱なのに観客はまばら。この作品を選んで良かったのか?と不安になる。見てみると、警官へのワイロ、結婚詐欺などの問題を提起しておき、物語が進展していくとインドの結婚、農業事情、女子の進学といったインド社会の縮図のようないろいろな事柄を描き出した人間ドラマ。わからなかった真相がわかるにつけ、どうなることかと心配になるがクライマックスには感動が押し寄せて泣いてしまった。大団円となる結末に満足した良作。キャラクターにあった風貌のキャスティングで人が良さそうとか頭良さそうとかずる賢いとかわかりやすくていい。その反面、終盤での真相で見た目だけではないと思えて、深みがあった。松竹富士はいい作品を配給するなぁ。映画『花嫁はどこへ?』公式サイト|2024年10月4日(金)公開 (shochiku.co.jp)2024年/インド/124分/G監督:キラン・カオ原案:ビプラブ・ゴースワーミー脚本:スネハ・デサイ出演:ニターンシー・ゴーエル、プラティバー・ランター、スパルシュ・シュリーワースタウ、ラビ・キシャン、チャヤ・カダム原題:Laapataa Ladies(「追跡不能な婦人たち」)お薦め度「花嫁はどこへ?」★★★★☆(90%)字幕翻訳:
2024.10.08
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(C)2024「傲慢と善良」製作委員会以前2024.09.06『2024年9月27日公開。映画「傲慢と善良」に思うこと。』をブログに書いた。そして、今日も映画が始まる直前まで主役はこの二人でなくて誰が良いだろうかとずっと考えていた。映画が、始まる。交差点で花束を持った女性の胸元が映る……。小説「傲慢と善良」(読書レビュー「傲慢と善良」)はミステリーでありサスペンスである。そして、途中から東北、東日本大震災の被災地でのボランティアに舞台は移る。この冒頭から中盤にかけてのミステリー・サスペンスはドラマとしておもしろい=興味を惹くこととなるが、東日本大震災の被災地が舞台となってからはとても映像化が難しい作品だと思われた。その作品を躊躇なく映画化するので驚き、この部分をどのようにするのか気になって見た。この被災地ボランティア、中でも被災地の現状、無残な被災映像は映すことなく、局地的なボランティア活動を映すのみであった。その点、東日本大震災の被災に関してはほぼ触れない、ボランティア活動のみのシーンとなっている。うまい手法だとも思えるが結局、映像として東日本大震災の被災地の映像は撮れない、映せないということなのだと思う。省略されている。ミステリー・サスペンス作品でありながら映画化にあたってはその部分がうまく省略されていて、婚活アプリで出会った二人の関係性、結婚に向かう軌跡に焦点が絞られ、結果、サスペンス感は不思議と感じられない。そして、映画化作品は恋愛映画となって結実している。このことを原作者は許したのか、映画にまとめるためにフォーカスした結果なのか、良し悪しは別にしてとてもいい恋愛映画となっている。映画は原作に忠実なものとなっていない。しかし、大筋はたどっていて結末は映画独自のような気もする。(というのは小説の結末を覚えていない)以前書いたブログでキャスティングについての不安を申し上げたけれど、今日、映画を見たところ、この二人で良かったかなと思えた。中でも奈緒がいい。映画の冒頭でこそ小説の表表紙の肖像画の主人公・真実に寄せたメイクで真実っぽく見せるように作っていたけれど、進むにつれて真実というよりも奈緒としての真実、奈緒らしい主人公として登場していた。奈緒が婚活に悩み疲れる女性を等身大にみごとに演じていた。それは見る者(私)の心を感動させた。脚本がいいのであろう。婚活と恋に焦点を絞って、あとはほぼ削って恋愛映画として感動のフィナーレを書き上げている。キャスティングがいいのか、皆の演技がいい。それも脚本がいいからだろうか。つまり原作がいいからだろうか。原作とは母のイメージが違いやや強い母として宮崎美子が演じているが、これくらい強くてもいいのだろう。父として阿南健治もいい。「あぁ」とか「おい」とかしか言わない父親であるがそれこそが田舎の父親らしくうまく演じている。西澤架(藤ヶ谷太輔)の友人役の二人もいい。一人は桜庭ななみであり、もうひとりも仲の良かった女友達として、いると思える存在だった。お見合いの仲人の前田美波里も良かった。映画全盛時の女優という感じがしたのは鼻濁音を明瞭に発する爽やかな口跡。今時、なかなか聞けない鼻濁音であった。素晴らしい。被災地・東北のボランティア・リーダーの高橋耕太郎(倉悠貴)と真実(奈緒)の週末ドライブへ行く・行かないのやり取りが友達以上恋人未満の微妙な空気感がいい。人の恋を後押しするよしの(西田尚美)も良かった。出演者みながきちんと自らの演技をこなせていたのはすごい。あと東北の地元の人たち、笑って、笑って、笑いだけで人との距離感を詰めていく感じいいなぁ。ラストに二人のシーン。受ける芝居の藤ヶ谷太輔は大変だっただろうけれど、彼が多分うまく受けてくれたのだろう、奈緒の演技はヤバかった。素晴らしかった。真実の気持ちがあふれ出た。私も涙、涙、涙であった。原作を忠実に映像化しない作品は落胆することが多いけれど、この映画は原作をうまくそぎ落とし婚活恋物語に集約したことにより素敵な恋愛映画となった。見て良かったと思う。とてもとても良かった。2024年/日本/119分/G監督:萩原健太郎原作:辻村深月脚本:清水友佳子出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、倉悠貴、桜庭ななみ、菊池亜希子、前田美波里、阿南健治、宮崎美子、西田尚美お薦め度「傲慢と善良」★★★★☆(90%)
2024.10.06
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(C)2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.思っていたほどシリアスでも現実的でもない”シビル・ウォー”だった。もっと真摯に取り組み作られた作品かと思っていたが、何ゆえにこの戦闘が始まったのか、体制と反体制の違いは何なのかといった政治や主義的なものはなんら描かれず、西の2州からなる西軍がワシントンの大統領を攻めるということになっている。途中、何度となく危険な目に遭う。主人公は戦争取材をする報道の人々。ドンパチドンパチして、虫けらのように人を殺していくシーンは道理が通らない地獄絵図のようである。見てみて感銘を受けることなく意義も感じられない点に興醒めというかついていけない。この作品は何が評価されたのだろう?私には意味不明なドンパチ映画としてしか映らなかった。A24制作の映画は私には合わないのかもしれない。2024年/アメリカ/109分/PG12監督:アレックス・ガーランド脚本:アレックス・ガーランド出演:キルステン・ダンスト、ワグネル・モウラ、ケイリー・スピーニー、スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、ソノヤ・ミズノ、ニック・オファーマン、ジェシー・プレモンス原題:Civil War(「内戦」)お薦め度「シビル・ウォー アメリカ最後の日」★★★(60%)字幕翻訳:松浦美奈
2024.10.05
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(C)Samsung Entertainmentこの映画「シュリ」を映画館で見られた幸せ。1999年11月6日東京国際映画祭の渋谷公会堂での上映で見た。その衝撃。大感激したことを覚えている。その後の劇場公開は2000年1月22日とあるから一足先に見ていたことになる。予告編が韓国映画ばかりなのに閉口した。この映画「シュリ」は見たいけれど韓国映画を見たいわけではないから。見始めて韓国を代表する世界的俳優、映画「パラサイト 半地下の家族」のソン・ガンホが出演していることに驚く。なんてことないおっさんのソン・ガンホしか記憶にないから、若くほっそりとした彼はかっこよかった。冒頭、戦士を作り上げる北朝鮮の訓練があれやこれやと延々に映し出され、あまりのどぎつさに辟易してくる。銃撃戦や危険なカー・スタントが多く、とんでもない映画だ。銃撃戦で走り回るカメラはブレにブレて、映しているものはわかるにしても顔などは捉えようがない。その激しい動きが臨場感となって圧倒的切迫を観客に押し付けてくる。凄い!いや、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!ヤバすぎる映画である。祖国統一のために命を懸ける。スパイとなった者の非情、哀哭。忘れてしまっていたがゆえ、とんでもない銃撃戦に打ちのめされ、とんでもない映画だったのか、と思い始めた時に結婚・恋バナをはさみ、南北統一への妄信とも思える作戦。日韓ワールドカップを控えてのサッカー競技場での銃撃戦はヤバさを越えたヤバさで、すごかった。デジタルリマスターで復元する上でカットされたのかと思ったほどのつながりがとぶ(切れる)シーンが二か所あったけれど、オリジナルも同じなのだろうか。突っ込みどころの小ネタや不手際なところが散見されるが、そんな細かいことは吹き飛ばして、魂に訴えかける南北統一への行動が胸を打ち、ないまぜとなった恋愛感情が感情を噴出させる。映画館で見られて本当に良かった。感無量。1999年/韓国/125分/PG12監督:カン・ジェギュ脚本:カン・ジェギュ出演:ハン・ソッキュ、キム・ユンジン、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ、ユン・ジュサン、パク・ヨンウ原題:Swiri(「シュリ」)お薦め度「シュリ」★★★★☆(90%)字幕翻訳:根本理恵
2024.09.23
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(C)2024「スオミの話をしよう」製作委員会どうした三谷幸喜!ぜんぜん面白くないじゃないか!金を返せとまでは言わないが、コメディにも何にもなっていない作品をよく作り上げたな。たぶん企画の段階では面白かったのだろう。長澤まさみを持ち上げる傑作になったのであろう。ところが完成した作品はそうではなかった。この誤算はどこにあるのか。(ネタバレあり)1.三谷幸喜が長澤まさみに入れ込みすぎて元夫たちの言動でスオミを持ち上げようとしたがあまりに不詳すぎて持ち上げられなかった。2.5番目の夫役の坂東彌十郎がはじけなかった。撮影現場ではよかったのかもしれないが、映像では大河ドラマ「鎌倉殿の13人」ほどのひょうきんさ、面白味がなかった。3.3番目の夫役の小林隆もはじけなかった。まじめな男が醸し出す真面目であるがゆえの面白味がこの作品では発揮されなかった。4.1番目の夫役の遠藤憲一は悪くはなかったが良くもなかった。これまで彼が見せていたほどの面白さ。5.後半というか終盤にスオミが登場するのだけれど、夫たちに詰問される時の七変化(映画では五変化)が嘘くさい。ゆえに面白くない。相手によって豹変する姿がこわれたおもちゃのようで見ていられない。6.長澤まさみがスオミの母役としても登場するのだが、母役が彼女である必要性が感じられず、悪ふざけのように見えてしまう(監督の悪ノリ)7.瀬戸康史の演技もリアリティから逸脱するところあり。とはいっても良かったところもある。1.西島秀俊は主人公と言えるが、登場人物の中では一番リアリティがあったかも。2.2番目の夫の松坂桃李もベンチャー企業の社長っぽく軽薄なノリが良かった。3.さほどでもないはずなのに特筆すべき程、良かったと思えるのが、宮澤エマである。彼女をここまで演技させられるなら、なぜスオミも同じように演出しなかったのか、不思議である。4.本編とはまったく関係のないカーテンコールの歌とダンスが良かった。ここでスオミの意味が知れたのは大変良かった。といった感じであるが、この作品、見に行くには……?(お薦めしません)2024年/日本/114分/G監督:三谷幸喜脚本:三谷幸喜出演:長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、戸塚純貴、阿南健治、梶原善、宮澤エマお薦め度「スオミの話をしよう」★★★(60%)
2024.09.14
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(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.不評なことは知っていた。賛否もあるものだと思っていた。見てみると、残念ながら、おすすめできるほどの作品ではないと言わざるを得ない。「エイリアン ロムルス」という題名。ロムルスの意味は知らないけれど、映画を見ればわかると思っていた。映画の中で、その説明はなく意味は分からないまま見終えた。なので、ググった。”ロムルス”とは、”伝説上のローマの建国者。軍神マルスの子で双生児の兄。弟のレムスとともに狼おおかみに育てられ、協力してローマを建設したが、のちに争ってレムスを殺した。”とのこと。よって、宇宙ステーションはロムルスとレムスのエリアに分かれていたと思うが、ロムルス側に主人公たちが入り、生き残った者という意味でロムルスを使っているのだなと思える。ネタバレになるので言えないが結末もこの意味を含んでいるものと思える。作品というか映画としてのおもしろさや展開は過去の作品と比べて秀でているものはなく、いまなぜ「エイリアン ロムルス」を製作したのかわからない。エイリアンとの死闘に関しても切迫感や必死さが足りないと思える。それだけ過去の作品が素晴らしかったということなのかもしれない。エイリアンシリーズを見続けているので、見たことに満足しよう。2024年/アメリカ/119分/PG12監督:フェデ・アルバレス脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス出演:ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、タイラーアーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー原題:Alien: Romulus(「エイリアン:ロムルス」)お薦め度「エイリアン ロムルス」★★★(60%)字幕翻訳:大城弥生
2024.09.14
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(C)2024「ラストマイル」製作委員会見どころ見ごたえのある映画だった。主演・満島ひかりの力演が光り、ゾーンに入ったような演技に刮目する。共演の岡田将生は力みのない姿が良かった。配送会社の阿部サダヲのあたふた感、責任者であるディーン・フジオカの落ち着き感はそれぞれ役柄に合って良かった。配送ドライバーの宇野祥平はいいとこ持っていった。その他ワンシーン・ワンカットで登場するTBSドラマの主演者・出演者たちの豪華キャストは作品のグレードを押し上げていた。惜しむらくは中村倫也の役柄であるが、彼でなくてもと思える役どころに思えた。評判の良さは当然と思える出来栄えであった。しかし、傑作とまではいかない。それは、犯行の目的がないと思えるからである。動機はある。十分にある。しかし、犯人はこの爆弾を仕掛けて何を目的としたのか。そこがわからない、描かれていない。犯人探し、爆弾探しと観客の耳目を集めることは充分であったが犯人が目指したものは何だったのか。単に企業を困らせるだけなのか、復讐(?)をしたかっただけなのか。終盤、満島ひかりのこれまでの不可解な行動の理由があきらかになる。それが描かれていながら今となって爆弾事件を起こした理由が描かれていないので、腑に落ちない物語となってしまっているのではないだろうか、ゆえに、傑作とまでいかないと思える。筧まりか(かけい まりか)の役は仁村紗和(にむらさわ)が演じている。映画『ラストマイル』公式サイト2024年/日本/128分/G監督:塚原あゆ子脚本:野木亜紀子出演:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二、酒向芳、宇野祥平、安藤玉恵、丸山智己、火野正平、阿部サダヲ、石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、竜星涼、飯尾和樹、吉田ウーロン太、薬師丸ひろ子、松重豊、綾野剛、星野源、橋本じゅん、前田旺志郎、金井勇太、永岡卓也、麻生久美子、望月歩、中村倫也お薦め度「ラストマイル」★★★★(80%)
2024.09.04
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(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会この時期、夏の超大作が公開されているはずなのに、これといった作品がないように思う。「インサイド・ヘッド2」や「ツイスターズ」や「デッドプール&ウルヴァリン」が大作と言えば、大作なのかもしれないけれど、正月やお盆をめざして大公開するようなものとは思えず、時代は変わったなぁ、と感じる。さて、この「ブルーピリオド」も話題作なのかどうなのか、最近数多ある漫画の実写版映画ということで、どうなのだろう?と門外漢としての感触しかない。ゆえに登場人物たちが漫画の人物に寄せてビジュアルを造作していても原作漫画を知らないのでピンとこない。登場人物として私の世代では薬師丸ひろ子と石田ひかりくらいしかわからないのではないか。ドラマを見ている人であれば江口のりこもわかるかも。主人公・矢口八虎役の眞栄田郷敦を知らないわけではないけれど、実兄・新田真剣佑ほどの魅力は感じない。 見るべき作品がないのでつい見てしまったけれど、嬉しかったのは贔屓の俳優たちが出ていたことだ。カンヴァスを背負ってスカート履いてジャンプして登場したユカちゃんこと高橋文哉は印象的であった。男装の令嬢の逆パターン、女装の貴公子と言えそうな細くて華奢ですべすべした色白さ、まったく女性といっても差し支えのないような美しさは絶品であった。そして、今一人、板垣李光人(いたがきりひと)の登場である。とある深夜番組で見て以来、惹きつけられる魅力に注目している俳優である。彼が持っている不思議なオーラはいつか主演作品を見てみたいと思わせる。どこかで見かけた名前は知っていた桜田ひよりも似合ったキャスティングだったかもしれない。意外というか気づいて驚いたのは東京芸術大学の試験1日目の自画像の時に矢口八虎(眞栄田郷敦)の前にいて後ずさりした拍子に彼の鏡を粉々に割った受験生女子。小太り感のある彼女が出川ガール“夢っぺ”箭内夢菜であったこと。その他知らない若手俳優が大挙して出演していたけれど、私が知らないだけで、みんなそれ相応に活躍しているんだろうな、と思えた。矢口八虎(眞栄田郷敦)が描く青の渋谷に何の魅力も感じられなかったけれど、美術学校にて”縁”という課題で紐の画のあとい書き直した〇をモチーフにした作品はとても良かったし、受験初日の鏡で分断された自画像もぞくぞくする魅力があった。映画としては進路に迷う若さと揺らぎを敏感に感じるには私は歳を取りすぎたのかもしれない。2024年/日本/115分/G監督:萩原健太郎原作:山口つばさ脚本:吉田玲子出演:眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより、中島セナ、秋谷郁甫、兵頭功海、三浦誠己、やす、石田ひかり、江口のりこ、薬師丸ひろ子お薦め度「ブルーピリオド」★★★☆(70%)
2024.08.13
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フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン : ポスター画像主演スカーレット・ヨハンソンが製作に名を連ねている。自身が主役で相手役にチャニング・テイラムを選んだのだろう。そのチャニング・テイタムが好きな感じがスクリーンからあふれていた。アポロ11号で人類初の月面着陸を目指す国家プロジェクト。事実、人間が月面に到達したのだが、これはアポロを打ち上げたNASAの物語ではなく、一大国家プロジェクトを盛り上げ国民大注目のものにすべく偽者や嘘で作り上げた大広告、元は詐欺師の女の物語である。嘘も方便というが、いかにして関心を得るか、注目するかに獅子奮迅の活躍。加えて月面着陸の真偽といった、驚天動地な内容を繰り広げている。嘘のような本当ではない、やはり嘘の話なんだろうなぁ。ユニークな作品を面白く見た。2024年/アメリカ/132分/G監督:グレッグ・バーランティ原案:ビル・カースタイン、キーナン・フリン脚本:ローズ・ギルロイ出演:スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタム、ジム・ラッシュ、アンナ・ガルシア、ドナルド・エリース・ワトキンズ、ノア・ロビンズ、コリン・ウッデル、クリスチャン・ズーバー、ニック・ディレンバーグ、レイ・ロマノ、ウッディ・ハレルソン原題:Fly Me to the Moon(「私を月に連れてって」)お薦め度「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」★★★☆(70%)字幕翻訳:チオキ真理
2024.07.28
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(C)2024「九十歳。何がめでたい」製作委員会 (C)佐藤愛子/小学館「老後の資金がありません!」がとても面白かったので、話題性ダントツの「九十歳。何がめでたい」を見に行った。映画館座席を前日に予約したのだが、その時はまだスカスカ。夕方だったが、その日最後の上映なのでお年寄りはそれほど見に来ないんだ。と思ったが、映画館に入るとそこそこ7割くらいは埋まっていただろうか。足元のおぼつかない老人もいて、年齢層が異常に高いと思えた。私の座席は真ん中右手後方。最後列の3列前あたりだったともう。スコンと一列空いていたように思うが、通路側と真ん中は座っていて、その後もCMの間は両脇とも空いていた。場内が暗くなり予告の後本編という時になってもまだポップコーンや飲料を買った観客が遅れてゴソゴソと入ってきていた。なんと「暗くてまだ目が慣れないの。見えないのよ」と老女の声がしてビールとお菓子(?)のトレイを持って私の列に入ってきた。「ここ?」「そこ」というやり取りで老女が私の前を通り左側に座った。いきなり私の側にあるカップホルダーにビールのカップを入れようとして。「ぐらぐら。入んないわ…」で娘と思しき老女が右側に座った。「そうじゃないわよ。」なんたらかんたらと私を飛び越えて話している。”ままよ”と思ったが娘老女に「替わりましょうか?」と聞くと、「いいんですか?すみません!」となり座席を交換することにした。かくしてと老女母と老女娘は並んで座り、しばらく何やら話していた。本編が始まっても話がやまないなら、文句を言わないとと思ったが、話していたのは予告の時だけ。映画に集中できて良かった。ネット記事で見た老母と娘で見に来るとは本当だった。さて、映画そのものは期待したほど面白くはなく。唐沢寿明が柄にもなくパワハラ、セクハラの編集者を演じ奮闘しているのがしっくりこないかな、悪くはないけど。いいと思えたのはLiLiCoと真矢ミキかな。タクシー運転手の三谷幸喜もクセは強めだがいい芝居だったと思う。主演・草笛光子は実年齢通りなので演じるよりもその存在感というものが重要でまずまず。ただやはり90歳での主演とは恐れ入る。小ネタのアルバムの写真のコスプレの数々は撮るのが大変だったろうなぁ、と思う。とても見たかったので、見たことに満足した。2024年/日本/99分/G監督:前田哲原作:佐藤藍子脚本:大島里美出演:草笛光子、唐沢寿明、藤間爽子、片岡千之助、中島瑠菜、オダギリジョー、清水ミチコ、LiLiCo、宮野真守、石田ひかり、三谷幸喜、木村多江、真矢ミキお薦め度「九十歳。何がめでたい」★★★★(80%)
2024.07.16
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(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会タイトルロールになる大将軍の大沢たかおが良かった。顔が膨れ上がるほどの怒りを込めた顔、爆発前の火山のように皮膚の下がメラメラと赤く燃え滾っている感じがした。力強い肉体もいいい。ただ、とても気になったのが腋毛がない事。剃ったのかなぁ、脱毛なのかなぁといろいろと想像してしまった。王騎(大沢たかお)と摎(きょう)(新木優子)の”百の敵を倒せば結婚する”という幼き時の契りを覚えていて、さりげなく口にするところがいい。大将軍の大沢たかおはあっぱれというしかない芝居を見せつけてくれた。素晴らしい!!大沢たかおの将軍ぷりもいいが、今回、獅子奮迅の活躍をみせた騰(とう)を演じた要潤も良かった。敵役の吉川晃司も良かった。昭王の草刈正雄は重みある役を淡々と(?)演じて素晴らしく、顔立ちが似ているのでその昭王の娘となる摎を新木優子が演じていることの組み合わせがとてもいいと思えた。わずかに映るだけでセリフもない常連有名俳優たちがいたけれど、スポットを当てるキャストを絞ってフォーカスしている点も良かった。主演の山明賢人は今回アクションしかないくらい斬ったはったをやっていて、ともに戦う清野菜名の奮闘ぶりも健在であった。王騎(大沢たかお)とほう煖(吉川晃司)の果し合いでは「最後の決闘裁判」の決闘シーンを思い起こした。このシーン、ワイヤーアクションが過度に使われているように思えた。もう少し自然というかリアルが良かったかな。実戦には参加しない小栗旬も佐久間由衣もかっこよく、誰だかわからない山田裕貴のビジュアルも良かった。もう圧巻で激ヤバな戦闘シーンに圧倒されまくり、シビれた余韻で映画館を出た。無茶苦茶、最高なキングダムである。2024年/日本/145分/G監督:佐藤信介原作:原泰久脚本:黒岩勉、原泰久出演:山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、岡山天音、三浦貴大、山田裕貴、高嶋政宏、要潤、新木優子、草刈正雄、大沢たかお、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、山本耕史、長澤まさみ、玉木宏、佐藤浩市、小栗旬、佐久間由衣、萩原利久、濱津隆之、真壁刀義、田中美央、栄信、村川絵梨お薦め度「キングダム 大将軍の帰還」★★★★☆(90%)
2024.07.14
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(C)2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.実話ネタのカーレースの映画はこれまでずいぶんと見てきた。そのほとんどはレースに勝つことを主軸において描いている気がする。同様にこの作品もレースで勝つことが描かれるのであるが主軸はフェラーリその人の家族に置かれている気がする。奥さんと愛人とその息子に、である。喧騒の中、生死をかけたレースが行われる。ドライバーとメカニックとの通信手段もなく、テレビカメラが追いかけることもなかった古い時代。山野を駆け巡るスピードレースは恐怖だったのではないだろうか。これでは万一、事故を起こしてもすぐには誰も助けてはくれないだろう。妻と愛人の間を行き来するフェラーリの身の置き所のなさが不甲斐ない。妻の尻に敷かれ、優柔不断に見えるフェラーリである。窮地に陥ったフェラーリを助ける妻の言動が素敵である。妻を演じたペネロペ・クルスの時による老け顔、若い時、元気な時と巧みに変えていたメイクが素晴らしかった。衝撃的だったのはクライマックスと思える自動車事故のシーン。無残で悲惨なシーンであった。2023年/アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア130分/PG12監督:マイケル・マン原作:ブロック・イェーツ脚本:トロイ・ケネディ・マーティン出演:アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー、サラ・ガドン、ガブリエル・レオーネ、ジャック・オコンネル、パトリック・デンプシー原題:Ferrari(「フェラーリ」)お薦め度「フェラーリ」★★★☆(70%)字幕翻訳:松崎広幸
2024.07.09
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(C)2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.何がマッドマックスなんだろう。前作「マッドマックス 怒りのデスロード」でもわけがわからないと作品に親しむことが出来なかったけれど、今作フュリオサでもわけがわからない。冒頭のシークエンスではその後の物語を進めるために都合よく展開されているのだが、突っ込みどころ満載であった。とはいえ、フュリオサの数奇な人生の発端となるシークエンスゆえ、突っ込みどころを飲み込んで見る。フュリオサを演じるアニヤ・テイラー=ジョイがいい。彗星のごとくスターダムに駆け上がったかと思えば押しも押されもせぬ人気と実力。ハンパない役者だ。その大粒な瞳が見る者の心を掴み離さない。意志の強い目力ともなる。執念深い姑息なオートバイ軍団を束ねる悪役をどうしてクリス・ヘムズワースが演じたのかわからないが、その存在感は唯一無二であった。これまたスゴイ。ハンパないスケール感とスペクタルは映画館で見るに値する大作である。2024年/アメリカ/148分/PG12監督:ジョージ・ミラー脚本:ジョージ・ミラー出演:アニヤ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、ジャックトム・バーク、アリーラ・ブラウン、チャーリー・フレイザー、ラッキー・ヒューム、ジョン・ハワード、リー・ペリー、ネイサン・ジョーンズ、ジョシュ・ヘルマン、アンガス・サンプソン、エルザ・パタキー原題:Furiosa: A Mad Max Saga(「フュリオサ:マッドマックスサーガ」)お薦め度「マッドマックス フュリオサ」★★★★(80%)字幕翻訳:アンゼたかし
2024.06.28
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(C)2024「風の奏の君へ」製作委員会原作があさのあつこだと思って見に行った。の短編がどれほど映像化して見られるかを大いに期待して。見終って気づいた、原作でなく原案となっていた。登場人物や土地などの設定だけ借りて小説にはない後日談の映画であった。小説と同じでなくても前半は小説をなぞり、後半は映画化におけるオリジナルになるものと思っていただけに、冒頭を除き後日談だけで描いたほぼオリジナルな作品で、その出来栄えに首を傾げざるを得なかっただけにとても残念な思いをした。登場人物の造形に深みが感じられず、それぞれの気持ちが理解できない。原作小説を読んでいない観客は人間関係を瞬時には理解できなかったと思えるだけにどれほどわかったのだろうか。映像においても映像化における手練手管が使われていず、夜のシーンなどホタルに見えないホタルの光。あまりに暗くて人物の表情が映し出されない画をどう受け止めたら良いのか。薄暗がりが不自然だとしても人物の表情を見せるのが手法だと思えるのだが。ゆえに主役の松下奈緒の心情が汲み取れず作品に没入できなかった。さて、そんな中、注目すべきは祖母役を演じた池上季実子であった。絶妙なおばあちゃん役に最初誰だか気づかず、タレ目とアゴのほくろ、そして声音で池上季実子だあと気づいた。おばあらしい絶妙なせりふ回しには恐れ入った。三重丸くらいの見事さ、絶品であった。2024年/日本/98分/G監督:大谷健太郎原案:あさのあつこ脚本:大谷健太郎出演:松下奈緒、杉野遥亮、山村隆太、西山潤、泉川実穂、たける、池上季実子お薦め度「風の奏の君へ」★★★(60%)
2024.06.28
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(C)2004 The Scion Films Phantom Production Partnership2005年2月26日「オペラ座の怪人」を見に行った。大感激、号泣した思い出がある。19年ぶりに見る4Kデジタルリマスターで感動できるか。そんなことを思いながら見に行った。観客は客席の半分強くらい。女子高生(制服姿)が一人で見に来た。高校生男女4人組が入ってきた、と思ったら二手に分かれてのダブルデートの模様。今の若い人がこの作品を見に来ることを嬉しく思う。TOHOシネマズの大音響大画面で見る。筋書きはわかっていて、内容を知っているはずなのに、過去に見た記憶はすっかり抜け落ちている。女性ソリストをミニー・ドライバーが出演していて驚いた。「ビューティフル」の主演で輝いていたことを覚えている、当時、活躍した女優である。「アクアマン 失われた王国」のパトリック・ウィルソンも出演していたのだと知る。怪人に思いを寄せられるクリスティーヌを演じるエミー・ロッサムに惹かれて、このあとスターになってほしいと思ったものだった。出演作は続くものの、この作品ほど注目を集めたものはないように思う。主役怪人ファントムを演じたのはジェラルド・バトラー。この時はバトラーの存在を知らず、「タイムライン」「P.S.アイラブユー」と見るけれど、彼の存在を認識させたのは「エンド・オブ・ホワイトハウス」であろう。彼の出演作としては「ジオストーム」をイチオシしたい。一度は見た作品なのに記憶から抜け推してしまっていて、ストーリーを知っている作品を見るような感じで見た。昔の感動の記憶から、今回また感動できるかどうか不安であった。よく見ていると突っ込みどころもある気がした。しかし、しかし、クライマックスで思いもよらぬセリフで、グワッと感動してしまった。涙してしまった。素晴らしく素敵な映画であった。音楽も歌もドラマも良かった。感動をありがとう。2004年/アメリカ/141分/G監督:ジョエル・シュマッカー原作:ガストン・ルルー作曲:アンドリュー・ロイド・ウェーバー脚本:アンドリュー・ロイド・ウェーバー、ジョエル・シュマッカー出演:ジェラルド・バトラー。エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン、ミニー・ドライバー、キアラン・ハインズ、サイモン・キャロウ、ジェニファー・エリソン原題:The Phantom of the Opera(「オペラ座の怪人」)お薦め度「オペラ座の怪人」★★★★☆(90%)字幕翻訳:戸田奈津子
2024.06.15
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(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.これは音の映画。暗く映るスクリーンを前に音が弾け聞こえる。聞こえる……。聞こえる……。風変わりな映画だ。これは劇映画と呼べるのだろうか。原作があり、それを表現したものであるようだが。不思議な映画だ。批判も意見もなく、ただそこにあるがごとく映し出している。それだけの映画。何たる作品。しかし、見ないことには評することはできない。やはり、音の映画だ。ああ、妻役は「落下の解剖学」のサンドラ・ヒュラーなのか。2023年/アメリカ・イギリス・ポーランド/105分/G監督:ジョナサン・グレイザー原作:マーティン・エイミス脚本:ジョナサン・グレイザー出演:クリスティアン・フリーデル、サンドラ・ヒュラー原題:The Zone of Interest(「関心ある範囲」)お薦め度「関心領域」★★★☆(70%)字幕翻訳:松浦美奈
2024.05.25
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恋するプリテンダー : ポスター画像プリテンダーって何?と思ってググると、「詐欺師」とあった。映画を見ると原題の”ANYONE BUT YOU”の意味の”あなた以外の誰か”の方が言いえて妙の気がする。ちょっとひねって邦題を考えたのだろうけれど、ちょっと違うというか本題からは、ずれていると思われる。さて、見たところ前半はB級コメディのようでどうなることかと心配した。しかし、”タイタニック”の後から、グッと良くなり、ラブ・ストーリーらしくてグッときてしまった。彼女の行方が気になるところだけれど、”人を見に行く”という言葉で彼同様、行き先がわかった。もう、キュンキュンものでした。感動が押し寄せてきて、泣きそう。いや、泣いたか……。終わってみればとても素敵な映画でした。2023年/アメリカ/103分/G監督:ウィル・グラック原案:イラナ。ウォルバート脚本:イラナ・ウォルバート、ウィル・グラック出演:シドニー・スウィーニー、グレン・パウエル、アレクサンドラ・シップ、ガタ、ハドリー・ロビンソン、ミシェル・ハード、ダーモット・マローニー、ダレン・バーネット、ブライアン・ブラウン、レイチェル・グリフィス、チャーリー・フレイザー、ジョー・デビッドソン原題:Anyone But You(「あなた以外の誰か」)お薦め度「恋するプリテンダー」★★★★☆(90%)字幕翻訳:永井歌子
2024.05.21
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(C)2024「碁盤斬り」製作委員会クライマックス、「碁盤斬り」の意味が分かった時に感動する。囲碁のことがわからないので盤上をみてもさっぱりわからないが、見ていて主人公・柳田格之進(草彅剛)が強いということだけはわかった。貧乏長屋に暮らしていながらもこざっぱりとしている浪人、そしてその娘(清原果耶)。置屋の女将を演じた小泉今日子の年齢を感じさせる風貌が役柄と相まってとてもよかった。囲碁大会の胴元親分の市村正親には貫禄があった。萬屋源兵衛の國村隼、跡取りの手代・弥吉の中川大志も良かったなぁ。貧乏長屋に住みながらも凛として小ぎれいな武士・柳田格之進(草彅剛)は清廉な正義漢であり、武士としての矜持を貫く剣士である。その娘・お絹(清原果耶)も清廉な娘であった。真っ当な生き方をしているにもかかわらず、ひょんなことから50両の窃盗を疑われてしまう。武士としてのメンツを気にするあまり、最悪な事態に。プライドのために命を懸け、娘の身まで……。仇討ちしなければならない状況にも追い込まれ、武士としての矜持にとらわれる不条理に見ているこちらはやむにやまれぬ気持ちになってくる。どうにここうにもならなくなってしまう時に情報が得られてギリギリの大晦日に仇討ちの相手と対峙する。クライマックスの大立ち回りは見物であり、その決着も大仰であった。ただ、本当のクライマックスはこのあと、「碁盤斬り」にある。”碁盤斬り”のシーンは見物である。感動ものである。素晴らしくすごい作品であった。ただこのあと、清廉潔白であった柳田格之進の言動にやや納得できないところが出て来るが、それも経験の上でのことなのかもしれない。見ごたえ見どころのある時代劇「碁盤斬り」をお勧めする。必見である。2024年/日本/129分/G監督:白石和彌脚本:加藤正人出演:草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、立川談慶、中村優子、斎藤工、小泉今日子、國村隼お薦め度「碁盤斬り」★★★★☆(90%)
2024.05.19
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(C)︎2024「missing」Film Partnersかわいい盛りの幼子。女児。愛くるしい、かわいい。かわいくて、かわいくて、かわいい。英語文字の題名”missing”。ビラを配る夫婦に密着するテレビ取材。女児失踪、そして、必死に情報提供を呼び掛ける親夫婦。娘の行方は知れず。娘を思う気持ちがあふれ出る母親、石原さとみ。冷静に状況をとらえて妻に寄り添う夫、青木崇高。失踪した姪と最後に一緒にいた母親の弟、森優作。そして、母親の母、美保純。新人テレビ記者、小野花梨。先輩テレビ記者、中村倫也。適材適所、みごとなキャスティングである。石原さとみ、森優作、美保純の親子で似ているのがいい。家族に思える。中村倫也は感情を激しく表に出すことなどほぼない役どころなので芝居のしどころは難しかったと思うが、その役柄に合わせてよく演じていたと思う。石原さとみの時に激昂する、躁鬱の激しい母親役は絶品なのかもしれない。妻を思う青木崇高も良かった。特筆すべきは森優作であろう。彼の存在が物語に深みと味わいを与えていたと思う。頼りなく幼少期のトラウマを抱えている青年。その居住まいだけで作品に風合いを与えていた。気になったのはカメラ。揺らぐカメラ。固定カメラで撮っていないのか、対象となる人物が座って動かなくてもカメラフレームがぼわぼわっと上下左右に揺らぐ。それが終始であった。舟にでも乗っているような揺れがあった。それは監督の意図として、娘が行方不明になった不安を、気持ちの落ち着きのなさを表現していたのだろうか。みごとな作品であると思うが、感動というものがない。ゆえに、その感動を抜きにして作り上げた作品なのかもしれない。2024年/日本/119分/G監督:吉田恵輔脚本:吉田恵輔出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、小野花梨、小松和重、細川岳、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純、中村倫也お薦め度「missing」★★★☆(70%)
2024.05.19
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(C)2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.これは空前絶後のゴジラ映画、キング・コング映画である。ここまでくれば、ここまですれば、もう内容なんて関係ない。<ネタバレ(笑)>地表の下、地底の世界があんなにも広大で明るいなんて、ありえない。そのありえない空間で地底人が生活していてモスラまでいる。ここに登場のモスラは東宝映画「モスラ」のように蛾を想像させる昆虫のようなものではなく、丸々とした感じがなくてほっそりとスタイリッシュでまるでモデルさんのようなモスラであった。思えばゴジラも頭部が小さく小顔になったもんだ。地上はゴジラの無法地帯となしローマのコロッセオを寝床とする始末。コングとの闘いも熾烈を極める。それゆえにもうストーリーなんて関係ない。敵対するわけのわからないコングのようなものがうようよとめっちゃたくさんいることにあ然とする(笑)。とにかく無茶苦茶強い怪獣が凍らせる波動を吐き出す。なんという展開。時空チャンネルで地底から地表に出てきてゴジラ&コングと悪ボス&最強怪獣が戦う。なんというクライマックス。大スクリーンで怪獣タッグマッチを見た。そんな作品だった。2024年/アメリカ/117分/G監督:アダム・ウィンガード原案:テリー・ロッシオ、アダム・ウィンガード、サイモン・バレット脚本:テリー・ロッシオ、サイモン・バレット、ジェレミー・スレイター出演:レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーブンス、ケイリー・ホトル、アレックス・ファーンズ、レイチェル・ハウス、ファラ・チェン原題:Godzilla x Kong: The New Empire(「ゴジラxコング:新帝国」)お薦め度「ゴジラ×コング 新たなる帝国」★★★☆(70%)字幕翻訳:松崎広幸
2024.05.01
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(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会”五稜星”で”みちしるべ”って、あまりにも当て字ならぬ当て読み。五稜星(ごりょうせい)とは北極星のことを指すのだそうだ。昨年見た「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」がとても良い作品だったので、今回も期待しすぎないようにと思いながら期待して見に行った。結果は、ファミリーむけのコメディ作品として仕上がっていて、痛烈さは抑えた内容になっている。その意味では落胆したが、映画版なのでアクション多めで見るべきところはいろいろあった。警部の娘が蘭ねえちゃんに似ているので戸惑った。怪盗キッドが変装している人物がそこかしこにいて、ちょっと把握しづらかった。しかし、エンディングの歌はとても良かった。aikoの歌声もいい!楽曲「相思相愛」いいね。2024年/日本/111分/G監督:永岡智佳原作:青山剛昌脚本:大倉崇裕声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、山口勝平、堀川りょう、宮村優子、大泉洋、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、松岡禎丞、菅生隆之、中博史、高野麻里、銀河万丈お薦め度「名探偵コナン 名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」★★★☆(70%)
2024.04.14
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(C)The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023プリシラの半生が描かれていると思ったけれど、映画ではプレスリーと出会って離婚まで。つまりエリヴィスの伴侶としての彼女だけを描いている。離婚後の自立や子育てなどはなく、この作品を見てもエルヴィスを愛し、彼に翻弄される女子を映し出しただけ。おもしろみを感じられず、興味も持てなかった。この作品で描かれているエルヴィスの言動には困惑するしかない、と思えた。監督がソフィア・コッポラと知り、彼女の作品は私に合わないな、と改めて思った。2023年/アメリカ・イタリア/113分/PG12監督:ソフィア・コッポラ原作:プリシラ・プレスリー、サンドラ・ハーモン脚本:ソフィア・コッポラ出演:ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ、ダグマーラ・ドミンスク、アリ・コーエン、ティム・ポスト、オリビア・バレット原題:Priscilla(「プリシラ」)お薦め度「プリシラ」★★★(60%)字幕翻訳:アンゼたかし
2024.04.13
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(C)2023. AI Film Entertainment LLC. All Rights Reserved.予告編は見ていたのだけれど、アン・ハサウェイとピーター・ディンクレイジの映画だと思っていた。お気に入り女優マリサ・トメイも出ているのにだ。ポスターを見てわかるように、主役はこの3人のはず。さて、邦題「ブルックリンでオペラを」というのがよろしくない題名だと感じた。これだと「ティファニーで朝食を」みたいに、”ブルックリンでオペラを見る(聴く)”と思ってしまう。もちろん、そのシーンはあるのだが、重要なのは原題”She Came to Me”とあるように、『彼女がやって来た~!!』ということ。劇中オペラの演目名でもある”She Came to Me”、『女神降臨』とでもいうべく、彼女の出現により新作オペラを作曲できなくなっていたスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)に新作が書けてしまう。これはものすごい出来事だ。この物語は一方でステップファーザー物語というべく、パトリシア(アン・ハサウェイ)の再婚相手スティーブン(ピーター・ディンクレイジ)が彼女の息子の継父になり、息子のガールフレンドにも継父がいる。そして、このガールフレンドの継父が一癖あるオヤジ。さて、私お気に入りの女優マリサ・トメイ演じるカトリーナはスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)の創作の源となるのだが、彼女はストーカー気質の恋愛依存病。精神科医のパトリシア(アン・ハサウェイ)と出会う。物語はしっちゃかめっちゃかで見ていて楽しいとも面白いとも思えなかった事柄が終盤、一気に集約されクライマックスでは恋愛物語としてちょっと感動してしまった。万人受けはしないだろうけれど、ちょっとしびれた素敵な映画でした。2023年/アメリカ/102分/G監督:レベッカ・ミラー脚本:レベッカ・ミラー出演:アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイ、ヨアンナ・クーリグ、ブライアン・ダーシー・ジェームズ、エバン・エリソン、ハーロウ・ジェーン原題:She Came to Me(「彼女が私のところに来た」)お薦め度「ブルックリンでオペラを」★★★★(80%)字幕翻訳:高内朝子
2024.04.10
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Copyright 2022 (C) Twenty Years Rights LLC. All Rights Reservedとても期待して見に行った。第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞にノミネートされたからだ。ラブ・ストーリーでもある。映画.comを読むと監督セリーヌ・ソンが自身の体験をもとに脚本を書いたそうだ。そして映画化。人生経験が豊富というか、長い年月を生きてきて、青春時代に似たようなことを経験していると、見る者の経験以上の出来事、思いを表出していなければ、波風の立たない凪のように思え、面白みが足りない気がした。12歳の時に韓国から渡米移住した少女と韓国に取り残された男の子の24年後に再会の話である。間に12年後の音信があるけれど、その部分が余計にも感じられ、長く長く密かに思いがあって、何かのきっかけによる24年後の再会でなければドラマにならないと思えた。この作品はドラマにならなように描いていて、それを良いと感じるか物足りないと感じるかは観客の心にゆだねるしかない。私には響かなかった。というより、私の心を響かせるには何もかも足りなかった。今、知ったけれど、原題:Past Livesは「前世」という意味だった。「過ぎ去った日々」ととっていたのでイメージが違う。「パストライブス 前世」という邦題であったなら、より多く感動したのではないだろうか。2023年/アメリカ・韓国/106分/G監督:セリーヌ・ソン脚本:セリーヌ・ソン出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ原題:Past Lives(「前世」)お薦め度「パスト ライブス 再会」★★★☆(70%)字幕翻訳:松浦美奈
2024.04.07
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(C)LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERREようやく公開された「オッペンハイマー」よりもこちらの方が作品賞にあたいするのではないかと見に行ったが、真相が不明でスッキリしないのが尾を引き「オッペンハイマー」に軍配を上げるかな。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞である。フランス映画ということに驚き、英語が離されていることに驚く。ドイツ人妻とフランス人夫に視覚障害の息子の3人が山荘で暮らす。夫(父)が3階の屋根裏から転落したのか血を流し絶命していた。自殺か他殺か、事故か事件か。殺人の容疑者として妻(母)が逮捕される。そして、裁判の日々、真相は……。言葉が多用されるので眠くなるが、なんとかこらえて鑑賞。夫婦の間のことがいろいろと根掘り葉掘り明らかにされていくにつれて夫婦仲は見かけほどよくなかったということがわかる。そして……。真相は……。2023年/フランス/152分/G監督:ジュスティーヌ・トリエ脚本:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ出演:サンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ、サミュエル・セイス、ジェニー・ベス、サーディア・ベンタイブ、カミーユ・ラザフォード、アン・ロトジェ、ソフィ・フィリエール原題:Anatomie d'une chute(「落下の解剖学」)お薦め度「落下の解剖学」★★★☆(75%)字幕翻訳:松崎広幸
2024.03.30
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(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.アカデミー作品賞受賞作「オッペンハイマー」を見に行った。前半は眠気がありセリフ過多でついていくのが苦しかった。後半、眠気が去るとしっかり見ることが出来た。前半ちょっと登場のロバート・ダウニー・Jr.が彼とわからず、ジェレミー・アイアンズに見えて、この老け方でアカデミー助演男優賞を獲得したのかと思ったら、情けでの受賞かと思えたが後半の名演技、助演男優賞もむべなるかなと思えた。この映画作品を見て知りえたことが多かった。日本向けの原爆だと思っていたが、もとはドイツに落とすためのものであったということ。日本へは流用。オッペンハイマーは原爆の開発には意欲的だったが水爆には否定的だった。オッペンハイマーはアメリカに協力的だったにもかかわらずスパイ疑惑をかけられたこと。見終えて思うが、さすがのクリストファー・ノーラン監督である。冒頭から前半まで光の点や曲線、火花を散らす映像を何度か見せて、分子や原子、それらを扱い爆弾を作るということをイメージさせた。著名な俳優を数多く使い、こんなチョイ役でもったいないと思う人もいて、その最たる人物がラミ・マレックなんだけれど、後半の公聴会の場を見ると芝居のしどころのあるシーンがあり、もったいないチョイ役じゃなかったんだと安心した。逆に意外とチョイ役だったのがケネス・ブラナーか。原爆開発者オッペンハイマーを描いて、微に入り細に入り、その人となり、私生活の隅々まで描いて上出来だと思える。妻のキャサリン(エミリー・ブラント)との関係を見ていると大人の関係であり、すごいと感じた。フローレンス・ピューの脱ぎっぷりに脱帽。対共産主義、対ソ連のアメリカを知ることが出来る。必見とは言えないが、見て損のない作品といえよう。2023年/アメリカ/180分/R15+監督:クリストファー・ノーラン原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン脚本:クリストファー・ノーラン出演:キリアン・マーフィ、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー、ディラン・アーノルド、デビッド・クラムホルツ、マシュー・モディーン、ジェファーソン・ホール、デべニー・サフディ、デビッド・ダストマルチャン、トム・コンティ、グスタフ・スカルスガルド、マイケル・アンガラノ、デイン・デハーン、オールデン・エアエンライク原題:Oppenheimer(「オッペンハイマー」)お薦め度「オッペンハイマー」★★★★(80%)字幕翻訳:石田泰子
2024.03.30
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(C)2023 One Tree Productionsダンスシーンは素晴らしい。それだけで一見の価値はある。しかし、物語は良くない。設定も展開も感心できない。そもそも舞台に立つ人間が舞台袖でスマホをフェイスタイム(対面通話)するなんて!と思って見始めたものだから、この作品を作った人たちの意識の低さに落胆した。そうはいっても、やはりダンスは素晴らしい!なぜ、ここにダンスシーンが必要か?と思えるところもあるけれど、それは物語として必然とされるもので無理はあるけれど容認すべきものなのかも。物語は理(ことわり)が成っていればよかった。(映画.comより)”世界有数のバレエコンクールで金賞を受賞した経験を持つ主演のジュリエット・ドハーティを始め、キャストには実績のあるダンサーたちを起用し、バレエシーンもすべて本人が演じた。オーストラリア・バレエ・カンパニーのプリンシパルであったダニエル・ガウディエッロが振付を担当。”主演のジュリエット・ドハーティが出演している「ハート・ビート ネクストステージ」お薦め度★★★★☆(90%)はとても傑作です。2023年/オーストラリア/111分/G監督:ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル脚本:ザカリー・レイナー、ジョン・バナス、ピーター・マクロード振付:ダニエル・ガウディエッロ出演:ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス原題:The Red Shoes: Next Step(「赤い靴:次の一歩」)お薦め度「RED SHOES レッド・シューズ」★★★☆(70%)字幕翻訳:大西公子
2024.03.20
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(C)2023. FIFTH SEASON, LLC. All Rights Reserved.彼女の友人の結婚式でブーケトスを阻止したのは彼氏。同棲はしてるけれど、結婚をせっつかれるのは……。不倫のふたりは破局。映画圏で出会った孤独の老女と老人は……。三者三様の男女のが一堂に会した時、ドラマは動く。とても込み入った関係で、話の内容も当初字幕を追うのが精いっぱい。なかなかややこしい設定であった。結婚生活における幸せなんて、突き詰めれば訳が分からなくなり、何が答えでなにが正しいのか。腫れされどうなるか。終わってみれば、なんという絡み合った家族だと思ってみても。ライトコメディが見たかったので意気をそがれた感じがした。ややシリアスなブラック・コメディと思って見れば楽しめるかも。4人のシニアのなかで銀髪のダイアン・キートン、リチャード・ギア、ウィリアム・H・メイシーと違って一人栗色の髪を輝かせるスーザン・サランドンは若々しかった。豊な胸を強調するランジェリー姿も抜群。期待したエマ・ロバーツの物語でありながら主役でなかったのは残念。恋物語は若い人のほうがいいよね(笑)2023年/アメリカ/95分/G監督:マイケル・ジェイコブス脚本:マイケル・ジェイコブス出演:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー原題:Maybe I Do(「たぶん誓います」)お薦め度「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」★★★(60%)字幕翻訳:
2024.03.17
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(C)2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema”2023年・第48回セザール賞で作品賞・監督賞・助演男優賞・有望若手男優賞・脚色賞・音響賞を受賞。”とある。これは見なければならない。そう思って映画館へ足を運んだ。2023年NO.1フランス映画。何がいいのか、しかと見届けよう。見届けよう……。未解決事件となった、猟奇的殺人。生きたまま焼かれた若い女性。深夜3時の犯行。犯人は男。とても素敵に思える女子大生なのに、男性遍歴が多く、セフレだったり、浮気の相手だったり、かなり奔放だったことがわかる。犯人は誰なのか。犯人と思しき男を見つけても決定的な証拠はない。殺された彼女のまわりには身勝手な暴力的な男ばかり。深夜に殺された女子大生。なぜ彼女はひとりで帰宅しようとしたのだあろうか……。クライマックスは殺された女子大生のまわりの人間が誰一人と知らない男が捜査線上に浮かびあがった時。彼は、犯人か!?一生懸命見たけれど、この作品の何が評価されたのかわからない。2022年/フランス/121分/G監督:ドミニク・モル原案:ポーリーヌ・ゲナ脚本:ジル・マルシャン、ドミニク・モル出演:バスティアン・ブイヨン、ブーリ・ランネール、テオ・チョルビ、ヨハン・ディオネ、ティビー・エベラー、ジュリアン・フリゾン、ポール・ジャンソン、ムーナ・スアレム、ポーリーヌ・セリエ、ルーラ・コットン=フラピエ、ピエール・ロタン、アヌーク・グランベール原題:La nuit du 12(「12日の夜」)お薦め度「12日の殺人」★★★☆(70%)字幕翻訳:宮坂愛
2024.03.16
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(C) & TM 2024 MARVELダコタ・ジョンソンがマーベル作品に出演。見に行くしかないだろう。ってことで見に行った。自らが戦うヒーローであることがアクション・スペクタクル作品に必要不可欠であるとしたら、この作品は確かに戦うヒロインでありながら好戦的というよりは守勢、予知能力を持って守る、危機回避するという戦い方になるので、イマイチ盛り上がりに欠ける気がした。アマゾン奥地での珍しい蜘蛛の探求、捜索。その蜘蛛の発見により命を落とすことになる母。蜘蛛が刺すことにより母の胎内で予知能力を授かった娘が開眼するのは救急救命士として事故現場で車とともに川に落ちてからだ。後に三銃士となる十代の女子、三人が悪者の手にかけられて殺されることを予知した時、彼女たちを救い出す。そして、予知能力を授かった経緯と謎を解くためにアマゾンへ…。クライマックスでの死闘も含め見どころはたくさんある。しかし、ところどころで、疑問に思える事象や些末なことが気になり、没入できない。もう少し丁寧に作っていれば見ている者(私)も気にならなかったのかもしれない。<ネタバレ・気になった点>最も気になったのは産気づいた妊婦が破水したため救急車を待てずに車で送り届けようとしたとき、乗車する前に女子が顔を隠せと言っているのに、無防備に顔をさらけ出し、防犯カメラで顔認証で見つかってしまったこと。その途中、蜘蛛男に襲われて、危機を脱し二手に分かれるときに、妊婦たちを置き去りにしたこと。(先に逃がさないと、人質に取られてしまう)イザベル・メルセドが「インスタント・ファミリー 〜本当の家族見つけました〜」の娘と気づいた!彼女の出演は嬉しかった。ダコタ・ジョンソンの大作出演は嬉しい。話題作「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で名をあげ、続編2作に出演。「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」はとてもよい作品で母がメラニー・グリフィスだと知った。そして、祖母はティッピー・ヘドレン。親子三代、映画主演女優というの素晴らしい!!2024年/アメリカ/116分/G監督:S・J・クラークソン原案:ケレム・サンガ脚本:クレア・パーカー、S・J・クラークソン出演:ダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、セレステ・オコナー、イザベラ・メルセド、タハール・ラヒム、マイク・エップス、エマ・ロバーツ、アダム・スコット原題:Madam Web(「ウェブ夫人」)お薦め度「マダム・ウェブ」★★★☆(70%)字幕翻訳:
2024.02.25
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(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会「ゴチになります25(2024年)」にゲスト出演の松村北斗を見て、ちょうど時間に合うのがこの映画だったので見てみた。作品の内容も知らず、雰囲気で良さそうな感じだった。映画を見始めてから原作を読んでいたことに気づいた。読書レビュー 「夜明けのすべて」 瀬尾まいこ:著 水鈴社見るにつれて原作の内容を思い出し、どのように映像化してくれるかワクワクしてきた。しかし、原作を映画化してはいなかった。大筋ではこの通りなのだろうけれど、原作で読んだ気がしないプラネタリウムの件に重きを置き、本来の話の軸である病気については軽く触れられているだけだった。パニック障害についてもPMS(月経前症候群)についてもさしたる説明はなく、観客はこれらの病気について熟知している前提のようにも思えた。映画の中でも登場するが自転車の意味、初詣のお守りの意味、それらがまったく語られず、それぞれのものに込められた思いに原作を読んでいて気づかされ心動かされたのに…。原作のエッセンスはかすかにしか残らず、監督は何を描きたかったのだろうか。三宅唱監督は「ケイコ 目を澄ませて」で名をあげたと思うが、「ケイコ 目を澄ませて」は私には響かなかった。ひょっとすると感性が違うのかもしれない。原作には登場しない母親の登場も余分に思えたなぁ。亡くなった社長の弟のこともしっかり言及しないととも思えたし。私としては満足できない作品となった。2024年/日本/119分/G監督:三宅唱原作:瀬尾まいこ脚本:和田清人、三宅唱出演:松村北斗、上白石萌音、渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、久保田磨希、足立智充、宮川一朗太、内田慈、丘みつ子、山野海、斉藤陽一郎、りょう、光石研、お薦め度「夜明けのすべて」★★★(60%)
2024.02.16
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(C)2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.40年も前の作品をミュージカルとしてリメイク。ブロードウェイでロングランとなったミュージカルも大いに役立ったようだ。40年前に見た文芸作品の内容はどうだったかなんて、もう覚えてやしない。ただ私の鑑賞記録で90点とつけているのだから、かなり感動したのだろう。本作も90点だ。クライマックスでいたく感動した。アグリー(不細工)とののしられ、男に服従するしかなかった娘は父の子を二人も妊娠させられて、産んだら取り上げられて、あげくに横暴な男の後妻として飯炊き女として嫁がされる。仲の良かった妹との仲も切り裂かれ、身寄りも頼る者とてなくひたすら服従の毎日。不幸としかいいようがない。そんな時を長く過ごし、前妻の子供が独り立ちしたころから状況が変わってくる。きっかけは、夫がぞっこんの村から出た大スター・シンガーのシュグの登場からだった……。悔い改めれば過去の悪行も許される、みたいな宗教的なところがあるけれど、時とともに自立していく女性をことは素敵なことと思える。クライマックスには泣いた。2023年/アメリカ/141分/G監督:ブリッツ・バザウーレ原作:アリス・ウォーカー原作ミュージカル:マーシャ・ノーマン脚本:マーカス・ガードリー出演:ファンテイジア・バリーノ、タラジ・P・ヘンソン、ダニエル・ブルックス、コールマン・ドミンゴ、コーリー・ホーキンズ、H.E.R.、ハリー・ベイリー、アーンジャニュー・エリス=テイラー、フィリシア・パール・エムパーシ、シアラ、デビッド・アラン・グリア、デオン・コール、ジョン・バティステ、ルイス・ゴセット・Jr.、タメラ・マン、エリザベス・マーベル、スティーブン・ヒル原題:The Color Purple(「紫色」)お薦め度「カラーパープル」★★★★☆(90%)字幕翻訳:石田泰子
2024.02.14
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(C)2024「サイレントラブ」製作委員会映画『サイレントラブ』公式サイト (gaga.ne.jp)中盤まで見ていたが、アオイとミカの関係が変わってしまう転じるところで、その後のことはあまり見たくないなぁと思った。最後まで見れば、落ちはついた感じではあるが、もっとストレートに描いた作品の方が好きだ。物語としては枷(かせ)となる部分が大きくあるようでいて、あまりに少ない。というか枷を感じさせない。それゆえに思いのたけの深さが映像以上に伝わってこないと思える。悪い作品ではないが良い作品とも思えない。あまりに田舎な風景。あまりに野放図なミカ(浜辺美波)あまりに無双な沢田蒼(山田涼介)ピアノ演奏が美しかった、素敵でした。劇中ピアノ演奏者がクレジットされて入れ、その方をあとで調べようと思っていましたが、映画館を出たら忘れてしまった。2024年/日本/116分/G監督:内田英治原案:内田英治脚本:内田英治、まなべゆきこ出演:山田涼介、浜辺美波、野村周平、吉村界人、SWAY、中島歩、円井わん、辰巳琢郎、古田新太お薦め度「サイレントラブ」★★★☆(70%)
2024.02.11
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(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会すごいな、山崎賢人。「キングダム」シリーズに続き、アクション俳優として大看板になってしまった気がした。NHKの朝ドラ「まれ」を見た時から、気の弱いやさしい男の子という感じがずっとしていたのだけれど。彼の作品を見続けているわけではないので青春映画にはじまり、いろいろな作品で主演を重ね経験を積み、「キングダム」の成功からこの作品に至るのだろうか。彼の作品としては「劇場」が良かったと思える。アクション・スターと呼ばれる者が今の時代にいるのかわからないが、一昔前であれば必ず、アクション・スターと呼ばれたであろう。映画「キングダム」シリーズは今後も続き、この映画「ゴールデンカムイ」も続編がありそうだ。というか、そもそも話が完結していない。原作漫画を知らないので、杉本佐一(山崎賢人)とアシリバ(山田杏奈)と白石由竹(矢本悠馬)のトリオ演技に注目して小樽一色になっていた時に突然、過去の村の話、梅子(高畑充希)と寅次(泉澤祐希)の話に移った時には面食らった。幼馴染の三角関係があったのだなぁ。この作品でも日本陸軍において上官に反逆するシーンが描かれて、そのことに違和感を感じたが、気に留めるのは止めた。冒頭の日露戦争、正攻法の無残な戦い方は映画「二百三高地」を思い起こさせ、小説「坂の上の雲」に描かれた無謀な戦い方を見事に描いていると思える。ただ、そういった説明や愚行な戦略についての映像がないので日露戦争について知らない人にはどのように映ったであろうか。初めて見る山田杏奈の主演・山崎賢人に伍する演技に注目した。登場シーンで顔を見る前に動きで矢本悠馬とわかってしまったのはあまりにも彼らしく過ぎる、もはや演技をしていないのでは(笑)いや、これこそ彼の演技なのか。目力を見せ戦う眞栄田郷や工藤阿須加が良かった。玉木宏の異常者ぶり、舘ひろしの土方歳三も見事なメイクと相まって良かったと思う。双子役を演じた柳俊太郎の好演も忘れてはならない。すったもんだで一段落。さあ、これからというところで”続く”になるのか、と思ったら、本当に終幕で”続く”となってしまった。早く続編が見たい。十分に堪能したが見足りない。続きを早く見せて!(笑)あ、脚本が「キングダム」と同じ、黒岩勉だ。2024年/日本/128分/PG12監督:久我茂昭原作:野田サトル脚本:黒岩勉出演:山崎賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、柳俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、井浦新、玉木宏、舘ひろし、永尾柚乃お薦め度「ゴールデンカムイ」★★★★(80%)
2024.02.03
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(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. TM & (C)DCとっても良かった。2023年/アメリカ/124分/G監督:ジェームズ・ワン原案:ジェームズ・ワン、デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック、ジェイソン・モモア、トーマス・パー・シベット脚本:デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック出演:ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、アンバー・ハード、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレン、ランドール・パークジン、テムエラ・モリソン、ジョン・リス=デイビス原題:Aquaman and the Lost Kingdom(「アクアマンと失われた王国」)お薦め度「アクアマン 失われた王国」★★★★☆(90%)字幕翻訳:アンゼたかし
2024.01.14
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(C)2023 MASTER MIND Ltd.この映画スタンダードサイズなんだ。ヨーロッパでは受けるかもしれないけれどハリウッドじゃ無理だね、と思った。墨田区に住んでいて足立ナンバーの自動車に乗り、渋谷区のトイレを清掃する初老の男、平山。この地理関係に違和感を持った。登場するトイレはどれもが意匠的トイレ。デザイン性に富んでいると思えた。と同時に温水便座なので機能的にも優れている。この映画で日本の公共トイレを初めて見た人は、どこもこんなに素敵できれいだと勘違いしてしまわないか、と危惧した。ヴィム・ヴェンダース監督の映画と思って見た。見終えたら、役所広司の映画であった。ゆえに、カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を受賞したのもなるほどと思えた。クレジットをみてほとんどが日本人スタッフだったので、ヴェンダースは雇われ監督だったと思った。役所広司はエグゼクティブプロデューサーである。先ほど、オフィシャルサイトで制作について見たところ、企画・プロデユースが柳井康治であった。彼のコメントを読んで、最初に東京オリンピック・パラリンピックの開催に際して、「自分なりのおもてなし」としてTHE TOKYO PROJECTという渋谷区の公共プロジェクトを始めたとのことだった。著名なクリエーターにデザインしてもらったTTT(THE TOKYO TOILET)の公共トイレは新たな価値創出に繋がった。そして、その清掃・メンテナンスの重要性を痛感したとのこと。TTTのトイレすべてが価値・意義あるものと捉えてもらうにはアートの力が有効かも、とあり、この作品に至った。ゆえにこれは柳井康治の作品とも思える。一線級の役者たちを取りそろえたキャスティングからするとスタッフが日本人だったからではないか。また、プロデユーサーが役所広司だったから実現できたのではないかと思えた。柄本時生、麻生祐未、田中泯、三浦友和、甲本雅裕、安藤玉恵、石川さゆり、モロ師岡、研ナオコと僕が気づけた人はもちろんだが、ワンシーンやワンカットだけの出演はぜいたくな気がした。ラジカセしかない生活で毎夜読書をして寝入る。近所の早朝の掃き掃除の音で目覚める。それから……。かわりのない日常でなにかとアクシデントに巻き込まれながらも生活態度をかえずに過ごす。それがなんとなくいいように思えてしまうので、この映画は成功したのではないだろうか。エンディングの歌はとても良かった。2023年/日本/124分/G監督:ビム・ベンダース脚本:ビム・ベンダース、高崎卓馬製作:柳井康治出演:役所広司、柄本時生、アオイヤマダ、中野有紗、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、田中都子、水間ロン、渋谷そらじ、岩崎蒼維、嶋崎希祐、川崎ゆり子、小林紋、原田文明、レイナ、三浦俊輔、古川がん、深沢敦、田村泰二郎、甲本雅裕、岡本牧子、松居大悟、高橋侃、さいとうなり、大下ヒロト、研ナオコ、長井短、牧口元美、松井功、吉田葵、柴田元幸、犬山イヌコ、モロ師岡、あがた森魚、殿内虹風、大桑仁、片桐はいり、芹澤興人、松金よね子、安藤玉恵お薦め度「PERFECT DAYS」★★★☆(70%)
2023.12.24
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ポスター画像公人としてのナポレオンを描くより、私生活というか妻の愛を求めた人という描き方である。そういうものかと漫然と見てしまったが、振り返るとその愛情の描き方に一貫性はないように思われる。とはいえ、妻を愛慕し戦場を離れるなどその愛はとてもとても強く激しいものだったのかもしれない。その妻の描き方もナポレオンを恋い慕うわけでもなく忌み嫌うわけでもなく、彼女の真意がわからない。登場人物の心を描いているようでその心理を描けていないとも思えるが、そこは感情や思考を表現するのではなく事象として描いているからかもしれない。このナポレオンという作品はヨーロッパの常識の上に成り立っているのではと思えた。ヨーロッパの常識、いわゆるベースとなる知識を持たない日本人(私)には理解できないところも多々あったのではないだろうか。社会や歴史の授業でナポレオンについて習うこともなく(フランス革命くらいで授業は終えた(ナポレオンまでいかない))、個人的に調べることもなかったので、詳しいどころか基本的なことも知らなかった。ワーテルローの戦いでナポレオンが勝ったのか負けたのかもしらないくらいだから。(映画「ワーテルロー」という作品がありながら未だ見ていない)そんなこんなで見たもので、ナポレオンの戦功を知ることが出来て良かったと思う。反面、どうして彼は皇帝になったかは描かれてなく、その後もどういうことでセント・ヘレナに幽閉されたのかもよくわからない。ロシアの冬の厳しさ、ロシアの狡猾さ、ロシアの冷徹さを知ったように思える。ワーテルローの闘いなど壮大なスケールで描く戦場は見ごたえがあったけれど、私にとっての一番の見どころはナポレオンの戴冠式であった。「ジャック=ルイ・ダヴィッド《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》1806-1807年」で見た情景が動画となって大スクリーンで見られたのである。荘厳な気持ちになる讃美歌を聴きながら圧倒された。あっぱれと言える映像である。この映画の内容はともかく、このシーンを見るだけでこの作品を映画館で見た価値はあった。「アナザー・カントリー」(1985年日本公開)で見たイケメン、ルパート・エヴェレットがじいさん将軍として出演。その老いた姿はちょっとショックだった。2023年/アメリカ/158分/PG12監督:リドリー・スコット脚本:デビッド・スカルパ出演:ホアキン・フェニックス、バネッサ・カービー、タハール・ラヒム、マーク・ボナー、ルパート・エベレット、ユーセフ・カーコア原題:Napoleon(「ナポレオン」)お薦め度「ナポレオン」★★★☆(70%)字幕翻訳:
2023.12.03
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(C)2023 TOHO CO.,LTD.見ごたえのある映画だった。ゴジラ誕生秘話、そして核実験の影響にて肥大化したという流れとしても良くできていると思う。しかしながら無敵のゴジラであっていいけれど、不滅のゴジラであっていいのだろうか?また、冒頭に描かれる特攻隊員の言動が事実無根と思えるものなので、評価を下げざるをえない。巨大化したゴジラは日劇をはるかに超える大きさ。銀座にあるどのビルよりも大きく、すべてをなぎ倒していく。そこまで大きくしなくて…と思えた。東海道線が日劇のすぐそばを走っていたけれど、この当時すでに高架だったのだろうか。など考えてしまった。カメオ出演の橋爪功に目がいった。太平洋戦争時、日本には陸軍と海軍しかなく、飛行機乗り(パイロット)は海軍と陸軍に所属であるけれど、神風特攻隊は海軍である。ゆえに敷島(神木隆之介)も海軍所属と思われる。NHK朝ドラ「らんまん」で共演のふたり神木隆之介と浜辺美波のかけあいが楽しみであったがこの映画では途中から浜辺美波の登場がなくなり、その楽しみは多くなかった。俳優陣はアクの強いというか濃いキャラの山田裕貴、青木崇高、安藤サクラを集め、吉岡秀隆と佐々木蔵之介も参加。演技巧者の中にあって佐々木蔵之介がいい役どころでいい演技を見せていた。クライマックスで無音になるシーンがあり、その効果は絶大で見どころである。不満に思う点が少なからずあるけれど、総合的に満足できる作品として仕上がっている。2023年/日本/125分/G監督:山崎貴脚本:山崎貴出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介、田中美央、遠藤雄弥、飯田基祐、永谷咲笑お薦め度「ゴジラ−1.0」★★★★(80%)【特攻に物申す】冒頭で特攻であった敷島(神木隆之介)が不時着のように島に着陸する。そこは特攻における飛行機故障時の避難所であった。整備兵しかいない島に、飛行機に故障があるという嘘をついて着陸した敷島は”死にたくない”という思いにかられた非国民であった。非国民という言葉はでてこなかったなぁ。海軍の航空兵の思い、気持ちは敷島のように”死にたくない”というものであったように思う。しかし、戦時中、兵隊にあこがれ、まして一握りの優秀な航空兵になるような人物が自らの保身しか考えないということはあの時代なかったように思う。かといって自爆テロのように自らを犠牲にして死地に赴くということもない。”死にたくはない”しかし、皇国のため、故郷の家族のため、母のため、自らを犠牲にしてという思いは強かった。というよりそれしかなかったと思う。城山三郎の著書「指揮官たちの特攻」を読んでそう思うし、家城巳代治監督・鶴田浩二主演の映画「雲ながるる果てに」を見てそう思う。”死にたくない”という思いを持ちつつ、特攻として飛んで散った。片道だけの燃料を積んで、故障もなく満足に飛べる飛行機などない。どうにかこうにか飛び立てる飛行機で飛び立った。中には燃料切れで墜落した機や特攻するも目前で撃ち落とされた機があった。飛べずに生きのびた特攻兵はいるだろうけれど、飛び立って生き残った兵はいないと思う。終戦時20歳だったとして今も生きていたとしたら98歳。特攻の生き残りはもはやいまい。もし、この作品が30年以上前に公開されていたら、戦友会や遺族会の猛反対により上映中止になってしまったかしれない。いや、その前に企画段階、脚本段階で書き直しを命じられたであろう。特攻兵の境地を生き様を間違った描き方をしたと思える点において愚作とする。
2023.11.23
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(C)かわぐちかいじ/講談社 (C)2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.漫画原作「沈黙の艦隊」を知らない。いや、知ってはいるが読んではいないし内容も知らなかった。日本がアメリカの原子力潜水艦を手に入れるために、76名の自衛官を死なせた、とすること。そして、その75名を率いる潜水艦の艦長である一自衛官が日本国を裏切り、独立国を宣言する、ということ。ありえない上にありえない、まさに風が吹けば桶屋が儲かるくらいに飛躍した話であることに驚いた。この内容を知っていれば私はこの作品を見たであろうか。否、だと思う。もともと著名なまんがなので、気にはなったが映画を見に行こうとは思わなかった。ネットか何かで中村倫也が出演していると知り、彼の勇姿を見たくて見に出かけた。ところが、彼に全く気付かず、遺影となって初めて彼だと知った(苦笑)早々に死んでしまい舞台から消えた。そのことを知っていれば、見に行かなかったであろう。内容はともあれ、ありえない机上の空論、空想の上の空想、仮定の上の仮定にたっており、納得することもなく見ていた。潜水艦内部やアメリカの第七艦隊の陣容などどのように撮影したのかと思うけれど、壮観であった。もうこれはCGしかないであろうと思われる。海底での潜水艦の姿もCGであろうか。ミサイルや魚雷の攻撃シーンなど良く映してあり、見どころはあった。沈着冷静でほぼ動きのない海江田四郎(大沢たかお)はその思想で好きになれないが、情に厚い深町洋(玉木宏)の熱血漢ぶりに好意を寄せてしまった。上戸彩、ユースケ・サンタマリア、笹野高史、橋爪功、夏川結衣、江口洋介、水川あさみと有名どころが大挙を成して出演しているが、厚情の艦長に仕える副艦長速水を演じる水川あさみに好感を持てた。NHK朝ドラ「ブギブギ」のお母ちゃん役といい、注目される演技である。監督は「ハケンアニメ!」の吉野耕平である。主題歌はAdo。独立宣言、第七艦隊との交戦を終えて、物語の導入が終わり、これから本腰を入れて見ようと思った瞬間「沈黙の艦隊」の題字が出現。映画が終わってしまった。長い原作なので、どこで切っても”続き”感が残るものだろうけれど、見ごたえを感じるにはあまりに短い。あと30分あっていい。2023年/日本/113分/G監督:吉野耕平原作:かわぐちかいじ脚本:高井光出演:大沢たかお、玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、中村蒼、松岡広大、前原滉、水川あさみ、岡本多緒、手塚とおる、酒向芳、笹野高史、アレクス・ポーノビッチロ、リック・アムスバリー、橋爪功、夏川結衣、江口洋介、お薦め度「沈黙の艦隊」★★★☆(70%)
2023.10.07
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(R), TM & (C)2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.映画が始まる前に、1・2・3の振り返り超絶ダイジェストを見て、3を見ていないことに気づいた。映画はシリーズ化され人気を博したので製作費は倍倍倍となっていって1作目が2,000万ドルだったのが本作では1億ドルとのことである。そのせいか、砂漠、日本、ドイツ、フランスとロケを敢行しており、大阪での格闘シーンで鎧などを展示したセットなどすごかった。また、建物の中での銃撃戦で各部屋を俯瞰して捉えていて、切れ目のない撮影が驚きであった。3を見ていないせいかストーリーが今一つわからないとも思えたが、ストーリーなんかほぼ関係ないほどアクションシーンが多かった。全体の半分以上、ひょっとすると70%以上が銃撃シーン、アクションシーンだったかもしれない。シーンを変えて行われるアクション・銃撃がなんどもなんども、これでもかこれでもかというほど長く執拗に行われ、映画でなければ見続けていなかった(配信だと疲れて断念?)と思えたほどであった。大阪の街が、地下鉄御堂筋線が近未来的で良かった。真田広之の雄姿を見られて、良かった。2023年/アメリカ/169分/R15+監督:チャド・スタエルスキ脚本:シェイ・ハッテン、マイケル・フィンチ出演:キアヌ・リーブス、ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之、シャミア・アンダーソン、ランス・レディック、リナ・サワヤマ、スコット・アドキンス、クランシー・ブラウン、ナタリア・テナ、マルコ・サロール、イアン・マクシェーン、田代良徳、マルコ・サロール、ジョージ・ジョルジウ原題:John Wick: Chapter 4(「ジョン・ウィック:第4章」)お薦め度「ジョン・ウィック コンセクエンス」★★★☆(70%)字幕翻訳:松崎広幸
2023.09.23
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ポスター画像ゲーマーが本物のカーレーサーになる。これが実話だというから驚きだ。こんな驚きの実話があるならニュースになっていいはずだが、私は全く知らなかった。映画を見ていると、何かにつけてNISSANと出て来るのだから、日産ももっとアピールしてよかったのではないだろうか。さて、映画である。うまくコンパクトにまとめたと思える作品である。スリリングな場面、衝撃的な事故のシーンなどもあるけれど、小気味いいほどテンポよく話が進む。見ていて何の違和感もないのだが、もう少し観客に情感を伝える、感動を共有し合える空間があったら良かったと思える。テンポが良すぎると感情が切られてしまうので。大作かもしれないが、レーサー役のアーチー・マデクウィとピット・クルーでコーチ役のデビッド・ハーパーとGTアカデミー設立者役のオーランド・ブルームとレーサーの父親役のジャイモン・フンスーの4人で展開する。恋バナもあるがわずかである。グランツーリスモのクリエーター役として平岳大が出演しているが英語のセリフがないどころか日本語のセリフもわずか一か所しかない。実話ネタゆえリアリティの心配はなかったのだろうが、感動作として仕上がってはいない気がした。2023年/アメリカ/134分/G監督:ニール・ブロムカンプ脚本:ザック・ベイリン、ジェイソン・ホール出演:アーチー・マデクウィ、デビッド・ハーパー、オーランド・ブルーム、ダレン・バーネット、ジェリ・ハリウェル=ホーナー、ジャイモン・フンスー、平岳大、ダニエル・プイグ、メイヴ・クルティエ・リリー原題:Gran Turismo(「グランツーリスモ」)お薦め度「グランツーリスモ」★★★☆(70%)字幕翻訳:アンゼたかし
2023.09.20
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(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.話題の「バービー」ようやく見に行きました。最初のシーンのあの映像、あの映画音楽。古手の映画ファンならニヤリとしてしまう。つかみはオッケー!と言いたくなるほど素晴らしい!!バービーはアメリカで流行った人形という認識しかなく、この映画でバービーの存在を楽しませてもらえると思ったけれど、無理難題というか現代社会の問題をバービーランドに持ち込んですったもんだの大騒ぎ。大統領はほかにいたけれど”標準バービー”が君主なの?つま先立ち、ヒールが似合う足元に命かけるような展開でバービーランドからリアルワールドに行って、何をするでもなくバービーランドに舞い戻る。戻るとそこはバービーランドではなくなっていた……。バービーランド、人形の世界に現代社会の多種多様性のいろいろな問題をぶち込んで、わけのわからない展開となり……。なにかいいこと、含蓄のあるようなことを言い連ねているけれど、バービー世界に入れなかった私には馬耳東風のよう。とんちんかんなものとなった。製造中止になった過去のドールがいくつも登場するので、長年のバービーファンやバービー狂には興味津々の内容なのかもしれない。とはいえ、全くの門外漢、バービーの歴史もバービーの人間関係も知らないものに対する説明、この作品だけを見て理解できるものにしてほしかった。2023年/アメリカ/114分/G監督:グレタ・ガーウィグ脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、アメリカ・フェレーラ、ケイト・マッキノン、マイケル・セラ、アリアナ・グリーンブラット、イッサ・レイ、リー・パールマン、ウィル・フェレル、アナ・クルーズ・ケイン、エマ・マッキー、ハリ・ネフ、アレクサンドラ・シップ、キングズリー・ベン=アディル、シム・リウ、ンクーティ・ガトワ、スコット・エバンス、ジェイミー・デメトリウ、コナー・スウィンデルズ、シャロン・ルーニー、ニコラ・コーグラン、リトゥ・アリヤ、デュア・リパ、ヘレン・ミレン、ジョン・シナ、エメラルド・フェネル原題:Barbie(「バービー」)お薦め度「バービー」★★☆(50%)字幕翻訳:野口尊子
2023.08.27
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(C)大墻敦このドキュメンタリー映画を見て強く感じたことは、松方コレクションを思う存分いてみたいなぁ、と。松方コレクションの展覧会、美術展やればいいのにと思った。けれど、そういえば「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」を見に行ったことを思い出した。上半分がない、モネの睡蓮も見に行った。「そうだった、そうだった」(笑)ドキュメンタリー映画をあまり見ることがないので、どう感じるかと怪しみながら見始めたが、インタビューなどを見につけ、聞くにつけ関心をもって見ることが出来た。前庭の改修工事で休館となり、その休館にともない貸出業務などがあり、貸し出すために傷などの瑕疵を確認しなければならない。梱包も丁寧でこまごまして大変そうだ。国立西洋美術館にかかわる人々がどのように美術に目覚め、今の業務がどのようなものかを聞くにつれ、いろいろと知れて参考になった。見に行って良かったと思える映画であった。松方コレクションにもとになった松方幸次郎に関係するのか、Kawasaki Free Sundayというものがあり。案内に”Kawasaki Free Sunday(原則毎月第2日曜日。ただし、9月は9月3日)、国際博物館の日(5月18日)、文化の日(11月3日)※常設展のみ無料となります。”とある。常設展のみ無料とのことなので、次回9月3日に行ってみようか。2023年/日本/105分/G監督:大墻敦製作:大墻敦撮影:大墻敦照明:折笠慶輔録音:大墻敦、折笠慶輔、梶浦竜司お薦め度「わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏」 ★★★☆(70%)
2023.08.12
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(C)原泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会えっ!!? もう終わり⁉早く続きが見たい!!長尺な物語なのに、その長さを感じず、あと1時間ぐらい余裕で見るつもりだったのに。総力戦の終わりまで見届けるつもりが、敵が一時退却した一時休戦で映画は終わる。その戦いの夜、勝利の美酒に酔っているときに不可解な人物、無双と思える者が登場する。そして、幕切れ!続きを見たいと思うよね、すぐに!主演の山崎賢人演じる信が日曜劇場「VIVANT」の堺雅人状態。堺雅人よりも出番はないし主役ではないほどに見えた。王の過去物語が長かったせいもあり、主役のお株は吉沢亮に奪われたような恰好。今回はえい政(吉沢亮)救出に尽力した杏が素晴らしくかっこよかった。闇商人・紫夏(しか)を演じている。杏は「劇場版TOKYO MER走る緊急救命室」の女医で見せたように真っ当な人物を演じていて凛とした佇まいとはっきりとした口跡、矜持を持った人物としてみごとに存在していた。彼女との別れは涙しそうになった。前作を見ているので羌かい(きょうかい)の清野菜名を初め、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、濱津隆之、真壁刀義たちともに戦う面々が出てきたときには嬉しくもあった。大沢たかお演じる王騎(おうき)の白々しい笑い声には恐れ入った。芝居の中で芝居がかった笑い声を演じるのは度胸がいったと思える。終幕に登場する吉川晃司に驚き、ラストを飾る宇多田ヒカルの歌声は胸に響いた。本当に早く続きが見たい。原作を知らず映画を見てはまってしまった。このところ「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」や「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」を見て長々とくどいアクションに食傷気味であったけれど、本作のアクションシーンに関しては一切そんなことは思わず、長さを感じなかった。(一か所、逃げる紫夏(杏)たちを追う敵兵の騎馬が追いついては離れ追い付いては離れ、接近戦の次にはまた距離があるという繰り返しは不自然に思えた)戦場での斬りあいに次ぐ、斬りあい、大いに堪能した。早く続きが見たい!!2023年/日本/129分/G監督:佐藤信介原作:原泰久脚本:黒岩勉、原泰久出演:山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、杏、山田裕貴、高嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、片岡愛之助、山本耕史、長澤まさみ、玉木宏、佐藤浩市、大沢たかお、萩原利久、濱津隆之、真壁刀義、田中美央、町田大和、佳久創、栄信、青木健お薦め度「キングダム 運命の炎」★★★★(80%)
2023.07.30
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(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.ミッション・インポッシブルの新作を見てきた。カーチェイスや列車の上の死闘など盛りだくさんといえば豪勢な気がするけれどTOO MUCH、やりすぎ、長すぎる気がする。ちょっと疲れちゃうかな。物語は難解ではないと思うけれどいろいろと立て込んで、意味不明なまま展開したりするので理解が十分とはいかない気がする。アクションに力を入れているのはいいけれど、ちょっと盛沢山かな…。イルサとグレースのどちらを選ぶかなんて、どういうこと?と思っていたら、その二人が絡む死闘があって、ちょっとわけがわかんない。そんな気分になりつつも何とか見終えた。やっぱり長尺だなぁ、長くなった分、作品の質が上がればいいけれど、そうとも思えないし、とはいえ若々しく活躍するトム・クルーズを見て、良かった良かった。字幕が戸田奈津子さんということでインディ・ジョーンズに続き、ご活躍、恐れ入りました。2023年/アメリカ/164分/G監督:クリストファー・マッカリー原作:ブルース・ゲラー脚本:クリストファー・マッカリー、エリック・ジェンドレセン出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ビング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、バネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、マリエラ・ガリガ、ヘンリー・ツェーニー、シェー・ウィガム、グレッグ・ターザン・デイビス、チャールズ・パーネル、フレデリック・シュミット、ケイリー・エルウィズ、マーク・ゲイティス、インディラ・バルマ、ロブ・ディレイニー原題:Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One(「ミッション・インポッシブル 推測航法パート1」)お薦め度「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」★★★☆(70%)字幕翻訳:戸田奈津子
2023.07.26
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(C)2023 「アイスクリームフィーバー」製作委員会原作が川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」で主演が吉岡里帆で見に行った。映画が始まると「?!」と思える映写サイズ。オープニングだけで、本編が始まれば一般的なサイズになると思っていたら、全く変わらず。スクリーンの真ん中だけで映写される映像をショックを感じながら見た。映画を見終ってからググると…”実験的映画”みたいなことが書かれてあって、普通の映画が見たかったなぁと思えた。原作と違って原案とあるのでまったく異なる作品なのかもしれない。見終って気づくが同じマンションの一室を写し出しているようなので、時間軸が違うのかな。現在・過去・過去と三つの時間が存在すると思えた。わざわざ見に行ったのに、残念であった。2023年/日本/103分/G監督:千原徹也原案:川上未映子脚本:清水匡出演:吉岡里帆、モトーラ世理奈、詩羽、安達祐実、南琴奈、後藤淳平、はっとり、コムアイ、新井郁、もも、藤原麻里、ナツ・サマー、MEGUMI、片桐はいり、松本まりかお薦め度「アイスクリームフィーバー」★★☆(50%)
2023.07.17
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