メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jun 6, 2006
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 フランス料理店でワインを注文すると、最初にソムリエが少量のワインをグラスに注いで味見をすすめてくれます。

これが、いわゆる「ホスト・テイスティング」です。
「ホスト~」とあるので、味見をする人はイケメンで無いといけないのかというと、必ずしもそうではありません。ここでいう「ホスト」とは「食事の席に招いた側の人」または、食事代を支払う人、あるいは、「そのワインを注文した人」の事です。

 さて、この「ホスト・テイスティング」一応は注文したワインの味を確かめる。ということになってはいるのですが、現実のレストランにおいては、非常にセレモニーめいた感も強く、せっかくワインをボトルで注文しているのに「ホスト・テイスティング」をソムリエがやってくれないと、なんだかそのお店のサービスに手抜きされてるような気分になってしまいます。

 そもそも、「ホスト・テイスティング」は、フランス中世の貴族社会の風習の名残りであるともいえます。フランス貴族といえど、その当時はワインに毒薬を混ぜたりと、物騒な世の中でもありました。それでまず、招いた館の主人がワインに口を付け、同じボトルから皆に振舞うことによって、「毒は入っていませんよ。」ということを明らかにしていたのです。

(参照:「フランス料理と毒薬」05年8月7日)


 この風習が現代に至っても名残りを残しているようにも思われます。
 昨今のほとんどのお店では、ボトルを抜くと先にソムリエがテイスティングしていまいます。それはホストがテイスティングを行う前ですので、実際にお客様に「傷んだ」ワインが提供されてしまうことは稀でしょう。
 日本ソムリエ協会におけるマニュアルでは、テイスティングをする前に、「私の方で先に少量テイスティングさせて頂いて宜しいでしょうか?」と、お客様の承諾を得てから、ソムリエはテイスティングを行うこと、と、されています。しかし、現代では多くのお店で不文律の約束事みたいになっていて、そういった光景はあまり見られません。

 実際にワインは「自然から作られた酒」ですので、何十本かに1本くらいは提供できない、お代金を頂けないワインがあるのも確かです。そうッ言ったワインはあらかじめ、ソムリエがテイスティングを行った際に除かれますので、まず、お客様のグラスに傷んだワインが注がれることは無いと言えます。


そもそも品質に問題のないことが大前提になっていますので 、またまたソムリエ協会の規定などでは、テイスティングをホストに行って頂いた際には「温度の方はお好みでしょうか?」という感じでお客様の確認を取ること、となっているようです。

 で、しばしば食卓の話題として上るのが、この時点でお客様の好みに合わなかった場合などの対処の仕方です。

 ソムリエの説明が、実際のワインの味と大きく掛け離れていた。という場合は、ソムリエの技術不足と言う点でワインを交換するのは当然です。しかし、ニュアンスが違う、とかフィーリングが合わないと言った点では、交換させて頂くにせよ、抜いたワインのお代金は請求書に載って来ることとなります。

…と、言うような説明をお客様とするわけですが、あくまでも食卓の笑い話としての話題であって、実際には「交換して欲しい」とおっしゃるお客様は、ほとんどいらっしゃいません。
 それよりも、重要であるのはお客様の食卓の場が「いかに楽しく過ごしていただけるか。」が重要であって、ワインの特徴を議論で押し付けても、お客様にはありがたくも無いのですから。

 さて、と言うわけで、ホスト・テイスティングを行って、もし、私がお客様から、

「ところで、もし私がこのワイン、『ダメ』って言ったらどうするん?」

と尋ねられたら、、、、


(この続きは明日。乞うご期待!、、、)








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Last updated  Jun 6, 2006 11:07:52 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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