全30件 (30件中 1-30件目)
1
★熊沢は、可笑しがりながら、「仲がおよろしいようで、皆様。」 vol,181 6/30 画像OK[emoji:v-268] 藪岡、「一命を取り留めた。」熊沢、藪岡を見て、「えぇ。看護師たちは、信じられないと。そして、医師は、奇跡だ。と。」真輝、「柚香さん。」ニッコリと、「おかえり。」その声に柚香、真輝を見て、「へっ…???」そして、「あ、あ~~。ははははは。うん。ありがと。」思わず愛実、下唇をビロンと。目を真ん丸に。柚香には見せずに。その愛実の顔を見た途端に、亮輔と阿須賀、思わず、「ぷ。」「くくくく。」藪岡も、ニッコリと、「ああ。そうだな。」柚香、亮輔と阿須賀に、「な~~にぃ~~。ふたり供~~。…って言うか、メグ~~。」愛実、咄嗟に、「へっ…???あ、私、何も。何も何も。」そして亮輔と阿須賀に、「ねぇ~~。」亮輔。すぐさま、「おぅ。」阿須賀、亮輔の左腕を占領して、「うんうんうん。何でもない、何でもない。」熊沢は、可笑しがりながら、「仲がおよろしいようで、皆様。」そして、「まっ。そんな訳で…。とにかく、まだまだ。どうなるのかは…。…ただ、おばあさん。幸乃さん。…ちょっと…、気になりますね~~。その…、深夜帯…、の…???…幻…。…それに…、同じようなものを…、長野の…妹さん…???…も、見たとなると…。」藪岡、「今後も、しっかりと…、経過を…。真輝君も、亮輔、阿須賀ちゃんも、柚香さんとは同じ大学。とにかく、頼むよ。」真輝、「あ、はい。」亮輔、「おぅ。」阿須賀も、「分かりました。」そして藪岡、「あ、熊沢先生、柚香さん、退院は…???」熊沢、「あぁ。えぇ。このまま、特に何もなければ、明日には…。ただ…、今夜一晩、様子を見ない訳には。」「そうですね。」そして柚香を見て、「…と、言う事だそうだ。」柚香、ニッコリと、「はい。ありがとうございます。」そして…。結果的には何事もなく柚香、長篠観音総合病院を退院。そして…、またいつもの生活に戻るのだが…。結局は、その3日後には、また陽織に。けれども、今度の陽織は様子が変わっていた。その様子とは…。陽織は陽織なのだが、今回の陽織は、不思議な事に、柚香のままの、陽織なのである。但し、口調は相も変らぬ男子言葉のまま。…なのだが…。柚香の小さな頃からの記憶。つまりは柚香の過去を全て知っている…。と、言うか、柚香の過去の記憶のままの、陽織なのである。これにはさすがに祖母の幸乃も混乱。実際、柚香のようで柚香じゃない…。けれども、常に、「おばあちゃん、私は陽織。お姉ちゃん、柚香じゃないよ。」これには真輝も愛実も混乱。当然ながら真輝との出会いもしっかりと記憶にある。しかも真輝がこれから目指すエンジニアの事も知っている。けれども、「だから~~。あんたも~~、あたしは陽織って~~。」こうなると、真輝も愛実もどう接していいのか分からない。本人は陽織と口を堅く。…けれども実際、柚香の記憶をそのまま持ち合わせている事になる。当然の事ではあるが、柚香が2歳の時に長野に半年の滞在の事も、逆に、柚香よりも知っていると言う。幸乃、「陽織。」目をパチクリとさせながら…。「まま、確かに。陽織の言っている事は…、確かに…、事実だよ。流伽さんからもおばあちゃん。その事は聞いてる。…けど…。おまえ…。それって、2歳の時。」その話に陽織は口を尖らせて、「いや…。でもさぁ~~。私の過去の事…。何でか、長野の…、子供診療所…???…すんごい、懐かしいって思うんだよね~~。たなごころ診療所。」しかも、陽織は、2歳の時の記憶としてはまず有り得ない、通院していた診療所の名前まで憶えている。これには幸乃も驚いて。しかも…、困り果て、「陽織。診療所の名前も…。」その声に陽織は口を噤んで、「うん。覚えてる。…でぇ~~。先生が…、田名部康孝(たなぺやすたか)先生。」幸乃、瞬間、頭の中で、「…この子は…。」そして…。陽織、次の行動に出たのが…。祖母の前に…。正座をして、絨毯に両の手を着いて…。瞬間、幸乃、「えっ…???」頭を傾げて、「な…。なに…???…どうした…陽織…???」陽織、祖母の前で丁寧に、頭を両の手の上まで下げて、「ごめんなさい。」何がどうしたのかさっぱりと見当も付かない幸乃。「ひ、陽織~~。いきなり、どうしたんだい~~。そんな…、おばあちゃんに、何か、悪い事でも…???」瞬間、陽織、頭を下げたままの姿勢で、「した。…私、おばあちゃんに悪い事をした。」幸乃、両眉の先端を吊り上げながら、「した…???…いやいやいやいや。一体何を、悪い事、したって…。」今度は幸乃が口を噤んで。「だって。おぱあちゃんに、私、酷い事。」ますます幸乃、頭を傾げて、「酷い事…???何ぃ~~。おばあちゃん、全然分かんないんだけど…。」すると陽織、「ほら~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,181. 熊沢は、可笑しがりながら、「仲がおよろしいようで、皆様。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.30
コメント(0)
真輝と亮輔、「な~~んだよな~~。」いきなりふたり、お互いを見つめ合い、同時に、「えっ…???」幸乃、「それに…、なんですけど…。」柚香、祖母に、「うそ。まだあるの…???」そんな柚香に幸乃、コクリと。熊沢と藪岡、「おばあさん。」幸乃、「そんな…。幻と言うか…。声と言うか…。…その、幻は…、ゆっくりと薄くなって…。」柚香、「おばあちゃん、恐いよ。」そんな柚香に幸乃も、「うんうん。そうだね~~。…でも…。それから…。私も、おかしいな…とは思って…。その時なんです。いきなり電話が。」「…と、言うのは、病院の方から…???」熊沢。その声に幸乃、顔を左右に振り…。柚香、また、「おばあちゃん。」「今度は、柚香の母親の妹から。」柚香、「へっ…???流伽おばちゃんから…???」幸乃、ゆっくりと頭をコクリ。「いやいやいや。」柚香。「夜中の2時…???」「おばあちゃんもビックリしてスマホの画面を。…珍しく…、流伽さんの名前。」真輝、「…と、言う事は…、柚香さんのおかあさんの実家の長野の。」亮輔と阿須賀も、「あ、あ。」亮輔、阿須賀を見て、「俺たちも、なぁ~~。その長野の…って。藪さんの病院で…。」そして藪岡を見て、「藪さん。」藪岡、「あ、あ~~。柚香さんが小さい頃に、長野で…。」熊沢も、「えぇ。私もその事は柚香さんから…。」愛実、「わお。じゃあ、長野の事、みんな…。」それぞれを見回して。熊沢、「おばあさん。幸乃さん。」幸乃、「えぇ。柚香の母親の妹から電話がありまして、出るなり、おばあちゃん、柚香に何かあった…???今、私の前に、死んだはずのおにいさんとねえさんがって。」いきなり目を真ん丸にする柚香。愛実、「うそ――――――っ。」真輝、「まさか。」亮輔、「凄ぇ~~。」阿須賀は、恐がる顔で、「うそでしょ~~。」熊沢と藪岡、同時に、「虫の知らせ。ですか~~。」阿須賀、いきなり亮輔の左腕に、「やだ~~~。」熊沢、口を真一文字、「まま、ありそうな…。…と言いますのも…。」藪岡、「先生…???」「えぇ。」熊沢。「これは…、当然の事ながら、個人情報、情報漏洩ともなりますから…。家族以外には…。病院外には…。」藪岡、「え、え~~。はい。」「けれども…、これが…事実。」そして熊沢、「幸乃さん。おばあさん。そして…、当事者でもある柚香さん。」幸乃、「えぇ。」柚香、「はい。」「みなさんに、お話しても。」幸乃と柚香、「お願いします。」「構いません。ここにいる人、みんな、私の事。」熊沢、コクリと、「そうですね。」真輝、そして愛実も、亮輔も阿須賀も。そして、藪岡も。熊沢、「事実、心肺停止の陽織さん。その時は…、完璧に、アウト。だったと、言う事です。」いきなり柚香と幸乃以外の5人、「!!!」藪岡、「どういうことですか???」熊沢、「看護師と医師が心肺停止してからの時間、凡そ17分。」「17分。」藪岡、「…って。…それじゃ~~。完璧に…もぅ…。」「えぇ~。…但し。それは、あくまで、看護師と医師が確認した状態。…では、何故、陽織さんが心肺停止と確認できたのか…。」藪岡、「あ、あ~~。そぅ…かぁ~~。時間は深夜。」「そうです。全ての患者も寝静まり。そして…、時間で巡視する看護師のみ。」藪岡、考えるように、「確かに。」「ここでは、1時間毎に看護師が巡視をすることになっています。その巡視が午前2時。特に変わりは…。モニターもしっかりと…。その後です。看護師がナースステーションに戻ってきた時点で…。まぁ…、患者さんも多いですから…。」藪岡、熊沢に、「えぇ。」「ここの…、ナースコールがなったそうです。」「えっ…???」真輝も恵も亮輔も阿須賀も。真輝、「…って、誰が、ナースコール…???」すぐさま熊沢、顔を左右に、「分かりません。すぐに看護師がここに。…既に呼吸停止。実際、その時点でカウントが始まります。…ですから、おそらく、17分以上は…。実際には…、20分以上だったと言う事も…。」藪岡、「そんな…。間違いなく…。蘇生も…。」熊沢、柚香の顔を見て、「えぇ。蘇生は…困難。」「1分…過ぎるほど…、致死率は…、高くなる。」亮輔、阿須賀、「そんな…。」「人は…、心肺停止になってから、10分で、蘇生は困難と…。」藪岡。真輝、柚香をじっと見つめる。亮輔、「そ、それが…17分。もしかすると、それ以上…。」熊沢、亮輔を見て、「えぇ。そうなります。」「えっ…???…いや…。けど…、それなのに…、陽織ちゃん。」亮輔、熊沢と柚香を見て、そして、「え~~~ぇえ…???」「医師も懸命に蘇生術を…。看護師たちも、諦めたそうです。医師も、とうとう…、遂に。…けれども。その…、3秒後…、と言う事でした。…モニターのサインが…。僅かに。」 LIBRA~リブラ~ vol,179. 「まだまだ…、医学でも、分からない事が多い。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.29
コメント(0)
そして…。柚香の病室には次から次へと…。特に…。「初めまして、藪岡と、申します。」藪岡、幸乃に名刺を。幸乃、丁寧に、「ありがとうございます。いろいろと、柚香がお世話になりまして…。」「いえいえ。とんでもない。こちらこそ、いろいろと…。」そして…。こちらも初対面。「いや。私もこういう形で藪岡先生と会えるとは…。はは、これも柚香さんのお蔭…???」熊沢。藪岡、そんな熊沢に、「こちらこそ、お会いできて、ありがとうございます。…それにしても、心肺停止には驚いた。どうして、そんな事に…???」真輝も愛実も亮輔に阿須賀も、「うんうんうん。」けれども熊沢、厳しい表情で、「ん~~~。それだけは全く…。」藪岡、「不明…と、言う事ですか~~。ん~~、確かに。患者が、どんなに改善されていたとしても…。まだまだ。いつ、どうなるかは…、まだまだ…、医学でも、分からない事が多い。」熊沢、その声に頷いて、「同感です。」他は藪岡を見つめて…。藪岡、「特に。…今の柚香さんの場合、また…、いつ、陽織ちゃんに…。」すぐさま、「おぃおぃ。藪さん、縁起でもない。…って…。言うか~~。」亮輔、申し訳なさそうに、「すんません。縁起でもないって…。」困ったような顔をして真輝、愛実。柚香、「ううん。…でも…。確かに、亮輔さんの言う通り。また、いつ、陽織に…。…それに…。」みなが柚香を見て、「それに…???」柚香、全員を見渡しながら、「私自身…。ここ、数か月の感覚…???…と。言うか…、記憶が…。とにかく、飛んで、飛んで状態。何がなんだか…。」真輝、愛実、「あ、あ~~。」亮輔も、「確かに。」阿須賀、「陽織ちゃんと柚香さん、入れ代わり…、立ち代わり…。」「あのぅ~~。」幸乃。「私が…、今、ここで…。…こぅいう事を…。」途端に全員が幸乃を注目。柚香、「おばあちゃん…???」真輝、「おばあさん。」愛実も、「おばあちゃん。」幸乃、全員を見て、「実は…、私…。…最近。」熊沢、幸乃を見て、「幸乃さん。おばあさん。例の…。」幸乃、熊沢を見て、「えぇ。」小さく、コクリと。柚香、「例の…???」藪岡も、「うん…???」熊沢、「いえね。幸乃さん。最近…、夜中や明け方に、変なものを…。…と言うか。」熊沢、幸乃を見て、「おばあさん。幸乃さん。」幸乃、「えぇ…。…実は…。陽織が…、心肺停止になった…。」熊沢、藪岡、「はい。」「あの時も…。」柚香、「おばあちゃん。」幸乃、「変な話に…、なるんですけど…。」頭を傾げて、「夜中…。あの時は…、丁度…。夜中の…、2時くらい。部屋に。…私の部屋に…、なんですけど…。」柚香の顔を見て、「この子の…、母親と父親の…。ハッキリと、顔も見えたんですよ。今までは薄っすらと…。でしたけど…。」柚香、「うそ。」藪岡、「ん~~~???…心霊…現象…ですか~~。」亮輔、「うそだろ。」阿須賀、「うそうそうそ。」真輝、「おばあさん。」幸乃、「柚香の…、この子の両親…、なんですけど…。母親が、おかあさん、お願い。陽織を…。確か…、こんな風に。…そして、父親も、同じような…。」藪岡と熊沢、同時に、「お願い…???」「あまりに、突然でしたから、言っている意味が…。あまりよく…。…でも…、そんな事が…最近…、数回。」柚香、「やだ、おばあちゃん。恐いよ。それって…、つまりは…、私のおかあさんとおとうさん。つまりは…、亡霊…???…オカルト過ぎるよ。」両眉の先端を吊り上げながら…。幸乃、そんな柚香に、困ったような顔で、「ん~~。確かに。…恐過ぎる…けど…。最近…、何日か置きに…。」柚香、「まさか…、昨夜も…???」幸乃、すぐさま、「ううん。昨夜は何も…。」熊沢、「心霊…現象…。」そして、「藪岡先生。」藪岡、「ん~~~。有り得ない…、事でも…、ない…かと…。」すぐさま亮輔、「おぃおぃ。藪さん。勘弁してくれよ。この期に及んで…。」けれども藪岡、「いや…。…と、言うより、人間。…つまりは…、第六感という奴だ。まっ、精神的にも、あらゆる角度から精査して行けば…、有り得ない。…と、言う事自体が、ないんだ。…但し、これは…、その当人。若しくは周囲も…。まっ、信じる。信じないはあるとして。なんだが…。」熊沢、「ん~~。確かに。医学の力では、解明できない事も多いですから。」柚香、「先生まで。」「あ、いや…。けれど、それも…、残念ながら、事実なんだよ、柚香さん。…実際、今の柚香さんも、またいつ、陽織さんに変わる。」その一言に、真輝も、愛実も、亮輔、阿須賀も、「あ、あ~~~。」そして、亮輔、「確かに。」熊沢、「いずれにせよ。今の柚香さんの解離性同一性障害。柚香さん自身、ここ数か月の記憶が飛び飛びで。まっ。記憶喪失と言う症状もあるけど…。それとも異なる。実際。別人格になっている。」 LIBRA~リブラ~ vol,179. 「まだまだ…、医学でも、分からない事が多い。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.28
コメント(0)
スマホの画面を見て驚いて幸乃、「はいっ!!!汀です。陽織がまた何かっ!!!」そして話を聞いての幸乃。すぐさま目を赤く、そしてスマホを耳に膝から床に、ガックン。そして、「良かった~~~。柚香~~。」いきなり口の中の物を飲み込んで、「あ、はい。すぐに向かいます。」9月の最終日曜日。すぐさま幸乃、エプロンを外して、とにかく、そのままの恰好で部屋からバッグを。そして玄関に。柚香、病室で野呂から今までの経緯を…。「うそ~~~。えぇ~~???」野呂、「まっ。とにかく、そういう状況だったんです。…けど、とにかく良かった。今日、熊沢先生は非番ですが、先ほど、連絡を。」柚香、「ありがとうございます。」そして、「あっ、先生。ここ、スマホって…。」「はい。大丈夫ですよ。」「私の…、バッグ…。」野呂、床頭台の引き出しから、「これで…しょうか…???」柚香、ニッコリと、「はい。ありがとうございます。」「では、私は、また。後ほど。」柚香、ペコリとして、「ありがとうございます。」野呂、病室のドアを開けて、外に。そしてドアを閉めて、「ふぅ~~。…いやいやいや。とにかく、ビックリ。」柚香、スマホを…。そして、「9月27日。今日…、日曜日。」そして柚香、履歴に指をトン。2回のコールで相手が出る。「もしもし。柚香さん…???」「さっすが、真輝君、すぐ出たね~~。」「お~~いおいおい、脅かすなよ~~。じゃ、じゃ~~、戻った…???…って、事は、戻ったって事。もぅ~~。病院には運ばれるし、そして今度は、心肺停止~。…で、蘇生。勉強どころじゃ。みんなもぅ~~。心配して~~。」捲くし立てる真輝。そんな真輝の声に柚香、「かかかかか。ごめ~~ん。」「今から行く。」柚香、その声に、「あ、は~~い。あ、真輝君、ここ、長篠観音総合病院なんだね。さっき、先生から聞いてびっくりして。」「あぁ、うん。亮輔がナイスプレー。」「なんだってね~~。」「じゃ、また。着いたら詳しく。」「うん。」通話を切って、そして…、「次はっと。」真輝、部屋の中で、「ぅおっしゃ――――っ。」「あ、もしもし。」いきなり、「ユズ――――ッ。もぅ~~。」柚香、変顔で、「はははは。ごめん。」「…ったく~~。あんたって人は~~。今から行く~~。もぅ~~。」柚香、口をグンニャリとさせて、「あぃ。」そして、切る。「…で…。」こちらも2回のコールで、「もしもし、柚香さん…???」柚香、「先生。ご心配お掛けしました。」藪岡、スマホを耳に、「そっか~~。うん。戻った。いいぞ~~。私も今日は、特に予定もない。これからそっちに。あ、それと、おばあちゃんには。」「あ、はい。もう既に、こちらに向かってると。」「そうか。うん。じゃ。」「はい。ありがとうございます。」また通話を切って柚香、「そして…。一番の功労者。」指でトン。こちらは、5回、6回…、「もしもし。柚香さん???」柚香、「はい。柚香です。亮輔さん、今回はありがとうございます。」スマホに届く声。「お~~ぃ、勘弁してくれよ~~。大騒ぎだったんだからさ~~。」「そのようで。…で、まさか、私が心肺停止に。」「…ったくよぉ~~。阿須賀なんか、2日寝込んじまって。」いきなり柚香、「うそ~~~。」「な~~訳は、ないけどさ~~。」「あ~~ん。びっくりした~~。」「分かった。」そして亮輔、「ん~~~。まっ、どうせ、真輝にも既に。」柚香、その声に、「うん。今さっき。」「おぅ。…んじゃ、これから、俺、そっち行くわ。」「わお。かかかかか。みんな、来るって。」その声に亮輔も、「わお。…まな。んじゃ。」「うん。ありがと。待ってる。」「あ、俺から阿須賀には、電話しておくから。」柚香、ニッコリと、「うん。ありがと。」そして、通話は切れる。「こんな…、とこかな。」そして、柚香、「それに…しても…。9月…かぁ~~。しかも…、もぅ…、10月が目の前…。なんか…、殆ど、感覚、バラパラ。7月…、8月…、9月…。」唇を尖らせて…。「ふぅ~~~。まっ。考えても、しょうがないけどね~~。…ってか…。…ん~~。また…、いつ陽織に変わるのか…。ちょっと…。用心しないと…。陽織から私にって言うのが、少し、分かって来たって感じもするんだけど…、私から、陽織に…が。ねぇ~~。」そして…。「…と、言うよりさ。」柚香、布団を捲って、ベッドに端坐位に。「立てるよね、私。…まさか…。」そして、スリッパに足を。ゆっくりと体を…。腰を…。「お~~~。かかかかか。立てんじゃん。ウシ。」そして…。ドアが開いて、「柚香。」「おばあちゃ~~~ん。」幸乃、泣きそうな顔で、「柚香~~~。」ベッドの上で祖母とハグ。「良かった。良かった~~。電話もらって飛んできたよ。」「う~~ん。」 LIBRA~リブラ~ vol,178. 柚香、スマホを…。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.27
コメント(0)
「悔しいのですが…。そして、残念ではあるのですが…。」熊沢。「この現実は…、受け止めておく以外には…。」幸乃、今まで、一命を取り留めて何とか安心感を…。…けれども…。またポッカリと…。「…けど。」熊沢、「私は信じたくありません。ひとりの体の中で、ふたりの意識が交差して。…そしてこれまで…。」幸乃、「先生…。」熊沢、きつく口を搾って、「回復を…待ちましょう。」幸乃、ポツリと一言。「はい。」靄が掛かっていた。煙の向こう、景色が全く見えない。「ここって…、どこだ…???…亮輔~~。阿須賀~~。」陽織、おろおろとしながらも手探りで歩いていた。突然、頭の上からけたたましい音。上を見るとヘリコプター。そして、ビルの向こうに…。すると、いきなり太陽の陽がビルの窓に反射して陽織の目に。と、同時に頭に強い衝撃。「わっ!!!」はしゃぐ陽織。そして、こちらもはしゃぐ柚香。ガレージの周りでふたり走り回りながら…。2歳児の陽織と柚香である。車の中では母親の萌衣と父親の裕司が、ふたりで後部席にチャイルドシートを。やがて…、準備も整い出発。幸乃がその車の後ろで手を振り、「行ってらっしゃい。気を付けて~~。」チャイルドシートの陽織と柚香、未だにはしゃぎながら。その声に運転席の裕司と助手席の萌衣も楽しそうにお喋りをしながら…。18年前のゴールデンウィーク。車は横浜に向かっていた。ちょっとした車での小旅行である。夫婦それぞれ、一応プランを立ててのドライブがてらの小旅行。その時々でプランを変えてもOK。高速を軽快に走行。そして、一般道に。天気も快晴。交差点で停止。その瞬間、「バンッ!!!」一瞬の出来事。前の車は4トン車。そして…。追突してきた車は、大型ダンプトラック。しかも、何故かその追突した大型ダンプトラックの車体は僅かに斜めに。4トン車と大型ダンプトラックの間の白い普通車は完全大破。生存者はゼロ。そんな情景を、宙を漂いながら涙を流しながら見ている陽織。騒然としている現場。その後、救急車が何台もその現場に。警察車両も当然ながら…。そして…、自分の体が別の誰かに引っ張られたと言う訳ではないが、スゥ~~と、その現場から引き離されて行く。スゥ~~っと、息を吸って。そして、傍と目が覚めた。目をパチクリと。そして、「あれ…???…私~~。ここ…???」目をキョロキョロと…。「えっ…???」僅かに起き上がり、そして、「うそ。」周りを見回して、「はっ…???…もしかして…、病院…???…えへ…???…ってか…、なんで…???…えへ~~???全~~然…、記憶、ないんですけど…。えへ~~~。…って、事は~~。あ~~ん。陽織~~~。どうなってる~~~。」柚香。で、ある。「あ~~~ん、もぅ、この際。どうにでもなれっ。」ナースコールのボタンを。聞こえてくる看護師の声、いきなり、「お待ちください。」柚香、「…に、なるよね~~。」心肺停止から蘇生。そして…、3日目の午前9時。ドアをノック。そして、入って来る看護師、そして野呂。「汀さん。」柚香、ベッド上で起き上がり、そして右手を上げて、「はい。汀、柚香で~~す。」看護師も野呂もいきなり両肩を落として、「あは~~~~。良かった~~~。」看護師は、思わず涙を浮かべて、目に指を、「柚香さん…。今まで、意識、なくって…。心肺停止まで。」その声に柚香、びっくり仰天、「うそ~~っ!!!」そして、「いやいやいやいや。有り得ない。有り得ない。なんで私が、心肺停止~~。死ぬトコじゃん。」野呂も薄っすらと涙を浮かべて、「いやいやいや。驚きました。陽織さんではなく、柚香さんですよね。」その声に柚香、口を真一文字に、そして頭をコクリと、「はい。間違いなく、柚香です。あ、おばあちゃんに。」野呂、ニッコリと、「はい。畏まりました。」看護師に。看護師、ニッコリとして。 LIBRA~リブラ~ vol,177. 熊沢、「私は信じたくありません。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.26
コメント(0)
病院に駆け付けた幸乃。そして病室に。「柚香っ。陽織っ。」陽織のベッドの周りで、野呂と看護師たち。幸乃、「先生っ。看護婦さんっ。」それぞれを見て。医師も看護師も疲労困憊の形相で…。けれども…。野呂、疲れ切った笑顔で…。そして顔を頷いて、「何とか…、一命は…、取り留めました。」看護師、「凄かったです。もぅ~~、完璧に…。」涙を流しながら…。「奇跡と、言うしか、ありません。…17分。」野呂。幸乃、「えっ…???」ゆっくりとベッドで眠っている陽織に近づきながら…。野呂、そんな老婦人を見て、「普通なら…、もぅ…。」看護師たちも数回頷いて…、「時間が経つにつれて、絶望的に…。…けど…。」「通常なら…、10分経てば…もはや…。」野呂。看護師、「先生が、何度も何度も。諦めずに。」ベッド上で静かに息をしている陽織。幸乃、陽織の顔に顔を埋めて、「陽織~~~。あ~~っあぁぁぁぁ。」モニターのサインはしっかりと…、動いている。野呂、「汀さん。おばあちゃん。とにかく。…これで一安心です。」そして…、「看護師が、着いてくれてますから。」幸乃、疲れ切った表情で医師に深々とお辞儀をして、「ありがとうございました。」「それでは、私はこれで…。」幸乃、何度もお辞儀をして。その後、幸乃は陽織に付きっ切りで…。モニターを見ては、陽織の顔を…。頭を撫で、頬を撫で…。静かに眠る陽織。午前5時。病室に、熊沢、「おばあちゃん。汀さん。幸乃さん。」幸乃、「先生…。」「電話を受けて私も…。」白衣姿の熊沢。「大変だったですね~~。…まさか、心肺停止になるとは…。担当した先生も、原因は全く…。」幸乃、「えぇ。私も…。」首を横に振って。「ただ。」熊沢、そんな幸乃に、「ただ…。」「えぇ。…ただ…。夜中に、病院から電話があったその前に、陽織の母親。あ…、つまりは…、柚香の母親ですけど…。」熊沢、幸乃を見て、「あ、はい。つまりは…、柚香さんと陽織さんのおかあさん。」「えぇ。その母親の妹からいきなり電話が来まして。」「はぁ…。」「電話に出た途端に、おばあちゃん、柚香に何かあったっ!!!…って。」熊沢、いきなり、「はっ…???…えっ…???…それって…、どういう…???」幸乃、夜中の出来事を熊沢に話す。そして熊沢、「はいはいはい。前にもおばあちゃんから、その話は…。」「えぇ。…私も特に…。今まで、このような事は、全く…。」熊沢も、「えぇ。」「でも…。」幸乃。「まさか…。萌衣の妹の流伽にまで…。」瞬間、「あっ。萌衣と言うのは、柚香と陽織の母親の名前。そして、流伽と言うのが、萌衣の妹の…。」熊沢、「はい。その妹さんにも、夜中に柚香さん、陽織さんのご両親の霊が…。」幸乃、「えぇ。あまりにもいきなりで…。驚いて電話をって…。それに…。その前には私の…、部屋の壁の前に、ふたりで座って…。何やら、陽織をお願いとか、どうとか…。」その話に熊沢も、「ん~~~。」腕組みをして、「不思議な…、事です。…それにしても…。」ベッドで眠っている陽織を見て、「倒れて運び込まれたのは、陽織さん。原因は不明。しかも…、今度はいきなり何の前兆もなく、いきなり心肺停止。…しかも…、17分で蘇生する。…通常であれば、考えられない。」椅子に座って熊沢の話を聞きながらも幸乃、「えぇ。」熊沢、「おばあちゃん…。幸乃さん。」幸乃、顔を上げて、「あ、はい。」「通常であれば、こういう事は…、まず担当医からの話になります。…ですが…。」目をパチクリと幸乃、「あ、はい。」「野呂先生も、おぱあちゃんには、今、身体的に心配は…、掛けたくないと…。多分。」幸乃、少し、顔を傾げて、「先生…???」熊沢、慰めるようにも幸乃に、「おばあちゃん。…17分です。」幸乃、その言葉に、「えぇ…。」「通常であれば…、10分も持たずに…。…心肺停止になった場合…。まっ。確かに、稀に、症状はあるとは、思うのですが…。」幸乃、「先生…、何を…???」「看護師の話によると、巡視の2時には別状、問題はなかった…。ですが、その後です。」目をパチクリと幸乃。熊沢、「その後、誰もいないはずの病室からナースコールがあったそうです。そして、看護師が駆け付けた時には、もはや…、既に…。ただ…、陽織さん自身がそのナースコールを…、押したのなら、その時点から…と、なりますが…。意識を失っている状態で、果たして、ナースコールを押せたかどうか…。それに…、時間的に、看護師と医師が確認した17分。」幸乃、熊沢の話を聞きながら、「えぇ…。」「もしかしたら…。後々、何らかの…、障害…。」瞬間、幸乃、「あっ。」 LIBRA~リブラ~ vol,176. 病院に駆け付けた幸乃。そして病室に。「柚香っ。陽織っ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.25
コメント(0)
けれども亮輔、「ちっ。くっだらねぇ~~~。」「まっ。…でも…、許してあげるよ。」前を歩きながら阿須賀。そんな阿須賀に後ろから亮輔、「な~~にが、許してあげるよ~~だ。…ったく~~。」「まっ。せいぜい陽織ちゃん、大事にしな~~。」「だ~~から、何言ってっかな~~。」阿須賀、またまた亮輔に振り向いて、「へへん。顔に書いてある。俺は陽織ちゃんの事、好きだって。」「バッカじゃねぇか、おま。」そんな亮輔に阿須賀、前を向いて、「はいはい。私はバカですよ~~。トンチンカン過ぎるほどの、バカですよ~~~。…けど…。私は負けない。亮輔が陽織ちゃん、好きでも。私は負けない。絶~~っ対、私は負けない。」「な~~に言ってんだか~~。」そしていきなり振り向いて、今度は亮輔の左腕を占領して、「それだけ、亮輔の事が好きだって、言ってんの。」いきなり亮輔、「お~~ぃ、おぃおぃ。」阿須賀、途端に、「ふふ~~ん。」「…って、バカ、おま。病院だぞ、ここ~~。」「いいも~~~ん。」病室では…。幸乃、真輝と愛実に、「真輝君、メグちゃん、ありがとうね~~。」そんな幸乃に真輝、ニッコリと、「いえいえ。とんでも…。」愛実も、「ううん。気にしないでおばあちゃん。」その時、幸乃のスマホに。幸乃、画面を見て、一度、躊躇ってはみたが…。ふたりを見て、「藪岡先生から。」真輝も愛実も、頷いて。幸乃、画面をスワイプして、「もしもし。汀でございます。」スマホから、「藪岡です。…そちらは…。今…。」幸乃、「えぇ。まだ…、意識は戻ってない。静かに眠っています。」「そうですか~~。」そして…翌日。そして、そのまた翌日も…。……耳元で、囁くように、「おかあさん。陽織を…、半年の間だけ…。お願い。」女性の声。そして、「頼む。かあさん。陽織、半年の間だけ…。…それだけでいい。…柚香の体を借りて…。」その瞬間、幸乃、目を覚ます。…すると…。壁の前に座っている薄っすらとしたふたりの姿。裕司と萌衣の…。幸乃、今度はしっかりと、その姿を。そして、「おまえたち。」ふたりの姿は薄っすらとしながらも次第に…。幸乃、目をパチクリと。そして、両眉の先端を吊り上げて、「まさか…。…今の…。」頭を傾げて…、「亡霊…???」そして幸乃、「…ん…???…、確か…、何やら…。陽織を…。」また、頭を…。「お願い…???」時計の針は、午前2時半。いきなり、幸乃のスマホに、「えっ???…この番号…。確か。」そして、「もしもし。おぱあちゃん。私。流伽です。我孫子流伽です。萌衣の妹の。」幸乃、目をパチクリとさせて、「あ。はい。はいはいはい。流伽さん。」スマホの向こう、「柚香に、何かあった…???…今、いきなり目の前に死んだはずのおにいさんとねえさんが。」その頃…、病院では…。懸命に医師が蘇生術を。つまりは…。陽織…???柚香の…、心肺停止。突然、幸乃のスマホに着電。看護師、「先生っ!!!」懸命に胸の下を両手で押さえて、「一体、どういう事だぁ~~???」脳神経外科医師の野呂一馬(のろかずま)。「2時までは、大丈夫だったんだよな~~。」看護師、「は、はい。それが、突然、ナースコールが…。来てみたら、既に呼吸停止で。」野呂が心肺蘇生を始めてから既に10分が経過していた。「なんだってんだよ~~。へっ。へっ。へっ。」11分。12分。…15分。看護師、「先生っ。」「戻って来い。戻って来い。何がどうなっちまったか。どぅいぅこったい。」そして、16分。「死なせて堪るか。お~~い。」看護師たち、「先生…。もぅ…。」「黙ってろ。」そして、「来い、来い、来い来~~い。こんな若さで。…逝かせて堪るか―――――っ!!!」既に…、17分。看護師たちも、涙を零しながら…。既に、野呂の腕の力も…。そして、ぐったりとする野呂。看護師たち、目を閉じて顔を俯き…。野呂は、ガックリとして、目を閉じ、両腕をダラリと…。「あ~~~。」…3秒ほど…。モニターのサインが…。僅かに跳ね上がり。看護師のひとりが、「へっ…???」そして、もうひとりの看護師、「うそ…。先生。」瞬間、野呂、「来た。来た来た来た来た――――――っ。お~~~し。」看護師たち、涙を浮かべて、「信じ…、られない。17分…。」野呂、「何が何でも、来た―――――――っ。お~~し。やるぞ~~。」看護師たち、涙を流しながら、「はいっ。」幸乃は、振り乱した姿で車を。既に顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。「柚香。陽織。」鼓動は割れんばかり。ただ…、自分でも不思議なくらいに運転に関しては、冷静だった。何度もハンカチで目を拭い。鼻水は出る一方。そして、口から出る言葉は、「柚香~~。陽織~~~。」涙は一向に止まる気配は…、なかった。 LIBRA~リブラ~ vol,175. 「亮輔が陽織ちゃん、好きでも。私は負けない。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.24
コメント(0)
既に幸乃は車で病院に、「陽織~~~。」真輝も亮輔からのラインと電話で、「何でだよ、ったく~~。」すぐさま真輝、愛実にもラインで。数分後にそのラインに気付く愛実、「え~~~???陽織ちゃん、倒れた~~???…で、今度は長篠…って、ユズの病院~~。もぅ~~。どういう事~~???」1時間後、病院の廊下で…。見知らぬ男性と女性に幸乃、「あのぉ~~~。汀…柚香が…。」その声にベンチに座っていた亮輔と阿須賀、ふたり共に、「あ。」亮輔、ペンチから立ち上がり、「すみません…けど…。陽織ちゃんの…???」阿須賀も立ち上がり…。幸乃、ふたりを見て、「え、え~~。祖母になります。」亮輔、目の前の老婆に、「陽織ちゃん…の…、おばあちゃん。」幸乃、その声に、「あ、はい。…あなた…方は…???」亮輔、阿須賀を見て、「俺たち…。なっ。」阿須賀も、コクリと、「うん。」そして老婆に向かって、「陽織ちゃんの…、友達の…。」亮輔、「染谷亮輔。」「広戸阿須賀と言います。」阿須賀、老婆にペコリと。幸乃、すぐさま明るい表情になって、「あぁ、あなた…方が…。…えぇ。柚香にも名前は、存じております。」そして幸乃、ふたりにお辞儀を、「ありがとうございました。わざわざ病院まで。藪岡先生から電話頂いて、すぐ。」「汀さん、幸乃さん。おばあちゃん。」後ろから声が。幸乃、振り返って、「先生。」熊沢、お辞儀をしながら3人の前に。そして、「こちらのふたりが、陽織さんを…。」幸乃、熊沢に、「えぇ。藪岡先生から電話がありまして。」「そうでしたか。陽織さん、今、検査で…。まっ。路上で、倒れただけと言いますから、特に、異常は…。…ですが、念のために…。」幸乃、お辞儀をして、「ありがとうございます。」そして、今度はそこに真輝が。愛実と一緒に。「亮輔~~~。」「あっ。おばあちゃ~~ん。」真輝と愛実。亮輔、真輝を見て、「おぅ。着いたか。」真輝、息せき切って、「いやいや。びっくりしたぞ~~。」そして愛実を見て、「駅で愛実さんとバッタリ。…で、タクシーで。」熊沢、「真輝君、久しぶりです。」ニッコリと。真輝、熊沢を見て、「先生。」思いっ切り、口の中の物を飲み込んで、そしてお辞儀をして、「ご無沙汰しております。」愛実、「…で…???…ユズの方…。あ、陽織ちゃん…???」幸乃、愛実にコクリと。熊沢、「陽織さん。今、検査中で…、もぅ少々、お時間…。」そして熊沢、亮輔と阿須賀を見て、「おふたりの話だと、通りを歩いていて、空からヘリの音で、見上げたら、太陽の陽がビルの窓に反射して、それと同時に、陽織さん、何らかの衝撃が…。」真輝、その話に、「衝撃…???」愛実も、「…って…???」亮輔、「あぁ。…いきなりだった。ドサッと。」阿須賀、「…で、それから、全然。」首を振って、「動かない。ダラリとして…。」幸乃、「何かね~~~。」熊沢、「柚香さんと、陽織さん、サイクルかが…。」幸乃、俯きながら、「え。え~~。」真輝、「この頃…、柚香さんになる前、陽織ちゃん、3週間もず~~っと。…で、ようやく、柚香さんに戻ったと思ったら、わずか3日でまた…。…で、今も。」みなもその話に頷いて。熊沢、「ん~~~。…とにかく。意識がない以上、病院にとどまっていただく他に。」その声にみなが頷いて、「えぇ。」「あ。」「はい。」「そぅ…。なるよね…。」確かに、検査中も全く目を覚ます事ない陽織。そして…。また、新たに…、病室に…。暫くして亮輔、阿須賀を見て、「俺たち、じゃあ。」真輝も愛実も、「あっ。」幸乃、ふたりに、椅子から立ち上がり丁寧にお辞儀を、「ありがとうございました。」真輝も愛実も、「うん。」そして…。廊下を歩く亮輔と阿須賀。「なんとか…。これで…。」亮輔。阿須賀、「うん。…でもさ、亮輔。」そんな阿須賀に亮輔、「ん~~~???」「陽織ちゃんの事になると、凄いよね。」阿須賀を見て亮輔、「何が~~???」阿須賀、目だけ亮輔を、「いきなり目の色変わって。」「えへ~~~???」そして、「いや。」口を尖らせて、今度はグンニャリと、「…ってか…・あったりまえだろう~~。目の前でいきなり体、あんなにして倒れられちゃ、こちとらビックリするじゃん。」「そっかなぁ~~。…如何にも、陽織ちゃん。」ニタリとして阿須賀、両手を腰の後ろで結んで、「ふんふんふ~~ん。」何故かしら、軽い足取り。亮輔、「ばか。おま。…いきなり何言い出すか~~。」いきなり阿須賀、亮輔に向かって振り向いて、「エンカントでも…。キスしちゃったし。」その声に亮輔、いきなり、「は…???…あぁ~~~ぁあ…???」「亮輔、もしかして、陽織ちゃんの事~~。」「あ~~ぁあ~???」「好きになっちゃったりして…。」「何~~~???」亮輔、顔を般若のように…。 LIBRA~リブラ~ vol,174. 既に幸乃は車で病院に、「陽織~~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.23
コメント(0)
「…で…、ひょんな事から…、陽織ちゃんと…、知り合い…、まして…。」亮輔、多少也とも緊張しながらも、「…でぇ~~。またまた、ひょんな事から…、今度は、柚香さんに。」そんな話に熊沢、男性を見て、「ほぅほぅ。」そして優しそうな目で男性を見て、「ひょんな事から…。」けれども、キッパリと、「はい。とにかく。」そして男性にお辞儀をして、「何はともあれ、ありがとうございました。」阿須賀、亮輔の隣で、「ねね、亮輔。」小さな声で…。亮輔、阿須賀に顔を傾けて、「柚香さんが入院してた時の主治医だって。藪さんが。」その声に阿須賀、目を丸くおちょぼ口に。そして2度の頷き、「そういう事…。」松峰、熊沢を見て…。熊沢、「あ。…で、君たちは…???」その時、ドアが開いてストレッチャーが…。看護師数人と池端。池端、熊沢に、「特に異常は見られないんですが、意識が戻らない。これから…。」その声に熊沢、頷いて、「分かった。お願いします。」「はい。」松峰、男性に、「あの。」阿須賀、その医師を見て、思わず赤面に。そして口に両手を当てて、頭の中で、「…何…???ヤダ。かっこいい。山本耕史ばりじゃん。」熊沢も男性に頭を傾げて…。亮輔、「あ、はい。染谷亮輔と言います。」そして阿須賀を見て。阿須賀、ふたりにペコリと頭を。「広戸阿須賀…と、言います。」熊沢、「染谷…さんと…。」松峰、「広戸…、阿須賀…さん。」阿須賀、真っ赤な顔をして、「凄っ。名前、すぐ…。」熊沢、「…で…???」瞬間、亮輔、腰を低くして、「あ、あの~~。その前に…、陽織ちゃん…、これから…。」松峰、「意識消失。」熊沢、「えぇ。まだ…、意識がない状態です。体には特に異変は…。…とは、言え…。今は…、陽織さん…???…とにかく、今、これから…、MRI検査に…、少々、お時間は掛かりますが…。」亮輔、話を聞いて、「大体…、どのくらい…???」「数時間は…。」「そんなに…???」「えぇ。CTの方が、早い時間で済みますが、放射線を使用します。逆にMRIの方は磁石と電波での撮影となります。しかも、MRIの方が、詳細が…。」亮輔、少し考えながら…。「そう…、ですか~~。……。あ、私たち…。」そこで阿須賀を見て、「実は、3人で大学の講義の後、店で話を…。…その後、店から出て…。…って言うか…。」目をキョロキョロと…。「…つまりは…、陽織ちゃんに…。」熊沢、「今も、陽織さんのまま。」阿須賀、「私たち、友達になっちゃってて…。」ニッコリと。「同じ、大学でもあるから。」熊沢、「えぇ。」そして松峰を見て、「嬉しいですよね~、松峰先生。」松峰もニッコリと、「ええ。確かに。」亮輔、「…で、店から出て通りを歩いていたら、空から凄い音が。」阿須賀、「ヘリコプター。」熊沢、「おや。」亮輔、「…で、3人で空、見てたら、いきなり陽織ちゃん、倒れて。」阿須賀、顔を傾げて、「もしかして…、眩しかった…???」熊沢、「うん…???」松峰も、「熊沢先生。」熊沢、女性に、「すみません。お嬢さん。…あ、いや…、失礼。広戸…さん…???…でしたか…???」阿須賀、目をパチクリと、「あ、はい。あの時、亮輔は私陽織ちゃんの前を…。私と陽織ちゃんが大体…。60センチくらい離れて歩いて…。…で、ヘリコプターの音で空を…。その時、ビルの窓に太陽の陽が反射して…。…その瞬間です。いきなり陽織ちゃんが頭をカクンとして…、倒れ…。」亮輔、「えっ…???そうだったの…???」阿須賀、亮輔に、頭をコクリと、「うん。」松峰、熊沢に、「普通…、陽の光が窓に反射して、倒れる…とは。」熊沢も、「えぇ…。」「もしかして…。衝撃…???」ポツリと亮輔。熊沢、「衝撃…???」松峰も、「うん…???」亮輔、ふたりに、「あ、いえ…。真輝から聞いた話なんですけど。」熊沢、「真輝君。あ、はい。…と、言いますと…、染谷さんは…、真輝君と…???」「あ、はい。同じ大学です。」「あっ。そうか。」左手の平に右握り拳を、「そうなるか。柚香さんも真輝君とは同じ大学。」頷きながら、「柚香さんと陽織さんとで、みなさん、お知り合いに。」亮輔も阿須賀も、「あ、はい。」亮輔、「…で、真輝が言うには、陽織ちゃんが柚香さんに戻る時は、何かしらの衝撃があるみたいって…。実際、そういう事、起きてるんです。」熊沢、話を聞いて、「はぁ、はぁ、はぁ。…なるほど…。」松峰、「まっ。確かに、医学的にも、衝撃療法と…、言うのが…、ありますが…。…けど…。今回の場合は…。」熊沢、腕組みをして、「う~~~ん~~。」亮輔、「あ、すみません。また…スマホで…。連絡しないといけない人が…。」熊沢、その声に、「あ~~。はいはい。」松峰、「是非、お願いします。」 LIBRA~リブラ~ vol,173. 「何はともあれ、ありがとうございました。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.22
コメント(0)
ようやく1階。そして、別棟に。松峰、「緊急…???」熊沢、ドアを開いて。看護師たち、熊沢に一礼を。池端(いけはた)、訪れた熊沢に、「先輩。」松峰もようやく。そして、「へぇ~~~。いきなり走るから。」そんな松峰を見て看護師たち、可笑しがり。そして、一礼。そんな看護師たちに松峰、困ったような笑顔でVサイン。その笑顔に看護師たち、思わず、はしゃいだように。救急車、到着。池端、熊沢に、「汀柚香。20歳。道路上でいきなり、意識消失。」ストレッチャーが外に。救急隊員、「バイタル、128の76、85と安定。呼吸は浅い。意識消失はそのまま。」数人で運び込まれる。そして、ひとりの男性が救急車から。隊員、医師たちに、「一緒にいた人です。長篠観音総合にと…。この人から。」熊沢、男性に、「ありがとうございました。」亮輔、「あ、いえ…。」そして、「あ、あの…、彼女。」熊沢、男性に、ニコリと、「えぇ。汀柚香さん。…もしかしたら…。陽織…さん…???」その一言に亮輔、目を丸く…。「えっ…???…あ、はい。お願いします。」ストレッチャーはすぐさま初療室に。亮輔、設備と人数を見て、「凄ぇ~~~。ひとりを…、何人掛かり…???」熊沢、「えぇ。病院とは、こういうところです。」松峰、熊沢に、「いやいやいや。びっくり。まさか…、柚香さん…???」熊沢、そんな松峰に、「はははは。池端に、感謝ですよ。スマホに、電話くれました。ははは。あいつらしい。」松峰、熊沢にニッコリと、「さすが、後輩。…そして、先輩。」熊沢、そんな松峰に、「何言いますか、松峰先生も。」「まっ。確かに。」熊沢、松峰に、「ナースも喜んでる。イケメンの松峰先生~~。」「揶揄わないでください。」そして松峰、「そちらの方は…。」そこにようやく、亮輔に阿須賀。「亮輔~~~。」亮輔、阿須賀に、「おぅ~~。ははは。着いたか。」「う、うん。陽織ちゃん。」その声に松峰、「陽織ちゃん…???」熊沢、「えぇ。運び込まれた…、柚香さん…ではなく、陽織さん。」松峰、両眉の端を吊り上げて、「はい…???」亮輔、「と~~。」いきなりスマホを…。そして傍の医師に…。「あの…、すみません。ここ、スマホ…???」熊沢、「あ、あ~~。向うの方でしたら、構いません。」初療室からかなり離れた場所を指差して。亮輔、医師にペコリと。そして、医師の後ろを…。松峰、「彼らは…???」熊沢、「分かりません。ただ…、陽織さんと、一緒だった…。…と、言うだけで…。」「何…????…陽織ちゃんが倒れて救急車…???…で、今、長篠観音総合。なんでまた…???」スマホからの藪岡の声。その声に亮輔、「いや。…そんな事言ったって、俺たち自身、ビックリして。阿須賀と一緒に。」「あっ、そうか~~。阿須賀ちゃんも一緒。」そして藪岡、「とにかく。…あ、いや…。ありがとう。と、言うべきだな。…それにしても亮輔。長篠観音総合。ははは。ファインプレーだ。」亮輔、ニコリと、「…んな事、言ってもさ。」「いやいやいや。咄嗟に柚香さんの以前の入院してた病院なんて、普通、思い出せないぞ~~。はは。大したもんだ。」亮輔、ニコリとしながら、「はははは。あ、俺、これから真輝に連絡。」「おぅ。そうだな、真輝君も心配。俺の方は、おぱあちゃんに連絡するわ。まっ。熊沢先生もいるから、安心だけど。」亮輔、顔を傾げて、「熊沢…???」「柚香さんの…、担当医だった人だ。」その声に亮輔、目を丸く、ぐるりと。「へぇ~~~。」阿須賀はそんな亮輔の傍で…。亮輔、スマホに、「あいよ。分かった。」通話は切れる。阿須賀、「亮輔~~。」「あぁ。今、藪さんには連絡した。」「う、うん。それより、陽織ちゃん。」「あぁ。ここにいれば、大丈夫さ。」そして、戻って。亮輔、医師のふたりに…。「すみま…せん…けど…。」目をふたり交互に、「熊沢…先生…は…???」熊沢、そんな男性に、目をパチクリと…。「私…。ですけど…。」松峰、男性を見て、熊沢を見て、「…???」亮輔、恐縮な姿勢で…。「あの…、私~~。」その瞬間、阿須賀、「ぷっ。」頭の中で、「…私って…、似合わないって。」可笑しがりながら。亮輔、「藪岡海路の…、その…。」すぐさま熊沢、「あぁ~~~。藪岡先生。はぃはぃ。」松峰、思わず、右目を歪めて…。熊沢、「藪岡先生。いつも、お話を…。」亮輔、恐縮がりながら、「私…。藪岡の…、何と言いますか…。親戚筋に…。」思わず熊沢、「おやおやおや。」亮輔、続ける。「…で…。陽織ちゃん。…あ。いえ…。失礼。」亮輔の隣で阿須賀も、恐縮しまくりで…。亮輔、「実は…。陽織…。」顔を傾げて、「柚香…さん…。と、同じ、大学で…。」熊沢、そして松峰も、「おやおやおや。」「へぇ~~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,172. 「汀柚香。20歳。道路上でいきなり、意識消失。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.21
コメント(0)
「さ~~てと~~。出るか。」亮輔。その声に阿須賀、「だ~~ね~~。」陽織も、「おぅ。」通りを歩きながら亮輔、「暑っちぃ~~。」そして、「かかか。店を出るとな~~。」阿須賀、「まっ。しゃあないでしょう~~。」その時、空からけたたましい音。思わず3人空を…。亮輔、「ほほぅ~~。ヘリかぁ~~???テレビ局…???…それとも…新聞…???…と、言う事は、何かしら…事件…???」空を見上げる阿須賀、「凄いよね。あんなに低く。それにしても、凄い音。」亮輔、「あぁ。」そして、陽織も。その瞬間、「わっ!!!」ビルの窓に太陽の陽が反射して陽織の目に直撃。それと同時に激しい衝撃が陽織の頭を。そのまま陽織、いきなり気を失いその場に倒れる。亮輔、傍にいるはずの…、すぐさま、「へっ…???陽織っ!!!」阿須賀も、「陽織ちゃんっ!!!」倒れたままで動かない陽織。すぐさま亮輔、陽織の体を、「陽織っ!!!陽織ちゃんっ!!!」阿須賀、「えっ…???あっ…???ひ…、陽織っ。…ああ…、どうして…。」亮輔、陽織の体を持ち上げて肩を。何度も名前を呼ぶがダラリとしたままの陽織。阿須賀、口を押えて、「何々…???…どうして…???こんな…。」右左見て。「あん。」両手をうろうろと…。そして、おろおろするぱかり。「あん。どうしよ…。」亮輔、体を抱いて、「陽織っ。陽織っ。陽織ちゃんっ。」次第に人が集まってくる。「どうした…???」「どうしたの…???」「えっ…???…なに…???」亮輔、険しい表情で、「くっそ~~。何がどうしたってんだぃ。」陽織の両肩を交互に揺さぶりながら、「おぃ、陽織。」そして、「あ、あ、阿須賀。救急車。救急車だ。救急車に電話。119番。早く。」その声に阿須賀、「あ、あ、あ…、うん。」バッグからスマホを…。「う。うん。分かった。」…けれども…、「え…、え…と~~。」スマホを持つ手が震えて。「あ、あ~~ん。もぅ~~。亮輔~~~。」もう少しでスマホを落としそうに。亮輔、そのスマホを、「貸せっ。」阿須賀からスマホを奪うように取り、ロック画面から緊急通報、そして…。「もしもし。人が倒れた、救急車。」そして、10分程。全く動かない陽織。その場は既に、数人の人だかり。サイレンを鳴らして救急車。ストレッチャーが…。救急隊員に亮輔、「いきなり倒れて。何がどうなったのか、俺たちも分かんなくって、とにかく、救急車をって。」ダラリとしたままの陽織。救急隊員、「意識消失。脈はある。呼吸安定。とにかく。」そして、「1、2、3。」そしてひとりの救急隊員、男性と女性に、「あなたたちは…???」亮輔、「あ、俺、一緒に行きます。」そして亮輔、「阿須賀、おま、後、着いて来い。タクシーで。」その声に阿須賀、コクリと、「う、うん。分かった。」ストレッチャーが救急車に。一向に目を覚まさない陽織。亮輔、「おぃおぃ、陽織~~。なんだってんだよ~~。」自然に陽織の右手を握る亮輔。「頼むぜ、陽織よ~~。」阿須賀、四方八方見渡し、ようやく、「あ、あった。」駆け足で。「す、すみません。あの救急車、着いて行ってください。」救急車の中で…。隊員たちが、「了解。これから、最寄りの病院に。」間髪いれず亮輔、「どこの病院ですか…???」隊員、「舟形(ふながた)病院になりますが…。」「ふな…がた…。」瞬間、亮輔、目を右左に。そして、隊員に、「すみません。長篠観音総合にお願い出来ますか。この人、前にそこの病院に入院してて。」隊員、「分かりました、すぐに確認を。」そして亮輔、「この人の名前、汀陽織。」けれども一瞬、亮輔、「あ、汀柚香。そう言えば、分かるかも。」隊員たち、無線で…。そしてこちらではタクシーの中の阿須賀。ようやく救急車に追いついて。運転手、「いやはや、ようやくですね。追いつきました。」阿須賀、助手席の背もたれに左手を、「どこに…。」隊員、「確認が取れました。OKです。長篠観音総合に向かいます。」長篠観音総合病院、緊急救命、「女子1名、意識消失、原因不明。氏名、汀柚香~~。」医師と看護師、「汀…柚香…。前に…。」その中の医師のひとりが、「お~~っと~~。」看護師のひとりも、「あ。もしかして…。」熊沢のスマホに着電。「おぅ~~。池端先生~~。緊急が、何か…???」スマホの声、「汀柚香さん、運ばれて来ます。」瞬間、熊沢、目を丸く、「何だってっ!!!」いきなり熊沢、その場から駆け足で。ナーステーションの前を通過。看護師たち、「先生…???」松峰も、カルテを見ながら、「え…???…今の…。」顔を右左に、「もしかし…、熊沢…???…あ、ちょっと。くまざ。」松峰も追い駆ける。熊沢、エレベーターを使わず階段を…。松峰も、「熊沢先生~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,171. その時、空からけたたましい音。思わず3人空を…。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.20
コメント(0)
「電話での…、汀さんの話によると…。」惠都子と松峰を見ながら熊沢、電話での内容を話す。松峰、腕組みをして、「ん~~~。…何とも…。つまりは…、霊…。心霊現象…。」惠都子、「…何かが…、ある…???」熊沢、「私にも…、何とも…。…とにかく、おばあちゃんには、信じる以外にありません。我々は、常に、信じています。と、念を押してはいるんですが…。」そして…。陽織になったままで…。またしても1週間が過ぎた。陽織にすれば、未だに姉の柚香には戻らない状態で…。ただ、毎日ではないのだが、日数を置いてエンカントには通っていた。いつもの時間と同じように。そして…。普通なら、夜中に見せに入って午前3時まで。そして家に帰って朝。そして、それから大学に行く。そういう生活を繰り返していれば、必然的に体の方が…。確かに、意識は陽織であっても、身体は柚香のまま…。確実に身体の方が疲労困憊、するはず…、なのだが…。一向にその気配は…。それを気遣ったのが、ルシア始め、始めも亮輔も阿須賀も。そのせいか、店ではルシアも肇も、客の手前、陽織にその事を話す事は…。ただ、陽織に、耳打ちするようには…。けれども陽織の方が目を丸くして、口を窄ませて、首を振る。そして、ニッコリと。しかし…。亮輔と阿須賀が行く、大学近くのいつもの店で…。亮輔、「陽織ちゃん、いい加減に、店に行くの。」阿須賀も、「そうだよ。そんな…、深夜~~。夜中だよ~~。まっ。確かに、私や亮輔は~~。まっ。当たり前って言ったら、変だけどさ~~。もぅ…、体、慣れちゃってるから~~。…それに…、大学の方だって…。…そんな…、自分のペースで…。…優等生って訳じゃないし…。…何て言うの…、遊びと勉強…、ある意味、両立って言ったら変だけど~~。」亮輔、いつもより厳しい表情で、「体が…。」そこで口ごもり、「…いや…。こんな事、陽織ちゃんに言ったら、申し訳、ないんだけどさ。」目をキョロキョロと、口を尖らせて、「体…は。」そして、「ルシアも肇さんも、心配…。」その声に陽織、「分かってる。分かってる。…でも。オーナーにも、店長にも言われた。…でも、体は大丈夫。…って、言うか~~。…私にも、分かんないんだけど。…自然に、体の方が、動いちゃう。」その声に亮輔も阿須賀も、両眉の先端を吊り上げて、「自然に、体の方が、動いちゃう…???」そしてふたり、共に、顔を見合わせて…。亮輔、顔だけ前に、陽織に、「…って、どういう事…???」陽織、「私、夜の9時には、普段と同じように、ベッドに入るの。」キョトンと亮輔、「健全な生活スタイル。」瞬間、阿須賀、「ぷっ。…って、亮輔。」可笑しがりながら…。「まっ。私は、昔っから、夜更かしばっかりだったから。自然に体は…。」亮輔、そんな阿須賀に、左目を歪ませて、「昔、ヤンキーだもんな~~。」「うるさい。」陽織、「…けど…。不思議に夜中に目を覚ます。…で、足がそのまま、進んじゃう。…で、3時には店を出て~~。家では朝、目を覚ます。…でも、体自体は、全く、なんでもない。」目を真ん丸に。そして口を尖らせて。阿須賀、「そんな事って…、有り得る…???…つまりは…。…数か月前までは、って言うか、1か月…半…前…???」亮輔、阿須賀のその声に、「まっ、ま~~。そんな…、感じ…???」「体は…、柚香さん…なのに…。」「とにかく。」陽織。「私は、この通り、何でもない。大学にも通えば、夜に、店にも出る。そして~~。亮輔と阿須賀とも、今まで通り。」「いや。」亮輔、「それは…、確かに。…嬉しいけどさ~~。」阿須賀を見て。阿須賀も、亮輔を見て、「う、うん…。」「…で…、何…???…今、真輝とは連絡。…それに…、友達の…。え…と~~。」阿須賀、「愛実さん。柚香さんの友達。」「あ、そぅそぅ。その…。」「ん~~~。」陽織。「連絡は…、ないよね~~。…私も…、特に…。…それに…。私。お姉ちゃんからの、あの、メモ。」その声に亮輔と阿須賀、「あ、あ~~。うん。」「あのメモ、おばあちゃんにも見せたんだ。…そしたらおばあちゃん、うん。柚香だったら、こうするよって…。とにかくあの子は前向き。うじうじはしない。やるっきゃないって思ったら、その通りにする。だから何でもかんでも。自分で行動。好奇心の塊。…それに…、かかか。推理好き。」いきなり亮輔と阿須賀、「ぷっ」「かかかかか。確かに。」阿須賀、「藪岡先生のところに行ったときも、そういう事、言ってた。落ち込んでなんていられない。そういうの、私、嫌なんですって。」「そういう割に、酒が飲めない。」亮輔。阿須賀、右眉を歪ませて、「亮輔。」 LIBRA~リブラ~ vol,170. 「電話での…、汀さんの話によると…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.19
コメント(0)
真輝、目をキョロキョロと。そして、「あっ。…そぅ…か。…はは。うんうんうん。そぅか。…そうだよ。…そぅいう事だよ。はは。」そして、ニッコリとして、「ばっかだな~~。俺。はは。そうだよ。死んだ訳じゃ、ないんだよ。かかか。こんな簡単な事~~。」そして、こちらでは…。朝から食欲のなかった愛実。朝の食卓で母親から、「な~~にぃ~~。朝からブスッとした顔で~~。昨夜はあんなにニコニコと~~。それに引き換え、凄い、ムッツリとした顔で~~。何があったかは、知らないけど~~。…そんな…、ブスっと、ムスッとしてぇ~~。事故なんて、起こさないでよ~~。」昼からのシフトの母に、最後は、口を尖らせながらも、ポツリと…、「行ってきま~~す。」午後の講義の前に、頭を両手で、「あ~~ん~。なんでよ、ユズ~~~。もぅ~~~。」こちらは幸乃。スマホで熊沢に…。「先生…。」熊沢、幸乃の話に、「…夢…???…と言うか…、おばあちゃん。幸乃さん…。それって…。つまりは…、霊…???」幸乃、「…なのかは…。…分からないんですけど…。…なんだか、最近…。私にも…、変な…。」熊沢、受話器を耳に、「ん~~~。…何かが…、起きている…???…と、言うか…。…何かの…、前兆…。…いや…。私の…、憶測でしか、ないんですが…。」そして、熊沢、「おばあちゃん。幸乃さん。…もしかして…、妙に、気になる…、のであれば…。…それこそ、その分野の専門の…、藪岡先生に…。まっ。…でも、おばあちゃんの場合は…、別に、体に…。そして、精神的にも、特に。」「えぇ。それなんです。特に…、体も精神的にも、極々、普通に…。ただ…、変な夢とか…、幻…???…と、言うか…。」そこまで言って幸乃、可笑しがりながら、「変な話。私…、生まれてこの方、心霊現象というのを…、一度も。」その声に熊沢、「かかかかか。…あ、いえ…、失礼しました。いやいやいや。実は、私もですよ。今まで、そんな経験は…。」「大丈夫だとは…、思うんですけど…。…妙に気になって~~。柚香も今、あんな状態で…。いえ…。3週間、陽織のままで…。それが、昨日、また突然に、陽織から柚香に戻ったと思ったら、今朝になって…。また陽織に。…で、夜中に、私、そんな…、部屋の中で…。死んだはずの…。」「そうですか~~。」熊沢。「まっ。実際、世の中、不可思議な事はあるものです。…ただ。…実際、今、柚香さんの身に、何かが起こっている。この事は確かです。実証済みですから。…でも、これだけは言えます。毎日、柚香さん、若しくは陽織さん。とにかく元気で生活している。生活に何ら支障に来す事は起きていない。…私たちは、信じる以外にありません。いつかは。いずれは柚香さん、元の柚香さんに戻ると。」幸乃、聞こえる熊沢の話に、「先生。」「それこそ。…これで…、柚香さん、または陽織さんが、完全に、塞ぎ込んでしまう。家から出ずに、部屋に閉じ籠ってしまう。食事も出来ない。健康を害してしまう。そんな事があったら、それこそ一大事です。とにかく、待ちましょう。柚香さんにしても、陽織さんにしても、今現在、自分の身に起こっている事実に、ましてや、医療機関を受診するような考え、ないんですから。」また幸乃、「先生。」「逆に…、私たちは、この事を凄いと捉えています。とにかく、ふたり、共に、前向きです。…私は…、信じますよ。」幸乃、目を閉じて、「先生。」熊沢、受話器を耳に、「信じる以外、答えはありません。幸乃さん。おばあちゃん。」思わず、目から涙が一滴。幸乃、「先生…。ありがとうございます。」「おばあちゃん。幸乃さん。しっかり。うん。」幸乃、思いっ切り、「はぁ…。」そして、鼻水を啜って、再び、「先生…。ありがとうございます。」熊沢、「お願いしますよ。」「ごめんくださいませ。」通話は切れる。幸乃、正座をしたその太腿にスマホを握った左手を…。そして右手も…。強く、強く、抑え込んで、「柚香~~。陽織~~。」熊沢、受話器を元に、「ん~~~。」師長の惠都子、「先生…???」そこに松峰、「熊沢先生、ちょっといいですか…???…おや…。どうなされ…???」そんなふたりに熊沢、「いえね。汀…。」惠都子、「あぁ、柚香さん。」松峰も、「あ~~。はいはい。…で…???」「未だに…、現象は、続いている。しかも…、陽織さんになって3週間も…。そして柚香さんに戻って、僅か3日でまた陽織さんに。」惠都子、「うそ。…そんな…。」松峰、「はい…???…なんで、そんな…。…って…。えっ…???」「そして、今度は。」熊沢、「おばあちゃんの…、幸乃さん。」松峰、瞬きして、「おばあちゃん…???…はっ…???」 LIBRA~リブラ~ vol,169. 「ばっかだな~~。俺。はは。そうだよ。死んだ訳じゃ…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.18
コメント(0)
海路、妻に、「今、二十歳。大学2年の女性だ。…ただ…、これは…、個人情報に、なるんだが…。」「…って、パパ。…個人情報になるって…。でも…、パパの患者じゃ…、ないんでしょ。」「そういう…、事に、なるか。」有美香、そんな夫に、コクリと、「うん。」「その子には…、双子の妹さんがいて…。…実は、その妹さん、2歳の時に事故に遭って亡くなってる。…で…。何故、こういう事になったのかは、全く不明だが、突然、その子に、その…妹さんが…、乗り移った。感情も意識も、全く異なる。しかも…、2歳の時の記憶しかない。」「う~~っそっ!!!」「そして、今も、その症状が、何も改善されないままに、続いてる。」「そんな~~~。じゃ…、すぐ…、病院に…。」瞬間、海路、「いや。…なんだ…けど~~。彼女が、それを…、望んじゃあ~いない。自分から病院に行くと言う、意思がないんだ。」その声に有美香、「どういう事…???…それじゃあ、治るものも、治らない。」「…と、思うだろ。…けど…。その子は…。…確かに。病院に行けば、何かしらの治療…。」「うんうんうん。」「けど…。仮に、その子が、病院に行ったとする。何かしらの治療が施された…、と、する。」有美香、またコクリと、「うん。」「けど…。そこに、また、今度は妹さんの意識に変化して…。そして、同じように病院に行くように説得をする。…なんだ…けど…、果て、その子は…、それを、承諾…するだろうか…。自分は、既に、2歳の時に亡くなっていると言う事を、認識しているんだ。正に、別人格。しかも、自分はこの世界にいる事自体、存在しえない。そこまで認識している。但し、自分が今、死んだはずの人間が現実世界に存在している事を不思議に思っている。そんな子を無理矢理。」そこで海路の声が止まる。そして、「…ある意味、酷じゃないか。」「あ、あ~~。」「だから、僕はその子に、何か、相談事がある。そんな時には、連絡して。とは、言っている。…無理強ぃには、出来ないよ。」有美香、夫を見て、「……。」「それに、その子には、両親はいない。その…、2歳の時の事故で、妹と一緒に、自動車事故で亡くなってる。」「そ…、そんな…。…じゃあ、今は…???その子。」「おばあちゃんと暮らしてる。そして…、そのおばあちゃんも…、その子を…。解離性同一性障害の…。…でも、そのために病院に行かせるつもりは、ない。」「そんな…。」「孫のやりたいように…。」「えぇ~~~え…???」「その子、物凄い、好奇心旺盛でね。とにかく星に興味があって…。」そこで海路、思わず笑顔で、「はは。将来は、天文学の仕事に…。…ってね。」「凄っ。」「しかも…、妹も、最初は記憶がどうのこうの、言ってたみたいだけど…。今じゃ、その記憶力、半端なく、物事、すぐに覚えて、大学にも通っているそうだ。2歳の時の記憶しかなかったのに。僅か、1か月かそこらで…。もぅ…、現代人並み。」「うそ。凄っ。」「何か、切っ掛けも、あるみたいなんだが…。確証がない。…とにかく、見守るしか…。」「ん~~~。大~~ぃ変。ウチにも、亜葵乃がいるけど…。」海路、「あぁ。」「もし、あの子が…、そんな…。」その声に海路、「かかかか。滅相もない、物騒な事、言わないでくれるか。その子には…申し訳ないが…。縁起でもない。」有美香、思わず、口をぐんにゃりとさせて、「確かに。そぅね。」有美香、空になったお皿を数枚、重ねてキッチンに。藪岡、スマホの画面を見て、「ん~~~。どうした…ものか…。」大学で心都、柚香に、「ねぇ、柚香~~。どうした~~???…朝から、元気ないけど…。」絢美も、「うんうんうん。」そんなふたりに陽織、「へっ…???…あ、いや…。はは、なんでもないよ~~。うんうん。元気、元気~~。」そして陽織、昼にはいつも通り、学食でふたりとお昼。そんな陽織を遠くから見ている阿須賀、そして亮輔。阿須賀、亮輔に、「陽織ちゃん。」亮輔も、頷いて、「うん。」阿須賀、朝、陽織から来たラインの画像を亮輔に…。亮輔、その画像を見て、「あぁ。俺にもだ。」陽織のラインのメッセージ、「また…、戻っちゃった。」そして…、「泣きのスタンプ。お姉ちゃん、ごめん。」阿須賀、亮輔に、「陽織ちゃん、可哀想だよ。」亮輔も、「確かに。」けれども…。「…けど…。俺たちには…、どうする事も…。」そして、こちらも…。「はぁ~~~。」机の上で溜息を…、真輝。頬杖をつきながら。そして、右手で髪を搔き乱して、「あ~~ん。どうしてこぅなるんだよ~~~。」茫然としながらも…。「ふ~~~ん。」遠くの…、黒板を見てボゥ~~~っと。そして、今度は左手で頬杖。そして、瞬き。そして口を窄ませて。そして周りの学生たちを見て…、ふと。「うん…???」 LIBRA~リブラ~ vol,168. 海路、妻に、「今、二十歳。大学2年の女性だ。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.17
コメント(0)
柚香、笑いながら、「うんうんうん。確かに。藪岡先生。…確かに、渋いよ。あの顔に、口髭、顎髭だもんね~~。それに…貫禄もあれば、それでいて、優しい。」愛実、その話に、「うんうんうん。言葉も奇麗~~。」そして愛実、「でさ。でさでさでさ。」柚香、「うん。」「真輝君も言ってたけど…。…衝撃…???」顔を傾げて…。「まっ。確かに、前に、陽織ちゃん、柚香に戻った時、ベンチに体育座り。…でぇ~~。体を前に。で、その瞬間、前に倒れそうに、…転びそうになって…。」「うん。」「…で…???真輝君、陽織ちゃんと新宿に行った時も。」柚香、顔をコクリと、「うんうんうん。真輝君、後ろから大柄の男性が、背中にドン。…で、陽織、倒れそうに…。」「同じ…、ような…。」「でも…。私が…、陽織になるときは…。」両眉の先端を吊り上げて、「ん~~~。」「てか、ユズ~~~。」そんな愛実に柚香、目をパチクリさせながら、「うん…???」「うんじゃないよ~~。あんた、真輝君の事~~~。」またまた柚香、鳩が豆鉄砲を食ったように、「はっ…???」「何が、はっ???よ~~。あんた、もぅ~~~。いい加減に。」いきなり柚香、「いや。いやいやいやいや。いや。いい加減にって…。何ぃ~~。」愛実、右眉を歪めて、「…た~~くぅ~~。この子は~~。」そして、「まっ。しゃあ~ないって、言えば、しゃあ~ないんだけど~~。」「な~~によ~~。」「傍から見てるこっちの身にもなってよね~~。」「だから~~~~。」けれども愛実、「はいはい。…で…。」次の日。そして、その次の日も、特に変わりなく…。柚香は柚香のままで…。ところが…。日付が変わって…、夜中の2時…、もうすぐ時計は3時に…。「おかあさん。おかあさん。」突然、女性の声。しかも、聞き覚えの…。その声に幸乃、目を…。すると、今度は、「かあさん。かあさん。」幸乃、思わず体を起こして…。そして、右肘を布団に。「えっ…???」すると、目の前に、薄っすらと…。幸乃、瞬きして…。その時、2階では、いきなり体が…。「わっ!!!」幸乃、目の前に…。そして…、「おまえたち…。」幸乃の目の前に薄っすらと現れた…。死んだはずの柚香の母親、萌衣。そして、柚香の父親、幸乃の息子の裕司の姿。25歳の、事故に遭った当時の姿で…。そしてまた、幸乃、「おまえたち。」萌衣、「ごめんね、おかあさん。3か月。3か月だけ…。」その声に裕司もゆっくりと頷き、「かあさん。お願い。」そして、萌衣も裕司も、再び幸乃に頭を下げて、そのまま姿は…闇の中に…。幸乃、何の事か…。気付けば朝になり、目が覚める幸乃。顔を傾げて…、「夢…???…それにしても…。…あのふたり…。」2階では…。目を覚ます柚香。けれども、何故か、頭がボ~~~ッ。そして、ガッシリと目を閉じて、「ん~~~。なんだったんだよ。あれ…、夢~~~???…いきなり体毎、ド~~ン。いきなり目が覚めて…。…けど、また…。」瞬間、「えっ…???…うそ。」陽織に変わっていた。「えぇ~~~ぇえ…???」朝、6時。陽織、階段を下りて、台所に。「おばあちゃん。」「…ん…???」幸乃、声に振り向いて…。すると…、顔をクシャリとさせた…。幸乃、思わず口を噤んで。3秒ほど。…けれども…、幸乃、ニッコリと、「うん。陽織、いらっしゃい。」両腕を広げて。そんな祖母に陽織、僅かに目を赤く、そして、いきなり祖母に飛び込んで、「おばあちゃ~~~ん。」祖母を抱き締める。幸乃、そんな陽織を、しっかりと抱き締めて、「うんうん。うんうんうん。」そして陽織の頭を撫でて、「いいんだ。いいんだ。うんうんうん。陽織~~。あんたも、私の大事な孫だよ。」けれども陽織、泣きながら、「だ~~って、だ~~って、お姉ちゃ~~ん。」「大丈夫、大~~ぃ丈夫だ。柚香もきっと。大丈夫だ。うん。」既に…、何回目、だろうか…。柚香が…また、陽織に…。わずか…。3日目の…、朝だった。陽織からのラインで…。またそれぞれが…、「うそ。…たった、3日…。いや…。えっ…???…なんで…???」藪岡、朝食の食卓で、「どぅいう事だ~~。ようやく柚香さんに戻って…。まだ…。そして、今、また…。」そんな夫に、「どうしたの~~???…朝から、そんな…、深刻な顔して…。」妻の有美香。「あ、あ~~。…実は…。僕の…患者…では、ないんだが…。解離性同一性障害に、悩んでいる人がいてね。」「解離性同一性障害…。あぁ、あの…、多重人格…の…???」「ん~~。…今、目下、その障害が、続いてる。今朝、起きたら、また、意識が、別の人格になっている。」有美香、目を真ん丸に、「大~~ぃ変。…けど…。患者さんじゃあ、ないって…。うん…???」その声に海路、「あぁ。」 LIBRA~リブラ~ vol,167. 「傍から見てるこっちの身にもなってよね~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.16
コメント(0)
台所から小走りで幸乃、「柚香~~~。」祖母に柚香、再び、「ただいま、おばあちゃん。」幸乃、柚香の手を取って、「柚香、柚香なんだね。柚香だね。」柚香、キッパリと顔をコクリ。「はい。正真正銘の私、柚香。」そして幸乃、柚香を抱き締める。「あ~~。うんうんうん。柚香だ~~。ははは。」柚香、「うんうんうん。…でも、今回、3週間。」「ん~~~。確かに。まっ。陽織も、元気には、してたんだ。…でも、もしかして…、今回が…。そして、このままって…、考えると。」柚香も、「確かにね~~。大学で…。」そんな柚香に幸乃、「大学で…???」柚香、顔をコクリと。「大学の…、外…。私、道路を渡ろうとしてたの。その時、いきなり目が覚めて。そしたら、阿須賀さんが後ろから、大丈夫~~って。」頭を傾げて、「何が何だか、その時、分かんなかったけど…。」幸乃、その話に、「ふ~~ん~~。」「…で、大学の友達も、大丈夫~~って。」ふたり、台所に入って。そして、「阿須賀さんの話によると、陽織がスマホを持って、道路を渡ろうと…。その時に、いきなり二輪車。バイク…???…もう少しで陽織にぶつかるところ。いきなり目の前を通り過ぎた。だから、阿須賀さん、後ろからあぶないって。」幸乃、何かしら、柚香を見て、頭を撫でて、「なんと。」「…で、それからファーストフード行って、みんなにライン。」幸乃、ニッコリと、「そぅかぃ~~。うんうんうん。おばあちゃんも、ライン見てホッと。良かった~~~。」「まっ。確かに。…このまま、私が陽織になった…ままで、ず~~っとって。事は…。」そこまで行って柚香、頭を傾げて、「ん~~~。医学上…、どうなんだろ。…後で、藪岡先生に、聞いてみよ。」幸乃、「あ、熊沢先生にはおばあちゃんの方から。何だか、藪岡先生とも話、しているみたいで、喜んでた。」柚香、「あは。うん。」柚香、椅子に座り、「真輝君が言うには…。」幸乃、「うん。」「何だか…、衝撃があって、陽織から私に、戻る…みたい。」「衝撃…???」「うん。…でも…。その…、衝撃と言うのが、実に。…全く分かんない。」幸乃も、「ん~~~。なんなんだろうね~~。」夜、7時半。世田谷駅に愛実。「さて…と。」そして…。汀家。玄関、「こんにちは~~。」ふたり、共に、玄関に。柚香、愛実に、「ヨッ。」幸乃、「メグちゃん、ご飯、食べてきな。」愛実、「あ~~~。はは。うん。でも、今日は、大丈夫。かあさん、多分、今日、スーパーの売れ残りたんまり持って帰ってくるから。ご馳走かも。食べないと、私が怒られる。」その声に幸乃、「はは。そぅかぃ。」愛実、「ただ…。夕食中に…、ごめんね。やっと講義、終わって。」柚香、「うんうんうん。入って。」「おっ邪魔っしま~~す。」「うん。私も、エンカント、行った。すんごい、素敵なお店だよね。」愛実。柚香、「うん。確かに。私は、お店、始まる前に、行ったから、その時の雰囲気しか、分かんないけど…。」「客入りは上々。…でも、何故か、カウンターだけは空いてる。そこに、藪岡先生と言う男性と、真輝君。」「うん。」「そして…、私。でぇ~~。阿須賀…さん…???初めて会ったけど。」「うんうんうん。」「でも、後で、亮輔さん…???席、代わろって…。」「はは。優~~さしぃ~~。さすが、亮輔さん、阿須賀さんに。」「でぇ~~。陽織ちゃん。…とにかく、陽織ちゃん、客受け、いいよね~~。」その話に柚香、「へぇ~~~。」幸乃も、「おや。そんなにぃ~~。」愛実、顔をコクリと。「それに…、何とも、手際良くって。お客さんも、陽織ちゃん、陽織ちゃんって。」柚香、目を真ん丸に、「へぇ~~~。凄っ。私だったら、まず、無理。…ってか。」赤くなって、「お酒、飲めないし。」すかさず愛実、「あ~~。うんうんうん。そぅそぅそぅ。陽織ちゃん、しっかりと、ビール飲んでたよ。いやいやいや。」「うん。」そして柚香、「あ。」テーブルの自分のスマホを。「はい、これ。」スマホの画像を見て愛実、「あ~~、うんうんうん。これこれ、こんな感じ~~。すんごい、弾けてるよね~~。」そして、愛実、「とにかく、お酒、強かったような~~。」「だから…、前は私、朝、目が覚めたら、頭、ズキズキ。」「あ~~~。な~~る。」幸乃、「おばあちゃん、お風呂、見てくるね。」椅子から立ち上がり…。柚香、「あ、うん。ありがと。」ちょっとした、沈黙。愛実、「でぇ~~。ユズが、陽織ちゃんに書いたメモ。私が読んで、みんなが…聞いた。」柚香、「そっか~~~。」「…って言うか~~。真輝君も藪岡先生に、言ってたけど…。衝撃…???」愛実、顔を傾げて、「うん…???…ってか、それにしても、藪岡先生、凄い、渋い。」瞬間、柚香、「はっ…???」そして、思わず、「かかかかか。」そんな柚香に愛実、般若のような顔で、「何ぃ~~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,165. 柚香、「うそ。3週間~~???」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.15
コメント(0)
近くのファーストフード。そのイートイン。バーガーを食べながら柚香、「うそ。3週間~~???」こちらはポテトを食べながら阿須賀、「ふん。」コクリと。「長~~が~~。」「…って、言うかさ、柚香さん。この3週間、どこいたの…???」その声に柚香、目を真ん丸にして、「いやいやいやいや。いやいや。…って、それ私が聞きたい。目が覚めたら、いきなり。…ここ、どこ…???…の、世界。…って、3週間~~~。わっちゃ~~~。」バーガーをペーパーの上に、いきなり頭をガックリと。そして髪の中に左手を…。「なんなの、一体~~。」阿須賀、「あ、それより、みんなに…。藪岡先生も、真輝君も。それに…。」そこまで言って阿須賀、「柚香さんの…友達の…。あの…、えっと~~。女の人。…この前、店に来た。」いきなり柚香、「へっ…???…女の人。友達のって…。へっ…???…まさか…、メグもエンカント。」「あ~~。うん、その…、メグ。めぐみさん。」柚香、思わず目を真ん丸に、「うそ~~~。」「陽織ちゃん、呼び出した。」「え~~~???」そして、ふたり、共にスマホのラインで…。すぐさまふたりのスマホにラインの着信音。阿須賀には亮輔から。「そっか~~。ようやく~~。」そして柚香には愛実から。「や~~った~~ははは。OK。」柚香、「はは。」少しして真輝から。「今、何処にいるの…???」柚香、そのメッセージに、サササと。すると…。「分かった。今、行く。」大学の図書館で真輝、「とぉ~~~。オッシャ~~。」荷物をバッグに。そして、いつものファーストフード。入ってみると…。真輝、「えっ…???おっと~~。」柚香と阿須賀が真輝に右手を。そして真輝、ふたりの席に。「はは。柚香さん…、戻った~~。」柚香も真輝を見てニッコリと、「うん。」そんなふたりを見て、阿須賀、「じゃあ~~。私は~~。この辺で~~。」柚香、そんな阿須賀に、「へっ…???」真輝も口を窄めて、顔を傾げて、「うん…???」柚香、阿須賀に、「そんな~~~。」阿須賀、ニコニコとしながら、「邪魔しない、邪魔しない。野暮ってもんでしょ。はは。真輝君、頼んだよ~~。バァ~ァア~~イ。」瞬間、真輝、思わず手を頭に、「え~~???…あ~~。え~~と~~。」そんな真輝に阿須賀、「確かに。めんどくさ~~。イェ~~イ。」右手親指をグィっと。そして振り向いて店の玄関の方に。ふたりには後ろ向きに、右手を上げてひらひらと。柚香、そんな阿須賀の後ろ姿を見て、「ふ~~~ん。」真輝、柚香に、「ここ、いい…???」そんな真輝に柚香、ニッコリと、「うん。」真輝、椅子に座り、こちらも、「ふ~~~。」そんな真輝を見て柚香、ニッコリと、「お互いに…。ふ~~~だね。」真輝、柚香を見て顔をコクリと、「…確かに。」そして…。15秒ほど…、沈黙。お互いが…、お互いを見ていない。柚香から、そして、真輝も、「ねぇ~~。」「あのさ。」瞬間、柚香、顔を下に、「ぷっ。」真輝は顔を傾げて。「え~~???」柚香、「くくくく。」顔を上げながら、「何…???…真輝君からでいいよ。」間髪入れずに真輝、右手をヒラヒラと、「いやいやいや。柚香さんから。」すぐさま柚香、「ぷふ。」そして、顔を僅かに傾げながら空を見るように、「3週間…。ありがと。…長いね~~。」真輝、柚香を見て、遠くを見るように、「うん。まっ。でも…、陽織ちゃんも、頑張ってた。あっ。それから…。愛実さん、エンカントに来た。」その声に柚香、顔をコクリと、「うん。知ってる。阿須賀さんから聞いた。」「柚香さん。陽織ちゃんに、陽織ちゃんになっている時、楽しんでって。」瞬間、柚香、「あ、あ~~。」「陽織ちゃんに…、メモ。」「あ~~、うん。メモ、書いたね~~。」柚香、両肩をクィッと上に。口を真一文字にして、「前ね。陽織、私に、メモ、残したんだ。お姉ちゃん、ごめんねって。…それだけ。」そして柚香、バッグからそのメモを…。そして、「あっ。あった、あった、これだ。」陽織からのメモと、自分の書いたメモ。テーブルに。そして、「はは。さすがは双子、筆跡まで同じ。」メモを見て真輝、「ほんとだ~~。」いきなり柚香のスマホにライン。「あは。メグ。ん~~???今夜、行くから。顔洗って、待ってな。…はいはい。」真輝も、その声に、「はは。」柚香、真輝に、まだ残っているポテトを、「どうぞ。」真輝、思わず、「えへ…???」柚香、ニッコリと、「ふふ。うん。どうぞ。」真輝、照れながら、「じゃ…。じゃあ~~。」コクリと、「いた…だきます。」そして…。世田谷駅で真輝と別れて…。「じゃ。」「うん。じゃ。」柚香、家の玄関に。そして、「ただいま~~~。」その声に幸乃、「柚香~~~???」「あ~~。うん~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,165. 柚香、「うそ。3週間~~???」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.14
コメント(0)
「でね。」陽織。「ドキドキ、ドキドキ。…で、今度は、鼻がツ~~ンと、するし、で、涙が…。そしたら、今度は立っていられなくって…。…でも、何とか…。」肇、「おやおやおや。」ルシア、「ほほほほほ。」「後で…、そんな感情…、調べたけど…。」肇もルシアも、「うん。」「これって…。恋…???…好きな人が…、出来たって…???」肇もルシアも、共に、口を捻じ曲げる。「だから。」陽織、「私…。亮輔の事…、好きなんだ。」肇とルシア、「……。」けれども陽織、「…けど~~。こんな感情…。」陽織、そして、顔を傾げて、考えた風に、「胸に…、仕舞っておく。……。ははは。…無理だよ。…いつ、また…、柚香、お姉ちゃんに…。今は…。」今度は…少し、遠くを見る目で、「私…。3週間…。なのかな…。」肇、「う~~~ん。」ルシアも、「もぅ…、そのくらい…???」「今回。私…。長いよね。」その、陽織の、「今回。私…。長いよね。」の声に肇もルシアも、陽織に優しい笑みで…。そして、顔を僅かに傾げる。そして…。その3日目だった。藪岡から熊沢の下に電話が…。熊沢、「そぅですか~~。もぅ…、3週間以上も…。」スマホを耳に藪岡、「えぇ。」「…と、言うか…、藪岡先生は、柚香さんと陽織さんとは…、どんな経緯で…???」「あ、あ~~。私が、良く行く店で…。」「店…???」僅かながらに藪岡、可笑しがりながら、「えぇ。まっ、ちょっとした、昔からの縁で…。知り合いの店なんですよ。」熊沢、その声に、「ほほぅ~~。」「…で、その店に、陽織ちゃんがいたと。」「陽織ちゃん。…ですか~~。」「え、え~~~。まぁ…。事の成り行きで…、みんな…、彼女の事は、そんな風に。」「事の成り行き…。みんな…。」「まっ。とにかく…、不思議な縁で…。」「不思議な縁で…。…ですか~~。」「今や、柚香さんも陽織ちゃんの事は…、大切に。…そして、陽織ちゃんもお姉さんの柚香さんの事を…。大切に…。…そんな風に、感じているみたいですが…。」熊沢、「そうですか~~。」看護師たちを眺めながら。「ただ…。今は…。…そうですか~~。3週間以上…。」「何かしら…、ある衝撃で…、陽織ちゃんは、柚香さんに戻った。…そんな話を…、真輝君。」熊沢、目をキョロキョロと、「真輝君…???」「勝巳真輝君です。長篠観音総合で、入院していた時に。」いきなり熊沢、口を開けて、「あ~~。はいはいはい。彼…。」そして熊沢、受話器を耳に、顔を下に、「ははははは。…と、言う事は…、あのふたり。」パソコンの画面を見ながら藪岡、「あのふたり…???」瞬間、熊沢、「あ、いえ…。」熊沢、いきなり体を左側に…。看護師たちに背をするように、「実は…、ウチでも、あのふたりは…。…特に看護師たちの間では…。何やら…。」途端に藪岡、「へぇ~~~。…と、言う事は…、長篠観音総合では、既に…。」「いやいやいや。…と、言うか、ウチでは…、そんな感じだったと。まっ、今は、実際、どうなのかは…。」その話に藪岡、笑顔で、「はははは。うんうん。…そうですか~~。…まっ。とにかく、真輝君の方が、柚香さん、とにかく心配で、心配で…。」遠くから、「先生。」熊沢、「おっと。…では、藪岡先生。その件、よろしく。藪岡先生の方が、こちらより、尽力されているようで…。お願いしますよ。」藪岡、「ありがとうございます。では…。」「では。」そして…。大学キャンパスから通りに。絢美、心都、陽織に、「じゃあね~~。」陽織も、ニコニコと、「うん。じゃ、また、明日。」そしてバッグからスマホを出して…。その時。いきなり陽織の右側から二輪車が。「危ないっ!!!」後ろから叫び声。その声に陽織、ドキンと。瞬間、二輪車は陽織と、もはや、ぶつかるスレスレで交差点を通過。その二輪車の風圧で陽織、その場に。目を真ん丸に。後ろから、「うそでしょ。危なかった~~~。もぅ~~。陽織ちゃ~~ん。」阿須賀、である。陽織、思わず、「えっ…???…って…、ここ…。」阿須賀、陽織の肩に手を、「大丈夫~~~???」陽織、右後ろを見て、「あ…、阿須賀…さん…???」そして、絢美も心都も、「柚香~~~。大丈夫~~???…いきなり後ろから危ないって声、したから。」柚香に急ぎ足で。陽織、「えっ…???…あ…???」何かしら、顔を傾げて、「あ。…う、うん…。大丈夫…だけど…。はは。」頭の中で、「…ってか、ここ、大学の、外じゃん。」阿須賀、口を窄ませて、小さな声で、「阿須賀…さん…???」瞬間、「うそ。」いきなり陽織に体を近づけて、耳打ち、「もしかして…、柚香さん…???」そんな阿須賀に柚香、こちらも口を窄めて、真ん丸の目で。そして小さく2度の頷き。そして柚香、阿須賀に小さな声で、「私、どうなった…???」 LIBRA~リブラ~ vol,164. 「胸に…、仕舞っておく。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.13
コメント(0)
亮輔、店のドアを開いて、そのままバン。外に出るなり、「阿須賀~~~。」陽織、ようやく、椅子に…。顔は…、伏せたままで…。肇、そんな陽織に、「陽織ちゃん。」ルシアも、陽織の傍に。そして、隣の椅子に座って、陽織の背中を摩る。「陽織ちゃん。」黙ったままの陽織。数秒…。そして…。ゆっくりと顔を…。「オーナー。店長…。」ルシア、肇も、「うん…???」陽織、「私…。今…、何をした…???」その声にルシア、肇を見て…、「うん…???」肇も、そんなルシアを見て、陽織を見て、「うん…???」そして…、「まぁ…。…なんだな…。要するに~~。つまりは…。唇と…、唇が…。」陽織、その声に、すぐさま、「うそ。」肇、目をパチクリと、「…って、言うか~~。まっ。私の前で、しっかりと目に入ってきた…のは…。疑う余地…なしの…。うそでも、何でもなく…。唇と唇が…触れた…。キス…???」ルシアを見て。ルシア、そんな肇の声に、口を真一文字に…。「ふ~~ん。…って、言うか、私の位置からは…。」すると…、陽織。今度は目を真ん丸に。そして、口を真一文字に。「ワハ。やた。やたやたやた。はははは。」小さく。途端に肇、「えっ…???」そんな…。自分の隣で両手を小さく拍手してニッコリとしている陽織を見てルシア、思わずポカ~~ンと。けれどもそれも一瞬。すぐさま、陽織を抱き締めて、「はは。」ニコニコと、「陽織ちゃん、かっわいい~~~。かかかかか。」そんなルシアと陽織を見て肇、困ったような笑顔で、「やれやれ…。」もぅ…、涙は出てなかった。スタスタと歩いていたのが、ようやく落ち着いてか…。後ろから亮輔、「阿須賀~~~。」ようやく阿須賀の右肩に亮輔の左手が…。けれども、その手を振り払って歩く阿須賀。亮輔、「おぃ。」言葉なく阿須賀。そんな阿須賀に亮輔、「待てって。」それでも後ろを振り向く事なく阿須賀。そして亮輔、また阿須賀の右肩に左手を。そして、「おぃ。」今度は強く。阿須賀、その力に、「何よ。」ブスっとして。ようやく立ち止まるふたり。亮輔、強張っている阿須賀に、「あのな~~。おまえなぁ~~。」阿須賀、亮輔から目線を外して、「何よ。」「何がどうしたよ~~。俺が、おまえに、何した~~???」「何って…。そりゃ…。」口を尖らせての阿須賀。そして、今度は下唇をビロンと。「何よ。…だって…。ふん。まっ。そりゃ。亮輔、あんた。何も…。私に、何もしてないよ。…けど。…けどさ。」そこまで言って阿須賀、言葉が止まる。そして…。「けどさ。…けどさ。」すると、いきなり、また泣きそうに…。そして…、遂に、泣き声に、「けどさ…。亮輔…。」亮輔の両手を両手で握り。そして亮輔の胸に頭を。「あ~~~ん、あああああ。亮輔~~~。」亮輔、阿須賀の頭を右腕で抱いて、左手は阿須賀の腰に。阿須賀、右手で亮輔の左脇腹をトントンと。「あは~~~~。」「しゃあ~ねぇな~~。」亮輔、ポケットからスマホを…。そして、「もしもし。俺…。まっ。今日は、このまま、帰るわ。」スマホから、「うん。分かった。気を付けて。」ルシアの声。そして亮輔、そのまま、スマホから…。数分後、その場にタクシーが…。阿須賀、シートに、亮輔に抱えられたまま。午前2時。既にいつもの自分の席に、陽織。肇に、「店長~~。」その声に肇、「ん~~???」「私ね。人に隠し事するの、嫌い。」その声に肇、「おぅ。ほほほほ。うんうん。…確かに、そうだな。」「だから、私、店長には。オーナーには、話しておきたい。」「おや。」「でも…。これは…。」そして陽織、顔を傾げて、「多分…。ダメ…かも…。」肇、「うん…???」そして肇、すぐさまルシアに目を。ルシア、その目に気付いて、陽織の隣の席に、「うん…???…どうした~~???」陽織、「オーナー。」「うん…???」陽織、グラスを両手で…、そして、グラスを見ながら、「もしかして…、私ね…。」肇、陽織を見て、そしてルシアを見て。陽織、今度は顔を上に、「あのね。私。亮輔の事、好きかも…。」いきなり肇、そしてルシアも目をパチクリ。肇、「おっと。」ルシア、目を丸く、そして口を真一文字に、「ふ~~~ん。」そして、今度は、「ん~~~???」「もしかして…。」陽織、「…もしかして…。なんだ…、けど~~。」肇、「うん…???」ルシア、「ふん。」「亮輔、あいつ…。私の事…。どう思って…???…もしかして…、好き…なのかな…。」その声に肇、ニッコリと、「お~~っと~~。」ルシア、そんな陽織に、「ふふん。」そして、「さ~~て~~。」陽織、少し顔を赤らめて、「ど…、どうなんだろ…???」そして陽織、「前に…。」肇とルシア、「うん。」「オーナーと店長の家、行った、その帰り。家に着いて、すぐさま、胸が締め付けられそうに痛くって。」いきなり肇、「わ~~お。」ルシア、「うそ。」 LIBRA~リブラ~ vol,163. 亮輔、店のドアを開いて、そのままバン。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.12
コメント(0)
「それにしても…。今になって、私…。」幸乃。気分が悪い訳ではなかった。ただ、ここ最近、深夜、しかも、朝方に、何やら、夢を見ているのか、奇妙な体験をするのだった。そして…、気になる事のもうひとつが…。ここ、1週間程は、陽織、真輝と愛実、その両方とも、一度も会っていない。確かに、1週間程度と言う…、その程度ではあるのだが、ラインすら以前の頻繁なやり取りはなくなっていた。それどころか今までとは逆に、亮輔と阿須賀とのラインが一日数件と、増えていた。エンカントにあれ以来は真輝も愛実も訪れてはいない。むしろ、連絡しているかのように、陽織と亮輔、そして阿須賀はエンカントに。ルシアから藪岡には連絡は行くのだが、藪岡としては、以前の、柚香のメモの内容に従うように、「そのままにしておいてくれ。」と、だけ。つまりは、状況が、陽織自身、何か、考える事が起き、誰かに相談しなければならない状態になった時には、藪岡は、いつでも相談に乗る。との事をエンカントでは陽織には話しておいたのだった。それにしても…。確かに、大学では陽織、柚香の友達と何かしら問題があってはまずいと日々、それだけは頭から離れずにいた。そして、心都と絢美、たまには誘われるのだが、何とか誤魔化しながらも自分のペースを保ってもいた。そして…。幸乃も陽織が夜中に出る事は、もはや、仕方がないように見守ってもいた。その都度、陽織、祖母にエンカントに夜中に行っている事を話している。幸乃としては、「自分のやりたい事、やっていいんだ。」と、半ば、「仕方がない」と言う心情が強かった。そして、エンカントでは、陽織と阿須賀が日々を追う毎に仲良くなっていた。そして、それを楽しく、喜んで見守っているのが亮輔だった。「はは、いいねぇ~~。」そして…。それから数日後の事。そんなエンカントで、こんなエピソードが起きた。ちょっとした話の盛り上がりで、陽織と阿須賀、共に、椅子から立ち上がり、なにやらポーズの練習。客たちもそのふたりを和やかに見守っていた。そんな矢先、陽織が滅茶苦茶阿須賀を褒めた。その陽織の、自分への褒めちぎりにこちらも滅茶苦茶嬉しいやら恥ずかしいやらで、ふとした弾みで陽織の両肩を両手でバン。ふいを突かれた陽織が思わず後ろに…。「わぁ。」肇と会話をしていた亮輔に。そんな陽織を見た肇、いきなり目を真ん丸に。そんな肇に気付いた亮輔。けれどもその気付きが遅かった。いきなり自分に雪崩込んで来た陽織。咄嗟の事に驚いた亮輔も、「うわぁ~~。」陽織、うしろに倒れそうになった体、何とかその体をぐるりと体制を…。けれども体の制御が効かない。そのまま亮輔に抱き付くように。亮輔、そんな陽織が自分に…。体を避け切れず、自然に陽織の体を受け止めるように。そして…。何とか、体は…、止まった。陽織の顏は亮輔の首の辺りで…。そんな陽織の頭を亮輔。そして、頭を起す…、陽織の…、唇が亮輔の唇と…。瞬間、その一部始終を見ていた肇。またまた目を真ん丸に。ルシアもカウンターの端から、「!!!」当然ではあるが、阿須賀の目にも、その…、亮輔と陽織のふたりは…、正に…、顔と顔が…。客たちにも、その光景が…。後ろ向きになっていた客は、みなの視線に振り向いて…。わずか、2、3秒の出来事。すぐさまふたりの顔は離れたが…。陽織、いきなり体を起こし、カウンターに手を。目をキョロキョロとさせて、「……。」亮輔も、いきなりの事で、目をキョロキョロと。阿須賀は、ただ、ただ、その場に…。立ち尽くしていた。陽織、鼓動が…、高鳴る。そして…、左手で、口を押えて…。けれども…、一言、「ご…、ごめん。」亮輔は、ただ、ただ…、口を窄めて…。目をキョロキョロと。「何…。って…???…どういう事…???…えっ…???…今。…何…???…どうなっちゃった…???」肇、そんな亮輔に。…慰めるようでも…、「まっ。まま、亮輔…。…今のは…。」いきなり阿須賀、薄っすらと目に…。そして…。「わ…、私、帰る。」椅子からバッグを。そして小走りでドアに。いきなりルシア、「阿須賀ちゃん。」阿須賀、ドアを開いて、すぐさまドアをバン。ルシア、「ふ~~~ん。」肇、亮輔を見て、「亮輔。」そんな亮輔、まだ目をキョロキョロと。そして、「えっ…???…あ~~???…何…???」肇、顔をドアの方に、プィっと。「阿須賀ちゃん、出てったぞ。」その声に亮輔、「はっ…???」自分の右隣でカウンターに俯き加減で佇んでいる陽織。「陽織ちゃん。」肇、再び、「亮輔。」「あ、あ~~。」客たちの中には、「ヒュ~~~。」「かっわいい~~。」の声も…。肇とルシア、困ったような笑顔。 LIBRA~リブラ~ vol,162. 亮輔と阿須賀とのラインが一日数件と…。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.11
コメント(0)
カウンタ―の場が…。真輝、右左見て、「えっ…???…あ、あ…。いや…。その…。」すかさず愛実、右左見て、「でっしょう~~~。だから、めんどくさ。」瞬間、藪岡、「ぷっ。」そしてルシアも。肇も。亮輔も。けれども、藪岡、申し訳なさそうに、右手を、「いや。まっ。そんな、苛めなさんな。…それでなくとも、真輝君、柚香さんの事。こんなに真剣に、心配して…。」その声に肇、「うんうんうん。真剣に、心配。分かる。分かる。うんうんうん。」藪岡、肇に、「肇~~。」肇、「あ、いやいやいや。全然。はい。お構いなく。」「けどね~~~。」愛実、「肝心の…、ユズの方がね~~。」藪岡、「へっ…???…柚香さん…???」愛実、腕組みをして、「どうも…。そこんとこ。自分だって…。」顔を傾げながら、「真輝君の事、好きだって、分かってる。」瞬間、真輝、目を真ん丸に、「うそ。」いきなり藪岡、真輝の左肩に右手を、「真輝く~~ん。」「あん。お姉ちゃん、真輝の事、好きだよ。」いきなり陽織。その途端に真輝、真っ赤になり。愛実、今の陽織の一言に。「おっと~~~。」藪岡も、「おぅ~~。」阿須賀、陽織の声に、「あは。」亮輔も、「や~るな~~。」愛実、目をぐるりと一周。「何か、凄っ。ユズの顏で言われたような…。そのまんま。だもんね~~。」藪岡、「ある意味。物凄い、説得力。と、言うか。」ルシアも、「確かに。…でも、この、説得力も…。」その声に藪岡、口を真一文字に、「あ~~~。」またしても、真輝の右二の腕に愛実の左肘がヒット。真輝、思いっ切り、「痛って~~~。」愛実、「もぅ~~~。しっかりしてよね~~。」瞬間、藪岡、「かかかかか。こいつはいいや。」真輝、痛い気持ちで、「先生~~~。」あっと言う間に。陽織、「あ、帰んなきゃ。」愛実、「あ。3時なる。私も…。」真輝も、「おっと。」既に…、客もまばらの店内。肇、「雨も上がったって、お客さん、言ってたから…。」…けれども…。静まり返っている幸乃の部屋。いきなり目を覚ます幸乃。「えっ…???…今の…。」辺りを見回すが…。けれども誰もいない。そして…、朝の6時。部屋の、朝の明るさの中で、スマホのアラームが…。そのアラームに、「…ん…。」目を覚ます。…けれども…。「うそ…。」周りを見渡すが…。思わず肩を…。そして…、「戻ってないじゃん。」それからだった。幸乃、「陽織…。」真輝も陽織からのラインで、「えっ…。」愛実も藪岡も、亮輔も阿須賀も、「戻って…ない。」しかも…、今回は、あろうことか…。実に…、1週間経過。幸乃…、「こんな事って…。」それは真輝も藪岡も愛実も亮輔も阿須賀も…。しかも、ルシア、肇…。藪岡からの電話で、「1週間…???」遂には…、柚香の大学の友達も、学食で、「ねね、柚香~~。最近、何かあった…???」その声に陽織、「えっ…???何って…???」心都、「な~~んか、ここ最近、柚香が、柚香じゃない感じが…。」そして心都、絢美を見て、「ねぇ~~。」そんな心都の声に絢美も、「うんうんうん。ちょっと…、今までの柚香とは…。」こちらも僅かに顔を傾げて、「まっ、気のせい…かも、知れないけど…。ちょっと…、忘れっぽく、なっちゃったかな~~。なんて…。話を聞いても、あ、うん。うんうんうん。そぅ…だった…。とか。…もしかして…、事故の…後遺症が…、今になって…???」心都、「あ~~ん。うんうんうん。それ、あるかも…。」その話に陽織、思わず笑顔で、そして右手をひらひらと、「あん。それはないよ。うん。大丈夫、大丈夫。」けれども僅かに作り笑いをして…。頭の中で、「…どうしよ~~。もぅ…、1週間…なんですけど…。」とにかく、心都と絢美のこの1週間で話していた会話を家に帰ったら、ノートに。そして、柚香の、今、持っているはずの記録らしいものを、スマホのアルバムでも、何でも頭の中に。スマホの履歴は物凄い数になっていた。真輝からも、愛実からも毎日、亮輔と阿須賀、当然の事ながら藪岡。そして、こちら…でも、かなり…、心配は、続いていた。ルシアと肇である。店に来る回数が…。そして…、10日。…2週間。その都度…店に来る回数…、更新…。確かに。客は大いに陽織を…、歓迎しては…いるのだが…。けれども…、その、2週間で、気になる事が起きてきた。そのひとつ。幸乃である。…確かに、毎日、ではないのだが…。必ず、早朝、3時から4時の間には、はたと目を覚ます。何か、ぼんやりとしたものが傍にいるような気配に…。けれども、周りを見渡しても、何も…。幸乃、顔を傾げて、「おかしいね~~。…私…、もしかして…、疲れてる…???…まっ。確かに…、今、陽織…。」 LIBRA~リブラ~ vol,161. 愛実、「肝心の…、ユズの方がね~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.10
コメント(0)
真輝、その陽織の言葉に、「そうなんだ。」愛実、真輝を見て、「えっ…???」「それに…。」真輝、「陽織ちゃん、ほら。この間、僕と一緒に新宿まで。」その声に亮輔、「新宿まで~~~???」そして、陽織を見る。陽織、そんな亮輔を見て、「うん。」コクリと。そしてカウンターの中を見て、「あの日。…って言うか、おばあちゃんにいろいろと教えてもらって、夜、テレビを見てて、そのまま寝ちゃったみたい。…で、朝になって新聞見て。それから真輝に、どっか連れてけって行って、それから…。…で、結局、新宿駅で…。でも、あの時。」真輝、「そぅ。あの時、陽織ちゃん、後ろから来た大柄な男性に肩か背中に強くぶつけられて前のめりになって転びそうに…。」陽織、「あ、あ~~。うんうんうん。確かに。あれから…、記憶…、ないや。」藪岡、「…と、言う事は~~。」真輝、藪岡を見て、「えぇ。…ですけど…。単に、憶測でしか…。…つまりは…、何かの…タイミング…???…と、言うか…、ある意味、衝撃。…ベンチでもそうですけど、駅でも…。陽織ちゃん、何かしら、思い掛けない…、何て言うか…。」藪岡、「ふんふんふん。衝撃…かぁ~~。うん。確かに。何らかの…、衝撃が瞬間に影響して…変わる。…これは…、確かに。医学的にも、なくはない。」真輝、「ほんとですか…???」ルシアも、「藪さん。」けれども藪岡、「あ、いや…。けど…、それが確実に陽織ちゃんに当て嵌まると、言う事には…、とにかく確証はないけど…。」真輝、愛実、その声に、「あ、あ~~~。」亮輔、阿須賀に、「おま、ここ、座る…???」瞬間、阿須賀、「えっ…???」亮輔、「いいから。」そんな亮輔に阿須賀、申し訳なさそうに、「あ、あ~~。」亮輔、椅子から立ち上がり、阿須賀を今、自分が座っていた椅子に移動させて。阿須賀、「ありがと。」亮輔、ニタリとして阿須賀が座っていた椅子に。愛実、そんな男性に目をパチクリとさせて、愛想笑顔。亮輔もニコリと。カウンターにいる肇、亮輔を見てニッコリ。亮輔、グラスの中の液体を口に。「…けど…。問題は、柚香さんから陽織ちゃんに…。」藪岡、「そこなんだ。」真輝も愛実も、「あ、あ~~~。」藪岡、前を見て、そして真輝を見て、「柚香さんと真輝君が入院していた。」真輝も愛実も、「あ、はい。長篠観音総合…。」陽織、左側に座っている5人を見て、ニッコリと、「柚香、お姉ちゃん、しあわせだ。」その声に阿須賀、陽織を見て、「えへ~~~???」陽織、「だってさぁ。こんな…、夜中。…深夜帯だぞ。それにも関わらず、ラインしたら、みんな、来てくれて。」その話に阿須賀、「あん。それは~~。…ってか、私は、陽織ちゃんからライン来たから。」途端に陽織、阿須賀を見て、「うそ。」阿須賀、そんな陽織に、口を尖らせて、「ふん。じゃなきゃ~~。私、陽織ちゃん、好きだから。」途端に陽織、ニッコリとしながら阿須賀に抱き付く、「阿須賀~~~。」阿須賀も嬉しそうに、「陽織ちゃ~~ん。」肇、ヒョッコリとしながら、「おやおやおや。」亮輔は亮輔で、「かかかか。こりゃいいや。うん。」そんな光景を見て愛実、「ユズも…、こんな風に…。」藪岡、抱き合っている阿須賀と陽織を見て笑顔で、「うんうん。」愛実、真輝の胸の下辺りを左肘でドンと。「…ってか、旦那~~。しっかりしてよね~~、ユズの事~~。」瞬間、真輝、「ぶっ。痛って~~。」藪岡、「おやおやおや。…って、旦那って…???」目をパチクリと。すぐさま、「あ~~~ん。そういう事ね~~。」そして、「かかかかか。確かに。うん。旦那。」真輝の左肩に右手をトンと。途端に真輝も藪岡に、「先生~~。」いきなり、「いいじゃな~~い~~。あなたが、柚香さん、好きだって事なんて、この前、お店に来た時から~~。ねぇ~~。」そして肇を見る。肇もニコリと、「まぁ~~。ねぇ~~。」亮輔、「まっ。真輝の場合は…。…分かり易いからな。」瞬間、亮輔の目の前の肇と愛実、「ぷっ。」「この前だってよ。」亮輔、「講義の前に俺、こいつに言ったんだよね。おま、柚香さんの事、好きなんだろって。そしたら。確かに、すぐさま、はぁ~~~あっ。…けどさ。俺が、顔に書いてあるっつぅたら、いきなり、頭抱えて、どうすりゃいいんだよ~~。」途端に愛実、「かかかかか。」藪岡も、「かかかか。そっか。」愛実、「まっ。ただ…。めんどくさいって言うのも、あるには、あるんだ…けどね~~。」その声に亮輔、「あ~~~。うんうんうん。それもあり。かかかか。」けれども亮輔、「…けど…。大学、専攻が、機械工学。」そして真輝を見て、「おま、将来、何になるの…???」藪岡も愛実も、「おっと~~。」「あ~~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,160. 藪岡、「…と、言う事は~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.09
コメント(0)
真輝、肩まで左手を。藪岡、初めて見る女性の顔を見て、真輝を見て、「うん…???」陽織、店に入ってきた愛実を見て、ニッコリと。愛実、困ったような笑顔で…。そして、その場に立ち尽くしてオロオロと…。真輝、そんな愛実に、「愛実さん。」愛実、僅かに泣きそうな顔で、「真輝…くん。」真輝、隣の椅子を勧める。ルシアも肇も、「???」真輝、3人に、「柚香さんの友達の…。愛実…さん。井島…???」愛実、チョコンとお辞儀をして、「井島…愛実…と、言います。あの…、ユズの…。あ、いえ…。柚香…さんの。」真輝、「陽織ちゃん、変わった時に、先生や僕、そして愛実さんや亮輔、阿須賀さん。多分、スマホに入ってるラインに…、送ったようで…。」藪岡、コクリと、「なるほど…。」すると、いきなり外からだろうか、とんでもない音が…。客たちもその音に驚いて、それぞれが、「何…???」「何だ…???」「この音って…。」ドアがまた開いて…。「ひぇ~~~。雨降って来た~~。」藪岡、後ろに振り向いて、「おぅ~~、亮輔~~。」「あ~~んもぅ~~。車から降りた途端に、いきなりドシャ――――――ッて~~。」亮輔の後ろから阿須賀。ルシア、そんな阿須賀を見て、「な~~にぃ~~。ずぶ濡れ~~???」亮輔、「いやいやいや。いきなりだぞ。今の…???…降ってきたか…???…と、思った瞬間。どば―――――――っ。バケツをひっくり返した。なんてもんじゃないぜ。俺たちに何か、恨みでもあんのかぃ、雨の野郎~~。」ルシア、阿須賀と亮輔にタオル。「はいはいはい、拭いて、拭いて~~。風邪引いたらとんでもない。」陽織は、そんな亮輔と阿須賀を見て、「凄い。ずぶ濡れ。」ルシアは阿須賀の髪に肩にとタオルで…。亮輔は受け取ったタオルで頭から…。藪岡、「いきなりだったか~~。」亮輔、タオルで体を拭いていながらにして真輝を見て、「へっ…???」そして、「何…???はっ…???…真輝…???」その声に阿須賀も、「あっ。ほんとだ~~。どしたの…???」そして、阿須賀、真輝の隣に座っている女性を見て、「…でぇ~~。」亮輔も、初めて見る顔に、「あっ。」真輝、ふたりに、「柚香さんの友達の井島愛実さん。」藪岡、「…だ、そうだ。」そして藪岡、女性に、頭をコクリと。「初めまして、藪岡と申します。」そして、「そして、今、入ってきたのが、柚香さんと同じ大学の、染谷亮輔。そして、広戸阿須賀さん。」真輝、「藪岡先生は…。…と、言うより、亮輔も阿須賀さんも、名前はもぅ。」その声に愛実、コクリと、「えぇ。…あ、はい。」自然に、愛実の隣には阿須賀、そして亮輔。亮輔、「俺たち、陽織ちゃんからライン。…で。な。」阿須賀を見て。阿須賀も、「うん。」その声に愛実、「私も…。なんです。」陽織、客たちの食べ終わったお皿をトレイに。そしてカウンターの中に。既に肇は、再びそれぞれの飲み物を…。そして陽織、黙って汚れ物を…。その姿に愛実、「凄っ。ユズ…。あ、じゃなかった、陽織ちゃん、手慣れてる~~。」そして陽織、片付いて、自分の席に。「私ね。起きて着替えている時に、机の上の、メモ、見たんだ。」その声にそれぞれ、「メモ…。」コクリと陽織。「多分、柚香、お姉ちゃんが書いてくれてたんだと…、思う。」陽織、肇に、「店長~。私のバッグ。」肇、「おぅ。」そして陽織、バッグの中から一枚のメモを。そしてそのメモを亮輔に。亮輔、そのメモを真ん中に。愛実と真輝、「陽織、また私があなたに変わった時に、みんなにその事、伝えて。」そして、そこからは愛実が、「…なんだか、私たちの事で、みんなに、迷惑掛けているよう…、そんな風にも思うけど。…けど。…けど、それはそれでもぅ。仕方のない事なんだよ。とにかく、陽織が陽織でいられる時間、思いっきり楽しんで。いつまで、こういう時間、続くのかは分かんないけど。とにかく楽しんで。藪岡先生。真輝君。メグ。亮輔さんに阿須賀さん。伝えて。お願い。」お洒落な紙に…。もちろんだが、後ろの客たちに、今読んだ愛実の声は聞こえていない。藪岡、「そっか~~~。」真輝、「あの、なんですけど~~。陽織ちゃんが柚香さんに戻る時。」そして愛実にも、「ほら。あの時。」愛実、その声に、「えっ…???」「ベンチに体育座り。」愛実、目をキョロキョロと、「体育座り…。あ、あ~~。」そして愛実、陽織に、「陽織ちゃん、前に、私と真輝君と一緒の時、ベンチに体育座り、してたよね。」陽織も、「体育座り…???」「ほら。膝を折って両足を両腕でこぅ…。」「あ~~。あ~~。うん。」「その時~~。陽織ちゃん、前に転がりそうに。」「あ~~。うんうんうん。あった、あった。」けれども陽織、顔を傾げて…。「…けど…。それから…。記憶…、ない…???…かも…。」 LIBRA~リブラ~ vol,159. 陽織、店に入ってきた愛実を見て、ニッコリと。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.08
コメント(0)
その日の夕方、柚香のスマホに真輝からライン。「今、時間、ある…???」柚香、すかさず、指でトン。丁度駅に着いてた真輝、「おっと~~。」ラインからのコールで、「あ、もしもし、真輝です。」柚香、「うん。どしたの…???」「この間、新宿に行った時。」「うん。確か、あの時も私、陽織に。」「うん。今日のお昼に、柚香さんと一緒に。」「うん。」「その後に、気付いたんだけど…。あの時、新宿駅で…。」「うん。」「陽織ちゃん、大柄の男性から肩かどっかを…、押されたんだよね。」柚香、「押された…???」「うん。それも、かなり強く。いきなり陽織ちゃん、前のめりになって、もう少しで転びそうに。」「へぇ~~え…。」「その時だよ。その時も、危ないって時に。2、3歩前に。…その瞬間、陽織ちゃん、柚香さんに。」その声に柚香、「へぇ~~~。あの時、そういう事、あったんだ~~。」真輝、歩きながら頷いて、「うん。…もしかしたら…。何かの拍子に…。その…、何かしらの…、衝撃…???」けれども真輝、顔を傾げて…、「ん~~。ただ…。それも…、ある意味…、なんか…、偶然が…。…単に、衝撃を与えれば…、変わる。戻れるって確証は…。」柚香も、「ん~~~。確かに…ねぇ~~。」スマホから真輝の声、「…と、まぁ~~。思い…出した、事…、なんだけどね。」瞬間、柚香、「あ~~うん。ううん。いいよ。うん。ありがと。…でも…。参考に…なったかも…、知れない。その…、衝撃って言うのが…。」「うん。」それから…、2日後…。深夜0時。いきなり目がパッチリと。瞬間、「わっ!!!」そして、「変わっちゃったか~~。」陽織。…そして…、何を思ったか、数名にラインで…。そのラインを受け取った人物たち。「えっ…???」「はっ…???」「おぃおぃ。」「うそだろ。来たか~~。」「え~~ん、もぅ~~。」そして陽織、今度はしっかりとパジャマから着替えて。下の、祖母の部屋に。襖を静かに開けて、「おばあちゃん。行ってきます。」幸乃は静かに寝息を立てている。数分後…。幸乃、「うん…???…もしかして…。」幸乃、起き出してそのまま2階に…。「夢…かねぇ。」そして、ドアを開けて…。一言。「変わったかぃ。」そして窓の方を…。けれども幸乃、ポツリと、「行っといで。」藪岡、妻に、「ちょっと、出て来るわ。」有美香、「えぇ~~???…今何時…???」「0時をちょっと回ったところだ…。エンカントに行ってくる。患者が、変わった。」その、「患者が変わった。」の声に、「どういう事…???」阿須賀、ラインを見てすぐに亮輔に。亮輔、「あぁ、俺にも来た。今から行く。」阿須賀、「うん。」真輝も、パジャマから私服に…。「また…だね~~。」そして…。そして…、もうひとり…。「マジか~~~。」スマホでサササと。「エンカント…。」陽織、スタスタと歩きながら…。すると…。「お~~い。」遠くから声が…。陽織、右左見て…。暗闇の中から、仄かな明かりの中から真輝の顏。陽織、真輝に向かって、「お~~。はい。」真輝、そんな陽織に駆け足で。「変わっちゃったか~~。」その声に陽織、コクリと、「うん。一応、みんなには、報せておいた。」その声に真輝、「えっ…???」「藪岡、真輝、愛実、亮輔、阿須賀。」真輝、いきなり、「わお。」「真輝さぁ~~。後で…、また、いつ、お姉ちゃんに戻るか、分かんないから、その時は、頼む。」「あ、あ~~。分かった。」一方、愛実、何とかタクシーを捕まえて…。「すみません。ここに…。世田谷の、エンカント。」スマホの画像を運転手に見せて…。「はい。分かりました~~。」陽織、「オーナー。店長~~。」ルシア、「ハイ~~。」肇、「お疲れ~~。」客たちも、「イェ~~イ。」そして…、店のドアを開けて…。店に入ってきた顔にルシア、「おや。」肇も、「うん…???」そして、「わお。」真輝、ルシアと肇に何度もお辞儀をしながら…。ルシア、真輝の傍に、「いらっしゃい。何…???…どうしちゃったの…???」陽織をチラリと見ながら。真輝、「え、え~~はは。…まっ。何と言うか…。」早速、客たち陽織に、「陽織ちゃ~~ん。」陽織、「はいはいはい。お待たせしました~~。」そして、「店長~~。」肇、「了解~~。」その10分後には…。ルシア、「はい。藪さん。」藪岡、店の中にいる真輝を見て、「えへ…???…真輝君。」真輝、藪岡に困ったような笑顔で…。コクリと。藪岡、右手で真輝を手招き。そして、真輝に、「何々…???」真輝も藪岡に、「いきなりラインが来て。」藪岡もその声に、「いや。僕にも。陽織です。これからエンカントに行きますって。」真輝、その声にコクリと。そして、その5分後には…。ひとりの女性客。ルシア、「…いらっしゃいませ。」真輝、入ってきた女性に…。 LIBRA~リブラ~ vol,158. 「あの時、新宿駅で…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.07
コメント(0)
柚香、過去を振り返って…。「ん~~~。…何かしら…。」朧げに、「何かしら…。」顔を傾げて、「衝撃…???」真輝、僅かに両眉の先端を吊り上げて、「衝撃…???」柚香、真輝を見て、「うん。あんまり良く、思い出せないんだけど…。」また顔を傾げて、「何か…、頭に、ガツンと…。何か…、こぅ…。トンカチなんかで殴られた…???…そんな感じ…???」「トンカチ…。」「確か…。家の玄関で…。…とぉ~~。それに…。あ。ほらほら。喫茶店で…。」瞬間、真輝、「あ~~~。はいはい。うんうんうん。」「ただ…。その…、程度…、かな~~。」真輝も、顔を下に。そして腕組みをして、「ん~~~。…因みに…。陽織ちゃんから…、柚香さんに…。」柚香、その瞬間、真輝を見て、「うんうんうん。」「あの時…は~~。…確か~~。…あ、そうだ。愛実さんも一緒だったんだ。」「あ~~。うんうんうん。そんな時、あった。3人でいた。あの…時…。」真輝も、過去を遡って…。「確か…、陽織ちゃん、愛実さんと外に連れ出して…。そしていろいろと話。…でぇ~~。ベンチに…。あん時…。」真輝、「うんうんうん。」柚香を見て、「確か、ベンチに体育座り。」「体育座り…???」真輝、「うんうんうん。」柚香、般若のような顔で、「ベンチに体育座りって…。」自分が座っているベンチを見ながら…。「えっ…???…えっ…???あり得…。」間髪いれずに真輝、「やったの。陽織ちゃん。…って言うか、やってた。」柚香、口を尖らせて、「あ、うんうんうん。」「まっ。確かに、背中をベンチに深く…。そん時はOKだよね。しっかりと体…、後ろに…だし。」「まま、確かに。」「なんだ…け、ど~~。」真輝、口を大きく。柚香、「うん…???」「その体が、いきなり前に。」柚香、目を空に、「いきなり…。」そして深く座ってた背中を、「前に。」体を前に、「…って。」いきなり真輝を見て、「倒れるじゃん、前にっ!!!」そして、「ベンチから落ちちゃうよ。」「その瞬間。僕も愛実さんも、うわっ。ヤバッ!!!…って。」両手を前に。「その瞬間だよ。陽織ちゃん、いきなり体育座りから両腕を解いて、両足を前に。危機一髪で。…転ぶかと思った。」柚香、真輝を見て、「……。」真輝、「うんうんうん。確かに。あの時。何か…、衝撃…???…僕も愛実さんもビックリして…。」柚香、口を尖らせて…。「全く、記憶が…ない。うん。…確かに、あの時は…。でも、もぅ~~。真輝君とメグとあるいてたから…。私…、どうしちゃってたって…、感じ。」真輝も、「うんうんうん。」ふと、柚香、腕時計。「あっ。こんな時間。」真輝も、自分の腕時計を、「おっと。始まるか。」柚香、真輝にニッコリと、「うん。じゃ、また。後でね。」その声に真輝も、「うん。じゃ。」ベンチを離れて校舎に戻っていく柚香、頭だけ振り返り、真輝に左手をひらひらと。真輝もようやくベンチから立ち上がり、その姿に右手を…。「じゃ、また、後でね。…かぁ。…はは。」すると真輝、「うん…???」いきなり過去の記憶が…。頭を傾げて、「…確か~~。」そして、歩きながら、「あっ。」そして、思いがけず、フィンガースナップ。「それにしても…、何日振り~~、陽織ちゃん、店に来たの…???」ソファに座ってルシア。「もしかして…、1週間…振り…???」肇。「何か、こぅ~~。最初に来た時より、凄いよね~~。完璧に、店に溶け込んでるって感じ。」「ん~~。確かにね~~。…けど…。実際は…。」その声にルシア、口をグンニャリとさせながら、「う~~~ん。…なんだよね~~。実際は…、陽織…ちゃんじゃ。」ドアを開けて、そしてリビングに、「ただいま~~。」ルシアも肇も、「あ~~。おかえり~~。」娘のエリカである。都内の大学に通っている。部屋に入ったと思いきや、すぐさま着替えて、「行ってきま~~す。」ルシア、「行ってらっしゃ~~い。」エリカは、高校時代から都内のレストランでアルバイトをしている。高校に入って、いきなり身長が伸び、160センチに。今ではその身長も165センチ。顔立ちも良く、高校生時代に、何度か芸能事務所からスカウトはされたが、本人は全く興味なし。本人はとにかく、父の影響で料理人になりたいと思っている。しかも、アルバイトをしているレストランでも、今ではエリカの存在が必要不可欠でも…。客入りが違うのである。母親の血筋が濃いのか…。アルバイトとしてでもあるが、実際に、スペイン人女性のモデル的な女性でもある。ルシア、「ウチにも、ひとり、そんな…、女性が…。はは。」そんな妻に肇、にこやかに、そしてコーヒーを飲みながら、「しっかりと、育ってくれたもんだ。かかかかか。」ルシア、口を真一文字にして、「将来はパパみたいな料理人。ねぇ~~。ふふふ~~ん。」「お~~い。」 LIBRA~リブラ~ vol,157. 顔を傾げて、「衝撃…???」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.06
コメント(0)
そして…。藪岡からの提案で…。亮輔、「な~~るほどね~~。それなら…。」「まっ。結果的には、おまえには迷惑。金遣いが荒いって設定だけど…。その…、柚香さんの友達に、おまえが、今後、会う事は…。」間髪入れずに亮輔、「ない。」「…だろうな。」そして藪岡、「まっ。こんな感じのシナリオで…。やってみてくれ。後は~~。柚香さんと阿須賀さんに、何とか…、密に連絡…と、か…???…話の辻褄を合わせるって…。事で。」そんな話が、亮輔と藪岡の間で…。休憩時間、柚香のスマホに、阿須賀からライン。メッセージを読んで柚香、「そういう事ね~~。OK~~。」阿須賀も柚香からのラインに、「うん。これで良しっと。」大学キャンパス内のベンチで…。柚香のスマホの画像を見ながら、「へぇ~~。凄いね~~。陽織ちゃん、もぅ既に人気者じゃん。」柚香、「うん。もぅ~~。私なんて、とても、とても~~。真似できない。」「まぁ~~。確かに。こういう写真を見ること自体、弾け飛んでるって感じだもんね~~。」「うん。」「それにしても、凄いよな~~。この…、陽織ちゃんと阿須賀さん。ジョッキを持って、グラスを持って、こんな顔…。確かに、深夜帯…なんだけど…。…お客さんともこんな笑顔。…マジで凄い。」柚香、そんな真輝の声に、「ねぇ~~。」「2歳の記憶しかなかった陽織ちゃん、今じゃ…。こんな風に…。」柚香も真輝のその声に、思わず、何かしら、意味を持っている風に、写真を見つめながら、小さく、「うん。」そして…、ふたり、共に…、沈黙…。いきなり、柚香から、真輝をチラリと見て、「えっ…???」瞬間、真輝も、柚香を見て、「えっ…???」そして、ふたり同時に、柚香は右手を…。真輝は左手をひらひらひらと。そして、「いやいやいやいや。」「…って言うか…。」柚香、困ったような笑みで、「かかかか。何、今の、間…。」真輝も困ったような笑顔で、「いや…。」可笑しがりながら、「柚香さんが、なんだか、物思いしているように、小さく、うん。なんて…。」思わず柚香、顔を上げて、「あっ。いや…。私は…、あ…。と…。真輝君が…。」僅かに顔を赤らめて、「陽織が、2歳の記憶しか、なかったのに、今じゃ、こんな風にって…。」途端に真輝、柚香を見て、「えっ…???」いきなり柚香、僅かに顔を赤らめて、口を尖らす。真輝、柚香に、「どういう事…???」そんな真輝に柚香、今度は口を真一文字に、そして目を丸く…。「うん。もぅ~~いい。これで、おしまい。」真輝、途端に柚香を見て、「えっ…???」「それにしても…。…また、私…、陽織に。」遠くを見るような目で柚香。僅かに…、溜息。そして、ベンチに背中を深く…。そして、小さく、「あ~~~。」真輝、そんな柚香をベンチには背中は付けずに、「確かに。…でも…。…こればっかりは…、仕方がない事…だし…。…柚香さんの前で、言う…べき事じゃ、ないけど…。」けれども柚香、そんな真輝の声に首を振って、「ううん。そんな事ないよ。真輝君には随分と助けられてきた。」チラリと真輝を見て…。そして…、「…だと、思う。」さりげなく柚香、両手を首の後ろに。髪を掻き上げて、そして今度は両手を前に。スカートの上に。「私には…、陽織になっていた時の事は、分かんない。…でも、陽織になっていた。そんな時には、必ず、真輝君、いてくれたし。」一呼吸置いて。「そして。それって…。実際…。私が、お願いした…、事でもあるから。…嬉しい。」真輝、柚香を見て、「柚香…さん…。」柚香も真輝を見て、顔をコクリと。「うん。嬉しい。…ありがと。」真輝、優しく微笑む。けれども柚香、「…な~~んだけど~~。また、いつ、陽織になるのか…。ふぅ~~~。」真輝も、その声には、「ん~~~。」そして、「ねね。どうしても、分からない…???」柚香、そんな真輝を見て、目をパチクリとさせて、「何が…???」「その…。陽織になる…???…タイミングって…ヤツ…???」その声に柚香、思いっ切り顔をグシャリとさせて…。「ん~~~。確かに。…一番、肝心な…ところ…でも、あるよね~~。」両腕を真っすぐに前に、両手を結んで、それを裏返しに。「ん~~~。」そして顔を下に、「ん~~~。どうして…。」そして、また、「う~~~ん~~。…な~~んだかな~~。」そして柚香、空を見るように、「とにかく~~。」真輝、「うん。」「夜中に起きて、エンカントに行く。…これは、もぅ~~。どうしようもないよ。私、完璧に、寝てるから。」真輝も、「うんうんうん。確かに。」「なんだ…、けど~~~。…日中に…。」「うん。」真輝、柚香を見つめて。柚香、目をキョロキョロと…、「確か~~。」「うんうんうん。」 LIBRA~リブラ~ vol,156. 「おまえには迷惑。金遣いが荒いって設定だけど…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.05
コメント(0)
そして阿須賀、椅子から立ち上がり、柚香に左手をサラリと。そしてふたりにも…。その場を立ち去る。柚香、そんな阿須賀に、「阿須賀さん。わざわざありがとうね。」阿須賀、立ち去り際にまた柚香にニッコリと、「うん。」阿須賀、小走りに…。絢美、柚香に、「そういう事~~。な~~るほど~~。納得~~。」心都も、口を尖らせて、「うんうんうん。納~~っ得~~。」柚香、思い掛けない展開に、僅かに頭を傾げて、自分も納得したような顔で、「ま。まぁ~~ね。うん。うんうんうん。」そして頭の中で、「…なんとも、ナイスタイミング。ヤバかった~~。」けれども右後ろを見て、「…それにしても…、阿須賀さん…。…何、今の話…???…うそ。何か…、機転…???…それにしても…。凄っ。」阿須賀、自分の教室の席に就いて、スマホに、ササササッと、「柚香さんには会って話した~~。送信。」すると、ライン。「おぅ。サンキュ~~。」そのメッセージに阿須賀、「それにしても亮輔、良くあんな事、思い付いたね~~。」「まぁな~~。…って言うか~。まっ、俺も、藪さん同様、何とかね~~。成り行き上。…俺らが柚香さんと陽織ちゃんの事、みんなより早く、知っちゃったからな~~。行き掛り上~~。」そのメッセージに阿須賀、口を捻じ曲げて、「ふ~~ん~~。」けれども、「まっ。私も、どっちかって言うと~~。柚香さんより、陽織ちゃん側だけど~~。陽織ちゃん。ふふ。面白いもんね~~。」そして、阿須賀もエンカントで撮った陽織との爆発的に笑顔の写真を見ながら、「めっちゃくちゃいい顏。ふふん。」柚香とは到底、こういう顔で抱き合いながら撮れる事はないであろう…。しかも、ふたり共にジョッキとグラスを持ちながら。10数枚のエンカントでの写真。「はは。」教室内が静まる。「おっと。」アパートで亮輔、「まっ。これで何とか…。…確かに。陽織ちゃんに、あんな事は、言われたら、何とかするしか、ないし…。」そして、「さて。俺も、出掛けるか。」凡そ7時間前。エンカント。ただ、藪岡は当直で店には来ていなかった。賑やかに阿須賀と陽織、スマホで写真を撮って、ようやく椅子に落ち着いた時、陽織、「わっ!!!やっば~~。」すぐさま阿須賀、「うん…???どうしたの…???」肇も、そんな陽織を見て、「うん…???」陽織、「お姉ちゃん、ヤバいよ。」亮輔も阿須賀も、そんな陽織に、「うん…???…どういう事…???」「だってさ~~。私、もし仮に、朝、お姉ちゃんに…。仮に、戻ったとして、お姉ちゃん、大学に行って、お姉ちゃんの友達に…。なんて…。」瞬間、阿須賀も、「あっ。」そして、両眉の先端を吊り上げて、「確かに。」いきなり自分の口を両手で塞いで、「あの時は…。何かしら、すぐさまって…。」すると、今度は阿須賀も、「あ~~ん、どうしよ~~。」亮輔、「何々、どういう事よ…???」ルシアも、「う~~ん~~???」阿須賀、「つまりは~~。私、今日、陽織ちゃん、教室から連れ出したんだけど~~。」肇、コクリと、「うんうん。」「その時、陽織ちゃんの隣に…。柚香さんの…、あれ…、友達…???」陽織を見て…。陽織も、顔を傾げて、「…なんだと…、思う。私は全然分かんない。けど、確かに、柚香~~って、呼んでたから。」阿須賀、「何か、怪しまれたかな~~???いきなり私、柚香さん、借りるねって、言って連れ出したから。」肇もルシアも、亮輔も、「あ~~~。そういう事…。」陽織、顔をクシャリとさせて、「かぁ~~。どうするよ~~。こういう時~~。お姉ちゃん。」亮輔、「ん~~~。まっ。何とか…、誤魔化すしか…、方法…。」間髪入れずに阿須賀、「だから~~。その…、誤魔化す方法…、何…???」肇、口を搾って、「ん~~。何とか、誤魔化す方法…。ん~~。」今度は腕組みして、「ん~~~。」そして、「ママ。」ルシア、いきなり振られて、「いやいやいや。私にも分かんないよ。しかも…。柚香さんのその、大学の友達って、顔も知らないし。どんな感じなんかも…。」阿須賀、「ねぇ~~。亮輔~~???」亮輔も顔をクシャリとさせて、「ん~~~???…いや…。どうしろ…って、言われても~~。」そして腕時計を見て、「この時間…。真輝だって、寝てんだろうし…。藪さんは…。今日、当直だって…。」けれども…。そんな話もどこへやら。また陽織と阿須賀は楽しくお喋り。そんな中で亮輔、ラインでメッセージを。そして、送信。明け方、藪岡からの電話。「おぅ。起きてたか…???」頭を掻きながら亮輔、顔をクシャリとさせて、「…んな訳ねぇじゃん。起こされたよ。」その声に藪岡、「かかかか。…だろうな。…で、本題。」「おっと。待ってました。」 LIBRA~リブラ~ vol,155. 「阿須賀さん。わざわざありがとうね。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.04
コメント(0)
電車の中で柚香、真輝からのライン。「おはよう。とにかく戻れたんだね。」柚香、「うん。真輝君、今…???」「丁度駅に着いて、今、ホーム。」柚香、読みながら、「ふ~~ん。」そして、「ねね。面白い写真あるんだけど…。」「面白い写真…???」「真輝君、今日のお昼休み。またあのベンチ。」「あ、あ~~。OK~。と~~、電車来た。」「じゃね~~。」教室では、いつも一緒の絢美と心都に手を…。けれどもふたり、笑顔で柚香を迎えるのだが…。心都、「ねね、柚香、昨日の…、何だったの…???」絢美も心都を見て、そして柚香を見て、「うんうんうん。いきなり、知らない子が柚香の隣に。…で…、柚香も一緒に教室抜け出しちゃうし。」その話に柚香、いきなり目を真ん丸にビクン。頭の中で、「…マズイ。」目をキョロキョロと。そして、誤魔化すのに…。「えっ…???…あ…???…はは。」顔も傾げて…。「あ、あ~~~。うん。ははは。…いや…。あのぉ~~。彼女は…、え…と~~~。」頭の中で、「…もぅ~~~。何て言えばいいのよ~~。」そして柚香、「じ…、実は~~。」その時、柚香の右肩をトントンと。そして、「おはよ。」柚香、思わず後ろを振り向いて…。「へっ…???」阿須賀である。柚香に向かってニッコリ。「ふふん。おはよ。」思わず柚香、目をパチクリと。絢美と心都も、昨日柚香と一緒に抜け出して行った女性に、必然的に、コクリと…。柚香、そして目を真ん丸にして、「あ、阿須賀…さん…???」その声に阿須賀、ニッコリと、「うん。」そしてまた、「おはよ。」そして柚香の左側にいるふたりにも、「おはよ。」お辞儀をするように。柚香、慌てて、「お、おはよ。…って…???」絢美と心都も、共に顔を見合わせて、しかも、顔を傾げて、「えっ…???…あ、あ~~。あ。お、おはよ。」そして絢美、「ゆ…、柚香…???」増々慌てる柚香、「あ、あ~~。」阿須賀、「昨日は…、ありがとね。無理やり連れだしたりして…。私も時間、なかったから、柚香さん、無理やり。…でも、凄~~く、助かった~~。」そして阿須賀、柚香にペコリと頭を下げて。そして今度は柚香の左のふたりにも、「えっと~、私~~、商学部1年の~、広戸阿須賀と言います。ふたりにも、以前に学食で1、2度。」その瞬間、絢美と心都も、「あ~~~。」思い出したように、「はいはいはい。確か…、男の人と…。」阿須賀、「あ~~。うんうんうん。あれ、私の兄貴。ここの機械工学の3年。いや…、この兄貴がさ~~。とにかく、金遣い、半端なくって。しかも、遊び好きで。親の財産、使い潰しているって人なの。」その話に思わず柚香、目をパチクリとさせて、阿須賀を見て、右目を歪める。そして、小さな声で、「えっ…???」そんな柚香に阿須賀、目をパチクリと。そんな柚香の顔はふたりには見えない。後ろ向き。阿須賀、「…でね。実は~~。私、バイトしてるんだけど~~。バイトのし過ぎで体、悪くして病院、入院してたの。その時に柚香さんと知り合って~~。」その話に絢美と心都、「あぁ~~~。うんうんうん。」柚香、また阿須賀を見て、今度は変顔。その顔に阿須賀、ニッコリと。「で~~。病院で~。兄貴の話をして、どうしたら~~、金遣い…荒いの直せる…???…って~、相談。…で、今も柚香さんといろいろとお付き合い。私の先輩。昨日もね。あれこれと、相談に乗ってもらってたの。私、なんだかんだで時間、なかったから。おばあちゃんの、介護してるから。」柚香を見ながらの阿須賀。「私。両親いないんだ。兄貴とおばあちゃんの3人暮らし。でも、おばあちゃん、体、悪くって…。」その話に、絢美と心都も頷いて、「そうなんだ~~。」柚香、僅かに頭を傾げ…程度で。けれども阿須賀の話は続く。チラチラと柚香を見ながら、「柚香さんも~~。私同様、両親いない。おばあちゃんとふたりで生活。」絢美と心都、「うんうんうん。」「だから、いろいろと話が合って~~。」いきなり柚香、「そうなの。でぇ~~。昨日も…。」そして柚香、阿須賀に顔を。「ねぇ~~~。」阿須賀もニッコリと、「ねぇ~~~。」阿須賀、「でぇ~~。昨日、いきなりだったから~~。柚香さんに悪い事しちゃったな~~って、思って。昨日、ここにふたりがいたのを思い出して、柚香さん、いきなりの事だったから、困ってないかな~~って、思って~~。お礼と謝罪。ふたりにも迷惑、掛けたかなって思って~~。ごめんなさいね。」そんな女子に絢美と心都、いきなり顔を小刻みに振って、「いえいえいえ。全然。全然。」阿須賀、「あは。良かった~~。じゃ、私はこれで~~。ばいば~~い。」 LIBRA~リブラ~ vol,154. 「ねね。面白い写真あるんだけど…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.03
コメント(0)
ドアを開けて、「オーナー、店長~~。入りました~~。」ルシア、肇、ドアの方を見て、「陽織…ちゃん…???」客たち、「おっと~~。かかかかか。いらっしゃ~~。待ってた~~。ヒュ~~。」ルシア、目をパチクリと。肇、カウンターの中、笑顔で、「はは。お疲れ~~。」午前5時半。汀家、柚香の部屋では、ぐっすりと眠っている、陽織…???…柚香…???その頃、汀家、奥の部屋。幸乃、いきなり目を覚まし、「え…???…今の…。」そして部屋の入口、襖を見て…。頭を傾げて、「いない…。…えっ…???」そして…、「いやいやいや。夢、夢。」朝の7時、下から、「陽織~~~。ご飯~~。」その声に、ムクッと。「わっ。えっ…???…って~~。私…。」起き上がり、「…ちゃ~~。なってたか~~。」いきなり柚香、ベッドから、そして、立ち上がってドアに。「…ん…???」机の上の、メモ。そして、スマホ。「えっ…???」メモを手にする柚香、「お姉ちゃん、ごめんね。…でも、お姉ちゃんに、迷惑は掛けないから。陽織。…って…。」柚香、思わず、目をパチクリ。そしてすぐさまスマホの履歴。特に変わりなし。財布の中。特に変わりなし。そして、今度はスマホのアルバム。その瞬間、「え―――――――っ!!!!」スマホを持って、そのままドアを開けて、階段をドタドタ。幸乃、台所でその音に気付いて、「えっ!!!!」柚香、「おばあちゃん、おばあちゃん。」幸乃、いきなりの声に、「えっ!!!えっ???えっ???…一体どうし…。」「これ見て、これ見て。陽織。」幸乃、目をパチクリと、「え…???えぇ…???…陽織…???…おま…、柚香かぃ。」柚香、その声に、顔を2、3回、「うんうんうん。私。戻った。起きたら。それより。」スマホの画面を祖母に見せて。幸乃、画面を見て、「何だい、これ…???…それに、この人たち。」柚香、「この人たち、エンカントのオーナーと店長。…で、これは~~。多分、お客さん…たち…???」柚香、顔を傾げて。「で~~。これが、亮輔さん。で~~。これが…阿須賀さん。」幸乃、「あらららら~~。」「しかも~~~。日付が今日。深夜。2時。」「深夜、2時。まっ。…って事は。」「うんうんうん。陽織、エンカント、行ったんだ。…って、私、いつ、陽織に…???」祖母を見て柚香。「昨日。大学に行ってから。…らしい。真輝君から電話あって。」「うっそ~~~~。わ~~お~~。」「…って、おま…。」幸乃、目をキョロキョロとして、「おばあちゃん、全然気づかなかった。夜中に、家…。」その声に柚香、口を尖らせて、こちらも目をキョロキョロと…。「うん。…夜中に…、出掛けた…んだと…。」「…で…???…頭は…???…痛い…???…お店でお酒…???」柚香、「あ~~、あ~~。」顔を傾げて、「ん~~~。その…辺は~~。うん。」顔をコクリと。「何だか…、感じなく…なった。…もしかして…、免疫…???」そして柚香、「あっと。」すぐさま2階に。そして机のメモを持ってまた下に。「おばあちゃん、おばあちゃん、これ。これこれこれ。陽織のメモ。」幸乃、そのメモを見て、「ん~~~???…お姉ちゃん、ごめんね。…でも、お姉ちゃんに、迷惑は掛けないから。陽織。」そのメモを見て幸乃、ニッコリと。そして、僅かに目頭を熱く…、「ふふ。陽織。いい子だぁ~~~。」柚香、「おばあちゃん…???」そんな柚香を見て幸乃、ニッコリと、「少し、男勝りなところもあるけど…。言葉がね。まっ、態度も…。でも。とにかく、いい子だよ。それに。」ニッコリとした顔に口を閉めて、「記憶力って言うのかね~~。物覚えが、とてつもなく早い。すぐ覚えちゃう。あれはおばあちゃんも凄いって思う。」その話に柚香も、「へぇ~~~。」「昨日は、確か、大学で柚香が陽織に…。その…、亮輔さんと阿須賀さんが、一緒でって、真輝君、言ってたけど…。」「へぇ~~~。そぅなんだ~~。」「ただ…。昨日は陽織、帰ってきて玄関で…。」僅かに顔を傾げて、「何やら…、胸を抑えて…、涙…。体が今にも…、倒れそうな…。」瞬間、柚香、祖母に、「うん…???」「いや…。別に、なんでもないって、陽織、あの時は…、そぅ…言ってたけど…。」その話に柚香、「何…???」その後、朝の内に真輝と愛実、そして亮輔と阿須賀に柚香に戻った事をラインで。4人、共に、「ヨッシャ。」「ヨシ。」亮輔も阿須賀も、「じゃあ~~。あれから、朝には、戻ったんだ~~。」亮輔、「かかかか。初めて店にスマホ持ってきて、パシャパシャ写真撮ってたからな~~。あんな事、出来るようになったんだ~~。かかか。凄ぇや。」亮輔も藪岡とルシアにライン。藪岡、そのラインを見て、「そっか~~。」ルシア、「な~~るほどね~~。」ドアを開けて、「パパ~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,153. ドアを開けて、「オーナー、店長~~。入りました~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.02
コメント(0)
真輝、夕食を食べながらも、何かしら浮かない表情で…。そんな兄を見て咲耶、「ん~~~???…お兄ちゃん、もしかし…、彼女に、振られた…???」愛佳も真輝を見て。けれども真輝、咲耶の話を聞いているのかいないのか…。咲耶、顔を傾げて、「お兄ちゃん…???」愛佳も、遂に、「真輝っ。」瞬間、真輝、小刻みに顔を奮わせて、「えっ…???へっ…???何…???」途端に咲耶、顔を傾げて、「あ~~ん。だめだこりゃ。完全に、落ちちゃってるわ~~。ふ~~~ん。…ってか、振られた…って訳じゃ…。」咲耶、目をキョロキョロと…。そして、「うんうんうん。振られたんじゃ、ご飯どころじゃ…、ないか。」自身で納得したように数回頷いて。愛佳、「食事くらい、シャキッとなさい。一緒に食べてるこっちの方が美味しくないじゃない。」その声に真輝、申し訳なさそうに、「あ、ごめん。」「まっ。その…子の…、事でしょうけど~~。」その声にいきなり咲耶、母親に、「何っ!!!…何々何、かあさん。」体を前に突き出すように、「お兄ちゃんの彼女…???」咲耶の、その、「お兄ちゃんの彼女」と言う声に、真輝、いきなり顔を赤くして…。咲耶、「キャハ~~。お兄ちゃん、赤くなった~~。」愛佳、真輝に、「別に、いいでしょ~~。…もし、そうなら…、かあさんたちも、応援しなきゃ。あんた、ひとりで抱えてたって。」そんな話に咲耶、今度は目を真ん丸に、「えっ…???…何々…???…もし、そうならって…???…応援しなきゃって、どういう事…???」愛佳、食事をしながらも、「うん。あのね。」真輝、そんな母に、「かあさん。」「逆に。」愛佳、「あんたはまだ分かんないかも、知れないけど…。かあさんたち、あんたの困った顔、悲しそうな顔、落ち込んだ状態。ん~~。あんまり、見たくないの。」咲耶、そんな母の声に、今度は両眉の先端を吊り上げて、「うん…???…どういう事…???」愛佳、続ける。「まっ。確かに人生上、そういう事が、一度はあっていい。とは、思うんだけど~~。避けられない事であれば…。それはもぅ~~。うん。仕方がない。事、なんだろうけど…。…でも、一応…、心の準備、だけは、しておいた方は…。」咲耶、顔を傾げて、「増々、分かんない。」愛佳、「とにかく。普通の状態…じゃあ~~ない。」またまた咲耶、母のその声に、「はっ…???」「ん~~~。お兄ちゃん、真輝の、今、お付き合いしている彼女さん…???…ある、病気、抱えてるんですって。」咲耶、口を尖らせて、「病気…???…なんの…???」「まっ。そうは言っても、体のどこにも、悪いところはない。そうでしょ、真輝。」真輝、母の声に、僅かに頭を。咲耶、「お兄ちゃん…???…って、かあさん。」母を見て咲耶、「体のどこも、悪いところはないって…。それでも、病気…???」愛佳、ゆっくりと顔を頷かせて、「そっ。」咲耶、「何なの…、それ…???」「解離性同一性障害…って言って。」咲耶、目をパチクリと、「か、か…、かいり…せい…???…って…???」「つまりは、自分の体に、別のもうひとりの意識が…。ん~~。乗り移るって言ったら…、答え…、か、なぁ~~。」咲耶、「はい…???自分の体に、別のもうひとりの意識…。乗り移る…???」「つまりは~~。咲耶。あんたの身体に、別のもうひとりの意識。あんたが咲耶じゃなくって、別の人になる。…って事。」いきなり咲耶、「うそ―――――――っ。」「そういう、症状が…。現実に、ある。」愛佳。咲耶、思わず、顔をグシャリとさせて、「わっ。気持ち、悪ぅ~~~。」そんな咲耶の顔を見て愛佳、「咲~~~耶っ。」咲耶、途端に目を丸く、そして顔を引っ込めるように、「あっと。…あ、はい。…ごめんなさ~~い。」愛佳、真輝をちらりちらりと見ながら、「それで…???…悩んでるんでしょ。」真輝、中々箸が進まない。「あ、あ~~。う、うん。」「まっ。」愛佳、「仕方、ないっちゃ~~。仕方がない、事、なんだけど。とにかく。あんたが、それほどまでに、気にしてるんじゃ、この際。その子の事、見守ってあげなさい。かあさんもとうさんも、陰ながら、応援はする。」「えっ…???」咲耶。「何…???…とうさんもこの事、知ってるの…???」その時、玄関のドアが、「今、帰ったぞ~~。」いきなり咲耶、椅子から立ち上がり、「とうさ~~ん。」愛佳、咲耶に、「咲耶っ。行儀悪い。」咲耶、玄関に、「とうさん、とうさん。」いきなり玄関に駆けてきた咲耶に吾大、「どうした~~、いきなり~~。」咲耶、「ねね。」「う~~~ん…???」愛佳、真輝に、「…と、言う事は…、その子、また…???」真輝、おもむろに頭をコクリ。吾大、その後ろから咲耶、リビングに。そして、吾大、真輝に、「えっ。おま…。その子…。」 LIBRA~リブラ~ vol,152. 「…お兄ちゃん、もしかし…、彼女に、振られた…???」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.06.01
コメント(0)
全30件 (30件中 1-30件目)
1