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阿須賀、「もしかして…。真輝君、柚香さんの事…。」その声に陽織、阿須賀に、「へっ…???…真輝、柚香の事…???…お姉ちゃんを…。好き…???」そして今度は祖母を見て、「ねね、おばあちゃん。」そんな陽織を見て幸乃、少しだけ困ったような顔で、「ふふ。…どうだろうね~~。おばあちゃんには、何も言えないけどね~~。まま、本人たちの…。」「そっか~~。」陽織、頷きながら、「うんうんうん。」そんな陽織を見て阿須賀、可笑しがるように顔を傾げて、「えへっ…???…陽織ちゃん…???」「うんうんうん。」口を尖らせながら、「…なんだか、分かるような気がするんだ。あいつ、真輝を見てると…。」そんな陽織を見て阿須賀、「えっ…???」「なんだか…、まっすぐのような感じで…。」遠くを見ているような感じの陽織。阿須賀、「陽織ちゃん。」幸乃も、「陽織…。」幸乃のバッグの中のスマホに着メロ。幸乃、「おや。」そして、幸乃、「あ、はいはい。メグちゃん。」スマホからの声、「あ、もしもし、おばあちゃん。…もしかして…、まだ…陽織ちゃん…???」「うんうんうん。そぅ。今、柚香の通っている大学に来てるんだけどね。」「え―――――っ!!!…大丈夫なの~~???」「あ~~。うんうんうん。大丈夫。丁度、真輝君にも会って~~。…それに、亮輔さんや阿須賀さんにも…。」幸乃、チラリと阿須賀を見て…。スマホから、「亮輔さんと阿須賀…???…あ~~。はいはいはい。うんうんうん。じゃあ~~。まだ…、ユズには…。」幸乃、困ったような顔で…、「そぅだね~~。」陽織、頭の中で、「メグ…。」阿須賀、「じゃあ~~。私は…。これで…。」陽織に手を振って。陽織、「バイバ~~イ。」その数秒後、幸乃、愛実との通話を切る。陽織を見て、「柚香の友達のメグちゃん。井島愛実さん。ほら。おまえも前に一度。」すると陽織、少し思い出すかのように、「あ~~~。うんうんうん。真輝と一緒に~~。」「心配して、電話してくれたんだよ。」陽織、「そっか~~~。」幸乃、「さて。」腰を上げながら、「陽織、お腹空いただろ。」その後ふたりは歩きながら、そして…。入ったお店が、回転寿司。陽織、「へぇ~~。これが…お寿司~~。阿須賀の家でも、これ、作ってるんだ~~。」幸乃、陽織に、「好きなもの、食べていいよ。」陽織、その声に、目を真ん丸にさせて、「ほんと…???」すると近づいてきたお皿をすぐさま。そして、すぐに口に入れてモグモグと。またまた目を真ん丸にさせて、「うんま~~~。」そんな陽織を見て幸乃、笑顔で…。「ほら。これにもあるだろ。メニューと言って、好きなもの、食べられる。」口の中でまだモグモグしながら陽織、頷いて、「うんうんうん。」そして、みるみるうちにお皿は…。5皿、6皿と…。しかも、立て続けに…。幸乃、そんな陽織に、「これこれ。そんなに慌てなくても…。少しは休んだらどうだぃ。」「いや。だって。美味しいんだもん。生まれて初めて。こういうの食べたの…。」幸乃、そんな陽織に、「はははは。」そして、こちらでは…。午後のカンファレンスを終えて医局に戻ってきた藪岡、席に就いた瞬間に腕時計を見て、「ん~~~。」そしてまた椅子から離れて…。そして廊下に。ズボンのポケットから自分のスマホ。4回のコールで相手が…、「はい、私~~。珍しいね~~。こんな昼間っから~~。」ルシアである。藪岡、「あ~~、俺だ。…もしかしたら、今夜も陽織ちゃん、そっちに行くかも知れない。」その声にルシア、「えっ…???」都内のとある…、イタリア風デザインマンションの1室。ルシア、スマホ越しに、「陽織ちゃん、今夜もって…???…どういう…???」「昨夜、エンカントに行ったんだろ。」「あ~~。うん。いつも通り、3時には帰ってたけど…。」「実は…、それから…。朝になっても、陽織のままなんだ。」その声にルシア、「うそ。」ルシア、目をパチクリと。そしてソファから立ち上がって、ベランダで煙草を吸っている肇の方に、「何…???…もしかして…。今も…、柚香さんじゃなくって、陽織ちゃんが…???」「あぁ~~。」スマホから藪岡の声。ベランダに出て肇に、「陽織ちゃん、柚香さんに戻ってないって。」その声に肇、「えっ…???…うそ。」ルシア、スマホのスピーカーをトン。藪岡の声、「とにかく、そういう事だ。今までとは、ちょっと、様子が異なっている。いつまた柚香さんに戻るのか、全く見当が付かない。」ルシア、スマホに向かって、「分かったわ。」そして肇を見て、「とにかく、私たちは、いつも通りに。」「あぁ。頼む。」「けど…、この事、真輝君や亮輔…。」 LIBRA~リブラ~ vol,120 阿須賀、「もしかして…。真輝君、柚香さんの事…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.30
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真輝、亮輔に、「……。…んな訳、ねぇだろ。」途端に亮輔、真輝を揶揄うように、「はははは~~。赤くなった~~。」「うるさい。」そして真輝、そんな亮輔を見て、「…って、言うか、おま、授業…、出るんだな。かかかか。」「はぁ~~ぁあ…???…それこそ、うるせぇよ。」陽織、「そっか。阿須賀の家って、お寿司屋。…で、お姉さんが結婚して、お店の店員。…で、経理してんだ。」阿須賀、「うん。…私は、元々…。」陽織と幸乃を見て、舌をチロリと、「勉強は…苦手…。友達と遊んでいる方が…。…けど…。親からも姉からも、大学くらいちゃんと出て~~。でぇ~~。仕方なく、友達の誘いも断ってぇ~~。勉強して~~。」そこまで話して阿須賀、「かかかか。中学、高校と…。私も…、グレてたからね~~。」陽織、「グレてた…???」陽織、祖母を見て…。幸乃、そんな陽織に笑顔で…。「まっ。その内…、分かるよ。」阿須賀を見て、そしてニッコリと…。阿須賀、「でぇ~~。ここに受かったと。」「…けど…。ここって…。結構…、難関って…、柚香。」その声に阿須賀、「ん~~~。…なんでだろ…???…私にも分かんないけど…。」阿須賀、前を見て、そして陽織と幸乃を見て、「高校の先生も、奇跡だ。おまえが慶稜…、合格とは…。って、驚いてたくらいだから…。…でぇ~~。ここに入って…。新入生同士の飲み会で居酒屋に…。で、その時に、亮輔と会って~~。まっ。なんだかんだで…。」幸乃、そんな阿須賀を見てニッコリと、「そぅかぃ~~。」そして幸乃、「ふふ。亮輔さん、良い人じゃないか~~。」その声に阿須賀、ニッコリとして、「うん。」その阿須賀の嬉しそうな顔を見て幸乃、「うんうんうん。そぅかぃ~~。亮輔さんの事、好きなんだね~~。」その声にいきなり阿須賀、顔を真っ赤にして…。幸乃、そんな阿須賀に、「うんうんうん。人を好きになるなんて、素敵な事じゃないか~~。…それに、阿須賀さん、とっても可愛いから。みんなに、愛されるんじゃないかぃ…???」思わず阿須賀、舌をチロリと出して、「そんな~~~。…でも…。」幸乃に、ペコリと頭を…。「ありがとうございます。」陽織、幸乃を見て、「おばあちゃん、好きって…何…???」幸乃、陽織を見て、「そうだね~~。その人といると、楽しいって事かな~~。…まっ。でも…、友達とは違う。」陽織、祖母に、「友達…???」「うん。友達って言うのは、当然、一緒にいると楽しいし、遊び相手にもなる。…けど…。好きって言うのは、それ以上なんだ。特別な存在。その人じゃないと、いけない存在。」陽織、祖母を見て、「ふ~~~ん~~。」そして阿須賀を見て、「じゃあ、阿須賀は亮輔の事、好きなんだ。」いきなり阿須賀、その声を聞いて陽織の左肩を右手でグイッ。「陽織ちゃん、もぅ~~。」その弾みで陽織の体が幸乃に。「おっと~~。」幸乃も自分の体を思いっ切り右に。そして陽織を支えて、「かかかかか。陽織~~。あはははは、阿須賀さ~~。」陽織、祖母に支えられながら、「いやいやいや。私、倒れちゃうよ。阿須賀~~。」いきなり阿須賀、口に両手を、「わっ。やだ、私。ごめ~~ん。」幸乃、「かかかかか。うんうんうん。可愛いよ。阿須賀ちゃん。」阿須賀、幸乃に、「おばあちゃん、ごめ~~ん。」陽織、体を立て直して、「びっくりした~~。」そして阿須賀に、ニッコリと、「ははははは。」阿須賀、僅かに顔をコクリと、「うん。…でも、私、亮輔、好きだよ。いままで、あんな感じで私と付き合ってくれた男性、いなかったから。常に上から目線。女の癖にって…。そんな感じ。」そこまで言って阿須賀、いきなり陽織を見て、「あっ。…それこそ、真輝君。」そこまで言って阿須賀、目をパチクリと…。そしてキョロキョロと。「あ。」陽織、そんな阿須賀を見て、目をパチクリ、「うん…???」そして、阿須賀に、「うん…???…どうした…???」途端に阿須賀、口を真一文字に…。そして右眉を歪ませて~~。そして顔を左右に…、「ううん…。」幸乃、「真輝君。」そして顔をコクリと、「うんうんうん。良い人だよ。とにかく優しい人だ。」そして、「はははは。柚香の事になると、すぐに飛んでくる。それに。」陽織を見て、「陽織に変わったと思ったら、そしたらまた飛んでくる。」陽織、「私に…???」「そうだよ~~。今朝だってそうだろ。」阿須賀、そんな幸乃に、「へぇ~~~。」陽織、「あっ、そっか。うん。朝、部屋にも来た。」阿須賀、「うそ。柚香さんの部屋に…???」「まぁ~~。前に、柚香にいきなり引っ張られて部屋に行ったから…。それからだけどねぇ。」阿須賀、目を丸く、「えっ…???…へっ…???…じゃあ、もしかして…。」 LIBRA~リブラ~ vol,119 「阿須賀の家って、お寿司屋。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.29
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「今の…、私のこの状態…???…私…、柚香の…、お姉ちゃんの体を借りて、この状態なんだ。…解離性同一性障害…。」陽織。亮輔、「うそ。それもしっかりと…、理解してるってか…???」小さな声で。真輝も、「凄ぇ…。」幸乃、「陽織…。」阿須賀も、「陽織ちゃん。」「だから…。」陽織、「陽織、どうなっちゃうか…、分かんないから…。…一番、心配してるの、おばあちゃんだからさ。」何かしら、ホッとするような感じの幸乃。陽織、「真輝~~~。」その声に真輝、陽織に、「うん…???」「陽織…、また…、今度、柚香、お姉ちゃんに、変わるんでしょ。」いきなりの声に真輝、「あ、あ~~~。」咄嗟に亮輔と阿須賀、そして幸乃を見て、「あ~~~~。うん。…多分。…だと、思うよ。…ただ…。それが…、いつかは、誰にも分かんないけど…。」「柚香にさ、お姉ちゃんにさ。言ってくれない。」真輝、「えっ…???」亮輔、陽織を見て、「うん…???」阿須賀は、口を尖らせて、「……。」「陽織が…。謝ってたって。ごめんねって…。」その声に4人、瞬間、口の中の物を飲み込んだような感じで…。真輝、「陽織ちゃん。」幸乃、優しそうな顔で、「陽織~~。」亮輔は、ニッコリと、「うん。おぅ。」阿須賀もニッコリと、「あは。」真輝、笑顔満面に、「うん。分かった。そう言っておく。」陽織、こちらも笑顔満面で、「ニシ。お願い。頼んだ。」そして、Vサイン。「とぉ~~~。」亮輔、腕時計を見て、「俺ら、そろそろ午後の…。」真輝も、腕時計を、「おっと。…もぅ、そんな時間。」阿須賀、両肩をくねりくねりと…。「あ~~ぁあ~~。また講義~~。」真輝、「あすか…さんは、専攻は…???…って、言うか、あすかさんって…。明日の香っていう…???」その声に阿須賀、真輝を見て、目をパチクリと、「へっ…???」亮輔を見て、そして真輝を見て、「えっ…???…あ、あ~~。ううん。明日の香じゃなくって~~。」「阿須賀神社の阿須賀。」亮輔。その声に真輝、「阿須賀神社の阿須賀…???」阿須賀、亮輔に、「何、それ…???どこの神社よ…???」真輝、思い出したように、「あ、あ~~。うんうんうん。分かった。阿須賀神社。」そして阿須賀を見て、「なんか、凄い名前。かっこいいよね。阿須賀。うん。」ニッコリと。その声に阿須賀、思わず、顔を赤くして、「えっ…???…あ、あ~~。いぇ~~。とんでも…。」瞬間、亮輔、「おほほほほほ~~。満更でもねぇ感じ。かかかか。」そして亮輔、「まっ。こいつに、そんな感じで話し掛けてくるヤツなんて、いねぇし…。」そんな亮輔に阿須賀、「うるさいよ。」「…で、元ヤンキー。遊び好き~~。かかかか。」「あんたが、それ、言うな~~。遊び好きの癖に~~。もぅ~~~。」そして阿須賀、真輝を見て、「…商~~学…、部」真輝、笑顔で、「へぇ~~。」そして真輝、「うん。頑張って。」阿須賀、少し、照れるように、そして亮輔の左腕に両手を絡ませて、「…で…。真輝君は…???」真輝、その声に、「あぁ。僕は…機械工学。」亮輔をチラリと見て、「亮輔と同じ専攻。」思わず阿須賀、亮輔を見て、「へっ…???…そうなんだ…???…あは。全然分かんなかった。…って言うか、全然知らなかったし…。かかかか。」「…って言うか、マジ、やば。」亮輔。そして幸乃に、「じゃ、俺はここで…。」真輝も幸乃に、「失礼します。」幸乃、「うん。頑張って。」陽織、「はは。うん。」そして、真輝と亮輔は、その場を…。「あ~~ん、もぅ。」阿須賀、取り残されて…。陽織、そんな阿須賀を見て、「阿須賀は…???…真輝と亮輔と一緒じゃ…???」阿須賀、首を振って、「ううん…。私の…、授業はあるけど…。まだ…時間…。教室に行っても…。」幸乃、「ふふ。陽織~~。大学って言うのは、いろいろでね。講義。つまりは授業の時間。時間割って言ってね。大学でも、それぞれ、違うんだよ。」ベンチに座っての阿須賀。「ふん。だから~~。私の授業はまだ…、これから~~。」幸乃、阿須賀に、「さっき、商学部って、言ってましたね~~。」その声に阿須賀、ニッコリと、「えぇ。…私の実家が…、埼玉…なんですけど…。寿司屋なんです。」その声に幸乃、目を丸く、「へぇ~~。凄~~い。美味しそう~~。」陽織、阿須賀の隣に座って、「寿司屋…???…どんなの…???」幸乃、「ははは。今度、連れてくよ。」そして、阿須賀に、「…で…、阿須賀さん。」阿須賀、一度頷いて、「…で、家で店をやっている以上は、おまえも大学~~って、毎日。まぁ~~。姉がひとり、いるんですよね~~。」階段を上りながら亮輔。真輝に、「おま、柚香さんの事、好きなんだろ…???」その声に真輝、亮輔を見て、「はっ…???」「顔に書いてある。」 LIBRA~リブラ~ vol,118 陽織、「陽織、どうなっちゃうか…、分かんないから…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.28
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亮輔と阿須賀の手を取り、そして思い切り上に掲げて陽織、「ははは。ははははは。」いきなり手を引っ張られた亮輔、驚いて、「えへへへへ~~~???」そして、そんな驚きは阿須賀も同じ、「えへ~~~。うそ~~~。」陽織を見て亮輔を見て。陽織は一度、両手のふたりの手を引っ張り、高々と掲げたかと思えば、今度はその両手を振り下ろしてまた掲げる。そして、今度は更に声を高く、「イエ~~ィ。はははは。あ~~はははは~~~。あ~~ん、気持ちいい~~。」そして陽織、亮輔を見てニッコリ。そして今度は阿須賀を見てニッコリ。そして、ふたり、交互に見て笑顔満面で、「ねっ。」亮輔、そんな陽織を見て、思わず、「おぅ。はは。はははは。」「…って…、亮輔~~???」陽織に手を握られ、そして掲げたままの阿須賀。亮輔、そんな阿須賀に、「いいじゃねぇか。陽織ちゃん、気持ちいい~~って言ってんだから。」そう言って亮輔、今度は、「じゃ、陽織ちゃん。」そう言いながら握られてた手を放して、「こぅ。」両手を高く掲げて。「陽織ちゃんもやってみな。」陽織、握っていた阿須賀の手を放して亮輔の言う通りに両手を高く。亮輔、ニッコリと、「もっと高く。こぅ。」陽織、頭の上まで上げた亮輔の両手を真似て自分も頭の上に。すると亮輔、その陽織の両手に自分の両手を強めにペン。瞬間陽織、「わぁ。」僅かに後ろに仰け反るような感じで…。亮輔、ニッコリと、「陽織ちゃんも同じように俺の手にやってみな。」すると陽織、すぐさま、亮輔の両手にペン。「これでいいの…???」亮輔、そんな陽織に、「あぁ、そうだ。じゃあ、今度はこれを一緒に。」「一緒に…???」「あぁ、行くよ。」すると、すぐに自然に、ふたり同時にお互いの両手を、「ペン。」そのふたりを見て阿須賀、「あはっ。」その景色を見ていた幸乃、ポツリと、「陽織…。」そして、真樹も、「何が…どう…???」亮輔、陽織を見て、「これが、ハイタッチ。何か成功したり、何かを成し遂げたときに仲間とやるのが、これ。ハイタッチ。覚えとくといいよ。」その話に陽織、「ハイタッチ。……。」すると陽織、「うん。分かった。覚えとく。ありがと、亮輔。」「…と、言うか…、びっくりした~~、いきなり。」阿須賀。「左手、引っ張って上に挙げて、イェ~~ィ、だも~~ん。」目を真ん丸にして。亮輔、「まぁな。」「陽織ちゃん、大学ってね。」真輝。そんな真輝を見て、キョトンとしての陽織、「うん。」「陽織ちゃんはまだ、学校を知らないと思うけど…。僕たち子供は、小さい時には、保育園。」「保育園…???」「そぅ。そこから、今度は小学校、中学校、そして高校。それから大学と。僕たち、子供が、大人になるまでに段階毎に学ばなきゃいけない場所なんだ。…つまりは、勉強するところ。」すると陽織、「ふ~~~ん~~。」また腰に両手を回して体をゆらりゆらりとさせながら、「じゃあ~~。真輝も、亮輔も、阿須賀も、その小学校、中学校、そして高校、大学って~~???」瞬間、亮輔も阿須賀も、「凄っ。記憶力。」陽織、3人を見て、「勉強してきたんだ…???」阿須賀、「凄い、この理解力。」小さな声で。亮輔、陽織を見て、笑顔で、「あ、あ~~。」そして亮輔、幸乃の顏をチラッとは見るが…。「因みに…、陽織ちゃんは…???学校…、どうするの…???」その声にビクンとする幸乃。そして、何か言おうと…。その前に陽織、目をキョロキョロとさせて、口を噤んで、「ふ~~ん~~。私か~~。」そして顔を傾げて、「ん~~~。…分かんないや。…だって。陽織は、今日、初めて朝…???」祖母を見て、「ご飯食べて。柚香の…、お姉ちゃんの服、着て、初めて朝から外に出て、今…、ここ…???…ねぇ、おばあちゃん。」そんな陽織に幸乃、僅かに困惑したような顔で、「う、うん。」真輝は真輝で、「うん。そうだね。」陽織、続ける。「だから陽織、これから、何をどうすればいいなんて…。全然。」顔を右左に、「分かんない。…って言うか~~。私…。陽織は2歳で死んでるんでしょ。」その言葉に、真輝も亮輔も、阿須賀も、「えっ…???」「死んでるはずの私が、今こうして、生きてる。…しかも…。柚香の体で…。」瞬間、阿須賀、小さな声で、「何…???…この子のこの、理解度…。」阿須賀、亮輔の左肘に右肘をツンツンと。「半端なぁ~~。」亮輔もその阿須賀の声に、2度程頷いて、「う、うん。…いやいやいや。自分でちゃんと、理解してるし。」阿須賀も頷いて、「うん。」「それに…。」陽織。「陽織、おばあちゃんに迷惑、掛けたくないんだ。」幸乃、その声に、思わず、「へっ…???」目をパチクリと…。真輝、そんな陽織を見て、「陽織ちゃん。」陽織、口をへの字にして、「だ~~ってさ~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,117 思い切り上に掲げて陽織、「ははは。ははははは。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.27
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阿須賀、また陽織に、「ひ…、陽織…、ちゃん…???」亮輔、阿須賀に、「だから…。おま…。」阿須賀、「あ、あ…。うん。…でも…。何だか…。…変。」亮輔、「…ん~~。まっ。…確かに…。変と…言われれば…。」瞬間、陽織の傍の老人を見て、「あ、あ、あ~~。すんません。」幸乃、その男性に、笑顔で、「ううん。」顔を左右に、「いいんですよ。」真輝、「ひとりで外に出たら…。何処に行くのか…。」亮輔、「あぁ。…確かに。…体は…。こんなでも…。記憶は…、2歳。…迷子になるのが…、関の山。…あ、いや…。んじゃ、大学の方には…???」真輝、「うん。おばあさんが…。」そこまで言って、「あ、こちら…、柚香さんのおばあさん。汀、幸乃(ゆきの)さん。」真輝、幸乃に、「染谷、亮輔君。僕と同じ専攻。」幸乃、男性に丁寧にお辞儀を…。「初めまして、柚香の祖母の幸乃と申します。」丁寧な挨拶に亮輔、頭を撫でながら、「あ、あ、あ~~。はい。初めまして、染谷と…。…で、こいつが…。」阿須賀を…。幸乃、女性にも、お辞儀をして、「幸乃と申します。」阿須賀、思わず、照れながら、「あ、あは。は、は、は。あ~~。はい。阿須賀です。広戸阿須賀。うん。陽織ちゃんとは、店で…。あ、はい。」幸乃、再びふたりにお辞儀をして、「いろいろと、お世話になっております。」そして、「今後共に、よろしくお願いいたします。」頭を上げて、また再び頭を下げる。そんな丁寧な姿に亮輔、「あ、いや…。…おばあさん…。そんな…丁寧に…。…いや…。って言うか…。こっちが…なんだか…。照れ臭くなっくるし…。」阿須賀と真輝を見ながら。そんな亮輔を真輝も満更でもなさそうに…。亮輔、続ける。「…そんな…、…別に…、大した事、してる…訳でもないのに…。…ただ…、いつも行く店で見た顔の人が、大学にもいた。不思議に思って声を掛けた。そしたら、全然別の人だった。…で、こっちが驚いて…。そこから話が…。」真輝もその話に頷く。亮輔、「あ。…でも…。…結局、陽織ちゃん…。」そして幸乃と真輝を見て…。「柚香…さんの事…???」真輝、その声に、頷いて、「うん。その事は…もぅ…、知ってる。」いきなり陽織、ボソリと、呟くように、「あんた。店に来る人だよね。」亮輔、その声に、思わず陽織を見て、「えっ…???」そして、少し照れたように、「あ、あ~~。」すると陽織、僅かに顔を前に、口を尖らせて、そして、「ども。」すると、ニッコリ。「また会えたね。」その声に亮輔、照れたままで、「お、お~~。はは。はははは。」「…と、言う事は…。」陽織、建物を見て、そして亮輔と阿須賀を見て、「あんた…たちも…、この…大学…???」瞬間、真輝も幸乃も、「えっ…???」いきなりの声に亮輔、目をパチクリと、「えっ…???」少し、驚きながら…。「あ、あ~~。」建物を見て、「そ、そうだけど…。」阿須賀、思わず陽織に、「陽織ちゃん、凄~~~。ねね、どうして分かったの…???」その声に陽織、目をパチクリとさせて、「…あ、いや…。ただ、単に、店でふたりに会ってるから…。で…、簡単に、今も…ここで…。…ただ、それだけ…。それに…。」真輝を見て、「真輝もここなんでしょ。大学…。」その、「真輝」と言う言葉に真輝、目をパチクリとさせて、「あ、あ~~。」慌てて幸乃、陽織に、「これ…。呼び捨てで…。」瞬間、阿須賀、口を窄めて目を真ん丸に、「凄っ。」「へぇ~~~。」そして陽織、幸乃の傍を離れて、ニッコリと。そして、両手を腰の辺りで結んで体をゆらりゆらりと、「そっか~~。真輝も、亮輔も~~。」亮輔と阿須賀を見ながら、「阿須賀も、ここの大学なんだ~~。」亮輔、いきなり自分の事も、「亮輔」と名前で…。思わず顔を綻ばせて、「お、お~~。」「どんなトコなんだ…???…大学って…。私も知りたい。」阿須賀も、思わず両手を口に、「私の事も阿須賀って呼んでくれた~~。」嬉しそうに。「なんかさ。さっき、おばあちゃんと一緒に、病院に行ったんだけど…。何か、探られているみたいで…。居心地が悪いって言うか…。」幸乃、目をパチクリとさせて、陽織に、「陽織、おま…。そんな風に…。」真輝、幸乃に、「おばあさん…???」問い掛けるようでも…。幸乃、そんな真輝に困ったような顔で、「いえね~~。どうせなら、一度…。柚香が入院。それに…。しかも…、陽織も柚香から陽織に変わったとこだからって、長篠観音病院に…。連れて行ったの。」大学を眺めながらの陽織。すると、何を思ったのか陽織、いきなり亮輔の右手を取り、そして阿須賀の左手を取り、「イェ~~イ。」いきなりふたりの手を取り、高く掲げる。亮輔、「え~~~???」阿須賀も、「陽織ちゃん…???」真輝、いきなり、「えっ…???」 LIBRA~リブラ~ vol,116 真輝、幸乃に、「染谷、亮輔君。僕と同じ専攻。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.26
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そして幸乃は、陽織を連れて、次の場所に。丁度、時間は12時を回ったところ。「陽織、お腹空いてないかぃ…???」その声に陽織は、幸乃を見て、首を振る。「ううん。」そして建物を見て、「ここが…。」幸乃、「うん。柚香。お姉ちゃんが通っている大学。慶稜(けいりょう)大学。」陽織、「けいりょう…、大学…。」陽織、何かに気付いたような…。頭の中で…、「あ。…そう言えば…。あの…、四角いものの中に、お姉ちゃんの顏と…、なんだか…。」ゆっくりと大学のキャンパスを歩きながら…。丁度お昼時、既に食事を終えて、キャンパス内を歩いている学生たちもあちらこちらに。ふたり共に、建物がすぐ近くに…。幸乃、「いいトコだね~~。お姉ちゃんの通っている大学~~。」陽織は陽織で、「ふ~~ん。」キャンパスをあちらこちら…。そんなふたりを大学構内、廊下から…。窓から外を見ていた…、「うん…???…どっかの…、婆さん…???…見学か…???…となりに…、若い女性…。え――――――っ!!!」すぐさま走り出す男性。亮輔である。「ちょ、ちょっと。ちょっと~~。亮輔~~~。」阿須賀、亮輔の背中に。窓の外を見て、「…んもぅ~~。何が、何~~???…どうしたのよ~~。」走りながら亮輔、「何が…、どう…???」ゆっくりと歩きながら…。すると…。視野に入るベンチ。幸乃、ベンチに座って本を読んでいる男性に近づき。そして、傍で立ち止まる。男性もその気配に気が付き、顔を…。「わっと~~~。びっくりした~~。おばあさん~~。」「近くまで来て、真輝君だって分かってね~~。」陽織は顔をゆっくりと辺りを…。真輝、ニッコリと、「そうですか~~。大学に~~。…あ。でも…、大学の方には…。」幸乃、「えぇ。…それとなく…、事情は話しましたけど…。事故の後遺症かと…。頭痛が止まらないので…、病院に…。そのついでに少し、散歩でもって…。」真輝、話を聞いてニッコリと、「そうですか~~。」そして真輝、陽織に。「ねぇ。どぅ…???…陽織ちゃん、お姉さん、柚香さんの通ってる大学…???」陽織、そんな真輝に、口をグンニャリとさせながら、「ふん。…て、言うか、私には全然、分かんないや。ここが、どういうとこなのか。さ~~っぱり。」その声に真輝、「はは。まっ。確かに。」その時、遠くから、「お~~い。」その声のする方角に真輝、そして幸乃、顔を…。真輝、その顔に、「おっと。」幸乃は、「……。」「へ~~~。やっと着いた~~。」真輝、「亮輔~~。」亮輔、「いやいやいや。廊下を歩いてたら、窓から見えたんで。…なんで、キャンパスにお年寄りがって…。…で、隣の女性を見たら、おぃ。嘘だろって…。」陽織、男性を見て、口を噤んで…、とぼけたような顔で…。真輝、「はは。」そして、幸乃に、「おばあさん。この人、亮輔。ほら、昨日、話した。店で陽織ちゃんを…。」その声に幸乃、男性を見て、「あぁ~~。」亮輔、真輝に、「何、おま…。俺の事…???」老人の顏は見ずに、顔をクイッと…。真輝、「あぁ。…いや。成り行き上…。…って、おまえが発端だろ。実際、エンカントで陽織ちゃん。そして、大学で柚香さん。」「あ~~~ん。や~~っと、追い着いた~~。何、亮輔~~。いきなり走ってさぁ~~~。へ~~~。」阿須賀。息せき切って、両手を両膝に。…そして、体を起こしたかと…、そして目の前の4人を見て、「えっ…???」その中の女性を見て、「へっ…???」そして阿須賀、目をパチクリと…。「柚香…、さん…???」いきなり顔を傾げて…。亮輔も、真輝に、顔をプィと。「おぃ。」幸乃は終始、黙ったままで…。真輝、口を噤んで…。そして、「うん。」顔をコクリと、「実は…。彼女。…陽織ちゃん。」その声に亮輔、「うそ。」阿須賀は阿須賀で、「え―――――――ぇっ!!!」陽織は陽織で、店で見掛けている女性に、ペコリと、「こんにちは。」幸乃、そんな陽織を見て、「おや。」阿須賀、自分にペコリとお辞儀する陽織を見て、「あは。…陽織…ちゃん…???」真輝、「えへ…???…この人…。」亮輔の隣の女性を見て…。亮輔、「あぁ。」阿須賀を見て、「阿須賀。広戸阿須賀(ひろとあすか)。」真輝に、「エンカントで、陽織ちゃん、見て、あれこれと喋ってる。」幸乃、陽織を見て…。陽織、口を尖らせて、コクリと、「うん。」幸乃、初めて見るふたりに、「そうでしたか~~。真輝君には、ふたりの事も…。」亮輔、「えっ…???」真輝、コクリと、「うん。まっ。あらまし…は…。」「…って、事は~~。…えっ…???…あれから…、まだ…。ずっと…。…このまま…???」真輝、亮輔に、「あ、あ~~。このまま。」阿須賀、「何…???…亮輔~~。」「あぁ。…実は…、ほら。昨夜…。エンカントで、陽織ちゃん。」阿須賀、「うん。」「今までだと、朝には…。…けど…。」 LIBRA~リブラ~ vol,115 「うん。柚香。お姉ちゃんが通っている大学。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.25
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真輝は帰って行った。帰り際、「また来ます。」と言って。その後、何度か愛実から柚香のスマホに電話が…。その都度、幸乃、対応して…。愛実、大学の帰りに家に寄ると言う。幸乃、覚悟を決めて、「ヨシ。」頭の中で、「…まっ。柚香も、家には黙っていられない性格だから…。」陽織に、「ちょいと…、出掛けてみるかぃ。」陽織、「出掛ける…???」「外だよ、外。おまえ。とにかく、何も分かんないだろ。」「う…、うん。」そして、幸乃、陽織を車に乗せて…。陽織、目をパチクリと、「凄い。おばあちゃん。こういうの…、出来るんだ…???」幸乃、「運転かぃ…???…車の…???…そもそも…、おばあちゃん。東北産まれだから。学校出て、すぐさま車の免許、取ったのさ~~。おばあちゃんの生まれたトコでは、車がないと不便でね~~。」車で世田谷駅まで…。そして…、駅の近くの駐車場に車を止めて、今度は徒歩。陽織、「ねね。どこ…行くの…???」その声に幸乃、「うん~~???はははは。…ただ、ぶらぶらさ。おまえも、特に、目的はないだろ。…何が何だか分からない。」陽織、頷いて、「うんうんうん。初めて見る。」幸乃、バッグからスマホを…。そして、「あ。おはようございます。循環器内科の…、熊沢先生…。お願いしたいんですが…。」1分後…。「お待たせしました。熊沢…、今…、診察になってますが…。」「そう…ですか~~。じゃあ…。……。」40分後…。幸乃が向かった先は…。陽織が…、「ここが…。」幸乃、「そうだよ~~。柚香、お姉ちゃんが入院してた病院。長篠観音総合病院。」そして…。循環器病棟、ナースステーション。看護師たちが幸乃を見て…。そして隣にいる女性を見て、ぞろぞろと…。ひとりの看護師が、「先生。」熊沢、「あ、あ~~。」そして、「松峰先生も、呼んできてくれないか。」彩芽、「はい。」師長の奥嶺、「汀さん。」幸乃、看護師に頭を。「ご無沙汰しております。」熊沢も、「汀さん。幸乃おばあさん。」幸乃、僅かに目頭を熱く。そして熊沢にペコリと、「先生…。」看護師たち、そわそわとしながら…。熊沢、幸乃の隣の女性を見て、「陽織…ちゃん…かぃ。」その声に陽織、ペコリと、「はい。陽織です。」瞬間、看護師たち、どよめき。瞬間、陽織、頭の中で、「…何なの…、この人たち…。みんな…、白い服着て…。」熊沢、「そうですか~~。」熊沢、陽織にニッコリと。そして、優しく、「陽織ちゃん、こんにちは。医師の熊沢と言います。」そして、「師長の奥嶺です。」笑顔で…。「主任の上平です。」ニッコリと。陽織、口を尖らせて、顔だけ僅かに前に、「こ、こんにちは…。」美祢と駆け付けて来た松峰、「おぃおぃおぃ。本当か…、汀…さん。…柚香さんが陽織に。」そして、老人と一緒の女性を見て、「いやいやいや。」熊沢、松峰を見て、「先生。松峰先生。」松峰、「う、う、うん。いやはや。」熊沢を見て、「驚いたね、こりゃ。」幸乃、松峰を見て、「松峰先生。ご無沙汰しております。」松峰、幸乃に、「あ、あ~~。うん。」そして丁寧に、「い…、いや…。こちらこそ…。」ペコリと。そして…。別室で…。…そして、30分後には…。幸乃と陽織、ふたり共に、看護師とふたりの医師にお辞儀を…。幸乃、申し訳なさそうにも丁寧にお辞儀を…。「それでは、失礼いたします。」師長の奥嶺、幸乃に、「汀さん、いつでもおいでください。」その声に幸乃、丁寧に、「ありがとうございます。」そして幸乃と陽織、廊下を歩いて…。看護師たちも持ち場に…。熊沢、松峰、お互いに顔を見合わせ、口を噤んで…。熊沢、「まっ。」松峰、「…こんな…、もんなんでしょうかね~~。」幸乃と陽織、エレベーターの前で…。幸乃、陽織を見て、何やら困ったように、「………。」松峰、首の後ろを左手で撫でながら、「やれやれ…。柚香さんとは性格が真逆。…と、言うか…。…あれじゃあ…、何だか、我々が…、悪者の…、ようでしたね…。」横峯のその声に熊沢、苦笑いをするように、「まっ、仕方がないでしょ。汀さんも、陽織ちゃんを、良かれと思って、ここに。…昨日まではしっかりと柚香さんだったんだから…。いきなり…。」「確かに。」横峯。「まっ。あれだけ表情がきついと、こちらとしても…。致し方…、なし。」「会いに来てくれただけでも、御の字と。…言う事で。」熊沢、申し訳なさそうに横峯に。横峯も、頷きながら、「ですよね~~。」そして左手を、「…では。」熊沢も、「では。」エレベーターを降りてふたり、歩きながら…。幸乃、陽織を見て、苦笑い、「おま…。まさか…。」そんな祖母に陽織、「ふん…???…うん。何…???」そんな陽織を見て幸乃、困ったような顔でも笑みを…。そして、顔を左右に、「ううん。…なんでも…。」 LIBRA~リブラ~ vol,114 「柚香、お姉ちゃんが入院してた病院。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.24
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陽織、男性に、「ねぇ~~~。」真輝、陽織を見て、「…って…。いや…。…そぅ言われても…。…困るんだけど…。」そんな男性を見て陽織、怒ったような顔で見つめる。真輝、僅かに顔を前に傾けて、幸乃を…。幸乃は口を閉ざして…。数秒の沈黙。…そして…、真輝、「柚香さんが…。」そして、「んん。……。…ある症状に…、なったんだ。」幸乃、小さな声で、「解離性同一性障害。」陽織をチラリと見て…。「おまえが…、病院で、お姉ちゃんの柚香の身体に…。ある変化が起きた。」陽織、今度は祖母を見て、「ある変化…???」幸乃を見ている陽織を見て真輝、頷く。幸乃、「柚香の身体に、おまえが…。…2歳で死んだ、おまえが乗り移った。」陽織、小さな声に納得できないような顔で、「乗り移った…。」「現実では、有り得ない…事、なんだけど…。」幸乃。「…でも…。おまえは…、確かに、陽織、なんだろ…???」「う。…うん。私…。陽織。陽織…だけど…。…でも…。…なんで、体がこんなにおっきくなっているのか…、全然。分かんない。」真輝と幸乃、同時に、「記憶が…、止まってるから…。」陽織、ふたりを交互に見て、「記憶…???」「おまえ、陽織は、お姉ちゃんの柚香と一緒に、2歳の時に交通事故に遭った。…その時、何があったのかは、おばあちゃんも分からない。車の中で、何かがあった。」続ける幸乃。「おとうさんの運転する車が前のトラックに追突して、車が大破。そのせいでおとうさんも、おかあさんもおまえも…。…けど…。柚香だけは…、奇跡だったんだろうね~~。奇跡的に…、一命は、取り留めた。」そこまで話して幸乃、陽織に。「ここまでの事は、分かるかぃ。」陽織、その声に顔をコクリと。「うん。おとうさんとおかあさん。そして私、死んじゃった。…でも…。何で、私…。今、ここ…???…分かるよ。私、柚香の、姉ちゃんの体にいるって、言うの。…でも。…でも、私は陽織だよ。柚香じゃない。」語気を強める陽織。ゆっくりと頷く真輝。「うんうんうん。分かってる。おまえは、陽織だよ。」陽織、いきなりむくれるように、「何でだよ。…何も、分かんねぇよ。」瞬間、幸乃も真輝も、目をパチクリと…。そして、ふたり、共に、頭の中で、「…どうして…、時々、男言葉…???」そして真輝、目をパチクリと、「陽織ちゃんさ。…僕が、こんな事、言うのも変だけど…。…さっき、おばあちゃんも言ったけど…。解離性同一性障害。」その男性の声に陽織、口を噤んで…。そしてポツリと、「あんたは…。」その声に真輝、いきなり目をパチクリと。そして、「あっ。そっか。…そう言えば…。」すると真輝、テーブルに両手を伸ばして、「ごめんね。紹介が遅れた。」幸乃、思わずキョトンと。真輝、「僕の名前は勝巳真輝。」陽織、訝しそうな顔で、「かつみ…まき。」「うん。…で、君のお姉さん、柚香さんと同じ大学に通ってる。」「同じ、大学…???…うそ。…って言うか…。大学って、何…???」真輝、「うん。…その前に…。僕と、君のお姉さんの柚香さんは~~。入院していた病院で知り合った。」「へぇ~~~。そうなんだ~~。私も…、初めて病院で目が覚めたんだ。いきなりでビックリした。そん時、なんで私、こんなトコにって思った。…で、寝てたトコの名前が、汀柚香。おねえちゃんの名前じゃんって、思って。」真輝、そんな陽織に、「うんうんうん。…で、偶然にも君のお姉さんと出会って、友達にってなって…。…ほら。しかも、同じ大学じゃん。だから…。…で…。」そこまで言って真輝、幸乃を見て、「…で…。…でぇ~~。…何て言うか…。柚香さんから…いろいろとぉ~~。話を聞いて~~。」陽織、「いろいろって…???…まきくんだっけ…。」真輝と幸乃、瞬間、頭の中で、「…凄い。記憶力。それに…。話、しっかりと…。」真輝、「今までの…、僕の話…。分かった…???」陽織、目をパチクリと、口を尖らせて、「うん。分かるよ。お姉ちゃんの友達。病院で入院中にお姉ちゃんと知り合った。…でも…。」そして陽織、祖母を見て、真輝を見て、「何…???…その…、解離性同一性障害…???…っての…。」「どうやら…。」真輝。「ひとりの人間の…、人格が…。…全く別の人格になってしまう。…つまりは…。陽織ちゃん。今、君は、陽織ちゃんだけど…。本当は、その体は、お姉さんの柚香さん。なんだ。」「うん。それはさっきの説明で分かったよ。…ただ、何で、その症状に…???」真輝、頭の中で、「…凄ぇ~~。理解早~~。」幸乃、困ったような顔で…。陽織に、「ごめんね陽織~~。…まだ、誰も。その事には、まだ…。」陽織、口を噤んで、そしてキョトンとした顔で、「ふ~~~ん。」 LIBRA~リブラ~ vol,113 「お姉ちゃんの柚香の身体に…。ある変化が起きた。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.23
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幸乃、「あとは…。」そこまで言って…。けれども…。「ん~~。まだ…、時間…、早いかね~~。」いきなり玄関のチャイム。幸乃、「おや。こんな朝早くから…???」幸乃、玄関の引き戸を開けて、「あらあら。」息せき切って、「お、おはようございます。はぁ、はぁ。」真輝である。幸乃、笑顔で、「まま。はい。どうぞ。」真輝、幸乃に、「すみません。…で…、今も…。」幸乃、やさしく、一度目を閉じて、「えぇ。…で、今、藪岡先生には電話を…。」ふたり、共に廊下を…。真輝、その声に、「そうですか~~。」「これから、熊沢先生にと、思って。」「ですよね~~。」そしてふたり、共に柚香の部屋に。部屋に入って来た男性に陽織、「あっ。あんた。」真輝、陽織を見て、ニッコリと、「おはよう。」陽織、口を尖らせて、思わず目をキョロキョロと…。そして、ポツリと、「お、おはよ。」陽織は、既に普段着になっている。真輝、幸乃に、「おばあさん。今日、これから…???」その声に幸乃、「えぇ…。とにかく…、家で静かに過ごすしか…。外になんて、この状態で…。…何も…、知らない訳ですから…。」「えぇ。…でも、まぁ…、ここに来る途中に考えたんですが…。夜、お店には…、そのまま…。」その声に幸乃、「えっ…???」真輝、「…って言うか…。陽織さん。とにかく、やりたい事は…、やらせてあげた方が…。」幸乃、真輝を見て、「ん~~~。…確かに。…そぅだね~~。」そして、幸乃、何気に柚香のスマホを…。…すると、「あ、そっか…。熊沢って…、履歴は…、ないんだね~~。」真輝、幸乃を見て、「えっ…???」幸乃、真輝にスマホの画面を…。スワイプしても、熊沢の名前は…、電話帳にはなし。「だけど…。………ほら。長篠の文字は。」真輝も、それを見て、「あ、ほんとだ~~。」陽織、天井に向けて、両手を。そして、「ふぁ~~~。」すぐさま陽織に顔を向ける幸乃と真輝。幸乃、「おや。」真輝も、思わず、「はは。」3人共に、ゆっくりと、茶の間に。幸乃と真輝、話をしながら…。「えぇ。そうですね。」茶の間の畳に座る幸乃と真輝。幸乃、立ったままで、右つま先を畳に当ててる陽織に、「はいはい。陽織も座って。」そして幸乃、真輝に、「真輝君。ご飯は…???」その声に真輝、すぐさま左手を振って、「あ、お構いなく、済ませましたので。」幸乃、「うんうん。…で、大学の方は…。」「はい。まだ、大丈夫です。」陽織、顔を揺らしながら、そのままゆっくりと腰を下ろす。幸乃、そんな陽織を見て、「陽織さ。」そんな祖母を見て陽織、顔を傾げて、「うん…???」幸乃、陽織を見て優しく、「…こんな事、おまえに話すのも…、変だと思うけど…。」陽織、口を尖らせて…。幸乃、陽織を見て、僅かに頭を下げて、「…実は…、おまえ…。」そこまで話して幸乃、思わず…。頭の中が…、柚香と陽織が2歳の時の事が…。…で、僅かに目頭が熱く…。そして…、瞬間、体を縮こまらせて…。「はは。」いきなり頭を上げて…。その時、涙がポツリと…。「はは。」その涙を拭う。「ごめんなさい。いきなり、昔を…、思い出して…。」真輝、慰めるようなまなざしで…。「おばあさん。」僅かに沈黙。そして真輝、陽織を見て、「陽織ちゃん。」陽織、口を噤んだままで男性を…。「うん…???」真輝、「実は陽織ちゃん。今、君は、おねえさん、柚香さんの体の中で、妹の陽織ちゃんになってる。」その声に陽織、両眉の先を僅かに吊り上げて、「えっ…???…へっ…???」真輝、陽織を見てまた、「ほら。前に僕が君に言ったじゃん。君がそのまま家に帰ったとして、陽織のままに。…じゃあ、家にいるおばあちゃん、どう思うかな~~って。」その声にまた陽織、「あっ。」頭の片隅に、そういう事を言われた。と、言う記憶が残っていた。そして、「えっ…???…へっ…???…何…???…どういう事…???…私…。」そこまで言って、陽織、自分の体を見回して、「…確かに…。…病院での…、体…、そのまま。…で、私…、いつも…、お店に…。」真輝、「うんうん。そう。」すると、いきなり陽織、正座をしていた脚が…お尻がペタンと畳に。「えっ…???…んじゃ、私…。どうなってんの…???」そして陽織、目の前の男性に、「私。私は陽織。柚香じゃないよ。」その声に真輝、目を閉じて、そしてペコリと、「うん。分かってる。君は、柚香さんじゃなくって、陽織。」陽織、僅かに困惑したような目で、「じゃあ。何でよ。何でだよ、私の体が柚香、姉ちゃんなんだよ。」口を尖らせて、両頬を膨らませて。そして、怒ったような顔つきで…。その顔に真輝、思わず、「おっと~~。」幸乃も思わず、「陽織…。」真輝、キョトンとした顔で…。そして、頭の中で、「…人格が…。…キャラが…。」 LIBRA~リブラ~ vol,112 いきなり玄関のチャイム。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.22
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真輝はそのまま玄関に。「ちょっと~~。朝ご飯、出来たのに~~。」オタマを持ちながらキッチンから廊下に顔を、愛佳。「真輝~~~。」すぐさまシューズに。そしてドアをパタン。「んもぅ~~~。あの子ったら~~。」と、言いながらも…。「…って、事は…。彼女に…、何か、あったって…???」陽織、祖母が持つ平べったいものを見て、「おばあちゃん、それって…???」幸乃、陽織を見て、スマホを見て、「あぁ、これかぃ。スマートフォンと言う、電話。柚香のだけどね~~。」「男の人も、それ、持ってた。」その声に幸乃、「男の人…???」「うん。昨日だか、一昨日だか…。」「あぁ~~。なるほど。」幸乃、「うん。」頷いて。「今じゃ、殆ど、ひとりは、1台は持っている時代だね~~。…昔は…、こういう事は…、考えられなかったけどね~~。」そして幸乃、柚香のスマホから履歴を…。真輝は走っていた。頭の中は柚香と陽織で占領されていた。幸乃、通話履歴の1ヵ所に指をトン。3回で相手は出る。「もしもし。柚香さん、僕だけど…、何か…???」テーブルでコーヒーを飲んでいる藪岡。スマホ越しに幸乃、「先生。藪岡先生。」その声に藪岡、いきなりビクンと。「柚香さんの…。おばあさんの…。幸乃…。さん…???」幸乃、ゆっくりと、「えぇ…。…朝早くから…。すみません。」「あ…、いえ…。」藪岡、顔を傾げて、目をキョロキョロと…。「…ん…???…と、言う事は…。柚香さんのスマホから…???」そして藪岡、「…もしかして…。」陽織はベッドに腰を下ろして。幸乃、椅子に座りながら、「えぇ。陽織が、昨夜…、お店に行って。」いきなりスマホから、「えっ…???…昨日…???…あれから…。」「えぇ。…で、帰っては来たようです。…けど…。」「けど…。」「朝になっても…。柚香に戻る事はなく…。」藪岡、「そ、そんな…。…じゃ、今も…。」「えぇ。…陽織の…、ままです。」藪岡、話を聞いて、「そうですか~~。…と、言う事は…。…何かしら…、サイクルが…、変わった…。」「私は…。まだ…、あまり詳しい事は…、分からないんですけど…。…ただ…、今は…。このまま…、陽織を…。」妻の有美香(ゆみか)がリビングへ。夫は電話中。「ふん。」藪岡、スマホに、「えぇ…。その方が、よろしいかと…。…それにしても…。まさか…、朝になっても…。」「えぇ。」幸乃の声。「多分…、一旦は、寝たと思うんですけど…。…それでも…・。」目をキョロキョロと藪岡、「…で…、これから…???」幸乃、あちらこちらを見ている陽織に目を…。そして優しく笑みを…。「えぇ。…とりあえず…、慌てても仕方、ありませんから。先ほど、ふたりで朝食を…。…メグちゃんが柚香のスマホに電話。」瞬間、藪岡、「メグちゃん。」「えぇ。柚香の友達の…。」藪岡、頷いて、「あぁ。」「その子も驚いて。…で、その子から、今度は真輝君にも。」再び藪岡、頷いて、「うんうんうん。そうですか~~。」有美香、コーヒーを手にテーブルに。そんな有美香を見る藪岡、「……。」そしてスマホに、「そうですか~~。とにかく、分かりました。…わざわざ。電話、ありがとうございました。…ですよね。…大学の方は…。」藪岡、テーブルの上のパンフレットのある部分を指でトン。有美香、その部分を見て目をパチクリ。そして2度頷く。「そういう事ですね~~。…あ。それと…。…確か…、長篠観音病院ですか。」幸乃の声、「えぇ。」「そちらの…、先生にも。」「分かりました。」藪岡、「朝から、ありがとうございます。…失礼します。」通話を切る。そして妻の有美香に、「OK。この時間なら大丈夫。行けるよ。」有美香、「ナイス。ありがと。亜葵乃、かなり練習してたから~~。」藪岡の長女、亜葵乃(あきの)の事である。学校の吹奏楽部でサックスを吹いている。その吹奏楽部の定期演奏会のチラシを藪岡、朝から見ていたのである。有美香、「何…???…電話。何やら…、複雑そう…。患者さん…???」今度は新聞を見ながら藪岡、「あ、いや…。患者じゃないんだけど…。ひょんな事から知り合ってね。」「ふ~~~ん。」「解離性同一性障害。」その言葉に有美香、いきなり、「はっ…???…うそ。…凄~~い。…そんな人…、いるんだ…???」「ふん。」藪岡、「残念ながらね~~。」「人の身体に…、別の人格が…乗り移るっ…。…いやいやいやいや。」そして、「恐いよね~~。」「大学2年の女子だ。」その声にまた有美香、「うそ。」そして悲しい顔をして、「あららららら~~。余計…、悲しくなる~~。」「目下、その子、別人格になってる。」いきなり有美香、思いっ切り口を尖らせて、目を真ん丸に…。 LIBRA~リブラ~ vol,111 幸乃、通話履歴の1ヵ所に指をトン。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.21
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エプロンのポケットから柚香のスマホを…。陽織、「あっ、それ…。柚香の。」幸乃、スマホの画面から、、「真輝くん。うん。」そして、指でスワイプ。トン。4回目のコールで、「もしもし、おはようございます。真輝君だね。柚香の祖母の幸乃です。」丁寧に。スマホの向こう、真輝の声。「あ、はい。おはようございます。昨日はどうも。いきなりでビックリしました。…柚香さんのスマホからで…。」「いいえ~~。それより。」陽織を見て。こちらはスウェットスーツのままの…。さすがに寝起きのままの真輝。「えぇ。…今、愛実さんからも電話があって。…でも…、柚香さん、実は…、昨夜、陽織になってエンカントに…。」その声に瞬間、幸乃、ビックリして、「えっ!!!」そして、陽織を見て…。けれども何とか気を取り戻して、「そうだったのかい。お店に…。」真輝、「えぇ。1時前に…、亮輔。…あの…、柚香さんと同じ大学の…。」幸乃、「あぁ…、昨日、話してた…。」「あ、はい。」「その人もエンカントに行って陽織ちゃん来てるって、僕に電話あったんです。」「そうだったのかぃ。」スマホからの声、「…けど…。今朝は…、そのまま…、柚香さんには…。」真輝。「えぇ。…さっき、ご飯だからって…。妙に下に降りてこないから…。…で、部屋に行って、布団を捲ったら…。」「おばあさん…。驚かれた…。」その声に幸乃、動揺は隠せない。けれども、「え、えぇ~~。…まっ。けど…、話しは聞いてたから…。…そして、今さっき、ご飯を…。…けど…。この先…。」「そぅ…、なんですよね~~。」真輝、目をキョロキョロと…、そして、考えながらも、「ギリギリ…。…大学の方は…。休む以外…。」幸乃、真輝の声に、「そぅ…だね~~。…もし、万が一…。」瞬間、ふと脳裏に過った幸乃。「…2歳のまま…。」そして、スマホに、「待つしか…、ないようだね~~。柚香を…。」陽織、目の前の黒い大きな置物の中の3枚の写真を…、ただ、黙って見ている。幸乃に抱き抱えられたままで…。「さっき…。」幸乃。スマホから真輝の声、「えぇ。」「この子の、ご飯の食べ方見てたら。」「あ、はい。」「まるで、子供。…まっ。確かに、零したりはしないんだけど…。食べ方が…。がむしゃらで…。」真輝、思わず、「あ、あ~~。」「ひとりで…、外に出したら…。…体は…、こんな…。…けど…。」真輝、幸乃の声に、「あ、はい。…おばあちゃん。…大学の方には…。何とか…。」「えぇ。まっ、確かに、二十歳にもなって、保護者から大学側に休みの事をって言うのは…、大学にすれば…。」真輝、スマホ越しに、「えぇ…。…でも、この際。」一拍置いて。「そんな事は…、言ってられない。」「えぇ。…とにかく、待つことにするよ。」「お願いします。」幸乃、その、「お願いします。」の声に、思わず目頭が熱く…。けれども、ニッコリと、「ありがとうね。」「あ。僕も、時間を見て…、お邪魔…。」「うんうんうん。」幸乃。「ありがとうね。」そして幸乃、目をパチクリと…。「先生方にも、連絡。」「えぇ。…その方が…。」真輝、「分かりました。…あ…。愛実さんにも、僕の方から…。電話。彼女、びっくりして電話くれましたから。」「うんうんうん。そうしておくれ。愛実ちゃん、かなり心配してると思う。」スマホから、「はい。分かりました。じゃ。」「うんうん。わざわざ、朝早くからすまなかったね。」「いいえ。じゃ。」そして通話は切れる。幸乃、スマホを持ちながら陽織に。「陽織。」陽織、祖母に、「うん…???」「とにかく、何か、着替えといで。パジャマのままじゃ、なんとも…、まるで、病人じゃないかぃ。」笑顔で…。陽織も、その声に、自分の体をあちこちと…。「あ。うん。分かった。…でも…。」困ったように…。幸乃、そんな陽織を見て、顔を傾げて、「あっ。そ…か。…確かに。何着ればいいか…。」そして仏壇の前から立ち上がり、「おいで。」2階に連れて行って、柚香が普段家の中で着ている服を。「陽織、この服、覚えておいて。分かったかぃ。」陽織、そんな祖母に、「うん。」そして幸乃、またポケットから柚香のスマホを…。そして…。「いやいやいや。参ったわ~~。」そわそわとしている愛実。母親の作り置きの朝ごはんを食べて。「いつもだったら、頭が痛いって、起きるんだけど~~。開店前に店に行って…、家に帰って、今度は深夜にまた…。…で、今度は陽織になって…。…そしたら、今度は陽織になったまんまで…。」そこまで言って愛実。いきなり肩を落として、ガクン。そして…顔を思いっ切り崩して、「ユズ~~~。どこ行ったんだよ~~。…もぅ~~~。」そして、こちらは既に着替えて階段をドタドタと真輝。そしてリビングに。「かあさん。」キッチンで料理中の愛佳、「わっと。びっくりした~~。」「ごめん。俺、ちょっと出て来る。」いきなりの声に愛佳、「はっ???」 LIBRA~リブラ~ vol,110 エプロンのポケットから柚香のスマホを…。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.20
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幸乃、陽織のご飯の食べ方を見て、目をパチクリと…。けれども…、その食べ方を見て、次第に、クスクスと。「くくくく。」懸命にご飯を食べている陽織。…そして…、目の前の祖母に。ご飯茶碗を出して、「お代わり。」そんな陽織を見て幸乃、可笑しがりながら、「はいはい。」何と、これで2杯目。朝から…。そんな陽織を見て幸乃。「ねぇ~~、陽織~~。」その声に陽織、ホッペを膨らませながら、祖母を見て、「ん~~~???」すると幸乃、自分の右口角の上に指先を。そしてその下にも指先を…。すると陽織、目をパチクリと。そして端を持って、自分の左口の…。「あっ。」幸乃、ニッコリと。そして陽織、全てを平らげて、「あ~~~。美味しかった~~~。ん~~~。」幸乃、両手を合わせて、「ご馳走さまでした。」その恰好に陽織、すかさず、マネするみたいに、「ご、ごちそうさまでした。」自分も両手を合わせて。そして幸乃は洗い物。陽織、椅子に座ったままで…。幸乃、洗い物はするが…。その内、「…ん…???」すぐさま、後ろを振り向いて…。「陽織。」その声に陽織、祖母を見て、「うん。」「おま…。これから…。」その声にまた陽織、「うん。…うん…???」すぐさま幸乃、一瞬目を深く閉じて、「あっ。そっか~~~。」すぐさま幸乃、柚香の部屋に。…すると、既に着メロが…。「おやおやおやおや。…誰からだぃ。…あら。」そして、指を…。「はいはい。おはよう~~。メグちゃん。」その声にスマホから愛実の声、「はっ…???…えっ…???…ってか、何で幸乃おばあちゃん…。」瞬間、愛実、「うそっ!!!…まさか…、柚香、陽織にっ。」その声に幸乃、スマホに、「そうなんだよ。今、朝ご飯食べた後。」愛実、「えっ!!!…えぇ~~~え~~~!!!マジでっ!!!昨日、エンカントに行くからってって。それから…、何も連絡…。」「うん。確かに、あれから帰って来て、いつも通りに…。…けど…、朝、柚香の部屋に入ってったら。」「えぇ~~~ぇえ~~???…今度は、朝も、陽織。」幸乃、「ん~~。なんだよ~~。だから…。これから…。どぉ…???」愛実、「あ。確かに。…大学…。」そこまで言って、愛実、「あ、いや…。待てよ。…けど…、授業には…、別に…。」けれども、「あ。いや…。」そして、「あはははははは~~。…ダメじゃん。…結局、大学まで、どぅ行きゃいいのよ。…仮に、大学までの電車…。…こりゃ、絶対、無理だ…。あははははは。迷子になる。」幸乃、スマホ越しに、「だろぅ~~???」「あっ。でも…。真輝君。」幸乃、「あ、うん。真輝君…。」けれども幸乃、「へっ…???真輝君…???」愛実、「いやいやいや。幸乃おばあちゃん、真輝君、柚香と同じ大学。」瞬間、「あっ。」愛実、いきなり、「おばあちゃん、おばあちゃん。一旦、電話切る。…で~~。柚香のこのスマホ、真輝君の電話番号探して、メモして、私にまた電話くれる。」幸乃、瞬間、「あ、あ~~~、うんうんうん。」愛実、「私、真輝君の電話番号、分かんないから。」幸乃、「はいはいはい。分かった。んじゃ、一旦、切るね。」そして、「え…と~~。あ、これ、これこれ。」机の…、「え…と~~。」適当にメモするものを…。そして、スマホに指でトン。ワンコールで、「はいは~~い。」「え…とね、メグちゃん。………の、…………。」愛実、「はいは~~い。了解~~。」幸乃、愛実との通話が終わり、「ふぅ~~~~。」そして幸乃、何か閃いて、「あ。」そのままエプロンのポケットに柚香のスマホを…。「…もしかし…。これ…、持ってないと…今後…。…まっ、柚香になった時に、柚香に渡せば。」そして、下に。…けれども、今度は台所にいるはずの陽織が…。いない。瞬間、「陽織っ。陽織~~~。」と。すると、遠くから、「は~~い。」陽織、縁側にパジャマ姿で…。胡坐を掻きながら。幸乃、「なんだい。ここにいたんだ。」陽織、「うん。気持ちいい~~。」幸乃も、陽織の傍で、「だ~~ね~~。」陽織、隣に座る祖母に、「おばあちゃん。…私…。」そんな陽織に、「うん。分かってる。おまえは、今、陽織だ。」「私の…、おとうさんとおかあさん…。そして…、私…。」そんな陽織に幸乃、優しく陽織の頭を撫でて…。そして陽織を抱き締めて、「うんうんうん。そうだね~~。陽織~~。」陽織、祖母に抱かれたままで、「おばあちゃん。」そして幸乃、パジャマ姿の陽織を連れて仏壇の前に。父と母の写真。何処かしら、面影がある。…そして、2歳の自分の顏。陽織、すぐさま目を赤く、「ママ。パパ。」体うずくませるように…。「うっ。うっ。」幸乃、そんな陽織の背中を優しく。すると、そこにポケットの中のスマホに着メロ。幸乃、「おや。」陽織、「へっ…???何、この音。」 LIBRA~リブラ~ vol,109 陽織、椅子に座ったままで…。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.19
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亮輔、スマホに、「まっ。3時になったら、帰るんだろうけど…。」その声に真輝、「ふ~~~。」そして、「…って言うか、おま…。何時までそこ…???」亮輔、口を尖らせて、「あ、俺…???…朝方までいるよ。…って帰って、昼まで寝る。…そこから大学。」いきなり真輝、「え――――――っ!!!…大丈夫なのか、それで~~。…体…。」「うんにゃ~~。別に…。…んなもん、俺のリズムだから…。それに…、誰にも邪魔されない、アパート暮らし。…だっつぅの。かかか。」真輝、その声に、「ふ~~~。確かに…。」2秒ほど沈黙。そして、真輝から、「じゃあ~~。亮輔。頼むな。」丁度、肇の新しいドリンクが出来て…。陽織も阿須賀も、ふたり、共に、「お~~いし~~。」亮輔、その声にスマホを…。そして、今度は耳に、「だとさ。」そんなふたりに肇もニッコリと。「ははは。」真輝の声、「じゃ。おやすみ。」亮輔、スマホに、「おっ。」そして…。…特に、いつも通りのエンカントでの陽織。とにかく、客の接待にその都度。陽織がカウンターにいる状態で、肇は常にカウンターの中。陽織だけが客との接待で動き回っている。阿須賀も、そんな陽織を見て、「働きもの~~。」そして、亮輔に耳打ち、「客受けも、いいよね。」その声に亮輔も、チラチラと陽織を見て、「あぁ。」そして、グラスを飲み干して、「明日…、柚香さんに、報告だな~~。」ルシアも、「そのようね…。」そして、いつも通りに、店から出る陽織。みんなに、「おやすみ~~。」と言われて…。帰り道を…。そして家に。…そして、いつも通りにベッドに。そして…、自然に、まどろみが…。「ふぁ~~~。」と、同時に、アラーム。その音にビックリして体をビクン。「何、今の音…???…へっ…???…へっ…???」あちらこちらを…。どこから音が聞こえてくるのか、分からない。「うそ。どこ…???…え…???やだ…。何、この音…???」ゆ~~っくりと、音のなる方に耳を…。すると…。ベッドのすぐ下の絨毯の上に、平べったいものが…。「あ、これ~~~???」手に取っては見るが、音はまだまだ…。瞬間、「あ、あ。あ~~。どうすんの~~。どうやれば止まる~~。うそうそうそ。」あちこち触って。右手人差し指で…、画面にトントントン。そして親指でも撫でながら…。「あ~~ん、もぅ~~。」そうこうするうちに…、さいわい、プツリと音が。瞬間、「や~~~っと。」けれども、「何なのよ~~~。これ~~。もぅ~~~。」そのままテーブルに。そしてまたベッドに…。「…たく~~。眠いって…。」布団を被る…。…が…。「えっ…!!!…って、私…。」今度はいきなり目をパチクリ。「えっ…???…うそ。…ここって…。…柚香の…。…お姉ちゃんの部屋…。…えっ…???…えっ…???ええ…???…どうしよ。…どうしよ。…私…。」下から、「柚香~~~。ご飯~~~。」ベッドの中で、「あぁ~~~ん。おばあちゃん。」布団の中で…、「うそ。うそうそうそうそ。私、どう~~~???」幾ら経っても下に降りてこない柚香に幸乃、「変だね~~。あの子…。まだ…。」顔を傾げて…、「そんなはずは…。」そして、2階に…。「柚香~~~。」そして、部屋のドアを…。「柚香~~。ご飯。」…が、まだ、ベッドの中で…。「体の具合でも…。」そして、布団を捲る…。中でうずくまっているままの…。幸乃、目を見開いて、「おま…。」そして自然に左手が口に…。「おま…。…えっ…???…もしか…して…。陽織かぃ。」その声に、ゆっくりと、顔をコクリと動かす。そして、「う、うん。」幸乃、一瞬、頭の中で、物凄い衝撃が…。そして…、目を閉じて…。自然に肩の力が…。…立っているのが…。その瞬間、頭を小刻みに振り…。その時、僅かに脳裏を一瞬、「おばあちゃん。」柚香の声。幸乃、目をパチクリと。そして、頭の中で、「…柚香。」そして幸乃、ゆっくりと息を吸って、吐いて。そして一度目を閉じて。ゆっくりと頷いて。頭の中で、「…これが…。事実なんだ。」僅かに目頭は熱く。鼻水も…。けれども、それを何とか堪えて…。涙も、一滴は頬を…。けれども、それを右手で拭って。陽織の左肩に右手を、「はいはい。陽織、起きて。起きて、起きて、ご・は・ん。」まだベッドの中で蹲っている陽織、祖母を見て、「えっ…???」幸乃、陽織を起して、「はいはい。ご飯、冷めちゃうでしょ。」陽織、キョトンとしながら、「あ、あ~~~。」そして、すぐさまニッコリとして、「う、うん。」けれども、「あ、おばあちゃん、でも、私、…、この服。」幸乃、そんな陽織に、「うん…???うん。…ん…???…ん~~~。まっ。はは。その恰好でも、いいよ。おいで。」陽織はパジャマ姿である。「う、うん。」 LIBRA~リブラ~ vol,108 「まっ。3時になったら、帰るんだろうけど…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.18
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「…って、誰…???」陽織。目をパチクリと…。阿須賀、「私~~。私だよ~~。阿須賀だよ~~。」そんな阿須賀の左肩に右手を、「おぃ。ちょっと、阿須賀。」そんな亮輔に振り返って、「何よ、亮輔~~。」「おま。分かってるだろ、この時間に…。」チラリと陽織を見ての亮輔。瞬間、阿須賀、目を見開いて、そして左手で口を。「あっ。わっ。」すぐさま困った顔をして、「えっ…???…って、事は…。」そんな亮輔を見て阿須賀、何とも泣きそうな…、「うぇ~~ん。…やだ、私…。」そんな亮輔と阿須賀を見てのルシアと肇。ふたり、顔を見合わせて、何気に顔を凹ませる。…けれども、当の陽織は、全く蚊帳の外のように、ニコニコとしながらビールとお摘まみを。その時に肇、「おっと、そうだ。陽織ちゃん。」その声に陽織、思わず目をパチクリと、「あ、はい。」「今度、新しいドリンク、出そうと思ってるんだけど…。…まだ、試作なんだけど、飲んでみる…???」いきなり陽織、「いいんですか~~???」ニコニコと。「あぁ~~。」陽織と2つ程席を開けて座っている阿須賀、「あっ。マスター、私も飲みたい~~。」そんな阿須賀を見て肇も、「おぅ。ありがとう。」阿須賀の隣で亮輔、口を尖らせて、小さな声で、「やれやれ…。…って事は…。…もぬけの殻って訳か。ふ~~~。」口を尖らせて。「店…、始まる前に、今日、柚香さん、店に来たの。」亮輔の隣でルシア。その声に亮輔、ルシアを見て、「おっと。マジ…???」ルシア、顔をコクリと。「うん。藪さんも一緒。」亮輔、早速、「じゃっ。この事、藪さんに電話。」ポケットからスマホを…。…けれども、その仕草をルシアが…、首を振り、「ううん。…私も…、そうしようかと…、思ったら、肇が…。…いつものままでって…。」亮輔、一瞬肇を見るが…。何事もないように振舞っている肇を見て、小さな声で、「マスター。」「とにかく、そのまま、見守るしか…。…当然だけど、今、汀家には、柚香さんは…。」小さな声で亮輔、「あぁ。柚香さんの部屋の…、もぬけの殻。…あ。…でも…。」やはり亮輔、スマホを出して、画面に…。そんな亮輔を見てルシア、顔を傾げて…。すると、優しく微笑むように…。「うん。」4回のコールで相手が出る。「あ、はい。もしもし、俺だけど…。何…???…亮輔。」スマホから聞こえてくる真輝の声。時計の針は既に午前1時前。「俺だけど、亮輔。遅い時間に悪りぃな。今、すぐそばに、陽織ちゃんが。」その声に真輝、思わず目をキョロキョロと。そして、「うそ。…えっ…???…マジで…???」少し考える風な…。…けれども、「あ。いや…。そんな…???…だって…。」亮輔、そんな真輝に、「あぁ。今、ルシアから聞いたけど…。柚香さんとおま、今日。」「あぁ。丁度…、今から4時間前…。…ってか。店、始まる前に、柚香さんと一緒に。…どんな店かって…。」「隣に、ルシアもいるんだけど…。」瞬間、真輝、ベッドから…そして端坐位になって、頭をガクッと、「あぃや~~~。…柚香さん…。」「今、マスターが、新しいドリンク、試作っての作ってるの、陽織ちゃんも、阿須賀も、待ってる。」「いやいや。大丈夫かな~~。」その声に亮輔、「ん~~~。何とも…。」真輝、「あっ。すぐ、藪岡さんに。」亮輔、「あぁ。…と、思ったんだけど…。ルシアが…。」「はっ???」「このまま、様子を見るって…。」思わず真輝、「あ。…そう…いえば…。…確かに…。いつも通りに…って。」「多分な。」僅かに沈黙。そして真輝、スマホ越しに…。「…で…???…陽織ちゃん、どんな感じ…???」「ふん。何とも、ニコニコしてる。」その時、奥のボックス席から、「陽織ちゃ~~ん。」女性客の声。亮輔、「おっと。」真輝、「あ、お客さんの声。」亮輔も、右斜め後ろに顔を…。「うん。」女性客、「同じの、お代わりくれる~~???」「どっかの、店の女性かな~~。…それとも、ОL…???…まっ。そんな事は別に。…陽織ちゃん、その女性の相手、してる。グラス、預かってマスターに。」声を聞きながら真輝、「ふ~~ん。」「あんな感じだよ。」耳に届くルシアの声。真輝、「あっ、ルシアさん。」亮輔、スマホをルシアに。ルシア、受け取って、「あ、もしもし、彼氏~~。」その、「彼氏」と言う言葉に、思わず照れ臭そうに反応する真輝、「あ、あ~~。先ほどは…、どうも…。」ルシア、「亮輔の言う通り、今、店に、陽織ちゃんが…。」その声に真輝、「あ、あ~~。えぇ。」「とにかく…、成り行き…、見守るしか…ないかね。…あれこれと聞いても…。とにかく、記憶がないんだから…。話の展開は、期待できるとは…。」真輝、肩の力を落として、「ですよね~~。」「まっ。幸い、今、亮輔もいるから。」スマホを亮輔に。 LIBRA~リブラ~ vol,107 「もぬけの殻。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.17
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「逆に、客の方から、今日は陽織ちゃん、来ないね~~って。」ルシア。柚香、その声に真輝を見て、ふたり共に目を見開いて、そして、「そうなんだ~~。」藪岡も、「僕も、それを聞いて安心して。うん。」ルシア、柚香を見て、「そぅかい。あなたが…、陽織ちゃんのお姉さん。柚香さん。」柚香、ルシアにペコリと顔を…。「はい。…もし、陽織が来たら、よろしく。」その声に肇も、「うん。分かった。その時は。うん。任せて。」ルシア、柚香を慰めるように、「…けど…。」藪岡を見て。藪岡、そんなルシアを見て、「うん…???」「解離性。」藪岡、ゆっくりと目を閉じて、そして開けて、「あぁ。解離性同一性障害。」ルシア、「大変だよ。いつ、どこで…。」柚香も、「えぇ…。」ルシア、柚香を見て、「でも…、いつかは…。その症状って…。」その声に柚香、隣の藪岡を見て…。藪岡、「う~~ん。こればっかりは…。医師としても…、未知の領域。薬や治療で…、どうこうと…。…とにかく、個人に、別の人格が乗り移るって事自体…、奇跡。」ルシアも肇も、「う~~~ん。」そして…。肇がふたりのために軽い食事を…。それを食べて柚香と真輝はエンカントを…。既に時間は開店の20時。歩きながら真輝、「さて。これからは…。」柚香、その声に、「う~~ん。…どうなるかは…。分かんない…、けどね~~。」「確かに。」「でも…。」柚香、真輝を見て、「もし…。私が陽織になって…。その時、真輝君。」真輝、柚香を見て、「うん。分かってる。その時は。…しっかりと…、見てる。」柚香、その声にコクリと、「うん。ありがと。」そして…、柚香、真輝とは駅前で別れて自宅へと…。幸乃にまずは報告。幸乃、「そぅかい。柚香、食事は…???」柚香、「あ、うん。お店で軽く。…だから…。うん。大丈夫。」幸乃、ニッコリと、「うん。分かった。」こちらも自宅に戻った真輝、玄関で2階に上がっていく咲耶とバッタリ。「あれ。お兄ちゃん。珍しい~~。この時間にご帰還。へぇ~~~。」その声に真輝、「うるさい~~。」真輝、リビングに。そしてキッチンに。母親の愛佳、「あら、おかえり。ご飯は…???」冷蔵庫を開いてウーロン茶を。そしてキャビネットからグラスを…。注いで飲んで、「あぁ、うん。食べた。」「あらそぅ~~。…で…???」そんな母に真輝、「…うん…???」愛佳、「…で…???…どうなってるの…???…その…子。」真輝、両眉の先端を僅かに吊り上げて、「その子…???」愛佳、「その子…って、言うか~~。ほら、彼女。…解離性…。」真輝、途端に、「あ、あ~~~。」「その子の、事なんでしょ。最近、おまえ、何だか様子。」その声に真輝、「えっ…???…あ。…いや…。」頭を傾げて、右手を頭に。愛佳、椅子に座ってテレビの方に顔を。そしてお茶を飲んで、「あんた。結構~~、不器用なトコ、あるから。…まっ。誰に似たんだか…。」真輝、その声に、「えっ…???…もしかして…、それって…、とうさん…???」愛佳、「…とは、誰も言ってないけどさ~~。」「…って。…言ってるようなもんじゃん。」「まっ。ちゃんと、しなさいよ~~。と、かあさんは、言っとく~~。」その声に真輝、「あ、あ~~~。」「相手は、とにかく…。女性ですから。…その事は、肝に銘じて。」「わ。わかってる。…うん。」「さ~~~てと~~。今日は、とうさん、遅くなる~~。ひ~さしぶりに、早めにお風呂、入っちゃおぅ~~っと。」ドアが開いて、「オーナー。店長~~。入りました~~。」その声にルシアと肇、振り返って、「陽織ちゃん…???」「おっと。」ふたり供、目をパチクリと。けれども…次の瞬間。「ハイ。お疲れ~~。」「うん。お疲れ。」そして、客たちも、「待ってました~~。」陽織、そんな客たちに、「いらっしゃいませ。」丁寧にお辞儀をして。そんな陽織を見てルシアと肇。目を見開いて、口を噤んで…。ルシア、小さな声で、「いやはや…。」ルシア、すぐさまスマホを…。けれども肇、それを制して首を振る。ルシア、そんな肇に僅かに躊躇はするものの、口をへの字にして、小刻みに顔を頷ける。客の振舞にも陽織、慣れたもの。そして、ビールを飲んで…。僅かに肇、柚香の酒が飲めない…が、脳裏を…。…けれども、美味しそうにビールを飲んでいる陽織にニッコリと。そして…。その時に店に訪れたのが…。「うそ。」ルシアと肇も、「亮輔っ。」亮輔、阿須賀と共に。阿須賀も、「わっ。陽織ちゃん、いる。」ルシア、そんなふたりを見て、顔を綻ばせて、「やれやれ…。」阿須賀、「キャハ~~。陽織ちゃ~~ん。」陽織、そんな自分に声を掛けて来る女性に、目をパチクリと。「えっ…???…はっ…???…あれ…???」 LIBRA~リブラ~ vol,106 「未知の領域」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.16
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「そんなこんなで…。まっ。エンカントに現れた…、陽織ちゃんも…。ひょっとしたら、何かに…、引き寄せられた…???…の、かな…???」藪岡。そんな藪岡を見て、ルシアと肇、目を見開いての笑顔で顔を僅かに傾げる。藪岡、「まぁ…。この店の他にも…、こういう…スナックは…、ある…けど…。雰囲気的には…。まっ。中には…、男性バーテンダーだけの店。そして…、若いママ。そして、女性店員。全て、日本人。まっ。結局は、ルシアが目当て。外国人で、美人。しかも、日本語も流暢。そして、当然、帰化している。」柚香も真輝も頷いて、「うんうんうん。」ルシア、照れながらも、「よしとくれよ~~。」藪岡、「もぅ~~。とことん、日本人だからね~~。」柚香、ルシアと肇に、「あの…。失礼ですけど…。お子様は…???」間髪入れずにルシア、「いるよ~~。」そして人差し指1本。「女の子。…それこそ。」ルシア、肇を見て、「今、大学生。」藪岡、柚香と真輝を見て、「驚く事なかれ。柚香さん。そして、真輝君。君たちと同い年だ。大学2年。二十歳。」柚香、「うそ。」「そんな訳でね~~。あの日、店にあの子が…。陽織ちゃんが入って来て。自分の娘と勘違いしたって…、言うのが、本音…かな~~。」そしてルシア、肇を見て…。肇もその話に、「否定は…、出来ませんね~~。…その証拠に…。店が終わってから、ふたりで顔見せあって、思わず笑っちゃいましたから。こういうのって、ある…???…ってね~~。」「まぁね~~。あんまり…。二十歳くらいの女性は…、来ないよね。…まっ。阿須賀ちゃんは別だけど。」藪岡。ルシア、「うんうんうん。あの子…、くらいだよね。もぅ~~、他は30前後に40、50代。」真輝、「そぅなんだ~~。」「…で、陽織ちゃんだけど…。」いきなりの話の展開に柚香、「あっ。はい。」畏まって。ルシア、「うん。…何度も話すけど…。店に入ってきて、ふらりふらりと…。カウンターの端に。…まっ。他の客もいきなり若い子が入ってきたから、みんな…、視線は、あったよね。そして陽織ちゃん、ビールを飲んで、ゆっくりと。」いきなり柚香、僅かに困った顔をして、「すみま…せんけど…。その事…、なんですけど…。」その顔を見てルシア、「ふん…???」藪岡、僅かに申し訳ないような顔をして、ルシアに、「実は…。柚香さん、お酒…、飲めないんだそうだ。」その声にルシアと肇、目をパチクリと、「はっ…???」そして、ふたり共に、「うそ。」ルシア、「あんなに美味しそうに…。自分でも、おいしって…。」肇に、「ねぇ~~。」肇も、驚いたような顔をして、頷く。「うんうんうん。陽織ちゃん、必ずビールで…。」柚香、困ったような顔で、「ん~~。飲めない…、訳でも、ないんですけど…。」顔を左右に振り、「コップ…半分でも…。もぅ…。バッタリと。」ルシア、目を真ん丸にして、「うっそ!!!…マジ…???」肇と共に、「えっ。えぇ~~~ぇえ…???」「だから。当初、柚香さん、朝、起きたら、頭が痛いって。それが何度も…。」藪岡。ルシアと肇、「確かに。…当然、そうなるわ。」「そんな折、店で亮輔が陽織ちゃん見て。大学でも同じ顔の柚香さんを見て、あれっ???…って。」ルシアと肇、「そういう事ね~~。」ルシア、「じゃあ~~。陽織ちゃん、今度来たら…。」瞬間、柚香、「あっ。それ…。」ルシア、そんな柚香を見て、「うん…???」藪岡も、「うん。…それは…なし。…とにかく、いつも通りに…。」柚香も、その声に頷いて、「はい。」ルシア、「あっ、いや…。…でも…、それじゃ、柚香さん。…朝になって、頭…。」「えぇ。」柚香、「多分、そうなると…。…でも…。そぅなったら、そうなったで…。私…。陽織になってたって…。実感。…って言うか…。最近…、日中にも陽織に。」ルシア、「あら…。」「でも…、日中は…、いつ…、何処で…、陽織になったのかは、全く…。確かに。その時、傍に誰か…。」そして真輝を見て、「いてくれたら…別なんですけど…。」肇、「うん。そっか~~。傍に誰もいなかったら…。」柚香、ペコリと頷いて、「全く。…分かんなく…。しかも…。その時の陽織の…。」藪岡、「確かに…。今までは、何か切っ掛けが…。…でも、常に、その切っ掛けが…。起こるとは…。」肇、「そっか~~。うんうん。そうだよね~~。」そして、ルシアを見て、「ママ。」ルシア、「な~~るほどね~~・そぅいう事。」瞬きしながら、「そういう事に、なるのかぁ~~。」そして、柚香を見て、納得したように頷いて、「そうだね~~。まっ。客にも陽織ちゃん、評判…、いいからね~~。」その声に柚香、「えっ…???…そうなんですか…???」肇もニッコリと、「うん。しかも…、働き者。それに…、客の方から陽織ちゃん、陽織ちゃんって…。」真輝、「へぇ~~~。」 LIBRA~リブラ~ vol,105 「ひょっとしたら、何かに…、引き寄せられた…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.15
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「実際…。自分の夢を途中で投げ出して欲しくなかったですから…。」肇、ルシアを見ながら…。「それに…。こんな僕に夢中になってくれる女性…、当時は信じられなかったですから…。」肇、照れながら、「どんどん話がエスカレート。物凄い、好奇心旺盛。」藪岡、話を聞きながら、「ははは。とにかく…。スペインで、日本人に出会って、いきなり医師になりたい。…で、勉強して日本の大学にも合格。好奇心どころか型破りだ。それに、ルシア。僕も後で知った事なんだが…、フランスの女優、イザベル、アジャーニに似ているんだよね~~。」柚香、「イザベル、アジャーニ…。フランスの女優…???」いきなり柚香も真輝も、スマホで…。ルシア、藪岡を見て、「またそれ言う~~???…藪さ~~ん。」すると柚香も真輝も、「あっ。」そしてスマホの画像とルシアを見て、「うんうんうん。確かに。…そう言われてみれば~~。」「…って言うか…。それ、最初に気付いたのは…、肇なんだけどね。」藪岡。肇、「まっ。実際…。」ルシア、肇を見ながら、「この人…、私にはその事全く~~。結婚して、この店、始めて、藪さんが通い始めてからだよ。藪さんがそんな事言い出したら、ねっ。でしょ。僕も最初見てびっくり。…って~~。この人、最初っから、それ、知ってて、私には黙ってて。」藪岡、「まっ。…けど…。とどのつまりは…。」ルシアを見て、肇を見て、「初めての日本での外国人としての国家試験。医師になるための…。」柚香と真輝を見て。「…残念ながら…。」そしてルシアを見て、「…で…。さすがに、完璧に落ち込んだ…よね~~。何て言うの…???自信喪失…???…」その声にルシア、「そりゃ、確かに。…人生、あれほど勉強した。なんて経験なかった。日本語覚えるのから、もぅ~~、形振り構ってられなかったから。目の前にはでっかい目標。…とにかく、やるしかない。…って言うか、やってみたかった。」そんなルシアを見て藪岡、グラスの中の物を一口。そして、「亮輔の父も、かなり慰めたらしいけど…。それでも…、中々…。…で、肇が何とか…。…そうしたら…。…さすがは、未来の旦那様。ルシア、ケロッとして。今度は永久就職してやるって。肇にベッタリ。」一呼吸置いて藪岡、「もぅ~~。こぅなったら亮輔の父親も、出る幕なし。当時、亮輔の父親も歯科医の展開に大忙し。しかも、行く行くは結婚を約束していた女性とも順調だったし。亮輔の母親だけど…。…そんなこんなで、ルシアは医師の道を断念して、一旦はスペインに。肇と共に。肇も特に、居を構えてなかったから…。つまりはホテル暮らしが多くて…。しかも、肇の場合は、マルチリンガル。」柚香と真輝、「凄い。マルチリンガル。外国語ペラペラ。」その声に肇、恥ずかし気に笑うが、「いやいやいや。」けれども、「お褒めいただき、恐縮です。」「まっ。」藪岡、「一度、スペインに帰った…、では、あるけど…。余りに日本での生活が圧倒的であり。…本当は、スペインで結婚生活…、とも思われたんだけど~~。…折角覚えた日本語。そして結婚する相手も日本人。…そして、結婚して、それからどうする…???…って事になって。…肇の方から…。んじゃ、結婚と同時に俺…、落ち着こうか。…って話になって。ルシアが…、じゃあ、ふたりで何かする…???…で、そんなふたりが出した答えが、このお店。」柚香と真輝、店の中をまた見回して、「そうだったんですね~~。」結構、広々とした店内。カウンター席があり、10人は座れる。その他にボックス席。ボックス席もテーブルが10ある。真輝、「あ。でも…。」ルシアと肇を見て、「おふたりとも…。こういう…お店の…、経験…???」その声にルシア、「あん。」そして肇、ニッコリと。ルシア、肇を見て、「この人…。そういう事に関しては、もぅ~~。海外仕込み。慣れたもの。バーテンダーから料理。何から何まで熟すから。」藪岡も、柚香と真輝を見て、「凄いよ。ルシアも型破りだけど…、肇もその上を行っちゃう。開店資金も、…確かに、銀行から借りたけど…。その半分は肇が資金調達。」真輝、「凄っ。」「しかも…。開店から客にも恵まれて…。ルシアの友達や肇の友達が店の応援に駆け付ける日々が続いた。…で、早20年…、続いてる。」柚香、「そう…だったんだ~~。」「まっ。たま~~には、亮輔の両親も顔を出すだろう…けど…。今は…。もぅ。」ルシア、「ふたりとも…、もぅ…、落ち着いて…。しかも…、日々、医師会や何やらで…。多忙極めて…。」藪岡も、「だろうね~~。」「その代わり…。」ルシア、「亮輔がもぅ~~。しょっちゅう~~。あの子、遊び好きだから。」藪岡も、「…と、言う事だ。」 LIBRA~リブラ~ vol,104 「こんな僕に夢中になってくれる女性…。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.14
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そんな…、目の前の女性の真剣な目に柚香、何かしら、体をやんわりと。そして委ねられるような感じで…。真輝も黙って目の前の女性を見ている。ルシア、「まっ。そんな事で…。話を前に戻すけど…。亮輔の父親に、私の妹の事、話したのさ。今、病気でベッドに臥せっているって。…そしたら、帰ったら私も一度、見てみましょうって事になって。」柚香、2度頷いて、「うんうんうん。」「そして…、帰りに家に寄って診てもらったんだ。…ベッドに横にはなってたけど、ベッドから起きて、そして体を起こして、妹に、立てるって…???…そしたら妹、コクリとしてベッドから立ち上がろうと…。ゆっくりと…。…でも、そしたらいきなり膝がカクンと。そしたらその人、妹の全身を見て、やがては口の中を…。歯を、齧ってみて。そしてギリギリギリ…と。…そしたら妹が、辛そうに…、齧れないって…。…で、アキカネが、すぐに近くの歯医者にって。」藪岡、笑顔で…。柚香と真輝、「へぇ~~え~。」「アキカネが、歯医者に説明して…。すると、その歯医者も頷いて。…根幹治療って言ったかね。」ルシア、藪岡を見て…。藪岡、その声に、「そうだ。」顔をコクリと。そして、「妹さんの場合、進行した虫歯が原因だったようだ。歯の神経に、マイクロスコープ等を使って、丁寧に除去する治療。ルシアの妹さんは、その虫歯のせいで1か月はベッドで…。」ルシア、その話に顔をコクリ。「最初は頭痛。そして今度は体。本人は…、特に、歯なんて気にしてなかったようだけど…。…でも、その治療をしてからものの1週間で気分が良くなって…。妹、平気で動き回ってる。しかも、ニコニコ顔で。」柚香、「うそ――――――っ。」真輝も、「いやいやいや。」「ただ…。」藪岡、「根管治療と言っても、そんなに簡単に完治までは…、何回も治療しないといけないんだけど…。まっ。何とかね。…まぁ…。その最初に診てくれたお医者さんも、残念ながら…、そこまでは…、見抜けなかったようで…。」ルシア、「アキカネが、街に3週間は滞在するって言うんでね。妹の事もあるし、私がその間、街の…、スペインのガイドをしたのさ。ははは。とにかく、でっかい夢を持った人で、もぅ既に頭の中には東京に歯医者を何件も持ちたいって。まっ。そんなこんなで…。アキカネの影響で、私も医者を目指そうと…。」柚香と真輝、「へぇ~~。」「…で…。とどのつまりは、それから猛勉強。日本の歯科医は世界でも名乗りを上げてると言うし。どうせなら日本に来て歯科医をって、アキカネに誘われて…。」「日本で住む家も、アパートをアキカネが用意してくれて…。」藪岡、ルシアと柚香を見て、「医学部で訓練を積んで…。と、国家資格の1年前…。…その頃…、だったね。日本で出会ったのが…。」藪岡、今度は肇を見て、「大越肇。もぅ~~。世界各国を旅しているトラベラーズだ。同じ場所に1か月なんている訳がない。まず、年がら年中旅から旅。そんな生活が20年…???」その声に肇、「いえ…。正確に言えば、25年です。高校…、中退してますから…。」ルシア、「肇とは、パーティで知り合ったの。まっ、それも、アキカネの紹介だったけど…。もぅ~~。話してたら、世界各国の…、バラエティに富んだ話が…。私より、一回りも若いのに、何…???…って…。」柚香、その声に、「えっ…???」真輝も、ルシアと肇を見て、「…確かに。…って言うか…。えっ…???…あ、いや…。」真輝、顔を傾げて、「えっ…。うそ…。」目をパチクリと…。そんな真輝を見ても途端に柚香、「ぷっ。真輝君…。また…。」瞬間、真輝、柚香を見て、「あっ。」「メグも言ってたけど…。」右目を歪めて、「めんどくさ~~~。」その声に思わずルシア、「かっかかかかか。」肇も可笑しそうに…。ルシア、「彼氏。かかかかか。あんた、面白い人だね~~。かかかかか。」そんな女性と男性を見て真輝、「えっ…。あ…。れ…???」そしてルシア、真輝を見て、頷いて、「うんうんうん。柚香さん。大事にしな。」瞬間、柚香、「へっ…???…なんで、私…???」その声にすぐさま反応するルシア。けれども…、目をパチクリと。そして、「おや…。」瞬間、視線を藪岡に…。すると藪岡、ルシアに、僅かに視線を…。そして顔を傾げて、クスリと。ルシア、「ふん。まぁ。いつか…、分かる。」藪岡、「…と、まぁ~~。そんな訳で…、いつの間にか医師への道は…。まっ。大学は続いてはいたんだが…。いきなり…。」藪岡、ルシアと肇を見て、「亮輔の父が…、ルシアから…。肇と結婚したいって言われてね~~。医師への道はどうするって事になって。肇も…、続けてみたらどう…???…って事になったんだ。」柚香、笑顔で、「へぇ~~え~。」 LIBRA~リブラ~ vol,103 亮輔の父親に、私の妹の事、話したのさ。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.13
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「突然、店に入ってきて。」ルシア。柚香、「えぇ。」「瞬間、何なのこの子。…って思ったよね~~。…だ~~って。…まっ。確かに、高校生って感じも…、無きにしも非ず…だったけど…。体格と顔から…。判断して…。まっ。ちょっとは…。スウェットにカーディガンだったから。それにスニーカー。…しかも、髪は…、乱れて…たよね。」黙って話を聞く柚香、そして真輝。藪岡も。「客も、半分くらいは埋まってたか。」ルシア、肇に。肇、「えぇ。」「で、そこの隅の椅子に。…で、肇が彼女に、おしぼりを…。そして何になさいますって聞いたら、飲み物くださいって…。」柚香、頷きながら…。「…で、ビールでいいですかって聞いたら、頭をコクリと。…で、ビールとお摘まみを…。…で…、確か、30分…くらいだったかな~~。」肇も、「ですね。」「あっと。話の腰を折って申し訳ないけど。ルシアの隣、大越肇と言って、店の店長だ。…で、ルシア。ルシア大越。この店のオーナー。紹介しないで申し訳ない。それと。このふたり。ご夫婦でこの店、営んでいる。」瞬間、柚香も真輝も、目をパチクリと。「えっ!!!…ご夫婦。」その驚きに藪岡、「あれ…???…言ってなかったっけ…???」間髪入れずに柚香、頻りに首を振って、左手をヒラヒラと、「いえいえ。」そんな女性を見てルシア、ニッコリと、「ふふ~~ん。」肇もニッコリと、そしてチョコンとお辞儀を、「よろしくどうぞ。」「まっ。柚香さんが陽織になって、陽織がここに来て飲んで、働いて。…けれども、実は陽織は柚香さんだった。ここにきてルシアと肇に世話になっている。陽織と柚香さんの事、いろいろと知っていくためにも、ルシアと肇の事も知っておいた方が…ある意味、フェアかな…って、思って。」そこまで言って藪岡、「もちろん、僕の事もそうだけど…。」その話にルシア、「おやおやおや。随分と熱が入っている事~~。」藪岡を、顔を傾げて見ながら…。「…なんだけど~~。まっ。その通りかも…。」そしてルシア、ニッコリと。そして、「ルシア・スアレス。私のスペインの名前。年齢は67。一度、日本に留学してるんだよ。こう見えて。その切っ掛けとなったのが、亮輔の父親~~。」その声に柚香も真輝も、「えっ…???」ルシア、「私の…。まぁ、実家はスペインの田舎町。私が、大学入りたての時に、妹が突然体調を崩して寝たきり。医者に見せても薬を飲んで療養していれば大丈夫って…。…でも、何日経っても、薬を飲んでも全く…。そんな時、ある旅行客が来て、道を教えてくれって。…それが、結構分かりづらい場所なんで、私も一緒に行くことにしたの。」柚香と真輝は黙って聞いている。藪岡は優しそうな顔で聞いている。ルシア、「…で、その人と一緒に歩きながら…。そしたらその人、お医者さん。歯科医なの。」柚香と真輝、「へぇ~~。」「大学卒業して、すぐに歯科医の道を…。…で、歯科医専門のクリニック立ち上げるための準備に入る前に旅行なんだって。その人のおばあちゃんの故郷がスペインなんだって。つまりは亮輔の父親の家系ね。」「僕の叔父貴。つまりは叔父さん。亮輔のおとうさん。染谷彰謙(そめやあきかね)。歯科医だ。東京に数件クリニックを経営している。当然だけど、全部歯科医。」そこまで言って藪岡、「因みに、亮輔の母親も医師。こちらは産婦人科医。こちらも東京でクリニックを経営している。」その話にルシアと肇はニッコリ。柚香と真輝、またまた目を真ん丸にして、顔を合わせて、「凄~~~。」柚香、真輝に、「ねぇ~~。」真輝も驚いた顔で、「うんうんうん。あの…、亮輔の両親が…ふたりとも医師。凄ぇや。全く想像…付かない。」その声に藪岡、笑いながら、「はははは。確かに。」ルシアは、「まぁ…、あの子は…。」そこまで言って顔を傾げて、「…なんて言うか…。自由奔放…???…好きな事やって生きてくって感じ…かな…。ふたりの兄貴が、まっ、両親の道を継いでくれたって感じ…???…それだけでも両親は御の字。…って、言うか、両親共々。亮輔の事はまずお構いなし。子供の頃から遊び好き。ほっといても、育った子だから。必要なものは家にはあった。ただ。」そこでルシアの声が止まる。柚香、真輝、そんなルシアを見て、「ただ。」藪岡もルシアに顔をコクリと。ルシア、「ただ。亮輔の両親の考え方。亮輔がどんな遊びをしても、他人に迷惑を掛けた…と、しても…。その理由をとことん調べて。…そういう意味では、亮輔、一度も落ち度がなかったんだよね~~。間違った事は、していなかった。そういう意味では、亮輔の両親は、完璧なまでに、亮輔を愛した。お前は何をやっても構わない。けれども、とうさんとかあさんの元には必ず帰ってこい。」 LIBRA~リブラ~ vol,102 「瞬間、何なのこの子。…って思ったよね~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.12
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そして、エンカントに行く当日。柚香、「じゃあ、おばあちゃん。」幸乃、台所で、「うん。行っといで。ご飯、帰ってから…。」「うん。…でも、まだ…、ちょっと…、分かんない…かな…。」その声に幸乃、笑顔で、「うんうん。そぅかぃ。分かったよ。…でも、気を付けて。」「うん。ありがと。」時間は夕方の6時。藪岡に頼んで、開店する1時間前には店に入る。…と、言う事になっている。その時間ならお客さんもまだ来ておらず店の準備中との事。駅で真輝と待ち合わせて…。ふたり一緒に歩きながら…。あらためて柚香、「こんな風に…。駅の近く、歩くなんて…。何年振り…???」顔を傾げて。その声に真輝、柚香を見て、「えへぇ~~???…って言うか…。ん~~。」真輝も歩きながら、「確かに…。僕も…。うんうんうん。ないかぁ~~。」柚香、オレンジのTシャツにオフホワイトのサマーカーディガン。アコーディオンプリーツのスカートにパンプスである。そして真輝は、ホワイトのロゴ入りTシャツに3色のYシャツ。ジーンズと言う恰好。Yシャツの裾はアウト。ふたり揃ってあちこちと見ながら。20分程、歩いたろうか。まだまだ日没には早い。真輝、「そろそろだ。」柚香、「ふ~~ん。この辺。まっ。確かに、知らない場所…では、ないよね~~。ただ…、どんな店があるのかは…、全く。…まず、立ち寄らない。」その声に真輝も、「はは。僕もだ。…って、言うか…、まず、地元で食事自体…、しないか…。」その声に辺りを見ながらの柚香、「同感。あっ。あった。エンカント。…へぇ~~。なんとも…、お洒落~~。ロゴにすると、お洒落だよね~~。」真輝も、「うんうんうん。まっ。…でも、あの時は、慌ててたから、あんまり…。」そんな真輝を見て柚香、「ふふ。」ドアには、「準備中。」柚香、ドアに、「では。」真輝、「うん。」「こんにちは~~。」「おっと。来たか。うん。」すぐさま男性の声。店の中に入って柚香、「藪岡先生~~。」藪岡、いつものカウンター席、椅子に座り、「いらっしゃい。」瞬間、ルシア、目を真ん丸に。そして、「陽織…。」肇も同じように目を…。そんなルシアを見て藪岡、可笑しがるように、「だから…、さっきから言っているように、双子なんだから、そっくりで当たり前だろう~~。」その声にルシア、目をパチクリとさせて。「あ、あ~~。うん。うんうんうん。…そ、そうね。」そして真輝も柚香の後ろから…。「こんにちは~~。」ルシア、男性にニッコリと、「こんにちは。この前はありがとね。」その声に、「とんでもないです。」女性にペコリと真輝。藪岡、「ささ。ふたりとも、座って。」柚香を隣に座るように招く藪岡。柚香、「すみません。」肇、目の前の女性に、「こんにちは。初めまして…。だよね~~。」優しい笑みを…。そしておしぼり。柚香も、ペコリと、「こんにちは~~。汀、柚香と言います。初めまして。」柚香の隣で真輝、「勝巳真輝と言います。」肇、「うんうんうん。こんにちは。初めまして。顔は、見てないけど、ルシアも言った通り、この間は、ありがとう。」「…と、そんな訳で、電話でも、そして、さっきからも話している通り。エンカントに来ている陽織ちゃんのお姉さんの柚香さんだ。現在、大学生。」藪岡。カウンターの中に入ってルシア、目の前の女性を見て、「な~~んだよね~~。」肇も、「驚きましたね~~。…経験上、双子って、テレビでしか、見た事がないんで…。こうやって目の前で見ると…、正に。」ルシアも、肇を見て、「ねぇ~~~。」そして、「そっか~~。陽織ちゃんのお姉さん。」すると、いきなり、「かかかか。」そして両手を叩いて、「さすがに。落ち着いてるね~~。…って、事は、今、二十歳。」柚香、「あ、はい。そうです。」「そっか~~。二十歳か~~。」そして頷きながら、「うんうんうん。全然違う。陽織ちゃんと…。」その声に柚香、「えっ…???」藪岡、「うん…???」ルシア、肇に、「ねぇ。」肇も、一度コクリと、「確かに。」柚香、「全然違う。」顔を僅かに傾げて。ルシア、こちらも顔をコクリと、「うん。全然違う。さすがに同じ双子でも…。陽織ちゃん。とにかく、あどけないもの。」肇も、「ふふ。」柚香、「あどけない。」ルシア、ニッコリとしながら、「うんうん。…つまり、子供っぽいって感じ。」「あ、あ~~~。」「う~~ん。確かに、ねぇ~~。」藪岡。「とにかく、まっすぐだもん。…でもって、そのまっすぐなところがまた可愛い。そして、素直。まっ。確かに、2歳までの記憶しか…、ないんでしょ。事故で亡くなってるから。」柚香、目の前の女性に、「えぇ。」そして、何かしら感じる物凄い包容力。そして頭の中で、「…この人…、スペイン人だっけ…???…凄い、奇麗。」 LIBRA~リブラ~ vol,101 開店する1時間前には店に入る。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.11
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柚香、そんな藪岡の声に、「えっ…???…先生。いいんですか…???」藪岡、「良いも悪いも、その方が…、何かしら…、柚香さんと陽織さんのお手伝いに、なれれば…、と、思ってね。」柚香、椅子に座ったまま、スマホを耳に頭を下げて、「ありがとうございます。」「じゃあ~~。」藪岡、メモをチェックしながら…、「今度の…水曜日、明後日だけど…。どうかな…???」柚香、「あ、はい。私は…、もぅ…、いつでも…。…あ、でも、真輝君。」「あ、そぅか。…うん。彼にも話をしておいて。OKなら、その日に。」「あ、はい。分かりました。…じゃあ。」「うん。電話ありがとう。じゃ。おやすみ。」「おやすみなさい。」すぐさま柚香、真輝に電話。2回で出る。「あ、はい。僕だけど…。…で…???」真輝。柚香、「うん。明後日の水曜日。藪岡先生。エンカントに電話してくれるって。…で、その時、藪岡先生も一緒に。」真輝、ニッコリとして、「そっか~~。うん。いいかも…。…まっ。僕らだけじゃ…。何とも、話が…。藪岡先生なら、あの店、常連だし。」「うんうん。」そして、その夜の内に藪岡、ルシアに。「あぁ、俺だ。藪岡。」ルシア、「ふん。珍しいね、藪さんから私に。こんな時間。」「実は。」ルシア、藪岡の話を聞きながら、「ふん。ふんふんふん。」肇を見ながらも、「へぇ~~~。うん。」瞬きをして、目をキョロキョロと。そして、「ふん。いいんじゃない~~。ま。確かに、その子たちふたりなら、ちょっ…。…でも、藪さんも一緒なんでしょ。何気に話しの展開。……。うん。分かった。…じゃね~~。」そして通話は切れる。肇に、「陽織ちゃんのお姉さんが来る。そして、その彼氏も。」いきなりの声に肇、目をパチクリと、「はっ…???」そして肇、表情を変えて、「あ、いや…。」そして顔を傾げて、「えっ…???…って…???…どういう事…???」ルシア、「ふん。」「肇ちゃ~~ん。お代わり~~。」奥のボックス席から。肇、その声に、ニッコリと、「は~~い。」ルシア、「ふふ~~ん。」柚香、現在ベッドの中。時間は…。22時、30分。…果たして、今夜は…。どうなる…???翌朝。パッと目が覚めて。いきなりベッドから起き上がる柚香。「わた…し…。」いきなりスマホでササササッと。そして、ある電話番号に。…けれども、5回。7回。10回。柚香、「…さすがに…。無理…だよね~~。ふん。」発信中を切ろう…。「だ~~れだよ。朝っぱらから、うるせぇな~~。あい。」いきなり男性の声。柚香、「うわっ。」そして、「もしもし。もしもし。」「あん…???…誰…???…その声…???…っと~~。」柚香、スマホを耳に、「もしもし。私、柚香です。汀。柚香。」電話の相手は、亮輔である。スマホの向こう、「えっ???…柚香っ。」すると、今度は目が覚めたのか、「おぅおぅ。はいはい。…って、いきなり朝っぱらから、びっくりしたよ。」柚香、スマホに、「ごめ~~ん。だよね~~。私も、今、起きたばかりだから。」「…で…???…何…???…どうしたの、こんな朝っぱらから。」「私、昨夜、エンカント。行ったのかな…???…って、言うか、陽織が…。」「あ、いや…。来なかった。」その声に柚香、僅かにガッカリとしたような…。…けれども、「あ。そっか~~。」そして、ある事に気付く。「あっ、そっか。うんうんうん。確かに。私…、頭、痛くないや。」亮輔、「ふん。…ってか。何、柚香さん、エンカントに行くの…???…昨夜、ルシアに聞いたけど…。」「うん。」柚香、「この際、とにかく、何でも知っちゃおうって。」その声に亮輔、「へぇ~~~。ん…。まぁ~~。いいんじゃない。」柚香、「そっか~~。昨夜は…。」「あぁ。陽織ちゃんは店には来なかった。…けど…。夕方、陽織ちゃんに。」柚香、顔をコクリと、「うん。なってたって。」「勝巳から電話で…。」「私。全然、記憶…、ないんだよね。」「…だろうね~~。」「うん。あ。朝から電話してごめんね。」「あいや~~。全然。…大丈夫。うん。それじゃ。」柚香、「うん。ありがとね。」通話は切れる。ベッド上で亮輔、「ふぅ~~~。」そして頭をガックリと。「電話で…、起こされた。…ってか~~。…それも…、女から…。」そして首の後ろを右手でパン。「はは。」そして、「…ってか、今、何時~~???」今一度、スマホのデジタルを。「はぁ~~あ…???…7時15分。」その瞬間に頭を振る。「何とまぁ…。…参ったね。」そして…、そのままベッドに背中から、「寝~~るわ~~。」1日が過ぎ、そして2日が過ぎ…。今まで…だと、3日程度で陽織がエンカントに。…けれども…。ルシア、「陽織ちゃん、来ないね~~。」肇も、「ですね~~。…お客さんも、待っているようですけど…。」ルシア、口をへの字にして、「まぁ…。これだけはね~~。」グラスを磨きながらの肇、「確かに。」 LIBRA~リブラ~ vol,100 「ビックリだよ。おばあちゃん、全然、気付かなかった。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.10
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真輝、亮輔の声に、「あっ、うん。…確かに。…何かの…、もしかしたら…、タイミングも…、あるの…かも、知れないけど…。」「分かった~~~。…また、何かあったら…。」「あぁ。…わざわざ電話、ありがとな。…まだまだ。これからだ。何も分かってない。」その声に亮輔、口を捻じ曲げて、「う~~ん。…かもな~~。…んじゃ、電話、切るわ。」「あぁ。じゃ。」真輝、電話を終えて茶の間に。柚香、真輝に、「亮輔さん…???」真輝、柚香に、「うん。何度電話しても繋がんねぇやって…。…僕ら、藪岡先生と電話してたから。」愛実、「あぁ~~。うん。」「…で…???…話は…???」柚香、「あ、うん。亮輔さんの話になって、今、エンカントの話。」幸乃、「まさかね~~。夜中に、柚香、陽織になって外に…。しかも…、飲み屋に…なんて…。ビックリだよ。おばあちゃん、全然、気付かなかった。」柚香、「仕方ないよ。おばあちゃん、家の中、奥の方の部屋だから…。」そして柚香、「でぇ~~。今度、エンカントに、行ってみようかって。」瞬間、愛実、目を見開いて、「うそ。」「だって、陽織が今まで夜中に何度か行っているお店。藪岡先生も亮輔さんに阿須賀さんも、その店。」愛実、「そっか~~。」けれども、「あ。…って言うか、ユズ~~。あんた、その店…、何処にあるか、知ってんの…???」「あ。それは、僕が…。一緒に行く。」その声に愛実、真輝を見て、「へっ…???…真輝君、知ってんの…???」その声に真輝、「知ってるって言うか~~。…もぅ…、その店に、行ってる。」またまた愛実、「はっ…???」「あん。実はね。」柚香。エンカントでの陽織の事を…。あの深夜の事を、藪岡から話を聞いたまま、愛実に話す。愛実、「へぇ~~。」幸乃も、「おや。…じゃあ~~。陽織。」柚香、コクリと。「うん。」真輝も、「そういう事で…。」「だから…。尚更…。エンカントに…。」愛実、「ふ~~ん~~。」けれども愛実、目をキョロキョロと…。「けどさ…。…大丈夫…???」真輝を見て、柚香を見て。真輝も柚香も、「うん…???…何が…???」「だってさ。」愛実。「そんな…。ユズと双子の陽織。その…、陽織がエンカントに行ってて。…んで、今度は、ユズがその…、お店に行ってって…。お客さんの反応…。」その声に柚香も真輝も、目を合わせて、「あっ。」愛実、続ける。「だって…、今まで陽織が行ってて、お客さん。解離性同一性障害。…って、全然…、知らない訳でしょ。」柚香、「確かに。…お客さんの反応…までは…。」愛実、「分かんないけど~~。…な~~んか、お客さん…。なんか、パニックになったり…、しや…しない…???」思わず真輝、顔をグンニャリとさせて…。「そこ…、までは~~。さすがに…。」けれども柚香、口を尖らせて右左に。そして目をキョロキョロと…。「簡単な事だよ。」いきなり幸乃、ニッコリと。その声に愛実も真輝も、柚香も、「へっ…???」「それならそうと、お客さんのいない時に行けばいいんじゃないかぃ。」いきなり柚香、祖母が何を言っているのか分からない。…けれどもそんな反応は僅かに3秒ほど。次の瞬間、柚香、目を見開いて、「あっ!!!そっか~~。その手があった~~。ははは。」キョトンとして柚香を見ている愛実と真輝。「…って…???」「えっ…???」柚香、祖母を見て、「おぱあちゃん、さっすが~~。」愛実、顔を歪めて、「どういう事…???」真輝も顔を歪めて…、「うん…???」柚香、ニコニコとしながら、「つまりは~~。お客さんの来る前。営業時間前にエンカントに行ければ。お店の人に話しをして~~。」瞬間、真輝も恵も顔を見合わせて、「あっ。そっか~~。」真輝、「うんうんうん。それなら大丈夫かぁ~~。お店には、藪岡先生から電話してもらって。」柚香、ニコニコと、「うんうんうん。一度会ってみたいって。」真輝、柚香を見て、「うん。いいかも。」そして真輝、「じゃ。早速先生に電話。」その時、柚香、「あ、真輝君。」真輝、柚香を見て、「うん…???」柚香、ニッコリと、「それは。私が。…だって。自分の事だもん。」その声に真輝、目をキョロキョロとさせて、「あっ。…はははは。…でした。」その後、愛実と真輝は帰って行った。幸乃と柚香、夕食を食べながら…。幸乃、柚香に、「…で…???…いつ行くんだい、その店…???」「あん。…まだ、決めてはいないけど…。」柚香、「さっき、先生に電話したら、話し中で…。」「ふん。ふんふんふん。」そして。夜の10時前に、柚香、再度藪岡に電話。「そっか~~。エンカントに。」柚香からの電話に藪岡。「うんうん。いいかも知れない。分かった。僕の方からルシアには話をしておく。…で…???…いつ頃…???」その時、「あ。…どうせなら、僕も時間…、作ろうか…。」 LIBRA~リブラ~ vol,099 「ビックリだよ。おばあちゃん、全然、気付かなかった。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.09
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柚香、「ぷぷぷぷ。」幸乃、「くくくく。」愛実、困ったような顔で、そして真輝を見て、「何とまぁ~~。」真輝、そんな3人を見て、まだ頭を掻きながら、「えっ…???…えぇ…???…何か…、変な事…、言った…???」瞬間、愛実、目を真ん丸にして、パチクリと。そして口を真一文字に、「ううん。…何でもない。」そして、「ただ…。ユズが…、心配な、だけだよね~~。…病院の時から、一緒だし~~。」その声に今度は柚香、「メグ~~~。」幸乃、ようやく落ち着いたのか、柚香を見て、笑顔で…。そしてまた愛実と真輝を見て、「ふたりとも、ありがとうね~~。」瞬間、愛実、右手を、そして、「あん。だから、おばあちゃん。」間髪入れずに幸乃、顔を左右に、「ううん。そうじゃなくって…。おばあちゃんが言いたいのは、ふたりに、柚香の友達になってくれて、ありがとうって言う意味。…そして…。…これからもよろしくって…。」幸乃、ふたりにお辞儀するように。愛実、「あん。…それなら…。」そして真輝を見て、「うん。はい。その、ありがとう。素直に、受け止めます。」幸乃に頭をペコリと、「そして、ユズを、これからも。」そして真輝を見て、「ねっ。」真輝、その声に、いきなり頭をペコリと、「はい。」愛実、「おっと。いきなりおっきく。」瞬間、真輝、愛実を見て、「えっ…???…いや…。」愛実、また右眉を歪めて、「だから。それはもぅ。いい。」幸乃も、そんな真輝を見て笑顔で…。そして幸乃、柚香を見て…。「そぅかぃ。柚香…、陽織に…。」柚香もその声に、「うん。…でも…、私は、全く…。…陽織になってた時の記憶は…。」そして顔を左右に…。「全然、覚えてない。…その時の状況を知っているのは…。」そして柚香、愛実と真輝を見て…。そして、幸乃を見て、「他にも何人かいる。」その声には幸乃も、目をパチクリと、「何人も…???」柚香、瞬きして、「うん。」顔をコクリと。「おばあちゃんの知っている熊沢先生。そして、おばあちゃんがさっき電話で話していた藪岡先生。その先生も陽織とは会っている。」その声に幸乃、「おや。そうなのかぃ。」「うん。…で、その他にも…。同じ大学の人。ふたり。…って言うか、そもそも…、そのふたりが、切っ掛けなんだけど…。」愛実、「ユズさぁ~~。そのふたりって…。同じ大学の…。」その声に柚香、愛実に、「うん。エンカントで陽織を見て、大学で瓜二つの私を見て、あれ…???…って思って、私に話し掛けて来たの。」真輝、「亮輔ねぇ~~。」柚香、「うん。亮輔さんと阿須賀さん。」幸乃、柚香を見て、「柚香~~。」そんな祖母に柚香、「うん…???…はは。大丈夫だよ~~。少しずつ、少しずつ。それに…、メグも真輝君もいるから。」「あ~~っと。ヤバ。亮輔に電話するの、忘れてた。さっき。」真輝、慌てて。すると愛実も、「あっ。そう言えば…、確かに、さっき…。」するといきなり真輝のスマホに着メロ。「わっ。」画面には、「亮輔」真輝、「ちょっと、ごめん。」いきなり立ち上がり、廊下に。電話に出るやいなや真輝、「ごめん。電話するの忘れてた。」スマホから、「…た~~く~~。ようやく電話が繋がったと思ったら~~。…何回電話したか~~。その度に話し中~~。一体、誰と喋ってたんだか~~。」真輝、スマホに、「スマン。申し訳ない。…電話、藪岡先生と話してたんだ。」「ふ~~~ん。…でぇ~~。陽織ちゃん、今、どぉ…???」その声に真輝、「あぁ。」茶の間の方に顔を、そして、「今は柚香さんに戻ってる。」「はっ???…どういう事…???…あれから…???」「うん。ものの…1時間…半…くらいかな。あれから3人で外に出て、歩きながら…。…で、途中でペンチに座って、休んでジュース飲んで…。それから、柚香さんの話をして、それからちょっとした事で陽織ちゃん、柚香さんに代わった。」「ちょっとした事で…???」亮輔、冷蔵庫から缶ビールを…。真輝、「あぁ。…実は、陽織ちゃん、ベンチの上から体育座りになって、地面に落ちそうになったんだ。その瞬間に、いきなり柚香さんに代わったって…。」その声に亮輔、「ふ~~ん~~。」「…で、その前に藪岡先生とも電話してたんだ。」ビールを飲みながら亮輔、「藪さんと…。あぁ~~。そっか。道理で電話、繋がんないって思った。…って事は、藪さんと電話してたんだ。」真輝、「あぁ。…かも…。…で、今、3人で、柚香さんの家。おばあちゃんと話してる。」「おばあちゃん。」「うん。柚香さん、実際、陽織になっていたって…。おばあちゃん、今現在の事、知らないでいたから。」「あっ。そっか~~。」そして亮輔、またビールを飲みながら、「…って言うか、陽織から柚香さんに代わるのって、早くねぇ…???」 LIBRA~リブラ~ vol,098 「ただ…。ユズが…、心配な、だけだよね~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.08
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茶の間に座っている真輝と愛実、幸乃にペコリと頭を。そんなふたりに幸乃、何とか笑顔で、微笑んで、「ふふ。おかえり。柚香を…、ありがとうね。」そんな、「柚香をありがとうね。」の声に、真輝も愛実も、何気に幸乃を慰めるように笑顔で一度は顔を振り、そして今度はコクリと。「えぇ。」「うん。」柚香、幸乃の両肩に両手を。そして、「おばあちゃん。…座って。」幸乃、柚香の右手に右手を。そして笑顔で、「うん。」柚香も幸乃の隣に。そして柚香、「ねぇ、おばあちゃん。」思わず真輝と愛実、ゴクリと口の中の物を…。柚香、幸乃に、「おばあちゃん、私ね。…今日、長篠観音病院の、熊沢先生に会ってきたの。」その声に幸乃、口を噤んで、僅かに困ったような顔で柚香を…。けれども柚香、そのまま、続ける。一旦は口を噤んで。…けれども、「そして…。その前は…。…新宿にある病院なんだけど…。ある人と知り合って、それから…、またある人に紹介されて…。その人にも…、会って来た。精神科医のお医者様。藪岡先生って言うの。…多分、その先生からは、さっき、おばあちゃんにも、電話、あったと思う。」その話に幸乃、柚香を黙って見て、優しそうな顔で…。柚香、そのまま続ける。愛実も真輝も柚香を黙って見ている。「おばあちゃん。解離性同一性障害…って、言葉、知ってる…???」幸乃、ここで初めて柚香に、「解離性同一性障害…。」柚香、幸乃の声に顔をコクリと。そして、「多重人格。仮に、私なんだけど…。実際、私なんだけど、あるとき、全く別の人格になっちゃう。そういう病気。」幸乃、外の景色を見ているような目で、「全く別の人格になっちゃう。そういう病気。」柚香、また顔をコクリと。「うん。」そして、「…でね。早い話が…。…私…、時々…。その…、解離性同一性障害。…妹の陽織になってた。」その瞬間、幸乃目を閉じる。愛実に真輝、困ったような顔で…。けれども柚香は続ける。「…で、さっきも私、陽織になってた。信じらんないんだけど…。私、全く覚えてない。…けど…。陽織になって…。それからさっき、私に代わった瞬間、傍には、メグや真輝君がいた。」その話にいきなり幸乃、目を開いて、「えっ…???」柚香、幸乃に、「うん。…おばあちゃん。」優しい声で、「メグも、真輝君も、私の事、解離性同一性障害だって、知ってるんだ。」幸乃、少し困惑したような目で、僅かなリにも焦点が合わない。けれども真輝と愛実を見て、そして今度は柚香を見て、「柚香…。」すると、今度はみるみる目が赤く。そして、透明なものが目を…。そして堪えきれなく零れて頬を…。すぐさま右手でそれを拭う。そして頭を落として柚香に、「柚香…。」幸乃、柚香の右手に右手を。そして柚香の右二の腕に左手を。そして、「柚香~~。…ごめんね~~。おばあちゃん。……。うんうんうん。そぅかぃ。…柚…あんたも…。…知っちゃったかい。…うんうんうん。ごめんね~~。」そんな、謝る祖母に柚香、「かかか。おばあちゃん、何で謝んのよ~~。そんな…。謝んなくっていいよ~~。…別に、おばあちゃんが悪い訳じゃないも~~ん。」愛実と真輝、お互いに優しい顏でふたりを見つめて、頷きながら…。けれども、まだ顔をうつ伏せている幸乃。涙が止めどなく出て来る。柚香、「おばあちゃ~~ん。」項垂れる祖母に柚香、今度は祖母の肩を右腕で抱くように。そして愛実と真輝を見て、僅かに困ったように…。愛実と真輝も、その姿を優しく受け止めて…。…そして幸乃、何とか…。頭を2度程頷かせて、「うんうんうん。そうだね。おばあちゃん、泣いてなんていらんないね。」また頷いて…。そして頷きながらも、愛実と真輝に、顔は起こさないで、ふたりにお辞儀するように、「ふたりとも…。ありがとうね。…ほんとに…。ありがとう。」その声に愛実、「おばあちゃん。…幸乃おばあちゃん。」そして愛実も顔を左右に振り、「ありがとうなんて、いらないよ。私は、ユズの友達だもん。もぅ~~大親友なんだから~~。」真輝、柚香と、愛実を見て、「僕は…。…まだ、知り合って…それほど…。…でも…。まっ。いろいろと…。…なんだかんだ…。自然に…。…ん~~。…でも、何か…、必然的に…。…それより、何より、…、なんか…。…とにかく、気になっちゃって…。…その…。同じ病棟で、知り合って…。それから…。…なんて言うか…。その~~。…関わり…合いたく…。なっ…ちゃっ…て…???…て…???…えっ…???」頭を掻きながら…。そんな真輝を見て愛実、右眉を歪ませて、「ねね、真輝君。」頭を掻いている真輝、愛実を見て、「えっ…???」右眉を歪ませての愛実、真輝を見て、「めんどくさ~~~。」瞬間、柚香、「ぷっ。」幸乃も同じように、「くっ。」 LIBRA~リブラ~ vol,097 そして、「おばあちゃん。…座って。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.07
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愛実、スマホに、「いえいえ。」そして藪岡、「あ。…と、言う事は、まだ…、柚香さんのおばあちゃんには…???」「あ、いえ…。」愛実、スマホに手を…。そして柚香と真輝に、「ねね、おばあちゃん。」柚香も真輝も、「あ。」すぐさま愛実、スマホを真輝に。真輝、「あ、うん。」そしてスマホを。「先生。」藪岡、スマホに、「あぁ…。実は…、その事なんだけど…。…あれから…。…つまりは、真輝君から電話があって…。」真輝、その声に、「あ、はい。」「すぐに柚香さんのおばあちゃんには僕の方から電話、入れさせてもらったんだ。」真輝、目をパチクリと、「あ、あ~~。」買い物帰りの50代くらいの女性。自転車の籠に買い物袋。こちらは犬の散歩。初老の男性と孫だろう、小さな女の子を連れている。真輝、スマホを耳から外して今度は今まで座っていたベンチに腰を下ろしてスマホのスピーカーを、「そう…ですか~~。」そんな真輝に近づいての愛実と柚香。真輝、「先生、おばあゃんに、話したって。」愛実、「えっ…???」柚香、思わず目をパチクリと。真輝と愛実を見て、「……。」真輝、「スピーカーにした。」愛実も柚香も、「う…、うん。」スマホから藪岡、「あ…。柚香さん。」柚香、「あ、はい。」「申し訳ない。自分勝手な事をして。」柚香、「あ、いえ…。…あ、でも…。実を言うと、私も…、おばあちゃんには話さなきゃって。…実は今日。」「うん。」「以前、私と真輝君が入院していた。」スマホから、「あぁ。」「長篠観音病院の…。」「うん。」「その時に私の…。熊沢先生に会って来たんです。」「ほぅ。…で…???」「おばあちゃんは、何も言ってくれないから…。実際に私、先生にって思って。」「うん。」「そしたらやっぱり…。病院で私、陽織に。」「そっか~~。」柚香を見つめる愛実と真輝。愛実、真輝を見て、口パクで、「そうなの…???」真輝、愛実にコクリと。愛実は黙って頷く。柚香、「…で、先生は、おばあちゃん、私が心配するだろうって…。だから、何も言わないんだろうって。」スマホからの声、「うんうん。僕とおばあちゃん、スマホで話した時も、おばあちゃん、凄い困惑していた…、感じだった。…で、今、柚香さん、陽織さんに代わってるって話して…。」「えぇ。」「…申し訳ないが…。かなり…、動揺…。…でも、まっ。何とか…。」「あ、はい。」「…う~~ん。まっ。これが、良い切っ掛け…なのかも、知れない。…今回の事で…。」柚香、スマホに向かって、「あ、はい。…そうですね。」真輝、スマホを見て、柚香を見て。スマホから藪岡の声。「おばあちゃんには…。」真輝、「話した方がいい。僕も一緒に。」その声に愛実も、「あ。私も。」藪岡、思わず、「はは。うん。そっか。…ありがと。」柚香、真輝と愛実を見て、「真輝君。メグ…。」「…って言うか…。」真輝、「実際、僕も陽織ちゃんとは話、してるし。」「それを言うんなら、私も…。」「確かに。」スマホから。「実際に陽織ちゃんと話している人が、説得力はある。…とは言え、おばあちゃんも、既に陽織ちゃんとは話している訳だけど…。」少し間を置いて…。柚香、「ですよね~~。」真輝、「じゃ。早速。」愛実も、「だ~~ね~~。」スマホから藪岡、「わざわざ、電話、ありがとう。」真輝、「ありがとうございました~~。」愛実も柚香も、「ありがとうございました~~。」スマホから、「じゃあ、切るね。」真輝、「あ、はい。」通話は切れる。そして、立ち上がり、「さてと。じゃ。」愛実、「だね。」柚香、顔をコクリと。「うん。」既に幸乃は熊沢と電話をして、一部始終…。けれども、熊沢の声を反芻しながらも、「…柚香さん。彼女自身、知りたがっています。この際。…と、言うより、今は…。とにかく、向き合うしかないと…。多分、これからも、今の状態。…つまりは、柚香さんが陽織さんに。そして陽織さんから柚香さんに。それは、繰り返されると思います。…何か、突拍子もなく、ある切っ掛けがない限りは…。…それは、私にも分かりませんが…。」幸乃、声を思い出しながらも…。けれども何とか気を奮わせて、台所で…。そんな時だった。玄関から声が…。「ただいま~~。」そして、男女の、「お邪魔しま~~す。」廊下を通って…。柚香、真輝と愛実に茶の間に。愛実と真輝、頷いて…。そのまま柚香は台所に。「おばあちゃん。」料理の最中の幸乃、その声にいきなりビクン。頭の中で、「…柚香。」柚香、「ちょっと、話があるんだけど…。」幸乃、後ろに振り向いて、「うん…???」「メグと真輝君もいるの。」幸乃、優しそうな顔で柚香を…。そして、「うん。そぅかぃ。」そして蛇口で水を。手を洗って布巾で拭いて…。柚香、茶の間に。 LIBRA~リブラ~ vol,096 真輝、「先生、おばあゃんに、話したって。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.06
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「そっか~~。」柚香、両手を自分の首に…。「…っと、言う事は…。…確か…。」そして、真輝を見て、「真輝君と駅で~~。」その声に真輝、「うん。…確か、5時半…頃…。」「だよね~~。…で、今は…。7時…過ぎ…。」柚香。「いち…じ…。大体…。1時間…半。」その声に愛実、顔を傾げて、空を見て、目をキョロキョロと…。「うんうんうん。…大体…、それ…くらい…かも…。うん。」「時間…的には…。」真輝。「1時間…ちょっと…。…だったかも…。ほら。この前の…カフェからの…。」そこまで話して真輝、「…ただ…。あの時…。どうなって、柚香さんが陽織になったのかは…。…まったく…。」「それを言うんなら、私だって…。」口を噤んでの愛実。「ねね、ユズ~~~。…その辺…。は~~。」柚香、大きく息を吸いながらも…、顔を左右に。「ううん~~。全然。」そして真輝を見る。その時、既に真輝はスマホを耳に。柚香、「真輝君…???」真輝、柚香を見て、僅かに頷いて、「あ、もしもし。勝巳です。」そして…。「あ、はい。今は、柚香さんに…。」スマホの声、「そ…かぁ~~。あれから…???…どのくらい…。」電話の相手は藪岡である。「真輝君から電話が来たのが…確か、30分前…。」真輝、「えぇ…。」「それから…逆算すると…。大体…、1時間…半…くらい…かぁ。」「えぇ。そうなります。…あ、先生…。今、柚香さんに…。」スマホから、「あ、うん。」真輝、柚香に、「藪岡先生。」柚香、「あ、ありがとう。」そして、「もしもし、柚香です。」「あ~~。ごめん。藪岡です。」「あ、はい。」「うんうんうん。確かに、柚香さんだ。…申し訳ないけど…。今、勝巳君から電話があったって事は…。つい、ちょっと前に…???」柚香、その声に、「えぇ。…そうなります。なんか…、物凄い、もう少しで、地面にバン。転んじゃうって、正にその瞬間に。えっ!!!…何って。」スマホから、「うんうんうん。…何か、ある種の切っ掛け…なの…かも、知れないね~~。」柚香、「あっ。」愛実を見て、「メグ。ちょっと、電話…代わってもらっていい…???…藪岡先生と言って、精神科医の…。」愛実、「あぁ~~。うん。うんうんうん。いいけど…。」瞬間、真輝を見て、「でも…、これ…、真輝君のスマホ。」真輝、そんな愛実ににこやかに。愛実、チョコンと頭を。そしてスマホを耳に、「すみません。お電話代わりました~~。井島愛実と申します。」スマホから…。「いじま…、めぐみ…。あぁ~~。真輝君が言ってた、柚香さんの友達。」愛実、その声に、「あ、はい。…え…、とぉ~~。」そして愛実、柚香に、小さな声で、「何話せばいいのよ~~???」すぐさま柚香、「陽織から私になった瞬間。」「あ、あ~~~。な~る。」そして、スマホに、「あのですね。…あれから陽織ちゃん。私と真輝君とふたりで…、家から歩いて…。」「ふんふんふん。」「まっ。あれこれと…。話をしながら…。ジュースを飲みながら…。」真輝も話を聞きながら頷いて…。愛実、「でも…。…でも…。うん。…確かに、陽織ちゃん。…何が何だか分からないような…。」スマホから、「うんうんうん。確かに、それはあります。僅かに、数時間…。しかも…。酸素もそれほど吸えない。」その声に愛実、「酸素…???」「つまりは…。陽織ちゃんも、自分で好きに柚香さんに代わった訳ではないんだ。何か、突拍子もない事が…、偶然に重なり合って…。ただ…、その偶然の重なりも…、もしかしたら…、柚香さんと何か…関係が、ある…、のかも…、知れないけど…。2歳の頃の記憶に、いきなり今の現在。通常なら、頭がどうにかなってしまっている。当然ながら、穏やかでいられる訳がない。」その話に愛実、頻りに頷いて、「うんうんうん。あ、はぁ~~。えぇ。そうですね~~。」そして目をキョロキョロと。「…でぇ~~。私たち、真輝君と3人。自販機の近くのベンチに座って、ジュースを飲んで、話をして…。…そろそろ立って。歩こう…。あっ。その時です。」スマホから、「うん。」「陽織ちゃんが私の手を払って。いきなりベンチで体育座り。」柚香、真輝を見て、「体育座り…???」真輝も柚香をチラリと見て、「うん。」「で~。」愛実、「その恰好のまま、後ろに…、頭を…。でぇ~~。そして…、そのまま…今度は前に…。で、その瞬間、膝を両腕で…。の、はずが…。足が、ベンチから外れていきなりそのまま頭から地面に。」柚香、「うそ。」真輝、「うん。そう。もう少しで頭から地面に。」愛実、スマホ越しに、「危ない。何やってんの~~。から…。いきなり、ヤバヤバッて、今度は柚香が…。」柚香、「な~~るほど~~。そういう事か~~。」愛実の話を聞きながらスマホの向こう、「うんうんうん。なるほど。」そして藪岡、「うん。井島さん。ありがとう。」 LIBRA~リブラ~ vol,093 その時、既に真輝はスマホを耳に。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.05
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その声に愛実、「へっ…???…またかって…???」「思い出しちゃったんだよ、陽織ちゃん。おとうさんとお母さんが死んでしまってたって事。…そして、自分も。…2歳の時にね~~。」その声に愛実、「あ、あ~~~。」「つい。この間、その事、知ったから。茶の間にある仏壇の写真。」「そっか~~~。」「ある意味…。まだ、何も解決してない。」前屈みになり、顔に両手を当てて泣く陽織。愛実、そんな陽織の背中を優しく摩って、「陽織ちゃん。うんうんうん。そうだよね~~。悲しいよね~~。」そして愛実、小さな声で、「2歳の時に亡くなって…。それで、何かの拍子にユズの身体に戻ってきて。…けど、何が何だか…。」そして愛実、真輝を見て、「何が何だか…。…と、言うより、この…、意識で、生きているのが…。怖い。」真輝もその声に頷いて、「…だよね~~。」愛実と真輝は既に飲み物は空になって…。ベンチから…。愛実、「陽織ちゃん、立てる…???」愛実、また優しく陽織の背中に左手を。そして右手を自分の右手で。ゆっくりと陽織の体を起こしながら…。けれども陽織、下を向いたままで、「止めて。ほっといて。」いきなり掴まれていた右手を引っ込める。すると、今度は両膝をガッシリと曲げてのベンチに体育座り。口は尖らせたままで、ムッツリとした顔。そのまま頭を起して空を見つめて、ゆっくりと後ろに。…かと、思えば、そのままの顏で、真っすぐ前を向いて、今度は前に。両膝に両腕を回して。その瞬間、踵がベンチから下に外れてしまった。いきなり体が地面に向かって。真輝、そんな陽織を見ていきなり、「危ない。」愛実も瞬発的に、「ちょっと、ユズッ!!!」叫ぶような愛実の声。そして両手で陽織を…。けれども間に合わない…かに、見えたが…。その声に陽織、いきなり両手を解き、両足を地面に。屈んだ体は地面スレスレに。愛実が…、「ちょ~~~っと~~~。何して…。」「や~~~ば、やばやば。何~~???…転ぶかと思ったじゃ~~ん。び~~っくり~~。何なのよ~~。もぅ~~~。」右足でタッタッタと。そしていきなり後ろを向いて…。「いやいやいや。」そこまで言って、「えっ…???…私…、なんでここ…???」そして愛実と真輝を見て、「えっ…???…メグ…。…で…???真輝君…???」すぐさま愛実、そして真輝、「あっ。」ポカ~~ンと。愛実、「もしかして…、ユズ…???」真輝も、「柚香…さん…???」目をパチクリと。今まで、陽織だったはずの…。「うん。」コクリと。そして…、目を右斜めに、「…と、言う事は~~。」そして、今度は、いきなりガッカリとしたように…。そして、顔をグシャリと、「ふ~~~ん。陽織になってたか…。」愛実も真輝も思わず肩から力が抜けて…。そして、お互いを見ながら、「ふ~~~~。」柚香、顔をグシャリとさせて、「もぅ~~~。全然、覚えてないから~~。」そんな柚香を見て愛実も真輝も、顔を見合わせて柚香を見て、「まっ。確かに。」柚香、ふたりに…。「…って言うかぁ~~。」思わずニッタリの柚香。「今度は…、メグと、真輝君…かぁ~~。」その声に愛実と真輝、同時に、「ハッ…???」「いやいやいや。」目をパチクリと柚香、「…と、言うのは…。ほら…。昨日…と言うか…。昨夜…???…なの…???…何だか、頭の中がゴチャゴチャと。」真輝、その声に、「うんうん。そうなっちゃうよね~~。こぅ…何度も…。」柚香、コクリと。「タクシーの中で、藪岡先生と真輝君。」「うん。その話、さっき、ユズの部屋で聞いた。」愛実。「へっ…???…私の部屋で…???」「だから~~。」愛実。「思いがけずあんた。家に帰った途端に、陽織になってたって。おばあちゃん、心配してたよ。」そこまで話して愛実、下唇をビロンと。「まぁ…あ…。私がユズのスマホに電話して。…そしたらな~~んか変な感じしたから~。ユズのスマホにおばあちゃんが出てきて。」その声に柚香、「…なんで…、私のスマホがおばあちゃんに…???」「だから~~。その時点で陽織になってたって~~。それも…。」愛実、目をパチクリと、そして口を尖らせて、「たったの…、今まで…。私と真輝君の間に入って。」柚香、瞬間、頭を下げて、お凸に右手を…。「あ、そっか~~。」真輝、「まっ。…でも、これで、家に帰っても、おばあちゃんは…。安心すると思うけど…。」愛実、真輝を見て、納得したように、「うん。まっ。確かに。それは言える。」「けど…。」真輝、柚香を見て、「今回の事は…。藪岡先生にも、電話で、話した。」柚香、瞬間、目を右斜めに。そして瞬き。口を尖らせて、「ふん。ふんふんふん。」「だから…。」真輝、「もしかしたら…、先生…。もぅ…おばあちゃんには…。おばあちゃんの電話番号教えてくれって、言ってたくらい。」柚香、2度程頷いて。 LIBRA~リブラ~ vol,092 「根気よく、根気よく。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.04
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自販機からジュースを。愛実、「真輝君、好きなの選んで~~。」真輝、コクリと、「では、お言葉に甘えて。」そして愛実は自分のと陽織のを…。真輝、「ふんふんふん。なるほど。カフェラテ。」愛実、「うん。これおいしって柚香に言われて、私も。」3人揃って、近くのベンチに。陽織は未だにムッツリとした表情で…。そんな陽織に愛実、座りながらカフェラテを一口。「柚香さ~~。4か月前に、事故に遭ったんだよね。」愛実と真輝の真ん中で座っている陽織。特に興味もなさそうな風に。正に、「そんなの関係ない。」そんな表情で…。「柚香、交差点で無理やり渡ろうとした犬を追い駆けて、赤信号で女の子、犬を捕まえようと走り出した。その女の子を助けようとして…。」真輝、愛実を見て、「うんうん。…そんな風に言ってた。夢中だったって。…でも、それから記憶がないって。」愛実、「緊急手術でさ。…でもって、手術は成功。…でも…。3日間、意識なくって…。私…、幸乃おばあちゃんから連絡貰って病院行ったときは、柚香、頭から包帯。」そして愛実、優しそうな顔で、「ははは。涙出て止まんなかった。そして…、暫くして、病棟も循環器だっけ…???」真輝、愛実を見てコクリと、「うん。そう。」「そっちの病棟に移って。…で~~、そっちの病棟でまた数日。そして、ようやく車椅子に乗れて、売店に。…でぇ~~。そこで、真輝君と出会った。」真輝も、「うんうんうん。そぅそぅ。点滴台にぶつかってね。わお。ヤバイってなって。」愛実、「真輝君も、入院してたんだよね~~。」「うん。」真輝。「僕は、大学で廊下歩いてていきなり倒れて…。そのまま病院に運ばれた。」愛実、「何の病気だったの…???…柚香、話してくれなかったけど…。」その声に真輝、愛実を見て、「あん。…って言うか、僕も話してないし。」「うそ。」「うん。…って言うか、専ら、ウチの家族の話や柚香さんの天文学の話。それから~~。僕の将来の夢とか。」そして真輝、顔を傾げて、「特に…。僕らの病気の話って…。」目をキョロキョロと、「う~~ん。…しなかった。」そんな真輝を見て愛実、アヒルみたいな口で、「へぇ~~~~。…なんで、入院したんだ。とか、ある意味、興味深く聞きそうな感じだけど…。」「…って言うか。」真輝、「柚香さん本人が、とにかく好奇心旺盛でさ。病気以外の事は何でも聞いてくる。」その声に愛実、頷きながら、「あ~~~ん、はいはいはい。…うん。柚香、そういうところ、滅茶苦茶あるもん。ある意味、好奇心強過ぎ。しかも。しかもだよ。あの子、結構~~推理好き~~。」その声に真輝、陽織越しに愛実を見て、「推理…???」「うん。…とは言っても、推理小説は…、読まない…よね~~。部屋にそっち系の本なんて一冊もないし。…でも、推理は大好き。」「へぇ~~。」その時。「私、帰る。」いきなり陽織。瞬間、愛実、「わっ!!!」真輝も、「おっと~~。ごめん。」愛実、陽織に、「ごめん、ごめん。思わずユズの話ばかり…。」真輝も、口を一文字に、「ふ~~ん。…あ。でさ。陽織ちゃん。エンカントって、どんなトコ…???…ほら。君がいつも夜中に行く店。飲み屋さん。」陽織、すぐさま真輝を見て、「飲み屋さん…???」「うん。…今って~~。そういうお店、バーとか、クラブとか…、昔で言えば、スナック…って…。水商売のお店ね。」「ふん。」陽織、口を尖らせて、「お客さんいるぅ~~。…で、お酒飲んで…。白い、泡のようなのが上に。」「うんうんうん。ビールね。」「すんごく美味し。…後は~~。店長のお手伝い。…とぉ~~。お客さんから頼まれたもの…。」「そういうのって、凄いよね。」愛実。「陽織ちゃんさ~~。辺りが暗くなっているのに、外に出るのって、大丈夫なの…???」その声に陽織、顔を傾げて、数秒…。そして、「そんなの、分かんないよ。いきなり目が覚めて。そしたら、今度は勝手に体が動く。だから、私の体が今、どうなっているのか、分かんない。そんな状態で、気付けば外に出て、飛び跳ねたり、歩いたり。走ったり。」その声に愛実も真輝も、陽織を見て、「へぇ~~~。」陽織、不貞腐れた顔で、「だ~~って、見るもの初めてのものばっか。何が何だか全然分かんない。」真輝、頷いて、「確かに。」愛実も、「ふ~~~ん。」「けど…。」真輝、「柚香さんが、お姉さんだと言う事は。…そして、おばあちゃんがいる事は。…知ってる。」その話に陽織、真輝を見て、「うん。知ってる。」けれどもその瞬間、真輝を見て、思わず、目が潤んで…。いきなり顔を下に…と、思ったら、今度は、「うぇ~~~ん。」いきなり愛実、目をパチクリと…。そして顔を小刻みに左右に、「えっ…???」陽織、今度は、「あ~~~ん。」涙を流して…。真輝、慰めるように、「また…か。」 LIBRA~リブラ~ vol,092 「根気よく、根気よく。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.03
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その声に幸乃、ようやくスマホを耳に、お辞儀をするように…。「ありがとうございます。」藪岡の声、「大丈夫ですか。」「あ、はい。…それに…、柚香の友達、そして…、真輝君も…、今。柚香の部屋に…。あれから、大きな音は…。」「そうですか~~。」そして藪岡、「こんな事は…、言える訳ではないんですが…。普段のままで…。…と、言うのも、実際は…、無理な話…。…ではあろうと、思われます。…けれども…、何とか、今起こっている事を、今は、とにかく、真摯に受け止める以外に…。」幸乃、話に、「えぇ。」「多分…、真輝君、今日の事で私に、後で何かしら話を…。それを聞いて柚香さんも、何かしら、行動を…。…一度、自分が陽織さんになって。また戻って…。その繰り返し…。…けれども、いつ、そうなるかは…。」「えぇ。」「根気よく、根気よく。考え方としては…。…ある意味、別人格が、入り込めない状態に持っていくのも、ひとつの方法かとは思いますが…。実際、そういう事を当人に…。これも…、難しい話ではあるのですが…。」幸乃、「分かりました。…なんとか…、私も…、平常心で…。」「難しいと思います。…こんな事を言って、失礼な事は重々ですが…。…できれば…。今の状態を…。是非、何とか、受け入れて頂ければと…。」幸乃、またスマホを耳に頭を下げて、「ありがとうございます。」藪岡、スマホに、「…それでは…、私は…。」チョコンと頭を下げ、「失礼します。」幸乃、「ごめん下さいませ。」通話は切れる。幸乃も藪岡も、スマホを持ったままで、「ん~~~~。」藪岡、椅子に背中を押し込むように…。「これで…、何とか…、少しであっても、前に…。」幸乃、けれども心なしか、茫然と…。「…柚香…。陽織…。」まだ…、洗濯物は…畳まれていないものが…。中途半端で…。そしてまた頭をもたげて…。目を瞑って…。「なんで…。こんな事に…。」その時、ゆっくりと階段を下りてくる足音。そして、茶の間に。愛実、「おばあちゃん。」真輝、「あのぉ~~。」幸乃、その声に振り返って。まだ赤い目のままで…。愛実と真輝の真ん中に、陽織。ただ黙ったままで…、口を噤んで…。幸乃、何とか笑顔を…。「あ~~。うん。」愛実、何かしら、申し訳なさそうな顔で、「わ…、私たち、ちょっと…。これから…、外に…。」その声に幸乃、ニッコリと作り笑いで、「うんうんうん。…そうかい。うん。行っといで。」真輝、幸乃を見て…。こちらも申し訳なさそうな顔で、そしてペコリと、「す、すみません。…後で…、また…。」幸乃、真輝にも、「うんうんうん。ありがと。真輝君、メグちゃん。よろしくね。」愛実と真輝、「じ、じゃあ~~。」3人揃って、玄関に。愛実、陽織の背中を優しく抑えながら…。そして外に…。真輝、「さ…て、と。」陽織は未だに、ムッツリとした顔で…。愛実は愛実で、「いやいやいや。知らない間に、そういう事になっていたとは…。」真輝、「実は…。うん。」陽織は隣の女性と男性を交互に見て、何かしら不貞腐れたような顔で、そして小さく、「もぅ~~。なんで私が~~???…全~~然、記憶、ないんだけど~~。」愛実、「まっ。確かに。私だってびっくりだよ。まさか。」そして愛実、「…で~~、真輝君はもぅ~~。その、藪岡先生と言う精神科の先生とも…???」その声に真輝、「うん。一度だけ。エンカントの店で。」「ふ~~~ん~~。…で、長篠の熊田先生にも。」「うん。さっき…。…って言うか、数時間前ね。」そして愛実、隣の陽織を見て、「陽織ちゃん。は~~。その…エンカント。」「名前なんか知らないよ。ただ、そこに行ってお酒飲んで…。」ムッツリとした表情の陽織、「お手伝い…???…する程度。」愛実、陽織を見ながら、「なんだ。…けど…。凄いよね。いきなり店に入ってきてさ。財布も何も持っていない人に…。」そこまで言って愛実、「…って言うかさ。陽織ちゃん、あんたも凄い。いきなり、働かせてください。って。」いきなり真輝、可笑しがりながら、「確かに。そういうとこって、なんか…、柚香さんにも…同じような。」そんな真輝を見て愛実、笑顔で右目を歪ませて、「へぇえ~~~ぇ???…真輝く~~ん。」真輝、すぐさま愛実を見て、「…ん…???…何…???」愛実、思いっ切り口をへの字にして、「イシシシシシ。」真輝、咄嗟に、「何…???…その笑い~~~???」「いえいえ。何でもございません。」「さてと。ジュースでも…。」「あっ。」いきなり愛実、「うんうんうん。それ、私。」真輝、愛実を見て、「へっ…???」「いや。だってさ。私が真輝君、呼んだんだから。」「いや。そんなの別に…。…って、言うか…。そっ。」いきなり愛実、ガクッと。「あれ…???…おもわず、アッサリ。」 LIBRA~リブラ~ vol,092 「根気よく、根気よく。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.02
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「…そんな…。…そんな事って…。」今度は幸乃、絨毯の上に正座。そして腰を曲げるようにして頭を下げて、「…どうして、また…。」目を瞑って…。スマホの向こう、藪岡、「汀さん。柚香さんのおばあちゃん。…大丈夫ですか…???…あ、いや。申し訳ありません。大丈夫ですかと言う私の方が…。大変失礼な。」幸乃は動揺していた。頭に過るのは以前、長篠観音病院での出来事。けれどもあれから2か月以上は経っている。しかも…、自分の前では柚香が以前のように陽織に代わったと言う記憶はない。…けれども今、電話の向こうでの…。ゆっくりと幸乃、頭を上げて、頬を赤く。そして目は充血したように…。けれどもようやく開く口。鼻水を啜りながらも…。「先生…。」スマホの向こう、「あ、はい。」幸乃、「藪岡…先生と、言いましたか。」「はい。藪岡…、海路と言います。」「精神科医のお医者さん。」「あ、はい。蔵廉大学附属病院の精神科の精神科医を…。心理療法としても、そしてカウンセラーとしても…。」その声を聞いて幸乃、少し苛立ちが先に脳裏に…。…けれども、今はそんな事は意識しては仕方がない。何故、柚香は自分に先に。…と思ったのではあったが…。その考えはすぐに消えて、スマホ越しに、「先生。柚香は…。…いえ…。陽織は今…。」スマホの向こうでは藪岡、「えぇ。柚香さんの部屋で、真輝君と柚香さんのお友達と…。多分…、話しをしているの…だと、思います。…先ほど、真輝君から私に、電話補がありましたから。柚香さんが陽織さんに代わっていると…。」その話に幸乃、すっかりと、肩の力を落としたように…。「そうですか~~。あの子たちは、もう…既に…、柚香が陽織に…。」「えっ、え~~。」「分かりました。」その声に藪岡、「えっ…???」幸乃、ひとつ息を吐いて、そして吸って、「あの子…、実は以前、長篠観音病院と言う病院でも、陽織に…。…その時も、何が何だか…。余りの衝撃で…。有り得ない事が目の前で…。…けれども…、担当の先生が…。…もしかしたら…、その…、解離性…。多重人格の…。」藪岡、話を聞きながら、「はい。」幸乃、また泣き崩れるように、「どうして…、こんな…。」一度はまた頭を下げて、嗚咽のように…。けれども、何とか踏ん張って…。鼻を啜り、スマホ越しに。「あっ、いえ…。ごめんなさい。…申し訳ございません。…私が…。…でも…。あの子たちは、私より…。」藪岡、幸乃に、「いえ。おぱあちゃん。あの子たち、と、言うより…。一番は柚香さんです。」瞬間、幸乃、目をパチクリと、「柚香。」藪岡、一度頭をコクリと。「えぇ…。…実際、柚香さん、凄いですよ。」幸乃、またもや目をパチクリと、「…す、凄い。…どういう…???」藪岡、表情を明るく、「いえ…。これは、私の意識的なものであるのですが…。まっ、確かに…。」そして思い出したようにでもあり、「うん。真輝君。勝巳君も凄い。」幸乃、「真輝…君。」「えぇ。…柚香さんを助けてもくれている。ありがたいですよ。」幸乃、また目をパチクリと、「ありがたい…。真輝君が…???」「そもそも。」藪岡、「柚香さん、今のように陽織さんに代わって…。」「あ、はい。」「通常だったら、平気で大学なんかに通学すると思います…???…それこそ、家族中がパニックで、あちらこちらの精神科医に…。それこそ、今後どうなるのか分からない、その人の事を24時間体制で…。見守り…ような…。しかも、当の本人も怖くて一歩も外に出れない。…もしかしたら…。そんな風に…。…でも、柚香さんは…。」そこまで話を聞いて幸乃、「柚香…。…あの子…。」藪岡、スマホ越しに、「私は、驚きでした。柚香さん。私の病院にも足を運んでくれたんですけど…。とにかく、好奇心の賜物。こちらの方が驚くほどで。」その声に幸乃、「あの子が…、ですか…。」「えぇ~~。」笑うように藪岡、「落ち込んでなんていられない。そんな事になったって、何も変わらない。なんでこうなったのか、私は知りたい。納得しないと気が済まない。」またしても笑いながら、「いやいやいや。あのポジティブ性には私も…。何だか、頭が上がらなかったのを覚えてます。」幸乃、「あの子が…。」その時にふと思い出した、柚香の…、「おばあちゃん。病院で私…。何か…。」その時の柚香の声に…。思い出しながら、ゆっくりと頭をもたげ…。そしてスマホ越しに、「そうでしたか…。」藪岡、「私も、いろいろと柚香さんからお話は聞いています。…それに…。他にも、私以外に柚香さんの事…。そして…、陽織さんと会っている人は、他にもいらっしゃいます。…ですから…。汀さん。幸乃さん。柚香さんのおばあちゃん。…慌てずに…。」 LIBRA~リブラ~ vol,091 幸乃は動揺していた。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2023.04.01
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