心のポテトサラダ

2006/12/21
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日本経済新聞のスポーツ欄の「スポートピア」というコラムに目が止まりました。

どんな人なんだろうと、興味のあった方です。

祖母井さんは、現日本代表監督のオシムさんを千葉の監督に引っ張ってきたGMです。
オシムさんの著書でも紹介されており、当時レアルマドリードなどのヨーロッパの大クラブとのオシムさん争奪戦で勝利しました。
Jリーグで一番予算の小さな千葉が、何故レアルなどに勝てたかというと、祖母井さんの熱意と行動力でした。
オシムさんの自宅などを訪問し、熱心に誘いました。

オシムさんは、旧ユーゴ出身で、最後のユーゴナショナルチームの監督です。
内戦によって、奥さんや子供さんと離れ離れになり、数年間安否もわからない辛い時代をくぐってきました。


『JリーグのJEF市原・千葉に、お世話になって12年が過ぎようとしている。
私が10年勤めた大学を退職し、サッカーのプロの世界に飛び込んだのは、ちょうど阪神大震災が関西を襲った年である。
実家は全壊し私のアパートも半壊した。
この地震によって私が生まれ育った神戸は破壊され、私も知人を失った。
そんな状況下でJEFへ行くのは正直言って相当迷った。
プロの世界は厳しく、結果が出なければファン、親会社、そしてメディアからも徹底的にたたかれる、言い訳が通用しない世界である。
妻に相談したら、私の仕事が子供の育成をサポー卜するような内容だったので、すぐに理解してくれた。私はなお複雑な気持ちだったが、未来ある子供たちの役に立てるのならと結局、JEFに行く決心をした。
最近、折に触れて思うのは、今、私たちが生活している環境のことである。
私には到底理解できない事件が毎日のように起きている。
私にはそれら社会問題が、今日の倫理なき経済競争の所産に思えてならない。
ヒューマニズムは脇に置かれ、エゴイズムというか自己中心的な社会に急激に変化し、みんなで助け合って生きてきた時代から個人で生きていかなければならない厳しい時代になってしまった、と。

勝者のみがたたえられるプロスポーツの風潮は、今の社会の流れを後押ししているのかもしれない。
諸般の事情でユース年代の育成から、切った張ったのGM稼業に軸足を移した私には内心、恍恨(じくじ)たる思いもある。
妻がカトリック教徒ということで時々、教会へ行くことがある。
どの教会にも、みんなで助け合って生きていこうとする雰囲気がある。
多くの人々がいろんな分野に関心を持ち、因つている人たちに温かい事を差し伸べようとしている。

JEFでやり残したと残念に思えるのは、そのような平和的な雰囲気をつくれなかったことである。
クラブの強化や運営だけではなく、人としてしなければならないことが何かをスタッフや選手、あるいはファンに対して十分に問いかけられなかったことである。
これから21世紀のスポーツに必要なのも、過激な競争社会から失われつつある人間的な営みをスポーツを通じて取り戻すことだろう。
JEFも同様で、やみくもに優勝だけ目指し、人間的な温かさを失うようなことがあれぼ、意味のない活動になってしまう。
最後に、JEFを愛するファンヘ、人に愛されるクラブづくりをサポートしてください。
これまで長い間、ありがとう。』

オシムさんの著書では、祖母井さんの熱心さは書いてあったが、本当に心動かされた人間性や雰囲気については、載っていなかった。
そういう何かが、このコラムを読んで少し分かった気がした。
奥さんがカソリック信者ということで、教会のあの雰囲気も、祖母井さんに影響し、何より奥さん自身が大きな影響を与えているのだろう。

私は、学校に上がる前は、母に手を引かれてカソリック教会に行き、小学校時代は、日曜学校と称するプロテスタント系教会で、礼拝した後友達と遊んでいた。
中学はプロテスタント系だったので、毎日礼拝と日曜日には地元の教会に通った。

教会というのは、仏教でも同じなのだろうが、キリスト教の教義を教える場ではない。
地域の集会所なんだと思います。
賛美歌を歌い礼拝はするのだが、献金があり、寄付活動のお知らせもある。
牧師さんの他に、地域の人の話がある。
学校の礼拝では、時々各界の一流の方の話や芸能などがあり、これがとても面白い。

阪神大震災で被災して家を失った親戚のおばさんが、うちに来ずにずっと通っていたカソリックの互助精神に身をゆだね、一信者さんの家に厄介になったのも、カソリックにしっかりしたコミュニティーがあったからだ。

おばさんと言っても、もう80才を越えているし、関西に2軒ある親戚の1軒は被災して同じく家を失っている。
唯一の1軒がうちです。
うちも被災しているが、住む家はある。
おばさんの個室も用意できる。
私も家内も、話し合う以前におばさんを迎える意思は決まっている。
隣には、より年齢の近い私の両親も住んでいる。
うちに来るものとばかり思っていた。
でもおばさんは、同じ教会の一信者さんの方を選んだ。
その方の家にお邪魔し、ご夫婦にも会ったが、夫婦でカソリック信者さんで、お金の事など何も出ずに、辛い人がいれば助けるのが当然という感じでした。
価値基準が違うと感じました。
「よろしくお願いします。
何かあれば、うちまで連絡ください」
としか言えなかった。

今のように健康保険や年金がない時代のより所が、このコミュニティーで、そういう人を助ける行為を是とする精神的基盤がカソリックが提供していたというわけだと思う。

辛い世の中を生きていく中で、教会のコミュニティーに所属することで、心の平安を得ていたのだと思う。
イスラム教にも、仏教にも、長年人々を惹き付けてきた宗教には、そういうのが脈々と伝わっているのだと思う。

私も祖母井さん同様、このまま競争が讃美される社会が進むと、一部の勝者と多数の敗者の社会になってしまう感じがする。
勝者とて、それを維持するために、激烈な競争を続けなければならない。
競争から降りれば、それは敗者への道なのだから。
フィリピン・インド・・・2極化した社会の大多数の敗者の生活は、あまりに辛いものです。

1970年代の日本が、最も優れた社会システムを持っていたように思う。
バブルやその崩壊は、社会システムが問題だったのではない。
その再生のために、金融機関が被ったマイナスを、規制緩和で弱者を切り捨て、強者の間での効率のいいシステムに変更した。
商売をしているので、上得意さんにお客さんを絞ると効率は良くなるのは分かっている。
そういう上得意さん向けの施策をしながらも、一般のお客さん向けのものもしていないと、いずれ会社の活力が減退するのが現実。

一企業が顧客を絞っても社会全体に及ぼす影響はまずないが、能力のある人もそうでない人も抱える責任がある国がそれをすると、滑り落ちて生きていけない人の反発が、犯罪などの形で起きる。
フロンティア開発にまだ余裕があるアメリカの競争万能システムは、共存共生社会の日本には合わない。
ヨーロッパ諸国が、規制強化に進んでおり、福祉国家の北欧諸国が経済的にも強いことも見なければならないと思う。

1970年代の日本が、終身雇用・年金の充実で、真面目にやっていれば安定・安心した生活が送れていたのと、北欧福祉国家は同じなのではないか。
明日の生活の安定が予想できると人は優しくなる。
「中学生が集団で、お年寄りのバッグをひったくる」
これは、弱肉強食を是とする道にハンドルを切った日本の大人の行く末を暗示していると思う。
今の中学生が、いずれ大人になることを忘れてはいけない。
子供の行動は、大人の行動の縮図。
子供は、大人の行動を敏感に感じる。





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Last updated  2006/12/21 05:59:55 PM
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のりまき@ Re[1]:引越し の巻(06/10) ものぐさ父さん 日記の内容変化もあり、…
ものぐさ父 @ Re:引越し の巻(06/10) いつの間にか、お引っ越しされていたので…
のりまきターボ @ Re[1]:引越し の巻(06/10) ハッピーサクセスゆみさん 長い間ありが…
ハッピーサクセスゆみ @ Re:引越し の巻(06/10) 久々に、訪問したら最後のご挨拶でびっく…
のりまきターボ @ Re[1]:引越し の巻(06/10) モアイ2463さん こちらこそ、長い間あり…

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