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平谷美樹「花嫁の桜」香澄さんはヘアスタイリストをしている。6年前から市内のホテルで結婚式の仕事をするようになった。自分の手で美しく変身した女性が愛する人のもとへ嫁いで行く、たとえ仕事でも花嫁の感動を共有できた。それが今では慣れてしまい、感動より効率を優先するようになっていた。そんな時に1組のカップルが相談に来た。年上の彼女で離婚歴があり小学生の子供がいる。男性は初婚。二人は予算がないのでシンプルな式を希望していたが、打ち合わせを重ねると彼女が重い病気で余命6ヶ月と宣告されていることが判明した。話を聞いたホテルの担当者は二人に言った。『我々の儲けなど構いません。最高の結婚式にしましょう。この世で一番幸せなご夫婦になってください』その言葉通り、ホテル側は採算度外視で心のこもった素晴らしい結婚式を準備。結婚式当日、花嫁の体調が悪いらしく、香澄さんは青白い顔をした彼女を精一杯美しく演出した。ホテルのスタッフも懸命にサポートした。披露宴の途中、ホテルの庭に桜の苗木を植樹するセレモニーが行われた。花嫁は最後まで笑顔を絶やさず、参列者たちは『いい結婚式だった』と帰った。新郎新婦とその家族はホテルのスタッフに涙ながらに感謝の言葉を述べスタッフも彼らとともに号泣した。香澄さんも泣いた、この仕事を始めた頃のような感動だった。それから2年、もう花嫁はこの世の人ではなくなってしまったが、彼女が夫と植えた桜は他のどの苗よりも生育がよいので、毎年、可憐な花を咲かせることだろう。
2014.07.21
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並木伸一郎「ツクゾ」1970年代から80年代前半にかけて日本中を席捲したコックリさん。会社勤めをしていた当時の私も、常連のスナックにたむろしては仲間と興じていた。コックリさんは、通常は2人以上で行うものだが、私は1人で試してみたことがある。午前2時、鉛筆をグーに握り、鳥居の上に置いて呪文を唱えた。3回目の呪文で、鉛筆を握る手に『ビビッ』という感覚が一瞬走ると手が勝手に動く。『はい』 で止まったものの、質問をしているわけでもないのに手は再度勝手に動き不吉な文字をなぞりはじめた。『ツク』 『ツクゾ』 『ツケバハナレヌ』『憑く』という言葉には、さすがの私も動転した。困惑していると気分が悪くなり、脂汗がにじんできた。コックリさんを返そうと、必死に呪文を繰り返すが手は動かない・・・異変に耐え切れなくなった私は左手で、無理やり右手を紙から引き離した。それ以来、鉛筆をこぶし握りをすると、紙の上で勝手に動くようになってしまった。癖ではなく、何かが憑いている・・・・うっかりそれが始まると止めることは容易ではない。その『憑き』は今も消えていない。
2014.07.21
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伊計翼「追心」Iさんが彼女とラブホテルに行った時の話。どのホテルが良いか、彼女に選んでもらって入った。入ったホテルの受付では、二人でパネルを見ながら入る部屋を決めた。エレベーターに乗り、二人で選んだ部屋の階で降りて、ランプが点灯する方向へ向かう。彼女がドアを開けた。『あ、ごめんなさい』 と言ってドアを閉める。『どうしたの?』と尋ねると『部屋を間違えちゃったみたい』と答えた。しかし、部屋のランプはちかちかと点灯している。ここで間違いないと、再度ドアを彼女が開けるが人がいると言う。Iさんが中を見ると、ベッドの上にIさんの浮気相手が座っていてドアの方向を向いている・・・にたり・・・と笑って、うすくなって消えた・・・
2014.07.20
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国沢一誠「視えてますよ」仕事で霊媒師の方に会った時のこと。その霊媒師に、持っている心霊写真について意見を聞いていたところ、カメラが回っていないところでしきりに言ってくる。『あなたに憑いてますよ』そう言われても 『そうですか』 『ほんまですか』 と返していたのだが、彼女の話は『除霊をしなくてはいけない』 『除霊をしないと不幸になる』 と飛躍した。おまけに 『除霊には何万円かかる』 と金の話になってきた。実は、彼女の後ろに女の霊が見えていた・・・恨みの籠った目で霊媒師をにらみながら『うそつき・・・うそつき・・・うそつき・・・うそつき・・・』 とつぶやいていた。自分に憑いている霊も見えない人が、他人に憑いている霊が見えるわけがないと思いこの霊媒師の言うことは信用しませんでした。
2014.07.19
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