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黒木あるじ「入居」 黒木あるじその日、不動産業を営む辻野さんは、学生とその母親を連れて賃貸物件を巡っていた。『前のアパートを飲酒騒ぎで退去させられたとかでね。正直、いいお客じゃないな と思っていたよ』物件探しは難航した。卒業シーズンならともかく、中途半端な時期とあって手頃な部屋は埋まっていたのである。いつしか辻野さんは『次の物件で決めよう』と決意していたそうだ。着いたのは、郊外にぽつんと建っている一軒のアパートだった。気だるそうな態度を崩さない学生と疲れた表情の母親へニコニコ笑いかけて、間取りの広さを強調しながらアパートの階段をあがり部屋のドアを開けた。複数の足音がバタバタバタバタと彼の足元を走り抜けて行った・・・・足音が過ぎ去る間際に 『またしぬね』 と幼子の声が聞こえたという。『ぞっとしたけど、幸か不幸か親子は気付いていない様子だったからね。そしらぬ顔で”ここはオススメです” と言った。おかげで契約成立、貸してやったよ』入居してから三ヵ月が過ぎたころ、学生は中退して故郷へ帰ったそうだ。
2017.01.31
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平山夢明「三階」 平山夢明深夜、終電で帰って来たが、運動不足解消にエレベーターを使わずに三階の自室まで階段を使った。途中、降りてくる女の人がいた。見知らぬ女だった。軽く会釈した。と、すれ違ったはずの女がついてくる。三階の廊下に出た。女は2メートルほど後ろにいた。急いで部屋に入り、鍵を掛ける。気持ちの悪い女だとドアスコープで確認すると姿は消えていた。ホッとして振り返ると部屋の真ん中に立っている・・・・
2017.01.30
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加藤一「羊蹄山」秋満さんの友人に 森という小太りの男性がいた。彼は運動が苦手なうえ、食べることとゲームが好きというインドア派。そんな森が突然こんなことを言い出した。『僕、羊蹄山へ行きたい。登りたい』今は初冬で雪の心配もあるのでと忠告するが、どうしても登りたいと言う。飲みながら理由を聞くと・・・・昨年、亡くなった祖母が毎夜、彼の元を訪れるという。その祖母が『羊蹄山へ行け』と森へ命令してくるのだ。そして、羊蹄山へ行ったら登山し、ある場所の湧水を汲んで、それを墓前に供える。そう指示してくるのだと森は言う。『羊蹄山へ行かないと、僕死ぬんだ』取ってきた湧水を供えなければ死ぬぞ、と祖母は脅しつけると続けた。それから二週間後、森は失踪した。会社を無断欠勤して消息を絶った。その後、森の両親が会社を訪ねて来て、手掛かりを訊ねる。秋満さんは、あの『羊蹄山』のことを両親へ伝えた。あれから十一年、森が見つかったという話は未だ聞かない。
2017.01.29
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高田公太「海撮り」 高田公太夏場、総勢七~八人で海辺のキャンプをした。夜、缶ビールを皆で飲んで騒いだ。ある友人が使い捨てカメラで、キャンプの様子を写真に撮りまくっていた。キャンプから数日経過すると写真が出来上がったきた。『こいつ誰だと思う?』言われるまま写真を確認すると、半数以上に見知らぬ男が写っていた。男の写り方には、幾つかのルールがあった。まずは、海パン姿で砂の上に仰向けで寝そべっていること。顔は必ずカメラに向いている。そして、誰かが座るビールケースがある光景にしか写っていないということ。男の風体は中肉中背、色黒の二十代後半といったところだった。『ええと。いなかったよな、こんな奴』『ううん、だよね。でも、思いっきり写っているな・・・・』写真とフィルムは、撮影者の手で燃やされたとのこと。
2017.01.28
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久田樹生「彼の地で」牧原さんは、仲間たちとボランティアに参加した。東日本大震災の後だ。彼等に海沿いの家を片付けて欲しいと依頼があった。まずは、中の仏壇を外に出してほしいとのこと。傷を付けないよう、ゆっくり丁寧に運ぼうと仏壇に手を掛けて、力を入れようとした時その先に小学校くらいの女の子がいた。『え?』 と思った一瞬の間に仏壇の陰に姿を消す・・・・この場所には大人しかいないはず。仏壇から手を離して、女の子の居た場所を確かめた。隙間がなく、誰も入ることのできない場所だった。その家の住人で亡くなった方に小学生の女の子が居たと後から聞いた。今も女の子の遺体は見つかっていない。
2017.01.27
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「死神の合図」主婦の吉田さんの話。『オカルトに興味がないタイプの父だと思っていたので、初めて聞いた時は驚きました』吉田さんのお父さんは、会社を定年退職後、悠々自適の生活をしていたがガンが見つかり余命宣告をされた。取り乱すこともなく、自分の寿命と受け入れ、自宅療養をしていた。しかし、痛みが激しくなるとモルヒネの投与のために入院した。当時、吉田さんは北陸に住んでいたので、東京に見舞いに来られるのは月に一度程度だった。その日も、夫に子供を預けて見舞いに来ていた。つきっきりで看病する母に息抜きをするように言い、吉田さんは病室で洗濯物を畳んでいた。そんな時、お父さんが昼寝から目覚めて吉田さんを見つめた。『お前にだけ話すんだ。誰にも言うんじゃないぞ』そう言うと死神の話を始めた。窓の外に死神がいるが、まだ顔が見えない。見えた時は最後の死ぬ時なのだろう・・・。それから何度かお見舞いに行った時のこと、お父さんが吉田さんを枕元に呼んだ。『死神が・・・・お前に合図してくれるそうだ・・・・』ある夜、子供を寝かしつけた後、旦那さんの帰りを待っているとモーターの回る音が聞こえて来た。それは子供のミニカーのパーキングタワーで、ミニカーが上へ上へと上って行く・・・・『すぐに、これが合図だと思ったんです』行く準備が完了すると旦那さんが帰宅、そのまま車で東京へ向うと危篤の連絡が来た。合図のお陰で、お父さんの最後に間に合ったそうだ。
2017.01.26
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神沼三平太「不惑蒸散」磯田さんの祖父は、庭に生えている樹を伐ってはいけないと常々繰り返し言っていた。祖父曰く この家を建てるときに悪いものを樹に封じている。下手なことをすると祟られるぞ。育ちすぎた枝葉の手入れを磯田さんの父親が申し入れるが、祖父の態度は一貫して頑なだった。そんな冬のある日、祖父がくも膜下出血で亡くなった。『親父も亡くなったことだし、庭を整理しよう』業者に依頼すると、ここまで広かったのかと思うような何もない庭になった。その年の夏、父親の肩に植物の葉が付いているのに気がついた。その葉は、どうも自分にしか見えていないようだ。『どうもやたら喉が渇くんだ』父親がやたら水を飲むようになった・・・・一日二リットル水を飲むと良いと言うが、そんな量を遥かに超える。そして、ある日、蒸し暑くなった自室の中で死んでいた。遺体は警察へ回されることに・・・・父親の身体は水分が異常に不足していた。死因は、脱水症状による急性循環不全。
2017.01.25
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黒史郎「できもの」『これ見てよ、最悪なんだけど・・・』呉君がアルバイトから帰ると、同棲中の彼女が顔を近づけてきた。聞けば、目頭の横に土留色の粒が出来ていると言う。『ねえ、こんなの前からあった? けっこう前からあった?』そう何度も聞かれるが、正直にわからないと答える。下手にいじると良くないからと、皮膚科を受診することを勧める・・・・そんな夢を見て、目が覚めた。夢の内容は現実とは程遠い、彼女もいないし、同棲何て、ほんとの夢。しかし、彼の眠る布団の後ろには、もう一人の存在を感じる。触れ合うほどの近さに顔があるようだが、吐息は聞こえない。『皮膚科行った?』 思わず口に出して聞いてみた。部屋の中の蛍光灯が勝手に点灯し、視野が一気に広がった。おののきながら、後ろを覗いてみたが夢の彼女はいなかった。その代わり、テレビに女の白い顔が映り込んできた。『夢の彼女の顔ではない』怖くなった彼は、携帯電話と財布を持って部屋を飛び出た。部屋を出る間際に何か聞こえたが、何を言っているのか確かめる気にはならなかった。
2017.01.25
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「アメリカの安宿」Yさんは、大学の友人Oさんとニューヨーク市のブルックリン近郊を旅していた。旅慣れたYさんは、ガイド料として食費、宿泊の一部をOさんに出してもらっていた。旅行三日目、Oは一人で行動したいと言い出した。Oさんの負担をあてにしていたYさんは困り果てた末、一つの策を講じることにした。Yさんの泊まった寝室の天井には 『HELP ME』 (助けて)といういたずら書きと思われるものがあった。怖がりのOさんは、幽霊のたぐいが大の苦手。深夜、Oさんが寝た頃を見計らってOさんの部屋に侵入。Oさんの耳元で 『HELP ME』を何度か囁いた・・・・翌朝、Oさんが部屋に押し掛けて来るなり『この宿はヤバイ。宿を変えよう』 と言い出した。Yさんは、『うまく行った』と思いながら、最後のだめ押しをしようと自室の天井のいたずら書きを探した。そこには 『KILL YOU』(おまえを殺す)と書いてあった。他を探しても、文字が書かれた箇所は、そこしかなかった・・・・『ああ、やばいなこの宿。宿をかえよう』そう言う自分の声が、やけに低く感じたという。
2017.01.17
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久田樹生「死因」飼っていた馬に蹴られて死ぬ。荷馬車に轢かれて死ぬ。農耕馬を洗いに川へ入って、急に倒れてそのまま死ぬ。水野さんが教えてくれた『水野家親類縁者の男性たちの死因』の一部である。大正から昭和にかけての出来事だ。最近も一人、競馬で負けが込んでの借金苦による自死があった。本当かどうかわからないが、水野家の男は馬に祟られている、らしい。確かなのは 『馬絡みで命を落とす』男が多いということだ。馬を運んでいる車に轢かれる・・・・干支の午年の人に害を加えられえる・・・・想像すればするほど、世の中には馬に関するものが多く、どれも怪しく感じてしまう。今、一番気にしているのは干支であるらしい。すでに前回の午年が越えている。次の牛年が、とても怖い・・・・
2017.01.08
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「大文字ネオン」 橘百花日向さんはその日、飲み会の予定があった。待ち合わせは駅の改札口。一番乗りで仲間を待った。最初に、仏門に関わる職業の方が来た。『何か変な臭いがするね』妙な気配と共に、妙な臭いが日向さんから漂っていると言う。次に、霊能者の方が来た。『日向さん、あそこに行ったでしょ?』とある地名を口にした。そこへは二週間ほど前に足を運んでいる。どうしてわかったのかと問うと・・・・『頭の上に大文字のアルファベットで四文字、○○○○って・・・・ネオンみたいに光っているよ』派手に光るそれは、しばらくの間消えずに残った・・・・らしい・・・・
2017.01.07
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「交差点の想い出」 あきこさん(仮名・事務員)私が学生時代の話ですが、当時の私は色々なことが重なって、心身ともに不調な時期でした。どうしても出かけなくてはならない用事が出来て、駅への道を歩いていると・・・・交差点で変な女の人がいる・・・すごく長い髪の毛を振り乱して・・・服がボロボロで・・・・。このまま進んで行ったら、あの人に対面してしまうと思い、嫌だったのですが行くしかなくて。その女の人とすれ違うほど近づいた瞬間でした、耳元でボソッと・・・『おまえ、見えているんだろう?』それで『え?』と思って、すぐに振り向いたのですが誰もいませんでした。周りに隠れる場所もなかったのです。『うわぁ~怖い・・・』 と思いながら駅へ向かい用事を済ませ、また駅へと戻って来ました。そして、駅からの階段を降りていると、進行方向の交差点のところにさっきの女が見えたのです。『これはまずい。今度は何が起こるかわからない』 と、その日は友人に連絡を取って泊めてもらいました。今だから話せますが、しばらく怖くて誰にも言えなかった出来事です。
2017.01.07
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小田イ輔「お祓いしていますから」Hさんが母親の見舞いのために病院の玄関を入ったのは二十時ころ。面会時間ギリギリだったため、人はまばらだ。母親の部屋へ向かおうとエレベーターに乗り込んだところで、こちらに駆けて来る女性が見えた。あの人もエレベーターに乗るのだろうと『開』のボタンを押したまま、待った。急いでいる様子の割に音もなく乗り込む女性は、Hさんに黙礼をするでもなく奥へと進んだ。『何階ですか?』 とHさんが尋ねるも無言のままなので、Hさんと同じく三階へ行くものと理解した。”チン”と音がしてエレベーターのドアが開く。Hさんは『開』のボタンを押すと 『どうぞ』 と言って振り向いた。誰もいない・・・・さっき駆け込んで来たはずの、あの女性がどこにもいない。エレベーターから飛び出ると、足早にナースステーションへ向かった。途中、顔見知りの看護師を見つけて縋り付く。『いま、あの・・・エレベーターのなかで・・・・』取りみだしたHさんの様子に、看護師は動じるでもなく言った。『大丈夫ですよ、ちゃんとお祓いしていますから』『大丈夫って・・・・だって、いま・・・・』『大丈夫です、ご安心ください』もう、頷くしかなかった。つまり、お祓いしないと大丈夫じゃないものが”出る”・・・・
2017.01.05
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鈴堂雲雀「瓜二つ」内藤さんは、築十年のアパートで一人暮らしをしている。そこでの生活が三年を過ぎたころ、二十代前半と思われる女の霊が出るようになった。最初は霊ということで恐怖心があったものの、『美人である』ことが下心へと変わった。『お恥ずかしい話なんですが、胸を触ってみたい、と思いまして・・・・』手を伸ばし、触れた・・・・生身の女性と同じく、柔らかな感触が手に伝わる。その瞬間、無表情だった霊が嫌悪感を浮かべ、強烈なビンタを見舞って来た。その後も女の霊は現れ続けた。そんなある日、友人からの合コンの誘いで出かけてみると・・・霊の女と瓜二つの女性がテーブルに座っていた。女性の名は里美というらしい。あからさまに内藤さんを避ける。二次会へ移動した際、内藤さんは彼女に近づいた。『ねえ、さっきから無視しているようだけど、俺何かした?』『え?あ、ちょっと知っている人に似てたから・・・』5分ほどすると、里美は意を決したように話を始めた。『貴方の顔が私の部屋に出る霊と瓜二つなんです。胸を触ってくるんです・・・』合コン後、里美とは何度か会って飲んでいるが、話は互いの家に現れる霊の報告会。現実社内では何の進展もない二人であるが、『霊としての内藤さん』の行動は日に日にエスカレートしているようで、里美さんは嫌悪感を顔に表す。一方『霊としての里美』も、無表情だった顔に侮蔑の表情を宿すようになってしまった。何ともやりきれない内藤さんは、今現在、背を向けて寝ているとのこと。
2017.01.05
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つくね乱蔵「笑う女」夫婦の寝室に、女が突然現れた。『あなた、誰? どこから入ってきたの?』大きな声に起こされた古川さんが目覚めると、確かに女が部屋の角に立っている。女は、古川さんと妻が見ている前で消えた。これが始りであった。女は、時と場所を選ばずに現れ、消えた。妻が言うには恨みでも買っているのでは? とのことだが、情けない話、女性経験が少ない上に全ての女性に捨てられたのは古川さんの方だった。そして、繰り返す恐怖に疲れてしまった妻は実家に戻ってしまった。とうとう、古川さん夫妻は離婚に至った・・・独りきりの部屋で、郵送されてきた離婚届けに実印を押した瞬間、女が現れた。裂けそうなくらいに口を開け、涙を流しながら笑っている。それまで、溜まりに溜まっていた怒りが恐怖を打ち消して噴出した。『おまえ、いったい俺の何なんだよ』 古川さんは怒りのままに怒鳴った。『赤の他人よ』女は、そう言って消えた・・・・以後、現れていないという。
2017.01.05
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