全5件 (5件中 1-5件目)
1
![]()
「冬」 そのスキー場にはジャンプ台があり、スキーの大会も開催されている。 大会のない日、練習中のスキーヤー達が次々とジャンプしていく。 ザッと飛び、着地。 ザッと飛び、着地。 これが通常であるのだが・・・・ ある日、ザッと飛んで・・・・空中で消える・・・・ということが起こったそうだ。 ジャンプ台周りの来場客は騒然とし、しばらく誰もジャンプしようとしなかったという。
2019.01.27
コメント(0)
![]()
「定時巡回」 都内で交番勤務に就いているFさんは、最近あることに気づいた。 彼が毎晩、巡回で空けている間に、無人の交番を訊ねてくる老婆がいるらしいのだ。 と言うのも、彼が詰める交番では警官の不在時も出入口の施錠は行わず、その代わり室内を 監視カメラで録画している。 その映像を確認すると、毎晩決まった時刻に老婆が<ひょい>と、入り口から顔を覗かせる。 連日、この時間帯にしか来ないのも何かの事情があってのことかもしれない。 そう考えた彼は、ある晩、普段より早めに巡回を終わらせることにした。 そして、入り口を開けたまま、件の老婆が来るのを待った。 しかし、その晩に限って、いつまで経っても老婆は現れなかった。 念のため録画映像を確認してみると・・・・その晩も同じ時刻に老婆の姿があった。 だが、映像の中の自分は、老婆に全く気付いていない。 老婆が目の前で、Fさんの頭の上から爪先までを睨め回しているにもかかわらず・・・・。 それ以来、巡回の時刻を変えることはなかった。 老婆は今も監視カメラに映り続けている。
2019.01.26
コメント(0)
![]()
「箸」 現在大学生のR君から伺った話。 その日、家族との夕食を終えた彼は、自分の食器を台所へと運んでいた。 途中で箸が一本床に落ちた・・・・彼は食器を流しに入れると箸の落ちたあたりを探すが見つからない。 ソファーと床の間や、それらしき場所をライトを照らしながら這いつくばって探すがない。 すると、その様子を冷やかしながら晩酌をしていた父親が、立ち上がるなり居間を出て行った。 そして 『あったぞ』 と父親の声。 途端に、近くでテレビを見ていた母親が 『やっぱり』 と笑った。 何のことかわからないまま、父親の声のするほうへ行ってみると 『ほれ、あそこ』 と風呂場の照明を指差している。 風呂場の電球を覆うカバーの中に、ついさっき居間で床に落としたはずの箸が入っていた。 父と母はなんだか嬉しそうに 『懐かしい!』 と言い合っている。 話を聞いてみると、R君が小さい頃、何かを無くすたびに風呂場の照明から出てくるということが 頻発したらしい。 これまで、彼のおしゃぶりから始まり、様々な小物が見つかっているとのこと。 十年以上起きていなかったことだが、もしやと思った父親が覗いたところ案の定。 『子供のころを思い出す』 と両親はとても嬉しそうにR君の頭を撫でた。 それは、彼が進学のために上京する前日のことであったという。
2019.01.26
コメント(0)
![]()
「釘抜きさん」 正式名称『石像寺』。だが誰もが『釘抜きさん』と呼ぶ。 狭い境内は地元の京都人たちでいつもいっぱいだ。 縁台に座って、お寺が振舞ってくださる渋茶を啜りながら洛中耳袋を堪能したものだ。 あるバーサマの悩みは隣人の騒音であった。夜な夜なガラゴロと石臼を挽くような、すり鉢の ような音が響く。眠れないほどではないが、一晩中続くのでとにかくイライラする。 注意をしようと試みたが、いつノックをしても部屋にいたためしがない。 『そやし大家さんに相談してんわ。そしたら、どうえ? うちの隣、空家やってん。もう、ずーっと』 そこで釘抜さんに願を掛けに来たのだという。 ここで耳にした霊がらみの話はそれだけではない。 聞かせてくれたのは老女というにはまだ若い、色香の残るご婦人で、どうやらすぐそこの 上七軒の女将さんであるらしかった。彼女を悩ませているのは『狐憑き』。 なんと舞妓さんの一人がそうなのだという。 『可愛らして座持ちもようて、ほんまにええ子ですわ。それが春前くらいからおかしゅうなって・・・ 興奮したら、泡吹いて倒れはるまで手ェつけられしまへん。 こないだなんか踊りの最中に おいど絡げて(お尻捲って)オシッコしてしまはってねぇ・・・・』 隣家のポルターガイストだの狐憑きだの、釘抜きさんもご苦労なことである。 この小さな寺院は、まるでそんな厄介事の標本箱みたいである。
2019.01.14
コメント(0)
![]()
「シロ」N子さんが高校生の頃から飼っていた猫の話。ある日、床下に入り込み、出られなくなっていた猫がシロ。そのままN子さん宅で飼うことにした。やがてN子さんは結婚して家を出たが、実家に帰って来ると、シロはN子さんの膝の上に乗ってきて『忘れてないよ』 とでも言うようにゴロゴロ甘えたという。N子さんが出産のために里帰りした際も、シロは優しく見守ってくれた。無事に生まれてきた赤ちゃんが泣くたびに、シロは心配そうに赤ちゃんの元へ駆け寄ってきた。事件は、自宅へ帰ろうとしていた日に起きた。N子さんが、赤ちゃんが寝ている間に荷物の整理をしていると、シロがものすごい勢いでやってきてニャーニャーと鳴き、赤ちゃんのいる方向を見つめていた。すぐにN子さんが赤ちゃんを見に行くと、顔面蒼白で、激しく嘔吐していたのだ。救急車が呼ばれ、搬送されている途中、なんと呼吸が止まってしまった。『赤ちゃんが死んでしまう! 神様、どうか助けて!』 N子さんは必死に祈った。救急隊員の懸命な蘇生で、病院へ到着するときには呼吸を取り戻し、一命を取り留めた。しかし赤ちゃんが病院へ運ばれている間に、もう一つの事件が起きていた。これまで、絶対に家から出ることのなかったシロが、玄関から飛び出して行ったのである。そして場所を知っているかのように、一直線に近くを流れる川に身を投げたのだ。一部始終を見ていたN子さんの弟によると、今にして思えば、シロが命を投げ出す代わりに赤ちゃんの命を助けたかのように見えたのだという。N子さんも、シロが赤ちゃんを助けてくれたと思っているそうだ。
2019.01.12
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1

![]()
