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帝にはご意向がありますので、左大臣にご注意をなさったのです。左大臣は、
むすびつる 心も深きもとゆひに 濃きむらさきの 色しあせずば
(元結いとともに心もしっかり結びつけてございます。
男君の心が、色あせなければ嬉しく存じます)
と奏上し、長橋の階段からお庭に下りて、拝舞なさいます。
左大臣は左寮の御馬と蔵人所の鷹を頂戴しました。
御階(みはし)のもとには親王たちや上達部が並び、
それぞれに応じた碌の品々を頂戴します。
当日の御前に差し上げるお料理やお菓子などは、右大弁が承ってお仕えしました。
握飯、ご祝儀の物を入れた唐櫃などが所狭いばかりに並べられており、
東宮の御元服の際より数も勝り、むしろ厳粛なくらいだったのです。