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その日の夕方、不機嫌そうな顔つきをした小柄な男がやってきました。
私はラボから、
彼が プロテスタント
系 キリスト教会
の 牧師
であることを聞かされていました。
牧師は憤然として「フィルムを判別できないのなら、預かる資格はない」
と、私を断罪しました。
色黒で眉間に深い縦じわのある、痩せて神経質そうな男は、
「あれはシャッターチャンスを捉えた、大事な風景写真だった。
それをあなた方が、駄目にしたのだ」と、責めたてました。
彼の主張は誰が聞いても正当な言い分ですから、
気のすむまで文句を言われるより仕方がない、と覚悟していたものの、
執拗に正論を振り回し、酔ったようにエスカレートしていく「義憤」に、
私はしだいに嫌悪感を抱くようになりました。
そしてこのクレームは彼の謀略なのではないか、とさえ思ったものです。