私訳・源氏物語

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October 14, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

[源氏物語] ブログ村キーワード

大宮がご対面なすってお問い詰めになりますので、源氏の大臣は、

「まだ幼いうちから強いて大人扱いすることもございませんが、
私に思うところがございまして、ここ二・三年は学問の道に専心させようと存じます。

学問を積んだならば、朝廷にお仕えする時にきっと一人前の人物にもなりましょう。

私自身は幼少より内裏で成長いたしましたので、世の中の有様を知ることなく、
夜昼父・桐壺院の御前に伺候いたしまして、わずかに漢籍なども学びましたが、
畏れ多くも院の御手よりご伝授いただいた学問の道でも、広い教養を身につけなければ、
漢学を学ぶにしても、琴や笛の調べでも力が不十分で至らぬことが多うございました。

つまらぬ親に子が勝るためしは世に稀であると申します。

まして子々孫々と伝わる先々を思いますと、
ひどく気掛かりに存じまして決心したのでございます。

 名門の子弟として生まれた者は思い通りに昇進いたしますので、
心驕りするのが世のならいとなり、学問に身を苦しめる必要などないと思われましょう。

遊興ばかりを好みながら思い通りの官職・位階に就いたなら、時勢に従う世間の人が、
内心では鼻であしらいながらも、機嫌を取りつつ追従するうちは
何とか一人前に思われて重々しいようではありましょうが、
時が移り頼りにしていた親・兄弟などに先立たれて家勢が衰退いたしますと、
人に軽んじられ侮られて、拠り所を失うものでございます。

やはり学問を拠り所としてこそ、
世に必要とされる能力が身に着くものでございましょう。

当面は心もとないようにお思いになるでしょうが、
将来は国の重鎮となるべき心得を学ぶならば、
私亡き後も心配ないと存じまして学問をさせるのでございます。

今は頼りない存在ではございますが、こうして大切に教育いたしましたならば、
身分の劣る貧乏学生だとして嘲笑する人は、よもやあるまいと存じます」






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最終更新日  October 14, 2012 02:44:20 PM
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