私訳・源氏物語

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October 17, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

若い君達は、借り衣装でしゃちこばった博士たちの滑稽さに堪え切れず、
笑いだしてしまいました。

実は、失笑などしないように、それなりの年令の落ち着いた者ばかりを選び出して
酌などもおさせになったのですが、いつもとは勝手が違う儒家風の酒宴です。

右大将や民部卿などは危なっかしい手付きで杯をお取りになりますので、
博士たちがびっくりするほど厳しく指摘してこき下ろします。

「相伴役の方々は、はなはだ無作法でいらっしゃる」

「私のように著名な儒者を知らずして朝廷にお仕え申すとは、はなはだ愚かである」

などと言いますので、相伴役の人々はみな我慢できずに笑いました。

するとまたそれを指摘して、

「騒々しい」

「静かになされい。はなはだ無作法でござる」

「座をお立ち退きいただこう」

など、脅したように言いますのもたいそう可笑しいのです。

見馴れない人々は『珍しくて面白い』と思い、
儒学の道から出世なさった上達部などはしたり顔にほほ笑みを浮かべて、

「こうした学問の道をお好みになる源氏の大臣のご意向はすばらしい」

と、限りなくお褒め申し上げるのでした。

博士たちは、少しでも話すとそれを制します。無作法だと言っては咎めます。

夜になると口やかましく騒ぎ立てる博士たちの顔は、明るい灯火の光に反って浮き立ち、
滑稽にも、みすぼらしくも、恥ずかしげにもさまざまに見え、
ほんに並の人相とは違っているのでした。源氏の大臣は、

「私はひどく不真面目で行儀が悪いから、きっと叱られてしまうだろうね」

と仰せになって、御簾の中に隠れてお式をご覧になりました。

座席数が限られていますので、
席に着きかねて帰って行く大学の学生(がくしょう)たちがいることをお聞きになると、
釣殿のあたりにお召し留めになって引出物をおやりになるのでした。






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最終更新日  October 17, 2012 02:03:48 PM
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