私訳・源氏物語

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December 8, 2012
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カテゴリ: 源氏物語

年が明けてからは去年にも増して御賀の用意や精進落とし、

その後行われる饗宴の折の舞い人や楽人の選定などで多忙を極めていらっしゃいます。

対の上は、経巻や仏像の飾り付け、
法事の日の衣装や僧への禄などをお急がせになります。

東の院の花散里の君にも分担して準備なさる事がありました。

紫の女君と花散里の君は、この祝賀の準備を通して
たいそう優雅に御文をお交わしになる仲でいらっしゃいます。

この御賀は世の中の評判にもなり、お支度で大騒ぎですので、
式部卿の宮もこれを聞し召して、

『源氏の大殿というお人は、これまで世間でも情の深いことで知られてはいるが、
私に対しては憎らしいほど薄情で折に触れて冷たい仕打をし、
こちらの宮人にも御心遣いがないので、私にとっては憂わしいことばかりだったが、
それはきっと根に持たれるような恨めしい事があったからであろう』

と、おいたわしくも辛くもお思いになるのです。

源氏の大殿と関係をお持ちになる大勢の女君たちの中でも、
式部卿の宮の御娘・紫の女君へのご寵愛が格別深く、
たいそう奥ゆかしくすばらしい方として大事にお世話されていらっしゃる御宿縁を、
たとえ父宮までそのお蔭が及ばないとしても、名誉な事とお思いで、

『そのうえこうも世間に評判をとどろかして御賀をご準備くださるのは、
何とも思いがけぬ老後の光栄であることよ』と喜んでいらっしゃるのですが、
宮の北の方はちっとも気が晴れず、反って不愉快に思っていらっしゃるのでした。

それもそのはず、御娘が女御として入内なさる時に、
源氏の大殿からは何の御心遣いもありませんでしたので、
ますます恨めしくお思いなのでございましょう。






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最終更新日  August 20, 2017 04:01:08 PM
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