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こんにちは。いつもブログにご訪問頂いてありがとうございます。遅くなりましたが、ブログを引越ししましたのでお知らせします。少しずつですが詩を書き続けて、きがつくと5年が経っていることに自分でも驚いています詩は私の心のよりどころです。四季のめぐりに助けられ、いろいろなことを感じ、考え、詩にしてきました。これからも詩と一緒に生きていきたいです。新しいブログのURLはhttp://blog.goo.ne.jp/poemakiko です。タイトルは同じ「言葉を風にのせて・・・」です。よろしければ、また遊びに来てください。お待ちしています。 akiko
2012年11月25日
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ひんやりとした風が吹いてきた 驚いた心は急に窓を大きく開けた 子供の頃の風景が見えた 田んぼの畦道に彼岸花が咲いて 沢山のとんぼが遊んでいた お日様の匂い 稲わらの匂い 遠足の時の まだ酸っぱいみかんの香りもした 遠くで運動会の音楽と歓声も聞こえてきた 不意に届けられた季節の便りに 心はにっこり微笑んだ それを見届けて風はさりげなく去っていった きっとまた何処かで 誰かの秋の窓を開けるのだろう
2012年09月29日
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夕暮れ時 家に帰る子供達が 元気な声で呼び交わしながら走っていきます それを見ていた一羽のからすが 大きな声で かーあ かぁかぁ…と鳴きました 一日の終わり ねぐらへ帰る前 楽しそうな子供達の輪に ちょっと入ってみたくなったのでしょう でも 子供達は駆けっこするのに夢中で からすが話しかけていることに気づきません 弾むような声は そのまま遠ざかって やがて 聞こえなくなりました からすの姿は見えませんが 少しずつ暮れていく空のなかで しばらく沈黙が続きました やがて 何かを思い直したように かぁーあ…と いつものからすの声に戻って鳴きました 遠くで かぁーあ…と返事する仲間の声がして からす達も ねぐらへ帰っていきました 部屋にひとり座って からすと一緒に 子供達の声を聞いていた私も 一日の終わりに気づいて窓のカーテンを引きました 空は茜色から藍色にゆっくりと変わっていきました
2012年06月07日
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雨の日 傘を広げるうなだれている灰色の空から次々と降ってくる 冷たい粒々に向かって大きな花模様の傘を広げるずっと昔 郷里から持ち帰った傘派手な花柄が何だか恥ずかしくてそれから十数年、全く使わないまま傘立ての奥に仕舞い込んでいた雨降り続きのこの頃、なぜかあの傘のことを思い出して急に使ってみたくなった今までどんなに雨が降っても頭の端にも思い浮かばなかったというのに柄に付いているボタン押すとポン!・・・と音をたてて広がるブルー、水色、白の花畑開けっぴろげな明るさで 頭上を彩っている素敵な傘じゃない・・・!思いがけない言葉がポン!・・・と音をたてて生まれる大きな花模様なんて・・・と突っ張っていた思いが 傘の上で 雨と一緒に軽快に弾かれていくきっとこの時のために傘を持ち帰ったのだ空は急に高くなったように感じ周りの景色には瑞々しい色が戻って来た私は深々と息をするいつも花柄の傘を広げようポン!と勢いよく晴れやかな花畑を心に咲かせよう難しい顔して背伸びする私も寂しさに沈む私も色とりどりの花で弾いてしまおう冷たい水溜まりを軽々と飛び越えながら
2012年04月27日
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ふと明るい光を感じて眼を上げたその先に金色に輝く銀杏の樹が一本、立っていた秋の終わり 冷たい雨の日誰もがうつむき、足早に通り過ぎる 歩道の脇で誰に求められるのでもなくあたたかい灯で周りを照らしているきっと銀杏の樹は自分のしていることを知らない秋になったから葉が色づき雨や風に打たれるままにひらひらと舞い落ちるだけなのだろう自然の理に従っているだけなのだろうそのことが こんなにも私の気持ちを和ませている銀杏の樹は今日も明日も ずっとそこに立ちきっと 自分のしていることを知らないだろう
2011年12月18日
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リリリ・・・ リリリ・・・ 庭の草むらで虫が鳴いている 夕方 薄暗くなった部屋の明かりをつける頃 決まったように聞こえてくる リリリ・・・ リリリ・・・ きっと小さな虫なのに 澄んだ声は部屋いっぱいに広がって 耳はびりびりと振動する 本を読んだり食事をしたりして やがて寝る時間になって リリリ・・・ リリリ・・・ まだ鳴いているな と思いながら眠りにつく ある日の夕方 ふと声が途絶えた あれっ どうしたんだろう? 不意に広がる静けさに戸惑っていると しばらくしてリリリ・・・と始まり 何となくほっとする 本を読んだり食事をしたりして 今日も鳴いているな と思いながら眠りにつく 次の日の夕方 また声がしなくなった 最近よく途切れるな と気にしていると 再びリリリ・・・と聞こえてくる ああ良かった! と思う間もなくまた途切れ リリリリリ・・・ 何かを思い出すように少し続いて それから ふっ と消えた それきり草むらは静かになった 遠くの畑でたくさんの虫が盛んに鳴いている 本を読んだり食事をしたりして いつ鳴くのかな と思いながら眠りにつく あの日以来、虫の声を聞かない 草むらにはおしろい花が色あざやかに咲いて 夕方の空気は日ごとに冷たくなっていく
2011年11月20日
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その日、お兄さんは怒っていた 見た目はいつもと変わらず 黙ってリンゴをぱっぱと手早く並べているけど 後ろを向いた肩の辺りがとんがって 話しかけんな! と 背中にシャッターが下りている 仕事で何かあったのか? 私はリンゴを買いたいけれど近寄れない 少し離れて見ていると お客の気配に気づいたお兄さんは 空になった段ボールを持って ささっとお店の裏手に隠れてしまった 後はリンゴが何事も無かったように整列している 私はこわごわ一個に手を伸ばす 冷え切った皮がビリッと指先に痛い でもリンゴの丸みは掌にやさしくて やあ、いらっしゃい!と迎えてくれる 私は買い物をして店を出る 夕暮れの商店街には提灯が下がっている そうか、もう秋祭りか・・・ 振り返ってみる八百屋さん お兄さんは引っ込んだきり 野菜と果物が律儀に店番をしている 肌寒い風のなか 遠くお囃子を聞きながら リンゴの入ったレジ袋を揺らして帰る あったかい赤色が袋の中で踊っている
2011年11月02日
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車窓から見える空が広くなる頃電車は私の住み慣れた町へ近づいてくる高架から見下ろす 高円寺 阿佐ヶ谷 荻窪 ・・・家々の屋根の連なりから大きな木が一本 飛び出すように伸びてこんもり茂る葉が 傾く日差しに照らされている遠くには鉄塔が等間隔に並んでいつもと同じ、帰り道の風景だ暮れてゆく武蔵野の風景だそういえば学生の頃からずっと、この沿線に住んでいるいわゆる青春とはほど遠くて苦しいことの方が多かったのに親しくなかったクラスメートの顔や退屈だった講義空しい気持ちを抱えて俳諧していた本屋や音楽喫茶店 商店街の賑わいがひとつに溶けあって急に香ばしくよみがえってくる三鷹が終点の電車は 乗客もまばらになって車内は急に広くなってくる空が茜色に染まっている遠くには鉄塔が等間隔に並んで ああ 秋だな ・・・新しい発見みたいに ふとそう思ういつもと同じ、帰り道の風景だ私の好きな武蔵野の風景だ
2011年10月18日
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いつまで眺めていても見飽きない川の流れ大きな木の木陰越しにきらめく水面を見つめる川のせせらぎ鳥の声その他には何も聞こえない満ち足りた時懐かしくそれでいて未来が開かれていくような心豊かにふくらむ時この時こそが私私が私でいられるひととき詩を書く手元で木漏れ日が揺れる北上川のほとり
2011年06月05日
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北上川のほとりにて瑞々しい緑流れゆく北上川川の水面にきらめく五月の陽光遠くにのぞむあの山は岩手山白い雲をいだいてこの町を見守る澄んだ大気さえずる小鳥の声そよぐ風どこかで見た風景懐かしい川辺の風景静かに川と共に流れゆく時いつまでもここで 共に・・・
2011年06月05日
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毎日行っている駅ビルの八百屋さん お決まりのトマト、キュウリ、キャベツに人参 そろそろ夏だからアスパラ、オクラ さっぱり薬味のミョウガに大葉 フルーツの補充も忘れずに キウイにイチゴ、アメリカンチェリーはまだ高いのでお見送りだ 何かいつも買うものが決まっている私 ぶっとい牛蒡とか筍のかたまりとか カゴに投げ入れている奥さん達をみると気後れする はずかしながら筍の調理の仕方は知らないし なんだか面倒くさいから でっかい筍を私は買ったことがない 私のカゴの中を見ると、料理があまり得意でないことがバレる まっ、いいか 料理上手しか八百屋さんへ来ちゃいけないってことはないだろうし でも時々 必要にかられて買い物をすることが嫌になってしまう だから時には買うことをカゴごと全部忘れてしまって 文房具屋や本屋さんへ行くのと同じ感覚で 八百屋さんへフラーッと入っていく 公園を散歩するのと同じように 何とはなしに売り場をブラブラ徘徊する そういう時 八百屋さんはにわかにカラフルに光ってくる 普段はあまり見えない野菜やフルーツ、加工品が見えてくる ユニークなイエローの缶に入ったもろみ味噌 小さなピンクのバラの花がきっちり並んだ綺麗なパック いつもぱっぱと乱雑に手に取るキュウリの棚も 上の棚には めずらしいキュウリが鎮座している 「加賀きゅうり ミソをつけても油でいためでも美味しいヨ!」と 文末をカタカナで強調 手書きのマーカーで走り書きしているところに 八百屋さんの顔が可愛くのぞいている 買い物カゴは持たなくても 鮮やかなグリーンにピンク 赤や黄色の光をいっぱい戴いて いつしか体の中はぴかぴか光っている ありがとう八百屋さん いつも大好き八百屋さん 料理はあまり得意ではないけど 水のように空気のように太陽の光のように 私にとっては無くてはならない存在なのです
2011年06月02日
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新緑の萌える大地生まれたばかりの生命たちその瑞々しさと香しさに心も体も洗い清められて私もまた新しい生命を頂く若草にまじって次々と咲く花たち山桜も木蓮も 家々の庭先に咲くチューリップもバラも・・・この北の国では 花も木も草も一斉に芽吹き、生命が花開くそのあまりに率直な喜びに圧倒されつつも久しぶりに味わう心の底からの解放感は人も本来、この自然と同じに芽吹き伸び、喜び生きる力強くも率直な存在と教えてくれる
2011年05月31日
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澄んだ風を感じて目が覚めましたいつになく静かな朝外では今日も真夏の日差しが照りつけているのに私が感じるのは やさしく清々しい・・・そう 秋の始まりの空気に包まれ心安らかに横たわっているのでした この頬に触れる風 何を運んでくるの この微かな香り 何が始まろうとしているのぴん、と張りつめた 美しい白い布のような 私の心そうですもうすぐ染まるのです透明な秋の空気がやがて 甘く芳しい 金木犀の香りに染まってゆくように私の胸の裡もやがて夢の色に染まる時が訪れるのです あなたを待っています 間もなくあなたはやって来ます 遥かな未来の風に乗って 懐かしい古の香りと共に・・・ 間もなく会えます真っ白な布の広がりに芳しい香りが流れ古と未来は溶け合い 一つになり夢のような調べを奏ではじめるのです金木犀の香りの訪れを待ち望む秋の朝はりつめた美しい心で 少女は恋を予感するのです
2010年07月25日
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久し振りに鶴を折った 白い紙を綺麗な正方形に整えて 周囲を片づけ 手を洗い 心あらためて鶴を折った 線と線をぴたりと合わせる 角と角をぴしりと揃える 折り返され 折り込まれ 思いがけなく生まれては 瞬く間に消えていく 無音のなかに展開するシンメトリー 時間が止まる 止まった時間の向こうに 白く光るガラス戸が見える ガラス戸を叩くかすかな雨の音が聞こえる 雨降りの日の 故郷の家の居間が見える 母がいて 妹がいて私がいる 明るい窓辺で母が鶴を折っている 赤い正方形の紙で鶴を折っている 粉薬を入れる 赤く薄い紙の表面は うっすら薬の粉が残っていて 指で触るとかすかにざらざらして白っぽい 母の掌にのっている小さな赤い折鶴 ほのかな温かさと悲しみが 遠い音楽のように伝わってくる 外では雨が降っている 窓越しに雨音を聞きながら わたしは独り 部屋で鶴を折っている 線と線がぴたりと合わさる 角と角がぴしりと揃う 忘れられた時が戻ってくる 赤い鶴と白い鶴は 溶け合い 旋回し マーブル模様を描き始める 一つの秘密が静かに結晶していく 全ての線と 全ての角が ぴたりと合わさり 出会う瞬間 謎は解け 真は明かされ 大きく開かれた空間から 奇跡のように誕生する一つの美 鶴 翼を広げ 無限の彼方へ飛翔していく 母が手を振り飛び去っていく 居間のガラス戸が太陽のように光っている 雨は星屑になって降り続けている 赤い鶴 白い鶴 次から次へと羽ばたいていく 宇宙のマーブル模様を描きながら
2010年07月21日
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喫茶店に座っていました 目の前の大きな花瓶に 花がいっぱい活けてありました 花と向かい合って座っていました 好みの色彩じゃないし 気取っている感じもして とっつきにくいと思いながら そのまま花と向かい合って座っていました 薄黄色のグラジオラスのような花のなかに 丸いサボテンの玉のような 薄紫がかっためずらしいお花が ぽん、ぽん、と混じっていました 茶色の籐で編んだ花瓶に ばさっ・・と大きく活けてありました ほんのりと あたたかい光につつまれて花はそこにありました ユーモラスな 可愛いらしい心が 控え目な感じで 微笑んでいました 花は 静かに胸の中に入ってきて 私は 花とことばの無い対話をしました きのう 出会った人がありました 話してみたいことがありました でも体は鍵がかかったように固くなって 何ひとつ 話せなかったのです 花と同じように対話したかったんだ・・と気づきました そのことが ずっと悲しかったんだ・・と どんどん涙がながれて 胸のしこりをといてくれました 喫茶店で 花と向かい合って座っていました 花は何も言わないけれど すべて分かってそこにありました 通り過ぎる人が それぞれ勝手なことを思っても やさしい心で いつも語りかけ続けている存在・・ 花・・ 私のなかにも 出会う人、ひとりひとりのなかにも いつも開いて 微笑みかけ続けているのですね・・・
2010年07月04日
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お兄さん、今日の袖は何色? 雨降りだから 茶色か、グレー? それとも気持ちを引き立てて あえて明るい臙脂色・・? お馴染み 八百屋のお兄さんは 制服の紺の半袖に 色違いの長袖を合わせた 重ね着スタイルで グリーン、白、渋茶、臙脂・・・ などなど取り合わせ 袖の色が毎日さりげなくチェンジする お兄さん、今日はどの組み合わせ? たまには水玉やボーダー柄にしないの? 制服だから それは無し・・? あくまで地味なカラーで配色よく クルクル変えている お天気の日は 白やグリーン むすっと不機嫌そうな日は 渋茶とかグレーが多いみたい いつも口数少なく手際よく スピーディな仕事ぶり もう何年、ここで働いているのかな・・? 繰り返す忙しい毎日を ささやかに彩りたい 可愛い心が 袖からちょこん、とのぞいて お兄さんの 今日の詩は何色?? 一日の終わり 買い物前のひととき 周りの景色に 心のなかに あったかい色が戻ってきて ぽっぽっ・・、と灯っていく
2010年06月26日
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小さな赤いバラが ベランダの外に 溢れるように咲いている 紫陽花も 円くてかわいい ピンクの花をたくさんつけた 何故か分からないけれど嬉しい 清々しい風が吹いて 木々の緑が大きく揺れる いつのまに こんなに濃く深く 生い茂ったのだろう! 水を、土を、光を 勢いよく吸い上げ 一気に伸びてゆく 何かが起こりそうな予感にときめく 六月の始まりの朝 目に映るものは全て 洗い立てのように光って見える まるで誰かが夜のあいだに 大掛かりな洗濯をしてくれたように… 昇ったばかりの太陽に 鳥たちは喜び、歌い 目覚めたばかりの人々に告げる おはようございます…! 新しい光が生まれました やわらかい花の蕾が開いたことを あなたも体の内に感じませんか?
2010年06月02日
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朝の通勤電車の窓越しに 木々の緑が風に揺れ 外濠の水面がさざ波立つのを見ているだけで、 瑞々しさが体いっぱいに広がります 昼休み、強い日差しの中 日傘に揺れる木漏れ日を感じながら 歩いていると 静かな喜びがわいてきます 生きていることが嬉しいです 心の中で「ありがとうございます」、と唱え 温かさと安らぎに満たされます 今年の五月は本当に美しいです・・
2010年05月28日
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はっとするような気配に ふと振り返ると空地に投げ出された植木鉢に真っ赤なベゴニアの花が咲いていましたおそらく持ち主の引っ越しの際にそこに捨てられていった花もはや 育てられているのでも飾られているのでもなく今となっては 誰のために咲いているのでしょう五月のさわやかな風に周りの草木と一緒になって吹かれ 気持ちよさそうに揺られていますきっと 何のためでもなく命あって、ここに生きているから共にあるから咲いているのでしょうただそれだけの やさしいことがとても難しく思えてしまう私に花は伝えてくれました あなたの裡にも咲き開いている 強く 美しく やさしい生命 どうか気づいてください・・・と生きることを喜び、謳っている忘れられた赤い花その無心の大らかな姿は 私にはあまりに眩しいのです◇ひとこと・・皆さま、本当にお久しぶりです。お元気ですか?ずっと詩が書けませんでした。でも新しく、自分の中から生まれてくるものをやはり言葉にあらわしたくてまた書き始めました。スピードは遅いかもしれませんが、書き続けていきます。ご無沙汰している皆さまのブログにも、また訪問させて頂きます。これからもよろしくお願いいたします。天野遙花
2010年05月24日
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覚えていますか 春 光あふれる家の庭に出て 萌える緑と 咲き誇る花に囲まれ 泉のように湧き上がる幸せを感じました 蘇りませんか 夏 プールの帰り道 焼けつくアスファルトを歩きながら 母の作ってくれた つめたく香ばしい麦茶を飲みました 思い出しませんか 秋 暑さのなかに混じるやさしい空気 ながれる風に感じたさみしさ 温かく私を包んでくれた日差しは 稲藁の香りがしました 聞こえませんか 冬 裸のこずえを流れる澄んだ口笛 不意に疼く望郷の思い どこから来るのか分からないまま 誰にも言わず胸に仕舞いました 私の四季を納めた大切なアルバムです あなたが手に取り開いてくれたので 思い出すことが出来ました もう二度と失うことはありません 私の あなたの 心の光景となって 尊い宝石のように輝きつづけるのです・・・
2009年09月03日
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久し振りに訪れた晴天の日 うれしくなって窓を開け放ったけれど おや?・・・何かが違う くっきりと青く高い空に 丸っこい雲が和やかに浮かんでいるのも 窓から差し込む日差しに 暖かさと淋しさが入り混じっているのも 体の中で弾けるリズムにしっくりこない しん、と静まり返った昼下がり 涼しい風が流れて頬に触れ 眼差しとも声ともつかない何かが いつくしむように教える 彼はもう行ってしまったよ・・・ 不意にに止まってしまう時間 遠くで蝉が無関心に大合唱している 8月のカレンダーの向こうで 一瞬きらり、と光ったのは お別れの目配せだったのだろうか・・・ やっと会えたと思ったのに 瞬く間にいなくなってしまった 大好きな友だち 夏 挿画:ワイエス「グランド・ホグ・デイ」
2009年08月24日
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「 心の時計 」 ずらりと並んだイチゴのパック まん丸でつややかなグレープフルーツ お馴染みのキウイにバナナ・・・ 八百屋さんの店先は 毎日 色とりどりの果物でいっぱい 仕事の帰りに足を止め 買い物が無くても しばらく眺めている 気がつけば 瑞々しいプラムやサクランボも 並びはじめて 私の好きな夏みかん 「宇和ゴールド」のお目見えも そろそろ間近・・・ にぎやかな色彩に囲まれて 春 夏 秋 冬・・・ ゆっくりと移ってゆく時のなかで 今日も おじさんは 元気いっぱい大きな声で イチゴやアスパラガスを売り お兄さんは柱の横にきちんと立って 柏手のように手を叩いている 明るいライトに照らされた 旬の野菜や果物には 誰もがすぐに気づくけれど 紺のシャツに黒いエプロン姿の 二人は 店にいることが当たり前 空気のように目に見えない そんなことにはお構いなく おじさんは夕方恒例の タイムサービスを開始して お兄さんが律儀にマジックで 元値に斜線を入れてから 「嬉しい値段」のラベルを パッパッと手早く貼っていく 四方八方から手が伸びて みるみる消えていく お目当て品の「だだ茶豆」 小柄な二人の姿は 群がるお客さんに埋もれ どこにいるのか分からなくなる… 変わってゆくものと 変わらないであるものと 二つをさりげなく指し示し 今日も無事に一日が終わるね、と かすかな音でこつこつ、と 心の扉をノックして 知らせてくれる 八百屋さん 忘れかけていた あたたかく満たされた気持ちが 息をふきかえす、ひととき
2009年06月28日
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「宇宙の家族」 岩場に砕ける荒波の彼方 繰り返し聞こえる海鳴りは 大地を揺るがす魂の声 未だ見ぬ遠き異国より 出会い待ち望む無数の魂 受けとめ 大洋に臨めば 胸は一つの窓になり 世界へ向けて大きく開かれる * 緑深き山間の地を切り開き 友と力を合わせ 築き上げていく平和の礎 千年、二千年先を見つめ 一つひとつ、石垣を積み上げていく 私達は 未来の祖先 小鳥たちの歌声に導かれ 天はるか彼方の世界と一つに今を生きる * 大いなる天と地に護られて 今日も迎える 平和な円居の夕べ 愛する家族と囲む笑顔の食卓 海風はやさしく 心地よく 互いを思い遣る心につつまれて いつしか藍に染まりゆく空 満天の星にいだかれて 私達は 永遠に輝く宇宙の家族になる
2009年06月28日
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「初夏に寄せて」 刻々と移りゆく季節を 秘密の風が渡ってゆく 川の水面に踊る陽ざし 土手にそよぐ黄色い花 いつも見慣れた風景が 不意に放つ 美しさ 驚きに打たれる瞬間 封印は解かれ 押し込めていたものが 涙となってほとばしる 隔てるものは もう何も無い 新しい言葉の泉から立ち上がり 祝福された広がりの中へ…
2009年06月07日
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頬をさす冷たい空気のなかを 仄かな やさしい香り流れ 長い灰色の沈黙に 終わりを告げるように 小鳥がさかんに歌っている それは 眼には見えない微かな輝き ふっと 浮かんで消える 哀しいひとの 透明な微笑み 母の懐かしさ感じる マドレーヌの 素朴な味わいに似て 淡い光のように そよぐ風のように さりげなく 人の胸を通り過ぎ そして何も残さず 消えていく
2009年01月29日
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「新 生」 元日の陽射しを浴びて 暖かな笑顔と歓声につつまれ ほかほかと湯気を立てながら 臼の中 一つにまとまっていく白いお餅 生まれたての赤ん坊のように ぬくぬくと命息づく それは今 共にある私たちそのもの 大きな懐にいだかれ 計り知れない力加えられ 絶えず動かされ ひっくり返され そうして私たちは 何かに成っていく・・・ 澄んだ空を流れる風は すでに春の香り 瞬間瞬間 新しく生まれよと 伝えてくる 喜びの円居のなか 共にいただく 新しき年のはじめの食べ物 からだの中心で聖なる光となって未来へ・・・
2009年01月03日
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明けましておめでとうございます。 昨年の大晦日に久しぶりの詩をアップすることが出来ました。 元日の東京は快晴で、まるで誰かがワックスがけ?でもしたかのように つるつるピカピカの清澄な空気の中、外出をしました。 電車の窓からは、雪を頂いた雄大な富士山が見え、思わず歓声をあげました。 新しい年を迎え、気持ちはこれから創っていく未来へ向けて大きくふくらみます。 詩作も、またゼロから新しくスタートします。 ふと生まれた気持ち、言葉は、今この瞬間そのものです。 生きている言葉は、新鮮なうちに料理をしなければ・・と感じます。 そのことを心に置いて今年は詩作に取り組んでまいります。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 2009元旦 天野遙花 ☆写真は、元日のカフェで頂いた美味しい珈琲とお餅です。。
2009年01月01日
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「春に寄せて」 冷たく強い風の吹きすさぶ日に 群青の空から降り注ぐ一条の光が 銀色に輝く矢となって 私の胸の中心を貫き 凍てついた心を砕きました 一人ぼっちの冬の日よ さようなら 遥か遠い昔の物語がよみがえり 深く涼しい瞳のひとに恋した少女のように 軽やかな衣をまとい 私は草原を駆ける 流れる白樺の並木を抜けて 雪溶けの川へ向かって・・・ 川の向こうに あのひとはいるかしら 世界が走ります 野がうごきます 木々は一斉に芽吹き 花は次々と咲き誇り 全ては今 鮮やかな色に生まれ変わります・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年12月31日
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「海辺にて」 岩の間から咲き出でる 鮮やかな黄色の花々に 北の大地の短い夏が揺れる 砂浜に座り 目を瞑るひととき そよぐ海風が頬に心地よい 繰り返し 繰り返し 打ち寄せる 波の音は 父の 母の そのまた父母の・・・ 私に呼びかける 遙かな声 深く 懐かしく この体に響き やがて 永遠の祈りの潮流となる 私がこの世から去った後も 子供達がこの海辺に来て 同じように 波の音に耳を傾けるだろう そして海は いつまでも 私達と共に在り この地を見守り続けるだろう・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年09月27日
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「遙かな空から・・・」 おもちゃのような町並みと なだらかに続く山々の間を 銀色に輝く道路や川が ゆるやかなカーブを描き どこまでも延びている 地図にそっくりな輪郭を見せる 海岸線には 白いレースのような 細かな波が打ち寄せている 飛行機の小さな窓から見つめる 住み慣れた 緑の大地 いつもその只中に在りながら 気づくことのない広い世界 幾つもの綿雲が 遙かな眼下を ふわり ふわり・・・と 流れゆき わたしの魂は 地上のとらわれから大きく解き放たれ 澄んだ青い空間とひとつに溶け合い 無限に広がってゆく 空の上には まだ空があり 薄い絹雲が ひと筋 ふた筋・・・ 天の詩となって たなびいているよろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年09月21日
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「 一瞬の夏 」 強い陽差しに輝く 庭の松葉ボタン 風にひるがえる 真っ白な洗濯物 青空に消えゆく 甲子園の澄んだ球音… 午後の静けさの中 刻々と時は流れ やがて 夏は 透明な蝶となって 彼方へ 飛び去ってゆく その淡く光を放つ 銀色の鱗紛に 今日という日の 忘れ得ぬ印象を留めつつ 誰に気づかれることもなく…よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年08月17日
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「カシワデ兄サン」 ~私の好きな八百屋さん その2~ 夕方の賑やかな八百屋さん いつもの大声を張り上げている おじさんの後ろで ぽーん ぽーん・・・ と どこか悠長な音がして お兄さんは今日も 店の入口で 柱の傍にきちんと立って 手を叩いています 脚を肩幅に広げて 交番のおまわりさんのようですが 店を守っている様子には あまり 見えませんし 手の響きは 何となく 柏手(かしわで)に似ていますが 野菜や果物を 奉納している気配は 感じられません 忙しく行き交う人々を 見るともなく見ながら 掛け声の合間に 何かと 話しかけてくる おじさんに 黙って相槌を打ちながら ただ そこにいて 手を叩いているひと・・・ それが お兄さんなのです 時折 痩せて骨ばった背中を見せて きびきびと 果物の棚を補充したり おじさんが売る アスパラガスの荷を 手早く解いたりしますが 気がつくと また 柱の傍にきちんと立っていて 何事も無かったように 手を叩いているのです おじさんのように 目立つ人ではなく お客さんに 親しく 話しかけることもありませんが 店の入口に お兄さんが立っていない日は そこだけ灯りが消えたように 淋しいのです さっぱりと短く刈った髪は かなり白くなっていて 本当は 「お兄さん」とは 呼べない人かもしれません それでも・・・ いつも決まって 柱の傍に立っている姿を 見つけると 思わず オ兄サン! アナタハ カワイイ人ダネッ・・・ そう言って 後ろから ワッと飛びついて 驚かせてみたくなるのですが そんな気持ちにも 素知らぬ顔を装って 日々 買い物をしている私なのですよろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年08月11日
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「新しい朝」 昨日の続きの 今日を始めることは もう止めにしよう 描き損ないの絵は 思いっきり潔く 破り捨ててしまおう 広い広い空から 降り注ぐ 太陽の光を 体いっぱいに浴びて 未だ何も描かれていない 大きくて 真っ白なキャンバスに 生まれて初めて見る 朝の風景を どんどん描いていこう さわやかな風が運ぶ 仄かな草の香りを 繊細なメロディに満ちた 小鳥たちの歌を おしろい花に灯る 小さなピンク色の夏を・・・ 新しい宝物を見つけた 子供のように 瞳を輝かせ 眩しい一日の只中へ 真っ直ぐに 駈け出していこうよろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年07月29日
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「Sorrow of the summer」 懐かしい夏の歌は もう聴きたくはない 僕には あまりに 痛すぎるから Sorrow of the summer… 怖いほど 静まり返った 青空の下 僕は 裸んぼの やんちゃ坊主のように いつも 自由奔放で ひとりぼっち やさしい季節の思い出が ゆっくりと 胸を 傷つけていく前に Sorrow of the summer… ジャンプして 駆け出し 逃げていくのさ ぽろぽろと 頬を伝う通り雨は お茶目な ウインクで封印して (さようなら…! みんな大好きだよ) 陽のカッと照りつける 真っ白な一本道を 全速力で走り貫け もう二度と 振り返ることはないのさ…よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年07月19日
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「七 夕」 頬を撫でて過ぎゆく 夕べの風が 細やかな笹を やさしくそよがせ 金や銀の飾り、 色とりどりの短冊に 幼い頃 父母と妹と過ごした 遠い夏が揺れる 手をのばしても 呼びかけても 帰り来ぬ日の思い出を 小さな星々にして 葉の間に散りばめれば 何処からか 澄んだメロディ流れ 懐かしき故郷の 仄かな香り漂う 町の喧噪を離れた お寺の境内 ささやかな 七夕飾りの下で 過ぎ去りし日と 巡り会い 語らうひとときは 安らぎに満ち いつまでも立ち去りがたい・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年07月11日
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「蘇 生」 梅雨の晴れ間の青空を 美しい絹雲が ひとつ、ふたつ・・・ 風の詩を描いて流れゆく 胸を開き 深く息をして 雲に心を合わせれば この身は白い鳥となり 大空高く舞い上がる 強くしなやかな翼で 悲しみのすべてを 振り落とし 天のはるか向こう 澄んだ湖のような処へ どこまでも真っ直ぐに 真っ直ぐに 羽ばたいてゆく 求め続けていたものは 今はすでに 遠く 過去の彼方に・・・ ただひたすらこの瞬間を 白い一筋の光となって 突き貫け いつか無限の宇宙のなかで 輝くひとつの星となるよろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年07月05日
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「私の好きな八百屋さん」 いつも元気な八百屋のおじさんは 駅ビルの商店が賑わう夕方、 決まったように 野菜売り場の入口に突っ立って 小柄な体いっぱいに 威勢の良い大声を張り上げるのです 二階の文具店にいても ビルの外に出ても どこにいても聞こえてくる声を 一日の終わりに耳にして 私は 胸の窓が開かれたような 晴れやかな気持ちになるのです 知り合いでもなく 言葉を交わしたこともないのですが おじさんの姿を見ると なぜか嬉しくなってきて こんにちは!・・・と、 小学生のような挨拶をしたくなるのです * * * ある日のこと 不意に掛け声を止めたおじさんは 腰をかがめると 野菜を並べた棚のいちばん下に 仕事のエプロンを くるくると巻いて放り込んで 替わりに自分のカバンを取り出すと 肩から素早く引っ掛けて 少し前かがみになって 足早に 駅の改札に通じるエスカレータへ 黙って歩いて行くのでした きっと エプロンと一緒に 八百屋さんも くるくる巻いて 野菜棚の下に置いてきたのでしょう・・・ 先ほどまで胸を張って アスパラガスやイチゴを売っていた人が 買い物客の波にまぎれて 灯が消えたように見えました これから家に帰って待っている 別な役目に向かう前の どこか淋しい空白の時間を ひょいひょいと通り抜けて エスカレータを駆け上がっていく 後ろ姿を見送りながら 私は ふと、 家の冷蔵庫の奥のほうで 必ず忘れたまま 駄目にしてしまう 野菜の切れ端のことを 思い出したのです ごめんなさい、いつも・・・ 今日から残さず使って 美味しい料理をつくりますね! 家族でも親しい人でもないのですが おじさんの背中を見て 思わず そんな言葉が湧いてきて 心の中で 呼びかけているのでした・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年06月12日
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「一日の終わりに」 どのような一日を過ごしても 夕暮れ時になれば 空気は優しくほぐれてゆく 買い物に出かけてゆく主婦も 犬を散歩させる少女も 静謐な風景の中に溶け込み 遠くで呼び交わす雀のさえずりは のどかなカラスの声と重なり 菫色の空へ消えていく 理解し合えない淋しさに ひとり沈む日にも訪れる 昨日と変わらぬ 安らぎの世界は 移りゆく日々に押し流され 忘れられそうになりながら 途絶えることのない 祈りのように 道端で揺れる小さな花の中で… 共にありたいと願う人の心の奥で… 宝石のような輝きを放っている 時を告げる鐘の響きが 明日への希望をのせて 波紋のように 胸に広がってゆく時 夕暮れは 賢い母のように 黙して 終わりゆく一日を見守り 柔らかな眼差しを投げかけている…よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年05月30日
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「優しい町に包まれて」 何処までも続く青い木立が 武蔵野の玉川上水の緑道を思わせ 懐かしさを覚えた 夙川の町 独り 気持ちの向くままに 車の行き交う大通りを横切り 歩道橋を渡っていった 時は五月 風が頭上を吹き抜け きらめく陽光に夏が香り 間近な空の向こうには 六甲山が見渡せた 遠い昔から知っているような 安らかさに抱かれ 心は遥かな未来を夢見て 飛翔していった・・・ あの時の薫る風は 今も胸の中でそよぎ 微かに揺れる木々が 涼やかな葉擦れの音をたてる いつか再び訪ね行く その時だけを待ち望みながら どのような日々にあっても 軽快な歌を口ずさみ あの町の輝きに包まれている・・・ よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年05月21日
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***友人から送られた写真です*** (広島県呉市 春の音戸大橋の風景) 「瀬戸内の海」 目覚めたての朝に さわやかな水ながれ あわい桜の花越しに 見おろす海を 軽快な音をたて船がゆく 友より送られた写真に 故郷の風が吹き ほのかな潮の香に 心ときめき 羽ばたく ああ 春の霞にけむる 瀬戸内の海よ・・・ 母に甘える 迷える子のように その優しさに背を向け ふるさとを後にした 十八歳の頃 孤独と苦しみの 長い時を経て今、 ふたたび還りついた海に 新しい出会いが 宝物となってきらめく ああ 穏やかにひろがる 瀬戸内の海よ・・・ 写真の向こうにうかぶ 友の伸びやかな顔 心で感じて微笑みあえば 共に海にいだかれる 一日のはじまり・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年04月21日
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「春の雨に寄せて」 チュン チュン チチッ チチッ・・・ さわやかな 雨のシャワーを浴びて すずめたちが鳴いています いつもよりもひと際 澄んだうたごえに 朝がほほえみます アスファルトの道はしっとりと さくらの花びらで あわく染まっています きみどりや赤茶いろに 芽吹きはじめた 木々の枝には 銀いろの雨粒が たくさん たくさん 宝石のように光っています チュン チュン チチッ チチッ・・・ いつもさびしい雨が きょうは何だか とても気持ちがいいから わたしも 心のやわらかい羽を 思いきりはばたかせ ささやかなよろこびを からだいっぱいにうたって 一日をすごすのです・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~
2008年04月14日
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「たんぽぽと大聖堂」 今日 わたしが積みあげた レンガのひとかけらが いつか立派な大聖堂となって 高らかな鐘の響きにつつまれ 今日 青ぞらを舞った たんぽぽのわたぼうしが その傍で ほがらかな 金色の花を咲かせるのなら 目立たない日々のいとなみも 地道につづけられる仕事も かぎりある時をこえて 不思議な輝きを放ちはじめるだろう わたしのなかにある 小さなちいさな光の芽は はるかな未来へむかって 今日も少しずつ伸びている たとえこの眼で たんぽぽと大聖堂をながめ 喜びを味わうことが無くても それで良い・・・ あと数十年で終わってしまう この生のなかの わずかな一パーセントが 五千年先の幸福のためにあるのなら わたしは そこに希望を見いだし 今日という日を積みあげ 花の種を育てつづけよう やがて美しくひらいてく 一パーセントの可能性こそ わたしがここにいる証なのだから・・・よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年04月08日
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「出会い」 目を閉ざすと 深い暗闇のなか あの花の姿が浮かびあがる 通りがかりに見つけて カメラにおさめた こぶしの花 遠い日の思い出のように ほのかに輝きながら まぶたの裏で静かにゆれる あのとき・・・ 語りかけられていたのに 気がつくこともなく 写真に撮って それで満足して わたしは 歩き去ってしまった・・・ 明日 あの小道をとおっても 出会うものは もはや おなじ花ではなく ただ一度きりの やさしく いとおしい瞬間は おわってしまった 胸の裡にそっとふれてくる しろい やわらかい花びらよ ごめんなさい・・・ まだ寒さ残る春の夜 心のなかまで訪ねてくれて ありがとう・・・ よろしければクリックして下さい。いつもご協力ありがとうございます。*~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年04月01日
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「春 愁」 忙しさにかまけているうちに そとは 浮きたつ季節の只中で 庭のバラの茂みからは いきおいよく新芽が吹きだし 白く清楚な水仙は なまめかしく 倒れんばかりに咲きみだれている ちらちら揺れる陽ざしのなかを 走り抜けてゆく自転車もまぶしくて ちくしょう・・・春のやつ 追いこしていきやがった・・・ そっと噛みしめるくやしさは にがい若草のあじわい 恋人にふられてしまったような 宙ぶらりんなこころに ぽかりと浮かんでいる 今日の夕ぞらの 淡い半月・・・ よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年03月22日
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人と関わって 仕事をする 会議をする 考えをあらわし 意見を述べあう 言葉 言葉 言葉・・・ 勇ましい響きをたて どこまでも並び 埋め尽くし やがて 気づかぬところで 何かを失っていく すみれ色に染まる夕空に 梅のほのかな香り漂うとき 言葉を超えて そっと触れ合うものがある 空も 花も 穏やかにひらいて そこに在ることが 心の底からの喜び 小さな戦いのなかで 瓦礫となっていく 言葉のわずかな隙間から まぶしい新芽のうまれる瞬間 よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年03月14日
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みなさま、こんにちは!いつも「言葉を風にのせて・・・」をご訪問いただいて、ありがとうございます。おかげさまで、このブログも一周年をむかえることができました。いつもあたたかい感想をいただくことが、詩を書くはげみになりました。また、みなさまとの交流も深まり、いろいろな情報もいただくことができて、この1年でわたしの詩の世界は大きく広がりました。この場を借りまして、心より御礼申し上げます。仕事に復帰するなど、環境も大きく変わっていますが、どのような時も、詩を書きつづけていこうと思います。時々、創作詩のほかにも、わたしの好きな詩も掲載させて頂こうと思っています。これからも「言葉を風にのせて・・・」をどうぞよろしくお願い申し上げます。 ポピーの詩より
2008年03月12日
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無明のながい時を経て まぶしい光の只中へ たったひとりで突き出し ひらいてゆこうとする 新芽のせつなさを誰が知る 細い若木の中をひたすらに 空へ向けて遡ってゆく水に シューマンのメロディながれ 楽しく浮かれる季節の底で 青黒いにがさを噛みしめる ああ 生きることの根源へと 立ち帰らざるをえない春よ 燃える黒い瞳の奥に かすかな憂いを宿して若者は ジーンズの上着ひるがえし まだつめたい風の吹く町へ出る 肌をさす寒さと痛みに いま在ることの証をもとめ ひろい世界に晒されながら 死ぬまでここに立ち続けると誓う よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年02月27日
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「春に寄せて」 梅の花 アネモネ 沈丁花・・・ どこからか 聴こえる かろやかなリズム 手のひらから すべり落ちる もつれてしまった糸 空を見あげて ほほ笑み ふくらむ一つのつぼみ 梅の花 アネモネ 沈丁花・・・ あたらしい朝に 流れる 若草いろの風 早春の大地に 踏みだす ふるえる素足 光のなかで 踊りはじめる 花たちのワルツ よろしければクリックして下さい。 いつもご協力ありがとうございます。 *~*~☆~THANK YOU!!~☆~*~*
2008年02月19日
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12日は原宿JETPOETにてポエトリーリーディングに参加しました。見知らぬ外国の、旅先で出会ったカフェのような場所にて。自分が何者でもない開放感とそして孤独と。はじける音楽と詩と声と・・・黄金色のビールの泡のようなひととき。日常の時間をはなれて、普段の自分をはなれて、もっと楽しく、おおらかに自由に空間を舞う詩人たちよ・・!詩をつくり始めなければ、出会っていない場所でした。出会っていない人たちでした。そして、出会っていない私でした。みなさま、本当にありがとう!これからも詩とともに、一歩ずつ。一歩ずつ。新しい世界へ、未知の世界へと・・・「ドキドキ」はこれからもずっと続きそうです!!
2008年02月15日
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今日は皆様にちょっとドキドキなお知らせです。来週、2月12日に私は詩の朗読イベント(ポエトリー・リーディング)に参加することになりました。時間と場所は下記のとおりです。 ◆◆「JET POET Vol.21 」~即興の音楽と詩の朗読の宴~◆◆ 2月12日(火)@原宿JETROBOT http://www.jetrobot.com/live_cafe_jetrobot/main.html OPEN 20:00 START 20:30 Charge: 1500円+1ドリンクオーダー(500円~) 出演者 poet: ・なぽり ・大島健夫 ・ロビー ・ZULU ・ポピーの詩 music: ・てっつん (tp.) ・ひら(cajon, per.) ・タロー(baritone sax) ・成冨ミヲリ(voice, per.) ・Pauchi Sasaki (vl.) ・ダミ (b.)ブログを通して知り合った或る詩人の方から、「ポエトリー・リーディングにオープンマイクで参加されませんか?」とお誘いがあったのが昨年の11月。生まれて初めてステージという場所に立ち、自作の詩を読み上げました。JETPOET(ジェットポエット)は、主催者の方が仲間の方々と継続してこられたポエトリーリーディングと即興音楽のイベントです。私が初参加させて貰った11月は、記念すべき第20回目のライブでした。人前に立って声を出すことが苦手で、カラオケですらドキドキして声が出なくなる(笑)私ですが、皆さんにいろいろとサポートして頂いて、とてもたのしく新鮮な気持ちで参加することができました。それぞれに、とても豊かな世界を表現される詩人の方たちと、その詩の世界にぴったりとマッチする即興演奏をされるミュージシャンの方たちが創りあげていく、とても暖かく居心地のよい空間・・。そのなかに包まれて、自作の詩をたくさんの人の前で読み、自分の言葉が活字ではなく、生きた声として伝わっていき、聴いている人たちとの交流が生まれる・・。はじめての体験でした。どきどきしっぱなしでしたが、JETPOETに参加して良かった!と心から思いました。今回は出演のほうで参加をすることになりました。どんな出会いが待っているのでしょう・・・?!こうして紹介文を書いていてもドキドキしてくるんですよ(笑)2月12日20時から・・・もしよろしければ、是非いらしてみて下さい・・! (*前半は出演者のライブで、 後半はオープンマイクでどなたでも参加いただけます。)
2008年02月05日
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