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August 3, 2005
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カテゴリ: 教授の映画談義
月曜日の夜、見てきましたよ『アイランド』。以下、そのお話しですが、まだ見ていない方でこれから見ようかなーと思っていらっしゃる方は、ネタバレにご用心。

まず最初に言っておこうと思いますが、予想していたより2倍くらいは面白かったです。とにかく映像的にかなり迫力があり、適度にスリルもあるので、2時間20分を長いと感じさせません。娯楽映画としては、そこそこよく出来ている。事実、ちょっと前に話題になった『アイ、ロボット』と比べたら、こっちの方がよっぽど面白いです。大画面で迫力ある映像を楽しもうというのなら、十分おすすめです。

ところがこの映画の面白さというのは映画館の中だけで通用する話でありまして、映画館を一歩外に出てしまうと、どうということのない映画だなぁ、ということになる。つまりこれはジェットコースターみたいな映画なのであって、見ている間だけキャーキャー楽しんで、ああ面白かった、というだけのものです。その意味で、例の私のインスピレーション評価では72点ですね。ただ冒頭でも言いましたように、実際にはこの点数以上に楽しめる映画だということは言っておきましょう。ビデオで見るより映画館で見た方がいい映画であることは絶対に確か。

ところで、おそらくある程度の映画ファンなら誰でも思うことでしょうが、この映画を見た後で、我々は奇妙な「既視感」に襲われます。あれ、この映画の一つ一つのシーン、どこかで見たことあるぞ、という感覚ですね。

まず冒頭に描かれる一種の未来社会の映像ですが、この徹底的な管理社会の描写はジョージ・ルーカスの出世作『THX1138』にそっくり。恋愛感情まで管理されているので、男女の間に何の感情も起こらないという状況も似ていますし、あるきっかけからそういう状況に疑問を抱くようになったヒーローとヒロインが、管理社会の「エデンの園」から外へ出ざるを得なくなる、という筋書きまで似ている。ついでに言えば、地下の管理社会から逃げ出し、外の世界に飛び出てみたらそこに荒涼とした乾燥地帯が広がっていたというところもまったく同じです。

また管理社会を逃げ出した主人公たちと、それを追いかける連中と間で繰り広げられる追跡シーンは、これは『マトリックス2』や『アイ、ロボット』を思わせますね。

またこの『アイランド』の中では、秘密裏にクローンが生産されているということになっているのですが、そのクローンが人工羊水の中で臨月の時を待つ風景は、これは既に『マトリックス』で見たような気がする。また各クローンには記憶が植えつけられているので、自分がクローンだと思っていないという状況は、これはもう『ブレードランナー』のレプリカントたちと同じ状況です。そしてそのクローンたちが、次第に普通の人間と同様の感情を持ち始めるという筋書きも『ブレードランナー』に似ていますし、あるいは『アイ、ロボット』と同じだと言えるでしょう。ついでに言えば『アイ、ロボット』の中でも主人公(?)のロボットが自分たちの未来を予言するような絵を描きますが、『アイランド』でもそれとまったく同じことが起こります。

さらに言えば『アイランド』と『アイ、ロボット』の最後のシーンは、もう映像的に完全にかぶっている。いや、管理社会の元締めをやっつけて、自分たちと同じ運命の仲間たちを救うという意味では、『トータルリコール』のラストシーンとも重なっているかな?

・・・とまぁ、そんな感じで、この『アイランド』という映画、筋書きの点で、あるいは映像として、過去のSF映画とかぶるところがやたらにある。だもので、この映画のオリジナリティーって一体何だ? と思い始めてしまうと、「何もないじゃん」という結論が速攻で出てきてしまうんですね。私がこの映画に高い得点を付けられないのは、結局、この「オリジナリティー完全欠如」のゆえです。



1 人間の記憶や認識は、人の手で操作可能なものかも知れない。あるいは、我々が現実だと思っていることは、ひょっとすると架空のものかも知れない
2 人間は人間に近いもの(コンピュータ・ロボット・サイボーグ・クローン)を作りだせるかも知れない。あるいはそうした人工物にも、人間と同じ感情が芽生えるかも知れない
3 過去や未来へ行くことができるかも知れない
4 地球人以外にも未知の生命体はいるかも知れない

というわずか4つの想像力しか生み出していませんから。ひょっとするとまだあるかも知れませんが、それを加えたって大した数ではない。

つまり現実の縛りがないのだから、想像力を働かせさえすれば無限のストーリーが考え出せるだろうと思うと実際にはそんなことはなくて、せいぜいこの4つの要素の組み合わせで変奏曲を奏でるしかない、ということなのでしょう。でこの4つはH・G・ウェルズとカレル・チャペックとP・K・ディックとアイザック・アシモフで完成しちゃうんですから、後はその焼き直しということになる。「天が下に珍しきものなし」ということは、SFの世界でも通用するんですな。

ま、一つ慰めとなるのは、特撮の発達は今後もあり得る、ということかな。実際、『アイランド』の特撮にしても、こんなのどうやって撮るのだろうと思うようなド迫力の映像の連続ですからね。そこは、やっぱり見ていて面白い。

そんなわけで、「今日の結論」としては、ごたごた言わずに『アイランド』は映画館で見て楽しめ! と言うことですね。この映画、(そこそこ)教授のおすすめ! です。





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Last updated  August 3, 2005 12:36:08 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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