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August 4, 2005
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カテゴリ: 思わず納得!



ところで、なんでまた私がこんな番組を毎週見ているかと申しますと、もともと家内がこの番組のファンなんですね。家内は自分でもピアノを弾くので、一流の先生の教え方が面白いのでしょう。そこで彼女に付き合って私もこの番組を見るようになったというわけなのですが、実はこのところ、私もこの番組にはまっています。というのも、最近この番組の先生が交代したのですが、新しい先生と前の先生との教え方が余りにも違っていて、その違いがすごく面白かったのと、その新しい先生の教え方に非常に心惹かれるところがあったからなんです。

ちなみにこの間までの先生はフィリップ・アントルモン氏で、練習曲はモーツァルトでした。そして今放送しているのは、ジャン・マルク・ルイサダ氏で、練習曲はショパンです。

もっとも、私はもともとクラシック音楽にさほど詳しくないので、この二人の先生がどういう人たちで、ピアノの世界でどの程度の評価を受けているのかなど、全然分かりません。しかし、「教師」として見た場合、両者の指導法はホントに違うんですね。

 まずアントルモン氏はどうかと言いますと、彼はとにかく感情をほとんど表に出さない。常に難しい顔をしているコワイおじさん、という印象があります。そしてその教え方の根本義は「楽譜に忠実であれ」です。生徒さんが変な弾き方をしていると、「違う! 楽譜をご覧なさい! どう書いてありますか。「段々強く」でしょ! さ、もう一度!」ってな感じ。もし仮に私が教わる生徒さんの立場だったら、こんなおっかない先生にこんなことを言われたら、ますます萎縮してしまいそうです。もっともレッスンの最後あたりで一瞬にこやかに「大分上手になりましたネ」などと言ってくれることもあって、その時だけはちょっとホッとしますが、しかし少し勘ぐると、「お前なんか、せいぜいこの程度弾ければ上等だ。それ以上を目指そうなんて馬鹿な考えは持つなよ」という意味の微笑みにも見えてくるので、余計コワイ。

ところが今レッスンを担当しているルイサダ氏は、アントルモン氏とはまるで逆。レッスン中も終始ニコニコして、可愛いおじさんって感じなんですね。そしてそのレッスンがまたとてもアクティヴで情熱的。生徒さんが意に沿わぬ演奏をすると、もう自分の椅子に座っていられずに飛び出してきて、「ほら、こうやって肘を張って」とか「袖をまくって手首を見せて」「手首に窪みがつくくらい力が入りすぎている」などと、実際に生徒さんの身体に触れて、演奏姿勢から直したりする。とにかく教え方がアクションに満ちているんですな。そこが見ていてすごく面白い。

しかしルイサダ先生で一番感心するのは、そういう情熱的指導だけでなく、ものを教える時の「比喩表現」のうまさです。たとえば、曲調が途中でがらりと変わる曲の時など、「二人の別の人間がピアノを弾いているように」弾きなさい、と指導したり、あるいは左手の伴奏部分について、「小指とその他の三本の指は別のものだと思いなさい。ここに小指君がいる。そしてこっちにその他の三人がいる。これは別のものです。あなたの演奏では、小指君とその他三人の区別がつきません」などと説明したりするわけ。聞いている素人の私でも、思わず「なるほど!」と思ってしまいます。比喩がうまい、というのは教師の資質として非常に重要なことですからね。

また一つのことを教えるのに、複数のアプローチを持っていることにも感心してしまいます。たとえば昨日の生徒さんの場合、どうしても速く弾きがちで、演奏に抑揚がなかった。そこでルイサダ先生も最初のうちは「そうじゃありません、もっとゆっくり弾いて」と何度もアドバイスしていたのですが、そのアドバイスの効果がないと見ると、「では、別な提案をしましょう」と言って、「そこのところはだんだん強く弾くようにしてメリハリを出してご覧なさい」とアドバイスするんですね。で、その生徒さんも今度はメリハリを出すのに気を取られて、必然的にその箇所をゆっくり弾かざるを得ず、結果としてルイサダ先生の思惑通り、生徒さんの速過ぎる演奏を直してしまうんです。もう「お見事!」と言わざるを得ません。

もちろん、これは「スーパー」ピアノレッスンですから、アントルモン先生のような峻厳極まりない教え方ももちろんあってよいと思います。私の家内なんかも、アントルモン先生の教え方はいい、と言っている。しかし私のようなド素人から見ると、ルイサダ先生の教え方に魅力を感じます。「ルイサダ先生にバイエルから習いたい!」などと、つい思ってしまいますもんね。私も職業としては「教師」なわけですが、ルイサダ氏の教え方の巧みさは、「教師」としての視点から見てもすごく参考になります。




ところで、パン・パカ・パーン! 昨日をもちまして、この「教授のおすすめ! セレクトショップ」への累積アクセス数が10,000を越えました。ご愛読いただいている皆様には、感謝、感謝でございます。今後とも、その日その日のよしなし事について、私の思いを綴っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、また明日!





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Last updated  August 4, 2005 12:15:17 AM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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