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August 27, 2005
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カテゴリ: 思わず納得!



ところで、今私が書いているのは、女性向けロマンスについての論文なんです。もっと具体的に言いますと、「恋は本屋さんで売っている」のキャッチコピーでお馴染み、ハーレクイン・ロマンスについての論文。ハーレクイン・ロマンスなるものを一度でもお読みになったことがある方ならご存じと思いますが、まあ、コッテコテのロマンスですな。ヒロインとヒーローがあるきっかけで出会って互いに一目で惹かれあうものの、その後は誤解とすれ違いの連続で、会えば派手な口論や喧嘩ばかり。本当は互いに愛し合っているのに、二人ともなかなか素直になれない。しかもそこへもってきて、ヒーローの持つ莫大な財産を狙う絶世の美女が彼にモーションをかけたりなんかするので、ことは余計複雑に・・・。読者としては二人の恋の行方にやきもきさせられっぱなしです。しかし、そんなじれったいすったもんだの末、横槍を入れてきた美女の悪巧みは曝露され、ヒロインとヒーローの間に横たわっていたすべての誤解はウソのように氷解。かくして読んでいるこちらが赤面するような熱いセリフでもって主役の二人は互いへの愛情を吐露し合い、めでたく婚約が整ったところで物語の幕が降りる。ハーレクイン・ロマンスっていうのは、ま、ざっとこんな感じのロマンスですわ。

で、もちろん、こんな感じのいかにも商業的なロマンスですから、当然、文学的にはほとんど価値がないと思われていて、まともな文学研究者ならハーレクイン・ロマンスなんぞ端から相手にしていません。ま、そりゃそうでしょう。普通に考えれば、文学の命は「オリジナリティー」にこそあるんですから。ハーレクイン・ロマンスみたいに、どれを読んでも皆同じのコテコテ・ロマンスなんて、これはもう完全に女性が家事の合間に、あるいは仕事の後で密かに楽しむためのものであって、大の男が読むものではない。実際、ハーレクイン・ロマンスの読者の99%以上は女性です。また、その女性読者にしたって娯楽のためにこれを読んでいるのであって、別に精神的な糧を求めて読んでいるわけではないんですから。そんなモン、文学研究の対象になるわけはない・・・。

しかし、にもかかわらず、私はここ最近、この見捨てられたコテコテ・ロマンスについて、かなりまじめな論文を書き続けているんです。それはなぜかと言いますと・・・

私が「まともな文学研究者」じゃないからでーす!

人がやらないことをやる。人と反対の道を行く。「奇抜」こそ我が名、「異端」こそ我が称号。それがワタクシ、釈迦楽なのです! ガーン!!

・・・あ、皆さん、引かないで・・・。戻ってきて・・・

ま、それはともかく、たしかに酔狂とはいえ、しかし実際に調べてみるとこのハーレクイン・ロマンス、その成り立ちがとても面白いんです。へぇー! っと思わされることが多々ある。

そもそも、ハーレクイン・ロマンスの出版元である「ハーレクイン社」というのは、カナダに本拠を持つ国際出版社です。国際も国際、すごいですよ、その全世界での売れ方。23カ国語に訳され、100カ国以上に輸出されているんですけど、それらの国々での売り上げをすべて合わせると、1秒間に5.5冊売れている計算になる。1秒間に5.5冊ですよ。あ、今5.5冊売れた、あ、11冊売れた、あ、16.5冊売れた、ってなもんです。ちなみに過去10年に売れたハーレクイン・ロマンスを1日1冊ずつ読むと、読み終わるのに25万年かかります。25万年。読み終わる頃には次の氷河期ですわ。とまあ、ハーレクイン・ロマンスって、実はとんでもないベストセラー商品なんですね。カナダって、メープルシロップだけ輸出してるんじゃないんですな。ロマンスも相当輸出している。ま、どっちも、かなり「甘い」んですけどね。



今、「正調」と言いましたのは、文学史的な観点から言って「ロマンス小説」なるものを生み出したのがイギリス人だからです。18世紀半ばのこと、イギリスで『パミラ』っていう小説が出版されて大評判になるんですけど、これがロマンス小説の元っちゅーことになっているんですな。ロマンスなんてラテン系の人々の特権かと思いきや、実はロマンスの元祖はイギリスなんですね。個人的な偏見からすると、イギリス人ってあんまりロマンティックな感じがしませんけど、そのアングロサクソン的な、情念剥き出しじゃないところにこそ、案外ロマンスの本質があるのかも知れません。それによく考えれば英国王室のどたばたって、いつもロマンスがらみですからね。

しかし、ハーレクイン・ロマンスの大半がイギリスを舞台にしたロマンスであることには、実はもっとはっきりした別の理由があります。それは何かと申しますと・・・。

・・・あー、ここで時間切れ。この先のお話しは、またこ・ん・ど!





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Last updated  August 27, 2005 05:42:01 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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