スタッズ・ターケルは、作家ではなく、ま、一種のジャーナリストとして、数多くの作品を残されました。代表作はピューリッツァー賞をとった『良い戦争』(The Good War) を挙げる人が多いでしょうが、この他『Hard Times』や『Working』なども有名。市井の人々の声をインタビューという形で掬い上げ、記録に留めると同時に、その人々の声を借りて時代を、歴史を描くという手法を確立した人として知られています。無名の人々のインタビューを積み上げるというやり方を、彼がどうやって思いついたか、それは分かりませんが、彼無かりせば、後に続くゲイ・タリーズの諸作品も、ジョージ・プリンプトンの『イーディー』も、あるいはカポーティの『冷血』も、生まれなかったかも知れません。