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January 23, 2017
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カテゴリ: 教授の雑感
 今日、修論執筆中の院生のI君が研究室にアドバイスを求めてやってきたので、しばらく話を聞いていたのですけれども、話をしながら、まあ、なんとまじめな人なんだろうと、ちょっとビックリ。

 I君曰く、文学研究をしていて常に心配になるのは、「自分は果して著者の言わんとしていることを正確に理解・把握しているだろうか」ということで、ここに自信が持てないために、どうも修論の筆が進まないと。

 そこで私が、「そんなこと言ったって、当該の作家が既に死んでいる場合、正しく理解しているかどうかなんて確認のしようもないし、もしその路線で研究して行ったら、作品解釈は常に一通りの正答、すなわち「著者の意図」という唯一の正答しかないことになり、それ以外の研究には意味がないということになってしまうのではないか?」と言うと、「そうじゃないんですか?」と逆に聞かれてしまったという。

 うーん! まじめだねえ・・・。今時、そんな古風な感じで文学研究している若者がいたとは・・・。

 私は・・・そんなこと思ったこともないねえ。

 だって、小説読めば面白いと思うじゃん? 否、そうじゃない。自分が面白いと感じる小説を読めば、面白いと思うじゃん? 面白いと思ったということは、すなわち、著者の言わんとすることを自分が正しく読み取った、ということですよ。あるいは、著者が自分で思っている以上に、読者たる私がその面白さを理解しているのか、そのどちらかであって、それ以下ではない。

 つまりその場合、「著者」=「読者」か、あるいは「著者」<「読者」の状態が出来しているのであって、「著者」>「読者」ということはあり得ない。

 そうなんじゃないの? だから、自分は著者の意図を正しく汲んでいないのではないか、という疑問を、私は抱いたことがないです。

 もっともね、自分が面白くないなと思う小説に関しては、事情が違うよ。それは、本当にその小説がつまらないからかも知れないし、逆に著者の面白さを自分が理解していないからかも知れない。後者の場合は、「著者」>「読者」だよね。



 だから、ある作品のことを面白いと思って論じようと思うのであれば、自信を持ってやりゃーいいんじゃないの?

 そして自分が面白いと思っている作品について、その面白さを、他人にも理解してもらいたいと思って説明すれば、その論文を読んでいる人の共感を引き出せるはずですよ。

 ゴキブリ一匹見かけたら、千匹は居るんでしょ。それと同じことで、自分が面白いと思うことを説明すれば、千人くらいの人は納得させられますって。

 ま、I君には、そんな感じで「自信をもってやりたまえ」と言っておきましたけれども。

 でも、まじめな人って、いいよね。





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Last updated  January 23, 2017 10:01:05 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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