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March 29, 2017
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カテゴリ: 教授の読書日記
鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーの書いた『カーネギー自伝』を読んでいるのですけれども、なかなか面白いです。

 19世紀前半のスコットランドの織工の家に生まれ、一家でアメリカに移住、そこから電信技師になり、鉄道会社に勤めるようになり、24歳の時にはピッツバーグ路線区の長になるという、それこそ絵に描いたような立志伝なんですけど、努力と勤勉と、機転と人に対する親切心と、正義感と忠誠心と、そういうものを武器にトントン拍子で出世していく快進撃のメモワールは読んでいて実に痛快。まだ3分の1くらいしか読んでいないので、いかにして彼が鉄鋼業に携わるようになるかは、まだこの先のお楽しみ。

 しかし、時代もいいんですよね。電信も鉄道も、まだ始まったばかりの業界なので、能力さえあれば、若くてもどんどん出世できる。でまた1860年代に入ると南北戦争が始まると、電信にしても鉄道にしても戦争遂行の観点から言っても非常に重要な産業ということになるわけで、若くして政治のトップとも直接会う機会も出てくる。カーネギーはリンカーン大統領やグラント将軍(後の大統領)とも接する機会を持つのですが、カーネギーから見たリンカーン像、グラント像なんて面白いですよ。例えばリンカーンの顔はすごく醜いのだけど、内面の感情によって光り輝く時があり、そういう時のリンカーンほど美しい顔をした人を見たことがない、とか。あと、リンカーンはダイナミックな印象の人であるの対し、グラントはよほど無口で風采の上がらない人だったんですって。

 あ、あとね、アンドリュー・カーネギーもまたスウェーデンボルグ主義者であることを知ったのも、この自伝を読んだ大きな収穫の一つでした。やっぱり、19世紀におけるスウェーデンボルグの影響って、想像以上に大きかったんですな。


 ちなみに、なんでワタクシがアンドリュー・カーネギーの自伝を読んでいるかと申しますと、この人もまた自己啓発思想史の中で重要な役割を果たすから。本人が鉄鋼王になってしまって、まさに自己啓発の見本となったこともさることながら、その後の影響も大きいもので。

 例えば20世紀半ばの自己啓発本として有名なデール・カーネギーの『人を動かす』という名著がありますが、あのデール・カーネギーも、アンドリュー・カーネギーの影響を受けてあの本を書いたのですから。

 ま、デール・カーネギーの場合は、名前が近いですからね。まったく血縁はないにしても。

 しかも、もともとデール・カーネギーは「Dale Carnagey」という綴りだったのですが、後にアンドリュー・カーネギーと同じ「Dale Carnegie」に綴りを変えている。さらに、自己啓発の講演をするときも、わざわざ選んでカーネギー・ホールを使うわけよ。そんなことしたら、普通の人は、アンドリュー・カーネギーとデール・カーネギーは親戚なんだと思うじゃない。それを意図的に狙ったんですな、デールは。

 そして、20世紀半ばの自己啓発本として、もう一つ有名なのがナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』なんですが、こちらの本は、アンドリュー・カーネギーが直々にナポレオン・ヒルに対して「成功のための秘訣を探れ」というミッションを出し、そのミッションを果たした結果がこの本だったんですから。



 で、この時、ナポレオン・ヒルは「その仕事、引き受けます」と答えるのですが、この時、「引き受けるか?」と聞かれてから「引き受けます」と答えるまで1分かからなかった。いわば即答したわけ。で、その即答した、ということを高く評価したアンドリュー・カーネギーは、実際にナポレオン・ヒルにこの仕事を任せた、というわけ。

 で、ナポレオン・ヒルは20年もの年月をかけて成功の秘訣を探り、『思考は現実化する』の出版にこぎ着け、そしてこの本が馬鹿売れして大金持ちになる。だからアンドリュー・カーネギーのミッションは実にすばらしかったと。

 ね、面白いでしょ?

 だけど、もっと面白いのは、実はこの話には裏がない、ということ。

 本当にナポレオン・ヒルはアンドリュー・カーネギーと面会し、彼からミッションを課せられたのかどうか、それを証明するものが一つもないと。それどころか、カーネギーの紹介状を持って色々な成功者を訪ね歩いた(その中にはインドのガンジーとか、ヘンリー・フォードなども含まれる)とナポレオン・ヒル自身は言っているものの、本当にそんなことをしたかどうか、実証するものがない。唯一、エジソンと一緒に映っている写真があるので、エジソンと面会したことは事実らしいですが、その他の人々に関してはどうも眉唾だと。

 ひょえ〜!!

 つまり、ナポレオン・ヒルって、ひょっとすると希代の詐欺師なのかもしれないわけですな。そこがまた実に面白い。

 というわけで、ワタクシとしては、アンドリュー・カーネギーとデール・カーネギーとナポレオン・ヒルの3人を一束にからげて、面白い話を書きたいわけさ。次にワタクシが出す本の、相当面白い1章になることでしょう。


 ま、そんな思惑もありつつーの、アンドリュー・カーネギーの傑作自伝、教授のおすすめ!です。



カーネギー自伝 [ アンドルー・カーネギー ]





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Last updated  March 29, 2017 09:01:57 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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