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May 1, 2017
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カテゴリ: 教授の読書日記
K・ブランチャード、S・ジョンソン共著になる『1分間マネジャー』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 ちなみに、S・ジョンソンってのは、スペンサー・ジョンソンのことで、あの『チーズはどこへ消えた』を書いた人。『1分間マネジャー』もベストセラーですけど、いいね、ベストセラーがいっぱいあって。

 で、『チーズ』と同様、『1分間マネジャー』も、まあ、ドラマ仕立てというか、寓話ね、寓話。ある若者が、優れたマネジャーの在り方を求めて、「1分間マネジャー」と自ら名乗るある男のもとを訪ねる的な。で、そのマネジャーがこの若者にマネージメントの極意を伝授し、その結果、この若者が次の「1分間マネジャー」になると。

 こういう、対話形式で上から知恵を授ける的な本って、自己啓発本では人気があるんだなあ。オグ・マンディーノの『この世で一番の奇跡』とか、マーク・フィッシャーの『成功の掟』とか。あるいは日本で言えば『嫌われる勇気』とか『夢をかなえるゾウ』とか。やっぱり、「秘術」みたいなものは、仙人みたいな謎の人から与えられるのがいいんだろうね。で、その秘術は案外、当たり前のことでした、みたいな。

 ちなみに、この本の原書が出たのは1981年なんですけど、そのこと自体にも一つの意味がありまして。というのは、それに先立つ1970年代後半というのは、アメリカの製造業が不振に陥っていた時期に当り、その一方、日本の製造業、特にクルマ産業は絶好調、アメリカの対日本貿易の赤字が顕著になっていた頃なんですな。トヨタの「カンバン方式」に代表される日本式経営術に注目が当るようになり、エズラ・ヴォ―ゲルの『ジャパン・アズ・ナンバー1』(1979年)なんて本が日米双方でベストセラーになったのもこの頃の話。日本製造業、得意の絶頂の時代でございます。

 だけど、そうやたらに日本がもてはやされるとなると、その反動で「いやいやちょっと待てよ」と。何も日本の真似をしなくたって、アメリカは独自で合理的な経営方法を案出すりゃーいいじゃないか、ってなことを言い出す奴も出てくるわけでありまして、そうなるとプラグマティックなこととなると自信満々なアメリカの行動科学者とか心理学者とかが張り切り出す。で、そういう連中が「科学的な裏付けのある」マネージメントの方法論をあれこれ考え出した結果の一つが、まあ、本書であったという次第。


 さてさて、それでこの『1分間マネジャー』が教えるのは何かと申しますと、一言で言って、「良い上司の在り方」ですな。

 で、本書に登場する経営のグルである「1分間マネジャー」さんによると、良い上司というのは3つのことを行う。その3つとは「1分間で目標設定する」「1分間褒める」「1分間叱る」ということ。



 だから、良き上司たるもの、非常に明確な、1分間で読み上げられる程度に短く、かつ明確な指示を紙に書き出し、それを自分と部下の両方で持つことで、部下に何をすればいいかを双方了解の下、確実に示すことが必要であると。

 ふむふむ。なるほど。

 で、そのような指示を出した後、良いマネージャーは、部下の働きぶりをよく見る。そして、大体、いい感じで仕事が進んでいるなと思ったら、すぐに1分間だけ褒める。これが第二の「1分間褒める」という奴。これによって部下は、上司が自分の働きぶりに注視し、評価してくれていることを自覚。同時に、自分が今やっていることは間違いがないのだと確認できるので、ますます意欲が涌くと。

 で、この時の褒め方ですが、肩を叩くなどの身体接触も有効であると(これについては後述)。

 一方、もし部下が間違った方向に進もうとしたり、仕事をしくじった場合は、後回しにするのではなく、間違いが判明した直後に「1分間叱る」べきであると。ただ、叱るのは部下の行動を叱るのであって、部下の人間性を叱るのではないのだから、1分間叱った後、必ずフォローして、「君の人間性についてはまったくOKである」ということをちゃんと伝える。これが叱り方の重要なところ。

 こういう風にしていけば、部下としては、自分の人間性を上司が信頼してくれた上で、明確な仕事の目標を相互同意の上で設定してくれ、しかも仕事がしくじった時にもうまく行った時にもすぐに認めてくれるほど自分のことを見ていてくれるんだ、という思いがあるので、自信をもってどんどん働く。そうした部下たちの自主的なやる気こそが、会社にとっての財産なのだ。

 とまあ、「1分間マネジャー」が、迷える若者に伝えるのはそういうことでございます。

 ま、非常にシンプルだけど、確かに「上司と部下」という人間関係を深く見抜いた、なかなか卓越した人間学になっているような気がします。それに、この本が言っていることは、何も会社における上司・部下関係に限らず、他の人間関係、特に上下関係を含む人間関係にも当てはまるんじゃないかと思わせてくれるところがまたいい。

 例えば、この「1分間マネジャー」の教えを、学校における「先生と生徒」の関係に当てはめても、結構うまく行くんじゃありませんかね?

 まず担任は、自分の理想とするクラスの在り方を明確に、かつ簡潔に生徒に示し、相互同意の上でこの目標に向かって努力することを誓うと。

 で、この目標に向かって生徒たちが努力すれば、その兆しを目ざとく見つけてまず褒める。



 ま、そんな感じでやって行ったら、結構、上手なクラス運営ができるのではないですかね。

 ちなみに、「1分間マネジャー」は、部下を褒める時にしばしば肩を叩いたりするなど、身体的接触をすることがあるのは前にも述べましたけど、同時に「1分間マネジャー」は、この身体的接触については、一つ重要な注意点があると指摘しています。

 それによると、この種の身体的接触というのは、言葉以上に深い意味を持ち得るというのですな。例えば母親が自分の幼い子供の身体を抱きしめながら励ますと、その抱きしめるという行為が、励ましの言葉以上に効果があるというわけ。子供のことを思い、子供の健やかたることを一心に願う母親の心が、身体的接触を通して子供に伝わるから。

 だから、その母子関係に匹敵するような信頼関係が上司・部下の間にあれば、肩を叩いて「よくやった!」と褒めるのは効果があるわけですな。ところが、そういう信頼関係がまだはっきり確立していない時点でそれをやると、部下は逆に戸惑ってしまう。

 つまり、身体的接触は両刃の刃だから十分に神経を使え、というのが「1分間マネジャー」の教えなわけ。



 とまあ、色々なレベルで、合理的なアドバイスになっているわけですよ。だから、この本がベストセラーになったのも頷けるし、この本が好評のうちに受け容れられたことによって、『1分間なんちゃら』というタイトルの本が次々と出版され、柳の下のドジョウの群になったのも、まあ、頷けるかなと。

 というわけで、会社で部下を持つ立場の人だけでなく、学校の先生とか、上下関係を含む人間関係の中でお仕事をされている人には、一読して損はない本ではないかと思います。教授のおすすめ!と言っておきましょうかね。



【中古】 1分間マネジャー 何を示し、どう褒め、どう叱るか! /K・ブランチャード(著者),S・ジョンソン(著者),小林薫(訳者) 【中古】afb





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Last updated  May 1, 2017 09:31:55 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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