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October 13, 2017
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カテゴリ: 教授の雑感
若手の同僚でイギリス文学を研究している奴が、カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞にどうも納得ができないとブツブツつぶやいているので、じゃあ誰なら納得なんだと尋ねたら、言下に「ジュリアン・バーンズ」と。

 ふうむ。なるほど。言われてみればね。

 ジュリアン・バーンズの『フローベールの鸚鵡』は傑作だからね。カズオ・イシグロの『日の名残り』とどっちがいいかって言われたら、私も迷うかも知れない。作風が全然違うけど。

 『フローベールの鸚鵡』ってのは、フローベールの研究者が、フローベールの作品に登場するオウムのモデルとなったとされるオウム「ルウルウ」の剥製を二種見つけたことで、一体どっちが本物なのか、調べ始めるというところから話が始まるんですけれども、その過程でフローベール研究の現状の話が出たり、その現状を痛烈に批判が繰り広げられたり、一体これは実際の話なのか、虚構の話なのか、区別がつかなくなってくるという面白さがあるわけ。

 で、そういう話を読んでいると、私なんぞ「うーん」と唸ってしまう。

 というのも、私も研究者の端くれ、こういうタイプの本、すなわち研究書なのか、それとも小説なのか、区別がつかないっていうような研究書を書いてみたいところがあるわけ。「フローベールが飼っていたオウム」という、本来であればフローベール研究の中心点からはかなり外れたところにあるものを支点・視点に、そこから意外な方法で、いつしかフローベールの本質に迫っていく、というような。つまり、研究書なのか、エッセイなのか、小説なのか、よくわからない、というような本を書いてみたい。

 そういう意味で、バーンズの『フローベールの鸚鵡』という小説は、私にとっては羨望の対象でもあるわけね。だから、同僚がイシグロよりバーンズを支持すると言えば、確かに、それはそうかもねと納得するところがあるんですな。

 良い機会だし、この際、『日の名残り』と『フローベールの鸚鵡』、両方再読してみようかな・・・。




【中古】フロベールの鸚鵡 / ジュリアン・バーンズ 著/斎藤昌三 訳 / 白水社


  むむ。今、この本、絶版なのか・・・。





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Last updated  October 13, 2017 10:23:07 PM
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Comments

釈迦楽@ Re[3]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  ああ、やっぱり。同世代…
丘の子@ Re[2]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 釈迦楽さんへ そのはしくれです。きれいな…
釈迦楽@ Re[1]:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 丘の子さんへ  その見栄を張るところが…
丘の子@ Re:『2001年宇宙の旅』を知らない世代(09/13) 知らなくても、わからなくても、無理して…
釈迦楽 @ Re[1]:京都を満喫! でも京都は終わっていた・・・(09/07) ゆりんいたりあさんへ  え、白内障手術…

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