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クラスター爆弾禁止条約に同意しておきながら,防衛省の来年度概算要求で最新型のクラスター爆弾の導入をめざす動きがでています。 増田好平防衛事務次官は6月23日の記者会見で,最新型クラスター爆弾の導入を否定せず,「検討中」だと述べています。禁止条約を締結しないうちから,現有のクラスター爆弾を最新型に置き換える動きは見過ごせません。 最新型の保有をめざすのは全面禁止の願いに背くことです。全面禁止をめざす国からの非難は避けられず,日本への不信がさらに強まるのは必至です。 国際的に合意したクラスター爆弾禁止条約は,一部の最新型爆弾を禁止の例外にしたとはいえ,60ヶ国近い国が持っている爆弾の99%をなくす力をもっています。非人道的残虐兵器をなくすことが眼目のこの条約は,保有国を全面禁止においこむうえで大きなテコになります。 日本も禁止条約に同意しました。条約を締結すれば,航空自衛隊と陸上自衛隊が276億円もかけて保有している膨大な数のクラスター爆弾を全廃しなければなりません。 条約を早期に締結して,自衛隊のクラスター爆弾を速やかに廃棄させる必要があります。 国際社会の全廃の願いに反して,条約の禁止例外規定を使って最新型のクラスター爆弾を導入しようという動きは,政府・防衛省にクラスター爆弾を全面禁止する気持ちがないことをうきぼりにしています。 禁止条約は,親爆弾内の子弾は10個未満で,重さが4キログラムを超えるもの,目標物探知機能,電子的自爆装置,電子的な自己無力化機能を備えた最新型爆弾は禁止の例外にしています。 しかしそれは,全面禁止を求める諸国が,5月のダブリン(アイルランド)会議で禁止条約案を何としても成立させ,全面禁止につなげたいという熱い思いからの譲歩によるものです。 例外規定をいいことに,最新型を導入するのは,条約に託された全面禁止の願いを無にし,条約の意義を薄めることにしかなりません。 福田康夫首相は,禁止条約に合意したダブリン会議の直後の国会(6月9日)で,現有のクラスター爆弾の「補完」措置を検討すると述べました。石破茂防衛相もクラスター爆弾を「遊びや冗談でもっているわけではない」と力説して「心しながら対応」するといいました。 2人の発言の狙いが最新型クラスター爆弾の導入にあるのはあきらかです。 もちろん,最新型であっても民間人を殺傷することに変わりはありません。NGOの「クラスター爆弾連合」も,「自爆装置を備えた新世代のクラスター爆弾であっても,不発に終わることが多く,とても容認できない人的被害をもたらす」と指摘しています。 アメリカがつくる最新型爆弾は不発弾として残る率が「1%以下」といわれますが,わずかであろうと不発弾になった子弾が子どもなど民間人を殺傷するのを許していいはずがありません。 政府は,日本は海岸線が長く,上陸した敵を攻撃するためにクラスター爆弾が必要だといいます。しかし「防衛計画の大綱」は「侵略事態生起の可能性は低下」といっています。政府の言い分は通用しません。 いま大事なのは,非人道的残虐兵器であるクラスター爆弾をなくすことです。 戦争を禁止した日本が進むべき道は,クラスター爆弾の全面禁止以外にありません。
2008年06月30日
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北朝鮮が核計画の申告を六ヶ国協議議長国の中国に提出しました。核兵器の材料となる核物質と核施設,核計画が含まれるとされます。これを受けアメリカは,テロ支援国家指定の解除と「対敵通商法」の適用中止の手続きに入りました。 今回の北朝鮮による核計画の申告は,北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)にある核施設の無能力化とともに,六ヶ国協議が合意した北朝鮮非核化の「第二段階の措置」とされるものです。 近く再開される予定の六ヶ国協議では,「第二段階」の終了の確認とともに,北朝鮮の「すべての核兵器及び既存の核計画の放棄」(2005年9月の六ヶ国協議共同声明)という最終段階に向けた具体的措置が設定されることになります。 今回の一連の動きはそうした重要なステップであり,関係国は朝鮮半島非核化の目標に向けて外交努力をつくすことが求められます。 関係国は北朝鮮の非核化プロセスでの検証を重視するとしており,今回の申告が正確かどうかについても検証作業を通じて明らかになるとの立場です。 北朝鮮がすでに提供した18,000ページを超える原子炉稼働記録がそのよりどころのひとつとなると見ています。さらに北朝鮮での現地査察や核開発関係者への聞き取り調査なども行う方針です。 非核化プロセスが新たな段階に進んだことには,直接交渉にあたった米朝双方,とりわけアメリカのイニシアチブが大きかったといわれます。 ライス国務長官は6月18日の講演で,北朝鮮は非核化の達成によって「人道的・開発支援,非核エネルギー支援,主権の尊重,国連憲章の諸原則の約束,朝鮮半島の永続的平和など」を確保できると指摘。 「外交とは一連のインセンティブ(行動の促進要因)とディスインセンティブ(行動の阻止要因)を構築することだ」と述べ,「約束対約束,行動対行動」の原則を強調しています。 アメリカが,かつては固く拒否していた北朝鮮との直接交渉を,この間強力に進めてきた背景には,イラク戦争のゆきづまりが典型的に示しているように,アメリカの先制攻撃にもとづく世界戦略が破たんし,国際的に孤立を深め,アメリカの一国覇権主義が通用しなくなったという世界の大きな変化が横たわっています。 2005年9月の六ヶ国協議の共同声明は,朝鮮半島の非核化と並んで「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」をうたい,そのために六ヶ国協議は「北東アジアの平和及び安全のメカニズム」の構築をめざしています。 共同声明の立場で,朝鮮半島の非核化と平和の枠組みづくりのために外交努力を重ねることが必要です。 朝鮮半島の非核化は,日本の平和と安全にとってもきわめて切実な問題であり,日本が積極的な役割を果たすことが求められています。 日朝間には拉致問題という重大な懸案があります。2002年9月の日朝平壌宣言の精神にたって核・ミサイル,拉致,過去の清算という日朝間の諸懸案を包括的に解決する立場が重要だと考えます。 この包括的解決の過程でひとつの問題の解決が先行することは,他の問題の解決の妨げではなく,促進につながりうるものです。 核問題で日本政府が積極的な姿勢をとることは,拉致問題に対する国際的理解と支援を高める上でも役立つでしょう。こうした立場からの日本外交が求められています。
2008年06月29日
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韓国各メディアは6月27日,大統領府と外交通商省高官らの話として,昨年10月以来中断している六ヶ国協議が早ければ6月30日に再開されると報じました。北朝鮮が提出した核計画の申告書の検証,完全な核廃棄をめざす非核化「第三段階」のロードマップ(行程表)づくりが話し合われます。 北朝鮮の非核化は現在,第二段階の大詰めを迎えています。 核計画申告書提出と並んで,北朝鮮が履行する措置の柱が核施設の無能力化です。11の工程のうち8つは済んでいます。残りの3つは,(1) 8,000本の使用済み燃料棒のうち3,200本の搬出,(2) 未使用燃料棒の処理,(3) 原子炉制御棒の稼働措置の搬出,だといいます。 来週にも9ヶ月ぶりに再開されるとみられる六ヶ国協議では,申告書の検証が焦点となります。申告書がどれだけ正確かによって,第三段階の目標である「北朝鮮の完全な非核化」の成否が左右されます。 申告書には,核施設リスト,核兵器用プルトニウムの量と用途,産業用低濃縮ウランの在庫が明記されています。 一方で,アメリカが主張する高濃縮ウラン計画とシリアへの核技術協力については別文書がつくられ,北朝鮮からアメリカに渡されました。「アメリカの懸念を北朝鮮は認識する」との内容だといいます。製造された核兵器は,どちらの文書にもありません。 ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は6月26日,「高濃縮ウランとシリアへの協力について,申告書には『現在は行っておらず,将来も行わない』と書いてある」と明らかにした上で,「過去の活動を正確に知ってこそ,いま行っていないことの意味が分かる」と述べ,これらの問題も検証の対象となるとの考えを示しました。 アメリカによる北朝鮮に対するテロ支援国の指定解除が発効するとされる8月11日までの間に,六ヶ国協議では申告書の内容検証と第三段階のロードマップ(行程表)づくりに取りかかります。 第三段階のロードマップづくりでは,申告書からもれたすべての問題も対象となるため,協議は難航が予想されます。申告書に明記されたプルトニウムの量も,北朝鮮の主張とアメリカの推定は異なっています。 各国は「申告は核廃棄の始まり」と口をそろえています。北朝鮮が申告書の検証に誠実に協力することが何より求められます。
2008年06月28日
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75歳以上を別建てにした診療報酬は,政府・与党が「後期高齢者の心身の特性にふさわしい医療が受けられる」などと,後期高齢者医療制度の“売り物”にしていたものです。 「後期高齢者終末期相談支援料」については,「ご本人の希望に沿って看取ってもらえる医療」(自民党のQ&A)などと大宣伝していました。 にもかかわらず,実施からわずか3ヶ月で凍結に追い込まれるという事態になったことは,制度の破たんぶりを改めて示しています。 「支援料」に対しては,国民から「75歳を過ぎれば,治療を打ち切って“早く死ね”ということか」などの批判が噴出。週刊誌などでも「“安楽死”を勧める医療だ」(『週刊朝日』5月16日号)と取り上げられました。 実際,厚生労働省の担当者は解説書のなかで「後期高齢者が亡くなりそうになり,家族が1時間でも,1分でも生かしてほしいと要望して,いろいろな治療がされる。それが,かさむと500万円とか1,000万円の金額になってしまう」などと指摘。 「延命治療」を制限して,こうした医療費を抑え込みたいという本音を示しています。 厚生労働省の調査では,4月に同支援料を請求した国立病院はひとつもありませんでした。 この日の中医協で舛添要一厚生労働相は,終末期医療の重要性を指摘。「来るべき時には,全国民に広げることになると確信している」と述べ,あくまでも一時的な凍結だとの考えを強調しました。 同相は参院での後期高齢者医療制度廃止法案の可決を重く受け止めるといいました。ならば,一時的な「凍結」で終わらせるのではなく,制度そのものの廃止に踏み出すべきです。
2008年06月27日
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消費税増税について,つい先日(6月17日)「決断しなければいけないとても大事な時期だ」と明言した福田康夫首相が,今度は「2,3年とか長い単位でもって考えた」と言い直してきました(6月23日)。 もちろん消費税増税も今年度中の「決断」も否定したわけではありません。押したり引いたりしながら増税を実現していく根本的な狙いは明らかです。 重大なのは首相自身,世論の反応を見ながら言い方を変えなければならないほど,消費税増税は国民に望まれていないことです。国民にどれだけ税を負担してもらうかは民主主義の要であり,国民に説明のできない増税はキッパリ断念すべきです。 福田首相が先日,外国の通信社代表を相手に,消費税増税は「決断の時だ」と発言したのは,およそ「決断」などの言葉とは縁遠かった首相が,消費税増税についてははっきりした意思を示したものとして,驚きをもってうけとめられました。 首相は6月23日の記者会見では,「外国の通信社が相手だったから」「(国内向けなら)もう少し厳密な言い方もあった」などと言い逃れましたが相手が外国だからというのは失礼な話です。 通信社には日本の共同通信も含まれており言い逃れは通用しません。 政府はいま,今年秋には消費税増税をふくむ抜本的な税制改革についての検討をまとめ,早ければ来年の通常国会にも増税法案を提出しようとしています。「決断の時」という発言が,消費税増税への腹を固めたと受け取られたのは当然です。 実際,言い直した首相の発言も,歳出改革や景気の動向を見ながら「総合的に考える」というだけで増税をしないとは一言もありません。翌6月24日の閣僚懇談会では,「決断の時」という報道も「2,3年で」というのも「どちらも極端な表現だ」といっています。 これでは首相の狙いは変わらないが,報道したマスメディアが悪いというのでしょうか。 最近の世論調査では,社会保障費の財源確保のためでも,消費税増税に「反対」は51%で,「賛成」はわずか22%です(NHK調査)。首相が発言をくるくる変えるのも世論が無視できないからです。 首相の「決断の時」という発言が,簡単に国民に受け入れられないのは明白です。 だいたい消費税は,収入の少ない人ほど負担が重い,逆進性の大きな悪税です。行政のムダを省くなどの当たり前のことをやったからといって,増税が許されるものではありません。 国民の批判に向き合わず,まともな説明もしないで,消費税増税を押し通すことしか念頭にないというのでは,とても民主的な態度とはいえません。 消費税は,導入のときも増税のときも国民の意思を無視して行われました。 消費税の前身,「売上税」を導入しようとした中曽根康弘元首相は,「私の顔がうそつきに見えるか」と開き直りました。増税の狙いを隠し,その場の言い逃れを重ねるなら,福田首相もそうした批判を免れることはできません。 歴代政府が消費税を社会保障の安定した財源のためなどと偽ってきたごまかしはいまや明白です。消費税は上げても,医療も年金も切り縮められてきたのが国民の常識です。 福田首相は「世論がどう反応するか,いま一生懸命考えている」といいました。 この言葉だけは真実です。国民に説明できない増税を首相が断念しないなら,国民の世論と運動で断念に追い込む反撃の好機です。
2008年06月26日
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安倍晋三前首相当時に設置され,政府の憲法解釈を検討してきた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は6月24日,集団的自衛権の行使は認められないとする解釈の変更を求めた報告書を福田康夫首相に提出しました。 首相の諮問機関とはいえ,政府の憲法解釈変更を求めるのは過去に例がありません。福田首相は「中身を研究する」と述べ,解釈変更に慎重な姿勢を示しました。 集団的自衛権とは,自国の防衛とは無関係の,他国の「防衛」に参加する行為で,憲法九条が定める「自衛のための最小限」の実力行使を超えるものであり,「憲法上認められない」(1981年の政府答弁)というのが現行解釈です。 これに対して報告書は,「憲法九条は明文上,集団的自衛権の行使を禁じていない」,「安全保障環境が変わった」などの理由を挙げて,集団的自衛権の行使は憲法上「可能」としています。 安倍前首相は昨年5月の第1回会合で,(1) 公海で並走中のアメリカ艦船が攻撃を受けた場合の自衛艦の応戦,(2) アメリカを狙った弾道ミサイルの迎撃,(3) 海外派兵中に他国軍が攻撃を受けた際に駆けつけて反撃,(4) アメリカ軍や多国籍軍への後方支援,の4類型について検討を指示しました。 報告書はいずれについても,「日米同盟の維持・強化に不可欠」などとして集団的自衛権の行使を求めています。 また,自衛隊の武器使用の拡大について,「政府与党で検討されている一般法制定の過程で実現されることを期待」すると表明。戦闘行為につながる「かけつけ警護」なども可能とするなど,海外派兵恒久法の制定を促しています。 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は,集団的自衛権の行使を当然視するメンバーで固められています。そういう意味で,政府の憲法解釈変更を求めた報告書は「結論先にありき」でした。 懇談会を設置した安倍前首相は報告書を昨年秋までに提出させ,ただちに解釈改憲に着手する考えでしたが,昨年7月の参議院選挙大敗で野望は打ち砕かれました。 それでも懇談会メンバーは今年に入って非公式の「意見交換会」を重ね,6月24日に報告書を提出したのです。 直ちに憲法九条の明文改憲が実現できなくても,何とか解釈改憲だけは実現して,日米同盟強化と海外派兵拡大の“障壁”となっている憲法九条を骨抜きにしようという改憲派の執念を感じさせます。 報告書は,北朝鮮の核・ミサイル開発など「安全保障環境の変化」を憲法解釈変更の最大の根拠としています。 「集団的自衛権は憲法上,行使できない」とする政府解釈では,弾道ミサイルや国際テロなどの問題に「適切に対処できない」というのです。 しかし,いまや報告書自体が,「安全保障環境の変化」からずれています。 北朝鮮の核・ミサイル問題では,北朝鮮が核計画を申告し,アメリカが「テロ支援国家」指定から解除する方向で動いています。北朝鮮がアメリカを弾道ミサイルで攻撃し,日本が応戦するという想定自体が,国際情勢に対応できなくなっています。 しかも,変更が必要なのは「(従来の)解釈では日米同盟を効果的に維持することに適合し得ない」からというのです。「アメリカ艦防護」も「弾道ミサイル迎撃」も「日米同盟のため」というのが唯一の理由です。 ブッシュ政権の先制攻撃戦略が幅を利かせていた情勢を前提として,それに「適合」するために憲法解釈を変えるなどということは,二重三重に憲法を愚弄するものです。
2008年06月25日
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長い潜伏期間のあとに発病する牛の感染症「ヨーネ病」(菌)にアメリカの酪農農場の約70%が汚染されていることが,4月に公表されたアメリカ農務省の報告書(研究リポート)で明らかになりました。 野党議員の調査で判明したもので,食品衛生法は,ヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止しており,アメリカからノーチェックで輸入されている乳製品への対策強化が迫られています。 報告書によると,アメリカ国内の酪農農場のうち,ヨーネ病の感染が認められたのは全体の68.1%でした。農場の規模ごとの集計では,500頭以上の農場で感染が95%と高率なこともわかりました。 日本へは,アメリカから2007年に,ナチュラルチーズが6,418トン,ホエイ(食用乳清)534トン,プロセスチーズ416トン,乳糖45,565トンが輸入されています。 国内では,昨年11月に神奈川県内でヨーネ病の疑陽性の感染牛がみつかった際,流通していた牛乳の回収を行いました。厚生労働省は食品衛生法にもとづいてヨーネ病に感染した牛の食肉と乳製品の流通を禁止してきました。 しかし,アメリカからの輸入乳製品は,ヨーネ病に汚染されているかどうかのチェックは行われていません。 今回明らかになったアメリカ酪農農場のヨーネ病高率汚染の実態は,輸入乳製品の問題にとどまらず,アメリカ産牛肉の「ヨーネ菌」汚染のおそれも露呈したといえるでしょう。 輸入乳製品のヨーネ菌汚染の問題は,野党議員が5月13日の参議院農林水産委員会でもとりあげ,ノーチェックでアメリカから輸入される乳製品にも国内同様の規制を求めていました。 厚生労働省の藤崎清道食品安全部長は「情報収集を継続して行いながら,当該国におけるリスクを総合的に判断をして必要な措置をとっていきたい」と答えていました。 ヨーネ病に感染した牛の食肉や乳製品の流通が食品衛生法で禁止されている理由について,牛のヨーネ病と人の難病「クローン病」(慢性下痢症)の関連が指摘されているため「人への影響が懸念されるので,流通を禁止している」と説明してきました。 今回の汚染実態は,政府にアメリカ産牛肉と乳製品について新たな対策を迫るものといえます。【参考】ヨーネ病 長い潜伏期間のあとで慢性下痢症をおこし,死にいたる牛など家畜の病気。病原菌「ヨーネ菌」は結核菌の仲間で,人の難病「クローン病」との関連が疑われています。
2008年06月24日
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政府・与党が,後期高齢者医療制度の保険料を一部軽減する「見直し」策をまとめ(6月12日),「最大9割軽減」などと宣伝しています。 その中身をみてみると…。 後期高齢者医療制度の保険料は,無年金の人も含めて全員が支払う「均等割」と,所得に応じて支払う「所得割」からなっています。均等割には,すでに所得の低い世帯の負担額を2割-7割軽減する仕組みがあります。(図) 政府・与党の軽減策は,均等割の軽減割合を最大で9割に拡大するというものです。来年4月から実施されます。 対象者は,すでに7割軽減を受けている世帯のうち,75歳以上の人全員が年金収入80万円以下の場合に限定されました。75歳以上の夫婦2人世帯なら,夫も妻も年金が80万円(基礎年金の満額程度)以下でなければ対象になりません。 さらに,同居する子どもなど世帯主に一定の所得があり,7割軽減の対象になっていない世帯の場合は,たとえ年金収入が80万円以下であっても,今回の9割軽減は受けられません。 この結果,対象人数は270万人程度にとどまります。 所得割については,年金収入153万円-210万円程度の人を対象に,所得割額を50%程度軽減します(年金収入百153万円以下の人は,所得割はかからない)。 対象者は約90万人です。 今回の軽減策の対象になるのは,合わせて約360万人。75歳以上(1,300万人)の3割以下にすぎません。しかも年金収入が80万円-153万円の人は,年金額が少ないにもかかわらず,今回の軽減の対象にはなりません。 2008年度は経過措置として,均等割が7割軽減の全世帯を対象に,軽減割合を8・5割に拡大します。8月まで保険料を年金から天引きされる人は,10月から半年間は保険料を徴収されないことになります。 所得割は,年金収入153万円-210万円程度までの人を対象に,原則として一律半額に軽減します。 今回,保険料の一部を下げたとはいえ,2年ごとの見直しで際限なく保険料を値上げしていく仕組みそのものは温存されました。そのため,将来の保険料がどんどん上がり続けることに変わりはありません。 国民の怒りが噴出している保険料の年金天引きについては,一部選択制となります。その内容は(1) 国保の保険料を確実に納付していた人,(2) 連帯納付義務者(世帯主か配偶者)がいる,年金収入180万円未満の人-の場合,申請すれば口座振替で納めることができるというものです。 実施時期はまだ決まっていません。次回(8月15日)の年金天引きには間に合わないため,これまでと同様,保険料が強制的に引かれます。 自民党・公明党連立与党は「保険料『9割軽減』が実現」(公明新聞,6月14日付)などと強調し,多くの人の保険料が下がるかのように印象づけています。 しかし,負担が軽くなるのはほんの一部だというのが実態です。
2008年06月23日
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自民党と公明党は6月19日,自衛隊の海外派兵を常時可能にする恒久法を検討するプロジェクトチームの今国会の会期中最後となる会合を国会内で開きました。 会合では,プロジェクトチームの協議の結果を「中間報告」として取りまとめ,6月20日に予定される与党政策責任者会議に報告することを確認しました。 「中間報告」では,(1) 国連決議のある場合・ない場合,(2) 日本の行う活動内容,(3) 憲法九条との関係,(4) 国会の関与,を柱とする検討項目について「PKO(国連平和維持活動)参加5原則を維持する」「(PKO以外の活動は)『非戦闘地域』に限定する」,「原則として個別案件ごとに国会の事前承認を要することとする」などの点で合意し,恒久法制定の方向を確認しました。 一方で,自民党が強く主張していた「警護活動」の追加について,「武器使用権限との関係も併せて引き続き検討する」とし,政府の憲法解釈でも禁じられた海外での武力行使へ踏み込む方向に固執しています。 公明党の山口那津男座長は会見で「与党として初めて一般法(恒久法)の本格的な政策検討をした意義は非常に大きい。引き続き検討を重ねたい」とのべました。 自民党と公明党は恒久法を検討する与党プロジェクトチームの「中間報告」で,自衛隊の海外派兵恒久法制定の方向で合意しました。 国連決議の要否,治安維持・警護・船舶検査のメニュー追加,任務遂行のための武器使用・「駆けつけ警護」などの点では合意に至りませんでした。 しかし,自民党が強く主張していた「警護活動」については「武器使用との関係も併せて引き続き検討する」とし,「船舶検査等,その他の活動内容については引き続き議論する」としました。 警護活動の実施は,実際にはアメリカがイラクやアフガニスタンで展開する「対テロ」掃討作戦への参加に結びつく危険があり,これが憲法九条で禁じる海外での武力行使に当たることは明白です。 プロジェクト発足時の「基本合意」や今回の「中間報告」では,恒久法制定の基本枠組みとして「現行憲法の範囲内」「従来の憲法解釈を前提」などと強調しています。しかし,海外での武力行使に大きく踏み込む警護,治安維持といった検討項目からみても,ごまかしであることは明らかです。 プロジェクトでは今国会中に法案要綱,夏までに法案を取りまとめ,秋の臨時国会には法案を提出することを目標としてきました。 それが「骨子」にすら至らず「中間報告」にとどまったのは,憲法突破を目指す恒久法策定の動きが,「憲法を守り生かせ」という広範な国民世論との矛盾を激しくしているからです。 町村信孝官房長官は6月18日,恒久法案の臨時国会への提出は「なかなか難しい」と述べました。 一方で,プロジェクトチームの山崎拓座長は6月19日開かれた自派閥の総会で「(恒久法について)必ず次期通常国会を目指したい」と述べ,秋の臨時国会中の法案取りまとめに執念を示しました。 海外派兵国家づくりをめぐるせめぎあいが続きます。国民もこれに巻き込まれる以上,注視しなければいけません。
2008年06月22日
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後期高齢者医療制度への国民の怒りを受けて,野党4党で国会に提出し,参議院で可決(6月6日)した同制度の廃止法案。野党では日本共産党が,衆議院での審議入りを強く求めています。 ところが,自民党・公明党連立与党は,制度の「見直し」に固執。廃止法案を自ら提出した共産党以外の野党まで審議拒否の態度を続けており,政党の国民に対する責任が厳しく問われています。 制度存続に固執する政府・与党が打ち出した「見直し」には,国民の多数が批判的です。 「毎日」(6月16日付)によると,後期高齢者医療制度を廃止し,もとの制度に戻すことに「賛成」が56%で,「反対」の30%を上回っています。 「朝日」(6月17日付)でも,「見直し」を主張する政府・与党を評価する人は30%で,廃止を主張する野党を評価する人が49%。共同通信社の世論調査でも,「運用改善」が44.9%に対し,「廃止すべきだ」は47.0%に達しています。(「東京」6月14日付) 若干の「見直し」でやり過ごそうとする政府・与党の姿勢が,国民の願いから,かけ離れたものであることは明らかです。 こうした国民の願いに応え,一刻も早く廃止法案を衆議院で審議入りさせ,可決をめざすことは,法案を提出した野党に課せられた最も緊急かつ重要な責任です。 しかし,残念ながら民主党,社民党,国民新党は,6月11日の参議院本会議で福田康夫首相への問責決議案を可決して以降,審議拒否戦術を続けています。 廃止法案は,野党4党が提出した法案であり,政府を相手に審議するのではありません。みずから提出した法案を,みずからボイコットするというのは,だれがみても道理のない態度です。 一方,民主党は,岩手・宮城内陸地震など「緊急時」,「人道上」の問題での質疑には応じる姿勢を示しています。 これには民主党内からも「党の姿勢が国民に分かりにくい」,「廃止法案は国民生活に密着したテーマだから審議すべきだ」といった声があがっているとも報じられています。(「日経」6月17日付) FNN(フジテレビ系)の世論調査(6月16日)でも,問責決議を可決した野党が「衆参両院で審議を拒否するのは当然か」の問いに,「そうは思わない」が50.7%と過半数に達しています。ここでも,国民が何を望んでいるかは明らかです。
2008年06月21日
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福田内閣が設置した社会保障国民会議が中間報告を発表しました。 社会保障のあらゆる分野で,切実に支援を必要としている人が制度から排除される福祉の破壊がますます深刻になっています。 ところが中間報告は,「社会保障制度の構造改革が進み,経済財政との整合性,社会保障制度の持続可能性は高まった」と,社会保障の「抑制路線」をほめたたえています。 小泉「改革」は「はじめに抑制ありき」で給付を減らし負担を増やす文字通り制度改悪の連続でした。 年金では,保険料を毎年値上げして給付水準を引き下げる仕組みを導入したうえ,無責任な運営で発生させた「消えた年金」の解決は遅々として進んでいません。 介護では「保険あって介護なし」の矛盾が広がり,医療は中間報告でさえ「医療崩壊」と表現するほど深刻です。 とりわけ「後期高齢者医療制度」は,75歳という年齢で高齢者を別枠の制度に囲い込み,負担増と差別医療を強いる世界に例のない非人間的な仕組みです。 政府も社会保障の惨状をある程度認めざるを得なくなっています。その責任が問われているにもかかわらず,中間報告は社会保障の問題は「構造改革」が「十分対応できなかった問題」「改革の過程で新たに生じた問題」と片付けました。 改革が十分ではなかった,改革は良かったが問題が派生したというのは責任回避の言い逃れにほかなりません。 国民のいのちと暮らしを守る社会保障を掘り崩してきたのは,小泉内閣以来の「構造改革」そのものです。 加えて労働者派遣法の規制緩和が非正規雇用を蔓延させ,「大企業・大資産家に減税,庶民・高齢者に増税」の逆立ちした税制が暮らしの困難に拍車をかけました。 中間報告は今後の「基本方向」として,これまでの路線を引き継ぐと同時に,「『社会保障の機能強化』に重点を置いた改革を進めていくことが必要」だと述べています。 “改革が足りなかった”“改革から派生した”と言い逃れる姿勢から出てくるのは,いっそうの「構造改革」とパッチワークのような部分的,一時的「修正」にすぎません。 国民会議の座長を務めているのは小泉内閣で経済財政諮問会議のメンバーだった吉川洋・東大教授です。 吉川座長は国民会議の医療・介護・福祉分科会で,公的保険の「範囲をどのようにするのか議論しなければいけない」と発言しています。同分科会の報告は,保険給付の範囲と公私の役割分担の検討,「軽い」治療を保険外にする「保険免責制」の議論を深めるとのべています。 公的保険を制限し民間保険に委ねることは,貧富の格差が治療の格差に直結する,荒廃しきったアメリカ型の医療制度への道です。 こんな社会保障の改悪を盛り込みながら,国民に負担増を求められてはたまりません。 福田康夫首相は消費税増税について「決断しないといけない」時期だと発言しました。どんなに貧困でも,毎日の生活費に課税する消費税は,弱者を社会的に支える社会保障の目的に反する福祉破壊税です。 必要な財源は道路特定財源や軍事費のムダにメスを入れ,10年間で7兆円という大企業・大資産家への行き過ぎた減税を是正して生み出すべきです。 必要なのは社会保障「抑制」路線を根本から転換し,逆立ちした税制を改めることです。
2008年06月20日
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政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東京大学教授)は6月19日にも中間報告をまとめ,福田康夫首相に提出する予定です。何を盛り込もうとしているのか。 6月12日に示された報告骨子からみてみました。 「今日までの一連の制度改革は一定の成果を達成」。骨子では,小泉政権以来の社会保障制度の連続改悪を“誇る”言葉で始まっています。 2001年の医療改悪(サラリーマン本人窓口三割負担など),2004年の年金改悪,2005年の介護制度改悪,後期高齢者医療制度の導入など「国民に痛み」を強いてきた制度改悪を具体的に列挙。 「これら一連の改革により…経済財政との整合性,社会保障制度の持続可能性はかなり高まっていることは評価されるべき」だと正当化しました。 一方で,「改革の過程で新たに生じた問題」として,医師不足,医療崩壊,福祉分野での人材難,少子化対策の遅れなどにも触れざるを得ませんでした。 雇用問題では,「労働市場の二極化・格差の固定化が進み…社会保障制度の網の目からもれてしまう層が増大している,との批判」があることにも言及しました。 これは,小泉「構造改革」路線の行き詰まりを事実上認めざるをえなくなったものです。 しかし,抑制路線を転換することを明示する表現はありません。 「『社会保障の機能強化=必要なサービスを保障し国民生活の安定を確保する機能強化』に重点を置いた改革を進めていく」という一般的な表現にとどまりました。 それどころか,「制度の効率化への不断の努力を継続」と明記。「構造改革」路線を続ける方向も示唆しました。 社会保障制度を危機に陥れている大本にあるのは,社会保障費を毎年2,200億円抑制する「骨太方針」です。この抑制路線を撤廃することなしには,「社会保障の機能強化」を実行することも不可能です。 しかし,国民会議を設置した福田首相は,「2,200億円抑制方針」を今後も堅持する構えを崩していません。 一方で,骨子は「社会保障はあなたが支える」として,国民の責任を強調します。「給付の裏側には必ず負担がある。国民にはサービスを利用する権利と同時に制度を支える責任がある」とわざわざ念を押しています。 直接的な言葉はありませんが,「速やかに負担についての国民合意を形成し,社会保障制度に対する国・地方を通じた必要な財源の確保を図るべき」だとして,国民負担増を求める方向をにじませました。 同会議の「雇用・年金分科会」は先月19日,基礎年金財源を「全額税方式」にした場合,消費税率が9.5%-18%に引き上がるとの試算を公表。消費税増税の議論を加速させる役割を果たしています。 もともと同会議は,福田首相が野党にも参加を呼びかけて,消費税増税への「地ならし」の土俵にすることを狙ったものです。 しかし,野党は参加を拒否。首相の思惑が外れたままの発足(今年1月)となった経過もあり,国民が警戒する負担増路線をストレートに打ち出しにくい側面を抱えています。 同会議は,中間報告をまとめた後,9月の最終報告作成に向けて,負担のあり方について本格的に検討するとしています。
2008年06月19日
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深刻な医師不足問題で,舛添要一厚生労働相は6月17日,閣議後の記者会見で,医師を削減するとした1997年の閣議決定を見直すことを表明しました。 舛添厚生労働相は,「医師の数は増やすべきだ。10年以上たって医療崩壊という状況になっている。見直す方向で調整すべきで,首相の了解も得た」と述べ,医師過剰との見解を事実上撤回することを表明しました。 また,近く決定する「骨太方針」に盛り込めないか調整するとしています。ただ,財源については「細かい詰めはしていない」と述べました。 医師数をめぐっては,1982年に初めて,削減する閣議決定が行われ,1997年にも「引き続き医師削減に取り組む」とされ,政府は一貫して医師過剰との見解を示してきました。 2006年8月に東北地方を中心に10県の医学部の定員を増やすことを決め,今年度から増員しましたが,あくまで「暫定的措置」との見解でした。 「医師は不足ではなく偏在」との立場を崩そうとしなかった政府が,ようやく医師不足を認め,医師数を増やす方針に転換する考えを表明しました。 救急車が患者の搬送先を見つけられない,医師が過酷な勤務を強いられるといった現場の深刻な実態が,政府を動かしたものです。政府の医療費抑制路線の破綻でもあります。 各地で「医療崩壊」を引き起こした医師不足の“元凶”は,「このままでは医師が過剰になる」として,医学部の定員削減などを決めた閣議決定(1982年,1997年)です。 この結果,医師不足による過重労働が現場の医師を疲弊させ,さらなる医師の「立ち去り」を招く,という悪循環を起こしています。 こうした問題を解決するために,医療現場からは,抜本的に医師数を増やすことを求める声が続出しました。今年1月の参議院本会議の代表質問では,野党議員が「閣議決定を見直し,抜本的な医師増員に踏み出すべきだ」と,福田康夫首相に迫りました。 もともと日本の医師数は人口1,000人あたり2.0人で,経済協力開発機構(OECD)加盟30ヶ国中27位という低レベル。OECD平均と比べると,140,000人も不足しているのが実態です。 舛添要一厚生労働相は「財源の問題もある」と述べ,具体的な増員目標は明言しませんでした。 「閣議決定」の見直しを表明した以上,医療費抑制路線を抜本的に改め,安心できる医療体制の確立に見合った規模に医師数を増やすかどうかが問われます。
2008年06月18日
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アイヌ民族を先住民族だと認める決議を衆参両院の本会議で全会一致採択(6月6日)した際,町村信孝官房長官は「アイヌの人々が先住民族との認識のもと,総合的な施策の確立に努める」と述べました。 政府がアイヌ民族を「先住民族」だとようやく認めた瞬間です。 昨年9月,国連が採択した先住民族権利宣言に賛成しながら,国会決議直前までアイヌ民族を先住民族と認めなかった政府が態度を変えたのは,世論を無視できなかったからです。 アイヌ民族を先住民族と認めた以上,政府はこれまでの政策を抜本的に是正する必要があります。 アイヌ民族は,北海道,サハリン,千島の広い地域に先住してきました。 国会決議が「独自の言語,宗教や文化の独自性を有する先住民族として認める」と表明し,政府が先住民族だと認めたのはたいへん重要です。 アイヌ民族を先住民族と認める議論が日本で高まったのは,「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の採択がきっかけです。長期にわたる議論を経て採択されたこの宣言は,先住民族の権利を認め,国連加盟国が守るべきルールと基準を示しています。 オーストラリア政府が宣言を機に,先住民族を差別扱いしてきたことを謝罪するなどの動きも国際社会にはでています。 宣言に賛成しながら,国会決議が採択されるまでアイヌ民族を先住民族と認めようとしなかった日本政府は,猛省すべきです。 国会決議は,アイヌ民族が「差別され,貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を,私たちは厳粛に受け止めなければならない」と述べています。実際,アイヌの人々の生活実態は劣悪です。 北海道が2006年に実施した調査によれば,アイヌの人々の生活保護率は,全国平均よりも高い北海道全体の24.6パーミル(1000分の1を1とする単位)のなかでもさらに高い38.3パーミルです。 高校・大学の進学率もきわめて低い状態です。 事態は深刻で,これ以上この状況を放置するわけにはいきません。 そもそも明治政府が制定した差別法の「北海道旧土人保護法」にもとづいた政策を,同法が廃止される1997年まで政府が固持し続けたことが差別固定化の要因です。 さらに,1997年にアイヌ文化振興法(アイヌ新法)ができても,政府が差別を解消し,生活保障に向けた積極的な政策をとらなかったことが差別と貧困につながっていることは否定できません。 しかも,アイヌ民族が全国のどこに,どれほどいるのかさえ政府は実態調査していません。実態を把握しないで差別をなくすことなどできません。政府の姿勢が問われます。 アイヌ民族の差別と貧困をなくすためには,こうした従来のアイヌ政策を政府が深く反省し,根本的に是正することが不可欠です。 国会決議が政府に有識者懇談会の設置を求めたことも重要です。 これには,国連先住民族権利宣言に盛り込まれた権利の実現について審議する審議会の設置を要求した野党議員の提案も反映されています。 アイヌ民族の差別と貧困をなくすためには,アイヌ子弟の教育の充実,就業支援とともに,アイヌ古老の生活の保障のための特別手当制度の創設などは不可欠です。 アイヌ民族の生活と権利の向上をめざすとりくみをつよめることが重要です。
2008年06月17日
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日米両政府が1960年に日米安保条約を改定したさい取り交わした「密約」が次々にあきらかになっていますが,こんどは,朝鮮有事の「戦闘作戦密約」が発覚しました。(『文芸春秋』7月号) 「密約」は,安保条約の実態のなかで生きています。 アメリカの情報公開法にもとづいて入手した「密約」文書を示されても「知らぬ,存ぜぬ」をきめこむ政府の態度を許しては,日本の平和も安全も守れません。 これまでの「密約」は,核持ち込み,戦闘作戦行動,米軍地位協定の運用など,安保条約の根幹にかかわる諸分野におよんでいます。 核持ち込みでは,2000年に日本共産党の不破哲三委員長(当時)が,アメリカ情報公開法にもとづいて入手した「討論記録」という形式の「密約」があります。 1960年1月6日に藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使が署名しています。 核兵器を日本領土に持ち込むことや核基地建設は事前協議の対象にするが,核兵器積載艦船の寄港や核兵器搭載機の飛来は「現行の手続きに影響を与えるものとは解されない」というものです。旧安保条約下でおこなっていた核寄港・飛来をそのまま認める合意です。 3年後の国会で池田勇人首相が「核弾頭を持った船は,日本に寄港はしてもらわない」(1963年)と答弁するや,アメリカ政府は「密約」を大平外相に説明し,池田首相らの答弁が「密約」に反することを悟らせました。 また,沖縄返還(1972年)の際に「核持ち込み密約」を取り交わしたのも1960年「密約」が厳然と生きているからです。 今回明らかになった「密約」は,春名幹男名大教授が入手した戦闘作戦に関するものです。藤山外相とマッカーサー大使が1960年6月23日に署名したもので,「密約」文書そのものが発覚したのははじめてです。 藤山外相は,朝鮮有事のさい,在日米軍が朝鮮で戦闘作戦をするために「日本における施設および区域を使用してもよい」と言明しています。制限なしの事前同意でありきわめて重大です。 1969年に当時の佐藤栄作首相が,朝鮮出撃の際の事前協議に「前向き,かつすみやかに態度を決する」と述べたのもこの「密約」があるからです。 朝鮮半島の出来事は日本の平和と安全に直結します。日本の自主的決定を放棄し,軍事優先で動くアメリカに日本の運命を預ける「密約」が許されるはずはありません。 「核密約」も「戦闘作戦密約」も政府の国民への説明と違います。 事前協議制度について政府は,「国民が知らないうちに核兵器が持ち込まれたりすることがないように」,「日本がその意に反して戦争に巻き込まれないように」するためだと説明してきました。 しかし,「密約」は,国会も国民もまったく知らない間に,核兵器を持ち込ませ,戦闘作戦行動を認めることによって日本を戦争にまきこむものでしかありません。 国民の反核・反戦の願いにそうふりをしながら,裏で「密約」を結ぶのは国民に対する裏切りです。厳しい追及が必要です。 「密約」は,政府が事態に則して検討し決定する道も,憲法で「国権の最高機関」と明記されている国会の決定権もはじめから排除しています。主権侵害の「密約」は認められません。 日米安保交渉の全記録を公表させることが不可欠です。 憲法とそのもとで日本国民がつちかってきた平和原則に違反する「密約」の廃棄は当然です。
2008年06月16日
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大阪府の橋下徹知事が発表した府財政の「再建」案(「大阪維新」プログラム案)が議論を広げています。 5兆円にのぼる借金を抱えた大阪府の財政「再建」策として今年度まず1,100億円の収支を「改善」するとして,府民生活に直結する医療,福祉,教育などの施策の切り捨てや府民の負担増,文化やスポーツなど府の施設の統廃合,府の職員の人件費削減などを打ち出したものです。 橋下知事は今回の案を踏まえ,今年度の本予算案を7月の臨時府議会に提出する予定です。 自民党などに推されてことし2月府知事に就任した橋下氏は,府の「収入の範囲内で予算を組む」ことを公言し,とりあえず9年間で6,500億円歳出を減らすとしてきました。 そのためには府民にも「“少しずつのがまん”をお願いする」(プログラム案)と,府民に「自己責任」と「互助」を押し付け,府民向けの歳出を削減対象にしてきました。 今回の知事提案にも,私学助成の大幅削減や医療費助成の見直し,児童文学館など各種施設の廃止・縮小,府職員や教員などの人件費大幅削減など,府民サービス切り捨ての基本路線がつらぬかれています。 とくに私学助成は全国最低水準まで引き下げる計画で,これでは教職員の給与カットどころか授業料の値上げも避けられないと,関係者から悲鳴が上がっています。 1998年度以来9年連続赤字を続けている大阪府の財政破たんの最大の要因は,「オール与党」府政が政府の巨額の公共事業押し付けを積極的に受け入れ,推進してきたからであり,自公政府のもとでの長引く地方経済の低迷や地方交付税などの地方向け財源の削減も大きな原因になっています。 自民党などこれまでも与党だった勢力に推された橋下知事がその責任を棚に上げて「財政非常事態」を宣言しても本来通用しないことです。 第一,知事の提案では,「聖域のない削減」といいながら,政府の押し付けを受け入れた安威川ダムや新名神高速道の建設,彩都・箕面森町の大規模住宅建設など,無駄な大規模開発は引き続き推進し,利権がらみの同和行政も継続しています。 府の「収入の範囲内で」とひたすら府民向けの歳出削減に走るのは,地方財政の安定に果たす国の責任を曖昧にすることにもなります。 橋下知事の「再建」案は,大阪府の財政破たんの原因にメスを入れないで,住民福祉の増進という地方自治体の理念さえ投げ捨て,住民サービス削減を進めるものというほかなく,抜本的な見直しが不可欠です。 府財政の再建のためにいま必要なのは,880万府民の声を集め,何が必要かの本格的な議論を起こしていくことです。そのなかで,府財政破たんの原因を明らかにし,そこへメスを入れていくことです。 橋下知事が今回の提案の前に府庁内に設けたプロジェクトチームにまとめさせた提案には,小学校1・2年生の35人学級廃止,障害者施策の一部や救命救急センターへの助成の削減まで盛り込まれていました。 これらの削減に反対する運動が急速に広がり,知事提案では結局見送らざるを得ませんでした。 こうした運動の成果を確信にして,大阪府民は,知事提案の抜本的見直しを求める世論を広げていかなくてはいけません。
2008年06月15日
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日本軍「慰安婦」問題を扱ったNHK番組が改竄されたとして,市民団体「バウネット・ジャパン」がNHKと制作会社2社を訴えていたNHK裁判の上告審判決が6月12日,最高裁第一小法廷でありました。 横尾和子裁判長は,NHKに損害賠償を認めた東京高裁判決を破棄しました。 判決は,放送法で規定されている報道・編集の自由をあげ,「取材を受けた側の期待や信頼は原則的に法的保護の対象にならない」と述べ,保護の対象となるのは「取材対象者に格段の負担が生ずる場合」と限定し,バウネットはこれに当たらないとしました。 高裁判決では,取材に協力したバウネットの番組への期待を違法に侵害し説明義務を怠ったとしていました。 番組が改変されたことへのバウネットへの「説明責任」についても,「特段の事情」がない限り「法的な説明責任が認められる余地はない」と退けました。 焦点の「政治の介入」について,高裁判決ではNHK幹部が自民党の安倍晋三官房副長官(当時)らの発言を忖度(そんたく)して番組改変を行った事実を認めました。 しかし,判決ではNHK幹部との接触を認めただけで,改変に至った過程で与党政治家がどのような影響を与えたかなどの判断を避けました。 原告弁護団は「政治家の圧力を正面から取り上げないまま,取材協力者の期待や信頼が保護されるのは極めて例外的とした不当判決。憲法21条を『政治家のための表現の自由』に変ぼうさせ,国際的に批判を受けるのは間違いない」とのコメントを発表しました。 バウネットの西野瑠美子共同代表は記者会見で「政治家の介入を容認した判決に怒りを感じる。裁判には負けたが,政治家の意思を忖度して番組を改竄した事実を人々の記憶に残すなど,7年のたたかいで大きな道を開くことができた」と語りました。 問題の本質をことごとく外した判決でした。 裁判の最大の焦点は,安倍晋三官房副長官(当時)の政治的圧力に屈して,制作現場をねじふせて番組の趣旨を曲げてしまったNHK上層部の行為が許されるのかどうか,ということでした。 しかし,最高裁判決は高裁判決が認めた詳細な事実,安倍氏との接触後に大きな改竄が行われたという編集過程の異常さを一顧だにせず,抽象的で形式的な「編集の自由」に終始しました。 ここで問われるべきことは一般論としての編集権ではありません。 高裁判決が判断したように,NHK上層部による番組改変は「憲法で保障された編集権を自ら放棄したに等しい」もので,政府・自民党との近すぎる距離が問われたはずです。 憲法21条の表現の自由は,誰のために何のためにあるのか。 政治家の圧力に屈した編集についてまでも,表現の自由を認めているのか。報道機関の報道の自由は,国民の知る権利に奉仕するものであるがゆえに,もっとも権力から自立していなければならないのです。 これまで闇に埋もれてきた政治介入の事実が,市民の訴え,現場スタッフの告発で明らかになった意義は,改めて記憶にとどめたいことです。
2008年06月14日
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6月13日の年金からの保険料天引きを前に,福田内閣と自民党,公明党が「後期高齢者医療制度」の「見直し」案を決めました。低所得者の負担軽減策の追加,一部の人の年金天引きを口座振替に変更できるようにするなど当面の対策を並べています。 後期高齢者医療制度には実施前から国民の厳しい批判が寄せられ,昨年の参議院選挙で自民党・公明党連立与党が大敗したことを受けて,福田内閣は一部凍結を余儀なくされています。 それにもかかわらず福田内閣と自公は,実施からわずか2ヶ月半で再び「見直し」に追い込まれました。 短い間に政府・与党が「見直し」を繰り返さなければならないこと自体が,この制度の矛盾の深さを示しています。「見直し」の継ぎはぎは,分かりにくい制度をますます分かりにくく複雑にして,新たな矛盾を生むだけです。 高齢者を年齢で差別する制度の根本が間違っているのであり,廃止して一から出直さない限り矛盾は解決できません。 この制度が「平成のうば捨て山」と呼ばれるのは,お年よりを健保や国保,扶養家族から引き離し,寂しい山にぽつんと取り残すように別枠の医療制度に押し込めるからです。 これが後期高齢者医療制度の根幹であり,矛盾の根源です。 「後期高齢者は,この制度の中で,いずれ避けることができない死を迎えることとなる」(厚生労働省の社会保障審議会)。こんな思いやりのかけらもない位置づけをして,75歳以上を別枠の制度に囲い込み,集中的に医療費を抑制する枠組みです。 「延命治療を望まないという選択も尊重すべき」だという財界の提言に従い,病院から追い出して安上がりの「みとり」を奨励する冷酷さは制度の根幹に由来しています。 しかも,高齢者の比率が高まるにつれ,また医療技術が進歩して医療費が増えるにつれ,高齢者の保険料を自動的に値上げする過酷な仕組みです。 厚生労働省の資料をもとに試算すると,団塊の世代が「後期高齢者」となる2025年度には保険料が2倍を超えてしまいます。 小手先の「見直し」は,はじめは低金利でも数年後に金利が跳ね上がるサブプライムローンが招いたアメリカの住宅ローン地獄のように,高齢者を保険料地獄に導きます。 制度の根幹を温存する限り,保険で受けられる医療の中身も貧しくなっていかざるを得ません。 政府,自民党・公明党連立与党の「見直し」は,いわば「うば捨て山」の“入山料”の一部を一時的に引き下げるようなものです。山に連れて行きさえすれば,いずれ医療費の削減や負担増の目的を果たせるという算段です。 後期高齢者医療制度の根幹に対する怒りが,政治的立場の違いを超えて広がっています。 テレビ番組で野中広務・元官房長官は,「銭勘定だけで,人間としての尊厳を認めていない」と述べました。中曽根康弘・元首相は「至急,これは元に戻して,新しくもう一度考え直す,そういう姿勢をハッキリ早くとる必要があります」と明言しています。 お年よりを嫌っていた殿様が,お年よりの深い知恵を目の当たりにして改心し,「60歳になった年よりは山に捨てること」というお触れ書きを廃止する。 長野県の姨捨(おばすて)山を舞台にした「うば捨て伝説」は,こんなお話です。 論戦と世論の力で後期高齢者医療制度を廃止に追い込み,この伝説のように,政治に敬老の精神を取り戻す必要があります。
2008年06月13日
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6月11日,民主党などの提出した福田首相問責決議案が上程された参院本会議が開会中の同時刻,国会内外で自民党と民主党などが政策協調体制を積み上げる会合が複数開かれていました。 ひとつは,国会近くのホテルで開かれた二十一世紀臨調,経済同友会,連合の主催で開かれた「公務員制度改革緊急シンポジウム」。 官民癒着を認め,国民へ奉仕する国家公務員から時の政権へ従属する公務員へ変える国家公務員制度改革基本法は,民主党が急転賛成に回ったことから修正成立。 シンポジウムは,その盛り上げをはかるためにおぜん立てされました。 出席した渡辺喜美・公務員制度改革担当相は「画期的な法案を成立させてもらった。骨抜きされないことが当面の最大課題」と民主党のさらなる協力を求めました。 自民党の中川秀直元幹事長は「今回の基本法成立は道州制につながる長期の改革の入り口。与野党でいがみ合っていては,喜ぶのは改革を望まない旧体制だ。与野党が話し合って答えを出していくことが大事だ」と民主党の自民党への同調姿勢を誘いました。 これに対し民主党の松本剛明前政調会長は「自公政権には是々非々で対応していく。政策の競争をさせてもらいたい」と応じました。 一方,同じ時刻。 国会内で自民,民主,公明などの国防族議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の定例会合が開かれました。同会は,当面の目標に自衛隊海外派兵一般法(恒久法)の制定をにらんで与野党の共通認識を深める場になっています。 塩崎恭久元官房長官(自民),渡辺周衆院議員(民主)など自民党・公明党・民主党・国民新党各党から16議員が出席しました。 さらに同夜,自民党・公明党・民主党国防族議員でつくる安全保障議員協議会(瓦力会長)が国会近くの千代田区永田町の個室割烹で懇親会を開きました。 安保議員協は昨年秋に表面化した軍事利権問題にかかわって軍事産業界との接点としてクローズアップされ,しばらく活動を控えていました。同夜の会合は活動再開をにらんで呼びかけられました。 問責決議案を強行提出する,その足元で安保・防衛や内政の基本政策で自民党との協調体制を広げている民主党。 一体,国民にどう説明するのでしょうか。
2008年06月13日
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6月11日,民主党などの提出した福田首相問責決議案が上程された参院本会議が開会中の同時刻,国会内外で自民党と民主党などが政策協調体制を積み上げる会合が複数開かれていました。 ひとつは,国会近くのホテルで開かれた二十一世紀臨調,経済同友会,連合の主催で開かれた「公務員制度改革緊急シンポジウム」。 官民癒着を認め,国民へ奉仕する国家公務員から時の政権へ従属する公務員へ変える国家公務員制度改革基本法は,民主党が急転賛成に回ったことから修正成立。 シンポジウムは,その盛り上げをはかるためにおぜん立てされました。 出席した渡辺喜美・公務員制度改革担当相は「画期的な法案を成立させてもらった。骨抜きされないことが当面の最大課題」と民主党のさらなる協力を求めました。 自民党の中川秀直元幹事長は「今回の基本法成立は道州制につながる長期の改革の入り口。与野党でいがみ合っていては,喜ぶのは改革を望まない旧体制だ。与野党が話し合って答えを出していくことが大事だ」と民主党の自民党への同調姿勢を誘いました。 これに対し民主党の松本剛明前政調会長は「自公政権には是々非々で対応していく。政策の競争をさせてもらいたい」と応じました。 一方,同じ時刻。 国会内で自民,民主,公明などの国防族議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の定例会合が開かれました。同会は,当面の目標に自衛隊海外派兵一般法(恒久法)の制定をにらんで与野党の共通認識を深める場になっています。 塩崎恭久元官房長官(自民),渡辺周衆院議員(民主)など自民党・公明党・民主党・国民新党各党から16議員が出席しました。 さらに同夜,自民党・公明党・民主党国防族議員でつくる安全保障議員協議会(瓦力会長)が国会近くの千代田区永田町の個室割烹で懇親会を開きました。 安保議員協は昨年秋に表面化した軍事利権問題にかかわって軍事産業界との接点としてクローズアップされ,しばらく活動を控えていました。同夜の会合は活動再開をにらんで呼びかけられました。 問責決議案を強行提出する,その足元で安保・防衛や内政の基本政策で自民党との協調体制を広げている民主党。 一体,国民にどう説明するのでしょうか。
2008年06月12日
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福田康夫首相にたいする問責決議案を民主党などが参議院に提出し,野党の賛成多数で可決されました。 首相の問責決議が可決されたのは,現憲法下で初めてです。福田首相をはじめ政府は,問責決議を重く受けとめるべきです。 昨年9月の政権発足以来9ヶ月近くにわたる福田内閣が,内政でも外交でも国会の問責決議に値することは議論の余地がありません。 安倍晋三前内閣が昨年夏の参議院選挙で大敗北し政権を投げ出したあと政権をスタートさせたにもかかわらず,福田内閣はアメリカ・財界言いなりの政治の基本路線は転換せず,自衛隊の海外派兵や必要のない道路計画への固執,75歳以上の高齢者に差別を押し付ける後期高齢者医療制度の強行など,国民の意思に反した悪政を続けてきました。 政権発足以来下がり続けてきた各マスメディアの内閣支持率はいまや30%を割り込んで20%台に低迷しており,この内閣が国民の支持を失っていることは明白です。 福田首相が問責決議に値することは,どこから見ても明らかです。 しかしそのことと,どういう状況の下で問責決議案を提出するかは別問題です。 ひとつは,問責決議案は大変重いものであり,それを行使するにはその重みにふさわしい効果が得られる時期を選ぶべきなのに,現状ではその機が熟しているとはいえないことです。 問責決議が可決されても解散・総選挙の可能性がないことは提案者の民主党も認めています。 問責決議は何回も出せばいいというものではありません。 その重みにふさわしい効果が得られる状況がないもとでその手段を行使することは,野党にとって重要なたたかいの手段を失うことになります。 もうひとつは,解散・総選挙を実現するには何より国会論戦で自民党・公明党連立政権を追い詰めることが重要なのに,民主党がこの国会でとってきた態度にはそのための真剣な姿勢も努力も欠け,もっぱら党略的な都合で問責決議案を提出したことです。 民主党などが問責決議案を提出した6月11日はもともと国会で党首討論が予定されていました。ところが,問責決議案の提出で党首討論は取りやめになりました。 せっかくの議論の場を「議論したあとでは(問責が)出しにくくなる」(民主党幹事長)などの理由であっさり放棄した民主党に,国会論戦で自民党・公明党連立政権を追い詰めるという姿勢は見られません。 もちろんこうした経過があったにせよ,問責決議が可決された以上,福田首相はじめ政府がこれを重く受けとめるのは当然です。 とりわけ高齢者差別医療の廃止法案については,国民の前で徹底した審議を行い,衆議院でもこの国会で可決・成立させるため,あらゆる努力を払ってほしいものです。
2008年06月12日
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福田康夫首相が6月9日記者会見し,地球温暖化対策の基本方針(「福田ビジョン」)を明らかにしました。この方針で,開催まで1ヶ月を切った北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を主導する狙いです。 驚くことに,温室効果ガスの削減について2050年までの長期目標は示したものの,焦点となっている2020年までの中期目標は明示せず,来年に先送りしました。 日本の姿勢が不明確だと,環境問題に取り組むNGO(非政府組織)などから批判が上がっているのは当然です。 世界的な気候変動や生態系の異常を引き起こしている地球温暖化に対策をとることは,文字通り人類の生存にかかわる緊急の大問題です。 地球温暖化対策が最大の議題になる洞爺湖サミットを目前に,鳴り物入りで発表した「福田ビジョン」で中期目標を打ち出さないのは,この問題への真剣さを疑わすものです。 確かに長期目標では温室効果ガスを「60%-80%削減する」としていますが,これから40年も先です。 まず中期目標を確立することが効果的な対策にとって不可欠であり,国際的にはすでにEU(欧州連合)などが削減目標を明らかにしています。 中期目標の重要性については,福田首相も再三認めてきました。 にもかかわらずサミット前には示さず,京都議定書に続く温暖化対策が議論される来年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)前の「しかるべき時期」に発表するとしたのは,国際的な交渉を口実に,目標の決定を先送りしたものです。 温暖化対策は一国だけで実現できない以上,国際的な交渉はもちろん重要です。 しかし,長期的にも中期的にも日本が温室効果ガスをいつまでにどの程度削減するかの目標をきめることは,温暖化対策に取り組む日本が率先してやるべきことで,国際的な交渉を口実にそれを先延ばししようというのは,温暖化に対し全く切迫感のない態度です。 自民党・公明党連立与党の中には,中期目標は「交渉の道具」として使うべきで,その発表は「国益が確保できる最適な時期」とすべきだ(川口順子自民党環境部会長)とか,「カードをいつきるか,ある程度の自由度があってもいい」(斉藤鉄夫公明党政調会長=いずれもNHK「日曜討論」で)などと,目標の設定を,駆け引きの道具にすべきだという意見まであります。 とんでもない話で,福田首相や自民党・公明党連立与党は,発展途上国などに削減を押し付け,日本の削減目標を低くすることが「国益」だとでも考えているのでしょうか。 「先進国は2020年までに1990年に比べ25%-40%削減すべきだ」というのが国際的な共通認識になっています。日本はまずこの目標達成のために,自らの中期目標を決定すべきです。 福田首相がその「ビジョン」で中期目標を明示しないばかりか,2020年までに1990年比20%削減するというEUの中期目標は2005年比では14%にしかならないとか,14%なら日本も削減可能だなどとして,低い目標を示唆し,「基準年」見直しまで言い出しているのは,不信を広げるものでしかありません。 EUとは逆に日本は排出を増やしており,14%では1990年比でわずか4%程度の削減にしかなりません。 最近も世界の400以上のNGOが日本に中期目標の明示を求めました。 地球温暖化に大きな責任を負う先進国としても,サミット議長国としても,日本政府の姿勢が改めて問われます。
2008年06月11日
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自衛隊をいつでも海外に派兵できる海外派兵恒久法づくりに向けた動きが急ピッチで進んでいます。 恒久法づくりを進めている自民党と公明党の与党プロジェクトチームは,会期末までに法案の要綱案をまとめる予定です。要綱案ができれば,8月末に召集するといわれる臨時国会に向けて法案化し,政府の手で提出させることを狙っています。 自民党,公明党に民主党の国会議員を加えた「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」も同時並行で法案づくりを進めています。 政府と一体となった恒久法づくりは危険な状況を迎えています。 石破茂防衛大臣は先月31日,アジア太平洋地域の防衛大臣らが参加した第7回アジア安全保障サミットで演説し,「われわれは国際平和協力活動のため一般法(恒久法)をつくらなければならない」と述べ,恒久法への執念をみせつけました。 与党の動きをバネに,国際社会の支持につなげて制定作業にはずみをつける狙いをこめた重大発言です。 海外派兵が必要になるたびに特別措置法をつくり,国会承認を受けるのがいまのやり方です。恒久法はこれをやめ,アメリカなどから要求があれば,政府の判断で,自衛隊をいつでもどこにでも期間も限定しない派兵をめざすものです。 恒久法の制定を急ぐのは,来年1月に期限が切れるインド洋での給油支援活動と来年7月で期限が切れるイラクでの空輸支援活動を,特別措置法の改定によらないで自動継続するのが当面の目標です。 テロ特措法延長の際,参議院で否決されたのに,衆議院で自民党,公明党の数の力で再議決を強行して国民の怒りを買ったような事態を避けるのも狙いです。 インド洋からもイラクからも自衛隊を即時撤退させよという国民の願いをふみにじるようなことを許すわけにはいきません。 しかも検討されている恒久法の内容がじつに重大です。 連日の与党プロジェクトチームの会議では,人道復興支援だけでなく,後方支援や警護,治安の活動,武器使用基準の緩和についても検討しています。 イラク派兵差し止め訴訟で確定した名古屋高裁判決は,イラクでアメリカ兵や軍事物資を空輸することがアメリカ軍の武力行使との一体化にあたり,憲法違反だと断罪しています。 後方支援を当たり前とする議論ひとつとっても恒久法が憲法違反であるのは明白です。 治安維持や警護活動の容認をめざす議論も見過ごしにできません。名古屋高裁判決はイラク情勢を「国際的な戦闘」と認定しました。 治安維持活動といいかえても,イラク派兵が違憲であることにかわりありません。警護も武器使用を伴い,戦闘行動に発展する可能性がつよい活動です。 許されるはずはありません。 与党が検討している恒久法は,海外で日本を自動参戦の道にひきこむ違憲立法です。戦争を放棄した憲法九条に真っ向から違反する亡国の議論はただちにやめるべきです。 海外派兵恒久法は,アメリカの先制攻撃戦略にそって日米安保条約=軍事同盟を世界的規模に拡大するためにアメリカが求めているものです。 アメリカの求めに応じて,自衛隊を戦場に送り込み,アメリカ軍とともにたたかわせるのが本質です。平和な日本をつくる国民の願いが台無しにされるのは明白です。 アメリカいいなりの恒久法ではなく,憲法九条を生かした自主的外交こそ,いま日本がやるべき課題です。
2008年06月10日
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衆参両院の議院運営委員会の委員長と自民・民主両党の筆頭理事は6月9日,衆参両院合同代表者会議を開きました。 その席で衆議院の笹川尭(自民党),参議院の西岡武夫(民主党)の両議運委員長が自民,民主の両会派に対し,憲法審査会を始動させるための規程の議決について検討を要請しました。 笹川氏は,「衆院の方では一応めどが立てられるが,参院の方ではどうにもならない。参院の理事に民主党の中をまとめてほしい」と発言。 院の違いをこえて,審査会規程の議決へ民主党の協力を強く求めるなど,なりふり構わない姿勢を見せました。 しかし,この日の会合は意見交換にとどめ,審査会規程の内容についての議論や今後の方向性についての確認などは行われませんでした。 昨年5月に自民党・公明党連立与党が強行した改憲手続き法にもとづいて,憲法審査会が国会に設置されましたが,委員数や審査のルールを定める審査会規程はいまだに決められず,審査会は始動できていません。 憲法審査会規程の議決をめぐって衆参両院の合同代表者会議まで開いて協議したことは,国会が会期末を迎える中で,なんとしても議決への道筋をつけようという改憲派の執念を示すものです。 遅くとも次の臨時国会からは憲法審査会を始動させるという狙いがあります。 自民党の笹川尭衆院議院運営委員長は会見で,「いつまでも結論を出してもらえないなら,それなりの措置をせざるをえない」などと発言しています。自民党憲法審議会幹部も「衆院だけでも議決するという可能性は排除していない」と述べており,衆議院単独での憲法審査会の始動という強硬路線を選択肢に入れています。 こうした動きの背景には,自民党,公明党,民主党,国民新党各党の議員らでつくる新憲法制定議員同盟など改憲派の強い圧力があります。 また笹川氏は,「参院側でひとつ,民主党の中をまとめてほしい。今国会中になんとか努力してほしい」と民主党の協力を強く求めました。 もともと民主党は改憲という点では自民党と同じ土俵に立っています。 3月に開かれた新憲法制定議員同盟の総会では,鳩山由紀夫幹事長ら幹部が同議員同盟の役員に就任しています。民主党憲法調査会関係議員も「審査会規程の議決をいつまでも先延ばしにはできない」としており,改憲論議の推進そのものに反対ではありません。
2008年06月09日
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「うば捨て山」の医療制度をこれ以上存続させてはいけない。 6月6日の参議院本会議で,後期高齢者医療制度廃止法案が133対98の賛成多数で可決されました。 4月1日にいったん始まったばかりの制度に,立法府のひとつの院が明確に「待った」をかけたことは,制度存続の根拠を大本から突き崩すものです。 国民の怒りの急速な広がりと,参院の与野党逆転状況が結びついた画期的な成果です。 後期高齢者医療制度の根拠となる医療制度改悪法は,2年前の2006年6月14日の参議院本会議で,自民党・公明党の連立与党が強行成立させました。当時の小泉純一郎首相が推進した医療「構造改革」の総仕上げという位置づけでした。 当時,自民党・公明党連立与党は,「超高齢化時代を展望した安定的な高齢者医療制度の創設」と自慢し,「安心の基盤である医療制度を子や孫の世代にまで引き継ぐ」(自民党・中村博彦参議院議員)ために制度を成立させなければいけない,と力説していました。 2年たったいま,自民党・公明党連立与党から制度の「正当性」を語る言葉はすっかり消えうせました。 「年齢」という線引きで高齢者を医療から締め出し,負担増を強いる制度の本質が隠しようもなくなってしまったからです。制度発足のその日に,「長寿医療制度」などと呼び替えをしなければならないこと自体,制度の破たんを象徴するものでした。 野党の廃止法案の審議がされた3日の厚生労働委員会では,自民党の「厚労族のベテラン」である尾辻秀久元厚労相が「人間の作ったものに完ぺきなものなどあるはずない。私どもも反省している」と発言。 別の自民党議員も「与党の責任も重大だった」などと公然と述べました。 舛添要一厚生労働相まで「私は設計にはかかわっておりません。しかし,財政の論理が優先しすぎたと反省しないと」(6月5日の厚生労働委での答弁)などと言い出す状況です。 このため自民党・公明党連立与党側は廃止法案について,「廃止は無責任だ」という攻撃にほぼ終始しました。 しかし,野党側は「間違いが明らかになっていながら引き返そうとしない与党の態度こそ無責任だ」(日本共産党の小池晃議員)と批判。参考人質疑(6月5日)では「もとの制度に戻すことは無責任でもなんでもない」(笹森清・労働者福祉中央協議会会長)という声が上がりました。 与党内から,「至急元に戻して新しくもう一回考え直す」(中曽根康弘元首相,5月25日のテレビ番組),「いったん凍結してゼロベースで国民的議論を」(堀内光雄自民党元総務会長,『文芸春秋』6月号)という声が噴出しています。 自民党・公明党連立与党側は,保険料の一部「軽減策」でごまかすことを狙っていますが,マスメディアからは「負担を減らせば高齢者の怒りが収まると考えているとすれば,本質が見えていない」(「毎日」6月6日付)と批判の声が上がっています。 制度の廃止を求める署名は草の根レベルで広がり,600万人を突破しています。580を超える地方議会が「見直し」を求める意見書を可決しています。制度に異議を唱える都道府県の医師会は30以上です。 政府・与党は,この民意の結晶ともいえる「廃止法案の参議院可決」の重みを正面から受け止め,廃止法案を衆議院で可決,成立させ,差別医政療制度の廃止に踏み切るべきです。
2008年06月08日
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府民の「自己責任」と「互助」,そして,大阪・関西の“分権と集権”。 6月5日,大阪府の橋下徹知事が発表した「大阪維新プログラム案」の「大阪維新の先にあるもの」の文言です。 橋下徹知事は,「我慢のあとになにか待っているとか,夢やビジョンを打ち出すための財源確保でもない。市町村に権限と金を移して府と市町村のあり方を見直し,少子化,都市間競争をのりきるための道州制へのスタートとして位置づけている」と強調します。 「維新案」は,「収入の範囲内で予算を組む」ことを前提にした「改革プロジェクトチーム」の「財政再建プログラム試案」(PT案)を基本的に踏襲。 セーフティーネットも含めたあらゆる施策に大ナタをふるうPT案には,府PTA協議会が35人学級と学校警備員の継続を求めて100万筆を超える署名を提出したのをはじめ,各分野から200万を超える要望署名が府に提出されています。 議会でも自民党を含む全会派が府民のセーフティーネットや文化・スポーツ関連施策の存続を要求し,知事の判断が注目されていました。 「維新」案は,「財政再建」「重点政策」「府庁改革」の三つの柱。 「財政再建」では,実質削減である今年度1,100億円の「効果額」の内訳は一般施策245億円,建設事業75億円,人件費345億円,歳入確保435億円。「府債発行ゼロ」としていましたが退職債を85億円発行しています。 市町村から強い反発が寄せられた市町村振興補助金は今年度は継続し,来年度から交付金制度を創設。 ガイドヘルパーや住宅改造など高齢者や障害者を地域で支援する諸事業も今年度は継続しますが,来年度から見直します。学校の非常勤職員や35人学級に伴って配置されている単独加配教員の削減を打ち出しています。 ほかに,青少年会館の廃止や女性総合センターを運営する男女共同参画推進財団への補助廃止,大阪センチュリー交響楽団に対する運営補助は大幅削減して継続することが盛り込まれています。 一方,安威川ダムや槇尾川ダムの建設,住宅開発の「箕面森町」,阪神高速道路建設などのムダな開発は工事着工延期にとどめ,事業は継続します。 重点事業には「大阪の特徴化」を強調し,子育て支援の交付金制度創設,救急医療の輪番制の導入,産科・小児科医の確保,放課後学習や公立中学校でのスクールランチの実施などを含めて計31事業57億円をかかげています。 今回の「大阪維新案」では,35人学級など府民の世論と運動で一定の施策は守られました。 しかし,『大阪維新案』は結局,府民と職員にだけ痛みを押し付けるもので,財政悪化の主な要因である大型開発は聖域扱いにし,大枠はPT案通りといわざるを得ません。 本当の意味で,橋下徹知事が試されるのはこれからかも知れません。
2008年06月07日
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福田康夫首相は6月3日,ローマで開かれている食料サミットでの演説で,「(日本)国内の農業改革」を進め,食料自給率の向上に「あらゆる努力を払う」と述べました。 首相がこう言うのなら,世界的な食料危機のなか,世界中から食料を買い集め,食料自給率を先進国中最低の39%にまで落とした自民党農政の破たんを認めるべきです。 食料危機問題で日本が積極的な貢献をするためにも,農政,とりわけコメ政策の抜本転換が迫られています。 その第一は,日本にとって不要な年間77万トンものミニマムアクセス(MA)米の輸入を中止することです。 福田首相は,国際市場でのコメ価格の高騰を抑えるため,日本が輸入した備蓄米から30万トン以上を「放出する用意がある」と述べました。 コメ不足の国々に支援することは当然です。MA米の在庫は120万トンにも積み上がっており,食料危機の直撃を受けている国々への緊急援助に活用すべきです。 同時に,首相の言明はMA米輸入の問題も浮き彫りにしています。野党は長年にわたって,MA米の輸入は世界貿易機関(WTO)農業協定上も「輸入機会」の提供にすぎず,義務でない輸入を中止すべきだと主張してきました。 政府は輸入を「義務だ」と言い張ってきましたが,コメ価格の高騰で予定した輸入をあきらめざるを得なくなっており,その主張は破たんしています。 政府は5月,コメが不足しているフィリピンにMA米を売却する方針を固めましたが,それに先立って,アメリカ政府にわざわざこの方針への許可を得ています。 この動きは,MA米の輸入が実は米国に押し付けられたことを裏付けたもので,アメリカへの卑屈な従属ぶりを示しています。 日本国内では減反の強制をやめ,農家に生産コストを保障する不足払い制度の確立と備蓄制度の充実など,コメの需給と価格の安定対策を実施すべきです。 小規模農家を支援対象から排除する政策もただちに中止することが求められます。 町村信孝官房長官は5月末,「減反政策を見直していく必要」を表明しました。政府は米価下落を抑えるためとして,農家に減反を押し付けてきました。 それがいま,減反政策の失敗と増産の必要を認めざるを得なくなっています。しかし,米価を保障する政策を示さないまま減反廃止をいうだけでは,米価下落を懸念する農家にいっそう混乱をもたらすだけで,無責任のそしりをまぬがれません。 強制減反をやめるとともに,価格保障を行うことが重要です。 国際的な穀物価格の上昇は国民生活にも影響しています。 一部のムギ製品では,輸入品が国産品より高くなる事態が生まれています。輸入への依存が大きいムギ,大豆,飼料穀物などを,価格保障などの施策で本格的に増産しなければなりません。 福田首相の発言を食料サミット向けのリップサービスだけで終わることなく,日本農業の本格的再生をめざして,農業・食料政策の抜本転換に結び付くようリーダーシップを発揮して欲しいものです。
2008年06月06日
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政府・与党は,後期高齢者医療制度の導入の口実に「現役世代の負担を減らす」ことをあげています。しかし実際には,現役世代にも保険料値上げがおそいかかっています。 シリーズで取り上げている後期高齢者医療制度の最終回は,現役世代を直撃する負担増をみました。 「4月から高齢者医療制度が変わり,健保組合の保険料が急増します」 テンプスタッフなど約400社の人材派遣会社,約45万人が加入する人材派遣健康保険組合が,こんなお知らせを加入者に配布しました。 派遣健保の健康保険料は,これまで収入の6.1%(これを労使で負担)でした。それが4月から7.6%(同)に上がりました。 月収24万円の派遣労働者の場合,これまで月7,320円だった保険料が,4月から9,120円に。月1,800円,1.2倍の負担増です。給与明細を見た派遣労働者からは,「今後どれだけ上がるか不安」などの声が出ています。 大企業のサラリーマンなどが加入する健康保険組合の全国組織「健康保険組合連合会(健保連)」の調査では,4月以降「保険料率を引き上げる」と回答したところが,全体(1,502組合)の約10%にあたる141組合にのぼりました。 現役世代の保険料が上がるのは,後期高齢者医療制度導入にともなう負担変更によるものです。 これまでの「老人保健制度」が新制度に変わることで,組合健保,政管健保など現役世代が負担するお金も,「老人保健拠出金」から「後期高齢者支援金」に変わりました。 65歳-74歳の医療費に対する「前期高齢者納付金」も,4月から始まりました。 高齢者医療の二つの制度変更によって,これまでの拠出金・納付金と計算方法が変わりました。このため,2007年度に比べて組合健保が4,300億円,政府管掌健康保険が1,500億円,共済組合保険が1,100億円の負担増となりました。 この制度変更は,全体として国民健康保険の負担を減らすしくみだと説明されています。しかし実際には,「後期高齢者医療制度の実施」を理由にして,国保料(税)を値上げする自治体もあります。 政府・与党は,「世代間の負担の公平」などといっています。しかし実際には,すべての世代に負担増を押し付ける内容になっているのです。 「後期高齢者支援金」には,とんでもない“ペナルティー(罰則)”があります。 4月に始まった「特定健診・特定保健指導」(いわゆる「メタボ健診」)。 健診の受診率やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善状況によって,組合健保や国保などが負担する支援金を,最大10%加算したり減らしたりする仕組みを取り入れました。 受診率が低かったり,従業員のメタボの改善がすすまないと,支援金が上がることになります。 この加減算は,2013年度から動き出す予定です。制度をこのまま継続させると,こんなペナルティーが始まってしまいます。 いままでサラリーマンなどの扶養家族だった75歳以上(約200万人)への新たな保険料負担も,現役世代にのしかかります。 65歳-74歳の国保料の年金天引きも,10月から本格化しようとしています。 自民党・公明党連立与党の「手直し」は,これらの制度の「定着」を狙うもので,根本的な解決とは無縁のものです。 現在も,将来も,国民に災厄しかもたらない医療制度は,廃止しかありません。
2008年06月05日
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世界的な食料危機のなかで,6月3日から国連食糧農業機関(FAO)が主催する食料サミットがローマで開かれました。 コメ,小麦,トウモロコシなど主食となる食料の価格が急激に上昇し,とりわけ貧しい国々の国民生活を直撃しています。食料サミットはこの事態に対処するため,国連の潘基文(パンギムン)事務総長が急きょ呼びかけたものです。 経済協力開発機構(OECD)とFAOは5月下旬,今後10年間は食料価格が高止まりするとの見通しを発表しています。価格高騰には短期,中期の複合的な要因がありますが,その多くが人為的なものだとする理解が広まっています。 国際的な協力と支援によって当面の危機を打開するとともに,問題解決への道を開くことが強く求められています。 1996年にローマで開かれた世界食料サミットは,世界8億人の飢餓人口を2015年までに半減するとの目標を掲げました。しかし,飢餓人口は逆に増加をたどり,12年後のいま「危機」が叫ばれる事態にいたっています。 食料サミットでは,緊急の食料援助をはじめ,食料輸出国による輸出規制の抑制,穀物価格高騰の要因のひとつであるバイオ燃料製造問題,アフリカなど飢餓問題を抱える国々での農業生産拡大,地球温暖化対策などが議論されるとみられます。 同時に,生きるのに必要な食料を入手できない層が拡大する背景に,利潤追求を第一にした資本の動きがあることは見過ごせません。 そのひとつが投機です。 世界の穀物相場に大きな影響をもつアメリカ・シカゴの商品先物市場には,ヘッジファンドとその背後にいる大手金融機関の資金があふれています。綿花の価格が「一日で倍になった」(アメリカ農業団体)という異常ぶりです。 国際的な協力で実効的な投機規制に踏み出すことが必要です。 商品価格の高騰は「市場の基礎的条件によるもの」として規制に反対してきたアメリカ・商品先物取引委員会(CFTC)さえも5月29日,原油先物市場の「透明性の改善」策を発表しました。 穀物市場の取引にかかわる措置も一部含まれ,アメリカ議会など内外の批判の高まりを受けて重い腰を上げざるをえなくなっています。 穀物の生産・加工・流通を支配している巨大多国籍企業(アグリビジネス)も,投機とも連携しながら大儲けしています。最大の穀物メジャーであるカーギル社の利益は2008年1月-3月期に前年同期比86%増と急増しています。 ADM社の利益は同42%増で,穀物販売部門に限れば約7倍といいます。同社はトウモロコシを原料とするバイオ燃料製造を主導し,ブッシュ政権のエネルギー政策のもとで原油価格高騰の追い風を受けて,利益を急速に伸ばしています。 穀物を食用でなく燃料に使うバイオ燃料のブームには世界的に批判が高まっており,バイオ燃料製造に力を入れてきた欧州連合(EU)もその姿勢を変えています。 投機資金や一握りの多国籍企業の利潤追求の手をしばることは,食料価格の安定に不可欠です。 中期的には,世界の農業構造の改革が欠かせません。 食料危機に直面している地域をはじめ世界各地で,地域社会が必要とする食料の生産に欠かせない家族農家による農業生産を立て直す必要があります。 輸出やバイオ燃料製造などに向けられた,農業生産のあり方を見直すべき時です。
2008年06月04日
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“社会保障財源の確保”を口実に消費税増税を求める発言が政府・与党で相次いでいます。6月中に発表が予定される政府の社会保障国民会議の「中間報告」をふまえ,自民,公明両党とも党税制調査会総会で増税論議を加速させる構えです。 「(社会保障予算の自然増を)毎年2,200億円削れというのは絶対無理だ。…消費税を上げるべきだ」(尾辻秀久参議院議員会長,5月25日の講演) 今の増税論の特徴は,医療,年金,介護などを切り縮めてきた社会保障予算抑制路線への国民の悲鳴を「消費税増税やむなし」へと誘導しようとしていることです。 同党の谷垣禎一政調会長は,5月29日の日本経団連との政策懇談会で,「これまで2,200億円の削減を続けており,こうしたのを何でも取っ払っていいというわけにはいかない」と強調。 その上で,「結局,歳入をどうしていくかという議論をする時期にきている」と消費税増税への意欲もにじませました。 社会保障予算の自然増を認めるにせよ,削減を続けるにせよ,消費税増税しかないという土俵づくりです。減税につぐ減税で大儲けをしている大企業に応分の負担を求めるという発想は,まったくみられません。 政府・与党は,消費税増税論議への民主党のまきこみを描いています。 伊吹文明自民党幹事長は,後期高齢者医療制度にかかわり「保険料が将来,膨大になる可能性がある。(保険料率アップに)耐えられないとなると,税の議論になってくる。ぜひ税制協議に入っていただきたい」(5月18日,テレビ番組)と発言。 民主党の鳩山由紀夫幹事長に消費税増税に向けた税制協議を呼びかけました。 鳩山氏は「消費税の議論がすぐできるとは思えない」としつつも,「消費税は将来,上げざるを得ないタイミングが必ず来る」と応じました。 民主党は消費税率5%の維持を掲げています。 しかし,昨年末にまとめた「税制改革大綱」で,消費税を「社会保障目的税化」し,将来的に「(税率)引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け,具体化する」と打ち出しています。 与党側が「民主党も(社会保障の)制度設計と財源,特に消費税の問題についての考え方を示さなければ,絵に描いたもちでしかない」(大島理森自民党国対委員長)などと牽制しているのは,民主党の足元をみているためです。 実際,民主党内からは「政策において,財源問題がネックになりつつある」(峰崎直樹・参議院財政金融委員長,5月26日付ニュースレター),「(保険制度は)消費税率アップを抜きに議論できない」(吉良州司衆議院議員,5月19日配信メルマガ)という声もあがっています。 消費税は,低所得者ほど負担が重く,貧困と格差をいっそう広げる最悪の不公平税制です。 社会保障のためと言って1989年に導入されて以降,税収は累計で190兆円。 同じ期間に法人税率は12%も引き下げられ,法人三税(法人税,法人事業税,法人住民税)の減収は累計で160兆円にものぼります。消費税導入前と比べた軍事費の増加額の累計は20兆円に達します。 消費税の大半が法人三税の減収と軍事費の増加に費やされた計算です。 大企業への大盤振る舞いと軍事費という「聖域」にメスを入れれば,財源は生み出せます。 年金でも医療でも,財源といえば,結局は消費税にたどりつく,「二大政党」のこんな不毛な論議で国民は暮らしの明日を描けるでしょうか。
2008年06月03日
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政府・与党と民主党が修正合意し,5月29日の衆議院本会議で可決・通過させた公務員制度改革基本法案は,政・官・業の癒着根絶など国民が求める改革にこたえるどころか,いっそう酷くしかねない政府案の基本点を何ら変えるものではありません。 癒着一掃の問題では,政府案で「官民の人材交流の推進」が明記されるなど,昨年,「天下り・天上がり」が法改定で自由化されたもとで,癒着をさらに深めることが懸念されていました。 民主党は「改革の核心は天下り廃止だ」(馬淵澄夫衆議院議員)と主張していましたが,修正案には一言も盛り込まれず,癒着を生む「官民交流」は手付かずのまま。 「総合職」と名前を変えただけの特権官僚制度も修正されずに残されました。 労働基本権についてはその一部である労働協約締結権について「国民の理解を得て検討する」とした政府案から,「国民の理解のもとに自律的労使関係制度を措置する」としました。 協約締結権などの付与を明確に打ち出した政府の調査会報告からも後退しています。 労働基本権のはく奪は国際労働基準に反するとILO(国際労働機関)が3度も日本政府に是正勧告しており,公務労働者が国民の立場から行政をチェック・改革するためにも緊急課題です。 修正案はこうした要請にほど遠いものであり,マスメディアからも「労働基本権と天下り禁止を譲った」(「朝日」5月28日付)と指摘されています。 修正案では,国会の監視機能を封じると批判されていた「公務員と国会議員との接触規制」が削除されました。 これは当然のことですが,政府案のままの「官民交流の拡大」や「幹部人事の内閣一元化」などを見れば,「全体の奉仕者」であるべき公務員を,官邸と政権党,財界の奉仕者に仕立て上げようとする根幹は変わっていません。 一連の「修正」の背景には,天下り問題や労働基本権などを除けば,与党と民主党の立場に大差がないことがあります。 両者は「官僚主導から政治主導へ」と言葉も論理も同じ立場から「政治任用」や「官民交流」の拡大,公共サービスを切り捨てる公務の民営化,公務員の削減を競い合ってきました。 しかし,貧困と格差が広がるなか国民は「構造改革」路線の転換を求めています。 公務員が「国民全体の奉仕者」として働けるよう,労働基本権回復や政官財の癒着の根絶,公共サービスの拡充などを盛り込んだ基本法案に改めるべきです。
2008年06月02日
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日本政府が「義務」だと称して輸入し備蓄している外国産米(ミニマムアクセス=MA米)の使途をめぐりアメリカの“圧力”が表面化し,ミニマムアクセス米の怪しげな構造が浮き彫りになってきました。発端は,フィリピンでのコメ不足です。日本政府は,フィリピン政府の要請にこたえ,ミニマムアクセス米の輸出を検討しています。この経過にアメリカの影が色濃くありました。農林水産省によると,アメリカ通商代表部(USTR)の報道官が5月15日,声明を出したといいます。内容は「ミニマムアクセス米について日本国内で消費されるべきである,というのがアメリカの見解であったが,今年のコメ市場の特殊状況の下では,コメの国際市場を沈静化させるための特別な措置を検討することも正当化される」(5月19日の白須敏朗事務次官の会見)というものです。“本来は日本国内で消費すべきだが,今回は海外援助に回してよろしい”という内政干渉的なものです。この声明を踏まえて,日本政府は5月23日,ワシントンで,アメリカ国政府と実務者レベルの協議をしました。声明について,農水省は「アメリカ国政府から日本政府に送られてきた政府間の内部文書のようなもので,原文は公表できない」(同省報道室)と説明。在日米国大使館も「この文書について,あちこち調べましたが,公表できるものはありません」(同大使館報道室)といいます。ミニマムアクセス米の輸入は,WTO(世界貿易機関)協定のミニマムアクセス(最低輸入機会)とよばれる規定に基づくもの。輸入機会を提供するということであり,輸入義務ではありません。それなのに政府は「義務」であるかのように扱い,枠いっぱい(コメの国内消費量の7.2%)輸入。輸入量は毎年770,000トンで,今年3月末現在の在庫は約1,300,000トンになります。ミニマムアクセス米の使途は,農水省も認めるように「アメリカの了解を得るような性格のものではない」(5月22日の事務次官の会見)はずです。それなのに,国際機関でもないアメリカ政府が使途に口出ししたのは,ミニマムアクセス米がアメリカ国政府の管理下になっているという疑念を抱かせるものです。外国産米の輸入先の割合をみると,アメリカは52.6%です(2006年,金額ベース)。他の主要な輸入先には中国やタイなどの国もあります。輸入先はアメリカだけではないのですから,なおさらです。ミニマムアクセス米の輸入は本来,義務的でないことを明確にして「義務的輸入」を直ちに中止すべきです。
2008年06月01日
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「自民党はおじいちゃん,おばあちゃんを大事にする政党なんだろ。だから制度をつくったんだろ。困ったことは直せばいい」。 県議選に合わせて沖縄で始まった自民党の後期高齢者医療制度のテレビCMです。 怒っているのか,言い訳しているのか理解しがたいCMです。 後期高齢者医療制度が高齢者を「大事にする」制度だと開き直り,政府・与党による「見直し」をアピールしていることは分かります。 75歳という年齢でお年寄りを差別する後期高齢者医療制度は考え方の根本が間違っています。保険料の一部引き下げなど,小手先の「見直し」ではどうにもなりません。 舛添要一厚生労働相らは,「高齢者の負担を抑えるために保険料負担を1割に抑えた」と強調しています。 しかし,「1割」は最初だけで,保険料は2年ごとに改定し,75歳以上の人口や医療費が増えるに従って自動的に引き上げる仕組みです。 高齢者人口の増加の影響だけで,団塊の世代が制度に入る2025年度に保険料は30%増,現在20代後半の人が制度に入る2055年度には2倍近くに跳ね上がります。医療費増加の影響を含めると保険料は2025年度には現在の2倍以上に膨らみます。 これほど過酷な負担増になる原因は,制度の成り立ちそのものにあります。 厚生労働省の担当者は,「医療費が際限なく上がっていく痛みを,後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした」とあからさまに説明しています。 後期高齢者医療制度の狙いは,75歳以上のお年寄りを別枠に囲い込んで肩身の狭い思いを味わわせ,負担増と差別医療を強いて医療費を抑制することにあります。 社会保険は,自己責任や助け合いではカバーしきれない個人のリスクに備えて,政府も企業も費用を負担し,個人を社会的に支えていく制度として発展してきました。 後期高齢者医療制度は,この発展の流れに完全に逆行する時代錯誤の制度です。 舛添要一厚生労働相は「この国を治めていこうとする者は真っ先に金のことを考えないといけない」(ウェブ版「スポーツ報知」5月5日付)と述べています。 これが間違いのもとです。「はじめに財政ありき」で,いのちと健康を支える医療制度でつじつま合わせをするのは本末転倒です。 高齢者福祉の基本法とされる老人福祉法は基本理念を次のように明記しています。「老人は,多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として…生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」(第2条)。 この理念を後期高齢者医療制度は踏みにじっています。 欧米の内科学会が共同で起草した「医師憲章」は,「医師には,医療における不平等や差別を排除するために積極的に活動する社会的責任がある」と述べています。 医師の責務にとどまらず,医療の発展を望む社会として,医療に「不平等や差別」を持ち込む後期高齢者医療制度は「排除」しなければなりません。 自民党がCMを流し始めた沖縄は長寿県として有名です。 その沖縄で後期高齢者医療制度に大きな怒りの声が上がっています。沖縄県老人クラブ連合会は5月26日,「いのちと健康を年齢で差別する,そのような国・政治に未来はない」と即時撤廃を求めるアピールを発表しました。 お年寄りを「大事にする」というなら,後期高齢者医療制度は廃止する以外にありません。
2008年06月01日
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