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石原慎太郎東京都知事が,都の参与や自民党,公明党国会議員らと料亭などで知事交際費を使って飲食したのは違法だとして,知事に返還を求めた訴訟の判決が1月30日,東京地裁でありました。鶴岡稔彦裁判長は会食2件の支出を違法と認め,計約40万円を返還するよう同知事に命じました。 この訴訟は,葛飾区の「税金を監視する会」の石田千秋代表(同区議)ら3人が,2000年6月から2003年12月まで78件の飲食費支出は違法だとして,計1,194万円の返還を求めていたものです。 判決が違法支出と認定したのは, 石原知事,棚橋泰都参与ら8人が2003年6月,築地の高級料亭「新喜楽」で行った会食(計341,092円) 石原知事,高井英樹特別秘書,民放テレビ番組プロデューサーの3人が2003年3月,銀座のかっぽう料理店で行った会食(計58,065円) 78件中67件については,住民監査請求の期限を過ぎているとして,違法性の有無を判断しないまま訴えを退け,9件については「やや高額」などとしながら,「違法とはいえない」として棄却しました。 原告側の三宅弘弁護士は判決後に行った記者会見で,「1件あたりの金額や会合の必要性まで総合的に判断して違法としたことは評価できる」と述べ,違法認定を得られなかった76件については控訴する意向を表明しました。 都民の税金を湯水のように使いながら,東京都の医療や福祉の予算を切り捨てる石原都知事に姿勢に司法が違法性を示したことは大きな意味があります。しかし,これもまだ氷山の一角に過ぎないと考えます。 石原都知事が3選を目指して春にも都知事として立候補する予定ですが,東京都民は石原都政の8年間を総括して,都知事選挙に臨むことを期待します。
2007年01月31日
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「おっ,手取りが増えている」。1月の給与明細が配布された職場で,こういう声が上がっています。喜ぶのは早すぎます。給与明細に記された所得税額には1月から実施された定率減税全廃による増税も隠れています。 1月の給与明細では,昨年12月の給与明細と比べて所得税額が減額。これによって,手取り収入が増加しました。 これは,国から地方へ税源を移し替える税源移譲の影響です。 税源移譲による所得税の減額が,定率減税全廃による増税額を上回るため,1月から5月までは,先月までの税額を下回ることになります。 しかし,手取りが増えるのも5月まで。今年6月には,税源移譲に伴う住民税増税とともに,定率減税全廃の影響が庶民の家計に響いてきます。 1月20日,朝刊各紙に「所得税(国税)は1月から,住民税(地方税)は6月から納税額が変わります」という政府広報が掲載されました。 上記政府広報は税源移譲では所得税と住民税を合わせた「年額の納税額は基本的に変わりません!」と強調。その下に小さい文字で,実際の納税額には,2007年度から定率減税が廃止されることなどに「ご留意ください」と書きこんでいます。 この「留意」こそが問題です。2007年は年間を通せば,定率減税全廃分だけ所得税と住民税が増税になります。 どれだけの増税になるのか。所得税の定率減税の全廃による年間の増税額は,2006年分給与所得の源泉徴収票を見れば分かります。「年調定率」の項目に書きこまれた税額がそっくりなくなります。この額が増税額になります。 財務省や総務省が,インターネットのホームページ上に特設コーナーを設けて「負担は変わらない」と年初より宣伝していますが,本当に変わらないか疑問に思わないと騙されてしまいます。 政府や体制側は,いつも庶民には分かりづらい方法で庶民を騙してきます。今の世の中はインターネットを通じていくらでも情報を引き出すことができます。国民は分からないあるいは分かりづらいことをそのまま放置するのではなく,自分で調べようと思えば調べられます。 政党の政策や活動,果てはその政党の政党助成金の使途まで,その気があれば調べることができます。自分で調べてこそ,誰かの押し売りではなく自分の確信になり,マスメディアに騙されることも無くなります。 誰かのためではなく,自分自身で関心を持ち調べてこそ,本当の意味で,選挙で「自分の選択」ができると考えます。
2007年01月30日
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施政方針演説で安倍首相は,参院選後に,消費税増税を含む税制の「抜本的改革」の議論を本格的に始めることを改めて表明しました。 政府税調の香西泰・新会長は,辞任に追い込まれた本間前会長の大企業減税の路線を引き継ぎ,「法人税の実効税率について議論する必要がある」と記者会見で述べています。 安倍内閣は大儲けを上げる大企業には減税の大盤振る舞い,所得を減らしている家計には福祉と税金の負担増という,「逆立ち」した税財政運営を強行しています。 安倍内閣は,今後5年間の経済財政運営の基本方針を示す「日本経済の進路と戦略」を,1月25日の閣議で決定しました。 その屋台骨は「『新成長経済』を構築する」ということです。 「進路と戦略」は,「人口減少」「格差」「厳しい財政」の「3つの課題」をあげ,その解決は「生産性」の大幅上昇による経済成長で「容易になる」としています。 生産性の上昇とは,簡単に言えば生産効率の引き上げです。その手立てとして「進路と戦略」は「イノベーション」(技術革新)と,生産効率引き上げに奉仕する「経済社会システム」への転換を掲げています。 イノベーションの中心はIT(情報技術)の活用であり,横文字で新味を出そうとしていますが,この10年来,経済立て直し策として何度も聞かされた話です。本来イノベーションの担い手となるはずの中小企業と地域経済を疲弊させ,企業の「新規開業率」を低下させてきた大企業中心の経済政策を改めることなしに,新たな展望は開けません。 何より,「進路と戦略」が生産効率を上げるための経済社会システムの第一に掲げているのは労働市場の抜本「改革」であり,「残業代ゼロ制度」「過労死促進法」のホワイトカラー・エグゼンプションです。 これでは大企業の生産「効率」は上がっても,それと引き換えに賃金は抑えられ,貧困と格差の痛みはますます激しくなります。 日本経済の最大の弱点である家計所得と消費の低迷に対して「進路と戦略」は全く無策です。福祉の切り捨てと庶民増税を既定路線にしている以上,安倍内閣の「進路」に見えるのは家計の回復どころか一層の冷え込みに他なりません。 「進路と戦略」が成功パターンとして示す4%成長は世界経済の高成長を前提にしています。想定できるのは,これまでと同じく外国の需要に依存した不安定な経済の姿でしかありません。 大田弘子経済財政相が1月18日夜のテレビ番組で,安倍内閣の成長戦略によって「増税なき財政再建をめざす」と明言した翌朝,「言葉足らずだった」「消費税増税は否定しない」と撤回しました。「朝令暮改」ならぬ「暮令朝改」です。 こうした動揺は「逆立ち」税財政と国民との矛盾の深さを示すと同時に,政権そのものが「進路」に自信を持てないでいることの表れです。 政府の判断では景気「回復」が5年に及ぼうというのに,いまだに需要の60%を占める家計が回復しません。政府・与党は「企業の好業績がいずれ家計にも波及する」と繰り返すだけで,大企業の空前の利益が雇用と賃金の犠牲の上に成り立っていることから目を逸らしています。 経済と暮らしの持続的発展のために必要なのは,大企業中心の経済政策を改め,「逆立ち」した税財政を暮らし本位に転換することです。
2007年01月29日
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安倍晋三首相が施政方針演説で,改憲手続き法案の「今国会での成立を強く期待する」と表明したことを受けて,成立へ向けた与党の動きが急になっています。参院では1月25日に手続き法案審議の舞台となる憲法調査特別委員会が自民党・公明党連立与党などの賛成で設置されました。同委員会の理事に就任した自民党議員は「総理がそういう以上,この国会であげる(成立させる)ということになる」と明言しました。 連立与党と民主党は昨年末,衆院憲法調査特別委員会を舞台に連立与党,民主両案の共同修正の方向を合意。共同修正へ詰めの作業が進めば通常国会冒頭で衆院を通過させ,早い段階から参院での審議を進め「早期成立」をはかるシナリオも検討されていました。 いま連立与党は,政局をにらんで採決時期を探る民主党の対応を見守っていますが,「できるだけ共同で成立させる方向で2月中旬まで待つが,どうしても民主党が動かないなら,単独採決もやむを得ない」(自民党衆院憲法特委理事)としています。「単独採決にかけるのはこの間の民主党との合意を反映させた修正案になる。いまボールは民主党にある。向こうが考えるときだ」と,民主党に揺さぶりをかけていく方針です。 一方,民主党は「共同修正への動きは当分休眠状態」(党憲法調査会関係者)です。1月25日の国会開会時の同党両院議員総会でも,NC(次の内閣)閣議でも同法案成立へ向けての態度表明はありませんでした。 ある民主党関係者は「『民主党が改憲の国民投票法案に賛成するという報道は本当か?』という批判の電話が急に増えてきた。選挙を前にタイミングを考える必要がある」とこぼします。 その一方で,同党憲法調査会関係議員は「連立与党が単独採決する場合,反対するには理屈が難しい。苦しいところに追いこまれる」と語り,同関係者も「民主党案を90%以上のみこんだ与党案に反対するのは,自分の案に反対するようなもの。無理だ」といいます。 こうした状況を見て,昨年の臨時国会で強行された改悪教育基本法に携わった自民党関係者はいいます。 「昨年の教基法のときと同じ状況だ。共同修正を進め合意しながら政局を理由に反対にまわるなんて筋が通らない。もともと民主党と自民党とで改憲は争点にならないはず。こういう対応をして結局困るのは民主党だ」。 改憲タカ派路線を押しだして保守層結集を狙う自民党,選挙での「対決」演出のため“自公民合作”批判を恐れる民主党。九条改憲と一体の改憲手続き法案を許すなの国民の声との矛盾は避けられません。 自民党と民主党の違いがないことを国民はまだまだ分かっていない。それを国民に知られると野党ポーズが通用しなくなるのを畏れる民主党は今回どういう決定をするのか注目されます。自民党はこの混乱の乗じて,スキャンダルだらけの世論の目を他に移したい思惑も感じられます。 私に言わせれば,自民党も,民主党もマスメディアを利用して,国民を欺き騙しているに過ぎません。国民を騙されないように各政党の本質をしっかりと理解することが何よりも大事になってきます。 自分の首を絞めるような政党に票を投じることをすれば,それは国民自身の暮らしに跳ね返ってくるだけです。
2007年01月28日
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安倍晋三首相の,就任後初の施政方針演説を聞きました。 政権担当の基本姿勢は就任直後の所信表明演説でも語られましたが,施政方針演説は国政の基本方針を明らかにする年に一度の演説です。首相は,所信表明では口にしなかった持論の「戦後レジーム(体制)」の見直しを持ち出し,憲法を頂点に,行政システム,教育,経済,外交,安保などの基本的枠組みが21世紀の時代の変化についていけなくなっていると,「美しい国創(づく)り」への前のめりの姿勢をあらわにしました。 40分を超える大演説の中で首相が並べ立てた,大企業の競争力を強化する新成長戦略や「再チャレンジ」支援,消費税をふくむ税体系の抜本的な改革,改悪教基法を踏まえた教育改革,海外派兵を本格的に強化する法的基盤の再構築など,いずれも安倍政権が危険な政治を目指していることを示したものです。首相は「スピード感を持って結果を出していく」といいました。国民として聞きながすわけにはいきません。 とりわけ憲法について首相は,「改正についての議論を深める」といい,改憲手続き法の「今国会での成立を期待する」と明言しました。憲法擁護義務のある首相が,施政方針演説で改憲を明言するのはまったく異常です。安倍政権の改憲推進政権としての本質はいよいよ明白です。 タカ派ぶりがぎらつく演説の中で見過ごせないのは,首相の施政方針演説には「戦後レジーム」の見直しといった前のめりの姿勢はあっても,何のためにそれをやるのか,納得できる説明は一切なかったことです。“時代遅れ”という以外,国民の暮らしの実態からも,世界の流れからも,その根拠が示されません。いわば高飛車な押し付けだけで,「説明責任」がつくされていません。 例えば首相は,成長の実感を「国民が肌に感じることができるよう」にと,新成長戦略を持ち出します。しかし,景気回復が戦後最長といわれるのに国民にその実感がないのは,大企業の儲けが増え続けるだけで,国民の間では貧困と格差が拡大しているためです。首相は「貧困」とも「格差拡大」とも口にしませんでした。これでは,国民の暮らしの実態を見ることさえ拒否しているといわなければなりません。 外交でも首相は「主張する外交」を口にしますが,まず出てくるのは「日米同盟の強化」です。世界が軍事でなく外交で問題を解決するようになり,軍事同盟から平和の共同体へと大きく動いていることへの認識はありません。イラクではアメリカ自体が行き詰まり,撤退の世論が高まっているのに,米軍を支援していく態度を変えようとしません。これでは世界の流れに対しても,背を向けていることになります。 首相は就任直後の所信表明では,「国民との対話を何より重視します」としていました。ところが施政方針演説は一方的に持論を語るだけで,「対話」は一言もありません。 国民に根拠を語らないのでなく語れない。国民にまともに向き合おうともしない政権に政治のかじ取りは任せられません。「政治とカネ」の問題でも,「政治への信頼が必要」とまったく人ごとのような態度です。内閣支持率が低落するのも当然です。 施政方針演説が示すのは危険ともろさを隣り合わせにした安倍政権の姿です。貧困・格差,憲法・平和・民主主義どの問題でも国民との矛盾の激化は避けられません。
2007年01月27日
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政府の教育再生会議が,第一次報告を提出しました。教育に競争原理を徹底させ,上からの管理もつよめようというもので,改悪教育基本法の具体化そのものです。 「ゆとり教育」を見直すといいますが,その中心は全国一斉学力テスト,習熟度別学習の徹底,学区自由化などの競争メニューです。それらが,入学者ゼロの学校をつくり出し,勉強の遅れがちな子どもの排除にむかうなど,子どもを傷つけ学力保障にもつながらないことは,東京都などの先行例で証明済みです。 また「授業時数の10%増」といいますが,すでに文科省の圧力で多くの学校で授業時数はギリギリまで延長されています。始業式の日も授業,文化祭や林間学校まで削って授業と,子どもも先生もくたくたなのが実態です。 「学力世界一」といわれるフィンランドは,日本より授業時数が短いことが知られています。 いま必要なのは,ひとりひとりを丁寧にみられる少人数学級,教材研究の時間がとれるような教員数の確保,子どもの実情にそって教えられるような学校・教員の自主性の保障です。重要な事項を深く教えられるように,系統性を欠く学習指導要領を見直すことも欠かせません。 報告は,いじめ対策として,出席停止や体罰禁止の通達の見直しなど,子どもを押さえつける方向も突出させました。委員からも「出席停止を導入したアメリカでは…反社会的行動が増えた」など問題視されていたものです。いじめをする子どもの背景も無視し,体罰や威圧で押さえつけることは,いじめの温床を広げるだけではないでしょうか。 教員に対しては,管理職を増やし,成果主義賃金を導入し,教員を委縮させる教員免許更新制を導入するといいます。すでに民間企業で社員の協力関係を壊し,業績悪化の原因となっている成果主義賃金を適用することは,教育を台無しにしかねません。 金八先生の脚本家,小山内美江子さんらは「大人が子どもを管理して長時間にわたり知識教育を押しつける」と批判する提言を公表しました。報告と広範な国民との矛盾は,ますます強まるでしょう。 教育再生会議は,会議は非公開,しかも多くの教育関係者を排除して進められました。そんな運営で一方的な結論をだし,国民について来いといわんばかりに押しつける。安倍首相の「美しい国」の鋳型に子どもと教育を押し込めようという思いあがった感覚が,透けて見えます。 報告は「教育界」を「閉鎖性」ときめつけましたが,その報告自体が閉鎖的です。こうした安倍政権のやり方に教育再生を任せるわけにはいきません。 子どもの人間的成長という視点をすえて,子どもの現実を踏まえた議論こそ行われるべきです。 いまの子どもに必要なのは,人間をばらばらにする競争ではなく,まわりとのあたたかい人間関係です。詰め込み教育にもどるのでなく,主権者として生きることと深くつながる学習です。 威圧的に管理されることでなく,「個人の尊厳」です。OECD 30ヶ国中最下位の教育予算を増やすことも急務です。 そうした憲法に基づく教育を,国民全体で広く討論しながら,つくりあげることを強く主張します。
2007年01月26日
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安倍晋三首相の直属機関である教育再生会議(野依良治座長)は1月24日,首相官邸で総会を開き,第一次報告を正式決定しました。報告は昨年12月成立の改悪教育基本法を具体化するものです。学校選択制や教員免許更新制,第三者機関による学校の監査システムを導入するなど,教育への国家介入を強化し,教育にさらなる競争と選別を持ちこむ内容になっています。 安倍首相は報告を受けて,1月25日召集の通常国会に教員免許更新制導入のための教員免許法改定案,教育委員会「改革」として地方教育行政法改定案,学校教育法改定案の三法案を提出し,成立を目指すことを明言しました。 第一次報告では,2002年度から小中学校で実施されている「ゆとり教育」の見直しを提言。授業時間の10%増とともに習熟度別授業の拡充,学校選択制の導入を掲げています。 いじめを繰り返す子どもに出席停止措置の活用を明記。体罰禁止の緩和を念頭に3月末までに規定を見直すよう求めています。 また,不適格教員を排除するとして教員免許更新制の導入を提言。学校や教育委員会に対する第三者機関による外部評価制度の導入も求めています。 今後の検討課題には,学校週5日制の見直しや学校を予算で差別する教育バウチャー(利用券)制度の導入などを挙げました。 再生会議は,政府の「骨太の方針」に反映させるため5月に第二次報告,年末には最終報告を決定し,改悪教育基本法のさらなる具体化を進める方針です。【第一次報告ポイント】 「ゆとり教育」の見直し。授業時間の10%増加。全国一斉学力テストの実施。習熟度別授業の拡充。学校選択制の導入。 いじめや暴力行為を繰り返す子どもに対し出席停止措置を活用。「体罰」についての通知を2006年度中に見直す。 高校での奉仕活動の必修化。大学の9月入学の促進。 不適格教員の排除,教員免許更新制の導入。 副校長,主幹などの管理職を設置。学校教育法の改定。 第三者機関による学校,教育委員会の外部評価,監査システム導入。 教育委員会の「抜本的改革」。 教育再生会議は,発足以来,マスメディアにも非公開の“密室”で審議してきました。こういうやり方は,国民の権利にかかわり,切実な関心事となっている教育の問題を議論するやり方として,最もふさわしくないものです。 今回の第一次報告は,いわゆる「ゆとり教育」を見直すことを“目玉”のひとつにしていますが,中心的な内容は「全国学力テスト」の実施,「習熟度別教育」の拡充であり,競争教育を一層助長するものです。また,いじめについていえば,その中身が体罰を容認しかねないものとなっていることは重大です。 今回の報告は,わが国の教育の根底にある「競争と管理」や,政府の教育介入を強め,改悪教育基本法の具体化につなげようとするものであり,とても容認できるようなものではありません。
2007年01月25日
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ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外)の今国会への法案提出を政府が見送ったことに対し,1月18日の経済財政諮問会議で八代尚宏国際基督教大学教授ら民間議員が政府の対応を批判し,名前を変えてあくまで法制化すべきだと主張しました。 1月23日に公表された議事要旨で分かりました。 八代氏は「反対派が『残業代ゼロ法案』とワンフレーズで表現した。これに対してちゃんとした対応がとられていない」と不満を述べました。 同氏は「いわば管理職手当のように一定額を最初から出すことによって,それ以上残業が長くても短くても変わらないというのが本来の趣旨」だから「残業の定額払い法案」と呼ぶべきだと主張。「ぜひ,諮問会議の下の労働市場改革専門調査会でも訴えていきたい」と推進する構えを示しました。 民間議員の丹羽宇一郎伊藤忠商事会長も「土日でも残業代は要らないから出社したいという人がたくさんいる」として,「残業代は要らないから仕事をさせてくださいという人に,仕事をするなという経済の仕組みは実におかしい」と発言しました。 同氏は「自由労働時間制」と命名し,過労死防止のため内部告発制度や罰則を設けて導入すればいいと提案しました。 八代氏の発言のように残業代を「一定額」にするのであれば,長時間残業が不払いになるのは明らかです。出退勤の時間管理もしなくなるホワイトカラー・エグゼンプションで,過労死の使用者責任を労働者がどうやって立証せよというのでしょうか。
2007年01月25日
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安倍晋三首相は1月25日から始まる通常国会で九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案の早期成立を指示しています。自民党,公明党の与党は今国会の最重要法案と位置付けています。民主党は参院選への影響がでないように採決時期を探っていますが,共同「修正」の方向付けまで主導してきたように,中身では与党と歩調を合わせています。なぜ法案成立を急ぐのか。憲法改悪との関係,法案自体の問題点などを見てみます。 安倍首相は就任以来,繰り返し任期内の改憲実現を言明してきました。安倍氏の自民党総裁としての任期は最長で2期6年,2012年がその期限となります。 一方,日本経団連も元日に発表した新しいビジョン「希望の国,日本」で「2010年代初頭までに憲法改正の実現をめざす」としています。 背景にはアメリカからの強い改憲圧力があります。アーミテージ元国務副長官は,九条を「日米同盟の邪魔」と公言しています。 改憲勢力は,こうした期限で改憲を実現しようと,今国会で手続き法案を成立させ,その後「早期に与野党間で憲法改正の論議を開始したい」 (自民・中川秀直幹事長)と日程を描いています。参院選で憲法を争点にし,国民的議論を盛り上げることも狙っています。 そのことは法案自体とも関係があります。自公民の「修正」合意では,改憲のための国民投票法は成立から3年後に施行されることになります。今年法案を成立させれば2010年には国民投票を実施する法律上の条件が整います。 今年7月には参院選が行われるため,選挙が近くなれば法案の扱いは難しくなるうえ,参院で審議未了になった場合には,廃案となるという事情もあります。 さらに法案には単に手続きを整備するにとどまらず,本格的な改憲論議の舞台づくりを含んでいます。国会に改憲案を発議する役割を担う「憲法審査会」の設置です。同審査会は法案成立後,次の国会から発足します。今国会で法案が成立すれば秋には臨時国会で改憲案づくりの論議をはじめることが可能になるのです。 安倍首相が狙う改憲の焦点は憲法九条です。 安倍首相は昨年11月英紙フィナンシャル・タイムズなどのインタビューに応じた中で,改憲のテーマとして「時代に合わない条文として一つの典型的な例は九条だろう」と述べました。 なぜ九条改憲なのか。 安倍首相は昨年秋の自民党総裁選の中で「日米同盟をより効果的に機能を向上させるため」,憲法で禁じられている集団的自衛権の行使を検討していくと述べました。先のインタビューでは「日本を守るという観点から,また,日本の国際貢献に対する期待に応えるために改定が必要」と述べ,海外での軍事活動に重要な狙いがあることを明確にしました。 アーミテージ米元国務副長官は「第九条による制約が時に日米の協調を妨げる場合がある」とし,ペルシャ湾での米艦隊援護やイラクでの米兵救援などを例示(『文芸春秋』 2004年7月号)。さらに「日本がアメリカと対等なパートナー同士として共同活動するには,日本も他の諸国同様,集団的自衛権を行使できる状態でないと,実際に支障がある」 (『Voice』 2006年9月号)と,九条改憲を求めています。 2005年11月に自民党が発表した「新憲法草案」は,現行憲法第九条二項の戦力不保持規定を削除し,「第九条の二」として「自衛軍を保持する」と明記。自衛軍は「国際的に協調して行われる活動」を行うとして,無限定な海外での軍事活動に道を開こうとしています。 自民党本部で「新憲法草案」とりまとめの裏方を務めた田村重信氏は,海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使について「(新憲法のもとで)当然可能になります」,「新憲法草案には明記されていませんが,これは『書かなくても国家として当然,認められている権利』との意見に基づいて」いるとしています。 安倍首相は1月12日,北大西洋条約機構(NATO)本部で演説し「今や日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」と言明しました。 防衛省設置で海外派兵が自衛隊の本来任務とされるなか,海外での武力行使を狙う動きが強まる危険があります。 改憲案を通しやすくするシステムをつくり上げるのがもうひとつの法案の狙いです。【承認用件】 国民の「承認」のためには国民投票での「過半数」の賛成が必要です。この過半数をどう定義するかは憲法にも規定がありません。与党案は有権者数,総投票数,有効投票総数のうち,最も低い基準となる「有効投票総数の過半数」としています。改憲案を通しやすくするため露骨にハードルを低く設定しているのです。 諸外国には有権者の一定の割合の投票で初めて国民投票が成立する制度がありますが,与党案,民主党案ともこうした最低投票率の制度も設けていません。そのため5割の投票率の場合,2割台の賛成で改憲案が承認されることになりかねません。【運動規制】 国民投票運動における規制として「公務員等・教育者による地位利用による国民投票運動の制限」が依然として残っています。 法案審議の過程で罰則は削除することになりましたが,「地位利用」行為は「違法」と評価されることに変わりありません。本来,主権者としての意見がもっとも自由に表明されなければならない憲法改定についての投票で,自由な意見表明を制限することは趣旨に全く反します。さまざまな「処分」の根拠とされるなど公務員や教員の言論に対するプレッシャーとなることは間違いありません。【憲法審査会】 改憲案の発議権を持つ機関の「調査」であり,法案審査権を持たない衆参憲法調査会の「調査」とは異なります。本格的改憲論議の舞台となることは間違いありません。 国民投票法の施行期間の3年間は権限を「調査」に限定するので,改憲論議は当面始まらないともいわれますが,誤魔化しです。憲法審査会が設置されれば,共同の改憲案づくりへ向けた新しい議論の場にしようという狙いは明白です。 改憲手続き法案の成立を国民は望んでいるのでしょうか。1月13日,1月14日両日実施のJNNの世論調査では,通常国会で「成立させる必要はない」との回答が47%。「成立させるべき」と答えた41%を6ポイント上回っています。 そもそも安倍政権に「憲法改正」を期待している人は各種世論調査でもごくわずかです。「読売」(1月23日付)の世論調査でも「安倍内閣に優先的に取り組んでほしいもの」(複数回答)として「憲法改正」をあげた人は7%。列挙された17課題中,下から2番目という低さです。 昨年12月7日の衆院憲法調査特別委員会では,法案提出者も「是非つくってほしいという声があるかといえば,別にない」(民主・枝野幸男議員)と認めざるをえませんでした。 “九条守れ”の国民運動を背景に,「九条改正反対」の世論が増えているのも最近の特徴です。 法案の狙いが「戦争をする国づくり」という安倍首相らの改憲路線と一体であることが明らかになればなるほど,平和を求める国民との矛盾は広がらざるをえません。
2007年01月24日
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「憲法の存在が大きかった。(戦争放棄の憲法)九条はこのまま変えない方がいい」。イラク南部サマワでの「イラク人道復興支援任務」に参加した陸上自衛隊の制服幹部が帰国後,インタビューに応じ,憲法九条の重みなどその胸中を率直に語りました。 制服幹部は,自衛隊員から1人の犠牲者も出すことなく任務を遂行できた背景として,自衛隊独自の対応を除いたふたつの要因をあげました。 ひとつは「日本ブランド」。第二次世界大戦で敗れ,広島・長崎への原爆投下などの深刻な戦災にあいながら,自動車,家電製品に象徴される世界第二位の経済大国にまで復興したアジア人の国,日本へのイラク人の共感です。 ふたつ目に憲法の存在をあげました。 同幹部は「自分たちはアメリカ軍などと違って,海外での武力行使を日本の憲法が禁じていることを一生懸命に説明した。イラクの人たちもそれを理解してくれた。そういうイラクの人たちによって自衛隊は結果的に守られたんです。その意味で憲法九条の存在の大きさを改めて実感した」と語りました。 安倍政権は,「防衛庁」から「防衛省」への昇格とセットで自衛隊の海外活動を「本来任務」に格上げし,アメリカ軍の「先制攻撃」戦争に呼応した海外での武力行使を可能にする憲法改悪=「戦争する国づくり」に走っています。 制服幹部は,アメリカ軍による「掃討作戦」,武装勢力による「テロ」などでイラク市民の犠牲が連日のように続くバグダッドを「向こうは地獄だ」としたうえで,憲法九条への思いを込めていいました。 「自衛隊員として憲法を議論できないが,(イラクの体験からも)自分としては,憲法九条は変えない方がいいと思う」。 生きるか,死ぬかの経験をしてきた自衛隊の制服幹部の話だけあって,憲法九条の重要性を改めて実感させられました。事前に憲法九条のことをイラクの市民に説明していたとはいえ,そこは生きるか死ぬかの戦場です。幹部として,部下たちの生命を預かるプレッシャーは相当なものだったと思います。憲法九条によって,日本は戦争という事態から守られてきたのは紛れもない事実です。国家として軽く見られてきたという意見もあるのは事実ですが,日本の戦後の反映は間違いなく,平和であったからこそ,今日の日本が存在していることに感謝しつつ,憲法九条を守っていくことが大事ではないでしょうか。 世界の流れは,戦争という手段で物事を解決するのではなく外交という話し合いで解決する方向に流れています。この流れに逆行するような憲法改正はすべきでなく,日本が外交で物事を解決できるようになることが求められています。
2007年01月23日
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イラクから帰還した自衛隊員の自殺が,7人(陸上自衛隊6人,航空自衛隊1人)にもなっていることが明らかになりました。 自殺の増加は,戦場であるイラクでの活動と大いに関係があるとみられます。安倍首相はNATO本部を訪れた際の演説で「自衛隊が海外での活動を行うことをためらいません」と公言しました。イラク派兵は大義のないアメリカの侵略戦争を助け平和の願いを踏みにじっているだけでなく,隊員とその家族をも苦しめていることを直視すれば,とても口にできる発言ではありません。 入手した防衛省の内部文書によれば,2004年1月からイラクに派兵された5,500人あまりの自衛隊員のうち,帰国後の自殺者が相次いでいることを防衛省の内部文書で認めています。 見過ごせないのは,自衛隊員全体に占める自殺者の割合と比べても,イラク派兵隊員の自殺の割合が突出して高いことです。額賀福志郎防衛庁長官はすでに昨年の国会で,自衛隊員全体の自殺率に比べ,イラク派兵隊員の自殺率は「2倍ぐらいの数字になっている」と認めています(昨年6月22日,衆院イラク特別委員会)。2倍以上というのは,異常事態という他ありません。 全体の数は明らかになっていないものの,自殺ばかりでなく,自殺未遂やうつ病,職場への順応ができない隊員が相当数増えていることも深刻な問題です。 もちろん自殺やうつ病とイラク派兵との関連は断定できません。しかし,少なくとも自殺率が2倍に達するという事実は,自殺がイラク派兵と無関係ではないことを示しています。イラク帰りの隊員の自殺率が高いのは,危険な地域で活動を強いられてきたからと見るのが自然です。 陸自の場合撤退を終えたものの,サマワで占領アメリカ軍の仲間とみられ,駐屯地に迫撃砲を撃ち込まれ,自衛隊車両が通行する道路に爆弾もしかけられました。いつ撃たれるかわからないという不安で精神的ストレスが頂点に達した結果とみられます。 イラクに残り米軍兵士・物資を輸送する空自の場合は,輸送先の飛行場に着陸するときが最も危険です。着陸のたびにフレア(ミサイル攻撃回避のための熱源体)を放出して地上からの攻撃を避ける状況が続いています。緊張を強いられ,精神を蝕まれることが予想されます。 いわば,この人たちは政府の政策による被害者であり,政府は自衛隊員のおかれた実態に目を向けるべきです。実態を隠し公表を拒むなど許せることではありません。 ところが政府は,こうした派兵隊員の苦しみを理解しようとしません。ヘルスケアに万全をつくすといいながら,自殺の原因については「イラクに派遣されたからと直接断定できない」,「結びつくものではない」(額賀防衛庁長官=当時)と無関係を強調するばかりです。 ブッシュ政権はイラクから撤退するのではなく,逆に20,000人もの部隊を増派し軍事作戦を強めています。アメリカ軍の非人道的・無差別攻撃はやわらぐどころか激化するのが必至です。空自の輸送支援は,この軍事作戦を支えるものとなるだけに,ますますイラク国民の怒りを買うことになるのは目に見えています。 アメリカ軍の増派は世界から批判されています。日本はアメリカいいなりのイラク派兵をやめ,イラクからただちに撤退させるべきです。
2007年01月23日
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安倍晋三首相が「私の内閣で憲法改正を目指す」と改憲路線を鮮明にするなか,国民世論に変化が起きています。インターネットの意識調査では「改正反対」が53%となり,静岡新聞の県民意識調査では「九条改正派」が大きく減少しました。静岡新聞は「九条の会」など九条守れの声の浸透が背景にあると指摘。九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案の早期成立を狙う安倍自公政権と,国民世論との矛盾拡大は避けられません。 意識調査を実施したのは,インターネット事業大手の「Yahoo」。安倍首相が年頭記者会見で改憲発言したのを受けたもので,1月4日から1月10日までの1週間,サイト上で投票を受け付けました。Yahooによれば,ひとつの設問には1回しか回答できません。サイト上の回答者のコメントも5,000件以上。「安倍内閣での憲法改正に反対」,「今,改憲すれば,自衛隊は完全に米軍の指揮下に入り,アメリカによる身勝手な世界各地での戦争の先頭に立つことになる」などの書き込みが相次いでいます。 静岡新聞1月4日付は,3年連続で行っている憲法に関する「県民意識調査」を掲載しました。「『九条改憲』慎重論強まる」の見出しで,「年々改正に慎重な姿勢が強まっている実態が浮き彫りになった」としています。 その理由として同紙は,「県内外で改憲に慎重な九条の会が続々と誕生し,浸透しつつあるのも要因では」(佐藤博明静岡大元学長)とのコメントを紹介。九条守れの運動の広がりが背景にあると分析しています。また,改憲に積極的な安倍首相の誕生,防衛省設置,教育基本法改悪など「ナショナリズムを意識させられる一連の出来事が昨年後半,相次いだこと」も要因としています。 自民党は改憲手続き法案を通常国会の最重要法案と位置付け,公明党とともに「5月3日までに成立を」と狙っています。民主党は政治判断を保留していますが,「法案自体に反対でまとめることは基本的にはない」(鳩山由紀夫幹事長,1月19日)との態度です。 しかし,手続き法案には世論調査も慎重意見が多数。この面でも世論との間に大きな矛盾があります。 こうした情勢の中,九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案の成立にむけて,民主党が対応を探っています。 同党の枝野幸男・憲法調査会長が昨年末の衆院憲法調査特別委員会で,「来年(2007年)の憲法記念日には国民投票法制が国会で成立していることを期待する」と発言するなど,自民党,公明党に先んじて期限を切った法案成立に積極姿勢を示してきました。 ところが,民主党大会後の記者会見で小沢一郎代表が「政府・与党に結果として協力するような形も良くないかもしれない。政治的判断を近々しなくてはならないだろう」(1月16日)と述べたのです。 同党憲法調査会幹部の1人は「手続き法は改憲の中身とは別というのが民主党のタテマエだが,安倍首相が改憲姿勢を押し出す中で『安倍改憲路線に加担するのか?』という国民の疑問は当然出てくる」とこぼします。鳩山氏も「憲法(改定)の前提となる手続き法案をあげることで,点数をあげたい(安倍首相の)発想に協力することに対する政治判断がある」(1月19日)と述べました。 こうしたジレンマの中で同党関係者は,「ただでさえ対立軸が少ないという中で,憲法問題で自民党・公明党連立与党と仲良くやっているのを国民はどうみるか。選挙が近づけば近づくほど法案の取り扱いは難しくなる」と述べます。 一方で,民主党には,改憲手続き法案について,「民主党がリードしながら法案の中身,手続きの詳細を詰めてきた」(鳩山由紀夫幹事長,1月19日)という自負もあります。自公民「合作」は民主「主導」だったというのです。 枝野氏は2005年2月の衆院憲法調査会で,「政権交代があった場合でも共通して一貫したルールこそが憲法に書かれなければならない」と述べ,「政権を担う意思のある政党」同士での協議を呼びかけました。これが呼び水となり,自公民による憲法改悪への「合作」にはずみがつきました。2005年秋には衆院に憲法調査会を格上げした「特別委員会」を設置,昨年の通常国会に自民党・公明党連立与党と民主党がそれぞれの改憲手続き法案を提出するまでになりました。そして,昨年秋の臨時国会で手続き法案の「修正方向」を合意したのです。 ある民主党憲法調査会関係者は年明け,「いま,小沢代表を除いて,自公民の憲法担当者と執行部は法案の『早期成立』で認識を共有している」とまで述べました。鳩山幹事長も「反対でまとめることはない」と明言。「松本剛明政調会長,枝野憲法調査会長,簗瀬進同代理らでタイミングを勘案している」と述べ,法案成立へのシナリオを構想中であることを指摘しています。 国民の声を恐れながらも,憲法問題という日本の進路にかかわる基本問題で自民党と同じ土俵に立ち,「悪政の共同執行者」となる立場には変わりない-ここに民主党の本質があります。 自民党,民主党の「二大政党」による改憲合作に抗して,憲法守れ,改憲手続き法は許さない,の声で国会を包囲するときなのです。
2007年01月22日
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NHKテレビの新春インタビューで,自民党の中川秀直幹事長は,「安倍内閣の経済政策は“上げ潮”の成長戦略だ」と述べました。 中川氏は,その著書『上げ潮の時代』(講談社)のなかで,「経済成長戦略については,……2006年1月末のダボス会議において,『上げ潮政策』と名づけて,その推進の決意を表明した」(62ページ,以下引用は同書から)などと書いています。 そこで,この“上げ潮”派の「成長戦略」の理論的特徴を検討してみましょう。 “上げ潮”派の「成長理論」をみる前に,かつての「高度成長」時代の「成長理論」の特徴を少し振り返っておきましょう。「高度成長」政策の核心は,次のようなものでした。 「高度成長政策は,……産業構造を(1)所得弾力性基準(将来にわたって需要の伸びのはやい“成長産業”を選択する),(2)生産性上昇基準(生産性上昇で国際競争力強化の見込まれる産業を選択する)のふたつで『高度化』させようということだった」(『日本経済への提言』1977年6月)。 つまり簡単にいえば,世界市場で売れる製品,しかも低コストで生産できる産業を選別して,そこに資源,資金,労働力を徹底的に集中する。具体的にいえば,鉄鋼,化学,自動車,電機など重化学工業・機械工業を保護・育成して,逆に農業,石炭,繊維などは徹底的に切り捨てるという政策です。 「高度成長」時代には,こうした「成長理論」のもとで,列島各地で山を削り,海を埋め立て,工場を建設し,新幹線や高速道路をはりめぐらしました。環境が破壊され,公害や過密・過疎,住宅難などの「新しい貧困」が広がりました。 しかし,ともかく「高度成長」時代の「成長理論」は,モノづくりの生産性を上げて,新たな剰余価値を生産することに核心がありました。国内総生産(GDP)は,1955年の8兆3,000億円から,1975年には147兆8,000億円へと実に約18倍に膨張しました。 中川氏は先の著作で,「毎年4%程度の名目成長率が維持できれば,GDPは雪だるま式に膨らんでいく」(6ページ)として,現在の約500兆円のGDPが18年後には1,000兆円になるなどと述べています。しかし,どの産業の生産性を,どうやって伸ばすつもりなのか。 “上げ潮”派は,技術革新(イノベーション)で高付加価値製品を開発し,生産性を上げるといいます。ICT(情報通信技術),ナノテク,バイオ,新素材などなどの技術革新,とりわけ「日本も,情報革命の波にうまく乗ることができれば,再び生産性を引き上げられる」(92ページ)といいます。 科学技術の発展は,いうまでもなく,経済成長の重要な要因です。しかし,技術革新だけで企業の経営が成り立つわけではありません。企業が利益をあげるには,製品を製造し,販売しなければなりません。それは,どんな高付加価値製品であっても同じです。 そこで,“上げ潮”派は,「サービス産業の生産性向上を図り,製造業とともにわが国経済成長の『もうひとつのエンジン』にする」(巻末の参考資料)ともいいます。 “上げ潮”派のねらいは,こういうことです。これまで製造業の生産現場では,派遣,契約などの非正規雇用を活用して,徹底的に労働コスト削減をやって生産性を上げてきたが,そろそろ限界だ。そこでこれからは,情報革命によって,サービス産業の生産性向上でコスト引き下げをはかり,事務・管理部門や技術・開発部門の労働者(ホワイトカラー)の労働コストを徹底的に切り下げて生産性を上げようというわけです。 財界が,いま『ホワイトカラー・エグゼンプション』,一定の基準でホワイトカラー労働者を労働時間規制から除外することを,なにがなんでも実現したいと熱望している理由は,まさに“上げ潮”派の「成長理論」の核心がここにあるからです。国民の運動で,通常国会への法案提出は断念させました。しかし,闘いの手を緩めるわけにはいきません。 “上げ潮”派が「高度成長」時代から引き継いでいる「成長理論」もあります。それは,「国民経済の発展」をすべて「大企業の経済成長」任せにするという考え方です。 たとえば,いま財界は,法人税の実効税率を現在の40%台から30%に引き下げよと要求しています。“上げ潮”派によると,大企業への減税は,投資を増やし,生産性を上げることになる。つまり,経済成長に役立つから必要だというわけです。 しかし,資本主義経済であっても,「企業の成長」と「国民経済の発展」とは,おのずと同じというわけではありません。「企業の成長」を扱う経営学と「国民経済の発展」を扱う経済学は,密接に関連はしていますが,その理論的対象も研究の方法も違うのです。“上げ潮”派の理論的な欠陥は,この違いが理解できずに,経済学の課題である「国民経済の発展」の問題を,すべて「大企業の成長」に従属させてしまうことです。 日本では,「高度成長」時代以来,長い間,「大企業任せの経済成長」できたために,勤労者の暮らし,雇用,教育,老後などの不安から出生率が落ち込んで,少子化による労働力不足が懸念されています。このことは,「大企業任せの成長理論」では,もう理論的にも限界に来ていることを示しています。 “上げ潮”派の「成長理論」には,そのほかにも,アジア市場論,外国労働者活用論,エリート育成の教育論などなど,検討すべき論点は,いろいろあります。いずれも,さまざまな理論的衣装をまとっていますが,いうならば,《大企業の,大企業による,大企業のための成長理論》です。 いま日本で必要なのは,国民の,国民による,国民のための経済発展であり,そのための経済理論です。そのためにも,国民は,“上げ潮”派のひとではなく,国民の,国民による,国民のための経済発展を実践してくれるひとを政治家にするように選挙で票を投じることが必要になります。
2007年01月21日
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教育再生会議が1月19日,大筋了承した第一次報告最終案は,安倍内閣による改悪教育基本法の具体化の第一歩ですが,教育問題の解決に逆行するものばかりです。 いじめ対策として,「体罰禁止規定の見直し」をもりこんだことは,いじめの温床として指摘される教員による体罰を大々的に広げかねない深刻な問題です。 体罰は教育と相いれないものであり,学校教育法11条で禁止されています。1948年の法務庁長官通達で(1) 罰として廊下に立たせる(2) 遅刻したら教室に入れない(3) 用便に行かせないも体罰として禁じました。報告案は「問題児童・生徒」を教室から排除できるように,この通達について2006年度中に見直すことを「4つの緊急対応」のひとつとしています。 いじめる側に懲罰で対応することは,いじめをますます教師から見えにくくさせ,陰湿化させる危険も強くあります。 「ゆとり教育」を見直すとして,公立学校の授業時間の1割増加を求めていることも,学力向上につながるどころか,子どものストレスを助長するものです。 すでに全国で「授業時数確保」の名目で,授業が延長され,「金曜日はくたくたで授業にならない」,「始業式から授業がある」など限界となっているのが実情です。その上さらに授業時数の増を求めるのは全く実情に合いません。 国際学力調査トップで注目されるフィンランドは中学校の必修授業796時間で,日本の817時間より少なく,世界最短クラスです(OECD『図表でみる教育』2005年版)。教員の自主性の尊重,20人学級などの教育条件整備,そのもとで学習の遅れがちな子どもへの行き届いたケアなどが,“成功”の秘訣と言われています。 教員給与に優劣の差をつけるのも,教育実践の要である教師集団の協力を難しくします。教育委員会の広域化も住民が自分たちの町の子どもを自分たちで育てるという気風を弱めるものです。 教育の実情と遊離し,現場に一層行過ぎた競争と管理を持ち込む報告案について,文部科学省や与党からも批判があり,そうした反発を避けるため政府は第一次報告も5月に予定されている第二次報告,最終報告も閣議決定しない考えです。身内からの反対で拘束力を曖昧にせざるを得ないところに,安倍首相が目論む「教育再生」の脆さが現れています。
2007年01月21日
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政府は1月19日,米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる同キャンプ・シュワブ(同県名護市)へのV字形滑走路の新基地建設について,「概略工程表」(別図)を沖縄県や名護市などに公式に提示しました。2007年末にも新たな兵舎建設に着手するなど,2014年の新基地完成に向けて政府が狙うスケジュールが示されています。 それによると,2007年に環境影響評価法に基づく環境アセスメントに着手。防衛施設庁は調査対象として「大気,騒音,水質,生物」を挙げています。 環境アセスと並行して,年末には新基地建設に伴って撤去される既存兵舎などの代替施設の建設に着工する計画です。建設場所はキャンプ・シュワブ内を想定しています。 また,2009年半ばに環境アセスを終え,ただちにキャンプ・シュワブ沖の埋め立て工事の申請手続き,埋め立て用の土砂を削るため,シュワブ内にある辺野古ダム周辺の造成工事を開始。2010年から新基地の本体工事を始め,2014年中の完成を目標としています。 環境アセスの方法を示した「方法書」については,すでに業者に作成を発注しており,政府は「地元の協力があれば,早急に提出する」(防衛施設庁)構えです。 しかし,現時点では沖縄県も名護市も政府案を容認しておらず,実際に工程表通りに進む保証はありません。地元では辺野古ダム周辺の造成に伴って赤土が海域に流出する恐れなど懸念が一層広がっています。 沖縄県民の神経を逆撫でする政府のやり方は,今も昔も変わっていないとつくづく残念でありません。結局政府の説明はいつも後になって変わってくることばかりです。横須賀の原子力空母母港化問題でも,今回の沖縄の基地の問題でも,アメリカ言いなりの政治と言われても仕方ありません。 国民も,国民自身の暮らしと安全を守るために騙されることなく,意思表示することが大事だと改めて感じます。沖縄県知事選挙で,基地反対の候補者が知事になっていれば情勢は大きく違ってきたのではないかと思います。 これもまた,沖縄県民の民意として,若干ではあるけれども,基地推進の与党候補者が知事になって結果だと思うとやり切れません。沖縄県民としては残された選挙で基地反対を訴える候補者を議員にすることが唯一残された方法です。 沖縄では,どの政党候補者も基地問題反対を訴えますが,本当に基地問題を解決する候補者を議員にすることができなければ,「100年経っても基地の沖縄」になってしまいます。戦後からの流れを見れば分かるように,一度基地ができてしまえば50年,60年基地は無くなりません。 沖縄県民の頑張りを心より期待しております。
2007年01月20日
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民主党の鳩山由紀夫幹事長は1月19日の記者会見で,賃料のない議員会館を「主たる事務所」としながら年1,000万円超の事務所費を計上した政治家に同党議員の名前があがっている問題について,「もともとは共産党が意図的に問題としてきた。議員会館に事務所費がかかるはずはないという作為的なレトリック(修辞法)だ」と日本共産党を名指しで非難しました。 政治資金規正法の趣旨は「政治活動の公明と公正を確保し」(第1条),「国民の疑惑を招くことのないよう」(第2条)透明にすることです。その趣旨に照らして,領収書も不要で使途がチェックできない巨額の事務所費を計上した事実が,疑惑を招くのは当然のことです。 しかし,家賃ゼロの議員会館を「主たる事務所」としながら,数百万から数千万円の事務所費を支出したことへの国民の当然の疑問を指摘したものです。だからこそ一般紙も続いて報道したのです。 「朝日」,「読売」,「毎日」の三大紙はじめ「日経」,「東京」も社説で事務所費問題を取り上げ,「『不適切な経理はしていない』と言うばかりだが,国民の不信感を軽く見ているのではないか」(「朝日」1月13日付),「仮に今の制度上は問題がないとしても,政治家には一段と高いモラルが求められているはずだ」(「毎日」1月16日付)と指摘しました。 鳩山氏が国民の疑念に応えて使途を公表するのでなく逆に「事務所費」の指摘を「レトリック」と攻撃するのは,開き直りの「レトリック」です。 鳩山氏が小沢一郎代表,松本剛明政調会長の事務所費に「後ろめたいものはない」というなら,実態を開示して透明にすべきです。そうでなければ,事実も示さずに「問題ない」といい張る伊吹文明文科相や松岡利勝農水相などと同じ立場にとどまることになり,与党の疑惑を追及する資格が問われることになります。 今回の件は法的に言えば,違法ではありませんが,脱法的と言えます。法律の趣旨から考えれば,「政治活動の公明と公正を確保し」(第1条),「国民の疑惑を招くことのないよう」(第2条)透明にすることができていないことを政治家自身ができていないことを示しています。 民主党が自民党とは違うと言うこと示すことができなければ,自民党と同じと言われても仕方ありません。実際自民党と民主党は同じ大企業・アメリカ言いなりの金権体質で,本質的にも,政策的にも違いを出すことはできていません。 1月20日放映のTBS系「サタデーずばッと」でも,参院選の争点が話題になり,野党議員が「民主党は事務所費の問題でも自民党の悪政をただせないし,憲法改悪でも主張は同じだ」と述べたのに対し,民主党の松原仁衆院議員は「憲法を変えるという党の主張を打ち出すことが大事だ」と発言し,自民党と同じ土俵にいることを示しました。 司会のみのもんた氏が「二大政党時代という掛け声は分かるが,自民党と政策論争をやって同じだった場合,どうすればいいか」と問いかけると,松原氏は「政策的な部分ではある程度同じでいい」,自民・笹川尭衆院議員も「民主党でも国民のためにいいことは自民党と一緒にやっていい」と応じました。 また,民主党が知事選の「相乗り禁止」方針にもかかわらず候補を擁立できない県があることについて,本来選択肢を示すのは政党の責任にもかかわらず,民主党が自民党と対決するというが(民主が知事候補を立てる)愛知も,民主党は日本共産党以外いまの知事の与党としてやってきた『オール与党』という事実があります。 『二大政党』などというが,地方議会ではどこでも,民主党は自民党・公明党連立与党と一緒にやってきた『オール与党』であることを自らが示しています。 選挙のときだけ,「野党ポーズ」を取り,国民を騙していることを国民自身も気付き騙されないようにして欲しいと期待します。 また民主党も,「野党」と語るなら国会でも,地方議会でも独自の方針を決め,自民党・公明党連立与党と闘える政党になって欲しいと思います。そうでなければ,自民党・公明党連立与党に悪政をただすことができません。一緒になって悪政を促がす政党では,「野党を騙っている」に過ぎないと言われてしまいます。
2007年01月20日
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日銀が追加利上げの見送りを決めました。金利水準の誘導目標を,昨年7月に「ゼロ金利政策」を解除して以来の0.25%に据え置きます。 福井俊彦日銀総裁は,1月12日の日銀支店長会議などで「息の長い成長が続く可能性が高い」と景気の強さを強調し,追加利上げの機会をうかがう姿勢を見せていました。 これに対して,安倍内閣と自民党・公明党連立与党からは,「デフレ脱却後の道筋をどう描くのか説明責任を果たして欲しい」(大田経財相),「金融政策からも経済を支えて欲しい」(尾身財務相)など,利上げを牽制する発言が相次ぎました。 とりわけ自民党の中川秀直幹事長は,利上げをするなら「政府は日銀法19条に基づく権利を行使する義務がある」(1月14日の講演)と,異常な強硬姿勢を示しました。「日銀法19条」は,日銀の金融政策決定会合への政府側の出席者(経財相と財務相,議決権はない)が,議決の延期を求めることができる権利を定めています。 中川幹事長は,日銀が政府の議決延期の要求を拒否した場合,日銀法を改正して日銀の「独立性」を制限することまで示唆しています。 脅迫まがいの発言は,「いざなぎ景気」を超えたと「構造改革」の成果を誇りながら,政権が景気の行方に全く自信を持てずにいることの表れです。 景気「回復」が過去最長になったと政府が言っているのに,いまだに国内総生産の60%を占める家計が低迷し,世論調査では国民の80%が「回復の実感がない」と答えています。日銀短観の12月調査でも,小売業や飲食店など家計に密接な業種の低迷が浮き彫りになっています。 日本経済の安定的発展のかぎを握っているのは家計の回復です。しかし,家計と賃金から吸い上げて大企業に回す「構造改革」路線は,日本経済を発展軌道から大きく引き離してきました。 はずれた軌道をいくら進んでも目的地には着きません。 日銀の超低金利政策は,こんな「構造改革」を金融面から支える最大の政策手段となってきました。 日銀の推計でも,1990年代からの金融緩和の期間に,吸い上げられた国民の利子所得は300兆円に上ります。この間,1年物の定期預金の金利はかつての1/200に下がる一方で,住宅ローンの固定金利は1/3にも下がりませんでした。 銀行はただ同然の金利で預金を集めることによって,また大企業は借入金利の引き下げで,ともに巨大な恩恵を享受しています。国民が本来手にするはずだった預金利子を,大企業と大銀行に付け替えたようなものです。 利上げ見送りの理由として政府も日銀も「家計消費が弱い」ことをあげています。完全に転倒した議論であり,超低金利を続ければ続けるほど家計を冷やすのが実態です。 空前の金融緩和で溢れた資金は株式や不動産の投機的な取引などマネーゲームに流れて行きました。実体経済の回復には全く役に立たずに,ライブドア事件や,福井総裁もかかわった村上ファンド事件に象徴されるような「錬金術」の土壌をつくっています。 過去最高の大儲けをしている大企業,大銀行を応援する必要はありません。マネーゲームではなく家計を支え,正常な預金金利の復活を目指す金融政策への転換を求めます。
2007年01月19日
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改良したはずの車軸とタイヤを結ぶハブが、現実の走行条件では強度不足。社内点検もおろそかにしていた-三菱ふそうのトラック56,000台の大規模リコール(回収、無償交換)問題で、同社の安全軽視の企業体質がまたしても問われることになりました。 横浜市で2002年1月に起きた母子死傷事故から丸5年。この事故を契機に、ハブの欠陥隠ぺい問題が発覚し、大規模リコールに発展しましたが、安全優先という教訓は生かされるどころか、またしても同社の安全軽視の体質があらわになりました。 重さ100キロを超えるタイヤと、車軸を結ぶハブが壊れてタイヤが脱落すれば、人命にかかわる重大事故につながります。三菱側は当初、整備上の問題としてきましたが、その後、ハブの強度不足、欠陥を認め大規模リコールに踏み切りました。関係した幹部らは、刑事責任を問われました。 ところが、改良したはずのハブも、昨年10月に鹿児島県での破断事故を起こし、他に7台も亀裂がみつかる事態に。119台のサンプル調査ではナットの締め付けが基準の1.6倍以内は4台だけ。4割の系列工場では摩耗の点検さえ行われず、改良ハブがまたもや同種の事故を招いたのです。三菱ふそう側は記者会見で「仕事の進め方に甘さがあった」と反省の弁を述べました。しかし、設計上、使用条件の想定を見誤ったうえ、自社整備工場でさえも決められた整備や点検がなされていなかったことは、自動車メーカーとして許される姿勢ではありません。 立ち入り検査をしながら事態を見逃してきた国交省の責任も重いものがあります。異例の再リコールは、最初のリコール時の国交省の指導が不十分だったことの証明です。「あれだけの事故を起こして、刑事責任まで問われたのだから今度は大丈夫」といった根拠のない、企業側への信頼があったとしたら問題です。 製造物責任を追及する関係者たちの間では、行政は「企業性悪論」で臨むべきだ、という論議もあります。繰り返される欠陥とリコール。安全問題をめぐっての第三者機関設置の必要性が高まっています。
2007年01月19日
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「現段階で国民の理解が得られていない」(安倍首相)として,今国会への法案提出断念に追い込まれた「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制の除外制度)。サラリーマンを何時間でも働かせて残業代も払わないなど政府・財界がねらう労働法制改悪を許さない国民世論と運動の成果です。 「与党内から反対されるとは思わなかった。与党が了解した政府の計画通りやってきたのに」 「残業代がゼロになるという世論があっという間にできあがり,どうしようもなかった」 提出断念から一夜明けて,法案提出をねらっていた厚労省内からこんな声が聞こえてきました。 政府は与党を説得しようと,政省令で決めるとしてごまかしていた「年収基準」について,「九百万円以上にすれば,対象者は少なくなる」と突然いいだしました。 ところが,「勝手に決めてもらっては困る」と省内からも異論が噴出。 「自滅」(与党議員)同然の形で断念に追い込まれました。 「労働法国会」といわれる通常国会の重要法案が提出断念に追い込まれるのは異例の事態です。 直接的な動機は「選挙前にサラリーマンを敵に回すな」という自民党・公明両党の選挙対策からですが,世論と運動が無視できない広がりを見せているからです。 全労連や連合など労働者は「長時間労働を助長する」「サービス残業を合法化する」とこぞって反対し,宣伝・署名運動を繰り広げてきました。 マスコミも社説などで「導入する時ではない」「過重労働の不安消えない」と一斉に批判。NHKの世論調査では反対44%に対し,賛成はわずか14%。産経新聞調査では反対94%で賛成はわずか6%でした。 この制度が導入されれば,一定条件のサラリーマンは1日8時間・週40時間の労働時間規制から除外され,目標とノルマ達成のために,残業代もなく何時間でも働くことを迫られます。 企業は,労働時間管理に責任を負わなくなるので,サービス残業をさせたといって追及されることもなく,労働者が過労死しても責任を問われることもありません。企業にとってこんな旨みのある制度はありません。 経団連が求める年収400万円以上の労働者に導入すると,1,013万人が対象者とされ,1人あたり114万円,総額11.6兆円もの残業代が横取りされてしまいます。 こんなとんでもない悪法を強引に導入しようとして破たんしたのは当然のことです。 しかし,「提出断念」といっても,エグゼンプション導入をあきらめたわけではありません。 自民党・公明党連立与党内からも「参院選後の国会では当然やる課題だ」との声が上がっています。それは,日本とアメリカの財界による強い要望だからです。 日本経団連は2005年に「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を発表。昨年6月の「日米投資イニシアチブ報告書」では日米財界あげて改めてエグゼンプション導入を求めました。 財界の要求を受けて政府は2005年,規制改革3ヶ年計画で「アメリカを参考にした労働時間規制の適用除外を検討する」と打ち出し,検討に着手していました。 政府・財界がねらう労働法制の改悪は他にもあります。 サービス残業の温床と批判されている「裁量労働制」(あらかじめ決めた時間だけ働いたとみなす制度)について,対象業務をさらに拡大することや労基署に出す労働時間などの定期報告の廃止が計画されています。 新たにつくる「労働契約法」では,賃下げなど労働条件の切り下げが会社が一方的に作成する就業規則でできると規定。労働者が反対しても企業に都合のいい契約を押し付けられる仕組みをつくろうとしています。 さらに,経済財政諮問会議では,社会問題となった「偽装請負」を合法化するために,職業安定法・派遣法の改悪などが検討されています。 「労働契約法」について厚労省幹部は,「労働時間の問題とは違う。長年の目標であり,今国会で法案を成立させたい」としています。 しかし,「制度が否定されたわけだから見直さないと」,「いったん敵に回した世論を変えるのは簡単ではない」という声も聞こえてきます。悪法をごり押しすればするほど国民・労働者との矛盾は避けられません。 国民のための政治であるはずが,自民党・公明党連立与党そして一緒に推進する民主党は,大企業・アメリカ言いなりの政治をして国民の暮らしを破壊し続けています。 今回の件で明らかになったのは,国民の運動がある程度になれば,悪法のごり押しができない。つまり選挙で自民党・公明党連立与党そして民主党の議席を落とすことが,国民のための政治を取り戻す最大のちからになることを示しています。 国民がそのことを理解して,春の全国一斉地方選挙と夏の参議院選挙で他党に票を投じてくれることを期待します。決して候補者やマスメディアに騙されることなく,その政党の本質を理解し,選挙で票を投じることが自分自身の暮らしを良くすることになることだと強く期待します。
2007年01月18日
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「1月分から所得税(国税)が減り,そのぶん6月分から住民税(地方税)が増えることになります」,「負担は基本的には変わりません」。財務省や総務省が,インターネットのホームページ上に特設コーナーを設けて宣伝しています。本当に負担は変わらないのか? サラリーマン世帯の場合,その多くは1月に給与から天引きされる所得税額が減額され,手取り収入が増えます。これは,税源移譲に伴う影響が定率減税廃止による増税額を上回り,1月から5月までは,差し引き見かけ上減税になる現象です。 一方,6月には住民税の定率減税が全廃されます。さらに税源移譲分も含め,大幅に住民税額が増税されることになります。このため,6月からは増税になります。(表) 結局,1年間を通してみると,税源移譲だけに限った所得税,住民税額の合計額は変化しないものの,定率減税全廃による増税が庶民に押し付けられることになります。 サラリーマン世帯以外では,増税になる時期は世帯の所得のあり方によって異なります。例えば,年金生活者の場合,2月に減額された所得税は,その分も含めて6月に住民税増税にはね返ります。自営業者の場合,住民税増税の影響が先に現れ(6月),所得税の減額は来年の確定申告の時期(予定納税の場合は今年7月)になります。 さらに,所得の少ない高齢者の場合,住民税の非課税限度額が昨年廃止された影響が今年も続きます。6月には,定率減税全廃による増税に加え,非課税限度額廃止に伴う増税が上乗せされることになります。 増税批判をかわすために,財務省や総務省がいくら「負担は変わらない」と宣伝してみても,“庶民に増税,大企業に減税”という事実は消せません。【参考】 税源移譲 国と地方の税財政にかかわる「三位一体の改革」の一環として,所得税(国税)から個人住民税(地方税)へ,税金が移し替えられること。具体的には,これまで10%,20%,30%,37%となっていた所得税率を2007年分(1月)から5%,10%,20%,23%,33%,40%に変更。現行5%,10%,13%となっている住民税率を2007年度分(6月)から一律10%に変更します。財務省や総務省は,税源移譲に伴う個々の納税者の負担は,基本的には変動がないとしています。これらによる税源移譲の規模は3兆円とされています。
2007年01月17日
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大企業が空前の利益を上げる一方で家計消費は冷え込み,貧困を強いる非人間的な雇用の増大が大きな社会問題になっています。 世論調査でも「景気回復の実感がない」人が78%(「読売」),貧富の格差が「広がっている」と思う人は83%(NHK)に達しています。日銀の調査では雇用・処遇に不安を感じる人は80%を超え,過去最悪の水準です。内閣府が1月13日に発表した世論調査によると,生活不安を感じている人は調査開始から最悪の67.6%に上っています。 大多数の国民の暮らしが苦しさを増し,不安定雇用と貧困が広がっている現実の反映に他なりません。 「企業の好調さが,いずれ家計,賃金にも波及する」と甘い見通しを振りまく安倍内閣と,国民の実感との間には深い溝があります。 尾身財務相は「景気回復の軌道は今年夏の参議院選挙ごろまでには,より一層強固になるだろう」と言っています(1月8日,米首都ワシントンで)。夏には回復が家計に波及しているはずだというのです。 無責任な「予言」です。とりわけ尾身財務相には前歴があります。 尾身氏は橋本内閣で経済企画庁長官(現在の経済財政相に相当)をしていた1998年の初め,いずれ消費も所得も上向き,「サクラの咲くころには景気は回復する」と「予言」しました。しかし,キクの花が咲くころになっても回復の芽さえ出ず,1998年度は前年度を大幅に上回るマイナス成長に陥っています。 1997年に橋本内閣は消費税の2%増税や医療費値上げ,特別減税廃止で9兆円の国民負担増を強行しました。同年11月に尾身長官が財界の要請を受けてまとめた経済対策は法人実効税率の引き下げ,雇用の規制緩和(労働者派遣法の改悪),銀行への税金投入を柱にしていました。 ひるがえって,いまの政府の政策メニューには定率減税の廃止,法人実効税率の引き下げと消費税増税,福祉カット,雇用の規制緩和(労働者派遣法の改悪,「残業代ゼロ制度」の導入)が並んでいます。実施の順序や銀行対策を除けば橋本内閣の失政メニューとほとんど同じです。 家計と賃金からの収奪を進めながら,家計と賃金に波及すると説明するのはあまりに厚顔です。 財界言いなりの安倍内閣は失政を繰り返そうとしています。しかも,企業収益が低迷していた当時と違い,いま大企業は過去最高益を連続で更新中です。働く人への企業収益の配分割合を示す労働分配率は60%を切る寸前で,アメリカを下回るところまで急降下しています。その結果,大企業の金庫にはお金が溢れています。 ますます厳しくなる庶民の家計には増税を押し付けて,大儲け・金余りの大企業に減税するというのは究極の「逆立ち税制」です。 日銀の調査は「成長力」についても聞いています。今後の日本経済は「より高い成長が見込める」と考える人はわずか3.4%で,96%の人が「現状並み」か「より低い成長しか見込めない」と答えました。 政権みずから「上げ潮」政策と名づける安倍「成長」戦略が,日本経済の「引き潮」になりかねないことを多くの国民が見抜いています。 庶民から吸い上げて大企業にばらまき,雇用のルールを破壊する「構造改革」はますます貧困を拡大します。こんなやり方は,家計が60%を占める日本経済の安定的な発展とは決して両立しません。 大企業はこれまでの優遇政策で,十分な資金力,競争力を付けています。政府がすべきことは,まず政治家自身がエリを正し,本当の意味での国民のための政治を取り戻すことです。やるべきことはたくさんあります。雇用の問題,少子化問題,年金問題,税制問題,…挙げるとキリがありません。 財源は政治家自身の無駄使いをやめ,不必要な大型公共事業を中止し,大企業には相応の負担をしてもらい,米軍への援助を減らせば,国家財政は良くなります。「将来の子供たちへ借金を残さないために…」と政治家がよく言っておりますが,本当にそう思っているのであれば,上記のこともできるはずです。 今も増え続ける日本の借金を根本的に解決しようとしない政治家に「日本の将来」を真剣に考えているとは思えません。 これから迎える高齢化社会で,医療や福祉,年金などの国家支出が増えることは小学生でも分かります。だからこそ,それに備えるために大企業に相応の負担をしてもらい,不必要な大型公共事業をやめて,国の借金を減らし,大型公共事業ではなく,医療や福祉の分野に先行投資して環境整備や人材育成に予算を回し,雇用を安定させることが何よりも優先してやらないといけない時期に来ています。 残念ながら,今の自民党・公明党連立与党,民主党にはできないかも知れません。大企業から政治献金をもらっている以上,大企業を無視できない金権体質になっているからです。 自民党・公明党連立与党と民主党は全く別物(彼らはそう見せないようにしていますが)と考えるのは誤りです。よく調べてみれば,政党としての本質も,思想も,政策もほぼ同じです。言うなれば,自民党の一派閥が民主党と名乗って,野党を騙っているに過ぎないのが現実です。 私自身は,国会の議席占有が「自民党・公明党連立与党と民主党」vs.「社民党・日本共産党などその他の政党」という構図がほぼ「1:1」にならなければこの国が良くなることはないと考えます。 現実的でないとおっしゃる方もいると思いますが,「自民党・公明党連立与党と民主党」は「保守・大企業の優先という意味で資本主義・右より(軍治)」であるのだから,「社民党・日本共産党などその他の政党」は「革新・国民中心という意味で社会主義・左より(平和)」が国会で拮抗している政治でなければ,この国は良くならないと考えています。 日本は民主的な法治国会である以上,民主的な選挙で決められた国会議員がこの国の舵取りをしているのだから,選挙制度にも問題がありますが,国民の総意として現状の社会や政策,日本の方向性に満足しているのであれば「自民等・公明党連立与党と民主党」に票を投じればいいし,現状の社会や政策,日本の方向性,大企業・アメリカ中心の政治に不満があれば,「社民党・日本共産党などそのほかの政党」に票を投じればいいと考えます。 マスメディアや選挙のときの候補者の演説に騙されることなく,本当の意味で,その政党がどんな本質でどんな政策をやろうとしているのか知った上で,票を投じることが国民に求めれられています。
2007年01月16日
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安倍首相は1月9日から1月13日まで欧州四カ国(イギリス,ドイツ,ベルギー,フランス)を訪問,1月12日には日本首相として初めて北大西洋条約機構(NATO)本部で開かれた理事会で演説し,日本とNATOとの継続的な協力を訴えました。ヨーロッパのメディアはこれをほぼ一致して「日本の軍事大国化」の意図を表したものだと報じました。 日本の首相として初のNATO本部訪問を前にした1月11日,ベルギーのソワール紙(電子版)は「大国を夢見る東京」との表題で解説記事を載せ,安倍首相の言う「美しい日本」とは「軍事的に筋力を鍛え,国際舞台での重みを増すことにある」と記しました。 ドイツ紙ターゲス・シュピーゲル1月13日付(電子版)は「安倍首相は攻撃部隊を保有し,世界政治に決定的な意味を持つ国として登場したいと思っている」と指摘。 フランス保守系紙フィガロ1月14日付は「日本の首相は,国際舞台での軍事的政治的能力を増大させるため,平和憲法の改定を望んでいる。NATOはその計画の理想的な跳躍台を首相に提供するものだ」と論じました。 フランス「ルモンド紙」1月9日付は「『受動的平和主義』から『積極的平和主義』に移行」と,やや好意的に論じています。経済力で世界第2位の日本がそれにふさわしい国際的な貢献をすることが必要だとの認識を背景にしたものといえます。 しかし同紙も1月14日付では「北京とソウルは,東京の地球的規模の新しい野心に懸念」と指摘。ターゲス・シュピーゲル紙は「第二次世界大戦中に日本が戦争犯罪を犯した国々,とりわけ中国や韓国との緊張関係をつくりだす」と警告しました。 過去の侵略戦争に対して無反省なまま教育基本法改悪で「愛国心」教育が奨励され,防衛庁が「省」に格上げされる事態に,欧州のメディアも強い関心を抱いていることを示しています。 その極めつけとも言えるのが,1月12日付フランス紙リベラシオンの「ふんぞり返る日本」と題した記事です。 同紙は「経済大国に対応する政治的,軍事的な地位を得ようとする意思は,超国家主義的発熱を伴っていなければ何の問題もなかっただろう」と記し,現実において「平和主義に背を向ける」日本に厳しい目を向けています。 今回の首相外遊についてドイツウェルト紙1月10日付では「内政の葛藤を逃れて休養になるだろう」と冷ややかに見られる始末でした。しかし歴訪中の最大のハイライトであったNATO本部訪問では,各国のメディアが関心を持って報じたことは以上に指摘したとおりです。 ところが最初に訪問したイギリスでは,ブレア首相との共同記者会見を報じたメディアも,内容はイラクのフセイン元大統領の死刑問題が中心で,日本についてはほとんど無視。高級紙と言われるインディペンデント紙が取り上げたのも夫人に焦点を当てたゴシップ物にとどまりました。 イギリスの主要紙では安倍首相のNATO訪問を報じたところはなく,他の国との関係や動向についての関心の度合いに,大陸欧州諸国と際立った温度差があることを見せつけました。 今回のヨーロッパ訪問で,いかに今の日本の安部内閣が世界の流れに逆行し,世界で孤立するアメリカと日本を浮き彫りにした訪問だということがよくわかります。
2007年01月15日
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12月に大統領選挙が予定されている韓国の盧武鉉大統領は1月9日,大統領の任期を5年1期限りとしている憲法を改定し,4年で再選可能な「4年2期制」に変えるよう提案する特別談話を発表しました。5年1期では任期後半にレームダック(死に体)状態になり,一貫性と連続性のある政治を推進できないというのが理由。大統領選挙の時期を任期4年の国会議員選挙と一致させることも提案しました。韓国内では,この提案を機に大統領選挙に向けた政局が一気に動き出したとみられています。 大統領の提案に対し,与党・開かれたウリ党は「4年2期制は学界,市民団体,与野党すべてが主張してきたもの」と支持を表明。野党第一党のハンナラ党は「国政失敗の責任を逃れ,政局主導権の掌握と大統領選挙での勝利を狙った政治攻勢」だとして提案撤回を求めました。 野党第二党の民主党と第三党の民主労働党は,盧政権下での改定には反対ですが,4年2期制には賛成しています。 韓国の憲法学会は昨年9月,4年2期制への憲法改定を提案。市民団体の多くも支持しました。ただ,憲法論議が政争の具になるのではないかとの懸念も出ています。 4年2期制は盧大統領当選時の公約です。大統領は早期に憲法改定を公式に発議すると言明,4月か5月までには憲法改定を実現させたいとしています。しかし,改定には在籍国会議員の2/3以上の賛成を得た上で,国民投票で投票総数の過半数確保が必要。ハンナラ党が国会で1/3を超える議席を得ている現状では,改定は困難とみられています。 各種世論調査によると,4年2期制に6割が賛成,3割が反対。一方,盧政権下での憲法改定には3割が賛成で6割が反対という結果です。 ハンナラ党は1月10日の議員総会で「憲法改定論議には一切応じない」と決めましたが,大統領選挙の有力候補と目される朴槿惠・前代表も4年2期制を主張してきた経緯があります。政党支持率で圧倒的な優位に立っていながら,憲法論議が政局に与える影響に警戒を強めています。 一方のウリ党は,支持率の低下を打開するために新党結党を推進中。これに強く反対する盧大統領は求心力を低下させていましたが,憲法改定の提案を機に政局全体に一定の影響を及ぼすとみられています。 盧大統領は1月11日の記者会見で,自分の政治活動を振り返りながら,「私は決して政略で政治をやらない」と強調,政局主導狙いという見方を否定しました。 今のところ,憲法改定が実現するとみる人は少数派ですが,「学界と市民団体の大勢が4年2期制に共感を示している上に,民心も賛成に回れば,ハンナラ党もただ反対というわけにはいかなくなる」(YTNテレビ)との指摘もあります。 ウリ党幹部の側近は取材に対し,「大統領の提案をきっかけに,ハンナラ党勢力と非ハンナラ党勢力という大きな対決構図が形成される可能性」を指摘します。 「大統領は,自分が推し進めてきた地域主義の打破,南北和解と北東アジアの平和,平等な米韓関係という目標に間違いはないと確信している。大統領選挙に向けて,こうした目標を共有する勢力の再結集の起爆剤になることもありうるのではないか」と,この幹部側近は語りました。 日本の政治よりも,より前向きで国民的議論が起きている少し面白い韓国の政治動向も気になります。最近(21世紀になってから)日本の政治は国民的議論もなく,政治家とアメリカ,大企業の思惑だけで,国民の暮らしが悪くなる政策・法案ばかりです。 日本国民も,政府に対してもっと自分たちの要求を出して政治を,社会を変えていって欲しいものです。
2007年01月14日
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ブッシュ米政権がイラク占領終結の見通しを示せないまま20,000人を超える増派を決め,イラク駐留150,000人体制に突入するひとつの背景には,「多国籍軍」の名のもとで形成した有志連合の崩壊があります。 当初,38ヶ国が参加していた有志連合は,軍を撤退させる国が相次ぎ,兵力を削減せずに派兵を継続する国は17にとどまっています。 最大時3,000人を派兵していたイタリアは昨年12月1日,最後の兵士数十人が撤退し,完全撤退しました。同国では兵士31人,民間人8人が犠牲になりました。昨年4月の総選挙では「イラク戦争は誤りだ」と訴えて撤退を公約に掲げた中道左派連合が勝利し,プローディ現政権が成立。当時はまだ2,600人が駐留していましたが,新政権下で撤退ペースが早まりました。 韓国は最大3,200人を派兵し,米英軍に次ぐ規模でしたが,イラク情勢の泥沼化と派兵長期化のなかで撤退を求める世論が高まり,すでに2,300人に削減。今年4月までにさらに1,200人に縮小する計画です。与党の議員総会では今年末までの完全撤退計画の提出を政府に求める方針を決定しています。 この3月でイラク戦争開始から丸4年を迎えます。すでに太平洋戦争の3年9ヶ月を上回り,泥沼・長期化の一途です。イラクに大量破壊兵器が存在する証拠も,イラク前政権が9・11対米同時テロと結びついていた証拠もなく,戦争の口実がことごとく崩壊したなかで,世界各国の対応は明らかに変化しています。 第二の派兵国英国のブラウン国防相は1月11日,「数千人規模の削減」を口にし,現在7,000人の駐留英軍の段階的撤退を進める意向を表明しました。派兵継続国のひとつ,オーストラリアのハワード首相も同日,同国軍の増派について「現時点でその必要はない」と否定しました。 アメリカは有志連合への参加国が減少するなかでも,2005年1月のイラク国民議会選挙など“国づくり”での節々で,「治安確保のため」として駐留軍の増員を重ねてきました。しかし,住民を犠牲とする「掃討作戦」の結果,混乱は一層促進されました。 いま,国際的に孤立しながら増派に向かうブッシュ政権。日本政府が昨年12月,イラクに派遣している航空自衛隊の派兵期間の延長を決定した責任も問われています。 世界の流れに逆行するアメリカ・ブッシュ大統領を盲信して付いていく日本政府の異常さが世界の中で目に付きます。間違っているものは間違っていたと認めることができないのは,過去の戦争の指導者たちと似ていて少し恐怖を感じます。
2007年01月13日
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スキャンダルまみれの安倍内閣に,政治と金をめぐる閣僚の新たな問題が表面化しました。 伊吹文明文科相,松岡利勝農水相の「事務所費」疑惑です。 家賃のかからない国会の議員会館を政治団体の「主たる事務所」としながら,数千万円もの高額の事務所費を政治資金収支報告書に記載していました。一般紙も遅れながら指摘をし始めました。 政治団体が年1回提出することが義務付けられている政治資金収支報告書には「事務所費」という支出項目があります。内訳は▽地代・家賃▽固定資産税▽火災保険料▽電話代▽切手代などに限定されています。 「政治活動費」なら50,000円以上の支出には領収書の添付が求められますが,事務所費は総額だけの報告で,明細の記載や領収書の提出が求められません。闇の支出を紛れこませられるところがつけ目です。 伊吹氏の2つの政治団体は2005年に,4,700万円の事務所費を計上しました。家賃もかからないというのに一体何に使ったのか。 伊吹氏側は,地元・京都市や都内の事務所の賃料を払った,議員などの会食費も年間500万円-600万円を使ったと説明しています。語るに落ちるとはこのことで,政治活動費として報告すべきはずの飲み食いの金まで,事務所費にくわえていたのです。活動実態がない政治団体が巨額の事務所費を計上していた問題も浮かんでいます。伊吹氏の政治資金収支報告は,透明度ゼロです。 伊吹氏は1月10日夜に急きょ記者会見して「法律に違反した記載というものはしていない」と述べました。伊吹氏は政治資金規正法を読んだことがあるのでしょうか。 同法は基本理念で「政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることに鑑み,その収支の状況を明らかにすることを旨と」すると述べ,資金をガラス張りにして,国民の不断の監視と批判を仰ぐとしています。 “違法でなければなにをやってもいい”という伊吹氏の規範意識は論外ですが,不明朗な経理をしながら「違法ではない」と強弁するのでは,大臣の資格を欠きます。 松岡農水相も2005年に,3,300万円余の事務所費を計上しています。松岡氏は「架空のものだとか,付け替えというのは一切ございません」と述べ,昨年末に事務所経費の付け替えが問題になり辞任した佐田玄一郎前行革担当相の問題とは「全然違う」と強調しています。 松岡氏は,詐欺まがいの手法で全国から130億円以上の出資金をかき集め出資法違反で摘発された会社の関連団体に100万円分のパーティー券を買わせながら,報告しなかった問題も未解決です。この会社がもくろんだNPO法人設立への口利き疑惑を巡り,当初は「関係ない」と説明しながら,事実をつきつけられると秘書の働きかけを認めた「食言」の実績もあります。松岡氏の弁明は国民からみれば,逃げ口上でしかありません。 問われるのは両氏を大臣にした安倍首相の責任です。首相は「法にのっとって適切に処理しているとの報告を受けている」と,早々に2人の責任を不問にする態度ですが,とんでもありません。政府は,国民の前に事実を明らかにすべきです。
2007年01月13日
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伊吹文明文部科学相,松岡利勝農水相らが賃料のいらない議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら巨額「事務所費」を支出していたことが,「政治とカネ」の問題として急浮上してきました。伊吹文科相は,「東京と京都にある別の事務所の賃料を計上していた」と弁明しましたが,調べてみると,そのウソが明らかになりました。 伊吹文科相の資金管理団体「明風会」の政治資金収支報告書によると,2005年に約4,146万円の事務所費を計上していました。政治資金規正法施行規則によると,「事務所費」の定義は,政治団体の事務所の借料損料(地代,家賃),火災保険料,電話使用料,切手購入費,修繕費などです。 議員会館は賃料がいらないため,4,000万円を超す「事務所費」には,自民党関係者からも「電話や切手など通信費を入れてもこんな額にはならない」という声があがっています。 伊吹文科相の事務所は,「議員会館の事務所とは別に,東京と京都に事務所があり,家賃が年間計1,800万円ほどかかる」と説明しています。 ところが,東京・平河町にある「明友会」や,京都市下京区に同居する伊吹氏が支部長の「自民党京都府第一選挙区支部」,「自民党京都府明風支部」,関連政治団体の「新風会」とも,それぞれが事務所費を計上しています。 伊吹氏側は,「飲食を含む会合費としても300万円-400万円かかっている」ともいいますが,政治活動費の「組織活動費」として処理すべきものであり,資金流用そのものです。 昨年末には,佐田玄一郎行政改革担当相が,計上した架空の事務所費を何に使ったか説明できず,辞任に追い込まれました。「領収書を取れないものもあり,人件費と事務所費でしか処理できない」と合理化を図る伊吹氏も佐田氏同様,政治資金収支報告書の虚偽記載にあたる可能性があります。 国民には増税・負担増を押し付けておいて,自民党・公明党連立与党の幹部政治家たちが使途不明金を作り,脱税をしているようでは国民の支持を得られません。それを支持する国民も事実は事実として知り,支持している政党に改めさせなくてはいけません。 各政党の党員は,たとえ中央の党員であろうと間違ったことがあればそれを指摘し正すことができなければ,政党として民主的な政党とは言えません。自らが自浄する組織になることを期待します。 国民は政治家が何をしているのかを監視し,おかしなことは制度や法律を活用して詳細を開示させ,改めるように行動することが求められます。そしておかしなことをしている政治家・政党には選挙で意思表示をすることで,政治が,社会が,暮らしがよくなるのです。※事務所費の問題は,当ブログの1月3日付で「おかしな制度におかしな政治家たち」で詳しく書いたのがありますので参考にしてください。
2007年01月12日
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アナン国連事務総長(当時)は昨年12月4日,BBC放送で,イラクの現状は「内戦よりもひどい」と述べました。 同氏は昨年9月に国連安保理に提出したイラク情勢報告で次のように指摘していました。「避難民が増大していることが引き続き懸念される。これは主として共同体内の暴力の結果だが,同時に軍事作戦によるものでもある」。軍事作戦とはアメリカ軍の作戦を指します。 「内戦」化のきっかけは,昨年2月に中部サマラで起きたイスラム教シーア派聖廟爆破以来の宗派間抗争の激化です。それは同時に,「テロ掃討」の名でアメリカ軍がイラク治安部隊を引き連れて軍事作戦を展開,その治安部隊に宗派の民兵組織を組み込んで宗派抗争を煽ってきた結果でもあります。 アメリカ兵の死者は昨年12月,開戦以来3番目に多い116人に達しました。死者総数も3,000人を超えました。 それ以上に,イラク人の死者はイラク保健省の発表で100,000人-150,000人とされます。避難民の数について安保理報告は昨年9月時点で30,000家族,200,000人を超すとしていました。10月半ばの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表では,1,500,000人以上に達しました。 その結果生じているのはイラクの分裂への動きです。石油資源の豊かな北部のクルド人地域と南部のイスラム教シーア派地域,資源のない中部のスンニ派地域の三地域への分裂です。 首都をはじめこれまでスンニ派,シーア派が混在していた中部・西部では,暴力が激化,避難民が激増し,「住み分け」が起きています。 昨年9月の世論調査でバグダッドに住むシーア派の80%が1年以内のアメリカ軍撤退を求めました。昨年1月の時点でシーア派の大半が「治安状況の改善」をアメリカ軍削減の条件としていたのとは大きな違いです(アメリカ誌『ニューズウィーク』)。 英BBC放送は昨年末のフセイン元大統領処刑後,こう論評しました。 「イラクは今,『不安定』の主要な輸出国だ。アメリカ主導の(イラク)侵略は中東のプールに大きな岩を投げ入れた。それはサダム・フセインが死んだ後も長い間この地域を洗う波を引き起こしている」。 ブッシュ政権は,「フセイン政権の大量破壊兵器の脅威」というウソと,「独裁政権の打倒による民主化」という口実で国際法無視の戦争を始めました。そのウソと虚構が白日のもとにさらされても,ブッシュ政権はなお「増派」という道に固執しています。
2007年01月12日
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「新戦略」としてブッシュ大統領が1月10日のテレビ演説で打ち出したイラク増派計画は,「イラク戦略の変更」ではなく,アメリカ軍の占領政策の継続表明に他なりません。 ブッシュ大統領は,宗派間対立が激化するバグダッドの治安安定に「失敗」した原因は「兵力不足」にあるとし,アメリカ軍増派を強行する構えです。 しかし,アメリカは宗派間対立をテコにして占領統治をすすめるという一番悪いやり方をやっており,これがイラクを『内戦状態』といわれるところまで引き込みました。宗派間対立を引き起こしているのはアメリカ軍の占領そのものです。 侵攻開始から4年近くのイラクの現実が,軍事的対応では何も解決しないことを示しています。イラク国民の犠牲は数十万人にのぼり,米兵の死者は3,000人を超えました。戦争による混乱は,イラクにテロリストをひきつけています。軍事掃討作戦への固執は,アメリカとイラクをますます泥沼に引きずり込むだけです。 昨年11月の米中間選挙での与党・共和党の敗北以来,アメリカではイラク政策の根本的見直しを求める声が一層高まりました。 ベーカー元国務長官ら共和・民主両党の有識者からなるイラク研究グループ(ISG)が12月に発表した報告は,軍事一辺倒ではなく政治解決に着手する必要性を指摘。2008年3月までのアメリカ戦闘部隊の段階的撤退や,イランやシリアとの対話開始を提唱しました。 今回のブッシュ演説は,この政治解決路線を拒否。「失敗の余裕はなく勝利しかない」とし,この期に及んでも,あくまで軍事的勝利の達成に固執しようとするものです。しかも,増派によって「一層の犠牲が必要になる」と開き直っています。 さらに,イランやシリアによる「テロリスト組織」支援への対処に言及し,中東地域に新たな空母打撃群を派遣したことを表明しました。イラクでの軍事作戦を「対テロ戦争」の主戦場として強化するにとどまらず,同「戦争」を中東全域でさらに拡大する危険な姿勢を見せています。 アメリカ国内では,ブッシュ大統領の増派計画に対し,反対の声が上がっています。 世論調査(1月9日)では6割が増派反対を表明。1月10日には,これまでブッシュ政権に異を唱えてこなかった共和党のコルマン上院議員まで「バグダッドへの増派はアメリカ兵を危険にさらすだけだ。軍事対応では問題解決にならない」と反対を表明しました。 ますます危険な路線に突き進むブッシュ政権。アメリカ内外での一層の孤立化は避けられません。 アメリカ軍増派というブッシュ米大統領の「イラク新戦略」について日本政府は1月11日,「イラクの安定化に向けた大統領の強い決意表明を評価したい」(塩崎恭久官房長官),「アメリカ政府のさらなる努力として評価する。わが国は引き続きアメリカと協議,協力していく」(麻生太郎外相)などと,どこまでもアメリカ追随,ブッシュ追随で絶賛しました。 安倍晋三首相もブッシュ大統領から「新戦略」について事前に電話説明を受けた際,「アメリカの努力が効果的に進められ,良い成果を上げることを強く期待する」と高く評価しました。 これは,アメリカによるイラク戦争と占領支配の大破たんが誰の目にも明らかなのに,あくまで軍事的対応にしがみ付くブッシュ政権にどこまでも付き従おうとする,極めて異常な態度です。 アメリカ国内でも国民多数がイラクへのアメリカ軍増派に反対。アメリカ議会で多数派の民主党も増派に反対の姿勢を明確にしています。昨年12月には,超党派の「イラク研究グループ」(ISG)が2008年までの戦闘部隊撤退という方向を打ち出した報告書を出しました。 ところが,日本政府は同報告書に対し「アメリカ政府の決定でも何でもない」(塩崎官房長官)と冷ややかな反応を示し,航空自衛隊のイラク派兵の半年間延長や,防衛省発足に伴う自衛隊海外派兵の本来任務化を推し進めてきました。 アメリカ議会の承認すら得られる保証のないブッシュ「新戦略」への異常な追随は,今でも「イラク戦争は正しかった」とする安倍政権が,事態打開に向けた戦略的展望を一切持っていないことを示すものです。 政府はすでに,今年7月に期限が切れるイラク特措法を1年間延長し,空自による武装米兵などの空輸をさらに継続する方針を固めています。 現在,空自はC130輸送機3機と200人の隊員を派兵し,クウェート-バグダッド-イラク北部のアルビルを結ぶルートを,週に4往復前後,飛行しています。ブッシュ大統領が発表した「新戦略」の“目玉”のひとつは,アメリカ陸軍5個旅団(約17,500人)のバグダッドへの増派です。「新戦略」が実施されることになれば,バグダッドへの空輸を定期的に行っている空自の役割はアメリカ軍の軍事作戦上一層大きくなることは必至です。 このことは,出口の見えない泥沼のイラク情勢にさらに深く足を踏み入れることを意味します。 日本政府内からもすでに「(空自は)イラクでの(アメリカ軍の)活動を支援する目的で行っているのだから,それが終わってもいないのに(日本に)帰るわけにはいかない。増派になれば,日本は撤退しにくくなる」(高官)と,派兵長期化を懸念する声が上がっています。 世界の流れの中で,逆行しているアメリカのイラク政策に異常なまで盲信して付き従い,日本国民の税金を注ぎ込み,自衛隊員の生命を危険に晒すことをすすめる自民党・公明党連立与党とこれに同調する民主党には理解できません。 独自の分析も,政策もなく,ただアメリカに付き従う姿が世界から見ても異常と映っていることを政治家として自覚していないことが恐ろしいです。
2007年01月12日
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自民党衆院議員の衛藤征士郎元防衛庁長官(大分2区)の公設第一秘書が私設秘書時代,情報冊子の「購読料」名目で約1億4,000万円を集めた迂回献金疑惑で,衛藤氏は「秘書のしたこと」と責任逃れを図っています。ところが,調べてみると同公設第一秘書が衛藤氏の事実上の“金庫番”であることがわかり,そんな言い逃れが通用しないことが浮き彫りになりました。 調べたのは,総務相と大分県選挙管理委員会に提出されている政治資金収支報告書。公設第一秘書は,衛藤氏の資金管理団体「新21世紀政治経済研究所」の会計責任者と事務担当者を兼ねているのをはじめ,多くの関連政治団体の会計責任者や事務担当者を兼任しています。(図参照) 2005年の政治資金収支報告書によると,資金管理団体「新21世紀政治経済研究所」は,東京の帝国ホテルや,大分市のホテルなどで「セミナー」名目で政治資金集めパーティーを計17回も開催,約7,700万円を集めています。 また,公設第一秘書が会計責任者兼事務担当者である「21世紀政治経済研究所」「関西21世紀政治経済研究所」がそれぞれ「新春を寿ぎ,出版を祝う会」,「大阪特別セミナー」などの名目で集めたパーティー収入から計5,000万円の“上納”があります。まさに,衛藤氏の中心的な政治団体です。 衛藤氏が支部長を務め,公設第一秘書は会計責任者の「自民党大分県第2選挙区支部」は,地元業者の企業献金や自民党本部からの政党助成金,日本自動車販売協会連合会などの団体献金がおもな収入となっています。 文字通り,公設第一秘書は,衛藤氏の政治資金を一手に取り扱う金庫番です。 衛藤氏は1月9日,「公設にしろ私設にしろ,一緒に仕事をしてるので当然,管理の責任はある」と道義的責任は認めました。しかし,衛藤氏の政治資金に深くかかわっている公設第一秘書だけに,「秘書のサイドビジネス」という説明では不十分です。 政治家として国民のための政治をしているのであれば,衛藤氏は事実を国民の前に明らかにし説明をすべき問題です。調べれば分かることを隠しても誤解を招くだけです。 このような話を聞くたびに思うことは,企業団体献金の害悪です。そもそも企業団体献金を認めること(受け取ることも同様)は,特定の企業や団体に融通をきかせていることを国民に知らしめているだけです。実際,融通をきかせていなくてもそのように受け取るのは当然のことです。 自民党も,公明党も,民主党も企業団体献金ではなく,『クリーンな政治』を謳うのであれば,個人からの政治献金のみ受け取り,企業団体献金は受け取らないと党規約で示すことが必要です。 言っていることとやっていることが違うのであれば,それは詭弁に過ぎず,国民騙しに過ぎません。自らを律せず,他党の批判や足の引っ張り合いでは国民が政治に無関心になるのも当然です。また,国民も政治家の話を鵜呑みにするのはなく,当たり前なことはどんどん意見をぶつけ改めさせないと,自分たちの暮らしも良くなるはずもないことを知るべきです。
2007年01月11日
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安倍晋三首相が任命した閣僚らの「政治とカネ」の疑惑,不祥事が相次いでいます。しかし,安倍首相は「個別の事案の詳細は担当大臣に聞いていただきたい」(1月5日の記者会見)などと真相解明に背を向けています。 安倍内閣は発足わずか3ヶ月で深刻なダメージを受けています。昨年12月に,首相の肝いりで政府税調会長に起用された本間正明氏が公務員宿舎に家族でない女性と入居していた問題で辞任。続いて,佐田玄一郎前行革担当相が政治資金収支報告書の虚偽記載で辞任に追い込まれました。 新年早々には,松岡利勝農水相の「口利き」疑惑が浮上。出資法違反容疑で捜査を受けた資産運用会社の関連団体が松岡氏の100万円分のパーティー券を購入,松岡氏側が関連団体のNPO(特定非営利団体)法人申請で内閣府に審査状況の照会をしていたというものです。 重大なのは,一連の疑惑・不祥事に対して安倍首相が何ら任命責任を果たさず,逆にかばい続けていることです。 松岡氏の疑惑は,農水相就任直後の昨年9月から指摘されていました。本来なら,このときから安倍首相が率先して真相をただすべきなのに問題視しませんでした。松岡氏は「関係者に接触したことはない」と全面否定し,国会でも同様の答弁をしてきました。 ところが,今回はNPO法人の申請をめぐり,松岡氏の秘書から内閣府に照会と「よろしく」との依頼があったことを示す文書が存在することが明らかになったのです。これまでの松岡氏の発言から偽証の疑いも出ています。 それでも安倍首相は「(松岡氏から)働きかけはなかったという報告を受けている」と二転三転した松岡氏の釈明会見を鵜呑みにするだけで,一向に調査すらしようとはしません。 松岡氏をめぐっては同氏の資金管理団体が家賃のかからない議員会館を事務所の所在地としながら,高額の事務所費を政治資金収支報告書に記載していた問題も出てきています。これにも安倍首相はだんまりを決め込んでいます。 本間氏には「職責を全うしてほしい」とかばい続けた安倍首相。佐田氏の辞任時には「任命者として責任を感じている」(昨年12月27日)との認識を示したものの,後任人事を決めると佐田氏の疑惑を一切不問にしてしまいました。 「政治とカネ」をめぐっては,自民党の衛藤征士郎元防衛庁長官の公設秘書が建設業者から情報冊子購読料の名目で1億円以上の資金を集めていた疑惑も明るみに出ました。安倍首相は自民党総裁として真相解明をする責任があります。 「美しい国,日本」と安倍首相は国民に規範意識を求めますが,少なくとも自らの任命責任,総裁としてのリーダーシップを発揮してからいうべきです。「美しい」どころか「(カネにまみれた)汚い国,日本」ではないかと誤解されかねません。【安部首相語録】 松岡利勝農水相釈明会見(1月5日) 「働きかけはなかったという報告を受けている。個別の事案の詳細は,ぜひ,担当大臣に聞いていただきたい」。 佐田玄一郎行革相辞任(昨年12月27日) 「任命者として責任を感じている。(後任に)適切な人を任命し,結果を出していくことで責任を果たしたい」。 本間正明政府税調会長辞任(昨年12月21日) 「税に対する高い見識を生かしてもらいたいと任命したが,一身上の都合で辞任したいということだからやむを得ない」。
2007年01月10日
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60年以上も前に旧日本軍が遺棄した毒ガスで被害を受けた中国の人たちが,日本政府に謝罪と補償を求め裁判を起こしています。 今回新たに東京地裁に提訴するのは,黒竜江省チチハル市で2003年8月に被毒事故にあった負傷者43人と死亡した1人の遺族です。 中国への侵略戦争で,日本軍は当時の国際法でも使用が禁止されていた毒ガス兵器を大量に持ち込み,実戦に使って,多くの人を殺しました。1945年8月の終戦時,日本軍は事実を隠すために,組織的に毒ガスを河川や沼に流したり,地中に埋めるなどして日本に帰りました。 遺棄されたのはびらん性のイペリット・ルイサイトなどの猛毒です。中国政府は遺棄された毒ガス等の化学兵器は200万発にのぼると推計し,日本政府も1996年の調査から70万発と推定しています。 このおびただしい量の毒ガスが,いまも中国の人たちの命を奪い,被害を生んでいます。チチハルの事故の後も,2004年に吉林省で,2005年には広州で新たな事故が起きています。この問題は,過去のことでも,解決済みの問題でもありません。 日本政府は,1995年に批准した化学兵器禁止条約に基づき,2007年までにこのガス弾を無毒化して廃棄する義務を負っています。しかし,いま起きている被毒事故の被害者に対して,日本政府は謝罪も補償もおこなっていません。 1972年の日中共同声明によって,第二次世界大戦にかかわる日中間の請求権の問題は「処理済み」だというのがその最大の論拠です。 国と国との関係で,相手国の政府が補償を請求する権利が存在しなくなったからといって,被害を受けた中国の国民がほったらかしにされていいはずはありません。 遺棄化学兵器による被害は,日本が条約上の責任を負っている廃棄処理が遅れたなかで起きた事故であり,日本政府に救済責任がないという立場に立つことはできません。過去の誤りを清算するためにも,政府が自発的に賠償に応じるべき問題です。 遺棄毒ガス兵器の被害者が日本政府に賠償を求める裁判は,既にハルビン・牡丹江地区とチチハル地区の2件が東京高裁で係争中です。一審の東京地裁では,いずれも原告の被害事実を認めたものの,国の責任について司法の判断は分かれました。 提訴した中国の人たちの願いは,新たな被害を生まないために遺棄毒ガス兵器の一刻も早い廃棄の実現と,被害者たちが安心した毎日を送れるよう医療・生活支援など人道的支援を行うことです。 旧日本軍の毒ガスで人生を破壊された人たちの当然の願いに,日本政府はまっすぐ向き合うべきです。 遺棄毒ガス問題は,日本の中国侵略の傷跡がいまも大きく残されているという問題です。 ある自民党衆院議員は右翼論壇に「“媚中(びちゅう)”外交の毒が回った毒ガス訴訟判決の不正義」という論文を発表し,民主党衆院議員も外務委員会で「あの遺棄兵器はでっち上げ」,「対中関係に関しては,単に自虐的でない外交を」と主張して,問題の解決に立ちはだかっています。 安倍首相は昨年の訪中で,日中関係の改善を合意しました。歴史認識の基本を共有し,戦後補償に誠実に取り組むことなしに,中国やアジアの諸国と前向きな関係を築くことはできません。過去の清算なしに,明るい日中関係を築けるはずもありません。政治レベルではなく,国民レベルで良好な関係を築けずに国家レベルで本当の意味での良好な関係などあり得ないのです。
2007年01月10日
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日本経団連(日本経済団体連合会)は元日に,今後10年間の日本のあるべき姿を描いたという政策提言「希望の国,日本」(御手洗富士夫会長の名前を取って「御手洗ビジョン」と呼びます)を発表しました。4年前の元日に奥田碩前会長時代に発表した「奥田ビジョン」に続く,財界の「日本改革論」です。 「御手洗ビジョン」には,アクションプログラムとして,重点的に取り組むべき課題114項目が盛り込まれています。 その中身は,大企業減税や消費税増税,社会保障の縮減,ホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制の適用除外)の実現,道州制の導入,愛国心教育の推進,「ミサイル防衛」能力の向上,2010年初頭までに「憲法改正を実現」などなど,財界の要求が列挙されています。いわば財界要求の“言いたい放題”という感じのビジョンです。 どのような階級的立場に立とうとも,政策提言をする以上,現実をどう認識しているか,客観的な現実分析が基礎になります。 「御手洗ビジョン」の現実認識の特徴は,現在の日本経済論のタイプを「弊害重視派」と「成長重視派」に区分けして,この二分法ですべて片付けていることです。 日本社会の様々な困難や矛盾に取り組む人々を「弊害重視派」のレッテルを張って,現実認識の入り口でシャットアウトする。これは,日本経済の矛盾から自ら目を背けるという,都合のよい「分析方法」になっています。 そのために,労働者の労働実態,国民の生活実態は,全く無視されています。たとえば,昨年マスメディアも取り上げ,社会問題にもなっているワーキングプア,偽装請負,サービス残業,社員のうつ病・神経症などの「心の病」,家計の負担増への悲鳴などなどは,一言もでてきません。 国内の情勢認識だけではありません。 「御手洗ビジョン」には,御手洗会長名の「序」という文章がありますが,そこでは,アメリカ経済を「1990年代のニューエコノミーと呼ばれる奇跡の復活」によって「空前の繁栄」を成し遂げたと描いて,アメリカを手本にすべきだという御手洗会長の“信念”が長々と披歴されています。しかし,そのアメリカが,いま史上最大の経常収支赤字をかかえてドル暴落の不安に怯えている現実などは,一切視野に入っていません。 それにしても,財界の現実認識は,なぜこんなにも一面的なのか。 すでに,財界は,一種のユーフォリア(Euphoria 陶酔的熱狂)状態に入っているからなのかもしれません。 経済学でいうユーフォリアとは,景気循環の繁栄局面の頂点で,資本の儲けが最高水準に達したときに,資本が陥る「夢幻境」の局面をさしています。ユーフォリアに入ると,資本は,自らの繁栄に目がくらんで,現実に累積している矛盾は一切視野に入らなくなります。 たとえば日本でも,かつての「いざなぎ景気」の最終局面(1970年代初頭)や「バブル景気」の最終局面(1980年代末)には,一種のユーフォリア状態に陥り,無謀な「列島改造」の名による超高度成長政策を提案したり,アメリカの土地やビルを買いあさるなどの愚かな政策をすすめました。いずれも,爆発寸前に膨らんだ矛盾の存在が,全く目に入らなくなっていたからです。 いま,財界・大企業は,史上最高の利益が3年連続し,さらに今年も最高益更新は確実だといわれています。大企業の「空前の繁栄」によって,景気上昇期間もすでに「いざなぎ景気」を超えています。財界がユーフォリア状態に入る条件が生まれはじめているといってもよいでしょう。 「御手洗ビジョン」の現実認識の一面性の根底には,今日の財界の構造的な特質もあると思われます。 現在の日本経団連の前身である旧経団連が誕生(1946年8月)したとき,その目的は「日本経済の再建・復興」に置かれていました。そのために当時の経団連は,「総資本」の立場にたって,さまざまな利害の「調整役」などの役割も果たしていました。その限りでは,財界も,かつては国民的な課題がある程度見えていたといえるでしょう。 しかし1990年代以降,とりわけ2002年5月に日本経団連が発足するころから,「総資本」の立場は,失われて,もっぱら主流派の巨大企業の立場(多国籍企業化した「勝ち組」資本の立場)を代表する利益集団に変質してきています。日本の経済社会の現実をとらえるときにも,そうした特定の利益集団にとって都合のよい現実しか見えないようになってきているといえるでしょう。 たとえばアジア認識についても,それは現れています。 「御手洗ビジョン」では,アジア重視を強調しているにもかかわらず,その前提となる「歴史認識」の問題や「平和の東アジア共同体」形成の課題などについては,一言も触れていません。あるのは,東アジア全域にEPA(経済連携協定)を締結せよというような,アジアの成長を日本の巨大企業の利益に取り込むための手前勝手な構想ばかりです。 ユーフォリアに落ち込んだ資本は,決して自ら目覚めることはありません。目覚めるのは,膨れ上がった矛盾がついに爆発して,経済社会が大破たんするときです。しかし,それは,単に財界・大企業にとっての不幸であるだけではなく,日本にとっての不幸であり,なによりも国民にとっての不幸です。 「御手洗ビジョン」に見られるような歪んだ現実認識を変えさせることができるのは,労働者と国民の闘いしかありません。
2007年01月09日
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自分たちの税金を戦争に使わせたくない-ワシントン近郊の住民たちの反戦の思いが,地域通貨の創設というかたちで実りました。アメリカには,良心に従って戦争に使われる税金は支払わないという反戦運動があります。活動家たちは地域通貨を通して,新たな地域づくりを目指しています。(メリーランド州マウントレーニエ) 首都ワシントンの北東に隣接するマウントレーニエ市。人口約8,500人の小さな市です。昨年10月,同市を中心に地域通貨「アナコスチア・アワー」が誕生しました。アナコスチアは「交易の町」という意味を持つ,同地域一帯を指す地名です。アワーがドルに代わる通貨の単位で,1アワー,1/2アワー,1/4分アワーの各紙幣が発行されました。1アワーは,10ドルに相当します。 この通貨の仕組みは,住民たちが自ら提供できるサービスを登録することから始まります。パンづくり,介護,まき割り,庭仕事といった特技から,財政運用,非営利団体のコンサルタント業などの専門技術まで,多岐にわたるサービスがパンフレットに収録されています。そのなかから,住民は,必要とするサービスを「アワー」で購入するというもの。課税対象の収入が減ることになります。 現在,住民約70人が参加し,「アワー」を介した取引が行われています。「アワー」を受け取る地域の商店も生まれ,「アワー」で買い物もできます。 「このお金は,イラク戦争には使われないわよ」と「アワー」への賛同者を広げてきたのは,在米10年の宮崎さゆりさん(写真・右)。「アナコスチア・アワー」の生みの親です。 イラク戦争開戦後,「イラクで爆撃が続いているのに,何もせずにはいられない。何ができるだろうか」と試行錯誤していた時に,地域通貨の取り組みがあることを知ります。 ニューヨーク州イサカ(人口約30,000人)で1991年に始まった地域通貨「イサカ・アワー」を勉強しました。地域通貨のモデルとして世界的にも有名なイサカの取り組みは,1,300人を超える住民が参加登録をし,これまで10,000ドル相当のアワーが流通してきました。 宮崎さんは,さっそく地域の反戦平和グループ「平和と正義のために結束する住民たち」に紹介しました。 このグループは,9・11同時テロ直後にマウント・レーニエに誕生した住民組織。アフリカ系,白人,アラブ系など多様な人種が住む地域の一致団結を促してきました。同グループの活動家が中心になって「アナコスチア・アワー」の準備を進めてきました。 「アワー」紙幣には,地域づくりの思いも込めました。それを象徴するのが,「お互いを信頼する」という言葉。ドル紙幣にある「神を信頼する」とは違います。 紙幣には同地ゆかりの人物を描きました。19世紀の奴隷制度廃止論者のフレデリック・ダグラス,環境問題を告発した生物学者のレイチェル・カーソン,そして同地域の先住民アナコスタン・インディアンが,それぞれの紙幣の中央に配されています。 2年間の準備を経て,刷り上がった「アナコスチア・アワー」を手にしたとき,「ブッシュ政権から離れることができた,独立した,という気がしました」と宮崎さんは言います。 とはいえ流通は始まったばかりで,額もまだ少しです。参加者の一層の拡大を目指しています。宮崎さんは「この運動はホワイトハウスのすぐ近く,裏庭でやっているんです。私たちはそのことを誇りにしています」と胸を張りました。 あの好戦国アメリカにもこのような運動があることを嬉しく思います。日本でもこのような運動ができないものかと想像するだけでウキウキしてしまう取り組みを知ることができ,ブログで紹介させていただきました。
2007年01月08日
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日本政府が開発途上国に対して行う政府開発援助(ODA)の発注工事をめぐって,談合が常態化している疑惑で,ODA工事に長年かかわってきた元ゼネコン幹部が,談合の実態を語りました。証言から,大手ゼネコンなどが,国内の公共工事と同様にODAでも談合による高値受注で,税金を食い物にする実態が浮かび上がってきます。 私は,30年間近くゼネコンで海外での建設工事を担当してきましたが,外務省が実施するODA工事の受注は,ほとんどの場合,談合で決まっています。談合が行われるのは,いわゆるハコものを中心とする「無償資金協力」です。 参加資格が日本企業に限られる「無償資金協力」で長年にわたって業者間で話し合う談合が行われてきました。これに対して,「有償資金協力(円借款)」は,外国企業も参加し,厳しい国際競争にさらされるため,談合はしにくいのです。 ODAの魅力は,国内工事よりも一般に利益率が大きく,公共工事だから取りはぐれもないこと。とくに港湾,農業技術,橋りょうなどは設計の段階で積算単価を操作しやすく大きい利益があげられました。 ほとんどの場合,受注企業は業者間の談合であらかじめ決まっています。入札では談合の疑いをもたれないように,1回で落札せず,2回目か3回目で落札するようにしていました。受注を希望する社は,競合する社に対し,工事が発注される前の基本計画作成の段階から,その工事案件にどれだけかかわっているのか「汗かき度」を主張し,ほとんどはそれが認められます。 落札業者がなかなか決まらず,もめるケースもあります。そのために,これまで,大手ゼネコンを含む5社の営業本部長クラス5人を,「裁定委員」として調整が行われてきました。 業者同士がもめると,裁定委員は3時間近くもそれぞれの主張を聞き,裁定しました。 ところが,ここ4-5年の間で,業者の中に裁定委員を買収するものが出てきました。その額は1件あたり300万円-400万円。大型工事ではそれ以上という話も聞きました。 裁定委員に賄賂を贈った社では,後に現場で架空の下請けをつくったりし,社をあげて裏金をつくることになりました。 しかし,防衛施設庁の官製談合をはじめ官製談合が次々と摘発されるなかで,従来の裁定委員,つまり調停役をなくそうということになりました。仲間内のもめ事を封じるために,プロジェクトの初期の段階で受注会社をあらかじめ決定するシステムに変えようとしています。 ODAの実務を執行している「国際協力機構(JICA)」に勤める友人によれば,政治家から口利きの電話が入ることもあるといいます。 「無償資金協力」の実施機関である外務省は,業者の談合やその違法性の高さを十分認識しているはずです。それにもかかわらず,知らぬ存ぜぬを決め込んでいる責任も重大だと言わざるを得ません。【参考】無償資金協力 日本政府が開発途上国にたいして援助する政府開発援助(ODA)では,援助相手国に返済の義務がない「無償資金協力」と,「有償資金協力(円借款)」があります。「無償資金協力」のなかでも「一般プロジェクト無償」は,病院,橋りょう,農業かんがいなどの建設工事が中心です。「無償資金協力」は外務省が実施機関となりますが,実質的な業務は同省所管の独立行政法人「国際協力機構(JICA)」が実施しています。
2007年01月08日
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日本経団連(会長・御手洗冨士夫キヤノン会長)は1月1日,向こう10年の日本の方向性を示した「希望の国,日本」(「御手洗ビジョン」)を発表しました。「ビジョン」が示す日本の将来像とは…。 「ビジョン」は「政府が果たすべき役割を大胆に見直し,最小限のものに定義し直す」といいます。 税制「改正」もそのひとつ。大企業の税負担は軽くし国民には重い負担を,というのが「見直し」の中身です。「ビジョン」は,「法人税の実効税率を30%程度の水準に。2011年度までに消費税率を2%程度引上げ」といいます。企業には減税しろ,その財源は消費税で賄え,とあけすけです。消費税については,2012年度以降,「消費税率に換算して3%程度の増税」が必要との認識を示しています。つまり,消費税は二段階で引き上げ税率を10%にする庶民大増税計画です。増税額は約13兆円に達します。 一方,現行の法人実効税率約40%を30%程度にすれば,トヨタ自動車一社で1,000億円,キヤノンは400億円,全体では5兆円近い大減税です。 格差社会の弊害に対して「ビジョン」は「必要最小限のセーフティネット(安全網)」で,といいます。安全網が“最小限であればあるほど結構”と言わんばかりです。しかも,「その提供を公的制度にのみ委ねる必要はない」とします。暮らしを支える政府の役割の徹底した縮小です。 一方,一握りの大企業が恩恵を受けるイノベーション(革新)のための大型国家プロジェクトの推進を要求。対外経済援助も,「民間経済活動の活発化」を重視せよ,といいます。 「ビジョン」は,道州制を2015年度をめどに導入することを提起しました。近年,アジア諸国の台頭により地方が直接海外と連携する動きが出ているものの,都道府県の行政機関が「推進力や機動力に欠け(ている)」といいます。「各地は,地域間競争のみならず国際競争にもさらされる」と道州制導入の必要性を強調します。道州制によって大企業の体つきにあわせた「広域的な経済圏」を形成させることでグローバル(地球規模)に活動する多国籍企業にもっと「魅力」ある地域を創れ,というものです。 いまでも,都道府県は大企業を呼び込むために巨額の税金をつぎ込んでいます。グローバル化を背景に,今度はその規模を広域化させ,一層自治体財政を多国籍企業の食い物にすることを狙っています。 労働問題について「ビジョン」は「労働関係諸制度を総点検していく必要がある」と提起します。政府による「行き過ぎた規制・介入」がないか,「労働者保護」の制度が企業の都合にあった「円滑な労働移動の足かせとなっていないか」などといい,労働分野の「規制は最小限」にすることが「待ったなしの課題」と言い切ります。 いま,働いても貧困から抜け出せないワーキングプアが社会問題になっています。派遣・請負,不払い残業,低賃金・不安定労働によって貧困と格差が拡大しました。これは,大企業がコスト削減のため,正社員を非正規・不安定労働に大規模に置き換えたこと,そして政府が財界の要望にそって労働分野での規制緩和を行ったことが元凶です。 一層の規制緩和を求める「ビジョン」によって引き起こされる現実は,大企業はボロ儲け,労働者はボロ雑巾のような使い捨て,というものです。 人間の尊厳さえ奪う貧困と格差をさらに拡大させることにしかなりません。 イノベーションを強調する「御手洗ビジョン」。「憲法などの変革」も「広義のイノベーション」に位置付けます。戦力不保持をうたった憲法九条二項を見直し,自衛隊の保持を明確化することを求めます。さらに,自衛隊が「主体的な国際貢献」を行えることを明示し,集団的自衛権の行使ができることを明示せよ,と求めています。 これは,アメリカの先制攻撃の戦争に参戦するために,自衛隊を「戦争のできる軍隊」にし,日本を「戦争をする国」につくりかえることにほかなりません。 いま,世界では憲法九条が国際社会の平和秩序をつくっていく上での指針になっています。「ビジョン」は「世界から尊敬され親しみを持たれる国」を目指すとしていますが,逆に世界からますます孤立する国になっていくでしょう。 また,「ビジョン」は愛国心教育を重視します。「国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む」として,教育現場のみならず,官公庁や企業,スポーツイベントなどで日常的に国旗を掲げ,国歌を斉唱することまで求めています。 日本経団連は,政党の政策評価をもとに企業献金を行う方式をとっています。この“通信簿”方式による献金促進策は,大企業・財界本位の政策の実行を求める利益誘導そのものです。 「ビジョン」は「真摯に政策の企画・立案・実施に取り組む政党を支援するため,政党の政策評価を実施」と改めて強調。政党の政策の企画立案から実施にまで監視の目を光らせることを明らかにしています。さらに,経団連のシンクタンクである二十一世紀政策研究所を,「政党における政策人材や政治任用者などを育成・輩出する場としても充実させる」として今後,人材育成にも力を入れることを表明しています。 ここまでくると,経団連(大企業)のための国家を創れと言わんばかりの内容です。国民は大企業の儲けのために犠牲になり,税金も大企業のために使い,終いには戦争でも国民が戦争で命を落としてまで大企業は儲けようという風に読み取れます。 労働者あっての企業であり,国民あっての国家であることを,経団連の大企業の人々は金に毒され忘れてしまったのではないのでしょうか。政治献金欲しさに,これに追随する自民党・公明党連立与党そして企業献金に依存している民主党の政治家たちも同様に何とかしないといけません。 企業団体献金は,国民にとっては「百害あって一利なし」なのです。政治家自身がこれを禁止するような法案は作らないので,国民が,マスメディアが企業団体献金の不要性を訴え変えていかないと,国民のための政治を実現することは難しいと考えます。
2007年01月07日
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出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた資産運用会社の関連団体のNPO法人(特定非営利活動法人)の認証申請をめぐって,政治家の関与が問われています。松岡利勝農水相の秘書から審査状況の照会を受けたとする内閣府の文書が存在し,同農水相が「そういうことがあったのだろう」と認めたことは,重大です。 松岡農水相は昨年9月の記者会見以来,「何か依頼を受けたこともない」などと弁明してきました。それが,パーティー券の購入をお願いした後援者の依頼で,松岡事務所が内閣府に照会していたというのですから,これまでの弁明はウソだったことになります。 農水相の秘書は「記憶が定かでない」としていますが,「秘書からよろしくお願いしたい旨」の話があった文書まで存在している以上,そんな弁明は通用しません。 約8,000人から130億円を違法に集金した「エフ・エー・シー」社をめぐっては,自民党の魚住汎英参院議員が7回にわたって内閣府に口利きする一方で,関係団体を通じて2,000万円の提供を受けていたことが明らかになっており,うやむやにできる問題ではありません。 安倍首相は1月5日夜,「働きかけはなかったという報告を松岡氏から受けているし,内閣府からも『なかった』という報告を受けている」と松岡農水相を擁護しました。また,「NPO自体は認可されていない。働きかけもなかったということではないか」と述べ,疑惑の打ち消しを図っています。 しかし,政権与党の有力議員の秘書が照会したこと自体が一種の圧力になるのは自明のことです。国民を欺いてきた松岡農水相と同氏をかばい,「口利き」行為を問題視しない安倍首相の責任は重大です。
2007年01月06日
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新年の新聞を開いて,目の覚めるようなスクープや思わずひざを打つような論評を見ることが少なくなったのは,いつの頃からでしょうか。今年もいくつかの目新しさはあるものの,全体としてみれば,収穫の少ない年といえるようです。 そうした中,全国紙を中心に,新年の各紙の社説を読みました。全体として,流れの変化に正面から向き合う前向きの姿勢の乏しさを,痛感せざるを得ません。 全国紙のうち,「読売」や「産経」など右派の新聞は今年も,「タブーなき安全保障論議を 集団的自衛権『行使』を決断せよ」(「読売」1月1日付)や,「日本の安全 『専守防衛』見直す時だ」(「産経」1月3日付)などで軍拡路線を煽り,「消費税増は不可避だ」(「読売」)などと,国民への負担押し付けを求めています。 「読売」や「産経」がこうしたテーマを新年の社説に取り上げるのはほとんど毎年のことで,それ自体に目新しさはありません。しかも,これらの全国紙の論調と世界の流れの変化との乖離がますます大きくなっているため,その主張はいよいよ新味と説得力に欠けるものとなっています。 例えば「読売」がいっているのは,北朝鮮の核兵器開発を根拠に,日本の核武装が許されないならアメリカの「核の傘」に依存するしかない,そのためには集団的自衛権の行使を認め,日米同盟の「信頼性」を強化すべきだというだけです。テーマだけでなく論立てでも新味が感じられません。 確かに北朝鮮の核兵器開発は世界の世論に挑戦した絶対に許されないものですが,世界がいまそれをやめさせるために努力しているのは,北朝鮮に対抗して核兵器を開発することでも,軍事同盟を強化して戦争を準備することでもなく,平和的な外交努力を積み重ねて北朝鮮を包囲し,説得していくことです。「読売」などの社説の立場は,こうした世界の流れの変化を見ようとしない,時代遅れの発想です。 アメリカとの軍事同盟を金科玉条にして,絶対変わることのない世界秩序であるかのように取り扱うこと自体,いまでは世界に通用しません。軍事同盟にしがみつく国はとっくに世界の少数派になり,世界各地に平和の共同体が広がっています。世界はいまや,アメリカ一国だけの意向で動かせる状況ではありません。世界を相手に国際社会に通用する自主的な外交を強めることこそが求められているとき,日米同盟さえ強めれば世界の難問に対応できるというのは全くの幻想です。 この点では日本の自民党政府の外交が世界の流れの変化に立ち遅れているだけでなく,そうした見方を脱することができず,日米同盟の立場でしか見ることができない「読売」などの視点もまた,世界に取り残されるものだというしかありません。 こうした「読売」などの視点に比べれば,「戦後ニッポンを侮るな 憲法60年の年明けに」と題した1月1日付の社説で「朝日」が,「軍事より経済」で成功した日本が「やっぱり日本も軍事だ」とならず,「北朝鮮のような国に対して『日本を見ろ』と言えることこそ,いま一番大事なこと」というのは,少なくとも世界の変化に向き合おうとしている点ではよりマシかも知れません。 しかし,そうした「朝日」の論調もまた,変化に真正面から向き合い,前向きに変えていこうという点では迫力に欠けます。それは「朝日」が1月1日付社説を「憲法60年の年明けに」と題しながら,その内容では抽象的に「軍事より経済」といった言及はあるものの,肝心の憲法に対する態度では,現在の憲法を守るとも改憲に反対するともいわない,曖昧な態度を取り続けていることと結びついています。 今年は日本国憲法の施行から60年です。安倍内閣は新年の記者会見でも任期中に改憲を実現するとの立場を鮮明にしました。いよいよ改憲が持ち出されようとしているとき,「朝日」は社としてこれにどう立ち向かうのか。新年の社説で見る限り,はっきりしません。 貧困と格差を深刻に広げている新自由主義的な「構造改革」の問題でも,新年の全国紙の社説に,その転換を主張するものはありません。東京で発行されている新聞では,ブロック紙の東京新聞が「新しい人間中心主義」を「構造改革」に対置しているのが注目されるくらいです。 変化の激しい時代には,言論機関には,その変化を見通す確かな視点が求められます。権力に寄り添うのではなく主権者である国民の立場に徹し,侵略戦争への反省の上に確立された憲法の平和的民主的原則の立場に立つかどうかです。 全国紙に比べ,地方紙のいくつかの論調は新年も健全さを発揮しています。 「『戦後体制』のよさは守り抜こう」(西日本新聞1月3日付) 「(憲法)第九条の理念は私たちが世界に誇るべき“不戦の哲学”であり,世界が殺伐としつつある今だからこそ勇気を持って発信していく意義がある」(沖縄タイムス1月3日付) 「いま九条を変えれば日米軍事融合に歯止めがかからなくなる。それが怖い」(京都新聞1月1日付)。 新聞とりわけ全国紙といわれる大新聞のもつ影響力は大きいだけに,今年もその論調に厳しい目を注がざるを得ないようです。
2007年01月05日
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日本国憲法の施行(1947年5月3日)から60年を迎えました。 安倍晋三首相は,今月末からはじまる通常国会で改憲手続き法案の成立を期すといい,「私の内閣として改正を目指したいというのは当然,参院選でも訴えていきたい」(1月4日,年頭会見)と,改憲を夏の参院選の争点にすえる考えを示しました。 憲法はすべての法律と生活の基本です。60年前に施行された日本国憲法は,国民主権,基本的人権,平和主義,議会制民主主義,地方自治の5つの原則を掲げています。いま必要なのはこの原則を,日本社会の隅々にまで行き渡らせることです。現実がそうなっていないのに憲法を変えようとするのは,憲法の理想を踏み破る「改悪」でしかありません。 例えば,いま日本社会に著しい貧困の広がりが起きています。生活保護受給世帯は100万世帯を超え,国の指導と自治体の冷たい対応で保護を受けられずに自殺する悲劇も各地で相次いでいます。憲法25条「生存権,国の社会的使命」が空洞化している証明です。 働いても生活保護基準以下の収入しか得られないワーキングプアが増え続けています。働く者を使い捨てにする財界の横暴勝手とこれを後押しする国の悪政の結果です。憲法27条「勤労の権利,勤労条件の基準」が生かされない状況は一刻も放置できません。 人間らしく働くことのできる社会的ルールを求めて,力強い闘いが広がっています。これを大本で支える力が憲法28条「勤労者の団結権」であることも見逃せません。 昨年,教育基本法が改悪されました。「愛国心」の強制で憲法19条「思想及び良心の自由」を侵し,国家権力の教育内容への無制限の介入に道を開いて,13条「国民の幸福追求権」や26条「教育を受ける権利」などで保障された教育の自由と自主性を蹂躙するものです。子どもたちの健やかな成長を願う者が改悪教基法の押し付けとたたかう立脚点は,なにより憲法にあります。 憲法の原則のなかでもとりわけないがしろにされているのは憲法9条「戦争の放棄,戦力及び交戦権の否認」です。自民党政府は解釈改憲で,自衛隊を海外に派兵するところまできました。安倍首相は9条を「時代にそぐわない」と攻撃し,自民党の改憲草案は前文から「不戦の誓い」を削り,「自衛軍」保持を明記することで,日本を「海外で戦争する国」にしようとしています。 9条改憲の狙いは,この60年間,自衛隊の海外での武力行使を許さなかった最大の歯止めを取り払うことです。 改憲勢力は「憲法と日本の現実の乖離」を改憲の理由にします。しかし,いまも力を発揮している憲法の理想に,社会の現実を近づけていく方向にこそ日本の未来はあります。 時間のある人もない人も,自民党のHPで自民党の「新憲法草案」をよく読んでください。マスメディアでは「憲法改正」と言っていますが,自民党は「新憲法」を制定しようとしています。今までのものと違うものなのです。「一部改正」ではなく「刷新」しようとしています。「公の秩序」という文言が多く,その場合自衛軍は活動を行うことができるとなっていて,「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概を持って自ら支え守る責務を共有し」前文を変えて,徴兵制や財産の徴用の根拠まで憲法に仕込んでいる。 有事に備えるといいながら,戦争状態を想定している「新憲法」を「憲法改正」という誤魔化しの言葉で国民を騙している自民党の狙いであることは明白なのにマスメディアはこれを報じていないのが実情なのです。 憲法60年にあたり,いまこそ憲法を守り,生かしていくために,国民は幅広い人たちと手をとりあい力を尽くし,憲法改悪の企みを阻止する闘いを今から始めなければいけない年でもあります。
2007年01月05日
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2007年も世界は,イラクの混乱やパレスチナの紛争,北朝鮮やイランの核問題など,多くの問題をかかえて新年を迎えました。しかし,世界を見渡すと浮かび上がるのは,軍事力で一方的にカタをつけようとするやり方が行き詰まり,外交で平和的に解決しようとする努力が大きな流れになっていることです。 21世紀の世界は,軍事ではなく外交が重要な意味をもつ時代であることを,あらためて確信させる新年です。 イラクでは,アメリカの侵略と占領が悲惨な状況をもたらし,いまやアメリカ国内でも7割がブッシュ政権のイラク政策を批判しています。昨年の中間選挙で敗れ,窮地におちいったブッシュ政権は政策の見直しを迫られています。 北朝鮮の核問題をめぐっては,再開された6ヶ国協議が,年明けに持ち越しになり,外交で解決しようという粘り強い努力が続いています。 軍事ではなく外交による解決が重視されるこうした動きの背景には,世界の変化があります。今日の世界はもはや,一国が軍事力を使って思いのままに支配できる世界ではありません。 スペイン,イタリアではアメリカのイラク侵略を支持した政権が交代し,イラクから撤兵しました。ブレア英首相も,「イラク侵攻は恐るべき誤り」(英王立国際問題研究所所長)と批判され,辞意を表明し,英軍撤退に動かざるをえません。 世界の力関係を大きく変えているのは,とりわけアジア,アフリカ,中南米の「発展途上国」と社会主義をめざす国々の動きです。 「新しい巨人」(英誌エコノミスト)といわれる「途上国」は,世界の国内総生産の半分以上(購買力平価)を占めるようになりました。 ほとんどが非同盟諸国会議の加盟国です。非同盟国は昨年9月の首脳会議時に118となり,国連加盟国の2/3の近くになりました。力を合わせて,どの大国の支配にも反対し,外交による諸問題の平和的解決に活動を活発化させています。 この流れは,昨年末の南米諸国共同体首脳会議が,社会的不平等の克服を最優先課題に「国連の原則と目的の順守」,「民族自決」,「紛争の平和的解決」の原則を宣言したことにも表れています。 こうしたなかで国連の役割が積極的に見直されていることは重要です。「国連はイラク戦争をとめられなかったが,全力を尽くした」とアナン前国連事務総長は昨年末の離任会見で語りました。国連憲章に基づく世界の平和秩序は,各国が外交を主力に問題の平和的解決をはかることを大前提にしています。 世界の変化が,各地の紛争や経済的な摩擦を,戦争ではなく外交で解決する条件を広げています。2007年も年頭から予定されている重要な外交舞台で,前向きの解決がはかられることを期待します。 アメリカのイラク侵略戦争を支持し,軍事力を強化し続ける日本政府は,世界の流れに逆らうものです。 そんな中,安部内閣は現日本国憲法を変えてまでアメリカ言いなりに「戦争する国」につき進むべきではありません。憲法を生かし,国連憲章を中心に据えた世界の平和秩序づくりを促進することにこそ,21世紀の日本の未来があります。 アメリカ言いなりから脱し,自主的な平和外交に思い切って舵を切り替えることが,日本の政治に切実に求められていると思います。
2007年01月04日
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賃料のない議員会館を資金管理団体の「主たる事務所」にしながら,家賃が中心で領収書のいらない「事務所費」の支出を年間1,000万円以上も計上している国会議員が18人もいることがわかりました。昨年の臨時国会で自民党,公明党,民主党の各党は外資系企業の献金を解禁する法案を成立させましたが,不透明な政治資金の使い方に,国民の批判が集まるのは必至です。 総務相に提出された2005年分政治資金収支報告書を調べたもの。これによると,自分の資金管理団体の「主たる事務所」を東京・永田町の衆参議員会館の自室に置いている国会議員は自民党,公明党,民主党,社民党,国民新党等,新党日本など163人にのぼります。国会議員のほぼ5人に1人という比率の高さです。日本共産党の議員は資金管理団体をもっていませんないので該当外です。 163人のうち,事務所費や光熱水費,人件費,備品・消耗品費の支出が「ゼロ」という議員は13人で,ほとんどが事務所費を計上しています。その額は,伊吹文明文部科学相の41,461,322円,松岡利勝農水相33,595,428円を筆頭に1,000万円以上が計18人(表参照),500万円-1,000万円が12人もいます。 自治省(現総務省)の選挙部政治資金課編集による『逐条解説「政治資金規正法」』(ぎょうせい)によると,「事務所費」は「政治団体の事務所の借料損料(地代,家賃),公租公課,火災保険料,電話使用料,切手購入費,修繕料等事務所の維持に通常必要とされる経常的な経費が該当する」とされています。 家賃がゼロにもかかわらず,事務所費の支出が何百万円,何千万円というのは不自然です。〔表〕「事務所費」1000万円以上を計上している議員伊吹 文明文部科学相 4,146万円松岡 利勝農水相 3,359万円中川 昭一政調会長 3,096万円鈴木 俊一元環境相 3,012万円金田 勝年前外務副大臣 2,849万円亀井 静香国民新党代表代行 2,418万円松本 剛明民主党政調会長 1,866万円武田 良太衆院議員(無) 1,588万円江藤 拓衆院議員(無) 1,487万円加納 時男参院議員 1,416万円衛藤 征士郎元防衛庁長官 1,409万円佐藤 昭郎参院議員 1,388万円遠藤 利明文科副大臣 1,313万円中山 太郎元外相 1,238万円小坂 憲次前文部科学相 1,192万円保岡 興治元法相 1,185万円滝 実新党日本総務会長 1,141万円加藤 紘一元自民党幹事長 1,041万円※金額は万円以下切り捨て。政治資金収支報告書(2005年分)で作成。「無」は無所属 国家議員は収入の割りに収める税金が少ないのは,このような特権を無条件で認めている制度に問題があります。常識的におかしいことは正していく自浄能力が国会議員自身にあることを期待します。政務調査費も同様,マスコミや有権者が騒ぎ出すまで自分たちの不都合なことはやらない自民党・公明党連立与党そして民主党の政治家なのでしょうか?
2007年01月03日
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安倍首相は「改革の成果が表れ,未来への明るい展望が開けてきた」と胸を張っています。その足元で,「構造改革」の矛盾と行き詰まりが次々と表面化しています。 昨年は年明け早々,ライブドアに東京地検の家宅捜査が入り,政府,自民党・公明党連立与党に衝撃を与えました。証券取引法違反の容疑で逮捕された堀江貴文社長(当時)を,安倍首相(当時官房長官)らが「改革の旗手」と持ち上げてきたからです。 後を追うように6月,もうひとりの「改革の旗手」・村上ファンドの村上世彰代表(当時)も,インサイダー取引事件で逮捕されました。 村上ファンドは,政府の規制緩和委員会のトップに君臨してきた宮内義彦オリックス会長の後ろ盾で設立されました。「通貨の番人」日銀の福井総裁が広告塔になり,自ら投資もして利益をあげていました。 「金で買えないものはない」(堀江氏),「金儲けは悪いことなのか」(村上氏)と公言してきた「改革勝ち組」の破たんです。「構造改革」直系の「六本木ヒルズ資本主義」は,株ころがし,会社ころがしの「錬金術」で,短期に手軽な大儲けを狙ったマネーゲームにすぎないことが明白となりました。 短期的な利益に目を奪われた経営は「ヒルズ」に限りません。財界団体の旗振りで,日本を代表する大企業がいっせいに,企業の最大の財産である従業員の雇用と賃金の削減を経営計画の柱に据えてきました。目先の利益を確保して,株式市場などで高い評価を得るためです。 日本経団連の御手洗会長のキヤノンをはじめ,財界のリーダー企業が違法な「偽装請負」に手を染めていたことが明らかになったように,財界ぐるみの退廃が進んでいます。御手洗会長が「今の法律が悪い」と開き直り,「偽装請負」を合法化する法律改悪を政府に要求したことは,その最悪の象徴です。 財界はさらにお手軽に利益を増やすために法人税の実効税率を10%引き下げ,低所得者ほど負担が重い消費税の増税で穴埋めする方針を掲げています。 安易な受益に慣れた経営者は,あからさまに弱者に負担を転嫁してまで利益を増やそうとするほど,モラルを失ってしまったようです。 大企業が正社員の人件費を抑制するために導入した成果主義は,長時間労働やストレスによる健康被害と低賃金を拡大しています。ソニー元幹部が「成果主義がソニーを破壊した」と告発しているように,経営そのものを蝕んでいます。 大企業の短期的な利益を第一に追求する「構造改革」の根本矛盾です。こんなやり方には「イノベーション」(技術革新,新結合)どころか持続的な経営さえありません。 2006年は青年や障害者らの連帯と闘いが広がり,実を結び始めた年になりました。それと国民の闘いを反映して,NHKが2回にわたって放送した番組「ワーキングプア」が大きな反響を呼びました。視聴者が,今後は「雇用する側」に考えさせる企画を期待すると意見を寄せています。 目先の利益第一で人間性をないがしろにする経営と,それを応援する政治に対して国民の疑問と批判が連鎖反応を起こし始めています。 今年を,人間らしい経済への転換点とするために,世論と連帯を大きく広げるためにもふたつの選挙,全国一斉地方選挙と参議院選挙は重要な転換点になるのは間違いありません。国民の意思をはっきりとみせる必要のある選挙になることを期待しています。
2007年01月02日
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新しい年を迎えました。 今年は12年に一度,春に全国一斉地方選挙,夏には参院選挙と,二つの選挙が連続しておこなわれる年です。全国的な選挙を通じ,日本共産党の本格的な前進によって,新しい日本への道を確実に切り開く年にしようではありませんか。 いま日本の情勢は,大局的にみれば,国民中心の新しい日本への条件をはらんだ歴史的転機をむかえている情勢です。 この1年,自民党政治の危機と行き詰まりはますます深まり,小泉・自民党の「ウソとゴマカシ」が通用しなくなるのにともなって,政治が大きく激動するのを目の当たりにしてきました。大会での指摘を,実感を持って受けとめながら,新しい年を迎えることができたというのが率直な感慨です。 この間,小泉内閣が5年半の任期を終え,新たに安倍内閣が発足しました。しかしその安倍内閣も発足からわずか3ヶ月という短い期間に,内閣支持率を70%台から60%,さらには50%以下にと急落させ,いまや退陣の時期や後継者問題まで取りざたされる有様です。 “アベノミクス”(安倍流の経済政策)を実行させると首相みずから選んだ政府税調会長が公務員宿舎の不正入居問題で辞任したのに続いて,総裁選での“論功行賞”で初入閣した行革相も,政治資金の虚偽報告問題で年末ぎりぎりにやめることになりました。 安倍内閣への国民の批判が広がり,政権が不安定になっている根本には,小泉・安倍内閣と続けられてきた新自由主義的な「構造改革」によって国民の暮らしが急速に悪化し,国民の間での貧困と格差が拡大し続けている現実があります。 どんなに働いても生活保護水準にも達しない不十分な収入しか手にできない「ワーキングプア」(働く貧困層)の急増が,大きな社会問題になっています。女性や青年は2人に1人しか正規の労働者としてやとってもらえない状況です。社会保障の改悪や庶民増税が苦しい暮らしに追い打ちをかけます。 この1年間,「偽装請負」やサービス残業など職場の無法をやめさせる闘い,生活保護の不当な取り上げに反対する闘い,障害者の自立支援をめぐる闘いなど,各分野の闘いが大きく繰り広げられてきました。 歴史を切り開くのは国民の闘いです。各分野の国民の闘いをさらに盛り上げ,それを政治そのものを変える闘いに結び付けてこそ,新しい日本の道を切り開いていくことができます。ふたつの全国選挙は,その絶好の機会です。 二つの選挙で国民・住民が自らの意思表示をきちんとすることで新しい日本に近づきます。国民・住民のための候補者に自ら1票を入れることからすべてが始まります。
2007年01月01日
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