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一瞬にして濁流にのみ込まれ,5人が死亡した神戸市灘区・都賀川(とががわ)の事故。子どもらが水辺で遊べるよう親水性を持たせた河川での安全対策の不備を浮き彫りにしました。 上流で六甲山系の2つの川が合流する都賀川(兵庫県が管理)は,長さわずか1.8キロで河口までほぼ直線,高低差は50メートルという急こう配です。平均的な川幅は約17メートル(両護岸の上部の距離)という狭さ。 このため集中豪雨になると一気に増水し,急流となります。 今回の増水では,10分間で約1.3メートルも水位が上昇。県土木事務所によると,同川の洪水時の流速は最高で秒速8メートル。一般の河川の2倍から4倍の速さといわれています。 県は1996年から2005年にかけて都賀川に,遊歩道など現在見られる親水設備を整備しました。しかし,多くの子どもが遊ぶにもかかわらず,急な増水への対策は,注意をよびかける看板を現地に設置した程度です。 六甲山南側の親水河川のうち,危険を知らせるサイレンを設置しているのは,神戸市兵庫区などを流れる新湊川だけ。安全の確保は利用者まかせにしてきたのが実態です。 今回,20分間で30ミリという集中豪雨が六甲山側から襲ってきました。そのため同川にいた人たちが危険に気づくのが遅れ,脱出が間に合わずに上流から押し寄せた濁流に巻き込まれました。 県河川整備課は,問い合わせに対して「今回のような増水をまったく想定していなかったわけではないが…」と,予測できたことを示唆しました。 親水河川の国の安全基準がないとはいえ,一般の河川よりも格段に危険な都賀川での対策を怠ってきた兵庫県の責任はやはり免れません。
2008年07月31日
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政府は7月29日,社会保障の分野でとりくむ緊急対策を盛り込んだ「5つの安心プラン」を発表しました。 同プランは,福田康夫首相の指示でとりまとめられたもの。(1) 高齢者政策(2) 医療体制の整備(3) 子育て支援(4) 非正規雇用対策(5) 厚生労働行政の見直しの5つの柱からなります。 高齢者政策では,高齢者の就労促進や,「基礎年金の最低保障機能強化」の検討などを打ち出しました。しかし,国民の批判が高まっている後期高齢者医療制度については,「円滑な運営」などと明記しています。 また,「療養病床の転換を円滑に進め」るとして,療養病床削減政策を続ける方針を示しました。 医療体制整備では,深刻な医師不足を解決するための医師養成数の増加や,産科医やへき地の医師の手当などへの財政支援を掲げました。 子育て支援では,待機児童が多い地域で「自治体の積極的取組による認可保育所の緊急整備」の促進を明記。保育園と幼稚園の一体型施設「認定こども園」の設置促進にむけ,「こども交付金」を創設するとしています。 同園は,公的保育制度の後退につながると懸念されているものです。 非正規雇用対策では,「ネットカフェ難民」に対して生活支援を行うとしています。 また,厚生労働行政を見直すとして,奥田碩トヨタ自動車相談役を座長とする有識者会議を設置するとしています。 「『この国に生まれてよかった』と思える国づくりを進める」。 福田首相が鳴り物入りでつくった「5つの安心プラン」は冒頭でこう唱えています。さらに,「国民が抱く不安や不満に鑑みる」,「国民の目線に立ったきめ細かな方策を検討」と強調しています。 しかし,その中身は「国民の目線」とはかけ離れたものです。 政府は,この間の国民世論と運動を反映して,医師不足対策や,一定の非正規雇用対策などを盛り込みました。 一方,国民の不安と怒りが噴きあがった後期高齢者医療制度については,保険料の軽減などはいうものの,相変わらず「制度の円滑な運営」と明記し,制度の存続に固執しています。 国民に大きな不安を与えている療養病床の削減を推進する姿勢も変えようとしません。 子育て支援策では,「未来を担う『子どもたち』を守り育てる社会」をスローガンにし,「認定こども園」の推進などを強調しますが,子育て世代の多くが直面している長時間・過密労働や不安定雇用などの根本問題に本格的な対策を講じる姿勢は見えません。 これらが国民に安心をもたらすものではないことは,「社会保障の機能強化のため」とプランでいいながら,同日の閣議で,社会保障費の2,200百億円の削減を決めたことにも表れています。 このような姿勢では,国民に安心がもたらされるとは思えません。
2008年07月30日
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福田内閣が来年度予算の大枠を示す概算要求基準(シーリング)を決めました。社会保障費の自然増を2,200億円削減する抑制路線を来年度も続ける方針です。 小泉内閣以来の社会保障予算の抑制は,医療や介護,年金,生活保護など,命と暮らしに直結する社会保障のあらゆる分野で深刻な問題を引き起こしています。 社会保障の国庫負担は高齢化や医療技術の発展に伴って増加していきます。この自然増を認めず,必要な予算を削減することは,社会保障の支えを必要としている国民の痛みに直結します。 2002年度の3,000億円カットから始まった社会保障の国庫負担の削減は,2003年度からは毎年2,200億円を減らし続け,7年目に入りました。 後期高齢者医療制度の導入や母子家庭の生活保護費の削減など,制度改悪による国庫負担の削減の影響はその年だけにとどまらず,年々上積みされていきます。 2001年度と比べた今年度の累積影響額は1兆6,000億円を超える計算です。これが社会保障に破壊的な打撃を与えています。 国民の厳しい批判や通常国会での野党などの追及を受けて福田内閣は医師不足の実態を認め,予算の「重点化枠」を設けるとしています。さらに基礎年金の最低保障機能の強化を検討するなど,社会保障の「5つの安心プラン」を発表しました。 「医療崩壊」や年金保険料が高すぎることによる無年金,低年金の問題に緊急に対応するのは当然です。 しかし,毎年2,200億円を削るという,社会保障を破壊してきた大もとの方針を継続するなら,来年度の累積影響額は1兆8,000億円を上回ります。 これでは,底が抜けたバケツに手のひらで水をすくい入れるようなものです。 深刻な問題が次々と噴出しているにもかかわらず,福田内閣と自民党・公明党連立与党は社会保障の抑制路線をやめることができません。経済財政諮問会議が7月28日にまとめた「平成21年度予算の全体像」は,来年度の予算編成方針の第一に「改革努力の継続」を掲げています。 破たんが明らかな路線を根本から改める意思も能力もなく,ただ部分的に取り繕うだけで「構造改革」にしがみつく末期的な姿が浮き彫りになっています。 その根源には,スポンサーである財界のかたくなな要求があります。 日本経団連が自民,民主に突きつけている「優先政策事項」は,社会保障給付の伸びを抑制し社会保障の役割を限りなく切り縮めるよう求めています。 同時に,社会保障財源として,大企業は価格にすべて転嫁することで負担を逃れられる消費税の増税を要求し,社会保険料の企業負担の軽減を狙っています。 日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は,自民党の谷垣禎一・政調会長らとの「政策を語る会」で次のように述べました。 「改革を後押しするため,政策評価を実施し,それに基づいた政治寄付を呼びかける」 命と暮らしをないがしろにする社会保障抑制路線の根本には,企業献金による露骨な政策の買収と財界言いなりの政治があります。 大企業の負担軽減や道路中期計画を優先し,社会保障を犠牲にするやり方を転換することが切実に求められます。
2008年07月29日
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厚生労働省の「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」(座長・鎌田耕一東洋大学教授)は7月28日,日雇い派遣の原則禁止など規制強化を盛り込んだ報告書をまとめました。 1985年の制定以来,規制緩和が続いてきた労働者派遣法は,抜本改正を求める世論が広がるなかで規制強化へとかじを切らざるをえなくなったものです。 厚生労働省はこのあと,7月30日から労働政策審議会で議論し,10月はじめにも法案を国会に提出する予定です。 報告書は,派遣労働は「雇用の安定,待遇の改善,違法派遣への対処で課題がある」と指摘。 「常用雇用の代替防止を前提として臨時的・一時的な労働力需給調整システム」の位置づけは維持しつつ,事業規制と労働者保護の両面から対策を講じるべきだとしました。 日雇い派遣については「労働者保護の観点から禁止すべきである」と指摘。危険度が高い業務などを禁止対象とし,禁止期間は,日雇い派遣に関する厚労省指針が「30日以内」を対象としていることを参考に短期雇用についても禁止するよう要請しています。 違法派遣に関与した派遣先に対し,労働者に雇用契約を申し込む義務を課し,行政が直接雇用を勧告する制度を設けることを提起しました。 派遣会社をつくってグループ内に派遣するやり方も,正社員を派遣会社に転籍(解雇)させるなど「労働条件の切り下げが行われている」として,派遣割合の上限を設け,解雇後の一定期間は禁じるべきだとしています。 仕事のあるときだけ働く「登録型派遣」については,「選んで働いている労働者も多い」として禁止は不適当としましたが,派遣先への常用雇用などを促進するよう言及。 ピンはね防止のためのマージン率(派遣会社の手数料)の上限規制は見送りましたが,個別に説明を義務付けました。 一方,常用雇用の代替防止措置である「雇用契約の申し込み義務」については,常用雇用型派遣については雇用が安定しているとして外すとしました。 「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」(厚労相の諮問機関,座長・鎌田耕一東洋大学教授)が7月28日に出した報告書は,規制緩和から規制強化に転じるものであり,派遣法の抜本改正を求める労働者・国民の世論と運動の反映です。 派遣法は1985年に制定。 「臨時的・一時的業務に限定し,常用雇用の代替としない」ことが原則とされました。ところが,1999年の原則自由化,2004年の製造業解禁と相次ぐ規制緩和によって,正規労働者を派遣労働者に置き換える動きがすすみ,低賃金の不安定雇用が増大しました。 「ワーキングプア」(働く貧困層)や偽装請負が社会問題となるなかで,労働組合や野党など各層から派遣法改正を求める声が上がり,政府・与党も日雇い派遣の原則禁止を言わざるをえないもとで,規制強化へかじを切ることになったものです。 規制強化へ向かう「潮目の変化」と呼ぶべき情勢の進展を改めて示しています。 同時に報告書には問題点もあります。 非人間的な日雇い派遣や30日以内の短期派遣を原則禁止することは当然ですが,それを生み出している「登録型派遣」(仕事のあるときだけ働く)にはメスが入っていません。 首切り自由の使い捨て労働をなくすために「登録型派遣」を増大させた1999年の原則自由化以前に戻すことが求められます。常用型派遣(常用雇用)を原則にして,登録型を厳しく制限しない限り解決できません。 大企業が偽装請負をしても何の責任も問われないもとで,違法行為があれば,派遣先の企業が雇用契約を申し込むように,行政が勧告する制度を設けることは一歩前進です。 しかし,強制力がなく,企業が従わないことも可能です。直接雇用にしても期間工など不安定な有期雇用にとどめることを禁じておらず,雇用を守る保障には不十分です。 偽装請負で働かされていた松下プラズマ事件では,大阪高裁判決が,派遣先と労働者の間に「黙示の雇用契約が成立している」として派遣先に直接雇用を命じました。 こうした判決もふまえて,派遣先と労働者の間に雇用契約が成立しているとみなす「みなし雇用」制度を導入して,雇用を守ることが必要です。 派遣法改正をめぐる議論は,労働政策審議会に議論の場は移りますが,カギを握るのは世論と運動です。 財界による抵抗をはねのけて派遣法改正の流れをつくり出したのは世論と運動でした。「潮目の変化」を小手先の見直しにとどめず,抜本改正に実らせるたたかいはこれからです。
2008年07月28日
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立命館大学では7月15日に京都市内で,「立命館の危機を克服し,新たな学園創造をめざす大集会」が開かれました。約500人の学生をはじめ,教職員,卒業生,市民など752人が参加し,活発な意見交換が行われました。 この間,「拡大路線のひずみ噴出」(「読売」6月21日付),「改革再生へ正念場」(「毎日」6月29日付),「『学生軽視』背景に」(「京都」6月21日付)など,立命館大学で生起した諸問題がいま社会的に大きな注目を集めています。 この直接のきっかけは,「特別転籍」問題です。 学校法人立命館は,入学手続者が定員の1.4倍を超えた生命科学部で,新入生に他学部への「特別転籍」を募りました。 これについて,文部科学省から,「教育上の合理的な理由があったと判断できず」と指摘され,私立大学等経常費補助金を25%(約15億円)減額される重い処分を受けました。 この問題をめぐり,文学部,産業社会学部,国際関係学部,映像学部の各学生自治会が,学生大会などで「特別決議」を採択し,「学生を軽視し経営主義の判断をしたことは立命館学園の社会的信頼を失墜させた」(文学部自治会),「経営優先の運営をしてきた理事会は大きく方向転換を」(国際関係学部自治会)と指摘し,学園指導部の「退陣」を要求するに至っています。 また,多くの学部教授会で同趣旨の「教員団決議・声明」が採択されています。 同時に,大学が学友会費の「代理徴収」の廃止を突然提案したことへの怒りも,「大集会」に500人の学生が参加する背景となっています。集会では,多くの学生がこの問題で次々に発言。 特に「代理徴収」を廃止し,大学の予算枠で学生の自主活動を支援する新たな制度を設けるとの提案に対し,「学生は大学の顧客ではない。自治の担い手」「自治への介入は許されない」などの訴えが相次ぎ,学園の自治と自主活動をめぐる学生のエネルギーの大きさが示されました。 さらに,今回の「特別転籍」のほかにも,全教職員に対する突然の一時金1ヶ月カット(2005年),総長選挙規定の改定(2006年),学生には耐え難い高学費を押しつけておいて前理事長・前総長には「退任慰労金」の倍増による総額1億6,000万円の支給(2007年)をするという,一連の問題があります。 「学生や教学を軽視して,経営主義と拡張路線をすすむやり方でいいのか」,「これ以上立命館の民主主義を掘り崩してもいいのか」,「学園指導部の『専断』的なやり方はもう限界。民主的な学園創造と運営の新しい体制を」との声が公然とあがり,学園運営の抜本改善を求める学内世論が広がっています。 こうした声と学内世論を受けて,7月15日の「大集会」の「宣言」は,「2005年以来の専断的ガバナンスと学園指導部の運営能力の欠如」,「退任慰労金などで明らかになったモラル・ハザード」などと指摘。 立命館大学の「危機」を克服し,新たな学園創造に向かうには,「学部長理事を中心とした教学重視の立場に立つ常任理事会を再構築していく以外に道はない」と呼びかけました。 立命館大学は,戦後いち早く「学内理事会制」を確立し,学部長を全員理事として,大学の運営に関しては「学内理事会」にまかせることを理事会の合意(1951年2月)としました。 また,大学運営の基本問題については理事会だけで決めるのではなく,大学の自治の担い手として教職員や学生を認め,おのおのの階層の代表として学生自治会,教職員組合が参加する「全学協議会」体制を確立しました(1948年9月)。 「立命館憲章」では,学園の運営にあたり,立命館は「自主,民主,公正,公開,非暴力の原則をつらぬき,教職員と学生の参加,校友と父母の協力のもとに,社会的連帯を強め,学園の発展に努める」とうたっています。 自民党政治によって「大学の構造改革」がすすめられ,熾烈な大学間競争が展開されるなかで,立命館大学が教学を優先し,学生と教職員が生き生きと発言し,学園運営に誇りを持って参加することができる,自治と民主主義の今日的あり方をどう守り発展させるかが,改めて注目されています。
2008年07月27日
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7月26日で発足10ヶ月となった福田内閣が深刻な行き詰まりに直面しています。 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で議長国としてのリーダーシップも示せず,支持率アップも見込めない中,内閣改造でも,はっきりした態度は示せずに“立ち往生”状態です。 福田康夫首相は,6日間の夏休み後のメールマガジン(7月24日付)で次のように書きました。 「休暇中ではありましたが,ガソリンなど燃料の高騰や食品などの値上がりが続いている状況や,医師不足をはじめ社会保障をめぐる問題など,皆さんの暮らしに直結する政策課題にこれからどう立ち向かっていくべきか考え始めると,居ても立ってもいられないというのが正直なところでした」 ところが,実際に福田内閣が行ったのは,「居ても立ってもいられない」どころか,国民の切実な要求に背中を向けることでした。 漁業者が一斉休漁まで決行して燃料高騰分への直接補てんを求めているのに,福田内閣は「ストレートにこれだけ値上がりしたから,政府がまとめて面倒を見るというようなことはない」(7月23日,町村信孝官房長官)と冷たく突き放しています。 後期高齢者医療制度の廃止に応じないばかりか,その根源にある社会保障費2,200億円の削減路線は来年度も続けることで額賀福志郎財務相と舛添要一厚生労働相が合意(7月25日)。 食料品値上げに対してもまったくの無策です。 こうした福田内閣の国民に冷たい逆行ぶり,無策ぶりに与党内からも「このままの自民党だったら,選挙に勝てない」(公明党・高木陽介選対委員長,「朝日」7月25日付)と危機感が表面化。 野党の追及を避けるため,当初8月下旬に予定していた臨時国会の召集を9月下旬に延期することを求める動きや,支持率がこれ以上下がらないうちに解散・総選挙にふみきれとの声があがっています。 ところが福田首相は,ここでもリーダーシップを示せず,「(早ければ)8月下旬だから,そんなに時間をかけずに決めなければならない」(7月22日)といっていた臨時国会召集も決められずにいます。 内閣改造や国会召集を議論するための,公明党との党首会談も「いずれ会ってよく話さなければならない」(同前)といっていたのに,いまだ実現していません。 来年1月に期限が切れる新テロ特措法延長を優先させて確実にしたい「8月召集派」と,来年冒頭を含めた早期解散・総選挙を画策する「9月召集派」との板ばさみで,身動きがとれずにいるのです。 “立ち往生”の根源には,「生活者重視」といいながら,生活破壊の元凶である「構造改革」をただす意思も能力もない内閣の姿があります。 この10ヶ月をみても,新テロ特措法やガソリン税の暫定税率の復活など衆議院で再議決を3度も強行。後期高齢者医療制度を予定通り4月に強行実施し,社会保障費削減路線を続けています。 破たんした路線にしがみつくしかない自民党政治の末期的な姿です。
2008年07月26日
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軍事利権をめぐり,日米の軍需産業と防衛省高級官僚,「防衛族」国会議員などの「パイプ」役といわれた「日米平和・文化交流協会」常勤理事の秋山直紀氏が,脱税の疑いで逮捕されました。 秋山氏の逮捕が当初の予想とは大幅に遅れ,逮捕容疑も個人としての所得税法違反というのはいささか肩透かしですが,もともと秋山氏は,軍事利権の「フィクサー」(黒幕)とまでいわれた人物です。 この際,秋山氏がかかわった政軍財癒着の全体像を,徹底的に糾明すべきです。 軍事利権への関与が指摘されてきた久間章生元防衛相は,秋山氏の逮捕に際し,「個人の所得の中身まで分からない。その金がわれわれに入ったことはない」と人ごとのように発言しています。 秋山氏に脱税の罪を押し付けるだけですまそうとしているのなら,それこそ重大です。 軍事利権の「フィクサー」として一部では知られていた秋山氏が,一躍マスメディアに登場するきっかけになったのは,昨年発覚した守屋武昌前防衛事務次官が軍需商社「山田洋行」の宮崎元伸元専務らから過剰な接待を受けていた事件です。 秋山氏が,守屋前次官らと久間元防衛相や額賀福志郎現財務相ら「防衛族」議員との結び付きを強めていただけでなく,「安全保障議員協議会」や「日米平和・文化交流協会」を舞台に日米の軍需産業や「防衛族」議員を組織し,防衛省への売り込みを後押ししていたことは,まさに「フィクサー」の名にふさわしいものでした。 秋山氏が組織した「議員協議会」や「交流協会」には,久間氏や額賀氏ら自民・公明・民主の国会議員,コーエン元米国防長官らアメリカ側の政府高官,三菱重工業や神戸製鋼所など日米の名だたる軍需産業が名前を連ねました。 巨額の利権につながるミサイル防衛(MD)の導入を率先して働きかけたのもこのグループです。日米の政軍財癒着に果たした秋山氏の役割を見れば,ことは個人の脱税事件ですまされるべきではありません。 だいたい,秋山氏の脱税が疑われているのも,防衛省に食い込んだ「山田洋行」や旧日本軍の毒ガス弾処理事業に関与した神戸製鋼などからのコンサルタント料です。 それは何のためだったのか,それ以外の企業は金を出していないのか,徹底的に調査すべきです。 金を出した側があればもらった側もあるはずです。 秋山氏が組織した団体は,毎年一回,日米で「安全保障戦略会議」を開催し,参加した「防衛族」議員らの交通費や宿泊費らを負担していたことが明らかになっています。 秋山氏の脱税が疑われた資金も,「防衛族」議員らへ提供された可能性があります。秋山氏に責任を押し付け,トカゲのしっぽ切りを図るような狙いを阻止するためにも,巨額の資金の流れの徹底追及は不可欠です。 政府の「防衛省改革会議」は守屋前次官らの「不祥事」についての報告を先日まとめましたが,個人の「責任意識の希薄化」を問題にするだけで,政軍財癒着にメスを入れようとしていません。 「不祥事」を本当に反省するというなら,徹底解明は政府・防衛省の責任です。とりわけ福田康夫首相は与党と内閣の責任者として,率先して責任を果たすべきです。
2008年07月25日
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大阪府の7月臨時議会は23日,府民犠牲,無駄な大型開発と同和継続の今年度本格予算案を,自民党,民主党,公明党などの賛成多数で可決し,成立しました。 橋下徹知事は,福祉医療費助成制度の改悪や私学助成の大幅削減,府立の文化施設の廃止など,財政再建の名で府民施策を軒並み切り捨てる一方,安威川ダムやニュータウン開発(「箕面森町」)などの無駄な大型開発は継続する「大阪維新プログラム案」を発表し,今年度予算案はその具体化の初年度にあたります。 1,100億円の「収支改善」を行うとし,私学助成の経常費助成5%-25%削減と,一般職の基本給4%-12%引き下げなどの人件費の削減を盛り込みました。 橋下「行革」の撤回・見直しを求める300万人以上の署名などの運動と世論の高まりで,これらについては自民党,民主党,公明党も見直しを要望。橋下知事は,私立幼稚園への経常費助成の削減を5%から2.5%に縮小し,一般職の基本給削減率を一律0.5%縮減するなど,合計わずか18億円手直しの修正案を7月22日に提案しました。 7月23日の閉会本会議で野党議員は「財政が厳しいなかでも府民の暮らしを支援することが府政の目的であり,財政再建の目的も福祉や教育を充実するためのものであるはずだ」と強調。 「維新案」は行政の理念や役割を投げ捨て,暮らしにあえぐ府民に追い打ちをかける一方,府の財政を悪化させた最大の要因の無駄な大型開発は継続・推進し,縮小されたといえ同和事業も継続していると述べ,撤回や見直しを求める府民の声に真摯に応えるよう求めました。 自民党は,橋下「行革」と修正案を「高く評価する」,民主党は,「熟慮に熟慮を重ねて修正案に賛成する」と述べました。 「出血を止めただけ。次の一手はこれから」。 7月23日,予算案の可決後,橋下知事は記者会見でこう語りました。 「維新案」は今年度から3年間のもので,来年度以降,廃止や削減とされる府民施策・事業が目白押しです。 障害者・高齢者・一人親・乳幼児の各医療費助成の自己負担増,障害者の生活をささえる様々な施策の廃止・削減,私立高校の授業料軽減助成削減のほか,国際児童文学館や上方演芸資料館,大阪センチュリー交響楽団,男女共同参画推進財団,府立学校の教務事務補助員の存続問題なども今後の9月議会,来年2月議会が焦点になります。 知事はまた会見で,市町村への交付金制度などを検討する地域主権推進本部を庁内にたちあげることを明らかにしました。 「維新案」は「大阪府の発展的解消が将来目標」とし,関西州の実現をかかげています。「次の一手」は府民にいっそう犠牲を強い,大型開発など財界向けの施策を本格的にすすめる関西州実現への一歩を踏み出すものです。 臨時府議会では,財政危機の要因の無駄な大型開発と同和事業をきっぱりやめるか,今後「維新案」をめぐる各党の立場が一層問われます。
2008年07月24日
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原油価格の急騰による燃油の高騰で,漁業者,農業者,中小の運送業者などの経営悪化が広がっています。 とりわけ打撃が大きい漁業者は,いっせい休漁などで窮状を訴え,燃油価格への国の直接補てん(補助)を求めています。 漁業者が求める燃油価格への直接補てんは,待ったなしです。 漁船の燃料や集魚灯などの発電用として使われるA重油の価格は,2003年の平均39,000円(1キロリットルあたり)がこの7月には115,400円にと,この5年間で3倍にも達しています。 漁業者にとってとりわけ深刻なのは,漁船を使った漁業では操業コストに占める燃油代の比重が高く,現在の燃油価格では,コストの30%から40%にも達していることです。 値上がり前は10%から20%でした。 燃油価格の高騰は漁業者の経営を直撃しています。漁業者は漁船を減速したり,集魚灯の光量を落としたりしてコスト削減に努めていますが,燃油価格の高騰には追いつきません。 出漁すれば赤字が出るからと,休漁する漁業者が相次いでいるのが実情です。 漁業者にとって,燃油価格が急騰しても,それを水産物の価格には転嫁しにくい仕組みになっていることも深刻な問題です。 水産物は産地の市場-中卸業者-消費地の市場-小売業者と複雑な流通をたどり,市場ではせりで価格が決まるので,生産者の実態が反映させられにくくなっています。しかも大手スーパーなどによる買いたたきなど,コストを無視した価格が横行しています。 水産庁がアジやイワシなど生鮮水産物10品目について2005年に調査したところでも,生産者の手元に残るのは小売価格の24%ほどでしかありません。このなかには生産者が負担する市場の手数料や資材費が含まれ,生産者の手取りはわずかです。 燃油価格の高騰はそれさえ奪っています。 自らの責任ではない燃油価格の急騰にたいし,国に直接補てんを求める漁業者の要求は正当なものです。政府がこれまで取ってきた省エネ設備への補助や流通効率化の対策ではもはや限界です。 国が直接補てんして燃油価格を引き下げなければ,漁業者は最低限のコストさえまかなえないのです。関係者は,現在の110,000円台の燃料価格が130,000円台になれば,30%の漁業者が廃業するといいます。 文字通り死活問題です。 国際的な投機を規制し,原油価格を引き下げることは当然やらなければなりませんが,漁業者の現状は,その効果を待っておれないほど追い詰められています。 燃油価格の高騰で漁業者が廃業に追い込まれれば,向上が求められている食料自給率がさらに低下してしまいます。 漁業者の直接補てんの要求にたいし政府は,「ストレートにまとめて面倒見ることはない」(町村信孝官房長官)と否定的です。漁業者の個人補償になるからというのがその理由ですが,ことは日本経済と国民生活全体にかかわります。 政府が態度を改め,直接補てんを求める漁業者の声に応えることが,国民の利益になります。
2008年07月23日
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長期療養が必要な高齢者が入院する療養病床が,2012年度末には現在より115,000床も削減される計画になっていることが,調査でわかりました。国の指示で都道府県が定めた削減目標を集計したものです。 政府が目標としている削減数(約230,000床)は下回っているものの,計画が進めば,多くの医療・介護難民が生まれるおそれがあります。 政府,自民党・公明党連立与党は,2006年の医療改悪で,全国に380,000床ある療養病床を150,000床まで減らす計画を打ち出しました(介護型130,000床を全廃,医療型250,000床を150,000床に削減)。 これに基づいて,都道府県は「医療費適正化計画」を作成し,療養病床の削減目標を掲げました。 計画策定中の新潟,奈良,佐賀の3県を除く44都道府県(案を含む)が残す予定の療養病床数の合計は,2012年度末で215,881床です。現状(44都道府県の合計で331,054床)より,約115,000床減ることになります。 そうしたなかでも,東京都のように,今後,急速に高齢化が進むことなどから,現状よりも病床数を増やす計画を策定したところもあります。 北海道は「短期間での療養病床数の大幅な削減は,患者や家族の方々に不安を与える」として,現在の医療型の療養病床数を確保するとしています。 その結果,政府の削減目標数を約110,000床下回りました。画一的な削減目標が,現場では通用しないことを示しています。 療養病床の削減は,後期高齢者医療制度の実施とならぶ,2006年の医療改悪法の柱でした。病院のベッド数を減らすことにより医療費を抑制することを狙ったもので,政府は年4,000億円の医療費削減を見込んでいました。 これに対して現場からは,「介護施設や在宅介護などが足りず,多くの介護難民・医療難民を生むことになる」という批判が噴出。撤回を求める声が広がりました。 聞き取り調査でも,都道府県の担当者から「受け皿となる介護施設が少なく,厚生労働省の指示通りに減らすと,病院にも介護施設にも入れない患者が出かねない」との声が出されました。 削減計画が,数値目標先にありきの“机上の空論”であったことは,当時の厚生労働省の担当者が明らかにしています。 医療改悪法を実質的につくった同省保険局に,財務省から出向していた村上正泰氏です。 同局総務課課長補佐として事情を知り尽くしている村上氏は「今から振り返れば,私自身,『本当に150,000床で大丈夫なのだろうか』と心配になる」と告白。社会保障費削減が政策の至上命令となる中で,「患者の受け皿が整備できるのか不確かなまますべてが突然決まったという格好になってしまった」と証言しています(『中央公論』3月号)。 政府は2006年度の診療報酬改定で,療養病床に入院する患者のうち「医療の必要度が低い」と判定された人の入院費に対する報酬を減額し,病院経営の面から病床削減を狙いました。 その結果,すでに退院を迫られる患者が相次いでいます。2008年度の改定では,報酬点数をさらに引き下げ,いっそう事態を悪化させています。 厚生労働省は今後,各都道府県の算定方法などをチェックし,計画が過大だと判断したところには,さらに削減を求める方針です。高齢者を病院から追い出す非情な削減計画は,きっぱり撤回するべきです。
2008年07月22日
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新日本製鉄,JFEスチールの鉄鋼上位2社などによる土木工事用鋼材の価格カルテルが公正取引委員会に摘発されたことに続いて,メーカー各社による鋼材の試験データ偽造が相次ぎました。 日本鉄鋼連盟が6月18日に,会長(宗岡正二新日鉄社長)コメントを発表,加盟各社の副社長クラスをメンバーとする専門部会を設置し,対応策を早急に取りまとめることを決めてから1ヶ月が経ちました。 鉄鋼メーカーによるデータ偽造は,日本工業規格(JIS)や業者との契約に定められた試験を行わなかったり,行っても別の試験のデータを提出していたというもの。 新日鉄の子会社「ニッタイ」,JFEスチールなど,国内のメーカー90社のうち,10社で偽造が判明しました。(下記表参照) 大手5社では,住友金属工業を除いて,4位の神戸製鋼所の子会社「日本高周波鋼業」,5位の日新製鋼でも偽造が発覚,まさに業界ぐるみといった様相です。 なぜ,業界ぐるみの不正が生まれるのか。 「試験には時間がかかるので生産性が落ちると製造所長が判断したようだ」(日新製鋼・松永成章副社長),「現場が生産性を優先した」(日本高周波鋼業・池田辰雄社長)。 データ偽造発覚後の各社トップの弁明です。現場のせいにしていますが,儲け優先の姿勢にあることは明白です。 同時に,2004年の工業標準化法「改正」で,従来,おもに国が評価し,認定を行ってきたJIS規格の適合性は,国の審査を通った第三者機関が認証するようになったこともあります。 経済産業省は今回の事態に,審査のあり方について認証機関に注意を喚起。 これまでに「ニッタイ」,日新製鋼尼崎工場,日本冶金工業の子会社「ナストーア」の茅ケ崎製造所(神奈川県茅ケ崎市)の3工場のJIS認証が取り消されました。 ところが,これらの工場を認証した経産省所管の財団法人「日本品質保証機構」の理事長は元特許庁総務部長,専務理事は元経産省生活産業局繊維課長といった天下り団体です。 また,民間認証機関「日本検査キューエイ」(資本金6,000万円)にいたっては,新日鉄,JFEスチールなどの鉄鋼メーカーや鹿島,清水建設などのゼネコンがおもな株主に名前を連ねています。 しかも日本鉄鋼連盟の専務理事と,3人いる常務理事の1人の計2人は経済産業省OBです。 JIS規格を順守する厳格さが“官民”双方に不足しているとの指摘もあります。 昨年来,相次いで発覚した耐火・防火建材の性能偽装問題で,「大臣認定」というお墨付きを与えてきた性能評価機関が国土交通省などの天下り団体だったように,業界と行政の癒着が厳しく問われます。【参 考】新日本製鉄※→ステンレス鋼管125,500本の水圧試験未実施。チタン鋼管など5,300本の契約で定めた試験省略JFEスチール→鋼管2,500本の水圧試験未実施日新製鋼→ステンレス鋼管552,000本の水圧試験未実施神戸製鋼所※→鋼材206トンで強度試験を実施せず,ステンレス鋼棒1,082トンで契約した試験を省略日本冶金工業※→ステンレス鋼管976,000本の水圧試験を省略日本金属工業※→ステンレス鋼管47,000本で空気圧試験を実施したが水圧試験と記載不二越→鋼材14,000トンで契約した硬さ試験を省略大同特殊鋼→鋼材117,000トンで契約した検査を代替,虚偽記載淀川製鋼所→溶融亜鉛めっき鋼板など484,000トン以上でJIS規定を満たさず三菱製鋼※→高炭素クロム軸受鋼4,400トンでサンプル採取頻度がJIS規定を満たさず《注》各社の発表などで作成。※は子会社
2008年07月21日
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来年度予算で福田内閣が,社会保障の自然増を2,200億円も減らす方針を続けようとしていることに批判が広がっています。福田康夫首相と額賀福志郎財務相は,予算の大枠を示す概算要求基準(シーリング)に2,200億円の削減を盛り込むと確認しました。 小泉内閣以来の社会保障予算の抑制路線は,国民の命と暮らしを支えるべき社会保障が国民の命を削り,暮らしを破壊する本末転倒を引き起こしています。 社会保障抑制路線は小泉内閣以来の自民党・公明党連立政府の方針です。 小泉内閣が編成した2002年度の予算で社会保障の自然増を3,000億円減らし,2003年度から2006年度まで毎年2,200億円ずつ削減しました。 そのうえで,2006年の「骨太方針」は,2007年度から2011年度まで毎年2,200億円を減らし続けると明記し,社会保障予算を5年にわたって抑える路線を敷きました。 2006年の「骨太方針」の取りまとめ役を務めた与謝野馨・経済財政相(当時)は,最近の雑誌で次のように語っています。 「率直に申し上げて,2,200億円というのは紙の上で『エイヤ!』と切ったもので,実証的に検証した数字ではない」 数字には何の根拠もないし,それによって国民生活がどうなるのかを考えもしないで,「紙の上で『エイヤ!』」と2,200億円の削減を決めた・・・。こんなふざけた話はありません。 その矛盾が噴出し,お年よりや母子家庭,生活に困窮した中小業者や若者など,社会保障の支えをもっとも必要とする国民が深刻な被害を受けています。 お年寄りの医療費削減を狙った後期高齢者医療制度で,お年寄りはむりやり差別的な医療制度に囲い込まれ,負担増を強いられています。医師不足で産科・小児科をはじめ地域に不可欠の診療科が消え,政府の公立病院切り捨て政策が追い打ちをかけて拠点病院が閉鎖に追い込まれています。 医療の提供体制そのものが崩壊の危機に直面している緊急事態です。 最後の命綱の生活保護では申請さえ認めない「水際作戦」や道理のない「保護打ち切り」が横行しています。高齢者や母子家庭の生活保護や児童扶養手当を削減し,生存権を脅かしています。 社会保障の抑制路線の転換が切実に求められているのに,福田内閣と自民党・公明党連立与党は一部の手直しで取り繕うだけで,抑制路線を進み続けようとしています。 このままいけば遭難することが分かっているにもかかわらず,進路を変えられないなら,かじを取り続ける資格はありません。 社会保障抑制路線の大本には,社会保障を抑制し,企業の保険料負担を軽減する代わりに消費税増税をという財界の身勝手な要求があります。自民党の尾辻秀久参院議員会長らは社会保障の圧縮に反対しながら,消費税増税を主張しています。 抑制路線への固執も,代わりの消費税増税も財界の手のひらの議論にほかなりません。 消費税の増税は高齢者,低所得者の暮らしと中小企業を痛めつける最悪の福祉破壊です。 財界言いなりの政治を改めて社会保障抑制路線を転換し,いき過ぎた大企業・大資産家減税を是正して財源を生み出す道に日本の進路を切り替えていくことが必要です。
2008年07月20日
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市場競争に委ねて「ビジネスチャンス」を拡大すれば,日本の農林水産業は「魅力のある産業」に生まれ変わる。 アメリカでさえ基幹作物は政府が手厚く保護しているというのに,日本の農業,米作りをいっそう市場に任せるよう政府の「規制改革会議」が求めています。 規制改革会議が今月発表した「中間とりまとめ」は,農林水産業は「手厚い保護政策が維持されたため」に,「構造改革が大幅に遅れている」と述べています。 農業「構造改革」とは農業と農地を株式会社に開放して一気に大規模化しようという主張であり,日本農業の担い手である中小の家族経営を切り捨てる議論です。 実際に「中間とりまとめ」は,「生産性の低い農地」で大幅減産し「生産性の高い農地」の減産を不要にするとして「生産割当量の取引市場」創設を求めています。 減反をすべて小規模経営の農家に押し付け,米作りからの退出を促す制度にほかなりません。 さらに,「経営主体を問わず」効率利用をするものに農地を委ねるべきだと,農地保有の株式会社にたいする規制の早期撤廃を求めています。 しかし,利潤追求を第一義とする株式会社が耕作放棄地を引き受ける保証も,営農を続ける保証もないことは明らかです。 自民党政府は一貫して国内生産を軽視して輸入依存をすすめ,画一的な規模拡大を押し付けてきました。「手厚い保護」どころか,どの国も農業政策の要として力を入れている価格保障や経営安定の対策を放棄してきたのが実態です。 その結果,かけがえのない担い手である中小農家は切り捨てられ,規模を拡大した農家も米価の暴落で経営を続けられない事態が広がっています。 食料自給率を世界でも異常に低い39%にまで低下させてしまった責任は,自民党の「亡国の農政」にあります。 規制改革会議の主張は,利潤第一の株式会社の参入など市場原理を徹底することで「亡国の農政」を完遂させようという暴論です。 食料と農業をめぐる内外情勢は激変しています。 「中間とりまとめ」は,世界の食料危機という「潮目の変化を踏まえ」て「規制改革を進めていくことが重要」だとしています。 危機に付け込んで「構造改革」を推進する小泉内閣以来のやり方は,もはや通用しません。食料危機に際して,日本の食料生産を土台から崩壊させる規制改革会議の主張は「百害あって一利なし」です。 「中間とりまとめ」は食料危機の原因を分析しています。 しかし,ブッシュ政権以外の誰もが価格暴騰の大きな原因だと指摘する投機マネーの暴走については,一言も触れていません。 同じ「中間とりまとめ」で,金融分野の自由化・規制緩和の徹底を提言している規制改革会議にとって,極めて「不都合」な事実だからです。 経済・社会の実態をありのままに分析することなしに,現実の矛盾を解決する政策を導き出せるはずがありません。「構造改革」の深刻な被害が次々と表面化しているのに,規制改革会議は何が何でも「構造改革」,「規制緩和」一辺倒です。 「構造改革」の推進を目的に設立された同会議の議論は,くらしと経済の被害をさらに拡大する机上の空論です。
2008年07月19日
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沖縄県議会は7月18日,米軍新基地建設計画の断念を求め,首相,外相,防衛相らにあてた意見書と駐日米国大使や沖縄県知事にあてた決議を賛成25,反対21の多数で可決しました。 県議会が日米両政府の新基地建設計画に反対を表明したのは初めてです。 6月の県議選で,野党が躍進するなど県議会内の勢力が逆転し,野党が過半数を占めたことからこの画期的な決議が実現しました。県民の70%が反対しているのに,決定だといって新基地建設計画を押し付けようとしている政府・防衛省に痛打となるのは確かです。 日米両政府は,沖縄県名護市にある米軍基地内に新基地を建設する計画です。新基地は先制攻撃戦争に備える米軍事態勢の再編・強化の目玉です。 新基地が航空機の爆音,墜落,米軍犯罪,環境汚染で県民を苦しめることは,政府の説明でも明らかです。 例えば爆音です。 初めは「周辺の上空を飛ばない」という説明でした。 しかし,いまでは,緊急時のほか,アメリカ軍の「訓練の形によっては飛行することもあり得る」(石破茂防衛相 昨年12月12日の政府・地元の協議会で)と開き直っています。 米軍再編が沖縄県民の「痛みを軽減するため」という説明は大嘘です。 新基地建設は大浦湾の埋め立てを伴います。膨大な量の土砂投入が海を汚し,漁業資源を奪います。ジュゴンのえさとなる藻場に重大な影響を与えることにもなります。 「生活と環境に配慮する」という政府説明を真に受けることはできません。 県議会の決議がいうように県民は,「基地の過重な負担と固定化につながることから一貫して反対」してきました。建設予定地の名護市民が1997年12月の市民投票で反対の意思を明確にしたのをはじめ,どの世論調査でも県民の反対は70%におよんでいます。 県民の反対を無視し,振興予算をちらつかせるなど卑劣なやり方で建設に向けた動きを強めている政府に非があるのは明白です。 県民が県議会勢力を逆転させたのは,高齢者医療制度への怒りとともに,政府の横暴を許さず新基地建設を断念させたいという一念からです。 県議会として「新基地建設を早急に断念されるよう強く要請」したのは,県民の意思に忠実に従った正当な要求です。県民の歓迎は当然です。 政府・防衛省はこれ以上,県民と県議会の意思を無視することは許されません。議会が可決した意見書を尊重し,ただちに新基地建設計画の推進を断念すべきです。 仲井真弘多知事の態度も問われます。 予定地を少し沖合に移せば新基地を認めるという態度は,県議会の決議に反します。目線を日米両政府にではなく,県民に向けることが重要です。 沖縄の米軍基地は,県土面積の10%を超えています。新基地建設を認めることはこの異常を恒久化することを意味します。基地あるが故の苦しみを,さらに県民に押しつけていいはずはありません。 基地なくせの声は県民共通の願いです。 宜野湾市民を苦しめている普天間基地を無条件に閉鎖・撤去し,米軍基地の縮小・撤去をせまることが重要です。
2008年07月18日
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母子・父子家庭という配偶者のいない「ひとり親家庭」が増えています。ひとり親になった原因や背景はさまざまですが,母子家庭はもちろん父子家庭も緊急に支援する必要があります。 父子家庭になって困り果て,「何か公的補助があるだろう」と自治体の福祉窓口を訪ねてから初めて“父子家庭には支援策がない”とわかってがっくりきた,という父親が少なくありません。 「父子家庭の子どもにも国は手を差し伸べてほしい」と7月17日,ひとり親のネットワークの人たちが国にたいし,児童扶養手当制度の改正などを申し入れました。 父子家庭の父親も,収入を得るために「子どもの寝顔しか見られない」,「家事は夜中に音を立てないようにやっている」というのが実態です。 父親の子育てへの社会的な理解の遅れもあり,長時間労働を強いられ,転職せざるを得ない人も少なくありません。「残業・休日出勤なし」,「転勤なし」という条件で仕事を探せば,パートやアルバイトなど低賃金の仕事に就かざるを得ません。 「母子家庭に支給されている児童扶養手当を,父子家庭にも支給してほしい」という願いは切実です。 児童扶養手当法(1961年制定)は第1条で「この法律は,父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため」とあり,父子家庭は収入にかかわらず,支給対象から除外されています。 母子家庭の場合,かつて死別については母子福祉年金制度がありましたが,経済的な困窮は生別も死別も同じであり,離婚による母子家庭にも社会保障制度が必要だという議論がおこり,児童扶養手当法が制定されました。 約75万世帯のうち90%が離婚など生別母子家庭で,平均年収は213万円,一般世帯の1/3です。 現在は年収365万円未満の母子家庭に,所得に応じて最高で月約42,000円が支給されます。 父子家庭も年々増えています。 父子家庭になった理由も死別が減り,離婚が急増しています。働きながらひとり親が子育てをする困難さは同じですが,父子家庭には国の支援策はありません。 「母子家庭の母の方が就業状況等がより厳し」く,「取扱いの差異は不合理なものではない」(野党議員の質問主意書への答弁書)というのが,政府の言い分です。 厚生労働省の「全国母子世帯等調査」(2006年度)によると,父子家庭の平均年収は421万円で,母子家庭の213万円を上回っています。 ところが年収300万円未満の父子家庭が37.2%も占めています。一部の世帯を除けば,父子家庭への支援も切実さは変わりはありません。 ひとり親家庭は,緊急時に頼りにできる親や親しい友人が近くにいないケースが多く,国や自治体のきめ細かい対策が必要です。 政府が父子家庭への支援に背を向けているなか,母子家庭と同様の手当を支給する自治体が各地に広がりつつあります。 国の制度としても児童扶養手当法改正をはじめ新たな対策を拡充し,ひとり親が「子育ては大変だが幸せだ」と思えるような支援が求められます。
2008年07月17日
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政府の「防衛省改革会議」(座長・南直哉東京電力顧問)は7月15日,「不祥事の分析と改革の方向性」と題する報告書を福田康夫首相に提出しました。 防衛省改革論議は,調達業者との談合やデータ捏造など防衛省・自衛隊の不祥事が多発し,「国民の信頼を回復するため」というふれこみで昨年12月から始まったものです。 15回の会議をへて出された報告は,不祥事の原因究明はなおざりにする一方で,かねてからの狙いである自衛隊の発言力増大と政策決定参加を具体的に提言しています。 火事場泥棒といわれても仕方がありません。 一連の不祥事の原因について報告書が強調するのは,個人の「責任意識の希薄化」です。 しかしそれではすまないから改革論議をはじめたはずです。こんなことでお茶をにごされてはたまりません。 守屋武昌防衛事務次官が装備調達をめぐって山田洋行の宮崎元伸専務(いずれも当時)に便宜をはかったのは,政軍財利権のあらわれです。 そこにメスを入れないで,個人が悪いというだけでは,問題解決にもつながりません。 イージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突し沈没させた事故では,「あたご」の当直士官らが「清徳丸」を認知できなかったのは「不運」だ,「人間の錯誤」だと強調しているのは見過ごせません。 12分前にレーダーで「清徳丸」の動きを知っていたのに,衝突1分前まで自動操舵で直進したのは,「そこのけそこのけ自衛艦が通る」という軍事優先体質の表れです。 それにもふれず,自衛隊・防衛省の隠蔽体質も問題にしないのではおざなりとしかいえません。 報告書の本当の狙いは,海外派兵の本格化と海外での戦争参加に備えて,自衛隊の発言力を増大させ,政府の政策決定に参加させることです。イラクなどでの国際平和協力活動で「自衛隊をより積極的・効率的に機能させることができるようにする」といっています。 提言は,自衛官を首相の補佐にするといっています。自衛隊の提案や考えを直接首相に伝え,政治決定に浸透するのが狙いです。 「防衛政策」の企画立案にあたる防衛省の防衛政策局次長クラス以下に自衛官を組み入れる提言は,軍事知識が豊富な自衛官が海外での軍事作戦の方針づくりの主役になることを意味します。 軍事作戦の実施を自衛隊まかせにするのも重大です。 防衛省の運用企画局を廃止し,文官のチェックなしに自衛隊が海外で軍事作戦を実施できるようになれば,外交無視の軍事一辺倒の作戦行動になるのは必至です。 自衛隊の権限を肥大化させ,軍事優先体質をさらに強めさせる報告書の具体化は許されません。 報告書が「軍事実力組織の暴走は防がなければならないが,…必要とされるとき機能しないのでは安全保障は保てない」といっているのは重大です。 自衛隊に発言力をもたせないのは,「昔のような弊害を再び繰り返させてはいかん」(1954年5月 木村篤太郎保安庁長官,7月から初代防衛庁長官)という発想からです。 そもそも戦力保持を認めていない憲法のもとで自衛隊の権限肥大化など許せることではありません。 報告書は撤回すべきです。
2008年07月16日
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全国紙と通信社による最新の世論調査結果から,政府・与党が狙う消費税増税に,国民の多数が反対し,しかも拡大している実態が鮮明になりました。 「毎日」が7月12日,13日両日に行った世論調査では,「社会保障の財源を確保するなどの目的で,消費税率の引き上げが議論されています」とし,賛否を問いました。 結果は,反対が61%で,賛成の30%に2倍以上という圧倒的な差をつけました。 同紙が2005年1月に発表した調査結果では,「社会保障費を消費税アップでまかなう」ことについて,「理解できる」が44%,「理解できない」が46%で拮抗していたことからも,世論の変化は歴然です。 共同通信が7月11日,12日両日行った調査でも,同様の設問にたいし,反対が61.8%で,賛成の33.8%を倍近く引き離しました。 同通信は「消費税率引き上げに拒否感が強まっている」,「ガソリンや食品など物価上昇に歯止めがかからず,家計を圧迫している状況が背景にあるとみられ」ると指摘しています。 「朝日」7月15日付報道の調査結果では,消費税引き上げについて,44%が「必要だ」としたのに対し,「必要はない」は47%。 「読売」同日付では,「消費税引き上げはやむを得ない」という意見について,「そう思う」,「どちらかといえばそう思う」が合わせて47.1%,「そうは思わない」,「どちらかといえばそうは思わない」が合わせて51.4%で,両調査とも増税反対が上回っています。 政府・与党は,消費税増税押し付けの口実として,「増税しなければ,年金や医療の財源が賄えない」などと盛んに宣伝しています。 この政府の言い分を正面から取り上げた世論調査で,反対が賛成を大きく引き離したことは,もはや口実が通用しなくなっていることを示しています。
2008年07月15日
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民主党が“国民の生活が第一”を掲げながら財界幹部との接近を強め,財界の要求に迎合する姿勢をみせています。 同党の前原誠司,岡田克也両副代表らは7月8日,経済同友会の桜井正光代表幹事ら幹部と「政策懇談会」を開きました。経済同友会は,民主党が2003年に自由党と合併し政権公約(マニフェスト)を策定する際,改憲を盛り込むよう注文をつけた“実績”があります。 同友会は,基礎年金を消費税増税による全額税方式でという民主党の政策を後押ししています。年金保険料の企業側負担の削減をもたらすからです。 今回の政策懇談会も「マニフェストをまじめに実現してくれる議員」への働きかけが目的でした。 さらに7月11日には岡田副代表が都内の日本料理店で日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長),今井敬名誉会長(新日本製鉄相談役)ら財界関係者約10人と会食しました。 いずれも財界側の呼びかけに民主党議員が応じた形です。 民主党と財界との接触が強まっている背景には,「(昨年の)参議院選挙の結果を受け,経済団体からの民主党への期待は高まっています。この機を逃さずコミュニケーションを活発化し一層の理解と関係の強化に努めます」(2008年度活動方針)という同党の戦略があります。 民主党と日本経団連は今年2月,3年ぶりに首脳懇談会を開きました。席上,小沢一郎代表は,「(民主党の考えへの)経団連の評価は厳しい」と発言。 御手洗会長は,「何が重要かという点については共通の認識が持てた。今後,責任政党の民主党とできるだけ率直に議論していきたい」と応じました。 昨年の臨時国会で民主党は,御手洗氏が会長を務めるキヤノンの「偽装請負」問題で同氏の国会参考人招致を要求し,「関係が疎遠」だなどといわれましたが,すでに関係の修復が図られた格好です。 その結果,同党は今年の通常国会では,御手洗氏の国会招致を一度もいわなくなりました。 民主党はボイコット戦術で国会審議を放棄しこそすれ,参議院第一党の優位を活用しての徹底審議で自公政権を追い詰める姿勢はとらず,財界が求めてきた宇宙軍拡推進の宇宙基本法などの悪法の成立に手を貸してきました。 いま,御手洗氏は,「与野党がよく話し合えば,必要な改革を遅滞なく進めることは十分可能だ。今後はこうした方向で政策がスピーディーに進むことを期待したい」(6月19日の講演)と,財界が求める政策の実現を迫っています。 日本経団連は,自民,民主両党への企業献金の配分額を検討するために,両党との「政策を語る会」を毎年開催。 今年6月の「民主党と政策を語る会」で同党は,「法人税の実効税率を国際水準に引き下げることは理解できる」と表明したほか,「無駄を徹底して排除することが前提だ」としているとはいえ,消費税率の引き上げにも言及しました。 いずれも,財界が求める政策と合致しています。 民主党は“国民の生活が第一”を掲げて国民に訴えてきました。財界とつるむことで,民主党の政策が“国民の生活が第一”でなくなってしまうのではないかと心配します。 というのも,財界の要求の多くは“国民の生活を第一”からほど遠いものだからです。 民主党を支持している国民や民主党に期待している国民を裏切ることのないにして欲しいものです。
2008年07月14日
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政府が,諫早湾干拓事業潮受け堤防の開門を命じた佐賀地裁の判決に従わず,福岡高裁に控訴したことに,有明海沿岸の漁業者などが強く反発しています。 農林水産省は開門調査のための環境アセスメントを行うとしていますが,その結果,水門が開放される保証はありません。 「時間稼ぎではないか」,「リップサービスだ」という反発は当然です。 裁判は,長崎,佐賀などの漁業者らが諫早湾干拓事業で被害を受けたとして,干拓のための潮受け堤防の撤去などを求めたものです。 佐賀地裁の判決は,堤防の撤去こそ認めなかったものの,漁業被害についてはその一部を認めました。 しかも被害状況の調査のために中長期の水門開放が求められているのに実行しようとしない国の態度は「立証妨害」であり,「訴訟上の信義則に反する」と厳しく批判し,水門の開門を命じました。 裁判所にここまで批判されても,なおそれに従わず控訴して争うというのは,文字通り「立証妨害」であり「信義則に反する」ものです。 政府の姿勢が厳しく批判されるのは当然です。 国の控訴を受け,被害が認められなかった一部の漁業者らも高裁に控訴しました。 諫早湾干拓事業が本格化した1980年代の後半以降,諫早湾をふくむ“宝の海”と呼ばれた有明海の環境は急激に悪化し,特産のタイラギ貝やノリ,アサリなどの漁獲量が激減しました。 この間,多くの漁業者らが干拓事業の中止を求め,2004年には佐賀地裁が工事差し止めの仮処分を認めたのに,政府はそれに従わず,工事を強行してきました。 2002年に行われた短い期間の開門調査でも,水質が劇的に改善したことが証明されています。干拓事業による諫早湾の閉め切りと,水質悪化の関連は明らかです。 漁業者らは潮受け堤防の撤去か,さもなければ水門を常時開放するよう強く要求してきました。 佐賀地裁の判決は,3年間かけて必要な防災対策などを行った上で,5年間は水門を常時開放して,調査をすべきだと具体的に提案しています。高裁に控訴した国も,開門を「前提」に,環境アセスメントを行うなどとしているのは,判決を無視しきれなかったからです。 しかし,農林水産省がやるのはあくまでアセスメントで,しかもアセスメントのあと,「関係者の同意」を得て今後の対策を検討するというものです。 いつ開門するか全く見通しはありません。 政府が開門調査をずるずる引き延ばしている間にも,有明海の水質は悪化し,漁業被害は広がります。漁業者にとっては,刻一刻生活の場が奪われていきます。 政府は開門調査を引き延ばすのはやめ,ただちに開門を決断すべきです。 もともと諫早湾の干拓事業は,当初は「食糧増産」を謳い文句にしたのに,事情が変わったからと,「防災対策」などが目標に持ち出されてきた,目的のはっきりしない無駄な公共事業の典型です。 その事業によって環境が破壊され,漁業者などの生活が脅かされているのに,計画だけはそのままというのは許されません。 開門を実現するとともに,これを機会に無駄な大型開発事業に抜本的なメスを入れるべきです。
2008年07月13日
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自民党の支持率(時事通信調査)が2006年1月に20%台に落ち込んだまま2年半つづいています。過去,田中角栄内閣の1973年2月から福田赳夫内閣の1977年11月まで20%台が続いた時期がありました。 今回の深刻さは低支持率を回復できる確かな見通しが立たないところにあります。 時事通信社調査によると,自民党支持率が低下している要因としては,従来おおむね支持率40%台で推移してきた60歳以上の固い自民党支持層が30%台に落ちていることと,農村部の落ち込みが目を引きます。 政党支持率の上がり下がりは内閣支持率以上に選挙に直接響く,というのが選挙専門家の見方です。 「内閣支持率が低くても自民党が選挙で勝ち,政権を維持できたのは30%台の自民党支持率があったから。肝心の選挙基盤に穴が開いてきた」(自民党関係者) 昨年の参議院選挙大敗のあと自民党は政党支持率の底上げにさまざまな広報戦略を繰り出し,世論獲得策をあれやこれや検討してきました。 党の態勢立て直し策を検討した党改革実行本部(武部勤本部長)は,6月に集約した中間とりまとめで,「従来の自民党支持層からの信頼回復」を重点課題にすえました。 年配者,農業・漁業など従来支持が厚かった層を対象に「御用聞き隊」を組織するなどのアイデアが示されました。 党役員でつくる広報戦略会議は中間報告(5月末)で,「攻めの広報」や首相官邸との連携強化などを提案し,テレビなどの映像メディアについては「彼らの誤った情報にたいしては,そのつどタイムリーな反論をおこなうべき」だと,自民党に不利な報道に介入する構えを示しています。 総裁直属機関の国家戦略本部には昨年12月に「民意把握プロジェクトチーム」(松野博一座長)が設置されました。 一連の自民党内の検討を通じても小泉―安倍―福田と続く歴代政権の「構造改革」路線による「痛み(貧困拡大と負担増)の政治」が国民の自民党離れを引き起こしている原因であるのは確か。 しかし「構造改革」路線の抜本的な転換をはかるつもりのないのが福田政権と自民党です。 どんなに党内検討を重ねても,自民党離れを食い止め,上向きに転じる確かな方策は見いだせないようです。
2008年07月12日
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旧道路公団副総裁の関与が問題になった官製談合事件の判決が先週,東京高裁であり,元副総裁に懲役2年6ヶ月,執行猶予4年の有罪が言い渡されました。 判決は公団幹部が長年にわたって天下りを繰り返し,談合に関与してきたことをきびしく指弾しています。談合根絶のために,天下りの禁止は不可欠です。 事件は旧道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事をめぐり,発注側の道路公団幹部と,受注側のメーカーが独占禁止法違反などに問われたものです。 発注側では道路公団トップクラスの副総裁が逮捕され,受注側は横河ブリッジ,三菱重工業など50社近くが関与しました。 談合企業は「K会」,「A会」といった談合組織をつくり,発注される橋梁工事のほとんどを談合で分け合っていました。あとを絶たない官製談合事件の中でも,橋梁談合は大規模で,最も悪質なものと批判されてきました。 その手口は,道路公団幹部の天下りを通じた,典型的な「天下り主導談合」です。メーカーに天下りした道路公団元幹部らが工事の配分をきめ,現役幹部が退職後の天下り先を確保するために,談合に協力する仕組みです。 判決は,公団理事らが「受注調整を円滑にすることが職員の天下り確保につながると認識」して,談合に加担したと指摘しました。 官製談合事件は,中央省庁でも地方の出先や各地方自治体でも繰り返されています。 その温床となっているのが橋梁談合同様,高級官僚などの天下りです。官製談合など癒着を根絶するには,天下りの規制が欠かせません。高級官僚の天下りは禁止すべきです。 官製談合事件は,国民の税金を食い物にするものです。 今回の事件では,道路公団が発注した鋼鉄製橋梁の90%以上が,談合組織に参加する企業に発注されていました。企業に安定した利益を確保するため,談合による発注で国民の税金がムダ遣いされたことは明らかです。 裁判では,橋梁談合とは別の第二東名の工事でも,必要のない分割発注を行い公団に5,000万円近い損害を与えたことが明らかになりました。 国民の税金や利用者の通行料を食い物にした責任は,厳しく追及されるべきです。 現行の官製談合防止法では,官製談合で損害をこうむった官庁は,かかわった職員に損害分を請求できる建前になっていますが,実際に請求した例はひとつもありません。 こうした規定の厳正な適用は曖昧にすべきではありません。 同時に重要なのは談合の根を絶つことであり,天下りなど癒着の土壌にメスを入れてこそ,不正を一掃できます。 見過ごせないのは,官製談合事件はその多くが政治家や地方の首長など政財官の癒着の中で起きていることです。地方の官製談合事件では,知事やその近親者が直接談合の調整役となっていることも少なくありません。 今回の橋梁談合でも談合企業から自民党が献金を受け取り,国交省次官経験者の参議院議員がパーティー券購入の便宜を受けていました。不正の一掃には癒着に全面的にメスを入れることです。 官僚や企業にだけ責任を押し付け政治家は逃げ得するなどというのは決して許されません。
2008年07月11日
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自民党・公明党の連立与党が,社会的批判の大きい「日雇い派遣」を原則禁止する方向で合意し,厚生労働省も,労働者派遣法「改正」案の臨時国会提出へ動きだしています。 派遣労働者は不安定雇用のもとで,低賃金と無権利状態を強いられています。なかでも日雇い派遣は「ワーキングプア」(働く貧困層)の温床となっており,早急な対策が求められています。 日雇い派遣の禁止は当然ですが,そのためには労働者が人間らしい生活ができるよう,労働者派遣法の抜本改正が不可欠です。 派遣には,派遣会社に常時雇用されて特定の企業に派遣される常用型と,派遣会社に登録して仕事があるときだけ派遣先で働く登録型があります。 登録型のなかでもとりわけ深刻なのが,携帯電話やメールで指示されて1日単位で職場がかわる「日雇い派遣」です。 仕事は,倉庫内作業や資材搬入など単純作業が多く,交通費は自前,派遣会社による法外な手数料のピンハネ,低賃金が横行しています。社会保険や労災保険,雇用保険もなく,労災も自己責任にされ,定宿をもてない「ネットカフェ難民」も多く,貧しさから脱却できません。 社会とのつながりを断たれ,人間としての尊厳まで失ってしまうことにもなります。 日雇い派遣が広がったのは,いつでも自由に安く使い,解雇できる「使い捨て」労働力の確保という企業の身勝手さのためです。そうした財界・大企業の雇用戦略にもとづく労働者派遣法の制定と相次ぐ改悪が,それに拍車をかけました。 労働者供給事業は1986年の派遣法施行までは禁止されていました。1999年に派遣の対象業種が原則自由化され,2003年に製造業まで解禁されてから派遣労働者が急増し,320万人に及んでいます。 その70%が日雇いなど登録型です。 「日雇い派遣」が大きな社会問題になって以降,政府・与党でさえその禁止を口にするようになりましたが,派遣事業の原則自由化には日本共産党以外,すべての政党が賛成しており,その責任が厳しく問われなければなりません。 本来雇用は使用者が雇用責任をとることができる直接・常用を基本とすべきです。 派遣は常用型を基本に派遣労働者と派遣先労働者との均等待遇をはかり,派遣元だけでなく派遣先の責任も強化するなどの措置が欠かせません。 現在の派遣法を「派遣労働者保護法」に抜本改正し,派遣は常用型を基本に登録型は専門的業種などに限定して厳しく規制することが急務です。こうした抜本改正を実現するなかでこそ,「日雇い派遣」の問題は解決できます。 総合研究開発機構は「就職氷河期」に急増した非正規労働者がこのまま老後(65歳以上)を迎えると生活保護の受給者になり,累計で約20兆円追加が必要だとの報告を公表(4月24日)しています。企業も業務が継承できない状況が発生し,「非正規雇用の一方的上昇は望ましくない」と指摘しています。 労働・雇用の破壊を根本から見直すことは日本社会が直面する緊急課題です。その未来のためにも,派遣法の抜本改正が必要です。
2008年07月10日
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北海道洞爺湖町で7月7日から開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)が閉幕しました。日本,アメリカなど主要8ヶ国に,アフリカ諸国や中国・インドなど新興国を交えて,多くの会合が重ねられました。 G8が直面したのは,世界的な貧困と格差の拡大,原油や食料の急騰,地球温暖化問題,地域の平和など,文字通り地球的課題です。それに照らして,発表された宣言に盛り込まれた対策は,あまりに不十分で実効性を欠きます。 「主要国」の責任が改めて問われます。 対策の不十分さを象徴しているのが,最大の焦点といわれた地球温暖化問題です。異常気象の頻発や生態系の破壊など,地球温暖化への対策は待ったなしです。 世界の科学者は温暖化による被害を防ぐために,温室効果ガスの排出削減を厳しく求めています。 G8の宣言は,2050年までの世界全体の排出量50%削減を国連の気候変動枠組み条約締約国で「検討し,採択する」というだけで,G8が率先していつまでにどの程度の削減を目指すかについては明らかにしませんでした。 発展途上国から強い反発があがり,主要排出国会議でも長期目標の合意に至らなかったのは当然です。 先進国とりわけ主要8ヶ国だけでも,世界の温室効果ガス排出の40%以上を占めます。 先進国は歴史的責任を自覚しふさわしい責任を果たすべきなのに,世界「共通の決意」だというだけで自らの責任を明確にしないのは,先進国の責任を棚上げにするものです。 G8が求められている役割にふさわしい目標を掲げることができなかったのは,アメリカがあくまでも新興国にも長期目標を課すことに固執し,サミット議長国の日本もそれに従ったためです。 文字通り,アメリカと日本がG8の足を引っ張ったのです。 日本政府は直前の日米首脳会談でわざわざ「日米同盟の深化」を再確認してG8に臨む異常さです。日米両国政府の責任は厳しく問われなければなりません。 世界の経済を揺るがしている原油や食料の高騰でも,G8は肝心の投機の規制で,実効ある対策を打ち出せませんでした。 経済宣言は原油や食料の高騰が「世界のインフレ圧力を高める」と「懸念」を表明しているものの,その大きな原因となっている投機については,「透明性の向上」を求めるだけです。 世界的なドル安と金融不安の中で,投機資金がドル資産を離れて商品市場に流入していることが原油や食料高騰の大きな原因になっています。 先月末サウジアラビアで開催された産油国と消費国の会議でも,投機を規制するため「金融市場の透明性と規制とを改善」することで合意しています。 アメリカなどに拠点を置くヘッジファンドの投機にさえ対策を打ち出そうとしないG8は,原油と食料の異常高騰で苦しむ諸国民を失望させるものでしかありません。 地球温暖化にせよ,投機規制にせよ,G8だけに任せておいていいという問題ではありません。 G8をはじめ先進国に果たすべき役割を果たさせ,地球的課題を前進させるためにも,世界の世論と運動を盛り上げ,国連や国際機関を含め,合意を広げていくことがいよいよ重要です。
2008年07月09日
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国土交通省は7月3日,タクシーの競争激化を受けて,供給過剰地域を対象に新規参入や増車の手続きを厳しくし,業者が協調して減車できるようにすることなどを柱とする対策案を示しました。 行き過ぎた規制緩和に対する批判の世論と運動の高まりに,政府が見直しせざるをえなくなったものです。 2002年の道路運送法改悪で需給調整が撤廃され,新規参入や増車が自由化。各地でタクシーが激増し,供給過剰で運転者の低賃金や長時間労働が広がり,安全運行が脅かされています。 同日の交通政策審議会のワーキンググループで示された案は,「過剰な輸送力の供給」がこうした問題の背景に存在する「根本的な問題」であり,「供給過剰の解消やその防止に特に強力に取り組む必要がある」と強調。 具体策として,(1) 供給過剰となっている地域での参入・増車の要件引き上げ,手続きの厳格化,(2)供給過剰が特に深刻な地域での協調的な減車措置,(3)緊急調整地域の指定要件の緩和,などをあげています。 同省の自動車交通局長は,6月17日のワーキンググループ会合で,制度設計の議論を踏まえて来年の通常国会に道路運送法の改正案を提出する考えを示しています。 タクシーの規制緩和問題では,仙台市などで労組,業界団体,商店主,利用者ら市民が一丸となって供給過剰解消を求める運動が広がり,昨年11月に国土交通省は緊急調整地域の指定要件緩和などの措置に踏み出しました。 全国自動車交通労働組合総連合会(自交総連)は,減車指導や運転者免許制度の導入で適正な労働条件と安全運行を確保することを求めて運動を広げてきました。 国土交通省が今回示した案は,タクシーの供給過剰と過当な運賃引き下げ競争を解消する必要性に大きく踏み込んでいます。 これまで,交通政策審議会でのタクシー問題の議論は,運転者の資質向上や悪質業者の排除の問題だけにとどまっていました。 それが今や,需給と運賃の問題をどうにかしないといけないということがワーキンググループの共通認識になり,行政もそういう認識に至ったというのは大きな変化です。 規制緩和の見直しを求める世論と運動の成果であり,タクシーの供給過剰が安全,環境,運転者の労働条件を脅かしている実態がそれだけ深刻であることの反映だと思います。 大切なのは,実効ある措置をどう具体化するかです。 例えば,減車をどう進めるかにしても,業者間の協調的な減車や,行政による減車命令などがあります。 また,何をもって供給過剰と判断するかの指標が必要であり,私は,規制緩和前に用いていた需給動向の判断を採用すべきだと考えます。 さらには,タクシーの安全運行,運転者の資質の向上,労働条件の確保のために,運転者免許制度を国家資格として制度化することが必要だと考えます。
2008年07月08日
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政府は7月4日,今後10年間の国土計画の方向性を定めた「国土形成計画(全国計画)」を閣議決定しました。 同計画は,2007年度中に閣議決定される予定でした。 しかし,道路特定財源をめぐる論戦のなかで,国会において日本共産党が全国を6つの長大橋でむすぶ海峡横断プロジェクトを繰り返し追及,無謀な計画に批判が高まったことをうけ,国土交通省が修正作業を進めていました。 当初,6つの長大橋について,「長期的視点からの調査の推進,計画の推進等熟度に応じた取組を進める」としていたのを,「長期的視点から取り組む」と修正しました。 「調査の推進」という文言はなくなったものの,プロジェクトそのものは撤回していません。 また,計画は「今後の具体的な道路整備の姿を示す中期的な計画に即して,高規格幹線道路をはじめとした基幹ネットワークの…効率的な整備を推進する」とし,「道路中期計画」に示された,20,000キロ超の高速道路網をつくり続ける計画は変えていません。 国土形成計画は,福田内閣が決めた来年度からの道路特定財源の一般財源化や「中期計画」見直しの方針と根本的に矛盾するものです。 閣議決定された「国土形成計画」からは,東京湾口道路など海峡横断プロジェクトの「調査の推進」という文言が消えました。 日本共産党が,同プロジェクトの調査費に,道路特定財源から計68億円が投入されたことを明らかにし,徹底して批判してきました。3月12日の日本共産党の国会追及に,冬柴鉄三国土交通相は調査の中止を明言。 国土形成計画の閣議決定を延期し,文言を修正せざるを得なくなりました。 しかし,国土形成計画に,海峡横断プロジェクトは依然として残っています。 冬柴国土交通相は,個々の横断道路の調査は行わないが,「広く一般的な技術研究にテーマを限定するなど調査の重点化を図る」(3月28日の記者会見)と述べ,一般的な技術調査は続けるとしています。 政府・財界は,時期が来れば,無謀な大型事業を推進しようと着々と準備しています。 伊勢湾口道路に関する課題検討ワーキンググループでは,昨年1月,国土交通省中部地方整備局東海幹線道路調査事務所長の長田真一氏(当時)が,今後10年は事業着手できないと発言。 その上で,「伊勢湾口道路はやはり消したくない。何とかつなぎながら,いつ火がついても,すぐぱっと飛び出せるようにはしておきたい」と建設に執着する姿勢を示していました。 また政府は,国土形成計画に,「真に必要な道路整備は計画的に進める」と明記。 主要都市間を連絡する高規格道路,地域高規格道路,拠点的な空港・港湾へのアクセス道路など,「道路中期計画」に即して,高速道路ネットワークを整備推進することを盛り込んでいます。 政府は,今秋に「道路中期計画」を見直して閣議決定するとしています。しかし,国土形成計画は,20,000キロ超の高速道路網建設を今後10年間続け,“総額先にありき”の「道路中期計画」策定を示唆したものとなっています。 これでは今後10年間,道路建設に多額の税金が投入されることになります。 福田康夫首相は,5月に道路特定財源の一般財源化を閣議決定していますが,今後も際限ない道路建設を続けると宣言したに等しいものです。福田首相が掲げた,道路特定財源を福祉や環境などに使うという一般財源化の方針を,自ら骨抜きにするものにほかなりません。 ガソリン高騰で今後自動車の利用は減ることが容易に予想できます。そんな中,海峡横断長大橋のために巨額の税金を使ってまで財界の要求に応えるほど,国家財政は潤っているのでしょうか? 国民は海峡横断長大橋よりも,安心できる“医療・福祉そして教育,年金”を望んでいます。 『国民の目線』を謳う福田内閣ですが,やはり『財界の目線』ばかり気にしているようにしか思えません。【参考】海峡横断プロジェクト 日本列島に,東京湾口道路,伊勢湾口道路,紀淡連絡道路,関門海峡道路,豊予海峡道路,島原・天草・長島架橋道路の6本の海峡横断道路を建設しようというもの。 それぞれ総額数兆円の事業費がかかる見込みです。
2008年07月07日
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過去の未払い分の年金も全額払うとした「年金時効特例法」が昨年6月に成立して,1年以上経つにもかかわらず,新たに増額決定された年金総額が,想定の30%にとどまっていることが,社会保険庁のまとめでわかりました。 政府は必要な支払い総額を950億円と推計していましたが,5月末までに支払い決定されたのは約293億円です。 政府・与党は,批判を浴びた年金記録問題対策の大きな柱として同法を宣伝。当時の安倍晋三首相は「この法案が成立したことで,すべて遡って給付が可能になった」などと,いっきに解決できるかのような発言を繰り返していました。 社会保険庁は,増額になる対象者を25万人(支払い総額を950億円)と計算していました。ところが,今年5月末現在での申請は77,137人でした。支払い決定件数は43,123人で推計の17.3%程度。支払い決定額も30.8%でした。 社会保険庁は,時効特例法によって新たに年金が増額して支払われる対象者を,過去の記録などを元に掌握。昨年9月から順次手続き書類を送っていますが,送付数は約22,600人,手続き完了は約18,000人程度にすぎません。 これまで支払い決定された人の平均年齢は75歳,最高齢は101歳でした。 対象者の高齢化はすすんでおり,対応にあたる人員体制強化など抜本的な対策が急務です。【参考】年金時効特例法 年金を受給して以降,新たな年金記録が見つかった場合,いままでの「時効消滅分」を含めて全額支払うとしました。それまでは年金記録訂正によって年金が増額した場合であっても,直近の5年間の年金しか支払われませんでした。
2008年07月06日
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北海道・洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(G8サミット)が2日後に迫りました。 地球温暖化を招く温室効果ガスの排出削減をはじめ,食料や原油の異常な高騰,貧困を削減する国連ミレニアム開発目標の達成など,洞爺湖サミットが取り上げようとする主要問題は世界の人々の生活を左右し,解決が急がれるものです。 地球規模のこれら諸問題でサミット参加8ヶ国は大きな責任を負っており,洞爺湖サミットではその責任を果たすべきです。 参加8ヶ国は世界人口のわずか13%を代表するにすぎません。 しかし,温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量でみると,8ヶ国の排出量合計は世界全体の43%にのぼります。食料・エネルギーの投機問題で主要な元凶であるファンドを運用しているのも多くがこれらの国々の金融機関です。 温室ガス排出量の多い大企業や投機マネーの世界的な活動に規制をかけることが必要です。 温暖化問題では先進国は歴史的責任を負っています。サミット8ヶ国,とくに規制に後ろ向きの姿勢をとるアメリカと日本の政治決断が厳しく問われています。 一方では,これらの問題による被害がG8サミットに参加していないアジアやアフリカなどの貧しい国々に集中的にあらわれている現実があります。 問題解決には国際社会の広範な協力が不可欠です。グローバルな協力を促進するためにも,サミット参加国は狭い「国益」を超えて,その責任に見合う大胆な打開策を打ち出さなければなりません。 温暖化問題の対策は国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)で決められます。京都議定書第一約束期間に続く新たな協定を2009年末のCOP15までに決められるかどうかは,洞爺湖サミットが引き出す結論に大きくかかっています。 「グローバルな課題にはグローバルな回答が必要だ。だからこそ政治意思の喚起に努めている。資源も技術もあるのに,指導者レベルの政治意思が足りない」 洞爺湖サミットへのメッセージとして国連の潘基文(パンギムン)事務総長は京都大学での講演でこう強調しました。 サミットが世界に何を発信できるかで,議長国・日本の責任は大きいものがあります。福田康夫首相は温室効果ガス排出の削減に抵抗する産業界の意向を受けて,日本の中期目標を示せないままにきました。 こうした姿勢では議長国に迫られるリーダーシップを示せないことはいうまでもありません。潘事務総長がとくに日本のリーダーシップを求めたのも当然です。福田首相は抜本的な政策転換を決断すべきです。 今回のサミットは北朝鮮やイランなどの「不拡散」問題も取り上げる予定です。 核兵器拡散の根底には一部の国だけが核兵器を独占する世界の構造があります。サミットに顔をそろえる核兵器保有国は2000年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で自らが加わった核兵器廃絶の「明確な約束」を履行する義務を負っています。 この問題でも大胆な政治決断が求められています。 唯一の被爆国日本で開かれる洞爺湖サミットで,日本政府は核兵器廃絶を参加国に働きかけるべきです。
2008年07月05日
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7月1日,政府は「教育振興基本計画」を閣議決定しました。 これは,「今後10年間を通じて目指すべき教育の姿」を示したうえで,2008年度から2012年度までに政府がとりくむ教育施策を定めたものであり,その大もとには一昨年に制定された改悪教育基本法があります。 そもそも,教育基本法改悪によって制度化された「教育振興基本計画」について,国が一方的にこのような「計画」を策定することは,政府による教育内容への無制限な介入・支配に道をひらくものとして問題がありました。 今回の「計画」は,懸念していたとおりのものと言わざるを得ません。 すなわち,「計画」は,改悪教育基本法にそった人づくりのために新学習指導要領など国の施策の忠実な実施を求め,そのために,全国学力テストなど国の物差しで実施状況をチェックし,改善を命じるという手法を,教育に全面的に取り入れようというものです。 教育の自主性を侵し,子どもたちの柔らかい心を国の定める鋳型に押し込めるこのような計画は,撤回すべきです。 しかも,「計画」は多くの国民や教育関係者らが一致して要求し,文部科学省すら言わざるをえなくなった,教育予算水準のOECD(経済協力開発機構)諸国平均並みへの引き上げや教職員の増員を見送り,「コスト縮減」をかかげました。 これは「教職員10,000人削減計画」など政府の教育予算削減の計画をすすめるものです。 憲法の原則にたてば,政府の教育に関する施策は,何よりも政府が責任を負わなければならない教育条件の整備を中心にすえるべきであり,教育の内容や方法を押し付ける計画は許されません。 当初は2007年度中に策定される予定だった教育振興基本計画は,7月1日まで大幅にずれ込みました。最終盤になって教育予算増や教員増の数値目標を盛り込めるかどうかが,政府内でも大きな議論になったからです。 結局,歳出削減を主張して譲らない財務省に文部科学省が“屈服”し,数値目標を取り下げての決着となりました。 日本の教育予算は対GDP(国内総生産)費で3.5%。先進国の中で最低水準です。文部科学省はこれを,今後10年でOECD(経済協力開発機構)諸国平均の5%まで引き上げる数値目標を,計画に盛り込むことを主張していました。 教職員を25,000人増やすことも掲げていました。 いずれも教育現場が抱える困難の打開を求める世論を反映した要求でしたが,財務省は真っ向から反対。5月中旬には「日本は少子化が進んでおり,教育投資の比率が低いのは当然」などとする“反論文書”まで作成し,押さえ込みを図りました。 決定された計画では,文科省提案の数値目標の明記が見送られたばかりか,「現在の国の財政状況は大変厳しい状況にあり,これまでの歳出改革等の改革努力を継続する必要がある」,「施策の選択と集中的実施を行うとともに,コスト縮減に取り組み,効果的な施策の実施を図る」などの文言が“ダメ押し”的に書き加えられました。 この顛末は,自民党・公明党の連立政権がいかに教育や福祉など国民の暮らしに軸足を置いていないかを改めて鮮明に示しました。 教育条件充実の根拠となる数値目標は削られた一方で,全国学力・体力テストの実施や道徳教材への国庫補助制度の検討など,教育内容・方法にかかわる目標は明確に盛り込まれました。 懸念していましたように,教育振興基本計画の策定には,政府による教育への無制限な介入・支配に道を開く恐れがあることがはっきりしました。 政府による教育統制の強まりを許さない世論と運動を広げることが求められています。
2008年07月04日
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原爆症認定集団訴訟での国の相次ぐ敗訴をうけ,安倍晋三首相(当時)が認定基準見直しを広島で約束してからまもなく1年になります。 福田康夫内閣に代わり,新基準の決定・実施など事態は動き始めましたが,国・厚生労働省はなお裁判で争い続けようとしています。 4月以降,新基準によって,集団訴訟の原告306人の半数余を含む400人以上が認定されました。遠距離被爆や投下後の入市なので放射線の影響はない,疾病や障害は原爆のせいではないとされてきた人びとです。 すでに従来の年間新認定者数を大幅に上回っており,いかに多くの被爆者の訴えが切り捨てられてきたかを示しています。それに加え,新基準でさえ被爆の実態に見合っていないことが,またたく間に証明されました。 5月末の仙台・大阪高裁の判決は,新基準で「積極的認定」の対象となっていない疾病の原告をふくめ全員勝訴し,国は上告を断念しました。先月の長崎地裁判決も,新基準で対象にされていない肝機能障害の原告などについても,認定すべきだと判断しました。 被爆者は国・厚生労働省に,新基準の再見直し,集団訴訟の全面解決に踏み出せと強く求めました。 しかし国は,長崎地裁判決で「積極的認定」対象外の疾病・障害で国が敗訴した原告について,またも控訴したのです。切り捨ての認定行政を根本的に転換しようとする姿勢の欠如にほかなりません。 厚生労働省は新基準の策定にあたり,これまでの判決で厳しく批判された従来の切り捨て審査方針を「改める」としましたが,誤っていたとは認めません。「科学的には間違っていない」と正当化しつづけ,基準の見直しは高齢化する被爆者の「救済のため」といいます。 しかし新基準の「積極的認定」の対象は,これまでのどの判決より厳しく疾病や被爆距離,時間などを線引きしています。 対象外の場合は個別に総合的に判断するとしていますが,長崎判決の控訴は,新たな線引きが切り捨てにつながる危険を示しています。 厚生労働省は肝機能障害についてまだ高裁段階の結論がないことを,控訴の理由にしています。しかし,これまでの地裁判決で肝機能障害の原告はほとんど勝訴し,放射線の影響を否定した判決はありません。 しかもこの問題は,集団訴訟以前に東京高裁で国の敗訴が確定しているのです。 判決も認めるように,原爆の人体への影響は,未解明です。 だからこそ,これまでの判決が指摘しているように,被爆時の状況や行動,その後の健康状況などを全体的,総合的に検討し,疾病や障害の発症,悪化,治癒の遅れについて放射線の影響を否定できなければ認定するようにすべきです。 そうしてこそ「救済」といえます。 多くの原告が病とたたかいながら,「ふたたび被爆者をつくるな」との決意に支えられ,つらい体験を証言し,国・厚生労働省をここまで追いつめてきました。 すでに50人余の原告が亡くなり,これ以上の先延ばしは許されません。 新基準の問題も明白になったもとで,さらに世論,運動を高め全面的解決をはからなければなりません。そのために,核兵器のない世界を求める広範な国民の力をいっそう結集することが必要です。
2008年07月03日
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違法派遣や日雇い派遣事業で大きな批判をあびてきた派遣業界大手のグッドウィルが,全事業の廃止を発表しました。 同社の廃業は厚生労働省が派遣業の許可を取り消す方針を示していることを受けたものです。違法を繰りかえす企業の社会的制裁は当然ですが,この機会に,違法行為が蔓延する労働者派遣の実態そのものにメスを入れることが求められます。 グッドウィル社は,現行派遣法でも禁止されている港湾運送や建設業務への派遣,労災隠しなど,数かずの違法行為を繰り返してきました。これまでも法令違反やトラブルが労働者から指摘されていました。 今年1月には港湾運送などへの違法派遣で全事業所を対象に事業停止命令を受け,この6月24日には東京地検が同社課長ら3人と法人としてのグ社を,二重派遣を禁じた職業安定法違反幇助などでも略式起訴しました。 現行法さえ守ろうとせず違法行為を繰りかえしてきた責任を厳しく問われるのは免れません。 問題なのはグッドウィル社にとどまらず,派遣業界には二重派遣や禁止業種への派遣などが常態化し,大きな社会問題になってきたことです。 派遣企業は,労働者をきちんとした教育もしないまま,危険で過酷な労働現場に違法を承知で送り込んできました。さまざまな名目でピンハネしたり,労働災害を自己責任にさせたり,労働保険・社会保険未加入など法令違反が後を絶ちません。 背景にあるのは派遣業法による派遣事業の導入と,その改悪です。 派遣法は自由に安く使い,いつでも解雇できる使い捨て労働を確保したいという財界の雇用戦略を背景に導入されました。相次いで改悪され,1999年の派遣業種の原則自由化以降は労働者派遣が各業種に広がり,正社員との置き換えがすすみました。 2003年には製造業まで拡大され,派遣労働者は320万人を超え,日雇いなど登録型派遣が70%を占める異常な事態です。 派遣法が抜本改正されない限り,グッドウィル社が廃業に追い込まれても,派遣先で過酷な労働を強いられる派遣労働の実態は改善しません。 政府も日雇い派遣を禁止する法改正を言いだしています。 労働者が派遣会社に登録し,仕事があるときだけ派遣会社から連絡がくるという不安定で身分の保障もない日雇い派遣を直ちに禁止するのはもちろん,派遣は常用型を基本とし,登録型派遣は対象業務を通訳やソフトウエア開発など専門業務に限ることです。 部分的な手直しでなく,派遣で働く労働者を守る方向で派遣法の抜本改正の実現がいまこそ求められます。 同時に,グッドウィル社の廃業で問題になる派遣労働者や同社社員への雇用対策は急務です。同社の登録型労働者は約300万人で,5月の1ヶ月間に働いた派遣労働者数は25,000人に及びます。 従業員も4,300人を超えます。廃業によって,明日の収入の道が絶たれるこうした労働者が路頭に迷うことがないよう万全の対策が求められています。 グッドウィル社と同グループが雇用責任を果たすとともに,政府も派遣先による直接雇用や業界全体による雇用が保障されるよう,真剣な対策を講じていくことがなによりも重要です。
2008年07月02日
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イラク,アフガニスタンの追加戦費確保に躍起になるアメリカ政府は,自国の負担軽減を図るため,在日米軍の駐留経費負担を増やすことなど,日本に対して軍事費の増額をあからさまに要求しています。 アメリカ軍「思いやり予算」特別協定が改定されたことを受け,早くも3年後の改定をにらんで増額を求める構えです。 アメリカ下院外交委員会アジア太平洋地球環境小委員会は6月12日,日米関係についての公聴会を開催。証言したアルビズ副国務次官補(アジア太平洋担当)は「日本政府が(削減した)防衛費の一部を復活させ,また増額することを強く望む」と述べ,日本が軍事費を増額すべきだとの認識を示しました。 アルビズ氏は「思いやり予算」の日米特別協定について3年後の改定を見通し,「駐留経費だけでなく,日本の防衛予算全体についても包括的な見直しをするよう,近く日本政府と真剣な議論に入るつもりだ」と述べました。 日本の軍事費についてアルビズ氏は「国民総生産(GNP)の約1%で推移してきたが,最近はそれも下降しており,軍備の近代化を損なっている」と“不満”を表明。 「日本は世界第2位の経済大国であり,国防に割り当てられる支出は相当規模になる」と増額要求を正当化しました。 アメリカ政府はこの間,各国の軍事費を対GNP比で比較。総額で世界一と指摘されるアメリカの軍事費を相対的に小さく見せる一方,同盟国に対し,軍事費増額を迫る口実にしてきました。 アルビズ氏はまた,自衛隊によるインド洋でのアメリカ艦船などへの給油支援が野党の反対で一時中断したことに言及。「(衆参両院の)ねじれ現象がどれだけ,われわれの政策に問題をもたらすかを示している」と懸念を表明しました。 参議院で野党が過半数を占める日本の政治状況について,「福田内閣,自民党も主要野党の民主党も,すべて海図なき航海をしている」,「日本は今後数年間,政治的に先行き不透明になりそうだ」と指摘。 「これが日本政府の意思決定にも影響するのは確実だ」と述べました。 アメリカ軍「おもいやり予算」特別協定も4月,史上初めて参議院で否決され,憲法の規定で衆議院の議決が優先して決まりました。 アルビズ氏の指摘はそうしたことも念頭に,いっそうの対米協力を迫る立場から,日本の政治状況に懸念を示したものといえます。 これを許してきた自民党政治も問題だが,なんとも厚かましい限りだ。アメリカは「おもいやり予算」を,貰って当たり前だと思っているのでしょうか。そのお金は日本国民が働いて納めている税金だということを忘れてもらっては困ります。 日本はアメリカの“金の小槌”ではありません。こんな暴挙を国民も許してはいけません。
2008年07月01日
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