サカナ男爵の本とゲームにおぼれて

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2024.05.05
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カテゴリ: 小説・ノベル
まいまいつぶろのご紹介です。
過酷な運命を背負った次期将軍と、彼に仕える青年の物語です。


まいまいつぶろ [ 村木 嵐 ]

※本記事はネタバレを含みます。
【あらすじ】
第九代将軍徳川家重(幼名・長福丸)。
彼は生まれながらに口がまわらず、右半身が不自由でした。
さらに尿漏れのため歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(かたつむり)と陰口を言われていました。

ある日、下級旗本の子息である大岡忠光(幼名・兵庫)は家重の言葉が理解できることが判明しました。
そこで忠光は家重に仕え、彼の口の代わりになりました。

ですが誰が将軍になるかで幕府内の力関係も変わってきます。
家重は将軍になれないだろうと思っていた者たちからすれば、忠光は目障りな存在です。
様々な思惑と陰謀が渦巻く中、主従の運命やいかに?


【歴史の人物も登場】
本作は史実をもとにした作品だけに、教科書に載っている人物も登場します。
そうした人物が動いてしゃべっているのを見るのも面白いですね。

徳川吉宗
家重の父にして第八代将軍。いわゆる暴れん坊将軍ですね。
将軍としての立場と息子への情の間で揺れる姿が描かれています。
引退する際、家重の障害になりそうな人物を軒並み始末する辣腕ぶりはさすが将軍ですね。


大岡忠相
名奉行大岡越前ですね。忠光の遠縁にあたります。
吉宗とともに改革の真っ最中であったため、最初は忠光が不手際を起こさないかとヒヤヒヤしていました。
それが二人の絆を見るにつれて、次第に応援するようになります。
こうした人間臭い面が描かれているのが面白いですね。


比宮
家重の妻です。
結婚当初は家重の障がいにとまどい、結婚を後悔しました。
やがて家重の思いやりや知性の高さに気づき、愛情を深めていきます。
家重の子を死産してしまったうえに産後の肥立ちが悪く、世を去ってしまうのが寂しいですね。
彼女の死後家重の落胆ぶりがその愛の深さを感じさせました。



比宮の従者であり、友人のような関係でもあります。
自らの死を悟った比宮より、自分に代わって家重の子を産んで欲しいと頼まれます。
それは次々期将軍候補を産むことで、家重の次期将軍の立場を確固としたものにしたいという想いでした。
最初は比宮に対する友情の念から家重の子を産みましたが、やがて我が子を将軍にしたいと思うようになっていきます。
こうした心の動きがやや寂しいようであり、人間らしいとも言えるのでしょうね。


田沼意次
歴史の教科書でも有名ですね。
吉宗の頃に取り立てられ、家重に仕えます。
若き切れ者として描かれていて、実在した人間としての息遣いを感じますね。


【壮大な溜め】
本作は跡継ぎ問題や政策など日々の様々な事柄に取り組む家重と、それを支える忠光の姿が描かれています。

やがて忠光も歳をとり、病に倒れたのをきっかけにお役目を退くことになりました。
家重の忠光の別れのシーンは特に印象に残りました。

それまでは家重の言葉を忠光が伝えていましたが、二人きりのこのシーンでは、普通に会話するのと同じ書き方で表現していました。
そこまで読み進めていると、二人が積もる思い出を話しているだけなのに感慨深いものがありました。

個人的には、本作はこのシーンに至るまでの壮大な振りなのではないかと思っています。


【大きな殻を背負い、まいまいのごとく】
本作のような物語は「運命に立ち向かった」とか「苦難を乗り越えて」などと言われることが多いかと思います。
ですが家重と忠光は特に立ち向かってもいないし乗り越えてもいません。
ひたすら日々を生き、職務を全うしていました。

思うにならない体で生きて行くその姿は、大きな殻を背負いゆっくり進むまいまいのようでありました。
障がいを治そうとするでもなく、克服しようとするでもなく、背負ったまま進む。
だからこそ家重は「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」とまで言えたのではないでしょうか。

過酷な運命に踏みつぶされることもなく、まいまいのごとく人生を生き抜いた主従と、その二人を取り巻く人間模様が味わい深い小説でした。





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最終更新日  2024.05.05 20:00:07
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