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一方で、別れられない彼氏からは毎晩電話が入っていた。取るときもあれば、もう出ないようにしているときもあった。こうやって少しづつ距離を置いていこう。そうすれば彼も私を嫌いになって、そのまま切れることができるのかもしれない、そう思っていた。ある夜。先輩との逢瀬から自宅に戻ったとき、自分の駐車場に見慣れた車が停まっているのに気がついた。・・彼だ。まずい、と思った。正直、その時間は夜中の3時。まさかこの時間に彼がいるなんて。私が車を止めると、彼の車のルームランプが付いて、彼が降りてきた。ものすごい形相で。私は車の中から引きずり出された。すごい力で腕を掴まれて引っ張られた。「こんな時間にどこに行ってた?? え??言ってみろよ!!!」「・・・・・」「ちくしょう、お前の車ボコボコに蹴ってやりたいよ。」「・・ごめんなさい」「俺がどんな気持ちでお前に電話してたと思う? ずっと車の中で待って。 なのにお前は他の男と・・・」殴られる、と思った。車もボコボコにされる、と思った。でも、そのとき私の腕を握りしめる力がフッと抜け、彼がその場にしゃがみこんでしまった。彼が泣き出してしまったのだ。彼が泣いたのは、弟さんが事故で亡くなったときしか見たことがない。弟さんが事故で亡くなった、あの時も私のジンクスは生きていたのだけれど。このまま彼を追い返すことなんてできなかった。とりあえず、自宅につれて帰り、客間で一晩かけて話をした。どうしても、私は彼の元には戻れない・・と。それでも彼は自分のところに帰ってくるまで待つ・・と。そんなにまでして私を許そうとする彼を前にしながらも、私は先輩のことしか考えられなかった。どうにかして別れたい。結局、この彼ときちんと別れられたのは1年先の話になる。それまでずるずる・・と別れることは叶わなかった。
2007.09.27
私はまだ頭の中の整理がつかずにいた。私は先輩に抱きしめられ、たった今キスをした。自分が10歳の頃からずっと片思いしてきた相手。追いかけても追いかけても手の届かない、絶対叶わないと思っていた遠い存在の人。その人の鼓動が自分の耳から直接聞こえてくる。こんなに近く・・こんなに近く。「・・大丈夫?」先輩が顔を覗き込んできた。顔を上げられるわけがない。まるで、中学生にでも戻ってしまったような気がした。25歳にもなった大の大人が、何もできないでいる。ましてや、キスだって初めてじゃないのに。相手が違うだけでこんなにも余裕がなくなってしまう・・。「おーい。」先輩がまた茶化す。私もようやく息をはくことができた。それくらい気が動転してしまっていたみたい。やっと二人の体が離れた。でも、手は握ったまま離さない。そのまま、後部座席で二人並んで他愛もない話をした。車内の時計が帰る時間を示している。もう、そろそろ戻らないと。「・・帰ろうか。」「はい。」こんなときほど時間が経つのはどうしてこんなに早いんだろう。私は運転席に戻ろうとした。でも先輩が・・私の左手を離そうとしない。「もう一度、キスしていい?」先輩の言葉に私は横に首を振った。「何で?」「私、さっきもう先輩の首に口があたってしまったんです。 それで、1回です。もう・・十分。」これ以上ドキドキが止まらなかったら、もう心臓が爆発してしまう。「・・それじゃダメでしょ。」そのまま左手をぐいと引き寄せられ、また唇を重ねられた。もう・・ダメだ。私はこのひとからもう離れられない・・。私は完全に先輩にのめりこんで行った。
2007.09.26
車のフロントガラスの前は、真っ暗な海。誰もいない、波の音だけが静かに聞こえている。明かりはオーディオのイコライザーのみ。青い光が車内をぼんやり青白く映している。「おいで。」後部座席に移った2人はどちらからともなく腕を広げた。私は先輩の右の首元に自分の顔を当てて、そのまま、先輩の背中に両腕を回した。先輩の胸の温かさが私をすぅ~っと温めていく。心地よい居場所。そのまま先輩が自分の体を後ろに少し傾けた。正確に言うと、私の体ごと。そうして、私は先輩に体をもたれさせる形のまま二人は言葉を発することなく少し時間が流れた。「先輩、重いよね、ごめんねありがとう。」そう言って先輩の耳元で私が口を開いたとき、先輩が顔をクッと私に傾けたので、私の口が先輩の耳の下あたりにほんの少し触れてしまった。!!何、今の。もしかして、今の!!ずっとずっと片思いしてきた私の先輩。その先輩の首元に私は口をあててしまった。その途端、自分がどんな大胆なことをしているか、今更だけど恥ずかしさがかぁぁぁっとこみ上げてきて心臓がドキドキしてきた。バッ!と体を起こそうとした。でも変に体が傾いてしまっていて、腕が先輩の後ろに回ってるから重心が戻せなくて起き上がれない。「・・せんぱ、」腕をつっぱってなんとか体の体勢を元に戻そうとしたそのとき先輩の体が少し離れた。顔を両手でそっと挟まれた・・と同時に私は先輩と唇を重ねていた。!!その瞬間全身が一気に温度が上昇した。鼻の下の筋肉がガチガチになるんじゃないかと思う位緊張のあまり硬直した。その時間、おそらく2、3秒・・。「ごめんッ!」そう言って先輩がまた私をぎゅっと抱きしめてくれた。私は先輩の腕の中でただ首を横に振るのが精一杯。涙がポロポロ出てきてしまって、言葉が出てこない。その様子を見て先輩がまたぎゅっとしてくれた。「ごめんな、ごめんな」と謝りながら。私達の初めてのキスだった。
2007.09.25
それから逢瀬を重ねる度、私達は互いの距離をぐんと近寄らせた。私達のコミュニケーションの中に「Hug」が入ったのだ。抱きしめる・・というよりは、軽くぎゅっとする、そんな感じ。会って、話して、別れるときに、最後にちょっとだけ先輩に「Hug」してもらえた。先輩はまだ少し抵抗がある様子だったけれど、私は幸せいっぱいだった。私が職場が休みの日。先輩の仕事が終わる時間に合わせて私は外出した。今日は、夜、二人で夜光虫を見に行く約束をしていた。ちょっと車を走らせたところにある、とある海岸。サーファーの客に穴場のスポットを聞いていたのだった。「今日は満月だから見られるといいな。」「台風が通った後とかの方がよく見えるらしいよ?」携帯でそんな連絡をとりながら、私はコンビニで小さなケーキを2個買って、待ち合わせの場所に向かった。先輩は10分くらい遅れて海岸のパーキングにやってきた。「あれ?先輩、会社帰りじゃないの?」車から降りてきた先輩はメカニックのツナギの姿ではなく、Tシャツにジーンズ姿だった。「着替えてきたよ。ツナギだと汚れてるしね。」そう言って、先輩が私の車の助手席に乗り込んできた。最近のデートはもっぱら車の中だ。音楽をかけ、他愛もない話をして二人で時間を過ごす。お互いが車が好きだから、車の話や、職場の話、中学の部活の頃の話、話題には事欠かなかった。多分本人は気づいていないけれど、高校生時代の話になると先輩は少し口をつぐむ。卒業アルバムを見せた時なんかは押し黙ってしまったほどだ。何かトラウマにでもなっているのだろうか。だから、私もなるべくその頃の話は避けるようにしていた。夜光虫はその日は見ることができなかった。雲が多くて、月光があまり見られなかったのだった。「ざんねーん。また次回かな?」そういう先輩に私はさっきのミニケーキを差し出した。「ん?何?買って来てくれたの?」「えーと、先輩の誕生日、1ヶ月前に終わっちゃったけど、 1ヶ月遅れで26歳おめでと~う♪」先輩の誕生日はもう過ぎてしまっていたけれど、何かの形でお祝いをしたかった。コンビニのケーキじゃ何も色気もないけれど・・。それでも二人で小さなケーキを食べた。食べるのに2分もかからなかった。「ありがとな。」「はい。」そう返事した私に先輩が両腕を広げてくれた。「おいで」「え・・・」先輩から腕を開いてくれたのは初めてだった。突然のことだけにどうしていいのか分からない。私は運転席にいて、ハンドルが邪魔して先輩のところまで届かない・・。「後ろの席なら、サイド(サイドブレーキ)もないから大丈夫かな。 後ろにおいで。」言われるがまま、私は先輩に連れられて後部座席に移動した。
2007.09.14
久しぶりに先輩に会うことになった。イタリア料理の職場はCLOSEが10時。仕事の帰りだから夜10時半くらいになってしまう。それでも先輩は待ち合わせの場所で、車の外で待っていてくれた。「久しぶり。」先輩にそう言われて返す言葉がない。「ウソウソ、ごめん、怒った?」先輩はそう笑ってくれるけど、それは私のほうが言いたい台詞だ。連日連夜の元彼からの電話で攻められ、正直言えばかなり精神的にも参っていた。でも、自分で選んだ道。先輩には迷惑をかけられない。先輩は私が守る。そう自分で決めたことだけれど、でも、心の中はスカスカの状態だった。満たされたい・・・おかしな言い方だけれど、私は幼少期の頃より、自分の親に頭をなでてもらうといった感覚がなかった。彼氏と呼べる存在ができて、男の人の腕でぎゅっと包んでもらうとそこに自分の居場所を再確認できるようで、頭をなでてもらえると心が和み、胸の中で落ち着きを感じていた。そうやって今まで、自分のバランスを保てることができていたけれど、今の私にはそんな胸の中に飛び込ませてくれる対象がいない。今まで憧れていた先輩にはそんなこと思っても見なかった。でも・・・このスカスカの自分を何とかして欲しかった。先輩との時間がどんどん過ぎていく。楽しいおしゃべりも1時間が限界。私も家に戻らなければいけない。「あ、あの・・・」もう、我慢が限界だった。「お願いがあります・・・。」「ん?何?言ってみて?」私は・・何も言わず、先輩の正面に抱きついた!「ちょっ・・、何するんだよ!!」びっくりして一瞬私を離そうとした先輩。それでもその胸の中に、私は飛び込んだ。「ごめんなさいッ、1分でいいんで、このままでいさせて」人気のない駐車場。私は、大好きな先輩の胸の中ですうと呼吸した。あったかい先輩の胸。まわりは本当に静かで、ただ心臓の音だけがダイレクトに私の耳から入ってくる。乾いた木に水が浸透していくかのように、私の中にどんどんと暖かいものが流れ込んでくる。満たされる。満たされていく。「・・・充電完了。」そういうと私はあわてて先輩から離れた。「なんなんだよ、一体・・・」先輩の顔が真っ赤だった。もちろんそれ以上に赤かったのは私だけれど。この歳になって、まだ二人はプラトニックだった。手しかつないだことがなかったふたり。年齢は重ねていても心の中はまだ15歳と16歳の淡い恋心のままだったのだ。
2007.09.13
「お前だけ幸せになんて絶対にしない。 お前も相手もメチャクチャにしてやる!!!」聞いたことのないような彼氏の声に私は言葉を飲んだ。友達は同じ土俵の上に立たせて男2人で話し合いをさせたらいいと言った。彼氏と先輩の間でフラフラしている優柔不断な私。どちらにもいい顔をして、2人が直接顔を合わせてバケの皮がはがれるのを恐れてるの・・??「・・ちょ、ちょっと待って。」こういうときのオンナって本当にずるいというか、神経が図太いというか。「・・何のこと?ああ、あの初恋の人? あの人はもう違う営業所に行っちゃったし、全然関係ない。 うん、関係ない。 私自身が結婚に対して自信がなくなっちゃった、っていうのが本音。」さらりと嘘がつけた。私は全然動じてない。冷静に言ったつもり。でも彼氏はまだまだ食い下がる。「お前、この場に及んでまだそんなこと言うの? 正直に言えよ。もうこっちはわかってるんだから。」「じゃあ、一体、私の何を分かってるの?」「いいところもわるいところもみんな知ってるさ。 だから、お前の心変わりも俺にはわかるんだって。」「わかったところで、どうするの? 本当にごめんなさい。あなたの元には戻れません。」・・言ってる自分が情けなかった。彼氏は本当に何も悪くない。私と恋愛をして「初めて彼女ができたんだ」と話してくれた。本当に惜しみなく愛情を与えてくれた。そんな何も非がない彼氏に対して、本当によくもこんな態度が取れるものだ・・。でも私の中のこたえはひとつだった。世界中を敵に回しても、私は先輩と生きて行きたい。それはたとえ神様を敵に回しても・・だ。先輩は私が守る。どんなことがあっても先輩の人生に傷をつけちゃいけない。この頃の私はひとりよがりだったのかもしれない。それでも愛する人と愛してくれる人の間でまだ私はさまようしかなかった。
2007.09.01
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