異論・極論・直言――マスコミが言わない解説、提言
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(英国民は愚かだと言っている日経の記者) 英国のEU離脱について、日本の新聞、テレビは大きく報道しているが、この中で目につくのが、日経新聞の記者、編集委員の新聞紙上での原稿、テレビに出てのコメントであり、民意、民主主義を全く理解せず、冒涜とも言える発言、原稿のオンパレードである。 EU離脱が決まった日の翌日の朝刊で、日経の編集委員は「国民投票はその時の勢いに流されやすく危険である。重要な問題は国民投票ではなく、国会などで議員が時間をかけて議論し、決断すべきである」という趣旨の原稿を掲載した。 書いた編集委員もさることながら、この記事を掲載することを了解した編集長も含めて、日経の記者、新聞社は「民主主義とは何か」「民意とは何か」ということが全くわかっておらず、「国民はバカだから、間違った判断をする。だから、良識のある議員が議論して、重要な問題は結論を出し、国民はそれに従うべきだ」と国民蔑視、国民は愚かだと上から目線で言っていることに全く気が付いていない。信じられない暴論とも言える記事である。 テレビ東京には多くの日経の編集委員クラスが出てコメントをしているが、ある人間は、「英国人は歴史に残る間違いをした」「残留がほぼ確定ということで、残留派の多くの人が投票に行かず、こんなひどい結果となってしまった」というような発言をした。7割以上の人が投票に行っているのに、それを無視してこんなことを言っている。そして、彼に限らず、テレビに出ている日経の記者は多かれ少なかれ、同じような主義の発言をしている。(民主主義とは主権在民であり、重要なことは国民が決めることである) オウム真理教のサリン事件の時、旧帝大卒の教団幹部が「貧しい人間はこの世の中に生きていても仕方がないので、ポア(殺してあげる)ことが本人のためであり、教団はその人の救済という意味で、サリンを撒いた」という趣旨の発言した。 この時、筆者は旧大蔵官僚(現在の財務省)の数人の若手幹部とこの件について、話をした。筆者と顔なじみで、気安いいということもあったのだろうが、これらの官僚は真顔でこう言った。「オウムの幹部の言っていることは理解できます。国民はバカだから、我々大蔵官僚が重要な事は考え、決めて、国民はそれに従ってもらうのが良いのです」 日経の記者も大蔵官僚も、民主主義、民意というのが全くわかっていない。もう一度、ゼロから民主主義を勉強し直してもらいたいとさえ思う。 民主主義は主権者である国民が、その多数の意見でものごとを決めて行くことである。その決定が時には間違っているかもしれない。でも、たとて間違いでも、決定は国民がするのである。そして、もし間違った時には、その痛み、不都合を甘受し、次から同じ間違いをしないように学習していくのが民主主義である。 良く言われることだが、「優秀な独裁者がものごとを判断し、決定し、実行に移していくのが一番効率的である。しかし、独裁者は例え、登場した時は優秀で優れた判断、行動をしても権力の座は甘美で、やがて腐敗し、堕落し、国や国民を間違った方向に引っ張って行き、時には国が破滅するようなことになるので、例え、非効率でも、次善の策として民主主義を近代国家では採用しているのだ」である。この民主主義の原理原則がまったくわかっていないのが、日経の記者達である。(多くの問題を抱えるEUという視点が欠如) そも、今回、なぜ、過半数の国民がEU離脱を選択したのかという基本的な事について、日経の記者は全く理解していないし、ほとんど分析をしていない。 英国民を今回の結論を出した理由を一言で言えば、EUについての反発、拒否感である。 日経の記者は「EUは素晴らしいもの、向かうべき理想」」という前提で話をしている。しかし、イギリスだけでなく、欧州の他の加盟国の国民の間に、EUに対する反発、拒否感が多く存在する。 その最大の理由は、「自国の議会なら、国民が選挙権を持って、自分たちの意思で議員を選び、その選んだ議員が議論して決めることは、自分たちが選んだ議員なのだから、多少異議はあっても、問題があれば、次の選挙で落選させればよい。でも、EUは自分たちが選んだのではない議員やEU官僚が勝手の法律や規則を決め、それを加盟国に押し付けて来る。我々には選挙権も、拒否権もない。これはおかしい」ということである。 EUに多くの問題があり、やがて、EUは瓦解するということを言っている学者や識者は少なからず存在する。彼らの主張の第一は上記の、民意を反映していなくて、大企業、ドイツ、大手金融機関、上位5%の富裕層にとって良く、一般国民には必ずしもハッピーでないことを決め、実行しているということである。 日経の記者はこうした本などを読んでいないのだろうか。もし、読んでいないで、「英国民は間違った判断をした」というような発言をしているとすれば、あまりに不勉強だし、記者失格である。 読んでいて、そうした発言をしているのなら、こうした意見に全く触れずにコメントしていること自体、記者としてあってはならない行動である。(記者のほとんどが富裕層出身だから、一般国民を理解できないのか) 今、大手マスコミの記者になろうとすると、上位の大学を出ていないとまずなれない。そして、上位の大学に入るには、子供の時から塾に通い、勉強をして、有名中高に入らないと難しい。 だから、日本の大学の学生の親の年収を調べると、東大が親の平均年収は1500万を越えていて一番で、京大が二番という結果となり、早慶や関西の関学、同志社の学生の親の平均年収は1000万を越えている。関西の立命館でも親の平均年収は1000万を越えているという。 こうした裕福な家庭で育ち、上位大学に入って記者になった人間は、富裕層の人間である。だから、国民の痛み、苦しみが理解できないのである。 こう考えないと、今回の日経の記者たちの記事やコメントは全く理解不能である。 消費税の導入についても、日経の記者、編集委員が書く記事はいつも、財務省べったりのもので、「消費税は必要」の一色である。これも、消費税が一般国民にどういう影響を与えているかを理解できない富裕層だからこそ、そういう論調になるのかとさえ感じさせる。
2016.06.28
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