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ペール・フライ「バグダッド・スキャンダル」元町映画館no6

「初めて見る顔ですが、男前ですなあ。」 彼は転職を希望しているらしく、夢は国連外交官のようです。5歳の時に死に別れた父親の仕事を追いかけているらしく、いわゆる 「ビルドゥングス ロマン」 の始まりのようです。 「マイケル・サリバン(テオ・ジェームズ)の修業時代」 の始まりというわけです。
「うーん、どこかで見たことがあるなあ。」 調べてみると映画 「ガンジー」 の、 ガンジー でした。下の写真の人ですね。いやはや、本当に同じ俳優ですかね?(笑)
彼
は サダム・フセイン
の イラク
が クウェートに侵攻
したことい対する経済制裁下での、国連による人道支援を取り仕切っている男という役柄です。で、200億ドルという大金が動く、そのプロジェクトの特別補佐官としてイラクへ向かうのが、マイケルの初仕事でした。
写真をよーくご覧ください。この方がなんと、あの ジャクリーン・ビセット
だとおわかりでしょうか。もちろん現在の 74歳のお顔
です。ボクとか、学生時代でした。映画館に通っていたあの頃、だから1970年代ですが、そのころにはセクシー・アイドル女優だった、あの人です。 スティーブ・マックイーン
の主演した 「ブリット」
のヒロインだったあの人です。下の写真の方ですね。まあ、ぼく自身は格別あこがれたわけではないのですが、人気があったことは事実です。 うーん、
今の人は知らんか?
で、映画に戻ります。 マイケル
が出会う、もう一人の女性が ナシーム
という現地通訳です。実は クルド人の反フセイン闘争
のスパイです。
ベルシム・ビルギン
という女優だそうですが、この人は知りませんでした。 マイケル をだましたのは 「ガンジー」 か、 「ジャクリーン・ビセット」 か、はたまた 「クルド人の女スパイ」 か。 そのあたりのサスペンスが、なかなか面白いし、筋運びもオーソドックスです。錯綜した現実の中、成長途上の青年のピュアな失恋も悪くなかったです。にもかかわらず、スクリーンが暗くなって明かりが点灯したときに、思わずため息が出た。
「あーあっ、国連も金まみれかよ。 チェイニー が宝の山を見つける前哨戦を見せられてもなあ。」 「インチキなイラク侵攻」 シリーズ第三弾でした。結果、アメリカも国連も、尻馬に乗ったどこかの国も、どいつもこいつもカスという結論でした。金に群がった百何十社の中にどこかの国の企業も名を連ねているに違いないし、気分が悪くなるような話がもっとあるのでしょうね。
「センセー!」 ママチャリに乗った、ちょっと見はおばちゃんふうの女性が手を振っています。こんなところで、誰かに手を振ってもらうなんてめったにないことです。ちょっとたじろいで、ジーっと様子をうかがっていて、ようやく思い出しました。神戸の地震の前の年に高校を卒業して、東京に進学した女性です。
「おー、シッカリ者のゆみこさん。こんなとこで何してんねん?」 路上で小一時間、ウダウダ、ウダウダ、立ち話でした。今買ってきたばかりという 「スイミー牛乳店」 のヨーグルトまでいただいて、
「トーキョー行って、ホラ、マキユウスケ、気流の鳴る音、センセーが教えてくれた。んで、文化人類学が面白そうで、オキナワ、ホントは、イシガキやけど、行って、今は、そこの小さな出版社。クトウテンっていうとこにおるの。」
またね! を約束して別れました。
「今日は映画みてよかった。元号イヤで、道かえてよかった。こういう日もある。捨てたもんやない。」
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