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目を覚ますとわたしは考える。まだ強制収容所にいるのか? 106歳 の老人が、夜中にふと目を覚ましてそう思う。収容所から解放されて70年以上もの月日が過ぎた今でもです。
ヒットラーにしてやられた。 兄とともに逮捕され、収容所での死の宣告を語る老人は、あたかも一人芝居を演じている名優のような深いまなざしをカメラに向けています。ふと、話すことをやめた老人が見つめているのは、生きのびることが 「飢え」 であった自分の姿のようです。
人はすぐには死なない。
自分が死ぬのを見ながらゆっくり死ぬんだ。
「おまえたちは煙突の煙になってここを出ていく」
「死」
を見つめ続けてきた人生が、そこに座って、ぼくを見ていました。
「何百万人という死者」、「奇跡的に生き残った生存者の警鐘」、「人類史上最大の悪」
、言葉が消えて、一人の 「人間」
が座っていました。暗くなった映画館の椅子に、ボンヤリ座り込んで、彼の 生と死
を思いました。
彼は 2019年 、 「死」を見つめ終えた そうです。
「ホロコースト証言シリーズ」
という企画で生まれた作品だそうです。見ようと思っていたシリーズ 第1作 「ゲッペルスと私」
を見損ねてしまったのですが、今日見た 第2作
の 「ユダヤ人の私」
には圧倒されました。ヨーロッパ映画の過去に対する向かい合い方に感動です。 企画者と監督たち
に 拍手!
でした。
先日、 「東京大空襲」(岩波新書)
の 早乙女勝元さん
の訃報に接しましたが、1932年生まれの方が90歳です。もう十年もすれば戦争を体験した人たちがいなくなる時代になるわけですが、この作品から感じられる危機感を、日本の社会ではあまり感じたことはありません。軽佻浮薄を絵にかいたようなことを平気で口走る輩に、イイネ、イイネと付和雷同している風潮が世を覆っている息苦しさ、何とかならないのでしょうかねえ・・・・。
監督
クリスティアン・クレーネス
フロリアン・バイゲンザマー
クリスティアン・ケルマー
ローランド・シュロットホーファー
製作
クリスティアン・クレーネス
フロリアン・バイゲンザマー
脚本
フロリアン・バイゲンザマー
クリスティアン・クレーネス
ローランド・シュロットホーファー
撮影
クリスティアン・ケルマー
編集
クリスティアン・ケルマー
キャスト
マルコ・ファインゴルト
2020年・114分・オーストリア
原題「Ein judisches Leben」「A JEWISH LIFE」
2022・05・10-no67・元町映画館no120
フレディ・M・ムーラー「山の焚火」元町映… 2020.12.22
ニコラウス・ライトナー「17歳のウィーン… 2020.08.03