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2025.07.02
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​五百旗頭幸男「能登デモクラシー」元町映画館​
​​​​​​​​  2025年 の6月の半ばから 元町映画館 でやっていた 能登半島の穴水 という町が舞台のドキュメンタリィーのようです。富山湾側の港町ですね。 2007年、2024年、 2度の 大きな地震の被災地 ということもあって​
​​「見なくちゃ!」​​
​と、上映プログラムが午後になるのを待っていました。 五百旗頭幸男 という 監督 「能登デモクラシー」 です。
 見ました。​
​しみじみと胸うたれました。 ​​
 ​見終えて、浮かんでくるのはこのシーンです。​​​​​​​​
 海の上にしつらえてあるのは ボラ待ち櫓 という見張り台だそうです。で、海の向こうに見えるのは 立山連峰 ですね。この風景を望む港町が 穴水 だそうです。
 カメラは、手書きで 「紡ぐ」 という新聞を発行し続けている 滝井元之 という方を追いかけます。地元の中学校で数学の教員をしていた方だということが分かってきて、一気に引き込まれました。
 映画の前半を見ていて、 五百旗頭幸男監督 がこの作品を撮り始めたのは、 過疎と高齢化 2007年の震災 もあって 限界集落化が進行 し、惰性、因習、忖度が蔓延する田舎町に​
​「デモクラシーは可能か?」 ​​
​ という問題意識に促されてのことだったのだろうと感じました。
カメラの視線 は、町からは離れた山奥の村に暮らしながら、町の行政や人々の暮らしについて、文字通り手書きで問いかけていく新聞を発行し続けている 滝井元之さん とその 奥さん 暮らし に注がれていきます。
 離れて50年たちますが、ボク自身、但馬の田舎町の育ちです。そのうえ、ボクは都会に出ましたが、教員という仕事でした。カメラが追う 滝井さん の行動も、 ​ご夫妻の暮らしぶり​ も​
​「わかるなあ・・・」​​
​という印象でした。
​​ で、 2024年の能登半島地震 です。映画を撮り始めたときには予測できないはずの大災害です。見ているこちらも驚きましたが、 監督 も驚いたでしょうね。​​
​「こわかった!真っ暗で、この柱にしがみついてたの。来てくれたのね、ありがとう!」​
​ 倒れたタンス、書棚、老人二人ではとても片づけられそうもない散乱した室内から、玄関のカメラに向かって泣くように挨拶なさる 奥様の姿 が忘れられなくなりそうです。​
 倒壊した家々、崩れ落ちた室内、倒れた巨木、土砂崩れ、パイプがちぎれた水道、仮設住宅。
​そこに、新聞を配り続け、閉じこもっている老人たちに話しかけて回る 滝井さん がいました。​
​​ボクが神戸の震災の経験者ですから、そう思ったのかもしれませんが、このあたりから、映画は、現代的な社会常識やルールに無自覚な因習社会に対する 第三者的な告発の視点 から、限界集落を生きる人々が、 互いに「生きる歓び」を支えあう姿への共感の眼差 しへと変わり始めたようです。​​
​​​​​  映画 は、 監督自身 行政の責任者=町長 に対して無自覚を問い詰める厳しい発言をするシーンがあって、地震で揺れたせいでしょうか、たくさん実った キウイ に​
​​「来年も、たくさん成ってね(笑)」​​
 ​と呼びかけながら、 ご夫婦 で収穫されるシーンが重ねられるように終わります。​​​​​
​​​​​  デモクラシーの「希望」 を描き続けようとする 五百旗頭幸男監督 の誠実な心を感じました。 拍手! ですね。まあ、それにしても、 滝井さんご夫妻 、お元気で暮らしていただきたいですね。 拍手! でした。​​​​​

監督 五百旗頭幸男
プロデューサー 木下敦子
撮影 和田光弘  西田豊和
美術 高倉園美
編集 西田豊和
音楽 岩本圭介
題字 高倉園美

2025年・101分・G・日本
2025・07・01・no099・元町映画館no307





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最終更新日  2025.07.02 15:20:05
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