ゴジラ老人シマクマ君の日々

ゴジラ老人シマクマ君の日々

PR

プロフィール

シマクマ君

シマクマ君

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(2)

読書案内「日本語・教育」

(22)

週刊マンガ便「コミック」

(79)

演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝

(36)

徘徊日記「日帰りでお出かけ」

(77)

演劇・芸能「劇場」でお昼寝

(5)

映画「元町映画館」でお昼寝

(130)

映画「ちょっと遠くの映画館」でお昼寝

(62)

映画「シネリーブル神戸」でお昼寝

(120)

読書案内「映画館で出会った本」

(20)

読書案内「翻訳小説・詩・他」

(52)

読書案内「漱石・鴎外・露伴・龍之介・百閒・その他」

(25)

徘徊日記「垂水・舞子・明石」あたり

(54)

読書案内「医者や科学者の仕事、まあ科学一般」

(29)

読書案内「現代の作家」

(103)

徘徊日記「お泊りでお出かけ」

(76)

徘徊日記「神戸・元町・三宮」あたり

(102)

読書案内「絵本・児童文学」=チビラ君たちへ

(51)

読書案内「社会・歴史・哲学・思想」

(86)

読書案内 「芸術:音楽・美術・写真・装幀 他」

(33)

読書案内「近・現代詩歌」

(58)

徘徊「港めぐり」

(4)

バカ猫 百態

(23)

読書案内「橋本治・加藤典洋・内田樹・高橋源一郎・他」

(21)

読書案内「水俣・アフガニスタン 石牟礼道子・渡辺京二・中村哲 他」

(18)

読書案内「鶴見俊輔・黒川創・岡部伊都子・小田実 べ平連・思想の科学あたり」

(15)

映画「OSミント・ハーバーランド」でお昼寝

(3)

映画「こたつシネマ」でお昼寝

(13)

映画「パルシネマ」でお昼寝

(32)

読書案内「昭和の文学」

(25)

読書案内「BookCoverChallenge」2020・05

(23)

読書案内「くいしんぼう」

(9)

映画「Cinema Kobe」でお昼寝

(18)

週刊マンガ便「ちばてつや・ちばあきお」

(9)

週刊マンガ便「石塚真一・浦沢直樹・ハロルド作石」

(40)

週刊マンガ便「鈴ノ木ユウ・野田サトル」

(22)

ベランダだより

(167)

徘徊日記 団地界隈

(138)

徘徊日記 兵庫区・長田区あたり

(27)

徘徊日記 須磨区あたり

(34)

徘徊日記 西区・北区あたり

(11)

徘徊日記 灘区・東灘区あたり

(46)

徘徊日記 美術館・博物館・Etc

(5)

週刊マンガ便「吉田秋生・高野文子・やまだ紫」

(7)

徘徊日記 芦屋・西宮あたり

(12)

読書案内「大江健三郎・司修・井上ひさし・開高健 他」

(14)

読書案内「古井由吉・後藤明生・他 内向の世代あたり」

(3)

読書案内「谷川俊太郎・大岡信 あたり」

(21)

読書案内「啄木・白秋・晶子 あたり」

(4)

読書案内「丸谷才一・和田誠・池澤夏樹」

(11)

読書案内「吉本隆明・鮎川信夫・黒田三郎・荒地あたり」

(22)

週刊マンガ便 「松本大洋」・「山川直人」

(13)

読書案内「リービ英雄・多和田葉子・カズオイシグロ」国境を越えて

(8)

読書案内「村上春樹・川上未映子」

(17)

映画・読書案内 パレスチナ・中東

(19)

読書案内「近代詩 賢治・中也・光太郎 あたり」

(7)

映画 韓国の監督

(25)

映画 香港・中国・台湾の監督

(40)

アニメ映画

(24)

映画 日本の監督 ア行・カ行・サ行 是枝・黒沢

(55)

映画 日本の監督 タ行・ナ行・ハ行 鄭

(25)

映画 日本の監督 マ行・ヤ行・ラ行・ワ行

(16)

映画 イギリス・アイルランド・アイスランドの監督

(41)

映画 イタリアの監督

(22)

映画 ドイツ・ポーランド他の監督

(29)

映画 ソビエト・ロシアの監督

(14)

映画 アメリカの監督

(99)

震災をめぐって 本・映画

(9)

読書案内「旅行・冒険」

(4)

読書案内「本・読書・書評・図書館・古本屋」

(15)

映画 オーストラリア・ニュージーランドの監督

(5)

映画 フランスの監督

(53)

映画 スペイン・ポルトガルの監督

(13)

映画 カナダの監督

(5)

映画 グルジア(ジョージア)の監督

(14)

映画 ウクライナ・リトアニア・ラトビア・エストニアの監督

(9)

映画 イスラエルの監督

(3)

映画 マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、スロベニアの監督

(6)

映画 オランダ・デンマーク・ベルギーの監督

(13)

映画 フィンランド・スウェーデン・ノルウェイの監督

(11)

映画 トルコ・イラン・カザフスタンあたりの映画監督

(12)

映画 ギリシアの監督

(3)

映画 アルゼンチン・ブラジル・ペルー・チリの監督

(8)

映画 ハンガリー・ルーマニアの監督

(5)

映画 アフリカの監督

(3)

映画 スイス・オーストリアの監督

(4)

読書案内 戯曲 シナリオ 劇作家

(3)

読書案内・アニメ・コミック ジブリ

(7)

週刊マンガ便「小林まこと」

(9)

読書案内「野口武彦・前田愛・橋川文三・藤井貞和」

(3)

映画 インド・ネパール・ブータン・アフガニスタン・タイ・ベトナム あたりの監督

(5)

週刊マンガ便・映画 キングダム 原泰久・佐藤信介

(19)

読書案内「川上弘美・小川洋子・佐伯一麦」

(9)

読書案内「立花隆・松岡正剛」

(5)

徘徊日記 神戸の狛犬

(5)

週刊読書案内「保坂和志・柴崎友香・磯崎憲一郎とか」

(11)

読書案内・映画 沖縄

(10)

読書案内 韓国の文学

(5)

週刊マンガ便・映画 武田一義 こうの史代

(9)

映画 ミュージシャン 映画音楽

(11)

映画 「109ハット」でお昼寝

(5)

読書案内 エッセイ

(4)

読書案内 「茨木のり子・石垣りん」

(13)

映画「キノシネマ神戸国際」でお昼寝

(5)

コメント新着

ミリオン@ Re:トッド・コマーキニ「ボンヘッファー」シネリーブル神戸no338(11/12) こんにちは。 映画は面白いですね。見るの…
ミリオン@ Re:阪本順治「てっぺんの向こうにあなたがいる」109シネマズ・ハット(11/10) こんにちは。 本を読むのが楽しいですね。…
ミリオン@ Re:三宅唱「THE COCKPIT」シネリーブル神戸no336(11/08) こんにちは。 神戸に行くのが楽しいですね…

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2025.11.22
XML
金時鐘「見えない町」(「猪飼野詩集」より)
​   見えない町  金時鐘

なくても ある町。
そのままのそのままで
なくなっている町。
電車はなるたけ 遠くを走り
火葬場だけは すぐそこに
しつらえてある町。
みんなが知っていて
地図になく
地図にないから
日本になく
日本でないから
消えててもよく
どうでもいいから
気ままなものよ。

そこでは みなが 声高にはなし
地方なまりが 大手を振ってて
食器までもが 口をもっている。
胃ぶくろったら たいへんなもので
鼻づらから しっぽまで
はては ひずめの 角質までも
ホルモンとやらで たいらげてしまい
日本の栄養を とりしきっていると
昂然とうそぶいて ゆずらない

そのせいか
女のつよいったら 格別だ。
石うすほどの 骨ばんには
子供の四、五人 ぶらさがっていて
なんとはなしに食っている
男の一人は 別なのだ。
女をつくって出ようが 出まいが
駄駄っ児の麻疹と ほっておき
戻ってくるのは 男であると
世間相場もきまっている。
男が男であることは
子供にだけいばっていること。
男の男も 思っていて
おけんたいに
父である。

にぎにぎしくて
あけっぴろげで
やたらと ふるまって ばかりいて
しめっぽいことが 大のにがてで
したり顔の大時代が
しきたりどおりに 生きていて
かえりみられないものほど
重宝がられて
週に十日は 祭事つづきで
人にも バスにも 迂廻されて
警官ですら いりこめなくて
つぐんだが最後
あかない 口で
おいそれと
やってくるには
骨な
町。

     〇

どうだ、来てみないか?
もちろん 標識ってなものはありゃしない。
たぐってくるのが 条件だ。
名前など
いつだったか。
寄ってたかって 消しちまった。
それで〈猪飼野〉は 心のうちさ。
逐われて宿った 意趣でなく
消されて居直った 呼び名でないんだ。
とりかえようが 塗りつぶそうが
猪飼野は
イカイノさ。
鼻がきかにゃ 来りゃあせんよ。

大阪のどこかって?
じゃあ、イクノといえば得心するかい?
あらがった君の 何かだろうから
うとまれた臭気にでも 聞いてみるんだな。
今もまだ むれた机は そのままだろうよ。
あけずじまいの べんとうもね。
あせた包み そのままに
押しこんだなりで ひそんでいるさ。
知っているだろう?
あの抜けおちた 銭はげのような居場所。
いたはずのうなじが 見えてないだけなんだ。
どこへ行ったかって?
とどのつまり
歯をむいたのさ。
それで 行方不明。
みながみな 同じくらい荒れだしたので
だれも彼を 知ろうとはしない。
それからだよ。
がに股の女が 道をはばんでねえ
ニホンゴでないにほんごで
がなりたてるんだ。
いかな日本も
これじゃあ いつけるはずがないやな。
オールニッポンの逃げだしだ!

  イカイノに追われて
  おれが逃げる。
  俘虜の憂き目の
  ニッポンが逃げる。
  役所にたのんで
  枷をとかさせ
  買いたたかれた
  イカイノを逃げる。
  家が売れて
  モモダニだ。
  嫁がとれて
  ナカガワだ。
  イカイノにいてて
  気がねのない
  二ホンが総出の
  追いだしだ。
  キムチの匂いを
  町ごと封じ
  浴衣すがたのイカイノが
  仁丹かんで
  よそゆきだ。

      〇

それでお決まり
イカイノがイカイノでないことの
イカイノのはじまり。
まみえぬ日日の暗がりを
遠のく愛がすかしみる
うすれた心の悔いのはじまり。
どこにまぎれて
そっぽを向こうと
行方くらました
己れであろうと
饐えて よどんで
洩れてくる
しょっぱいうずきは
かくせない
土着の古さで
のしかかり
流浪の日日を根づかせてきた
あせない家郷を消せはしない。
猪飼野は
吐息を吐かせるメタンガスさ。
もつれてからむ
岩盤の根さ。
したり顔の在日に
ひとり狎れない野人の野さ。
何かがそこらじゅうあふれていて
あふれてなけりゃ枯れてしまう
振舞いずきな 朝鮮の町さ。
始まろうものなら
三日三晩。
鉦と太鼓に叩かれる町。
今でも巫人(ムダン)が狂う
原色の町。
あけっぴろげで
大まかなだけ
悲しみはいつも散ってしまっている町。
夜目にもくっきりにじんでいて
出会えない人には見えもしない
はるかな日本の
朝鮮の町。
金時鐘 「猪飼野詩集」 、冒頭に収められている 「見えない町」 です。
はるかな日本の朝鮮の町。
​  最終句 が、詩が書かれてから 50年 2025年の今 でも、 1000年以上の歴史 を想起させる傑作だと思います。
 秋の終わりの一日、フラフラと徘徊していた老人が、ふと、立ち止まって空を見上げた時、夕焼けが消えて、闇が迫ってくる光景に見とれながら浮かんでくる 哀しみ が、この詩を包んでいるような気がします。
 で、おそらく、お若い方たちにはピンとこないであろう 猪飼野 という地名についてですが、著者自身が、この詩集でこんなふうにおっしゃておられます。
 猪飼野 大阪市生野区の一画を占めていたが、一九七三年二月一日を期してなくなった朝鮮人密集地の、かつての町名。
 古くは猪甘津と呼ばれ、五世紀のころ朝鮮から集団渡来した百済人が開いたといわれる百済郷のあとでもある。大正末期、百済川を改修して新平野川(運河)をつくったおり、この工事のために集められた朝鮮人がそのまま居ついてできた町。在日朝鮮人の代名詞のような町である。
猪飼野 という地名は、関西に住む、ボクらの世代の多くには、昔の地名としてではない呼称ですが、旧地名の改変がしきりに行われた70年代から50年、​
町の名前を変えることが「歴史」そのものを失うことだった。
​ということを、まあ、老人の繰り言かもしれませんが、もう一度振り返ることは、実は、大切なことなのではないでしょうか。

2025-no223-1196


PVアクセスランキング にほんブログ村


にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ


にほんブログ村 本ブログへ

​​​​​​​​​


ゴジラブログ - にほんブログ村 ​​





​​ ​​​​​​​​​​​​ ​​ ​​ ​​​​ ​​ ​​ ​​ ​​ ​​


​​​​​​​​​​​
​​​​​​​​​​​​

​​



​​​​​​​​​​​​​​ ​​​  追記
 ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)​​​​







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.11.22 09:48:52
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: