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漠风吟 Love In The Desert 全26話第9話互いの身分を忘れ、中秋節の祭りを楽しんだ皇北霜(コウホクソウ)と霍擎雲(カクケイウン)。しかしこれが儚い夢だと思うと皇北霜の表情は急に曇った。その時、霜夫人を探す巫(フ)将軍の声が聞こえてくる。霍擎雲は一瞬で姿を消し、皇北霜は嫌でも現実に引き戻された。雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)は市井に会場を設け、2人の夫人だけでなく容豁(ヨウカツ)を同席させた。舞の演者に成り済ました霍擎雲は容豁の姿を確認して合図の暗器を投げ、配下たちは民衆に紛れてその時を待つ。一方、若問(ジャクモン)も皇北霜を手に入れるべく騒ぎを起こそうと手下を会場に送り込んでいた。那戦はこの機に免税や恩赦を発表し、民を喜ばせた。出番を待つ間、霍擎雲は衣をちぎると、指先を噛んで血を出し、何やら書いておく。そしていよいよ舞の演者の出番が来た。皇北霜は演者が霍擎雲だと気づいた。…なぜ演者に?駄目だわ、下手すぎるw…そこで皇北霜は城主の目をそらすため、準備しておいた薬茶を献上した。薬茶は5種類、それぞれ五蔵の働きを補う効果があるという。「いずれも五穀が含まれており、五穀豊穣と天下泰平を表しています」那戦は薬茶が嫌いなはずだったが、皇北霜の茶を気に入った。その時、若問の口笛が鳴る。すると黄天狂(コウテンキョウ)だけでなく莽流(モウリュウ)門も攻撃の合図だと誤解した。霍擎雲は誰が笛を吹いたのか分からず、舞いながら付近を見回したが、雲沛の伏兵の影を見つける。罠だと気づいた霍擎雲は咄嗟に撤収の笛を吹いて計画を中止、莽流門は群衆から離れたが、黄天狂もまた引き上げた。霍擎雲が手を引いたと分かった皇北霜は安堵し、真渠幼佳(シンキョヨウカ)に何を献上するのか聞いた。幼佳は薄茶しか用意していなかったが、真渠族の至宝である白虎玉盞(タマウキ)という見事な杯に注いだお茶を献上する。上質な薬茶と素晴らしい杯、那戦は2人の夫人を絶賛、その時、何事もなく演者の舞が終わった。那戦は演者に褒美を出すことにした。しかし霍擎雲は褒美など恐れ多いと辞退し、可能なら霜夫人が入れたお茶で喉を潤したいと嘆願する。「風変わりな要求だな、ならば急須ごと渡そう」皇北霜は城主の指示で自ら舞台まで急須を届けた。そこで霍擎雲は茶を飲み干し、急須を返す時に密かに血書を忍ばせる。何食わぬ顔で壇上へ戻った皇北霜、すると巫将軍が本日、肥沃な緑地を接収し、盗賊を数百人も討伐したと報告した。「城主、緑地の接収はめったにない機会です 両夫人を競わせ、三番勝負で勝者に緑地を与えては?」「名案だな」一方、自分たちの他にも玄人が紛れ込んでいると気づいた若問も今夜のところは諦め、撤収していた。茶社に戻った霍擎雲は合図の笛の正体を訝しんだ。確かに那戦の伏兵は大勢いたが、あの口笛は那戦の仕業ではない。「沙曲、黄天狂の状況を探れ、若問の居場所もだ」寝支度をしていた皇北霜は枕の下に隠した霍擎雲の血書を取り出した。…想你(君を想っている)…(ˇ꒳ˇ *)<ふふ、バカね~イールンたらw翌朝、巫将軍は祭りの片付け中に高所に刺さっていた暗器を発見、城主に届けた。「雲沛産の鉄ではないようです」口笛に関しては盗賊の合図のため、巫将軍も門外で分からないという。すると不機嫌になった那戦は祭りで免除した徴収の穴埋めとして小部族から全て取り戻してくるよう命じた。蛮狐(バンコ)の調べで雲沛にも莽流がいると分かった。どうやら城西にある茶社が拠点で、普段は普通の茶屋だが、戌の刻になると情報を得た者たちが集まってくるという。やはり昨夜の邪魔は莽流だったのか。若問はとにかく茶社に乗り込むことにした。( ゚ロ゚)ハッ!!<そう言えば格心微(カクシンビ)は?え?(*´・ω)(ω・`*)<老大と一緒にいたんじゃ?案の定、茶社の老板は和南客桟にいた男だった。「門主に用がある、呼べ」沙曲は若問と手合わせになったが、そこへ霍擎雲が現れ、止めた。すると若問は死風区を爆破した落とし前をつけろと迫り、短剣をちらつかせる。しかし霍擎雲に争う気はなかった。「拠点が必要だろう?このまま放浪する気か?」「ふん、人を増やして城都を攻めればいい、雲沛の城主が変わるかもな」「襲撃するなら武器が必要だろう?」霍擎雲は城東の柳月巷(リュウゲツコウ)に住む好色家の秦奪(シンダツ)が雲沛の武器庫を管理していると教えた。矛を収めた若問は引き上げることにしたが、ふと思い出して格心微の姿絵を渡しておく。「あとこの女を探してくれ、これで帳消しだ」その頃、大道芸人に騙されて箱に入った格心微は妓楼に売られていた。その夜、皇北霜は霍擎雲がくれた血書を衣に縫い付けていた。するとどこからともなく笛の音が聞こえてくる。皇北霜は霍擎雲だと気づき、応えるように露台で笛を吹いた。笛で合奏し、しばし心を通わせる皇北霜と霍擎雲。その時、皇北霜は人の気配に気づき、霍擎雲だと喜んで階段を駆け降りた。しかし門を開けてみると、待っていたのは刺繍糸を届けにきた筑俊だった。「今、笛の音が聞こえましたが…」「厄娜泣(ヤクナキ)の曲です」「遠くからも音が聞こえたような…」「古い笛はよく響くのでそう聞こえるのかと」実は三番勝負の初戦は刺繍対決だった。那戦は蔵書閣の容豁を訪ね、今度は情に訴えた。「あの子が生きていると直感で分かる、探し出して共に平安を享受したい」「あの子はお前の剣で命を落とした、城主が亡霊に振り回されているとは…何を恐れる?」「誤解です、私は行方不明の血族を探したいだけだ、この目で死体を見るまでは探し続ける」しかし懐柔作戦も無駄に終わった。「その執念深さにはつくづく関心するよ、天下は広い、気長に探すことだな」霍擎雲は夜更けまで刺繍に精を出す皇北霜を眺めていた。すると皇北霜が急須が空だと気づいて出て行ってしまう。しかし部屋に戻ってみるとお茶の入った急須があった。皇北霜は恐らく霍擎雲が届けてくれたと気づき、お礼に菓子を置いて窓を閉めておく。霍擎雲は早速、菓子に手を伸ばしたが、その時、皇北霜が窓を開けた。驚いて咄嗟に息を潜めた霍擎雲。皇北霜は菓子が減っていることに気づき、やはり霍擎雲が来たと察してほくそ笑んだ。翌朝、雲芳(ウンホウ)閣に届いた刺繍糸が消えていた。皇北霜は夜佩(ヤハイ)にくまなく探すよう指示、廉幻(レンゲン)には町で買い集めるよう頼んだが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)イールンwwwいちいち笑ってしまうの何で?w
2025.11.15
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第8話中秋節は民と共に祝うため町に出ると決めた雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)。城主の侍従・筑俊(チクシュン)は中秋節を前に玉芙(ギョクフ)閣へ灯籠用の芯を届けた。真渠幼佳(シンキョヨウカ)はお礼と称して宝飾品を渡すと、喜んだ筑俊は城主が夜茶を好むと教えてくれる。次に筑俊は雲芳(ウンホウ)閣へ灯芯を届けた。皇北霜(コウホクソウ)は感謝の印に菓子を渡したが、面白くない筑俊から城主が薬茶を好むと吹き込まれてしまう。一方、霍擎雲(カクケイウン)は莽流(モウリュウ)門の雲沛の拠点である茶社に配下を集めた。那戦が中秋節に華玉(カギョク)府を留守にすると分かり、警備が手薄になった隙に容豁(ヨウカツ)を急ぎ救出するという。「沙曲(サキョク)は私と今から華玉府へ、他の者は引き続き捜索を、祭の夜に王府の西北で合流だ」しかし那戦にはある企みがあった。今日も熱心に大漠奇巻(タイバクキカン)を読み込む皇北霜。すると茶を届けにきた夜佩(ヨハイ)に勧められ、軽く体を動かすことした。その時、偶然、中庭の木にいつの間にか祈願の赤い布が垂れ下がっていることに気づく。あれは倒れた霍擎雲を沙曲に任せて居雲閣(キョウンカク)を去った時のこと。『莽流は任務に出る時、無事な帰還を願ってこの木に赤い布を結ぶのです』沙曲から意味を聞いた皇北霜は″雲″と書いた赤い布を枝に結んだ。…今世で縁はないけれど無事を祈っている…風にはためく赤い布を見上げながら、いるはずのない霍擎雲を身近に感じる皇北霜。そこへ廉幻(レンゲン)がやって来た。「娜袖(ナシュウ)、城主がお見えに…」那戦は霜夫人を昼餉に誘いにきた。そこへ巫(フ)将軍が駆けつけ、祭りで舞を披露する演者が決まったと報告、また麻随(マズイ)から祝いの品が届いたが、わずかな品だったという。すると皇北霜は砂丘篇を解読するため昼餉は今度にしたいと断った。「感心な口実だな、吉報を待っている」那戦はあっさり引き上げた。那戦の反応を見るに麻随の新城主・格爾勁勤(カクジケイキン)を見下していることは明らか、しかし双方の関係はまだ詳しく分からない。…機会をうかがって探ってみよう…一方、若問(ジャクモン)は雲沛に逃げた砂漠一の美女を追っていた。そこで目立たぬよう変装させた手下を数人ずつに分けて城内に潜入させるよう命じ、蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)を先に行かせる。若問は砂漠で見つけた樹林で一休みしていたが、その時、思いがけず格心微(カクシンビ)が現れた。「若問!やっと追いついたわ!なぜ置き去りにしたの?!」「ままごとはごめんだ」しかし格心微は狙った相手を決して逃さないという。「あなたが好きよ、信じないなら自害して証明する」「俺は情を捨てた、命をかけても無駄だぞ」若問は馬を連れて歩き出したが、まつわりつく格心微を邪険にできなかった。中秋節当日、莽流門は計画変更を余儀なくされた。実は那戦が今夜の祭りに容豁を連れて行くことが分かったという。そこで沙曲は舞の練習をしていた演者を襲って眠らせ、門主と2人で密かに入れ替わることにした。「舞台に上がって奪還する機会を作る、門主の笛の合図で動け」「ラジャー!」しかしこれが那戦の罠だった。那戦は会場近くに兵600人を配備、容豁を餌にして標的を誘き出そうと企む。その頃、雲沛に到着した若問と格心微は賑やかな中秋祭りを楽しんでいた。霍擎雲は黄天狂(コウテンキョウ)が雲沛に潜入しているとは知らず、沙曲と町へ出かけた。そこで偶然、夜店を楽しむ皇北霜の後ろ姿を見つける。「川を見てくる、舞台で合流しよう」霍擎雲は沙曲と別れて皇北霜を追った。霜夫人の護衛を頼まれた巫将軍はちょうど警戒中の部隊と遭遇した。そこで巡回を強化するよう声をかけたが、ちょっと目を離した隙に人混みに紛れた皇北霜と夜佩を見失ってしまう。一方、皇北霜と夜佩は夜店で仮面を購入し、2人で灯籠を流すことにした。皇北霜は川に灯籠を放ち、必ず母の敵を討つと誓った。すると筏に乗って皇北霜を探していた霍擎雲が通りかかる。皇北霜は仮面の男が霍擎雲だと気づき、まだ手を合わせて祈っている夜佩を置き去りにして筏を追いかけた。しかし橋を登って下をのぞくと、もう筏も仮面の男の姿もない。「私を探しているのか?」皇北霜が振り向くと筏の男が立っている。仮面の男の正体はやはり霍擎雲だった。霍擎雲は皇北霜の手をつかむと走り出し、物陰に引きずり込む。「安らかな心で来世、再会しようと言ったな?…私が恋しかったかい?」思わず皇北霜を抱き寄せる霍擎雲。その時、皇北霜を探し回る夜佩の声が聞こえた。「娜袖!娜袖!」霍擎雲と皇北霜は慌ててその場を離れた。まるで逃避行のように手に手を取って夜の町を駆け抜ける2人。そこで今だけは互いの身分を忘れようと仮面をつけて顔を隠し、民族舞踏の輪に入った。まさかその輪の中に仮面をつけた若問と格心微がいるとも知らず…。( ˶´꒳`˵ )キャッキャウフフ〜若問は仮面をつけた皇北霜に既視感を覚えたが、舞踏が終ると輪は散り散りになった。すると蛮狐が現れる。若問は格心微に銭を渡して買い物に行かせてから報告を聞いた。実は皇北霜が冊封されて那戦の夫人となり、奇しくも今夜の祭りに那戦と一緒に来るという。「仲間を配置しました、合図で動けます」「はお」そこで若問は足枷になる格心微をまくため、大道芸人の″中原の秘術″に目をつけた。中原の秘術とは箱の中に入った人が仙人のように姿を消してしまうという見世物だった。若問は好奇心旺盛な格心微に試して見ろと勧め、見守る。すると箱の中に入った格心微が本当に消えた。つづく( ๑≧ꇴ≦)腹が痛すぎるwwwいかだで流れてくるイールンwマイムマイムを踊るイールンw( ˊᵕˋ*و(و “しかし急にチベスナの目になってしまう若問の花冠w
2025.11.14
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第7話冊封され、夜伽を命じられた皇北霜(コウホクソウ)と真渠幼佳(シンキョヨウカ)。皇北霜の心にいるのは霍擎雲(カクケイウン)だったが、雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)の命を拒めるはずもない。一方、皇北霜が夜伽を命じられるのを聞いた霍擎雲は傷心のまま隠し通路へ戻った。沙曲(サキョク)たちはすでに東と南北の通路に印をつけ、地図を作成できるという。「…門主?何かありました?」しかし霍擎雲は小さく首を横に振っただけで何も言わなかった。皇北霜が城主の寝閣へ到着すると、ちょうど門前で真渠幼佳と出くわした。当初、友好的に見えた幼佳だったが、寵愛を争う相手が皇北霜1人になるや対抗心をむき出しにする。しかし幼佳がいたおかげで皇北霜は何とか夜伽を回避することができた。「城主、月の物が来たため私は近づくことができません」那戦は幼佳を抱き上げ、寝台へ向かった。手持ち無沙汰の皇北霜は初めて入った城主の部屋を見回していたが、その時、机の上に無造作に置かれた大漠奇巻(タイバクキカン)を見つける。皇北霜は段差に腰掛けて砂丘篇を夢中で読んでいたが、気がつくと寝台で幼佳と睦み合っているはずの那戦が立っていた。「何を見ている?…返せ」那戦は大漠奇巻を好む女子を見るのは初めてだった。実は皇北霜は草薬篇をすでに読破し、砂丘篇も第6章まで読んだところだという。「内容を覚えたと?」「大体は」驚いたことに皇北霜には一度見たら忘れない特殊な能力があった。「そなたは面白い、さすがあの若問(ジャクモン)と対峙しても恐れないはずだ なのになぜ私の前では萎縮する?」「若問と一戦を交えたとしても使節団を失うだけ、城主を怒らせれば厄娜泣(ヤクナキ)に未来はない」「…私に心を開いてくれる日まで待とう」すると那戦は皇北霜に雲芳(ウンホウ)閣へ戻ることを許した。( ˶´꒳`˵ )ハニーちゃん、質素な出で立ちでも隠せない美しさ〜一方、憂さ晴らしで酒をあおるも全く酔えないイールンwすると沙曲はやさぐれた門主から早く地図を作れと八つ当たりされてしまう。( •︠ˍ•︡ )<やけに機嫌が悪いな…ボソッしかしその原因はすぐ分かることになった。その頃、死風区(シフウク)を失った若問たち黄天狂(コウテンキョウ)は侗巴赫(トウハカク)の根城を襲っていた。侗老を殺して仕返しはするも配下は全て引き受ける若問。俺ってかっけー!しかし血生臭い光景を初めて見た格心微(カクシンビ)は嫌悪感を抱いた。「拠点をなくしてこれからどうするの?いつまで盗賊でいるつもり?」すると格心微は酔い潰れて眠ってしまう。翌朝、若問は手下に地図を渡し、麻随(マズイ)城を探るよう命じた。麻随の新城主と言えば女色に溺れていると評判。蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)は探らずとも簡単に奪えると強気だったが、若問は慎重だった。「城攻めは遊びじゃない、お前たちは俺と雲沛へ行くぞ」「あの女人はどうします?」深酒した格心微はまだ熟睡していた。すると若問は財宝だけ残し、出発してしまう。一方、雲沛では夜伽を済ませた真渠幼佳に城主から恩賞が届いた。府内ではすでに寵愛を受けたのが佳夫人だけだったと噂が広まっていたが、廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)は娜袖(ナシュウ)の面目を心配しつつも、無事だったことを喜ぶ。すると皇北霜は府内での言動をくれぐれも注意するよう釘を刺した。実は若問との一件を城主が知っていたという。その時、城主の来訪を知らせる前触れが聞こえた。那戦は玉芙(ギョクフ)閣には筑俊(チクシュン)に命じて宝飾品や金子を下賜したが、雲芳閣には自ら足を運んで大漠奇卷の砂丘篇と草薬篇を届けた。すると那戦は人払いしてから皇北霜に砂丘篇のある一節を読ませ、解釈させる。「″雨の下に寒い月、馬革が見える、王ではあるが帝ではない″ 雨・革・月を合わせると″覇″という文字です つまりこの砂漠では一角を牛耳る王はいても統一する帝はいないという意味かと 砂漠の緑地は分散しており、移動する人々もいます この散らばった土地と人を統一するのは困難を極めます」「その通りだ、これは雲沛の先主・那啓達(ナケイタツ)が砂漠を遊歴したのち、出した結論だ それを言い当てるとはな…ゆっくり読め、また来る」皇北霜は那戦の旺盛な野心を知った。…父親、母親、使える人物を見つけました、必ず敵を討ってみせます…府内を探っていた沙曲が報告に戻ってきた。実は皇北霜が夜伽を命じられたが、夜中に雲芳閣へ戻ったという。「昨夜は佳夫人だけが那戦の相手をしたそうです」「本当に?そんなことが…」渋面だった霍擎雲の表情は一変、急に顔を綻ばせたが、慌てて真面目な顔に戻した。沙曲は門主の不機嫌だった理由を知って失笑、しかし容豁(ヨウカツ)の行方は依然、分からないという。その頃、皇北霜は中庭の長椅子で砂丘篇を読みながら母の話を思い出していた…麻随は城主が知人からもらった草薬篇のおかげで疫病の難を逃れたしかしこれは一部に過ぎず、残りの4巻には砂漠の奇妙な現象から誰も知らない緑地の水源まで記されているという母は大漠奇巻が全巻そろえば厄娜泣の運命が変わり、大国に頼らずとも済むと期待した確か建築篇ももらったが、父が管理しているため母はどこにあるか分からないという『何でも大漠奇巻には隠された秘密があり、5巻そろうと解けると聞いたわ この草薬篇は最初の巻でとても大事な1冊なの 中でも一番重要な記述は双果樹(ソウカジュ)の自生地について 次巻でも重要な語句が双果樹の紹介に隠されているわ』…皇北霜は砂丘篇が第2巻ではないと気づいた。奇書を読みながらいつの間にか眠っていた皇北霜。ふと目を覚ますといつのまにか誰かが薄毯を掛けてくれていた。するとちょうど夜佩がお茶と菓子を差し入れに来る。「夜佩、あなたが掛けてくれたの?」「先ほど城主がお見えに…娜袖が眠っていたのでお戻りになりましたが、その時では?」城主がそんな気遣いをするとは到底、思えない皇北霜。実は皇北霜にこっそり薄毯を掛けたのは霍擎雲だった。その頃、隠し通路から戻った霍擎雲は居雲閣(キョウンカク)の願掛けの木を眺めていた。皇北霜が無事だと知り、並んだ願掛けの赤い布を見ながら思いを募らせるイールンw…″雲″…″霜″…那戦は賢い皇北霜の才能に期待した。奇書は全5巻で互いに連なり合い、全てに目を通して本質を理解することが肝心だという。「彼女にそれができるだろうか、可能ならば私の役に立つ女人だ 将来、砂漠を統一する時の重要な駒となる」すると上機嫌の那戦は今年の中秋節を民と共に祝うと決め、城外で祭りを楽しむことにした。つづく( ๑≧ꇴ≦)膝掛け抱えてこっそり立ってるイールンがシュールw
2025.11.13
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第6話雲沛(ウンハイ)の和親祭典が閉幕。皇北霜(コウホクソウ)は真渠(シンキョ)族公主・真渠幼佳(シンキョヨウカ)、弥賛(ミサン)族公主・弥賛雨薇(ミサンウビ)と共に冊封された。しかし夫人と呼ばれるのを嫌い、廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)には今まで通り″娜袖(ナシュウ)″と呼ぶよう頼む。一方、居雲閣(キョウンカク)では霍擎雲(カクケイウン)が華玉(カギョク)府の地図を眺めていた。すると隠し通路を探しに向かった沙曲(サキョク)が戻って来る。「当時は府内も火の海で通路付近も焼けました、探すのは困難かと… 実は霜娘子が冊封されました、あの美貌と知性では見初められるのも当然ですね」「そこではない」霍擎雲は那戦(ナセン)が大漠奇巻(タイバクキカン)を手に入れるため和親祭典を開いたと気づいていた。「彼女が選んだ道だ…それより雲芳閣(ウンホウカク)の西南を探せ、通用門があるはずだ」実は玉芳閣は奇しくも霜夫人の居所だった。その夜、那戦は側仕えの内官・筑俊(チクシュン)から夫人たちの様子を聞いた。今日は城主の寝閣に最も近い玉芙(ギョクフ)閣を巡って真渠幼佳と弥賛雨薇が口論となったが、皇北霜が手を上げようとした雨薇をたしなめたという。『揉め事はやめましょう?城主の耳に入ったら気性を誤解されるわ』筑俊は皇北霜をみくびっていたが、那戦は奇書を献上し、若問(ジャクモン)からも逃げ切った皇北霜に一目置いた。「それにしても30余りの部族が和親に応えながら、奇書が一冊しか手に入らぬとは」「城主、お言葉ではございますが、探していた3冊のうち1冊でも見つかったのは幸運です」目下の問題は薇夫人と佳夫人の寝閣が決まっていないことだった。そこで筑俊は弥賛雨薇が和親祭典の記録にある特徴とかけ離れており、むしろ傲慢だという姉・雨薔(ウショウ)に似ているという。「急ぎ調べよ、替え玉なら殺せ…それで皇北霜の寝閣は?」「それが…」皇北霜が選んだのは城主の寝閣から最も遠く、人が寄りつかない雲芳閣だった。実は雲芳閣は先の城主の寝閣、筑俊は那戦も忌み嫌っていると説明し、霊が出るかもしれないと脅したが、皇北霜は気にしないと笑ったという。「そう言えば和親祭典の後、皇北霜は供を連れて創天建城墓と通天塔へ行きました」「…雲沛の歴史に関心があるようだな、大したものだ」すると那戦は冊封しなかった娜袖の帰郷を認め、もし残るなら名家との縁談を下賜すると決めた。筑俊は拝命したが、その時、うっかり皇北霜からもらった心付けを落としてしまう。「筑俊…和親祭典では懐がさぞ暖まったであろうな?…全て返上せよ」( ;∀;)<はいっ!うわーん翌朝、霍擎雲は皇北霜が願掛けの木にかけた赤い布を眺めていた。そこへ沙曲が駆けつけ、ついに通路が見つかったと報告する。「でも那戦が調べをつけたのでは?」「いや、当時のことを知る者はいない」すると霍擎雲は″雲″と書かれた赤い布の隣に″霜″と書いた赤い布を結んだ。その夜、霍擎雲は単身、隠し通路へ入った。密道は古びていたが、確かに幼い頃、容豁(ヨウカツ)に手を引かれて華玉府から脱出した道だと分かる。やがて霍擎雲は府内へ侵入、思い出深い先主の寝閣に向かった。すると露台にいる皇北霜を見つける。実はその時、皇北霜は夜佩から思わぬ報告を聞いていた。「大変です、娜袖!薇夫人が妹の身代わりだと分かり、打たれて死んだと…」「慌てないで、厄娜泣(ヤクナキ)は雲沛と交流がなかった、問題を起こさない限り大丈夫」しかし皇北霜は心が落ち着かず、露台に出た。霍擎雲は皇北霜が雲芳閣を居所に選んだと知り、不思議な縁を感じた。そこでこっそり屋根伝いに皇北霜が立っている露台の下まで行ってみる。「娜袖、後悔していませんか?霍公子が好きなのでしょう? だって寝言で霍公子の名を呼んでいましたよ?しかも何度も…ふふ」盗み聞きしていた霍擎雲は思わず笑顔になったが、皇北霜の答えを聞いて何とも切なくなった。「好きでも仕方がない…夜佩、2度と霍公子の話をしないと約束して ここに身を置くと決めたの、気を抜かぬよう肝に銘じて、忘れるしかない」屋根で聞き耳を立てるネコみたいなイールン一方、若問と格心微(カクシンビ)は地図のおかげで無事、麻随(マズイ)に到着していた。何とか時間稼ぎしていた格心微だったが、痺れを切らした若問がいきなり格心微をかついで城主府に連れていってしまう。しかし今日は祭天があると門衛に追い返された。格心微は助かったと思ったが、若問が勝手に格心微の印章を示してしまう。「はっ!九公主?!…九公主が戻ったぞ!」若問は格心微が本当に公主だと知ってあっさり引き渡した。するとあれよあれよという間に格心微は衛兵に連行され、祭天の生け贄としてはりつけにされてしまう。「誤解よ!やめて!人違いなの!…若問?!出てきなさいよ!」思わず秘密をばらして助けを乞う格心微、その時、若問が現れた。若問にとって麻随の衛兵など赤子の腕を捻るようなものだった。格心微を取り返し、再び砂漠へ戻った若問。しかし格心微がやはり偽物だったと知り、手首を縛って置き去りにしてしまう。「財宝がないならもうお前に用はない」若問が馬を駆けていると、首領を探しに来た蛮狐(バンコ)と狼頭(ロウトウ)に出くわした。実は例の娜袖が侗巴赫(トウハカク)と結託し、死風区(シフウク)を爆破したという。「協力者の男の猿芝居にだまされて…」すると人相書きを見た若問は和南客桟にいた男だと気づいた。「しかし女と雲沛へ向かう道中で毒矢を食らわせました」「ギギギギ…まずは侗巴赫を探すぞ!」その時、縄を解いた格心微が追いついた。「しつこい女だな」那戦は書庫の密室に閉じ込めた容豁(ヨウカツ)を訪ねた。そこで大漠奇巻(タイバクキカン)草薬篇をちらつかせ、この書の秘密を知りたいという。容豁はしらばくれたが、実はこの奇書は容豁と兄・容若(ヨウジャク)が先主に従って記したものだった。「あの世へ行って先主に聞けと?面白いことをおっしゃる、疑問はまだ他にもあります あの時の子供はどこへ?」すると焦った容豁は急に激しく咳き込み、寝たふりをした。霍擎雲は沙曲たちと一緒に再び隠し通路へ入った。今夜は手分けして各通路がどこへ続いているのか確認したいという。「先主は敵襲に備えてこの隠し通路を作った、府内に侵入された時、家族が逃げられるようにな 道は東西南北に分かれている、お前たちは南北へ、沙曲は東へ… 地上に出たら衛兵に注意しろ、急ぎ容豁を探せ」すると霍擎雲はさっさと独りで西へ行ってしまう。( ・ノェ・)<例の女子が西の雲芳閣を選んだらしいあ~あ>(*´・ω)(ω・`*)<そういうこと西の隠し通路は雲芳閣の衣装棚に続いていた。あの時、まだ幼かった霍擎雲を救うため、咄嗟にこの衣装棚の中に逃げ込んだ容豁。実は霍擎雲はその時、窓紗から先主が亡くなる一部始終を見ていた。雲芳閣に潜入した霍擎雲は机に広げたままになっていた皇北霜の書画を見た。2人の名が入った詩を見て、彼女の心にも自分がいると知る霍擎雲。その時、皇北霜と夜佩が戻ってきた。皇北霜は書画の続きを書くため書机の前に座った。するとふと気配を感じて衝立を見つめる。しかし確認する前に筑俊の声が聞こえ、急いで出迎えた。「おめでとうございます、霜夫人、今夜は桂夫人と一緒に夜伽です」Σ(꒪꒫꒪ )よっ夜伽?しかも2人?!つづく( ๑≧ꇴ≦)またしても報われないのかイールン!
2025.11.12
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第5話皇北霜(コウホクソウ)は負傷した霍擎雲(カクケイウン)に付き添いながら、寝顔にそっと触れた。腹に一物がある相手と知りながら惹かれ合う2人。一方、麻随(マズイ)の地図を手に入れた若問(ジャクモン)は格心微(カクシンビ)の振る舞いから偽者ではないかと疑い始めていた。地図も読めなければ、荒っぽい食べ方、箱入り娘とは聞いて呆れる。「公主とは思えん!」その時、同じ店にいた盗賊が辺疆には珍しい美しい娘に目を付けた。「兄ちゃん、女を置いて消えな!」若問は涼しい顔で席を立ち、成り行きを見守ることにした。すると盗賊たちに拘束された格心微が激怒する。「それでも男なの!若問!」「若問?!」盗賊は男が黄天狂(コウテンキョウ)の首領と知って驚愕、戦利品を置いて逃げ出してしまう。「やってくれたわね!」「これは教訓だ、麻随の財宝の話が嘘なら容赦しないぞ!」翌朝、皇北霜は中庭の願掛けの木を眺めていた。そこへまだ青白い顔をした霍擎雲がやって来る。「そろそろ行かないと遅れる」「残って欲しい?」「いいのか?」すると皇北霜は霍擎雲に歩み寄り、彼の胸に顔をうずめた。「今日でお別れよ、守ってくれてありがとう…どうかお元気で」(*°ㅁ°)ドキッ!とするイールンイールンwに別れを告げて和親祭典に向かうことにした皇北霜。その時、霍擎雲が皇北霜の腕をつかんで引き寄せ、強引に唇を重ねてしまう。(๑و•̀ω•́)و やる時はやるイールン皇北霜は思わず霍擎雲を引っ叩いたが、イールンwは本気だった。「私も君を守れる、厄娜泣(ヤクナキ)のことだって…」「それだけではダメなの」「何を背負っていようと私が全て解決する」再び皇北霜に顔を近づける霍擎雲…。皇北霜は拒まなかったが、自分の使命を決して忘れることはなかった。「何もかも夢なの、目覚めたら全て忘れる」「だが縁は尽きない、約束したことを忘れるな、君は返すと言った、守ってくれ」霍擎雲は皇北霜を見送ることにしたが、激しく喀血して倒れてしまう。(* ノωノ)ヒャァー!霍擎雲が目を覚ますと腹心の沙曲(サキョク)が付き添っていた。皇北霜は霍擎雲の命に別状はないと話し、薬の説明をして去ったという。すると沙曲は皇北霜から預かった笛と文を渡した。…来世で再会しましょう、互いに安らかな心で…皇北霜が王宮へ駆けつけると、東門で廉幻(レンゲン)と夜佩(ヨハイ)が待っていた。衣装を持っていた廉幻は急いで着替えるよう伝えたが、夜佩は献上品が何もないという。すると皇北霜は廉幻から空の銭袋をもらい、咄嗟に地面の砂を入れた。身支度を整えた皇北霜は東門の前に立ち、ふと振り返った。府内に足を踏み入れたら最後、もう引き返すことはできない。しかし父や母の復讐を果たすため、皇北霜はついに敷居をまたいで大殿へと歩き始めた。その時、馬を駆けて来た霍擎雲が皇北霜を呼び止める。「待て!君に渡すものがある!」皇北霜は足を止めたが微動だにしなかった。そこで廉幻が引き返し、霍擎雲から古びた書を受け取って戻って来る。「娜袖(ナシュウ)、この書を返すそうです、それから″元気で″と…」「しまっておいて」皇北霜の手元に再び戻った大漠奇巻(タイバクキカン)草薬篇。霍擎雲は小さくなる皇北霜の背中を見送っていたが、再び喀血してしまう。華玉(カギョク)府ではすでに和親祭典が始まっていた。各部族から集まった娜袖たちは1人ずつ雲沛(ウンハイ)城主・那戦(ナセン)に接見、するとさすがに疲れたのか那戦は次が最後だと聞いて安堵する。その時、遅刻した皇北霜が石段を駆け上がって来た。広間の外で控えていた内官は祭典なら終わったと追い返そうとしたが、皇北霜は門衛の帯剣を抜いて自分の首に当て、自害すると脅す。するとさすがに驚いた内官は仕方なく城主へ報告に向かった。那戦は北漠から娜袖が到着したと聞いて感慨深い。ここ雲沛まで辿り着いた厄娜泣(ヤクナキ)族は初めてだ。「まあいい、謁見を認める」厄娜泣の娜袖は決して豪華な装いとは言えなかったが、その顔立ちはまさに砂漠一の美女だった。皇北霜は城主に拝礼して銭袋と大漠奇巻を献上、道中で盗賊に襲われ自分たち3人だけ生き残り、献上品も全て奪われたと釈明する。「これは土か?」「それは厄娜泣から持参した土、城主への忠誠と服従を示します …実はもう1つ献上したいものが、舞を披露しても?那戦は失笑した。雲沛には舞の達人など腐るほどいる。「笑い物になる覚悟はあるのか?」「一笑でもご提供できれば光栄に存じます」皇北霜の舞が始まった。その妖艶さんに誰もが息をのむ中、裾を持った皇北霜が高速で回転する。すると衣装がちりちりと燃えて真紅のきらびやかな衣が姿を現した。那戦はすっかり皇北霜に目を奪われ、見事な舞に拍手を送る。「今のは″鳳凰涅槃(ホウオウネハン)の舞″か?火打石の粉を仕込んだ衣装だな?」「さすがは博識な城主、燃焼後に新たな衣が現れる″再生の舞″です」つづく( ๑≧ꇴ≦)あー!ハニーちゃんの手のピロピロピロピロ〜が入っていなかったわ〜ゴメン!
2025.11.11
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墨雨云间 The Double 全40話最終話「蝋梅が咲く頃」沈玉容(シンギョクヨウ)の合図で弓兵が蕭蘅(ショウコウ)に狙いを定めた。「蕭蘅!お前は見捨てられたのだ!」しかしその時、馬にまたがった薛芳菲(セツホウヒ)が駆けて来た。「見捨てるものですか!」李家に監禁しているはずの薛芳菲が城門に現れた。驚いた沈玉容は慌てて弓兵を止めたが、薛芳菲は蕭蘅と共に大燕(ダイエン)に殉ずるという。「シェンユーロン!もう一度、私を殺すがいい!」「阿狸(アリ)、皇族どもは我らを虫けらのように潰す…どうせ忘れ去られる運命だ 蕭蘅を葬り、かつてのように2人で暮らそう!」「思い違いもはなはだしい、人々は決して忘れない!」薛芳菲は望(ボウ)城を守って戦死した100名の誇り高き兵士の名を挙げ始めた。すると龍武軍の将兵は北境で散った蕭将軍や彭(ホウ)副将、父や兄弟を思い出して目頭が熱くなり、次第に戦意を喪失してしまう。「大燕の臣、蕭蘅も忠義を貫く!」「…薛芳菲と共に!」薛芳菲と蕭蘅の絆を目の当たりにした沈玉容は愕然となった。その時、ちょうど城外に出ようとしていた司徒九月が精鋭を引き連れやって来る。沈玉容から応戦を命じられた龍武軍の総領将軍・楊青(ヨウセイ)は不本意ながらも部下を連れて城楼を降り、蕭蘅たちと対峙した。「父親が率いた龍武軍を殺せるのか?ぶははは~結局、お前は誰のことも守れぬ!」すると薛芳菲が弓を構え、城楼の沈玉容に矢を放った。弓矢は右腕をかすめ、沈玉容は衝撃で魚符を落としたが、運良く左でつかむ。「…楊青、軍命に反すれば死すのみ!」沈玉容は城楼で魚符を掲げた。その時、薛芳菲が2本目の矢を放ち、今度は見事、左手に命中させる。沈玉容は転倒、魚符が城楼から落下した。すると司徒九月が馬から飛び出し、魚符を確保して蕭蘅に投げ渡す。蕭蘅は父の龍武軍を取り戻し、司徒九月に城外の逆徒の始末を頼んだ。「阿狸…」「待っているわ」「龍武軍に命ず!北境の謀反軍を制す!」沈玉容は射抜かれた手をかばいながら呆然としゃがみ込んでいた。すると薛芳菲が城楼に上がってくる。「…殺してくれ、この命で償う、お前の手で死ねるのなら悔いはない」「あなたを殺せば私の手が汚れる、謀反人は国の法で裁かれるべきよ」「阿狸…私が状元に受からなければ今も平穏に暮らしていただろう 私たちは選ぶ道を誤った、私の誤ちは生涯であの一歩だけ… その一歩で後戻りできぬ道に足を踏み入れてしまった」「沈玉容、来世でその罪を償って、今度は冨貴な家に生まれて真の善人として生きてほしい」薛芳菲と入れ替わるように衛兵が城楼に駆け上がって来た。沈玉容は城楼の縁に上がると、眼下に見える薛芳菲の背中を見つめながら″芳菲散りて梨花白く″を吹く。しかし薛芳菲が立ち止まることはなかった。すると全てを失った沈玉容は身を投げてしまう。薛芳菲は背後で大きな音を聞いたが、結局、最後まで振り返ることはなかった。成王たちは国公府に逃げ込んだ皇帝を追い詰めていた。しかし思いがけず魚符を取り戻した蕭蘅が龍武軍を率いて駆けつけ、逆に包囲されてしまう。絶体絶命に陥った成王、そこで趙鄴の寵姫である麗(レイ)妃を人質にして逃げることにした。「趙鄴に伝えよ、来年こそ必ずその首を討ち取ってやるとな」←( ˙꒳˙ )え?wすると誇り高い麗妃は皇帝の足枷になるより自ら死を望んだ。「粛(シュク)国公、宮女のことはどうか陛下には内密に…私が墓場まで持って行く」麗妃は成王が突きつけていた剣で自ら首を切りつけ絶命、成王は突然の事に動揺してしまう。その隙をついて蕭蘅が成王に斬りかかり、止めを刺して父の敵を討った。激動の一夜が明け、大燕に平穏が戻った。しかし成王の死後、北境軍の残党が復讐を掲げ兵を起こし、朝廷は逆賊鎮圧を掲げて正式に出兵を決める。李仲南一家は投獄され死罪が確定。沈家は取りつぶしとなり、郷里に避難していた沈夫人と沈如雲(シンジョウン)も捕まった。また姜元興(キョウゲンコウ)と楊(ヨウ)氏は姜家から追放され、国公府では蕭大川(ショウダイセン)が姜梨(キョウリ)の救出を笠に着て孫を顎で使っていた。蕭蘅は出征を前に皇帝へ挨拶に向かった。すると洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は御書房に飾った麗妃の姿絵を眺めている。「麗妃は死に際に言葉を残したとか」「宮女の件を陛下には内密にと…」←いやバラすのかーいw皇帝はこの機に代国が侵攻してくると心配し、龍武軍だけでなく禁軍と城南軍も連れて行くよう勧めたが、都を守る兵が必要だと蕭蘅は断った。薛芳菲は海棠(カイドウ)から朗報を聞いた。司徒九月の見立て通り薛懐遠(セツカイエン)が記憶を取り戻したという。苦難を乗り越え、再び揃った薛一家。薛懐遠はいつ淮郷(ワイキョウ)へ帰るのか聞いたが、薛芳菲は姜家の二娘子という身分ゆえ帰る口実がないと説明した。しかし薛昭(セツショウ)に本音を見抜かれてしまう。「姐夫を置いて帰郷できないんです」「阿昭!」すると薛懐遠は蕭蘅の人柄を褒め、自分の心に従って進めと励ました。薛芳菲と蕭蘅は夫婦になると決めた。そこで2人で姜梨(キョウリ)と桐児(トウジ)の墓へ報告に向かう。姜梨が失ったものを全て取り戻し、自分の復讐も果たした薛芳菲。するとふいに風が吹いて梨の花が雪のように舞い散った。…姐姐?……梨R?……姐姐謝謝、私の汚名をすっかり晴らしてくれた…薛芳菲は母の形見の玉佩に値する男と出会い、床入りの儀で蕭蘅に狸の玉佩を贈った。2人は夫婦になった記念に蝋梅を植樹、しかし嫁いで早々、薛芳菲は城楼から姜元柏(キョウゲンハク)と一緒に出征する蕭蘅を見送ることになった。姜元柏は姜梨を連れて屋敷に戻った。この機に官職を辞した姜元柏は都を離れ、姜若瑶(キョウジャクヨウ)が待つ永(エイ)州へ越すという。「お前はどうする?粛国公が戻らなかったら?」「戻って来なければ一生、寡を守ります、でも必ず戻ると約束を… 父親、実は明かさねばならないことが…」「もしやお前が姜梨でないということか?お前は薛芳菲なのだろう? 私の娘、梨Rの最期は安らかだったろうか?」姜元柏はこらえ切れずに嗚咽を漏らした。「私と桐児が見守る中、静かに眠りにつきました 今頃は葉(ヨウ)氏とむつまじく過ごしているはずです」すると姜元柏は高齢の母に与える衝撃を心配し、この秘密を誰にも知られたくないと頼んだ。薛芳菲と葉世傑(ヨウセイケツ)は姜家の見送りに来た。姜景睿(キョウケイエイ)は想い人の柳絮(リュウジョ)と結ばれ、共に永州へ向かう。すると最後に姜元柏が薛芳菲の肩に手を置いた。「困ったことが起きたら永州の我々を頼りなさい…無事を祈っている」その時、薛芳菲は不思議と自分の中で生き続ける姜梨と姜元柏の父娘の絆を感じた。「父親…寒くなりますから風邪など召しませぬよう、暖かくしてください」姜元柏は娘の言葉にうっすら笑みを浮かべ、馬車に乗り込んだ。葉世傑は姜梨を国公府まで送って行くことにした。都にはまだ自分という身内がいると安心させ、何かの時には頼って欲しいという。「私を実の兄と思ってくれ」「…哥」薛芳菲は姜家だけではなく、葉家との縁も繋がっていることを実感し、笑顔を見せた。薛芳菲は蕭蘅の無事を祈りながら、夫婦で植えた蝋梅を世話していた。その頃、北境では成王の死を好機と見た代国軍が国境に侵攻、蕭蘅は龍武軍を率いて格闘するも、腹心の文紀(ブンキ)と陸璣(リクキ)は討ち死にしてしまう。戦は凄惨を極め、龍武軍は壊滅した。しかし蕭蘅は孤軍奮闘、敵将を仕留めたが、さらに敵軍が襲いかかる…↓これがやりたいがための最終話w早朝、薛芳菲はなぜか矢も盾もたまらず、国公府を飛び出して蝋梅の木を見に行った『蝋梅が咲く頃には無事に凱旋する』薛芳菲は蕭蘅の約束を思い出しながら、見事に開花した梅の花を眺めたその時、白馬にまたがった蕭蘅が蝋梅の木を目指して馬を掛けてくる…終わり( ๑≧ꇴ≦)終わったぁぁぁぁぁ!話数を短くするためなのか1話が長い長いw最終話も酷い酷いwww配信ではサクサク進んだ印象でしたが、そうそう、忘れていたわ〜早送りで見ていたことをwwwwwそれにしても正面カットの乱用は何なの?別々に撮影している弊害かしら?オカルトカップルのおかげで無事に完走できましたが、さすがに女主の作品はもう打ち止めかなさて配信当時、本国でも最後のあいまいなシーンのせいで解釈が分かれていました「これ夢なの?」「結局、蕭蘅はどうなったの?」しかし短い番外編が登場、論争は収まりました…めでたしめでたしってことで
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第39話「最後の戦いへ」姜元柏(キョウゲンハク)の弟・姜元興(キョウゲンコウ)が妻を人質にされ婉寧(エンネイ)公主に加担。姜梨(キョウリ)を偽物の趙珂(チョウカ)に引き渡した。「姜梨、許してくれ」一方、薛芳菲(セツホウヒ)を閉じ込めた婉寧は上機嫌で地下牢を出た。すると永安(エイアン)閣の前に兄の姿がある。趙晟(チョウセイ)は謀反の準備に万全を期していながら、未だ蕭蘅(ショウコウ)を恐れていた。「蕭蘅を誘き出す″餌″だ、間違いがあってはならぬ」「安心して、蕭蘅が来たら公主府から生きて帰さないから」その頃、蕭蘅も今夜の反乱に備え、策を巡らせていた。すると姜元興の目を盗んで脱出した趙珂が駆けつけ、姜梨が行方不明だと報告する。「恐らく長公主が…」蕭蘅は罠だと気づいて単身で乗り込むことにしたが、思いがけず軍装した蕭大川(ショウダイセン)が現れた。「大戦を前に大将が離れてはならん!嫁は私が助けに行く!」( ๑≧ꇴ≦)おじーちゃーん!w婉寧の侍女・梅香(バイコウ)は沈玉容(シンギョクヨウ)から届いた差し入れを運んだ。まさか裏で自分の知らない計画が進んでいるなど露も思わず、婉寧は嬉しそうに羹(アツモノ)を飲んでしまう。その頃、沈玉容は阿狸(アリ)を救うため地下牢に駆けつけていた。全ての過ちは長公主に強いられたせいだと責任転嫁する沈玉容、しかし薛芳菲は死を恐れて自分で選んだ道に過ぎないと指摘する。すると沈玉容は阿狸に薬を嗅がせ、気を失わせて運び出した。沈玉容が薛芳菲を抱えて永安閣を出ると、激しい雨の中、びしょ濡れになった婉寧が立ちすくんでいた。そこで沈玉容は一旦、薛芳菲を下ろし、婉寧と相対する。婉寧は羹を食べて喀血、沈玉容に毒を盛られたと気づいていた。「その女を救うために私を殺すのね? 私はその女を殺させたけれど、最後にはやっぱりその女を選ぶの? あなたに尽くしたのに、その私に毒を盛るなんて…哥哥が許さないから!」「殿下も承知の上だ、成王の挙兵には大義名分が必要だからな」「沈玉容…私を愛していた?」しかし沈玉容は何も言ってくれない。兄と情夫の裏切りを知った婉寧は絶望した。「あなたからもらったかんざし…今、返すわ」すると婉寧は沈玉容の手に菊のかんざしを握らせ、その手をつかんで自分の胸を突き刺してしまう。「沈玉容…これであなたが公主殺しの罪人になる…先に地獄で待っているわ」その様子をちょうど意識が戻った薛芳菲が見ていた。沈玉容は薛芳菲を連れ、婉寧の亡骸を届けに李(リ)家に向かった。痺れ薬で体が動かない薛芳菲は揺れる馬車の中、沈玉容の恐ろしい計画を知る。実は沈玉容は軍営で成王に謁見した際、兵馬が入城できた暁には魚符が欲しいと頼んでいた。『蕭蘅をこの手で殺したいのです』沈玉容は薛芳菲の心を奪った蕭蘅を骨の髄まで恨んでいた。太極殿で成王の凱旋を祝う宴が始まった。城楼から宮中を警戒する陸璣(リクキ)、城外では楚嵐(ソラン)が臨戦態勢で合図を待っている。一方、侍衛親軍司(ジエイシングンシ)でも衛兵が集結していた。すると徐直(ジョチョク)が駆けつけ、都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)の逮捕令を示す。「北境と通じ武器を密輸、謀反の意図あり、縄に就け!」しかし誰も従わず、逆に徐直が捕まってしまう。実は張巍は徐直が蕭大川の密偵だと知っていた。「だから泳がせていたのだ、自分たちが優位だと思わせるためにな」( ๑≧ꇴ≦)おじーちゃーん!w沈玉容は李瑾(リキン)に婉寧の亡骸を届け、本当に死んだと明かした。「長公主は私に毒を盛られたと誤解し、悲憤の中で自害した だが成王殿下の大計どおり進めれば良い、事が成った後、私が自ら罪を請う」李瑾は長公主の亡骸に付き添い、急逝を嘆きながら李宅を出発した。その様子を眺めながらほくそ笑む沈玉容。すると入れ違いに薛芳菲が連行されて来る。「もう後戻りできないわよ?」「…ここで待っていろ」沈玉容は兵士に薛芳菲を見張るよう命じ、馬で出かけて行った。薛芳菲が屋敷に引きずり込まれそうになっていると蕭大川が乗り込んで来た。「老将軍!蕭蘅を助けに行って!沈玉容が魚符を持っている!」「まずはそなたを助けてからだ!」しかし李家の侍衛たちが駆けつけ多勢に無勢、蕭大川に勝ち目はない。その時、驚いたことに闇市の頼彪(ライヒョウ)たちが雪崩れ込んで来た。実は蕭蘅が大昭(ダイショウ)へ出かけていた時、陸璣が密かに闇市へやって来たという。『主君から伝言です、″時は来れり″と…』文紀(ブンキ)は回廊で控えている蘇(ソ)内官に反乱が始まると報告、皇帝を脱出させるよう頼んだ。蘇内官から耳打ちされた洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は麗(レイ)妃を連れて中座しようとしたが、成王に邪魔されてしまう。「雪隠へ参る、すぐ戻る」「この曲が終わったら私も付き合おう」「ふふ、成王殿下、私がいるのに陛下が戻らないはずありません」麗妃は皇帝を逃がすため宴に残ると決意、一献したいと言って成王の席へ向かった。後ろ髪を引かれる思いで太極殿を出た皇帝は蕭蘅と合流した。しかし蕭蘅は追っ手を阻むため、皇帝の警護を陸璣に任せるという。「明日、生きて必ず会おう」「御意」その頃、宴席に婉寧公主の亡骸を抱いた李瑾が現れた。「殿下!殿下!長公主が殺されました!皇帝の仕業です! 皇帝は殿下の功を妬み、都から生きて出さぬと… 暗衛に長公主の捕縛を命じ、騒ぎの中で長公主が命を落としたのです」成王は妹が本当に死んだと知り驚愕したが、大義名分を得て挙兵、麗妃を共犯者として拘束してしまう。朝臣たちは突然の政変に動揺した。中には明らかに謀反だと弾劾する大臣がいたが、その場で呆気なく殺されてしまう。すると李仲南(リチュウナン)が成王に忠誠を誓い、長公主の仇を討つと賛同した。朝臣たちは成王を恐れ、やむなく追従するしかない。こうして成王が皇帝誅殺を掲げ、ついに謀反の火の手が上がった。城内から合図の照明弾が上がった。楚嵐は軍営を出発、宮中では張巍率いる侍衛親軍を文紀たちが阻む。「謀反人、張巍を捕えろ!」一方、皇帝を追いかける成王ら北境軍の前には蕭蘅と国公府の暗衛が立ちはだかった。楚嵐たち北境軍は城門で足止めされていた。すると城楼に沈玉容が現れ、魚符を示して城門を開けるよう命じる。軍令は絶対、龍武軍の総領将軍・楊青(ヨウセイ)は好む好まざるに関係なく、従うしかなかった。文紀たちは張巍を殺害、侍衛親軍を平定した。しかしそこへ楚嵐率いる北境軍が雪崩れ込み、形勢は逆転する。「やはり大昭の加勢は役に立たなかったか…」「何を言う!早見優!」すると司徒九月(シトキュウゲツ)が代昭軍を率いて駆けつけた。「外はおとりよ!精鋭は隠しておいたの」「よし、ここであの時の決着をつけよう!」一方、陸璣は暗衛たちをおとりにしながら皇帝を誘導していた。しかし李仲南率いる反乱軍に見つかってしまう。「陛下、お迎えに上がりました、協力して頂けるなら成王に命乞いしましょう」その時、城楼に現れた伏兵が一斉に矢を放ち、反乱軍は壊滅する。「遅くなりました!」禁軍を率いて現れたのは姜元柏(キョウゲンハク)だった。李仲南は一緒に趙鄴を捕らえてくれるなら成王に口添えすると懐柔したが、激怒した姜元柏に蹴り飛ばされてしまう。「捕らえよ!」文紀は司徒九月の助太刀で楚嵐を生け捕りにした。すると九月は精鋭たちと城外の支援に向かう。一方、蕭蘅は亡き父の宝剣を抜いて成王と死闘を繰り広げていた。決着がつかないまま対峙する蕭蘅と成王、その時、北境軍の兵士が思わず″龍武軍はまだか″とぼやいてしまう。皇帝を案じた蕭蘅は暗衛に門を死守するよう号令、屋根に飛び上がって消えた。姜元柏は先帝との誓いを守り皇帝を救った。そこで急いで城門へ向かうことにしたが、突然、蕭蘅が駆けつける。「姜相国、陛下を国公府へ」「分かった」しかし龍武軍がこちらに向かってくると知らせが届く。蕭蘅は自分が止めると言ったが、その時、蕭大川が薛芳菲を連れて戻って来た。蕭蘅は愛しい薛芳菲を馬から降ろし、2人はしばし抱き合った。しかし別れを惜しむ時はなく、蕭蘅は陸璣たちに皇帝を必ず守るよう頼んで馬で駆けて行ってしまう。「蕭蘅はどこへ?」「陛下、粛国公は龍武軍を引きつけ、城外に出るつもりです」すると薛芳菲は老将軍に弓を貸して欲しいと頼んだ。疾走する蕭蘅の前に龍武軍を手中に収めた沈玉容が現れた。「蕭蘅!探していたぞ!自らやって来るとな!…放箭(ファンジィェン)!」蕭蘅は父の宝剣で弓矢を弾き飛ばし、城外を目指した。しかしあと一歩のところで城門を閉められてしまう。馬を捨て孤軍奮闘する蕭蘅。すると城楼へ上がった沈玉容は龍武軍を下げた。「蕭蘅!…お前を殺す気はなかったが、阿狸が惚れたようだ お前のせいで私の顔も見たくないと…」「沈学士!阿狸が愚か者だと蔑んでいたが、本当だな」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ <お前が阿狸と呼ぶなぁぁぁぁぁぁ!蕭蘅はふと背後を気にした。しかし愛する人への未練を断ち切り、城楼を見上げる。「これは決死の戦い!もとより生還は望まぬ!」つづく( ˙꒳˙ )ユーロンは仮死薬じゃなくて本当に毒を入れたんだろうね
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第38話「反乱の足音」沈玉容(シンギョクヨウ)は母と妹を故郷へ戻すことにした。贅沢な暮らしに慣れた2人は貧しい町に戻りたくないと反発、母はせめて理由を知りたいという。「都で何が起こるのか知る勇気があると?」その意味を悟った沈夫人は青ざめ、急いで荷造りすると決めた。洪孝(コウコウ)帝・趙鄴(チョウギョウ)は成(セイ)王・趙晟(チョウセイ)が多数の兵馬を従えて帰京すると知り激怒した。それにしても俘虜(フリョ)を口実に押送と称して兵を増やすとはよく考えたものだ。蕭蘅(ショウコウ)は成王と婉寧(エンネイ)では考えつかない妙策だと感心し、裏に参謀がいると怪しむ。実は成王に入れ知恵したのは沈玉容だった。その夜、沈玉容は京城郊外の軍営で密かに成王と接触した。沈玉容の策により大軍で都に迫ることができたとご満悦の成王。すると沈玉容は次に挙兵の大義名分が必要になるという。「最良の名目は長公主の死」沈玉容は婉寧を殺して皇帝に罪を被せるよう献策したが、激怒した成王から剣を突きつけられてしまう。「殿下の運命はこの挙兵で決まる、殿下は果敢なお方だと信じています」冷静になった成王は剣を収め、ならば死を装ってはどうかと提案した。そこで沈玉容は婉寧に知らせず仮死薬を与えて一芝居打つという。成王は確かに妹の気性では惨めな役回りを拒むと考え、婉寧には事が済んでから自分が言い聞かせると約束した。「感謝いたします、殿下、こたびの功労として殿下に所望したき物が…」ヒイィィィ~!(゚ロ゚ノ)ノ帰還した成王率いる北境軍は民衆の熱狂的な歓声を受けた。太極殿では皇帝と文武百官が総出で成王を出迎え、その偉大な戦功を称賛する。「祭祀後も都に滞在しては?」「明日の祭祀の後すぐ引き上げるつもりです 北疆は一見、平穏ながら少しも油断できません、ご理解ください」儀礼を交わしながら互いを牽制する皇帝と成王、その様子を見ていた蕭蘅と沈玉容も火花を散らしていた。成王は公主府に婉寧を訪ね、李家での身勝手な振る舞いを嘆いた。「李仲南(リチュウナン)との関係が切れたら宿願が遠のくのだぞ?」「哥哥…妹妹を責めるのね?城を捨てて一目散に逃げた昔とは大違い」「蕭暝寒(ショウメイカン)さえ邪魔しなければ、今、玉座にいるのは私だった」「まさかその息子があれほど情に溺れるなんて、兵権より女子を選んだ」すると婉寧は一緒に母妃の参拝へ行こうと誘った…劉(リュウ)氏はまだ幼い趙晟と趙婧(チョウセイ)を残して逝くことになった2人の子に恵まれたおかげで身分は低くとも貴妃に封じられたが、すでに皇帝からの寵愛を失い、薄氷を履む思いで慎重に生きてきたと吐露する『私が死んだら兄妹で助け合いなさい、いいわね? 宮中では弱き者が蹴落とされる、勝ってこそ生きられるの 皇権を手に入れることは己を守る何よりの武器になる』…趙晟は母妃の遺言を思い出し、優しい兄の顔に戻った。すると永安(エイアン)閣に李仲南がやって来る。「明晩の宴の刻限に動きます」3人は京城の地図を眺めながら改めて計画を確認すると、婉寧は沈玉容を呼んで兄に紹介した。「″お初にお目にかかります、陛下″」(((((((゚ロ゚ノ)ノ ヒイィィィーッ!一方、蕭蘅(ショウコウ)も成王の謀反に備えて万全の準備を整えていた。采配を終えた蕭蘅は中庭で薛芳菲と一息つきながら、ついにこの日が来たと感慨深い。「大理寺の牢で私に尋ねたな?もう一度、尋ねるがよい」「…身近に冤罪で亡くなった人はいる?」「いる、父は龍武軍を率いていたが、私利を図る成王に見捨てられて辺境で果てた 父のために登聞鼓(トウブンコ)を打ったが正義を取り戻せなかった この8年間ずっと考えていた 非業の死を前に父は何を思っただろうか、人に裏切られ後悔はなかっただろうかと」すると薛芳菲はもし蕭将軍が存命なら、民を慈しみ生きてきた父と盟友になれただろうと言った。「蕭蘅、きっと蕭将軍があなたを守ってくれる…あなたを信じてる、だから私を信じて 私はあなたを決して見捨てない」姜宅に三娘子の若瑶(ジャクヨウ)から文が届いた。若瑶は永(エイ)州で元気に暮らしているという。老夫人は安堵したが、姜元柏(キョウゲンハク)が急に中書令としての日々を振り返った。あれは先帝が病床についた時のこと。先帝は趙鄴の師・姜元柏を呼んで急に中書令に封じ、自分の死後に趙鄴を支えるよう頼んだ。しかし生真面目な姜元柏は太傅として権力をふるえば疎まれると考え、親政が始まるとあえて李仲南と権力を二分していた。それ以来、李仲南とは時に対立し、時にかばい合ってきたという。すると姜元柏は家中の不穏な空気に気づきながら構う余裕がなかったと吐露し、全て自分の過ちだと嘆いた。老夫人は息子が珍しく宮中の話題に触れたことから、政変が近いと気づく。「今日は母親(ムーチン)に心の準備をして頂くために参りました もし私に何かがあれば母親に姜家を託します」「心配ないわ、お前には長年、苦労をかけたね」老夫人は息子との別れを嘆くより、先代の気骨が備わった息子が誇らしかった。老夫人たちの話をちょうど晩鳳堂を訪ねた楊(ヨウ)氏が立ち聞きしていた。驚いた楊氏は慌てて引き返し、屋敷にいた姜元興(キョウゲンコウ)に反乱が起こると知らせる。すると姜元興は戦功が華々しく大軍を率いる成王が勝つと踏み、荷物をまとめて母の里に逃げると決めた。皇帝は明日の祭祀を前に麗(レイ)妃と側仕えの蘇(ソ)内官を宮中から逃がすことにした。しかし2人とも皇帝のそばを離れないと拒否、運命を共にするという。こうしてそれぞれの思惑が絡み合う中、ついに祭祀当日を迎えた。隆孝(リュウコウ)皇帝の位牌が祀られた壇上に並んだ3人の子供たち。趙鄴は父皇が与えてくれた皇位を必ず守ると誓い、趙晟は自分を選んでくれなかった父皇への恨みを募らせる。そんな中、婉寧は心ここに在らずだった。あの日、代国から戻った婉寧は病床の父皇を見舞った。人払いして枕元へ薬湯を届けた婉寧。父皇は目を潤ませ再会を喜んだが、婉寧は代国では人以下の扱いだったと嘆いた。それでもいつか父皇が迎えに来てくれると信じていたという。『お前には申し訳ないことした』『あなたは自分自身や息子を愛するように私のことを…』『もう言うな、あの時、代国のやつらは朕をあぶり焼きにすると脅してきた、朕はやむなく…』『父皇、私を愛していたのか聞いたのです』しかし父皇は急に激しく咳き込み、答えをはぐらかした。すると婉寧は枕で父の顔を力の限り押さえつけ、殺めてしまう。…悪いのはあなたよ?だから私に報いてもらう…∑(⊙∀⊙)ヒャーーー!婉寧!マジか!祭祀が終わり、成王と蕭蘅は皇帝を見送った。「粛国公、9年ぶりか?私が都を出た時はまだこんなに小さかったな 両親が存命ならさぞ喜んだであろう」「父親は運悪く戦死しました、今の殿下のご活躍を見ればさぞ喜んだでしょう」成王は蕭蘅が真相を知っているのか探ろうとしたが、蕭蘅は昔の話だと遮った。「そなたは父親の前轍を踏むでないぞ」「危険は御免です」2人の立ち話は一見和やかに終わったが、互いに腹の内は見せなかった。趙珂(チョウカ)は姜梨の安全を守るため姜宅で警戒していた。すると回廊で姜元興に呼び止められ、枯れた植木を見て欲しいと懇願される。仕方なく一緒に姜元興の屋敷まで同行、そこに突然、曲者が飛び込んできた。使い手の趙珂は曲者を殴り飛ばし、生け取りにしようと近づいたが、背後から姜元興に襲われ、薬を嗅がされて倒れてしまう。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ まさかの三叔父!蕭蘅を心配する薛芳菲のもとに白雪(ハクセツ)が密書を届けた。…相談したき事あり、すぐ国公府へ来られたし、蕭蘅…白雪は明日にするよう止めたが、薛芳菲は居ても立ってもいられなかった。そこで白雪を下げ、呼び笛で趙珂を呼ぶ。「国公府へ行きたいの」「はい」趙珂は拱手して拝命したが、薛芳菲が自分の指を見ていることに気づいて慌てて腕を下ろした。姜元興は姜梨が出かけたのを確認すると伝書鳩を飛ばした。手首には縛られた痕が残っている。一方、薛芳菲は馬車に揺られながら、父と弟に何かあったのかと気が急いた。「趙珂?!まだ到着しないの?」「もうすぐです、Rニャンズー」…二娘子?…趙珂は姜梨をいつも″娘子″と呼んでいた。薛芳菲はふと趙珂の指が1本だけ短かったことを思い出し、偽物だと見抜く。そこで馬車を止めて逃げようとしたが、趙珂に首を突かれて意識を失った。薛芳菲が目を覚ますと、薛昭(セツショウ)が閉じ込められていた地下牢だった。すると婉寧公主が趙珂を連れてやって来る。「彼は何者?!」「見破ったのはあなたが初めてよ~」薛芳菲をさらったのは変装の達人・明智小五郎だった。←違うw「蕭蘅が来るのを待ってお前の末路をゆっくり見てもらうことにする~」婉寧は偽の懐妊を仕組んだ薛芳菲に怒りが爆発、その細い首をつかんだ。「子を失った痛みや夢が破れた辛さがお前に分かる?!」「愛する人に生き埋めにされた絶望なら分かるわ!」「ふっ、シュェファンフェィ…たまにお前が好きになる、沈玉容がいなければ友になれたかも あら、清らかな夫が不幸にも私に毒されたと思った?もともと私と同類なのよ」すると婉寧は長い袂を翻しながら嬉しそうに帰って行った。つづく( ๑≧ꇴ≦)婉寧!薛パパと婉寧はユーロンの本性に気づいていたのねw
2025.11.10
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墨雨云间 The Double 全40話第37話「死の真相」国公府に捕らわれた冑曹(チュウソウ)参軍・徐直(ジョチョク)は釈放、侍衛親軍司(ジエイシングンシ)に復帰した。都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)は徐直を労い、これを乗り切れば名誉と冨貴を手にできると鼓舞する。一方、何も知らずに国公府を訪ねた薛芳菲(セツホウヒ)は薛昭(セツショウ)から昨日の騒ぎを聞いた。蕭蘅(ショウコウ)は皇帝に禁足を命じられ、面会も許されないという。そこで薛芳菲は粛(シュク)国公への差し入れを口実に衛兵から許しをもらって奥殿へ入った。あの風流な蕭蘅が身なりも整えず、のんきに短剣を研いでいた。薛芳菲はこれも策略だと気づき、今度は″君臣の離反劇″かとからかう。さすがに禁足が2日では短過ぎると指摘したが、蕭蘅はやり過ぎはかえって疑われると言った。「老将軍との諍いも?」「祖父の話はするな」すると薛芳菲は何を思いついたのかさっさと帰ってしまう。「差し入れは?!」「これは阿昭のよー」奥殿を出た薛芳菲は回廊で暇そうに控えている陸璣(リクキ)と文紀(ブンキ)を見つけた。皇帝が禁軍を派遣したため、禁足が解けるまで蕭蘅と接触できないという。「蕭蘅と老将軍が衆目の中で揉めたとか、どうして祖父と孫が反発を?」陸璣は口が堅かったが、文紀は姜梨(キョウリ)なら仲裁できるかも知れないと期待した。…蕭蘅にとって父・蕭暝寒(ショウメイカン)の死は大きなしこりだったあれは龍武軍の生き残りである副将・彭広(ホウコウ)が蕭大川を訪ねてきた時のこと小蕭蘅は回廊でこっそり2人の会話を盗み聞きしてしまう『奴らが見捨てなければ蕭将軍は生き延びられたのです 奴らは援軍を出そうとせず、唯一の退路を封じた』成王・趙晟(チョウセイ)は葬儀で蕭暝寒を師と仰ぎながら涙を流した彭広は老将軍が必ず成王の陰謀を明かしてくれると信じていたが、思いがけず蕭大川は龍武軍の再建のため復帰を決めてしまう諦め切れない彭広は自分で真相を洗い出すことにしたしかし逆に誣告され、汚職の罪を着せられ斬首されてしまう真相を知る唯一の人物が亡くなり、打ちひしがられる小蕭蘅正義を求めて長安門の登聞鼓(トウブンコ)を叩くも、祖父に連れ戻され、国公府に閉じ込められてしまう龍武軍と言えば禁軍の選り抜きで編成する精鋭部隊だった小蕭蘅は隠居していた祖父が突如、軍事の要職に就いたことを訝しみ、息子より名声を得たと非難、この日を境に祖父と決裂してしまう…蕭蘅は国公府に5年も閉じ込められた。父の死の真相を調べることもできず、植物を育て、戯曲を楽しむだけの生活だったという。「気性も変わってしまったそうです」「そうだったの…私、老将軍に会ってくるわ」薛芳菲は蕭大川の屋敷を訪ねた。老将軍の部屋には息子夫婦や孫の思い出の品が並び、いかに家族を愛していたのかが分かる。「老将軍、過去の話をお聞きしたいのです」「そなたにどんな関係が?」すると薛芳菲は蕭蘅と想い合っていると伝えた。そんな率直な姜梨を気に入った蕭大川は昔話を伝える代わりに、ある人物を紹介するという。「だが内密にな、蕭蘅に言ってはならぬ、悲しませる」「知るかどうかは蕭蘅本人が決めることでは?」一方、婉寧(エンネイ)公主は自分が下手に出た途端、つけ上がった李瑾(リキン)に怒りを募らせていた。「やはり調教しなくては…」そこで李瑾を呼びつけてはあごで使い、自分に従わせようとした。しかし自尊心の高い李瑾はついに堪忍袋の緒が切れてしまう。婉寧は李瑾に食事の給仕をさせ、わざと海老を落として拾って食べろと迫った。すると李瑾は自棄になって海老を口に放り込みながら不敵な笑みを浮かべる。「ふっ…私は沈玉容のような犬に成り下がるつもりはない!」「無礼者!」婉寧は逆上、李瑾を引っ叩いたが、李瑾は沈玉容のもとへ行けと冷たく突き放し、出て行ってしまう。蕭大川が姜梨に紹介したのは蕭蘅の乳母だった王(オウ)氏だった。薛芳菲は衛兵に賂を渡して王氏と一緒に蕭蘅に面会、蕭蘅はひと目見ただけで幼い時の乳母だと気づく。「王媽媽じゃないか!両親亡きあと世話をしてくれたが、突然、姿を消したな」「それは…小公子、高熱を出して苦しんだことを覚えていらっしゃいますか? 実は私が毒を盛ったのです」「何だって?!」当時、王氏は成王に我が子を人質にされ脅されていた。医者の手当てで蕭蘅は事なきを得たが、老将軍に毒を盛ったと見破られてしまう。しかし事情を聞いた蕭大川は追及するどころか、路銀を持たせて都から逃がしてくれた。「老将軍に蕭将軍の死の真相を明かす際に証言すると約束しました まさか老将軍との再会より先に小公子に会うことになるとは… 老将軍はこれまでずっと援助してくださいました」話を聞いた薛芳菲は成王が老将軍への警告の意味で蕭蘅に毒を盛ったのだと気づき、禁足が解けたら一緒に老将軍を訪ねようと提案した。祖父の屋敷は今も家族の思い出の品であふれていた。蕭蘅は驚きを隠せなかったが、ならばなぜ大切な家族を害されながら成王と結託したのかと嘆く。「我が子を殺した敵と結託するものか!」すると蕭大川はようやく重い口を開いた…息子を祖父のもとへ帰し、南疆の軍営から北疆の望(ボウ)城へ出征した蕭暝寒しかし成王は死を恐れ、援軍を待たず民を見捨てて撤退すると決める蕭暝寒は猛反発するも成王は決定を下すのは総帥である自分だと譲らなかった軍命は絶対、蕭暝寒はやむなく龍武軍も撤退させ、親衛兵200名足らずで望城に残るやがて敵軍が30里に迫った蕭暝寒は援軍が間に合わないと分かり、親衛兵100名を民と共に逃すよう命じる蕭暝寒は民たちを避難させる時間を稼ぐため、山あいの間道で敵軍を迎え撃つことにしたわずか100名で挑んだ大軍との戦いは死闘を極めたが、その時、避難を終えた彭副将が駆けつける『将軍!我々も撤退しましょう!』しかしすでに敵の後方部隊が目前に迫っていた逃げ道をふさがれた親衛兵たちは望城へ戻ろうと提案したが、彭副将の話では成王の命で城門が閉じられたという蕭暝寒は成王を誅するべきだったと後悔したが遅かった『将士們!生還の希望を捨てよ!』すると蕭暝寒は彭副将に100人の名を覚えて必ず帰還し、自分たちが大燕のため散ったと報告するよう命じた彭広は自分も残ると拒んだが、強引に連れ出されてしまう『将軍nnnnnnnnnn!』…蕭蘅は成王が望城の民を犠牲にしたと露見するのを恐れ、父の退路を断ったと知った。祖父は成王が王氏に近づいて孫を殺めようとしたと気づき、蕭蘅と蕭家を守るため息子の戦死を認めて龍武軍に復帰したという。「幼いお前が理解できないのも無理はない、だが大人になっても頑迷だとは」蕭大川は浅はかな孫に呆れた。実は徐直は蕭大川が侍衛親軍司に送り込んだ間者だという。徐直は張巍と成王の繋がり突き止め、すでに1年も張巍を監視していた。彭広が殺されたあと蕭蘅を国公府に閉じ込めたのは、真相に迫って幼くして汚い大人の世界を知るのが忍びなかったという。「説明すれば済むことなのに!…それで100人の将兵の名を覚えているのか?」「もちろん1人残らず」「名誉を取り戻す、姜梨は父の冤罪を晴らした、私にできぬはずがない…帰るぞ」祖父への誤解が解けた蕭蘅は祖父を国公府へ引き取ることにした。「成王が祭祀で帰京する、骸を引き取るのはごめんだからな」その頃、珍しい草薬を調べていた沈玉容は書の中で見つけたある薬材を入手した。家職の話では大昭(ダイショウ)が採取地で、かつて寒証の治療に用いられていたという。しかし過剰に摂取するとつわりのような膨満感や吐き気が見られ、脈にまで懐妊の相が現れて誤解を招くことになった。そのため利よりも害が多い薬とみなされ、次第に使われなくなったという。「薬効が切れるのは一月後です」一方、李瑾と口論になった婉寧は激しい腹痛で倒れ、流産した。これで名門の李家も終わりだと涙に暮れる李仲南(リチュウナン)。李瑾はせめて父だけでも守ろうと自分の首を差し出す覚悟で長公主を訪ねたが、慌てて李仲南が駆けつけた。「殿下、次男は出家し、残された子は1人だけ、どうかご容赦ください」すると婉寧は衛兵の帯剣を抜いて李仲南に突きつけた。「息子が可愛いのね、ならば私の子は?!親子共々首を落としてやる!」婉寧は剣を振り上げたが、李仲南と李瑾は病み上がりでふらふらの長公主をあっさり退けた。「殿下、ご乱心ですか?たとえ成王に知られようと息子を殺めることは許さぬ!」激情に駆られた李仲南は私兵を呼んで長公主を包囲、その時、沈玉容が現れた。沈玉容は人払いしてから婉寧の懐妊が偽装だったと明かした。にわかに信じられない婉寧だったが、確かに麗(レイ)妃の宴で毒味させずに酒を飲んでしまったことを思い出す。この薬材が採取できるのは大昭のみ、恐らく司徒九月(シトキュウゲツ)と麗妃が蕭蘅と姜梨に加担したのだ。「我ら全員、謀られたのですな…」李仲南は咄嗟に不敬を詫びたが、婉寧に消えろと追い出されてしまう。「梅香(バイコウ)、成王に文を…挙兵を促して」すると婉寧はその場で崩れ落ちた。「天からの贈り物だと思ったのに…子は消えた、いなくなった…」沈玉容はまた授かれると励ましたが、婉寧はその日が来ないことを知っていた。成王は婉寧が蕭蘅に魚符を出させたと知って上機嫌だった。思えば蕭暝寒の龍武軍さえいなければ何年も北の辺境で苦労せずに済んだだろう。当時、趙晟は自分が父皇のために戦っている隙に幼い趙鄴(チョウギョウ)が即位したと知って激怒、暗殺を試みた。しかし蕭暝寒に計画を阻止され、煮え湯を飲まされる。「ようやくこの日を迎えられた…祭祀の機に奇襲をかける」楚嵐(ソラン)は祭祀に大軍を率いて向かうことは無理だと思ったが、成王には切れ者の参謀がいた。文紀の報告により薛芳菲の策が見破られたと分かった。薛芳菲は蕭蘅の役に立てなかったと落胆したが、蕭蘅はむしろ戦わずに済む方が稀だという。「安心しろ、こたびは私がお前の駒となる、お前は高みの見物でいい」「死なないでね」「嵐が来る、姜家にこもれ、父親と弟のことは私に任せろ、お前さえ無事なら私は大丈夫だ」すると薛芳菲は蕭蘅に抱きついた。つづく_| ̄|○ ガクッ!って婉寧ー!婉寧がオカルトじゃないとこっちがガッカリなのよ ←違う方向へ行ってるw
2025.11.06
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墨雨云间 The Double 全40話第36話「老将軍の思惑」久しぶりに晴れやかな朝を迎えた沈玉容(シンギョクヨウ)。実はその頃、婉寧(エンネイ)公主は腹の子を守るため李瑾(リキン)に嫁いでいた。李瑾は殊勝な様子で拝礼の儀に挑む長公主に戸惑いながらも床入りの儀へ、すると婉寧の態度が一変、夫婦の杯をわざとこぼして李瑾を追い出してしまう。「疲れたわ…駙馬、聞こえなかった?」婉寧は納得のいかない婚姻に苛立ちを隠せず、独りになると沈玉容からもらった菊のかんざしを眺めて涙に暮れた。一方、薛芳菲(セツホウヒ)は今日も弟の世話を焼いていた。すると薛昭(セツショウ)が全て片付いたら淮郷(ワイキョウ)に帰り、瓊枝(ケイシ)に会いたいという。薛芳菲は瓊枝が非業の死を遂げたと言えず、薛昭が死んだと聞いて悲しんでいたが、良い相手が見つかって遠方へ嫁いで行ったと嘘をついた。「そうか…彼女が幸せならいいんだ」その頃、大昭(ダイショウ)では蕭蘅(ショウコウ)が司徒九月(シトキュウゲツ)の毒蜘蛛探しに付き合わされていた。九月は蕭蘅と2人だけの時間が嬉しかったが、蕭蘅は相変わらずつれない。「まだか?!暑くて敵わん!」九月は仕方なく切り上げ、兄との交渉が上手くいったか聞いた。すると蕭蘅は九月の駙馬になることが条件だったと明かし、九月から断って欲しいと頼む。「率直に言おう、兵を借りられねば困るが婚姻はできぬ」「今日、付き合ってくれたのは下心があったからね?!」「駄目なら帰国して死を待つのみ」九月は呆れたが、助けるのはこれが最後だと言った。薛芳菲は蕭蘅が帰ってくると知って肉を焼いて待っていた。宴の準備を手伝っていた薛昭と海棠(カイドウ)は2人の邪魔にならないよう退散、その時、帰ってきたと知らせが来る。薛芳菲は喜んで迎えに出たが、現れたのは蕭蘅の祖父・蕭大川(ショウダイセン)だった。すると慌てて文紀(ブンキ)が駆けつけ、蕭蘅が戻ったら連絡するという。「どうせ私に会いたくないのだろう?…仕込んだ酒が余った、飲め、帰る!」「先帝と山河を平定した誉れ高き蕭老将軍ですね!」姜梨(キョウリ)の言葉を聞いた蕭大川は機嫌良く出て行ったが、門前でちょうど屋敷に到着した孫と出くわす。しかし蕭蘅は挨拶どころか祖父に一瞥もくれず通り過ぎた。蕭蘅が屋敷へ入ると、ちょうど薛芳菲が老将軍の届けた酒甕を持ち上げようと苦戦しているところだった。「良いところに…この酒を」「分かっている、毎年届き、毎年捨てている」蕭蘅はせっかくの再会が祖父のせいで台無しになったと落胆したが、阿狸(アリ)が帰国の宴に肉を焼いてくれたと聞いて笑顔を見せた。蕭蘅は兵を借りる条件が駙馬になることだったと話した。しかし薛芳菲は蕭蘅が承諾しないと分かっていながらわざとつれなくする。「そうなの…だったら行けば?早馬を準備する?」「私が承諾したらお前が許さない…私には分かる」薛芳菲は失笑し、実は婉寧が李瑾に嫁いだと教えた。計画とは違ったが、思いがけぬ収穫もあったという。李瑾は気位が高いため婉寧といては心穏やかでないはず、表面上は静かに見えても実は激しく波打っているはずだ。「薬効が消えたら大騒ぎになる」一方、沈玉容は婉寧の懐妊を訝しみ、草薬の書を調べ始めていた。粛清された皇城司の残りの将たちは辺境へ異動となった。しかし武器庫担当者が命乞いのため自供、三月前に申請数を超える武器を受領したが、超過分は入庫しなかったという。恐らく皇城司と武庫署が通じて成(セイ)王に武器を横流ししていたのだろう。蕭蘅は早速、皇珹司の武器支給を審査した武庫署の曹斌(ソウヒン)を訪ねたが一足遅く、曹斌は汚職を認める遺書を残して自害していた。すると武庫署の署令・黄賢松(オウケンショウ)が駆けつける。蕭蘅は曹斌が武器を横流ししていたと弾劾したが、黄署令は何も知らなかったと訴えた。「では曹斌が担当していたのは皇城司の他にどこだ?」「確か…侍衛親軍司(ジエイシングンシ)です」黄署令の話では曹斌が見直したいので侍衛親軍司と皇城司の文書を持ち帰ったという。確かに書斎には紙の燃えかすがあった。そんなある日、突然、沈家に婉寧がやって来た。婉寧は李家での生活にへき易していたが、沈玉容は自分たちの子供ためだと言い聞かせる。「私のように接する人は他にいません お坊ちゃんの李瑾は辛抱を知らない、あまり追い詰めませんように 今は静かに時を過ごすことが重要なのです」「はいはい、分かったわ」沈玉容が婉寧の肩を抱き寄せると、婉寧は子の名前を考えようと提案した。「安寧で穏やかに暮らせるよう殿下の寧と、雪のように純潔であれと願って…」「沈・寧・雪…?では呼び名は小雪にする」婉寧は母となる幸せをかみしめながら沈玉容の肩にもたれていたが、沈玉容の氷のように冷たい表情には気づかなかった。蕭蘅は侍衛親軍司を訪ねた。都指揮使(トシキシ)・張巍(チョウギ)は蕭大川の元部下、蕭蘅から武器の横流しの件を聞いて武器担当の冑曹(チュウソウ)参軍・徐直(ジョチョク)を呼んでくれる。「我々の武器を調べたいそうだ、協力してやれ」しかし張巍と徐直の対応は完璧すぎてむしろ不自然だった。武庫署の記録と照合するため書類を借りて侍衛親軍司を後にした蕭蘅と陸璣(リクキ)。すると武器署を調べていた文紀が駆けつけた。「武器生産量が出庫量を上回っています 曹斌は侍衛親軍司とも通じて余分な武器を出庫していました!」「監視せよ、徐直は捕らえる」一方、張巍は早速、蕭大川を牽制した。実は皇城司が武庫署と組んで武器を横領していたことが発覚、粛国公が侍衛親軍司にも疑いをかけているという。「捜査は構いません、しかし証拠もなく部下を捕まえ拷問したなら…黙っておれません」李瑾は長公主が沈玉容に会いに行ったと知っていた。追跡されたと知った婉寧は逆上するところだったが、ふと沈玉容の言葉を思い出して落ち着きを取り戻す。「これも一種の協力関係よ、助けてくれれば十分な褒美をあげる」「お守りしたいだけです、あなたのお子を… 結局、沈玉容のことが漏れたら皆が困ることになる、ふっ」婉寧は子のためにこらえたが、増長した李瑾へ怒りを募らせた。国公府に捕らわれた徐直は超過分など知らないと否定したが、文紀は一晩、責めれば白状すると踏んだ。しかし蕭蘅は明日まで待てないという。その時、門衛が慌てて駆けつけた。「侍衛親軍が国公府を包囲しました!」張巍は徐直を無断で連れ去ったと激怒、半刻以内に解放しろと要求した。国公府の前で睨み合う蕭蘅の暗衛と張巍率いる侍衛親軍、すると慌てて蕭大川がやって来る。「張巍、私の顔を立ててここは退いてくれ、今日中に部下を送り届ける」すると張巍は剣を納め、撤退した。蕭大川は武器の横流しの案件なら徐直を三衙で審理させるよう提案した。しかし蕭蘅は皇帝に従うと拒否、かつて父の変死を調べず、今さら部下の肩を持つのかと非難する。「ともかく徐直を解放しろ、家で話そう」「私に家などない」すると蕭蘅は屋敷へ入り、門を閉めてしまう。皇帝のもとに横暴な蕭蘅を弾劾する奏状が山のように届いた。皇帝はさすがにやり過ぎだと激怒、自分でもかばい切れないという。「限度を知れ!2日間の禁足を命じる!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ゆーろーん!ゾクゾクする壊れっぷりですw
2025.11.04
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第4話黄天狂(コウテンキョウ)に追われ、咄嗟に穴蔵に逃げ込んだ皇北霜(コウホクソウ)と霍擎雲(カクケイウン)。すると愛馬の飛踏(ヒトウ)が追っ手を引きつけてくれたおかげで2人は難を逃れた。安堵した霍擎雲だったが、その時、上を見上げた皇北霜は目に砂が入ってしまう。「私が取ってやる」霍擎雲は皇北霜の目に息を吹きかけて砂を払った。思いがけず顔と顔が接近して気恥ずかしくなる2人。「…出よう」「はお」一方、若問(ジャクモン)は道に迷った格心微(カクシンビ)のため、地図を求めて宿場町に到着した。霍擎雲は皇北霜を休ませるため宿場にある和南(ワナン)客桟に到着した。追われているというのに人目につく場所だと困惑する皇北霜、しかし霍擎雲は″灯台下暗し″だと笑って入ってしまう。実は和南客桟は莽流(モウリュウ)の拠点だった。皇北霜は部屋へ案内してくれた沙曲(サキョク)の腰にある莽流の令牌に気づいたが、まさか霍擎雲が莽流の門主だとは知る由もない。皇北霜が寝床を整えていると、霍擎雲は大漠奇巻(タイバクキカン)をめくりながら、どこで手に入れたのか聞いた。「幼い頃、父の旧友から頂いたの」「どんな人物だった?」「10年以上も前のことで忘れてしまった…なぜ書が欲しいの?」「集めたら大成するという噂だ、カネに換えて妻を娶るんだ」「良縁に恵まれるといいわね」「そう簡単じゃない、巡り合わせだからな、困難や挫折を乗り越えた先に見つかるものだ じゃあお休み」すると霍擎雲はこっそり香炉にある香を入れて出て行った。…莽流を率いる霍擎雲は容豁(ヨウカツ)という男を探していた容豁の情報を得た霍擎雲は沙曲と雲沛へ向かったが、砂漠で刺客に襲撃されてしまう実は一掃した刺客は天都(テント)の隠密だった『行動が読まれている、間者の捜索を頼む、5日後に和南客桟で…』こうして沙曲と別れた霍擎雲は皇北霜の一行に助けられることになる…皇北霜がぐっすり眠っている間に霍擎雲は門下と合流した。沙曲はすでに間者を洗い出したと報告、直ちに一掃する。一方、夜も更けた頃、若問と格心微はようやく客桟を見つけた。残念ながら満室を知らせる赤い旗が掛かっていたが、若問は赤い旗の下にある黒い旗に気づく。「莽流の合図だろう、恐らくここは奴らの諜報活動の拠点だ」若問はここなら地図が手に入ると喜び、ひと芝居打つことにした。沙曲は容豁が雲沛城主・那戦(ナセン)に捕らわれていると報告した。「ところで門主、あの娘は?」「ついでに助けた」「女子を連れているのを初めて見ました」すると店番が慌てて部屋に駆けつけた。実は目が不自由な妻が赤い旗だと知らず夫を連れて乗り込んできたという。夫は馬商人だと言ったが、どうもただの商人には見えなかった。そこで霍擎雲が戸の隙間からこっそり覗いてみる。「はっ!若問だ!まずいぞ、足止めしろ」霍擎雲は皇北霜を抱きかかえ、自分の部屋へ移した。一方、沙曲は若問に裏庭の小屋なら無料で貸すと持ちかけたが、激怒した若問に腕をひねりあげられてしまう。すると格心微がその隙に階段を上がって行った。「空いてる部屋があったわ!」喜んだ若問は沙曲を解放して2階へ、沙曲は慌てて追いかけたが皇北霜の姿はなかった。「そう言えばお客さん、目が不自由なのでは?」「あ…たまに見える時があるの」翌朝、皇北霜が目を覚ますと霍擎雲の部屋だった。「迷香をたいた?」「安神香だ、よく眠れただろう?迷香ならまだ寝ているさ」霍擎雲は客桟に若問がいると教え、食事を持ってくると言った。しかし部屋へ戻ろうとした時、霍擎雲は運悪く若問たちとすれ違ってしまう。若問はどこか見覚えがあると気づいて男を引き止めたが、思い出せなかった。そこで麻随の地図を探す間、格心微に今の男の連れが誰か確認してこいと命じる。すると格心微は思いがけず皇北霜と再会した。霍擎雲は皇北霜の友人が麻随の九公主だと聞いて2人の関係を怪しんだ。あの時、実は格心微も若問に捕まって死風区の牢で使節団と一緒になったという。格心微は皇北霜が逃げたと聞いて助けに戻ってくると確信、時間稼ぎに若問を連れ出していた。「麻随の財宝があると嘘をついたわ、でも道が分からなくて地図を探しにきたの」「一緒に逃げましょう!」「実はもう若問は私の男なの、安心して」すると霍擎雲は麻随の地図なら自分が持っていると言った。霍擎雲は沙曲に帳簿の間に麻随の地図を挟ませた。すると精算に来た若問が気づいて咳払いで合図、格心微はわざと酒瓶を落として沙曲を自分の方へ誘導する。その間に若問は帳簿の中に隠してあった麻随の地図を抜き取り、酒を弁償して格心微と帰って行った。霍擎雲は厄娜泣(ヤクナキ)と麻随で格心微の人相書きを確認するよう指示し、沙曲と別れた。すると皇北霜は沙曲が莽流の門下だと知っていると明かす。「令牌に″莽″とあった、どこにでも入り込む″莽″…だから莽流よ、知り合いなの?」「旧友だ…そっちこそ、なぜ麻随の九公主と?」「ただの旧友よ」互いに相手の正体を怪しみながら雲沛へ出発した皇北霜と霍擎雲。しかし砂漠ではすでに黄天狂(コウテンキョウ)が2人を待ち伏せしていた。皇北霜と霍擎雲は再び蛮狐(バンコ)たちに追われた。逃げきれないと気づいた皇北霜は霍擎雲だけでも逃げるよう言ったが霍擎雲は拒否、すると霍擎雲の背中に弓矢が命中し落馬してしまう。「私に構わず行け!」敵に暗器を放ち、時間を稼ぐ霍擎雲、しかし皇北霜は飛踏(ヒトウ)を止めて引き返し、霍擎雲を馬に乗せた。「なぜ戻った?!」「私を雲沛まで送ってくれる約束よ!あともう少し!雲沛へ入ればあきらめるわ!」2人は無事に砂漠を出て雲沛に入った。すると霍擎雲は居雲閣(キョウンカク)へ案内、皇北霜が傷の手当てをしてくれるという。しかし矢傷は思ったより深く、毒矢だった。…それなのになぜ脈が弱っていないの?中毒症状も出ていない…皇北霜は戸惑いながらも霍擎雲の背中の毒を吸い出し、包帯を巻いた。「これでお互い借りは返したわね」「ちゃんと覚えてる、まだ返してもらっていない」皇北霜が薬湯を持ってきた。すると上着を脱いだせいで門主の令牌が外れたことに気づかず、皇北霜に見つかってしまう。「あの時は傷を負った身で明かすことはできなかった、砂漠は危険な場所だ、分かるだろう?」「悪名高いことで有名よね、草薬篇を狙ってついてきたの?」「あの時はね…」「今は?」「どう思う?」皇北霜はあえて答えなかった。莽流と言えば砂漠をさまよう謎の集団、各城都の機密情報を握っていると言われる。しかしどうやら各々、別の思惑があるらしい。「あの時、砂漠で独り何をしようとしていたの?」その時、急に熱が上がった霍擎雲は意識を失ってしまう。一方、容豁を監禁した那戰は莽流を警戒していた。そんな中、和親祭典の通牒の受付が終わる。小さな部族では雲沛まで辿り着けない娜袖も少なくなかったが、天都は誰も送ってこなかったという。最後に受付を済ませたのは締め切りの1刻前に到着した厄娜泣だった。しかし道中で盗賊に襲われ献上品がなく、肝心の娜袖の姿も見えなかったという。「まあよい、死人に用はない」皇北霜は霍擎雲に付き添っていた。すると悪夢にうなされた霍擎雲が皇北霜の手を握りしめる。「そばにいてくれ…」皇北霜は霍擎雲を落ち着かせると、そっと彼の頬に手を伸ばした。つづく
2025.11.03
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漠风吟 Love In The Desert 全26話第3話解毒薬を拒み、媚薬による高熱で苦しみ始めた皇北霜(コウホクソウ)。彼女を救うためにはもはや情を交わすしかない。霍擎雲(カクケイウン)はついに皇北霜を押し倒したが、皇北霜はふと我に返って制止した。すると皇北霜は熱った体を冷ますため、上掛けを脱いで湖へ入ってしまう。霍擎雲は背を向けていたが、気がついた時には皇北霜の姿は消えていた。一方、死風区(シフウク)でも媚薬を飲まされた若問(ジャクモン)が体内にこもった熱に苦しめられていた。奴婢から抜け出したい皇北霜の侍女・果児(カジ)はこの機に若問に取り入ろうとしたが相手にされない。結局、若問は格心微(カクシンビ)を今夜の相手に選んだ。すると自由を愛する格心微は荒くれ者の若問に惹かれ、反発しながらも若問と枕をともにしてしまう。翌朝、皇北霜が目を覚ますと霍擎雲の腕の中にいた。霍擎雲の話では皇北霜が意識を失って湖に沈んでしまったという。「また助けられたわね…」「岸まで運んだだけさ」すると皇北霜はようやく名を教え、必ずこの恩を返すと約束した。初めて見せる皇北霜の柔らかな笑顔、しかし皇北霜はここでお別れだという。「仲間を見放せない」そこで霍擎雲は死風区で取り戻した大漠奇巻(タイバクキカン)を皇北霜へ返し、取り引きを持ちかけた。「手伝うからこの書を譲ってくれないか?」「はお」一方、若問と情を交わした格心微もまたようやく自分の名を教えていた。「覚えておいて、あなたがこの格心微の男になったのよ」しかし若問は砂漠一の美女に執着し、名残惜しそうに皇北霜から奪ったかんざしを眺めている。格心微は身分を入れ替えた皇北霜が無事に逃げたと気づき、恐らく仲間を助けに戻ってくると踏んだ。…うまく事が運ぶよう若問を引き離さなくては…そこで格心微は自分が麻随(マズイ)の九公主だと明かし、送り届けてくれるなら城主の陵墓に案内すると懐柔した。「財宝がたくさんあるわよ?」霍擎雲は皇北霜を連れて弱小の盗賊の根城にやって来た。頭目の侗巴赫(トウハカク)は女だけ残して男を殺せと命じたが、霍擎雲に剣を突きつけられてしまう。その時、侗老は男の腰に莽流(モウリュウ)の令牌があることに気づき、急にしおらしくなった。盗賊での生活に限界を感じていた若問はさらなる高みを目指し、麻随へ出かけることにした。しかし娜袖(ナシュウ)が仲間を助けに来るかもしれないと警戒。格心微の期待に反して若問は配下を全て残し、ひとりで同行すると決めた。侗老たちの協力を取りつけ死風区に向かった霍擎雲と皇北霜。探ってみたところ運良く若問が留守だと分かる。霍擎雲は付近に爆薬を仕掛け、念のため皇北霜に護身用の短剣を渡した。死風区に顔馴染みの侗老たちがやって来た。すると盗賊に扮装した霍擎雲は侗老が病で口が利けなくなり、自分が後継者になったと報告する。「黄天狂(コウテンキョウ)は砂漠でも屈指の存在、だから仲間を連れて身を寄せたい」霍擎雲は投降の手土産として皇北霜を差し出した。霍擎雲たちは黄天狂に迎え入れられ、宴会が始まった。一方、皇北霜は牢で仲間たちと再会したが、残っているのはわずか。「私が必ず助けるわ」皇北霜は霍擎雲が若問の腹心・蛮狐(バンコ)から密かに盗んだ鍵を受け取っていた。皇北霜は脱出の機会をうかがっていた。しかし給仕していた果児が霍擎雲の正体に気づき、娜袖の仲間だと暴いてしまう。和やかだった宴は一転、戦場と化し、霍擎雲は合図の照明弾を放って火薬を爆発させた。皇北霜たちも急いで牢を脱出、馬に乗ったが、爆発のせいで追撃できなくなった蛮狐が矢を放つよう命じ、朶再(ダサイ)の背中に命中してしまう。その頃、格心微は知らない土地のせいで道に迷ったとごまかし、時間を稼いでいた。…助けられたかしら…ようやく逃げ切った皇北霜たち。しかし生き残れたのは護衛・廉幻(レンゲン)と侍女・夜佩(ヨハイ)だけだった。霍擎雲は虫の息となった朶再を抱きしめ涙に暮れる皇北霜を見守っていたが、その時、朶再が″九公主″と呼ぶのを聞いてしまう。「…何事にも終わりがあります、これだけは覚えていてください、 知恵で全てを取り戻し、決して欲望にのまれないと…最後に呼ばせてください…小九公主 もうおそばにいられません、夫人を探しに参ります…そして一緒に故郷へ… 家に帰りたい…私のためにあの曲を吹いてくれませんか…厄娜泣(ヤクナキ)の歌を…」すると皇北霜の笛の音を聞いた朶再はついに事切れてしまう。皇北霜はこの機に廉幻と夜佩を自由にすると決めた。しかし2人は娜袖に忠誠を近い、雲沛(ウンハイ)へ同行するという。約束を果たした霍擎雲は大漠奇巻を手に入れ、最後に侗巴赫から頂戴した衣装を渡して出発しようとしたが、皇北霜は雲沛まで護衛して欲しいと頼んだ。「まだ取り引きできる物があるのか?」「もう価値のあるものは残っていない」「あとで返すと約束してくれ」霍擎雲は承諾したが、その時、皇北霜が立ちくらみを起こしてしまう。まだ毒が抜けたばかり、そのうえ緊張状態が続いて限界が来たのだろう。そこで霍擎雲は廉幻と夜佩を先に行かせ、通牒を渡して手続きを済ませておくよう頼んだ。「私たちは翌日、到着する」霍擎雲は皇北霜を乗せた馬を引いて砂漠を進んだ。皇北霜の正体が九公主と気づいた霍擎雲はそれとなく探りを入れてみる。「なぜ遠く旅してまで運に頼るんだ?雲沛の他にも城はある」「他の2つは駄目なの、麻随は心がすさみ落ちぶれた、自身の立場も危ういのに庇護する力はない 天都(テント)なんて願い下げよ」「なぜ天都は駄目なんだ?」すると皇北霜は先を急ぐため馬に乗るよう告げ、そこで話を終わらせてしまう。黄天狂が2人を追って来た。皇北霜は近くの樹林へ行こうと提案、そこで馬を降りると霍擎雲が穴蔵へと誘う。「なぜ樹林のことを?」「昔、河床があった地形だもの、河沿いに進めば植生する場所がある あなたこそ、なぜ穴蔵があると分かったの?」「ただの感さ、大規模な隊商は天幕を張るが、個人の行商人は樹林の穴蔵で野獣を避ける」その時、樹林に追っ手が現れた。霍擎雲は皇北霜をかばうように引き寄せたが、ふいに抱きしめられた皇北霜は緊張してしまう。つづく( ˶´꒳`˵ )ハニーちゃんイイ!
2025.11.02
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墨雨云间 The Double 全40話第35話「懐妊の誤算」国公府で静養していた薛昭(セツショウ)が回復。薛芳菲(セツホウヒ)は弟に肩を貸し、杖を使って歩く練習をさせていた。すると薛昭がつまずき、ちょうど中庭へ出てきた蕭蘅(ショウコウ)が慌てて駆けつけ手を貸してくれる。「謝謝、姐夫」薛昭から思いがけず″兄さん″と呼ばれ、目を丸くしながらも悪い気はしない蕭蘅。薛芳菲ははにかみながら、蕭蘅に何か用かと聞いた。「まずは私の小舅子を部屋まで送ってこよう」↓(*°ㅁ°)ジェフゥ?!一方、公主府では婉寧(エンネイ)が体調を崩して起きられずにいた。侍女は早速、太医を呼んで薬をもらうことにしたが、脈診した章(ショウ)太医は激しく動揺してしまう。「私では分からないので他の太医を…」「信用できるのはあなただけ、何の病か言いなさい」「…殿下、月の障りはありましたか?どうやらご懐妊かと」しかし代(タイ)国から戻った婉寧の診察をした時、懐妊する可能性はないと診断したのは章太医だった。「ゆえに驚いているのです、まさに天恩か奇跡です」「では堕胎してもまた懐妊できるの?」「そのような運が再び向くかは何とも…」蕭蘅は今夜、大昭(ダイショウ)国へ発つと伝えた。阿狸(アリ)に言われた通り公主府を見張らせていたが、懐妊が発覚し、診断した太医を殺したという。実は薛芳菲が司徒九月(シトキュウゲツ)から受け取った薬は懐妊を装う毒だった。薛芳菲はあらかじめ自分の体で確認し、懐柔した麗(レイ)妃に頼んで誕辰の宴席で婉寧の酒に入れてもらったという。蕭蘅は身体に障りがないと聞いて安堵したが、これからどうするつもりか聞いた。すると薛芳菲は沈玉容(シンギョクヨウ)と婉寧の悪行を白日の下に晒し、成(セイ)王の牙を抜くという。「私が不在の間に無謀なことはするな」「分かっています、粛国公」薛芳菲は改めて自分を都へ連れ帰り、最初から最後まで見捨てずにいてくれた蕭蘅に感謝した。「私の成功は近い、次は恩返しをする番ね」「まだそんなことを…お前には心のまま生きて欲しい」こうして蕭蘅は単身、大昭国に乗り込んだ。懐妊した婉寧の心は揺れていた。大燕のため代国に人質として送られた過去を持つ婉寧。しかし歓待どころか野蛮な国王に乱暴され、最も下等な側女と蔑まれて羊小屋に放り込まれてしまう。暴力を受けては羊小屋で死んだように眠る日々の中、懐妊すれば自ら冷たい湖に浸かって堕胎するしかなかった。このおぞましい経験により婉寧は子供を望めない体になってしまう。未婚の長公主が懐妊したとなれば一大事だと分かっていたが、婉寧はこれが最後の機会だと悟り、子を残すと決めた。「梅香(バイコウ)、今すぐ沈玉容を呼んできて」沈玉容は婉寧の懐妊に驚いた。すると婉寧は皇帝に沈玉容との婚姻を願い出るという。沈玉容は自分との密通が知られれば長公主の名声が傷つくと難色を示したが、婉寧は腹の子に正当な父親が欲しいと訴えた。「私は何も恐れない、ただ好いた男と添い遂げたいの!」「では私は何をすれば?」「私たち母子を快く沈家に迎え入れて」沈玉容の胸に顔を埋める婉寧、しかし沈玉容の目は死んでいた。薛芳菲は趙珂(チョウカ)から沈玉容が公主府を訪ねたと聞いた。「つがえた矢を放つ時が来たようね」一方、大昭へ侵入した蕭蘅は衛兵に追われ負傷したが、危ないところで司徒九月からもらった鈴を示して無事だった。蕭蘅が密かに会いに来てくれたと喜ぶ九月、しかし蕭蘅からあっさり国君に会いに来たと言われてしまう。蕭蘅は国君に大昭の軍隊を借りたいと頼んだ。実はひと足先に楚嵐(ソラン)も成王に与するよう説得に来たという。このまま洪孝(コウコウ)帝との結盟を守って油断させ、いざ成王が挙兵した際に寝返るという筋書きだ。蕭蘅は国君が成王を信じていないと推察、協力してくれるなら皇帝は必ず恩を返すと訴えた。すると国君は皇帝を信用できないが、蕭蘅のことは信じているという。一方、大燕では長公主懐妊の噂が都中に広まり、あっという間に宮中まで届いた。麗妃は早速、皇帝の耳に入れ、皇家の面目を潰さぬよう太医に確かめさせるべきだと進言する。「だが太医を送っても追い返されるだけであろう?」「私が同行して長公主に会ってきましょう」「そなたに頼む」麗妃が太医を連れて長公主懐妊の真相を確かめに来た。しかし婉寧は脈診を拒否、麗妃と2人だけで話したいと太医たちを下げてしまう。「賢(ケン)妃のことを忘れたの?」「人を脅す前に手中にある者をよく確かめるのね」婉寧はもはや切り札が使えなくなったと知り、姜梨(キョウリ)側に立つつもりかと迫る。すると麗妃はどちらの肩も持たないと言った。「あなたが先に私を追い詰めたのよ?私は人に脅されるのが大嫌い 陛下にはありのままを報告するわ」婉寧は焦燥感を募らせた。そこへ翰林院で広まる噂を耳にした沈玉容が駆けつける。婉寧はこれから謁見して沈玉容の子だと釈明すると訴えた。噂を調べに来た麗妃から脅され、すでに皇帝も懐妊を知っているという。しかし沈玉容は全てがあまりに早すぎると違和感を覚えた。長公主が懐妊した途端に噂が広まり宮中まで届き、早々に麗妃が太医を連れて乗り込んで来るとはおかしい。「誰かの仕業としか思えない、とにかく冷静に」沈玉容は恐らく自分たちに密通を認めさせ、薛家の案件に道を開くことが目的だと考えた。何より大事な局面で騒ぎを起こせば成王が足元をすくわれてしまう。「哥哥…」「成王が大業を成して即位すれば私たちを咎める者はいなくなる、次々と子宝に恵まれます」「沈玉容!この子がどれほど得がたいか…命に変えてもこの子を守る!」「では殿下、屈辱に耐えるお覚悟が?」すると沈玉容は家柄が釣り合う李瑾(リキン)の子だと嘘をついて守るのが唯一の方法だと言い放った。婉寧は呆然、やはり沈玉容は駙馬になるつもりなどなかったのだろう。沈玉容は否定しなかった。「この命を捧げます、どの道を選ぼうと私は殿下と一緒です」「残酷ね…何もかも知っているくせに…」婉寧はその場で泣き崩れたが、沈玉容は突き放すように黙って見ているだけだった。長公主との縁談は失脚した李仲南(リチュウナン)にとって成王に取り入る千載一遇の機会となった。李瑾はいきなり身重の長公主の駙馬になれと厳命され、気が遠くなってしまう。一方、薛芳菲は侍女から婉寧が李家に嫁ぐという噂だと聞いた。「李家?…沈玉容の仕業ね、思いのほか狡猾だわ」つづく( ๑≧ꇴ≦)李瑾wwwwwwwwもはやネタ要員
2025.11.01
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