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2021.08.19
カテゴリ： 琉璃 全59話
第６話
禹司鳳(ｳｼﾌｫﾝ)は褚璇璣(ﾁｮｾﾝﾁﾞｰ)を寝台にかくまい、奇しくもそのまま一緒に寝る羽目になった。
しかしやがて眠りについた璇璣が寝返りを打って司鳳に抱きつき、さらに足まで絡みつけてくる。
激しく胸が高鳴る司鳳、結局、同部屋の門弟たちが寝静まった頃を見計らい、璇璣を部屋まで送って行った。
その頃、天墟(ﾃﾝｷｮ)堂の属下は秘境にいた。
そこで結界を破ろうとするも失敗、しかも上古燭龍(ｼｮｸﾘｭｳ)が守護している分かって早々に退散する。
秘境石の異変に気づいた褚磊(ﾁｮﾗｲ)と昊辰(ｺｳｼﾝ)は慌てて駆けつけたが、そこには誰もいなかった。
簪花(ｼﾝｶ)大会も後半、再び秘薬を飲んだ軒轅(ｹﾝｴﾝ)派の石楓(ｾｷﾎｳ)が快進撃を見せた。
そしていよいよ司鳳と烏童(ｳﾄﾞｳ)、因縁の対決が始まった。
類いまれな才能を持つ司鳳は烏童を圧倒、後がない烏童は禁止になった呪術を使ってしまう。
実は烏童は容(ﾖｳ)谷主から今回の大会で優勝しなければ点睛(ﾃﾝｾｲ)谷を出て行くよう勧告されていた。
すると咄嗟に褚磊が試合に介入、呪術を消散して烏童の反則負けを告げる。
焦った烏童は過ちを認めて試合続行を懇願したが、褚玲瓏(ﾁｮﾚｲﾛｳ)はここぞとばかりに見下した。
「あなた″尊厳″って言葉を知らないのぉ～？あなたの師父も負けを認めたわよ～だ」
烏童は口の減らない玲瓏に激高し、矛先を変えていきなり玲瓏に襲いかかった。
その時、姉を守ろうと飛び出した璇璣が身代わりに刺されてしまう。
烏童は璇璣を刺したまま池に転落した。
すると突然、璇璣が目を開けて烏童をにらみ付ける。
…横暴な輩め、報いを受けるがいい…
容谷主は正道から外れた烏童を早々に見限り、点睛谷から追放して大会も辞退した。
こうして烏童は五大門派の敵となり、お尋ね者となる。
一方、司鳳も副堂主に辞退を伝えた。
ここで手柄をあきらめれば仮面を失くした罪をあがなう機会を失うが、意識が戻らない璇璣を放ってはおけない。
副堂主は呆れ果て、好きにしろと突き放した。
うなされる璇璣を見た司鳳は草笛を吹いて落ち着かせたが、このまま別れも言えず、離沢(ﾘﾀｸ)宮に帰らねばならないのだろうか。
…君が笑顔を見せてくれたら、どんな困難にぶち当たっても乗り越えられるのに…
医術に長けた楚影紅(ｿｴｲｺｳ)は璇璣の手当てをしながら、その回復力に驚いていた。
「あんな深手を負ったのに数日でほぼ回復したわ、不思議なものね」
すると昊辰(ｺｳｼﾝ)は各門派から届いた薬が効いたのだろうという。
とは言え気血をかなり消耗しているため、璇璣はまだ数日、眠り続けると思われた。
司鳳は毎日、璇璣の見舞いに通ったが、いよいよ帰り支度を命じられた。
大会は混乱に乗じて軒轅派の優勝で幕を閉じ、閉会の儀式もないという。
結局、司鳳は璇璣の意識が戻るのを待たず、少陽山を去ることになった。
「璇璣、聞こえないと思うが言わせてくれ、君に出会えたことは最大の喜びだ
約束は忘れない、何があろうと必ずまた会おう」
司鳳が璇璣に別れを告げていると、鐘敏言(ｼｮｳﾋﾞﾝｹﾞﾝ)と玲瓏がやって来た。
そこで司鳳は離れていても会話ができるという″伝音鈴(ﾃﾞﾝｵﾝﾚｲ)″を玲瓏に託し、璇璣に渡して欲しいと頼む。
鐘敏言と玲瓏も盟友となった司鳳との別れを惜しみ、離沢宮へ会いに行くと告げた。
それにしても司鳳は長老たちの思惑が解せない。
烏童は平凡な弟子、なぜ門派が総出で捕らえようと必死なのだろうか。
離沢宮へ帰った司鳳は仮面を紛失した罪で早速、長老たちの審議にかけられた。
司鳳は潔く″十三戒の酷刑″を受ける覚悟を示すと、副堂主は司鳳の令牌を没収し、煉獄(ﾚﾝｺﾞｸ)塔へ入れろと命じる。
その時、咄嗟に堂主が止めた。
掟を犯したのは初めてで理由もあり、酌量の余地があるという。
そこで堂主は２年前に閉関していた時、司鳳が真心で尽くしてくれた褒美として今回の罪を免じると言った。
しかしさすがに長老は堂主が独断で掟を変えることに難色を示す。
副堂主も司鳳は仮面を失っただけでなく、少陽派の褚璇璣という女子と親しくなったと指摘した。
「″深い情″と自分で申しておりました、禹司鳳、覚えているな？」
「はい、璇璣に特別な想いを抱いているのは事実です」
離沢宮の弟子は女子に心を許さず、妻も娶れぬのが掟だった。
愛弟子を守ろうとした堂主もこれには激怒、それでもやはり千年に一度の奇才である司鳳を無駄死にさせるわけにいかない。
すると副堂主が揚げ足を取った。
「ｱｲﾔ～堂主、煉獄塔を抜け出せぬ者が離沢宮の奇才と呼べますか？」
追い詰められた堂主はひとまず司鳳を収監するよう命じ、決定を引き伸ばすことにした。
司鳳が収監された牢の隣には柳(ﾘｭｳ)大哥がいた。
「柳大哥？」「おう！小鳳凰じゃないか！」
柳大哥は驚いたことに法術で柵を消し、やすやすと司鳳の牢へ移動した。
「障眼(ｼｮｳｶﾞﾝ)法だ、長い牢屋暮らしで身につけた、この牢はとっくに攻略済みだ」
離沢宮は苦水(ｸｽｲ)河の上に建ち、地下には恐ろしい毒水が流れているが、柳大哥は外へ通じる抜け道を掘ったという。
「だから娘さんに会いに行けるのですね？…戻って来て牢で暮らすのも娘さんのため？」
司鳳は柳大哥が前宮主に娘・玉児(ｷﾞｮｸｼﾞ)を人質にされ、誓いを立てたと知っていた。
そのため十数年も牢の中にいるのだろう。
柳大哥はあの厳格な司鳳が仮面を失くしたと聞いて驚いた。
恐らく仮面を外したのは女子だろう。
すると司鳳はかつてこうして柳大哥から俗世の話を聞かせてもらったことを思い出し、懐かしんだ。
「外の世界はさまざまな情が交錯して煩雑だが、味わい深いところだと…
今なら私も分かります」
「小鳳凰、お前は一見、冷たそうに見えて本当は誰より素直だな…好きな女が？」
司鳳は何も答えなかったが、柳大哥はようやく気づいた。
仮面を失くしたことより、好きな女子がいると認めれば師匠も愛弟子をかばいきれないだろう。
十三戒の煉獄塔は全部で13層、中には獣や妖魔がいて邪悪な陣が張られ、最上層まで行けた者だけが生き残れた。
しかし今まで生きて出られた者はわずかだという。
そこで柳大哥は司鳳を逃がそうとしたが、司鳳は反徒になるのを拒んだ。
「わずかでも可能性があるなら必ず煉獄塔を抜け出して見せます」
璇璣がようやく目を覚ました。
喜びに包まれる褚磊たち、しかし璇璣は池に落ちた自分を助けたのが六師兄だと誤解している。
すると玲瓏から自分が寝ている間に大会が終わり、司鳳が離沢宮に帰ったと聞いた。
司鳳が毎日、見舞いに来てくれたと知った璇璣は見送りもできなかったと落胆したが、師兄たちが見舞いに来てくれるとすっかり忘れてしまう。
褚磊は武芸ができず、何度も死にかけている璇璣が気がかりだった。
無事に成長するだけで十分だと思っていたが、常にそばで守ってやることも難しい。
すると昊辰は実は師匠が璇璣の素質を見抜いて弟子に迎えたいと言っていると嘘をついた。
確かに璇璣には六識がないが、その心に汚れがなく、大道無情訣(ﾀﾞｲﾄﾞｳﾑｼﾞｮｳｹﾂ)の修行に向いているのだという。
褚磊は喜び、旭陽(ｷｮｸﾖｳ)峰に入って師兄の直弟子になれたら幸せだと言った。
数日後、すっかり回復した璇璣は父に呼ばれた。
そこには昊辰師兄の姿もある。
璇璣はまた何か失態を犯したと誤解し、迷惑ばかりかけて反省していると言った。
すると昊辰はしっかり修行してはどうかと提案する。
璇璣も大事な人を守るため、強くなりたいと希望した。
「璇璣師妹、旭陽峰で私と一緒に修行しないか？」
( ˙꒳˙ ).oO(イケメン師兄と？
褚磊は実は恒陽(ｺｳﾖｳ)が璇璣を弟子に迎えてくれると教えた。
( ˙꒳˙ ).oO(私を弟子に？…ってまさか年取って壊れたんじゃ…
にわかに信じがたい璇璣だったが、昊辰は六識がなく人と異なるのも天賦の才だと励ました。
「正しい方法で修行を積めばきっと道が開ける」
( * ॑꒳ ॑* ).oO(司鳳もそんなこと言ってた！
璇璣は旭陽峰で修行すると決めた。
司鳳は伝音鈴を鳴らして璇璣を呼んだ。
すると玲瓏が応答し、璇璣がすでに回復していると知る。
「今、父上のところだから、あとで伝えるわ！」
「待っているから連絡をくれと伝えてくれ」
「任せて！」
つづく
( ๑≧ꇴ≦)しふぉん…もうHPがゼロよ〜w
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