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第22話「麒麟の子」

懐妊して3ヶ月、駱青蓮(ラクセイレン)はお腹が目立たぬよう布を巻き、その間にお守りの長命鎖を入れていた。
「神様がきっと守ってくれる」
すると侍女の染雲(ゼンウン)が御子は平気でも、夜伽を断りに行く度に後ろめたさに苛まれ、自分の心臓がもたないと笑う。
一方、静姝(セイシュ)館では南如珍(ナンジョウチン)が鳴りを潜めていた。
「例の件は始末したわね?」
「はい、誰にも知られていません」

そんなある日の朝議、安(アン)王は嬉しそうに麒麟の子が元気に遊ぶ夢を見たと話した。

「将来の世継ぎということは私の爵位を継ぐ運命の孫が生まれるのか!」
しかし息子たちの中に心当たりのある者はいないという。
そこで早速、総管・于徳常(ウトクジョウ)を息子たちの屋敷に遣わし、懐妊した妻妾がいないか調べるよう命じた。

于総管は麒麟の子を見つけられないまま最後に睿(エイ)郡王邸を訪ねた。
事情を聞いた東籬(トウリ)はこれで主も懐妊を明かせると喜んだが、駱青蓮は顔を曇らせる。
「屋敷と王府で避けるべきは″貪心(タンシン)″よ
 人は貪心ゆえにボロを出す、瑞兆と聞けば秘密を明かしたくなるわ
 でもこれは天が与えた試練ね、沈黙を守る」

方懐蕊(ホウカイズイ)は妻妾を驚秋(キョウシュウ)院に集めた。
結局、駱青蓮は懐妊を隠したまま、他に懐妊の兆候がある妻妾は見つからない。
方懐蕊は妻妾たちを引き連れ、落胆する于総管を見送りに出た。

妻妾たちはおかしな物でも食べたのかと冷ややかだったが、于総管は試しに医官に脈診させることにした。
すると驚いたことに南如珍が懐妊していると分かる。
報告を聞いた安王は大喜びだったが、賀連修は狐につままれるたような顔をしていた。

↓マイマイの目w



冷遇されていた南如珍が思いがけず立場を回復した。

すると一足先に方懐蕊が彤冊を確認していた。
「疑念を抱いたのは私だけではないようね…どうぞご覧になって」

南如珍の最後の夜伽は確かに2ヶ月前だった。
落胆した駱青蓮は一足先に引き上げたが、許寄柔(キョキジュウ)と沈静容(シンセイヨウ)が慌てて引き止める。
「妹妹、詳しく調べてみたら疑わしい点があったの」
一方、賀連修(ガレンシュウ)は手先の裏切りに怒り心頭だった。
しかし嫡妻・阮之湄(ゲンシビ)は逆境こそ辛抱が肝心だとなだめる。
「幸運は往々にして不首尾に終わる、南如珍の懐妊ももう1つの慶次にも…」
もう1つの慶次とは郡主・賀元雪(ガゲンセツ)の輿入れだった。
実は安王は瑞兆を祝う宴を開き、その場で斉良甫(セイリョウホ)が縁談を申し込んだところ上機嫌で了承したという。

婚礼を明日に控えた賀元雪は最後の望みをかけ、呂北逸(リョホクイツ)を訪ねることにした。
するとちょうど通りかかった大街で騒ぎを起こす書生を見かける。
書生は一途に想う相手を探し、香粉を売る店を回っていた。
<ある匂いの女子をずっと探している、誰か!あの人を知らないか?!
「たとえ愚かでも恋する人は幸せね…」
実はその様子を侍従・徐良川(ジョリョウセン)も見ていた。

徐良川の報告を聞いた南如珍は激高した。
「何ですって?!始末したはずでは?」
一方、賀元雪は呂北逸に縁談が決まったと報告していた。
「明日が婚礼よ」
しかし呂北逸は祝辞を述べただけ、やはり引き止めてはくれない。
「あなたに嫁ぎたかった…残念だわ」
すると呂北逸は郡主の最後の願いを叶え、しばし黒髪を梳かした。

呂北逸は郡主の馬車を見送ると、酒を買って屋敷に戻った。
すると机の上にあるはずの酒瓶を入れた化粧箱が消えている。
賀元雪が持ち去ったのは明らか、呂北逸はすぐさま賀連修(ガレンシュウ)に報告した。

その夜、賀連修は長沢(チョウタク)院に妹を訪ねた。
化粧箱を返すよう説得したが、賀元雪は想い人の品をどうしても手放さない。
「私が一番大切にしていた物は父親(フーチン)が下さった長命鎖、でも今後はこの酒瓶です
 帰って!これは誰にも触らせない!」
すると賀連修は毒薬を置いた。
「呂北逸から取り返して欲しいと頼まれたんだ、彼の本心を伝えよう
 ″郡主は私を愛すると言いながら他の男に嫁ぐ
 そんな女子に未練を残されても汚らわしく思う″とな」
賀元雪はそれが呂北逸の言葉ではないと分かっていた。
…でも私自身が自分を許せない…

翌朝、呂北逸は賀連修を訪ねた。
しかし箱を取り返せなかったと言うわりに賀連修はやけに落ち着いている。
実は化粧箱の下にはカラクリがあり、大事な地図が隠してあった。
「あの秘密が漏れれば修公子の命も危ないはず…郡主に一体、何をしたんです?!」
呂北逸は郡主の侍女から届いた絵を思い出した。
それは郡主自ら描いた呂北逸の絵姿だったが、足元に描かれた鳥籠の戸が開いて鳥の姿はない。
「はっ!」

賀連信は妹の輿入れを任されていた。
花嫁行列も間もなく新郎の屋敷に到着、それにしても妹の本意でない輿入れにも関わらず順調過ぎる。
その時、呂北逸が現れ、輿を止めた。
新郎は激怒したが、呂北逸が抱きかかえた賀元雪はすでに意識がない。
「急がないと全身に毒が回ってしまう!」
「王府へ戻れ!」
驚いた賀連信は慌てて引き返した。



良医署では昨夜、確かに毒薬が減っていたことが分かった。
医官たちはもはや手の施しようがないとあきらめたが、賀連信は呂北逸に何か方法があるはずだと迫る。
「1つだけあります、毒をもって毒を制す」
一方、安王は娘が生死をさまよっていると聞いても決して会おうとはしなかった。
民と官吏の自分への信頼を傷つける娘の暴挙、これからは元雪を娘とは思わないという。

つづく


( ゚ェ゚)お?書生が探しているのって南如珍?つまり公子の子じゃないのね
でもあの書生、男装している女だったけど・・・





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最終更新日  2024.11.17 21:58:20
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