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2017年01月09日
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数か月前の雨の日のことだった。

 仕事を終え、社屋を出て帰路についていると、駐車場に4~5人ほど人が集まっていた。

 車のボンネットを囲んでいる。

 その車が課長の新田のものであること、本人も車を囲って立っているので、葵は首をかしげた。

 新田は葵より先に社を出たはず。何かあったのかと思いつつ、駅に向かう道の途中でもあったので、新田に声をかけると、戸惑いの表情を浮かべつつ、事情を話してくれた。

 猫が車の下にいるらしいという。

 声に気付いた他の社員が気になってその場にとどまり、後で来た新田に猫の存在の可能性を伝えた。

 姿は見ていないが、声が聞こえたのだそうだ。

 新田が来てからは聞こえていないが、二人の社員が確かに猫の声を聞いていた。

 それも子猫の声を。

 車の下を覗きこんだが、姿はなく。

 新田自身は声を聞いていないので、もうどこか他に行ったのではないかと話しているところへ葵が来た状況だった。

 エンジン側にもぐりこんでいるかもと、ボンネットも開けてみたがいないようだという。

 葵は少し気になって、新田の了承を得て数度、ボンネットを叩いてみた。

 一度叩いて、少し間をおいて、再度叩いて。

 二度目叩いた時に、か細いながら子猫の鳴き声が聞こえた。

 その場にいた者、誰もが驚きつつ、再度、ボンネットを開けてみると、エンジンの上に薄汚れた子猫が一匹、体を小さくして震えていた。

 先ほど見たときはいなかったという。

 すきまに隠れていたのが上がってきたのだろうと判断しつつ、見つけたはいいが、どう見ても野良猫らしき子猫をどうしたものかと誰もが困った。

 その場の誰も引き取れる状況でないのは明らかで。

 とりあえず、葵は課長に頼んでなじみの動物病院に車で送ってもらった。

 葵の実家では猫を二匹、飼っている。

 扱いには慣れていたし、猫好きであった葵は、子猫をそのままにしておくことはどうしてもできなかった。

 それがリクを拾った経緯だった。

 保護した当初のリクは、その姿も健康状態もひどいものだった。

 体はやせ細り、毛並みは泥と雨にまみれて固まり、ごわごわしていて。

 目は目やにが大量に出て、左目は目ヤニが固まって上下の瞼が固まり、目を開けられない状態だった。

 なじみの動物病院は、実家の猫がお世話になっている。

 葵が着いたときには、運よく、来院者も動物もいなかった。

 事情を説明して、子猫を洗ってもらい、健康状態を確認する。

 幸い、栄養失調以外の症状はなく、目やにも大丈夫だろうが、一応目薬をもらうこととなった。





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最終更新日  2017年01月09日 18時00分05秒
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