2006年04月22日
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カテゴリ: BALLET

Japan tour 2006


Swan Lake ” (staged by Rudolf Nureyev )

April 22, 2006 (Friday) Tokyo Bunka Kaikan
Soiree

Odette/Odile: Marie-Agnès Gillot
The Prince: José Martinez
Rothbart: Karl Paquette


キャスト

『白鳥の湖』全4幕
2006年4月22日(土) ソワレ
東京・上野 東京文化会館 

振付・演出:ルドルフ・ヌレエフ
 (マリウス・プティパとレイ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

キャスト
オデット/オディール:マリ=アニエス・ジロー

ジークフリート王子:ジョゼ・マルティネス

家庭教師ヴォルフガング/ロットバルト:カール・パケット

第1幕


パ・ド・トロワ:
エミリー・コゼット
ドロテ・ジルベール
エマニュエル・ティボー

第2幕-

エミリー・コゼット、オーレリア・ベレ、
ローラ・エッケ、ローレンス・ラフォン

4羽の小さい白鳥:
ファニー・フィアット、マチルド・フルステー
ジェラルディーヌ・ウィアール、ミュリエル・ズスペルギー

第3幕
チャルダッシュ:ノルウェン・ダニエル、ブリュノ・ブシェ

スペインの踊り:
ミュリエル・アレ、ローレンス・ラフォン
ローラン・ノヴィ、クリストフ・デュケーヌ

ナポリの踊り:
メラニー・ユレル、シモン・ヴァラストロ



きょうは世界最高のバレエ団の、掛け値なしの世界最高レベルのステージを見た。
そして初めて、少しヌレエフの描きたかったスワンレイクの世界がわかった。
今までのいわゆるクラシック・バレエの「スワン・レイク」でこんなに感動したのは初めてだし、ヌレエフのすごさがわかり、何にもまして主役の2人が筆舌に尽くしがたくよかった。
ジョゼ・マルティネス、ダンスール・ノーブルとはこの人のような人のことを言うのだろう。気品があって、内省的で、おとなでした~。彼は苦しんで苦しんで心の中で泣いて王子を演じていた。パケットは金髪を封印し、難しいこの2役をこなしていた。演技が濃いし、うまい。
何よりもすばらしかったのはやはりマリー=アニエス・ジロ。完璧な踊り、それ以上に彼女は見事にヌレエフの思い描いたオデット・オディールになりきっていたのではないか。2幕で泣けてきたのは初めてだし、心を揺さぶられる舞台だった。今までのいわゆるクラシック・バレエの「スワン・レイク」は、ノイマイヤー版は除外して、超絶技巧の競演以上でも以下でもないものであった。しかしこの作品はそれ以上のものを希求していた。人間の生き方や悲劇性を描いている。おとぎ話でなく、リアルに感動してしまう。

客席にはお歴々がずらーっ。パトリス・バール、ローラン・イレール、ブリジット・ルフェーブル、ピエール・ラコット。きょうのイレール様は昨日と違うベージュのジャケット。にこやかにオーラを発しまくりでした。

序曲が始まる。すぐ幕が開く。
下手の椅子で眠る王子。悪夢を見ている。美しい王女がいる。王女は凛としている。気品がある。消える。ロットバルトが現れ、すーと舞台をすべるように動き、下手に消えていく。大きなマントを翻しているので脚の動きが見えないので滑っているよう。王女が現れ、ロットバルトによって鳥に変えられてしまう。

1幕
明るくなり、人々が王子の眠る広間にやってくる。女性4人組は王子の取り巻き。
「起きないわ。」
楽しく踊り続ける人々。
家庭教師のヴォルフガングは王子を起こす。ぱっと目を開ける王子。王子は悪夢を見ていたことを表に出さず、穏やかな笑みを浮かべて、女性2人をエスコートする。舞台中央で女性2人と手をつなぎ立つ。そしてすぐに男性ダンサー4人と共にダイナミックに踊る。しかしすぐにまた席に戻る。ワルツ。
コールドは踊り続ける。今度は女性たちと踊る。王子の取り巻きの友人達は実はヴォルフガングが大嫌い。女性たちにヴォルフガングが手を差し出してもいつも見事無視される。
宮廷の人間の一人がヴォルフガングにもうすぐ王妃がお出ましだと告げる。
「そうか。」ヴォルフガングに告げた男は友人達に
「言えたじゃない」とからかわれる。これはヴォルフガングが嫌われつつ怖れられていることを示す。
王妃が入場する。王妃は王子に告げる。
「あなたは世継ぎの君です。あなたに冠を授けましょう。あなたはもうすぐ王です。私は譲位いたします。でもその代わり后を娶るのです。約束してください。いつまでもこうしてはいられませんよ。」
王子は感動しつつも少し重荷に感じている。楽しい女友達ならともかく、后とは…。

パ・ド・トロワが始まる。エミリー・コゼット、ドロテ・ジルベール、エマニュエル・ティボー。
ティボーのソロは、驚異的な技は、正回転のトゥール・ザンレール、逆回転のトゥール・ザンレール、そしてまた正回転のトゥール・ザンレールでした。きょうも絶好調のティボー。見事です。拍手。

王子はエミリー・コゼットがコーダでソロを踊り始めるといなくなる。ステージ上はコーダで佳境に入っているので人々は気にも留めない。終わってはっと気が付くと王子は舞台の中央奥で外を眺めている。女性がヴォルフガングに促す。
「王子様はどうされたのかしら。きょうはいっしょに楽しまれないのね。」
ヴォルフガングはいかにもバカにしたようにマイムする。
「ちょっとぼーっとされているようだ。ほっておきなさい。」ヴォルフガングは女性たちを解散させる。

ヴォルフガングと王子。ヴォルフガングは王子の腕を掴み、自分の踊りを真似するよう強制する。ヴォルフガングが踊ったように王子は踊る。そして手をつなぎ、重心をお互いに後ろ目に倒して遊園地の遊具のようにぐるぐる回る。これはヌレエフがこだわった軸を外した回転。普通クラシック・バレエの回転軸は普段は天井から操り人形の糸を垂らしたようにまっすぐであるべきだが、ヌレエフはモダン・ダンスの世界から軸を外した回転も取り入れた。これは服部有吉なんかも意識してやっているようなところがあるが、服部は一人でそれをやっちゃうのですごいのだが、ここではヴォルフガングがかなり斜めになったまま回る。そうとう怖そう。すぐ倒れる恐怖がある。
その後、王子はうってかわったように軽やかに一人で踊る。

男性の友人達は、王子を楽しませようと踊りに誘う。王子は
「気持ちはうれしいが…僕はいい。どうぞやってくれ。」
「それでは。」
乾杯の踊りの音楽で踊る男達。男達は去っていく。
王子のソロ。アラベスクが美しい! ジョゼはここの踊りが得意。まえブノワ賞の授賞式で映像で見た。とてもここのソロの意味を理解している。見ているだけで胸が締め付けられる。王子は孤独。すべて持っているようで実は本当に彼のほしいものは何一つ持っていない。誰も本当の彼を理解していない。
ヴォルフガングはクロスボウを王子に渡す。王子はヴォルフガングの背中にもたれるようにして踊る。場面が転換する前、王子はくるくる回る美しいソロを見せる。

第2幕 森。
何かが動いた。クロスボウをかまえる王子。ロットバルトが現れて消える。今度は上手から何かが現れる。白い…人だ。王子は消える。
ジロ。毛づくろいするような動きを見せる。オデットの登場だ。王子が現れ、オデットは震える。弓を置いた王子。オデットは身の上話をする。しかしロットバルトが現れる。オデットは下手に消える。上手からやってくるスワンたちの群れ。
王子はスワンたちの群れにオデットを探す。列の中央奥にオデットが現れる。王子は近付こうとするが忠実なオデットの部下達に阻止される。オデットは上手に消える。スワンたちが踊る。オデットが現れる。アダージョ。甘美なヴァイオリンのメロディ。王子はオデットと踊る。オデットは頭を真下に下げるアラベスク・パンシェ。王子がオデットの背中をホールドする。オデットは片足で立つ。この振りはあとで黒鳥によって第3幕で繰り返されることになる。ジロはすばらしい。ジロは苦悩を浮かべている。とてもこのオデットは苦しんでいる。悲しんでいる。役作りが見事だ。人々の心を捉える悲しみだ。一方王子は自分の心の苦しみを鏡に映したようなこの女性に強く魅かれる。王子はきわめて優しく、大きな包容力でこの苦しんでいる女性を包み込もうとしている。そこには穏やかな愛がある。
拍手。

4羽の小さな白鳥。
4羽の大きな白鳥。

王子のソロ。これはヌレエフ版で追加されているもの。アントルシャ。大きなソテ。パ・ドゥ・シャ。軽やかなソロ。

オデットのヴァリアシオン。これを見ているとなぜかわからないが泣けてきた。オデットの悲しみが伝わってきたのか。
ジロのためがすごい。アラベスクしながら上体を後ろに倒すあのポーズでたっぷり4秒キープ。オーケストラの速度がぐん、と遅くなる。2回めはためなかった。ジロの白鳥は完全に静止する瞬間が多い。これがクラシックバレエの真骨頂なのだ。

コーダ。
オデットがポワントで足を後ろに45度上げて両手アン・オーで手を放してキープする。6秒。すばらしい。
最後にオデットは白鳥たち全員の先頭に立って同じ踊りを踊る。これ、ヌレエフが好きなパターン。大団円を主役にコールドと同じ振りを踊らせるの。
王子が来て、ポワントでアラベスクしたオデットをよいしょと持ち上げる。拍手。しかしロットバルトが現れ、魔法でオデットを連れ去ろうとする。王子は引きとめようとするが、オデットは別れを悲しみながら、去らねばならない運命を分かっている。そして鳥に変えられて去っていってしまう。王子は正面を向き、すこし歩いてから、床にへなへなと崩れる。運命を嘆く。なんという運命なのだろう。第2幕了。








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最終更新日  2006年04月23日 20時41分47秒


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