2010年03月26日
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カテゴリ: BALLET
New National Theatre in TOKYO
BALLET
Boris Eifman's Anna Karenina
Japan premiere

Libretto / Choreography: Boris Eifman
MusicaPyotr Tchaikovsky

CAST
Anna:Nina Zumievets
Vronsky:Oleg Gabyshev


26 Mar. 2010

新国立劇場

ボリス・エイフマンバレエ
「アンナ・カレーニナ」
日本初演

2010年3月26日(金)

台本・振付: ボリス・エイフマン

作曲: ピョートル・チャイコフスキー 他

装置: マルティニシュ:ヴィルカルシス
衣裳: ヴャチェスラフ・オークネフ
照明: グレプ・フィリシチンスキー / ボリス・エイフマン



ヴロンスキー:オレグ・ガヴィシェフ(ボリス・エイフマンバレエ劇場)

カレーニン:セルゲイ・ヴォロブーエフ(ボリス・エイフマンバレエ劇場)

新国立劇場バレエダンサー 

***

それなりに刺激的な作品だった。

2幕物と言っても、
アンナ・カレーニナの好き勝手なエッセンスだけ取り出した作品なので
短い。こういうところプティも似ているんだよね。
プティも好きに文学作品からエッセンスだけ抜き出す。

こういう場合、鑑賞する側はなかなか入り込めない。

アンナ・カレーニナの登場人物が3人しか描かれていない。
ウローンスキー伯爵と、カレーニンとアンナ。
キティは最初のシーンに登場するだけだ。
心理を描きたいのはわかるが
3人だけで全幕がもつわけもなく、
なんとなく同じことの繰り返しのような感じを与えてしまう。

作品は非常に演劇的で、演劇の舞台効果を使っている。
しかし芝居があるかというとそうではなく全部ダンスで表現される。

セットチェンジはない。

踊りはほとんどアレグロばかりで、ダンサーは相当疲れるに違いない。

リフトがすごくてオリジナルでうならされる。振り付けはとてもすばらしい。

主役3人がとてもすばらしい~
なんといってもアンナのニーナ・ズミエヴェッツがすばらしい。
主役3人とも気力、体力、ダンス力、根性が相当スゴイ。
ワンシーンだけでも倒れるようなダンスを2時間近く踊るんだからね。

男性は2人とも背が高くてスレンダーで8等身。
すばらしいプロポーション。

ウローンスキーは長髪のくるくるカールした髪で、非常に魅力的に見えるし、カレーニンは老け役だが実は若いダンサーだ。

※内容にふれますのでご注意ください。

第1幕

ピンスポの中、少年セリョージャが汽車のおもちゃで遊んでいる。
これは後の伏線である。
アンナが夫と現れ、少年を抱きしめる。
カレーニンはそんなアンナをたしなめるようにパーティに連れ出す。

コールド。
ウロンスキーとキティが踊っている。
キティはアンナの兄、オブロンスキーの嫁ドリーの妹であり、ウロンスキー伯とつきあっている。
しかしアンナとそのダンスパーティで出会って、電撃的に2人は恋に落ちる。

別の日、アンナとウロンスキーはまた出会う。
アンナは自分の気持ちにあらがえず2人で踊りキスしてしまう。

そんな彼女を夫が見ている。

アンナは夫との性生活に満足していない。
セックスは淡白で性急だ。

夫にとがめられ、アンナはウロンスキーに会えない。
お互い別々に煩悶している。
ここの音楽がチャイコフスキーの「悲愴」の美しいメロディーだ。
アンナはついにウロンスキーのもとへやってくる。
狂おしく愛し合う2人。

貴族の人々は黒の袖なしの上着を着ている。
彼らは社会規範を無視したカップルに冷たい。

アンナは家に帰るが、夫は冷たい。
夫は息子を連れ去る。

アンナは息子に会いたい一心でカレーニンに詫びる。
カレーニンはほだされる。しかしアンナは息子に会いたいだけだった。

ウロンスキーはアンナをあきらめるため軍隊に入っている。
軍人たちのダンスがすごくかっこいい~
新国立劇場バレエのソリストたちがちりばめられていて豪華だ。

アンナの不安は黒い装束の群舞で表現される。これがなんなのか最後にわかる。

アンナがだんだんおかしくなっていくのが表現される。
親子3人でたたずむが、かみてでおもちゃの汽車が走っている。
その小さな線路の輪の中に入るアンナ。

第1幕了。

第2幕

軍人たちが酔っぱらっている。
ここはユーモラス。
ウロンスキーの酔っぱらいぶりも半端じゃない。
しかしユーモラスではなく切迫している感じ。
アンナを失って荒れている。

ウロンスキーのソロが終わると貴族たちが登場する。

アンナと再会したウロンスキーは夫と対決しアンナを奪う。

2人はイタリアに出奔する。

イタリアの仮面舞踏会。
その中にアンナとウロンスキーも交じって興じている。

2人きりになって、ウロンスキーはアンナの絵を描く。
気持ちを抑えられず愛し合う。

しかししばらくするとウロンスキーは自分が嫌になってくる。

アンナは不安を感じる。

2人はモスクワに戻る。
モスクワのパーティに黒の衣裳で現れるウロンスキーとアンナ。
彼らは2人を受け入れない。
必死になって踊る2人。
ここはチャイコフスキーの悲愴の第3楽章。

アンナは床にへたりこみ、ウロンスキーがかばうようにする。

ウロンスキーとアンナは愛し合うが、以前のように蜜月というわけでなく、
ウロンスキーは思わずアンナを足蹴にしそうになる。
ウロンスキーは自分が嫌になって走り去る。

一人ぼっちのアンナはアヘンに手を出す。
彼女の幻想の世界に移行する。
いつのまにか裸になっている(肌色の全身レオタード)

裸の男女が現れる。
彼女の欲望を現す。
直接的すぎてちょっとこのへんでだいぶ引いてきた~感を持ってしまう。
ベジャールの春の祭典かしらと思う。
人々に担ぎあげられるアンナ
そして乱暴に振りまわされる
きっとあざだらけだよね。
まさに肉弾の演技。

薬に溺れる彼女をそっと抱きしめるウロンスキー。
彼は彼女をそれでも愛しているのだ。
ここがもっとも全編の中で感動的なダンス。
音楽がチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」
すごくせつなくて苦しい。
彼はそれでも彼女を連れていく。

そして彼女の不安が頂点に達する。
黒い人々の集団は彼女を疎外する社会であり、黒い大きな機関車だった。
彼女はそして轢死する。
そこで舞台は終了。

おつかれさまでした~

***

駅のホームにダン・エッティンガー氏がいた。
根元ダークで先端が金髪のつんつん髪。目立つ~
若くて才能のある指揮者、黄昏が楽しみだ!
彼はどっか…METだっけ?新シーズン出るんじゃなかった?

不思議なことにこのタイミングで
ヴォルフガング・ワーグナー氏逝去。
若杉さんが昨年亡くなられて、
まさに神々の黄昏でしょう。

そういえばフィリップ・ラングリッジさんが亡くなられたそうだ。残念。早過ぎるように思う。才能ある息子(演出家)が育っています。





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最終更新日  2010年03月27日 09時31分14秒


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