2012年04月22日
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Mariusz Kwiecien

New National Theatre, Tokyo
2011/2012 Season
Wolfgang Amadeus Mozart : Don Giovanni
Day2
22 April 2012

Conductor : Enrique Mazzola
Production : Grischa Asagaroff
Scenery and Costume Design : Luigi Perego


Don Giovanni : Mariusz Kwiecien
Il Commendatore : Tsumaya Hidekazu
Leporello : Hirano Yasushi
Donna Anna : Aga Mikolaj
Don Ottavio : Daniil Shtoda
Donna Elvira : Nicole Cabell
Masetto : Kubo Kazunori
Zerlina : Kushima Kanae

Chorus : New National Theatre Chorus
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra


新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」


2012年4月22日

これまで生でドン・ジョヴァンニを見たのは、サイモン・キーンリーサイドのモネ劇場2回、アーウィン・シュロットのMET来日公演、ピーター・マッティのリンデン来日公演と計4回。
どれもすばらしいドン・ジョヴァンニだったが、今回のマリウシュ・クヴィエチェンはその誰とも違っていた。

演出が伝統版だったので何のひねりもなかったが、ヴェネツィアに読み替えられたセットは秀逸、衣装も美しく、歌手たちがすばらしかった。

クヴィエチェンのジョヴァンニは、1幕と2幕がコメディ、2幕13場がシリアスドラマである。

まるで別人のようだった。
これまで客の心をわしづかみにしていたお茶目で軽妙なキャラは鳴りをひそめ、
もうすでに地獄にいるような男を演じていた。
暗い目。
髪は乱れ、酒に酔ってふらふらしている。
態度も悪く、暴力的。
私はそれまでの路線で地獄落ちまで突っ走るのかと思っていたので非常にびっくりした。

コメディをやらせたら右に出る者がいない、それがマリウシュ・クヴィエチェン。活き活きと舞台を駆け回り、観客を魅了する。最後の場の前まではそういうマリウシュで、
METでドンパスクワーレの初日を見た時を思い出した。
この時、マリウシュはものすごく面白かったが、相手役がネトレプコなのでアンナがぼけでマリウシュが言わばそれを受ける演技で、本当コメディセンスないとできないレベルの面白さだった。
今回はそういう強力な「ぼけ」がいないので自分で突っ込んで自分でぼけるという大変な役だった。
まあそれが主役なんだけど。
彼が出てくると舞台にエナジーが満ち、娘たちの目がハートになる。
まじそうだった。

レポレッロの平野さんはすばらしい声ですばらしく可愛い!背も日本人にしてはやや高い。
なんかアントニオ・ポーリにそっくり。彼はテノールでイタリア人だけど。
ああいう濃い感じの日本人でなかなかいないタイプ。
こんな歌手が日本人でいたなんて!すごく魅力的です。
声は低いバスバリなのでクヴィエチェンのバリトン声とかぶらず、いい感じです。

ドンナ・アンナのアガ・ミコライさんは皆さんがおっしゃるようにすばらしい。
最後のアリアでは客は熱狂。音楽が完全に終わる前から万雷の拍手が湧き起こり、ブラーヴァ、ブラーヴァの声が飛び交いました。

オッターヴィオのシュトーダさんは声が小さく、彼の歌うシーンでは指揮者がオケの音を抑えまくっていました。
しかしDalla sua pace
では美しい声を美しい歌い方で歌いました。良かったです。

ニコール・キャベルもすばらしい声で、演技もすばらしいし、可愛いいし、立ち姿がモデルのように美しいです。

ゼルリーナもすばらしい声でかわゆい♪

マゼットも低いパワフルなバスバリで良かったです。

妻屋さんは言うまでもなくブラヴォ!です。

しかし銅像のシーン、あそこまで台本に忠実でなくてもいいのに…
妻屋さんはいつも白塗り多いですね…

※内容にふれますのでご注意ください。

第1幕

序曲。
はあ~遅い。
序曲の途中で幕が開く。
ヴェネツィアの街 ゴンドラがある邸宅の前に着く。
仮面の男が下りてきて邸宅に忍び込む。
レポレッロはいったんゴンドラに戻り、帽子を目深にかぶって寝込む。
しかし起きて舟から降りて愚痴り出す。

「あ~俺も金持ちになりてえ~」

ジョヴァンニが逃げてくる。
クヴィエチェンの第一声。
豊かな声量できらめく艶のある声。
安心する。
ドンナアンナもすごい。

騎士長はジョヴァンニと戦うが刺し殺されてしまう。
音に合わせてかんかんと剣を合わせる。

ジョヴァンニは目を見開き、
死なない男に引導を渡すように手を突き出して
魂を奪い取るかのような演技。
思えばジョヴァンニ、危機迫っていたのはこのシーンと、最後のシーン。
いきなりものすごい存在感を見せつける。
騎士長が死んだあと、
ささやくようなしゃがれ声で

Leporello ove sei?
レポレッロ、いるか?

ここは歌ではなくしゃべった。
ここともう1か所あったけど
こういうところがもうストレートプレイっぽい真実味を醸し出す。

ゴンドラが動き出し、
アンナたちが駆け付けるが騎士長の亡きがらを見つけるのみ。
アンナは気を失う。
復讐を誓わせられるオッターヴィオ。

階段を上って行ったところでストップモーション

舞台が変わる

奥に橋のようなものがかかりジョヴァンニと従者が出てくる。

さきほどの鬼のような男はいなくなり、従者をからかう軽妙洒脱な男がそこにいた。

レポレッロ
「だんなはひどすぎます!」

ジョヴァンニ
「女の匂いだ!」

下に出てくるドンナエルヴィーラ。
キャベルはモデル体型。
演技もうまい。
ジョヴァンニは自分の嗅覚に悦に入りながら下りてくる。
しかし!

「ドンナ・エルヴィーラ!」
あっちゃ~
エルヴィーラは持っている乗馬用の鞭でジョヴァンニをビシビシ叩く。
大丈夫?ってぐらいに。
ジョヴァンニはむちを奪い取る。

そして気を取り直して女の機嫌を取り出す。
こういう演技がマリウシュ、うまいです。

そしてレポレッロに目配せ。

いつのまにかゴンドラがついている。船頭は死神(!)

ジョヴァンニはレポレッロにカタログの歌を歌わせ、自分はエルヴィーラの女中の手を取ってコンドラに誘う。ジョヴァンニはしもてにさっさと逃げ出す。
しかし女中はレポレッロのカタログの歌を聴き、びっくりして船から降りてくる。

いつのまにかジョヴァンニが吊り橋の上に高架橋の上に現れる
すると(割愛)
ここがユーモラス
ジョヴァンニは自分の手に口付けしてふーっと吹いて、エルヴィラの女中に投げキス。
このセクシーな投げキスは何度も出てきます。

ゼルリーナの結婚式。
チェスをかたどったメリーゴーランド。
可愛い!
乙女たちの衣装もとっても可愛くて美しい。

そこにやってきたジョヴァンニ。
誰の結婚式?

あたしよ

君は?

ゼルリーナ。

ジョヴァンニは腰のものを抜くそぶりをしてマゼットを追い出す。

ゼルリーナと2人きりになる。

二重唱

ラチダレムラマノ
La ci darem la mano

来た~
もううっとりだよ。

ジョヴァンニはあとずさってメリーゴーランドのところへ行く。

Vieni!
おいで!とゼルリーナを呼ぶ。

エルヴィーラがやってくる

Idol mio

エルヴィラはゼルリーナを連れ去る。

そこにやってくるドンナアンナとセットの男

ついてねえな~

ほとんどコメディ

ジョヴァンニに相談を持ちかけるアンナ

ばれてねえぞ!

さっそくアンナに近づくジョヴァンニ

またもやエルヴィラ。

やっぱ喜劇だね。喜劇のパターン。

エルヴィーラとの押し問答といぶかる2人。

もうこのへん伝統版の「ジョヴァンニ」そのままの2人と個性的なジョヴァンニたちという感じ。

ジョヴァンニ

amici, addio!

アンナの復讐のアリア

大拍手

オッターヴィオのアリア

Dalla sua pace

***

邸宅の中。
ジョヴァンニは着替えている。
白いかつらに紫の衣装。

arcibravo!

シャンパンアリア

早口は、得意なんですブレンディのマリウシュ。

大拍手。

マゼットたちが酔いつぶれて寝ている

Batti, batti, o bel Masetto,

マゼットとゼルリーナ横になる。

ジョヴァンニの声が聞こえ、慌てるツェルリーナ。

Zerlinetta!

マゼットの登場でごまかすジョヴァンニ。

ジョヴァンニのお屋敷のバルコニー

仮面の3人を呼び入れるレポレッロ

無礼講のパーティ

奥に室内楽団が演奏し始める

Viva la liberta!

ジョヴァンニとツェルリーナはしもてで踊っている。
踊りうまい。
まんざらではないゼルリーナ。

仮面の3人は3人で踊っている。

マゼットはレポレッロに踊りを強制されて嫌がっている。

ジョヴァンニはゼルリーナを連れ去る

ここで奥にいた楽団に加わってかみてとしもてに楽団が現われる(ヴァイオリン)これが微妙にすれて演奏し出す、ここがすごく本物っぽくて
モーツァルトって天才だと思う。
ステレオサラウンドで微妙にずれて演奏するヴァイオリンと人々の困惑の音楽のイメージがぴったりなのだ。

悲鳴

ジョヴァンニはレポレッロを連れてきてスケープゴートにしようとする。

オッターヴィオはジョヴァンニに銃口を向ける

ジョヴァンニも剣を抜くがなかなか逃げ出せない

合唱

ジョヴァンニはかみての階段を駆け上がって逃げる。
レポレッロも続くが、客にぶつかって戻ってきてあいさつして出てく。コミカル。

第1幕了。





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最終更新日  2012年04月28日 17時02分41秒


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