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挙動不審者【電子書籍】[ 佐竹 一彦 ] この人はあまりにも警察内部のことに詳しすぎる。 もしかして警察関係者なのか。 さて本作は平成13年作というからかれこれ23年も昔の作品である。 そういやあワープロなどという今では死後になってしまったような言葉も出ていた。 話の中身はしかと理解した。 さてあの時代、留置被疑者を刑事部屋に持ってくることなどできたろうか。 この種の作品でよくあるのが刑事が留置施設に土足で入りこむような記述だ。 私はもしかしてそんなことこの作品で登場人物がするんじゃなかろうななどと予防線を張っていたのだが、さすがに警察内部を知り尽くしている男、それはなかったけれど、本作の本作における事件の本ボシたる大事な大事な被疑者が卑劣漢に刑事部屋で刺されてほぼ即死するというような話では、これは読み手の方も検証が必要だなと感じたわけだ。 果たして、平成13年当時、被疑者が取調室以外に出ることが可能だったかどうか。 ここのところがね、どうも気になるところだ。 作者は、前作駐在巡査でもわかる通り、かなり警察内部のことを知っている。 つまり、昭和年代の刑事部屋のことを知りつくしている人ではないのか。 ただし、まさか制作当時もう被疑者を刑事部屋になど連れてきてはいけないということがわからなかったのではなかろうか。 第一次捜査機関たる警察捜査に関する私見とも思える登場人物の意見やら、冤罪防止のために何をするかという問いかけやら、そして、澄んだ目の犯人もいれば濁った眼の無実の者もいるという私見は、とても興味深い意見だった。(2/7記)
2024.05.08
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駐在巡査【電子書籍】[ 佐竹 一彦 ] 前読つまり警視庁アウトサイダーがあまりにもひどかったものだから、本作のリアルさが心に沁み、軽快に読了した。 作者はもしかして警察関係者かね。 実在するような駐在所の旦那その奥さん、地域の方々、そして所轄の刑事課員の動きだった。 そして例えば、定型的縊死では決してあり得ないとまで言われている他殺に関し、唯一、地蔵担ぎという技でそれを為す事が出来る、つまり、殺人を自殺に見せる事が出来るなどという話も持ち出し、駐在の猪野が刑事課長に進言するあたりは、何とも凄いぜ。 駐在の奥さんの推理も素晴らしい。 とはいえ、駐在の奥さんが出して見せたトリック解明は、ミステリーリーダーには、全部みろっとめろっとお見通し状態なんだけどね。 その証拠の出し方が、後出しではなく先出しなのも心地よい。 それで読み手がこの物語に素直に参加できる仕掛けだ。 パリに留学しているはずの画学生がどうやら引きこもりではないのかなどというトリックは見事でしたな。 それは届けられる宅配食から推理したというわけだ。 こういう何気ない推理をきちんとした証拠を提出して読み手に考えさせる手法が素晴らしい。 ただね、駐在さんの遵法精神に?マークがつくのはいかがなものか。 やはり駐在さん、酔っ払い運転やら無免許運転は、いかに村内のこととはいえ、見逃してはだめだ。 自分はきちんと酔っ払い運転をしない自覚があるから、そこは見事だ。 まあそれにしても、猪野駐在がこれほどできるのは、彼が村内をきちんと実態把握しているからだ。 結局、かつての警察活動というのは、地域警察官の実態把握の賜物だったんだよな。 そういうのがどうも今の警察からはなくなっているようだ。 なにしろ個人主義がはびこってしまったのもね。 これからの警察活動が、一体何によるべきものなのかを考えなければならない時代に入ったのだということを本作を読んで逆に感じたのは私だけだろうか。(2/1記)
2024.04.30
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刑事部屋【電子書籍】[ 佐竹 一彦 ] 本作は平成シングルの時代の作品で、今なら取調べ監督対象行為もあの時代、ある程度許されていたんだなと、時代の変化を感じさせられる作品だった。 それはともかく作者の警察とりわけ刑事という職種に対する取材力には舌を巻いた。 大泥棒と刑事の息詰まる対決、その取調べにぺいぺいの見習いを当てる作戦、これは見事でしたな。 騙し騙されふり振られ、そんなことしているうち見習い刑事の主人公は、画策していた転職を諦めいつしかマシな刑事へと変身していく。 そのへんの文筆による表現力がこの作者の真骨頂でしたね。 やあ、おみごと! そしてこの時代にしては女性の登用についても優れている。 今この時代に男だ女だと息巻いて騒いでいるとき、なんと立派な一人の女性刑事を作者は誕生させていたことだろう。 これまたお見事! 本作には霊感刑事なんてのも登場する。 そもそも本書は6篇の短編からなる。 そのどれにも見習い刑事は出てくるのだが、それぞれが違う個性の刑事を主に据えるという趣向だ。 そのへんのテクニックが実に憎いですな。 小説こうあるべきのテクニックですよ。 ま、現代では許されない取調べ監督対象行為もこの時代であることで甘く見て、実に面白い読み物になっていたなと本当に感激した。 まだまだ面白い小説が世の中にはあるのだ。
2021.04.11
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