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2013.11.15
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
本書は、欧米との比較もまじえ、教育が社会の形成にどのような影響を与えたかを分析する。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 大衆教育社会のどこが問題か/第2章 消えた階層問題/第3章 「階層と教育」問題の底流/第4章 大衆教育社会と学歴主義/第5章 「能力主義的差別教育」のパラドクス/終章 大衆教育社会のゆらぎ




すなわち,大衆教育社会とは,大衆社会(マス・ソサエティ)の特徴と,大衆教育(マス・エデュケーション)を兼ね備え,さらにそこに「メリトクラシーの大衆化状況」と呼ばれる特徴を加えた社会である。

日本でも子どもの出身階層によって,言語の若干の違いが発見された。
しかし,もっとも顕著な違いは,労働者階級とミドルクラスとの間よりも,山間部のへき地校と都市部の学校との間にあることがわかった。
社会階層よりも地域差のほうが,日本では,言語使用における重要な差異として発見されたのである。

日本においても,どのような家庭に生まれたのかが,子どもの教育達成に大きな影響を及ぼしているということは明らかであろう。
それにもかかわらず,「経済力」に代表される階層差が,弱まる傾向にあり,それを反映してか,「貧困問題」が目立たなくなるにつれて,「階層と教育」問題もまた,日本の教育議論の中からフェイドアウトしていった。
しかし,出身階層と教育達成の関係は,財力の差の影響が弱まるなかでも戦後一貫して続いてきている。

その背景として筆者は次のように指摘している。

アメリカやイギリスで能力別学級編成に反対が唱えられる場合,問題意識の規定には,能力の低い学級が,社会的に恵まれない子どもたちによって占められる事態を問題とする議論がある。
それに対し,日本における能力別学級編成の反対論は,生徒の 「差別感」 を中心に展開した。
能力別学級編成が,社会的不平等を固定化するという議論は,ほとんどみられずに,能力=平等感を前提として,学力差による差別意識をもっぱら問題にしてきたのである。
学力と出身階層の問題も,能力別学級編成を媒介とした階層と社会的地位達成との関連も,ほとんど十分な議論を行わずに,それとはまったく別の理由から,能力別学級編成は批判され,義務教育の舞台から退却していったのである。

つまり,差別感を生み出す教育が差別教育である。
こうした教育の捉えk多は,平等な教育とは,生徒に差別感を生み出さない教育であるという認識に基礎づけられていた。

個性を重視する,主観的な評価を受け入れる教育改革はどのようなリスクを孕んでいるか。
高く評価される個性の持ち主は,どんな家庭の子どもか。
子どもの育つ家庭の文化的環境のみならず,稽古事やスポーツ教室への参加経験が,ものを言うようになるかもしれない。
稽古事だとすれば,多様な評価基準を選抜に用いることは,学力とは違う形で,社会階層の影響を選抜に持ち込む可能性がある。






とても読み応えのある本でした。
55年体制は医療でも教育の分野でも起きていたのではないかと感じます。
格差感や差別感といった実際の数字ではなく,当事者が感じる感じ方,イメージをもとに公平性を担保する教育のあり方が議論されていったことが分かりました。

みんな一等賞,みんな100点という遺伝や先天性の能力差を考えない能力感が大衆社会を支えていきました。


現在ではそれとは逆の意識が芽生えています。
頑張っても個人の努力ではどうしようもできない能力差が目の前に突き付けられている。

高校までの教育の公平性を支える理念がいかに社会の実態とかけ離れたものであるかは誰の目にも明らかになってきています。
それにしても昨今議論されている内容が,本書の刊行時期である18年前からほとんど変わっていないことに愕然とします。





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最終更新日  2013.11.15 18:55:58
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