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2022.03.02
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2022/02/22/火曜日/晴天
国立劇場へは半蔵門駅から行くので、いつも楽屋口横を抜けて行く。大抵は午前か昼の部を見るのだけど、珍しく昼と夜のニ部続けて鑑賞。
早目に着いて時間潰しと思ったけれど、気持ちの良いカフェがこの辺り本当に無いのです。隣接地のホテルのラウンジもコロナで閉めているらしい。
うろうろ経巡り演芸場を周り、結局ドトールまで足を伸ばした。国立のエンタメ会場なのにまともなカフェもビストロも無いなんて名折れもいいとこ。時間潰しの上、やって来たら客席は既に沢山の人。やはり本日のメイン、加賀見山旧錦絵。カガミヤマコキョウノニシキエ待つ側から熱気が。

全九段の内、六(草履打ちの段)、七段(廊下の段、長局の段、奥庭の段)が演じられる。いつかは全段通した大きな演目が観たいけど、中々そんな機会に恵まれないのは何故なんだろうか。

この浄瑠璃は江戸時代に起きた大名家奥御殿の仇討ちと加賀前田藩の御家騒動の二つの事件を絡めている。幕府お達しで実名を出せず、時代も足利に置き換えられているが、当然江戸町民ならずとも背景はすっかり見え見えなのだ。

そういうことまで含むメタ観劇?更に中老と召使、これが町民上がりと没落武士の娘、の転倒の設定であって其々の義理と人情を暮らしぶりの細やかさの中に畳み込む表現も女性が主役ならではの演目。

長局での召使お初を操る桐竹勘十郎は、前回観た時よりはるかに良かった。年の頃14、没落したけれども侍の娘、支える主人は裕福といえども町人上がり。それでも通うひたひたとした情愛。それら全てが乗り移ったお初だった。

中老尾上の吉田和生もお初と対象的に落ち着き風格がある。吉田氏の、舞台に溶け込んでまるで自分の身体で繰っていないかのような風体が素晴らしい。



さて第三幕まで時間が余る人にだけ開けてくれる2階の暗くてしょぼい食堂。再び言いますがこれが国立と名のつく劇場レストランなんだから呆れる。もっとワクワクする楽しみを増やしてはいかがか。お腹空いても食べる気にならず。かつてより広げられた休憩所で持込お弁当を食べている方の慧眼に次回はあやかることにします。

さて3部は平家女護島は、謡曲「俊寛」を近松門左衛門が浄瑠璃に仕立てた作の内、鬼界が島の段。恩赦によって懐かしい都に戻れようか、という時に船に乗れるは三人のみの断り。たった今、少将と漁師の娘と祝言あげた千鳥を含めば四人となる。俊寛は身を引き千鳥を乗せる。

ところで少将が千鳥との馴れ初めを語るところは際どく艶めくエロ語り。思わず客席のご年配紳士の大笑い。悲劇的なジエンドとの落差。

三人を乗せ船は遠ざかる〜思ひ切っても凡夫心〜明るい顔で見送ったが、沖合いの遥かになった船に向かい身を切られる哀切が滲む。豊竹呂太夫熱演

最後に狂言風「釣女」。大名、太郎冠者、美女と醜女の取り合わせ。このおたふく顔の醜女が愛嬌があってレジリエンスで元気一杯な魅力を見るせられるかどうかがキモかも。大名人形遣いがやや固く緊張気味だったのは何か訳でもあったのかしら。





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最終更新日  2022.03.02 15:31:39
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