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受遺者が、遺留分権利者の占有する建物の明渡しを請求するにあたり、裁判所の定めた価額を弁償する意思を表明して、弁償すべき価額の支払を条件として建物の明渡しを求めた場合は、特段の事情のない限り、弁償すべき価額を定めた上、その価額の支払があったことを条件として建物の明渡し請求を認容することができるとした事例(東京高裁平成28年6月22日判決) 「事案の概要」X及びYは、被相続人Aの子である。Yは、Aが死亡するまでにAが所有する本件建物に居住し始め、A死亡後も単独で本件建物を占有していた。Xは、遺言によって本件建物を単独所有することとなった。そこで、Xは、Yに対し、本件建物の所有権に基づき、本件建物の明渡しを求めるとともに、賃料相当損害金の支払を求めて訴訟提起するに至った。Yは、訴訟提起前に遺留分減殺請求の意思表示をしたが、これに対して、Xは、Aが死亡時に債務超過に陥っていたことから、Yの遺留分を侵害していないと主張した。原審は、Aが債務を負っていたものの、債務超過ではなく、遺留分侵害が認められるとして、遺留分減殺請求権の行使により、Yが本件建物につき共有持分を有するとして、Xの請求を棄却した。これに対し、Xは、価額弁償を条件として本件建物を明け渡せとの予備的請求を追加して控訴し、控訴審第1回口頭弁論期日において、裁判所の定めた価額をもって弁償する旨の意思表示をした。 「判旨」控訴審は、本位的請求について、Yの遺留分侵害額を認定した上で、本件建物明渡請求は理由がないとするとともに、賃料相当損害金の請求は持分割合の限度で理由があるとし、予備的請求については、控訴審におけるXの価額弁償の意思表示について、当該訴訟手続内において、判決によって確定された価額を支払う意思を表明し、弁償すべき価額の支払を条件として遺留分権利者の占有する目的物の引渡し等を求めた場合は、受遺者等に価額を弁償する能力がないなどの特段の事情のない限り、弁償すべき価額を定めた上、支払があったことを条件として遺留分権利者の占有する目的物の引渡し等請求を認容することができると解し、権利関係の早期確定の必要性とXが弁償すべき価額の原資を準備する期間も考慮して、本判決確定後30日以内に支払を受けたことを条件として本建物の明渡しを認めた。判例時報2355号45頁
2018.04.20