青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2006.12.01
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カテゴリ: その他
旭ダイヤ街宣活動差止等請求事件

東京地裁平成16年11月29日判決

解雇された元従業員及び労働組合による代表取締役の自宅近辺や会社の本社前等における街頭宣

伝活動等について、代表取締役や会社の名誉・信用を毀損し、代表取締役の住居の平穏や会社の平

穏に営業活動を営む権利を侵害するものであるとして、その差止請求が認容された。

判例学説

名誉信用を被保全権利とする差止請求

名誉毀損の成立について最高裁昭和41年6月23日判決は、当該行為が公共の利害に関する事

実に係り、もっぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明さ



を真実と信じるについて相当の理由があるときには、名誉毀損は成立しないとしていた。

そして最高裁昭和61年6月11日判決は、名誉侵害の被害者は人格権としての名誉権に基づき、

加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、

侵害行為の差し止めを求めることができる旨判示し、最高裁平成14年9月24日判決 判例時

報1802号60頁もこれを踏襲している。

したがって、上記最高裁昭和41年判決の基準に照らし名誉毀損が成立する場合において、当該

行為が今後も行われる蓋然性が認められるときは、被害者は、人格権としての名誉権に基づき、

その行為の差し止めを請求することができ、この理は信用毀損についても同様に当てはまると解

される。

住居の平穏を被保全権利とする差止請求

判例は騒音等による生活妨害の差止請求において、人格権がその法的根拠になりうることを認めて



は「住居の平穏」と表現することが可能である。

大阪地裁平成7年1月26日判決は労使関係の紛争は本来的に職場領域に属するものであるから、

労働組合活動が法人経営者側の私生活の領域において行われる場合には、その活動は労働組合活動

であることをもって正当化されるものではなく、それが表現の自由の行使として相当性の範囲内に

ある限りにおいて人格権(名誉・信用、平穏な生活、プライバシー)に基づき、企業経営者の自宅



営業権を被保全権利とする差止請求

営業権という概念は、実定法上明文の規定を有するものではないため、その意義・内容・根拠・性

質・要件・効果が不明確であるという法理論上の問題はあるが、他方、街宣活動等からの会社の救

済を事後の損害賠償請求のみに委ねるのでは不十分ではないかという疑問があり営業権に基づく妨

害排除請求権等を認めるべき現実的必要性は否定しえない。

そのためには、営業権の権利内容等がどの低と明確化される必要があるか等を検討する必要があ

る。

営業権概念を認めた裁判例としては、東京地裁平成15年6月9日判決(営業権、名誉・信用)

があり、同判決は、営業権を「事業の主体として、他人に業務を妨害されることなく事業を営む

権利」と定義している。

            判例タイムズ1215号 314頁 中園浩一郎判事の解説





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Last updated  2006.12.01 06:35:12


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