青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2006.12.09
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カテゴリ: 民事訴訟法
釈明権とは、当事者の申立、主張、立証に不明瞭、矛盾、不正確、不十分な点があるとき、訴訟

関係を明瞭にするため、事実上、法律上の事項について質問等する裁判所の権能ないし義務であ

る。(民事訴訟法149条)

申立、主張及び証拠の申し出は当事者主義、処分権主義及び弁論主義の建前からすると、本来は

当事者の判断と責任で行われるべきものであって、裁判所としては当事者のした申立、主張のみ

に基づいて請求の当否を判断すれば足り、その他を考慮する必要はないことになる。しかし、他

方、裁判は、具体的正義の実現として、紛争解決のため適正、迅速な結論を与えることを目的と

することから、裁判所には、当事者の後見的作用を営むため、釈明権が与えられており、更には

、一定の場合は釈明義務が課され、その行使を怠った場合は違法であるとの見解が一般的である。



釈明については、種々の観点から分類がされているが、「消極的釈明」と「積極的釈明」に分類す

る見解が多い。「消極的釈明」とは当事者の申立、主張に不明瞭、矛盾、欠けつ、不用意がある場

合における補充的釈明をいい、「積極的釈明」とは当事者のなした申立、主張などが事案につい

て不当または不適当である場合、あるいは、当事者が適当な申立、主張をしない場合に、裁判所

が積極的にそれを示唆、指摘してさせる、是正的釈明をいう。

学説上、裁判所がどのような釈明を怠った場合に義務違反となり、原審の破棄事由となるかにつ

いては民事訴訟観とも関連して争いがあるが有力な見解は、消極的釈明を怠り判決がなされた場

合には原判決破棄の事由となるが、積極的釈明の懈怠は一律に上告理由となるのではなく、慎重

な考慮を必要とするとしたうえで、考慮されるべき要素としては

1判決における勝敗転換の蓋然性

2法は裁判所が知るところだから申立や主張等の法的構成の不備を全面的に当事者責任に服せ



3釈明権の行使をまたずに適切な申立・主張等をすることを当事者に期待できる場合かどうか

4その事項を釈明させることが当事者間の公平を著しく害するか否か

5その他、例えば、積極的釈明によってより根本的な紛争解決を招来し、再訴を防止することが

できるといった事情 釈明させることによって訴訟の完結を著しく遅滞せしめることになる場

合か否か を挙げる。



違法があるとされた事例である。

           判例タイムズ1215号 212頁 水野貞子判事の解説

民事控訴事件の実務上の留意点  判例タイムズ1270号17頁






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Last updated  2008.09.05 05:50:36


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