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「事案の概要」
本件は、平成22年1月1日時点において不動産の所有者であり、不動産登記簿上の所有名義人であったXが、同年8月20日に担保不動産競売手続により当該不動産を取得したYに対し、Xが当該不動産に係る平成22年度の固定資産税等の全額を納付したことにより、Yが当該不動産を取得した日の翌日以降の期間に対応する固定資産税等の負担を免れたことが不当利得に当たるとして、その日割精算額の返還等を求めた事案である。
「判旨」
地方税法の規定及び私人間の売買契約と不動産競売制度との違いに照らすならば、競売不動産に係る固定資産税等の負担について、これを不動産競売手続において執行債務者と買受人との間の合意により調整することは制度上予定されておらず、また、同手続が終了した後に、別個の手続により固定資産税等の負担を調整することも基本的に想定されていないと解するのが相当である。
現在の不動産競売手続実務においては、通常、競売不動産の評価や売却基準価額及び買受可能価額の決定に際し、固定資産税等の税額及びその納付の有無が考慮されていないが、それは、以上のような固定資産税等の負担の調整が制度上予定されていないことに基づくものであると解される。
そして、このような不動産競売手続実務を前提に、後日、競売不動産に係る当該年度の固定資産税等の請求を受けることはないと期待して当該不動産の買受の申出をすることをもって、不合理な行為であるということはできないし、それにより、結果的に買受人が最大で1年分の固定資産税等の経済的負担を免れることになったとしても、当該固定資産税等の賦課期日における不動産の所有者との関係で不当な結果を招来するということもできない。
判例タイムズ1356号176頁
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