青森の弁護士 自己破産 個人再生 

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2014.03.18
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カテゴリ: 行政
土地収用法94条7項又は8項の規定による収用委員会の裁決の判断内容が損失の補償に関する事項に限られている場合にその名宛人が上記裁決の取消訴訟を提起することの可否(最高裁 平成25年10月25日第二小法廷判決)

「事案の概要」

被上告人である徳島県は、平成19年9月から平成20年3月までを工期として、県道の改良工事の附帯工事として、Xが所有する自宅敷地に接する里道を拡幅して阿南市の市道となる道路を新設する本件工事を実施した。

阿南市は、本件工事により新設された本件道路を市道として管理している。

Xは、平成20年12月、阿南市長に対し、本件工事により自宅敷地への出入りに支障が生じているとして、道路法70条1項に基づく通路の新設を請求したが、阿南市は、Xの請求には応じられない旨の回答をした。

そこで、Xは、平成21年3月、徳島県収用委員会に対し、道路法70条4項に基づき、土地収用法94条の規定による裁決の申請をしたが、徳島県収用委員会は、本件道路からXの自宅敷地への出入りは可能であり、本件工事による損失は生じていないなどとして、Xの請求を却下する旨の裁決をした。

Xが本件裁決の取消訴訟を提起したところ、一審及び原審は、いずれも、取消訴訟は不適法であるとして却下した。

「判旨」

土地収用法に基づく収用委員会の裁決は、行政事件訴訟法3条2項の「処分」に該当するものであるから、上記裁決の名宛人は、土地収用法133条1項又は行政事件訴訟法14条3項所定の出訴期間内に、収用委員会の所属する都道府県を被告として、収用委員会の裁決の取消訴訟を提起することができる。



もっとも、これは収用委員会の裁決の取消訴訟において主張し得る違法事由の範囲が制限されるにとどまり、上記裁決の名宛人としては、裁決手続の違法を含む損失の補償に関する事項以外の違法事由を主張して上記裁決の取消しを求め得るのであるから、同法94条7項又は8項の規定による収用委員会の裁決の判断内容が損失の補償に関する事項に限られている場合であっても、上記裁決の取消訴訟を提起することが制限されるものではない。

そうすると、土地収用法94条7項又は8項の規定による収用委員会の裁決の判断内容が損失の補償に関する事項に限られている場合であっても、その名宛人は、上記裁決の取消訴訟を提起することができるものというべきである。

判例時報2208号6頁





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Last updated  2014.03.18 15:00:38


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