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他人所有の自動車を運転中に物損事故に遭った者が、弁護士を代理人として損害賠償請求訴訟を提起した後、所有者から損害賠償請求権の債権譲渡を受けた場合について、この債権譲渡は訴訟信託に当たり無効であると判断した事例(福岡高裁 平成 29 年 2 月 16 日判決)
「事案の概要」
X
は、①自らが運転する妻
A
所有の自動車と
Y1
運転の自動車との交通事故、②自らが運転する知人
B
所有の自動車と
Y2
運転の自動車との交通事故の
2
件の交通事故の損害賠償請求権(いずれも物損)について、
A
及び
B
から委託を受けたとして、自らが原告、弁護士を代理人として、
Y1
及び
Y2
に対する損害賠償請求訴訟を提起した。
1
審において、
Y
ら代理人が
X
の当事者適格を争ったため、
X
は、
A
及び
B
から
X
に対する上記損害賠償請求権の債権譲渡を受けた。
「判旨」
上告人は、本件訴訟提起時から弁護士である上告訴訟代理人に委任して訴訟行為を行わせているから、弁護士代理の原則(民事訴訟法
54
条
1
項)を潜脱するものではないものの、上記各所有者が原告とならず、上告人が原告となって訴訟を提起した理由は、上告人が加入する自動車保険の弁護士費用特約を使うためであったというのであり、上告人への債権譲渡は、上告人を原告にして訴訟を行わせることを目的として行われたものであるから、信託法
10
条により禁止されている訴訟信託にあたり無効といわざるをえず、上告人に本件第
1
事故及び本件第
2
事故についての損害賠償請求権が移転したとは認められない。
判例タイムズ 1437 号 105 頁
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